説明

収納容器

【課題】 小型の収納容器にも適用可能な簡易な機構で開口部露出面積を容易に調節でき、使い勝手の良い収納容器を提供する。
【解決手段】 開口部1cを有する容器本体1と、開口部1cを開閉する蓋2とからなる収納容器100において、容器本体1と蓋2とのいずれか一方に設けられた軸部3と、容器本体1と蓋2とのいずれか一方に設けられて軸部3に係合する軸案内溝1fとを備え、軸部3は軸案内溝1fに沿って摺動可能であるとともに、軸案内溝1f内の所定の範囲で回動可能であり、蓋2は摺動と回動とに連動して開口部1cを開閉し、開口部1cの露出面積が調節できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楊枝・綿棒・針・シャープペンシルの芯などの棒状物、あるいは錠剤・キャンディ・ガムなどの粒状物など、さらには日曜雑貨・衣類・缶・瓶など種々様々な小物の収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に入れられた内容物を任意の量取り出すことができる収納容器としては、開口面積が異なる取り出し口を複数個設けたシャープペンシルの替芯ケース等がある。(例えば、特許文献1参照)。
また、容器の開口部露出面積を調節できる収納容器としては、リンク機構を用いて蓋を摺動し回動させる蓋付き収納容器等がある。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211893号公報
【特許文献2】特開2000−159251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の収納容器のうち、特許文献1の収納容器においては、内容物の取り出し量は中蓋に開けられた開口部面積に制約され、取り出し量の変更は不可能であると言う問題点があった。
また、内容物の取り出しに主眼を置いたものであり、内容物が無くなれば廃棄することを前提としているため、内容物が無くなったときの補充は、開口部面積に制約され難しかった。すなわち、開口部面積の調節が不可能で、使い勝手も悪いと言う問題点があった。
【0005】
また、特許文献2の収納容器は、開口部露出面積を調節できるが、開口操作初期の円弧上に持ち上げ移動する段階では、上部から見たときの開口部はわずかである。この状態からさらに蓋体を移動させた段階でやっと必要な開口部露出面積を得ることができるというものであり、開口部露出面積の調節が難しく、使い勝手が悪い言う問題点があった。
また、リンクを用いた機構であるため、複雑で多くの部品を必要とし、小型の収納容器には適用できないという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、小型の収納容器にも適用可能な簡易な機構で開口部露出面積を容易に調節でき、使い勝手の良い収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を開閉する蓋とからなる収納容器において、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられた軸部と、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられて前記軸部に係合する軸案内溝とを備え、前記軸部は前記軸案内溝に沿って摺動可能であるとともに、前記軸案内溝内の所定の範囲で回動可能であり、前記蓋は前記摺動と前記回動とに連動して前記開口部を開閉し、前記開口部の露出面積が調節できるものである。
【0008】
また、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられた係止部と、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられて前記係止部に係合する係合部とを備え、前記蓋の動きを制御できるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の収納容器は、小型の収納容器にも適用可能な簡易な機構で開口部露出面積を容易に調節でき、使い勝手も良いため、内容物を必要な量だけ、あるいは必要な物だけ容易に取り出すことができ、かつ内容物を収容することも容易である。
【0010】
また、請求項2の収納容器は、不意の動作で開口部が開くのを防ぐことができるため、収納容器の開閉操作を確実にでき、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の実施例1を示す収納容器の部分縦断面図である。
【図2】 図1に示す収納容器の蓋を全開した状態を示す。
【図3】 図1に示す収納容器の蓋を摺動させて容器の開口部を一部開いた状態を示す。
【図4】 図1に示す収納容器の蓋を摺動し回動させて容器の開口部を一部開いた状態を示す。
【図5】 図Aは図3の線A−Aに沿う部分断面図であり、図Vは図AのV方向矢視図である。
【図6】 本発明の実施例2を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。
【図7】 本発明の実施例3を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。
【図8】 本発明の実施例4を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。
【図9】 本発明の実施例5を示す収納容器の分解斜視図である。
【図10】 図9に示す収納容器の蓋を一部開いた状態の斜視図である。
【図11】 図9に示す収納容器の蓋を全開した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1を示す収納容器の部分縦断面図である。図2は、図1に示す収納容器の蓋を全開した状態を示す。図3は、図1に示す収納容器の蓋を摺動させて容器の開口部を一部開いた状態を示す。図4は、図1に示す収納容器の蓋を摺動し回動させて容器の開口部を一部開いた状態を示す。図5の(A)は、図3の線A−Aに沿う部分断面図であり、図Vは図AのV方向矢視図である。
【0013】
この実施例1の収納容器は、棒状物や粒状物等の収納に適し手のひらに載せ指先で操作できる収納容器を想定したものであるが、それより大きな一般の収納容器にも適用できる。
【0014】
図において、100は収納容器であり、容器本体1と、蓋2と、蓋2を容器本体1の一端部に回動自在に連結する軸部3とで構成されている。
容器本体1は、例えば、合成樹脂材料又はアルミニュウム材料で形成され、中空の収納部1aを有し、下端部に底部1b、上端部には開口部1cが設けられている。また、容器本体1の上端部には、図2及び図5に示すように、開口端面1dよりも更に上部に平行して突出する一対の蓋保持部1eが形成されている。また、この一対の蓋保持部1eには、それぞれに長孔の軸案内溝1fと、この軸案内溝1fの上部に平行する長孔の蓋係合溝1gが形成されている。
【0015】
蓋2は、例えば合成樹脂材料又はアルミニュウム材料で形成され、下端部に容器本体1の開口端面1dに当接して開口部1cを閉塞する蓋面2aと、長手方向の一端部に軸部3を嵌合させる貫通孔2bが形成され、その一端部の角部は貫通孔2bの中心点を中心とする円弧状に形成されている。また、図2及び図5(A)に示すように、短手方向の両端面には容器本体1の蓋係合溝1gと係合する第一の係合突起2cと第二の係合突起2dが形成されている。なお、この第一の係合突起2cと第二の係合突起2dは、蓋2と一体でなく別体の軸などを結合させたものでも良い。また、蓋2には、図1に示すように、上端面に複数の第一の滑り止め用突起2mと、左端面に複数の第二の滑り止め用突起2nが形成されている。
【0016】
軸部3は、金属製の丸棒又は合成樹脂製の丸棒で形成され、蓋2の貫通孔2bに嵌合され、その両端部は容器本体1の軸案内溝1fと摺動自在に係合する。なお、軸部3は蓋2と一体に形成しても良い。
【0017】
また、蓋2は容器本体1の一対の蓋保持部1eの間に挿着され、その間で軸案内溝1fに沿って摺動することができ、図4に示すように、任意の位置で軸部3の中心点を支点に回動することができる。また、軸部3の両端部は軸案内溝1fに係合し、容易に外れないように蓋2の両端面から突出している。
また、蓋2の第一の係合突起2cは容器本体1の蓋係合溝1gと係合し、蓋2を閉塞時に不意の力で開口部1cが露出するのを防止している。
【0018】
また、蓋2の第二の係合突起2dは容器本体1の蓋係合溝1gと係合し、摺動時に蓋2が安易に回動するのを防止している。
また、第一の係合突起2cと第二の係合突起2dは、所定の外力が加わると、一対の蓋保持部1eの弾性たわみにより蓋保持部1eとの係合が解除されるように、一対の蓋2の両側面から僅かに突出させている。
また、蓋面2aは開口端面1dに当接し、開口端面1dは蓋2が摺動時に摺動の支え面となる。
【0019】
上述のように構成された収納容器の使用方法を図1〜図4に基づき説明する。
図1に示すように、軸部3はその両端を軸案内溝1fに係合されて容器本体1の一方の端部に位置し、第一の係合突起2cは容器本体1の蓋係合溝1gに係合され、容器本体1の他方の端部に位置し、容器本体1の開口部1cを閉塞している。
この状態から、指先で蓋2の第一の滑り止め用突起2mを所定の力以上で矢印B方向に押し出すことにより、第一の係合突起2cの係合部周辺の蓋保持部1eが撓んで外方向に開き、第一の係合突起2cと蓋保持部1eとの係合が解除され、蓋2が摺動可能となり、図3に示す位置まで移動して開口部1cが露出する。なお、蓋2が矢印B方向への摺動時は第二の係合突起2dは蓋係合溝1gに係合されたままであり、不意の力で安易に蓋2が回動することはない。この蓋2の摺動長さLを調節することにより、開口部1cの露出面積の調整が任意に可能となる。
【0020】
次に、図3に示す状態から蓋2の第二の滑り止め用突起2nあるいは蓋面2aに指先を掛け、軸部3を支点に所定の力以上で矢印C方向に蓋2を回動させることにより、第二の係合突起2dの係合部周辺の蓋保持部1eが撓んで外方向に開き、第二の係合突起2dと蓋係合溝1gとの係合が解除され、蓋2が回動可能となる。
次に、図4に示すように、蓋2を回動させたまま右方向へ摺動させると、開口部1cの露出面積を調整することができる。
【0021】
次に、図2に示すように、更に蓋2を右方向へ摺動させると、開口部1cを最大に露出させることができる。
また、図1に示す蓋2が閉塞時の状態から図2に示す全開時の状態にすることも可能である。従って、開口部1cの露出面積の調整が全閉から全開まで任意に可能となり、内容物を必要なだけ、あるいは必要な物だけ容易に取り出すことができ、かつ、内容物を容易に入れることができる等使い勝手が良い。
【0022】
なお、蓋2を閉じるときは、開口操作の逆の操作をすれば良い。すなわち、蓋2を軸部3を支点に反時計方向へ回動させて倒し、第二の係合突起2dと蓋係合溝1gを係合させ、次に、蓋2を摺動させて第一の係合突起2cと蓋係合溝1gとを係合させることにより蓋2を閉じることができる。
【実施例2】
【0023】
図6は、本発明の実施例2を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。図において、実施例1と同様なものは、同じ符号を付けてその説明を省略する。この実施例2の収納容器は、内容物の一回当たりの取り出し量は少ないが、内容物が少なくなったときには一度に補充可能である。
【0024】
図において、軸案内溝1fと蓋係合溝1gとは、同一の延長線上に配設されている。また、軸部3が嵌合された蓋2の下端部の角は、円弧を設けず蓋面角部2kとし、蓋2が摺動して蓋面角部2kが開口角部1kを通り越さないと蓋2を回動できないようにしている。
なお、摺動可能長さは、図1に示す収納容器に比較して短くなっている。
【0025】
すなわち、蓋2の閉蓋時からの操作は摺動に限定され、開口部1cの露出面積も大きくないため、通常の使用が内容物を少量取り出すだけである場合に適している。しかも、摺動開口後には、蓋2は矢印C方向に回動可能となるため、開口部1cを全開にすることも可能で、内容物が無くなったときには容易に補充でき使い勝手が良い。
【実施例3】
【0026】
図7は、本発明の実施例3を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。図において、実施例1と同様なものは、同じ符号を付けてその説明を省略する。
この実施例3の収納容器は、開口部1cの露出面積を「大」「中」「小」など開度を固持可能にするとともに、蓋保持部1eが同じ大きさであれば、摺動可能長さをより長くできる収納容器である。
【0027】
図7において、軸案内溝1fと蓋係合溝1gとは、同一の延長線上に繋ぎ合わされて配設され、蓋係合溝1gの溝幅は軸案内溝1fの溝幅よりも小さく形成されている。また、容器本体1には、開口端面1d上に突出する係合凸部1pが設けられている。蓋面2aには、係合凹部2pが設けられ、この係合凹部2pは、1か所は蓋2の端部近傍に、3か所は一定間隔で蓋2のやや中央部に設けられている。
蓋2を閉蓋時には、蓋2の端部近傍に設けられた係合凹部2pと係合凸部1pとが係合し、不意の力で開口部1cが露出するのを防止し、摺動時には係合凸部1pと他の係合凹部2pのいずれかと係合させ、開口部1cの露出面積の開度を容易に調節できるようにしている。
また、摺動可能長さは図6に示す収納容器と比較して長くなっている。
なお、係合凹部2pは軸案内溝1fもしくは蓋係合溝1gに設けてもよい。
【0028】
すなわち、この実施例3の収納容器は、開口部1cの露出面積を「大」「中」「小」など開度を固持可能にしたため、内容物の取り出し量を一定に保つことができる。また、開口部1cを全開にすることができるため、内容物が無くなったときには容易に補充できるなど使い勝手が良い。
【実施例4】
【0029】
図8は、本発明の実施例4を示す収納容器の一部を切り欠いた縦断面図である。図において、実施例1と同様なものは、同じ符号を付けてその説明を省略する。
実施例1〜3に示す収納容器は、開口部1cが収納容器の頂部に限定されたものであったが、この実施例4に示す収納容器は、開口部1cが収納容器の頂部から一方の端面側上部にまで設けられたものである。
【0030】
図8に示すように、容器本体1の蓋保持部1eには、上下方向に軸案内溝1fと蓋係合溝1gとが設けられている。また、容器本体1には、軸案内溝1fの近傍に仕切り壁1sが設けられている。
蓋2には、実施例1と同様の第一の係合突起2cと第二の係合突起2dがそれぞれ設けられ、上端部両側面には第一の滑り止め用突起2mが設けられている。
【0031】
開口部1cが閉じた状態から(図示せず)、滑り止め用突起1mを指でつまんで蓋2を上方向へ引き上げることにより、軸部3は軸案内溝1fに沿って上方向に摺動して、図8に示すように、開口部1cの端面側だけが開かれる。このとき、仕切り壁1sは、軸案内溝1f側の開口を防止する。この状態から軸部3を支点に矢印E方向に蓋2を回動させることにより、蓋2は二点鎖線で示す位置まで回動し、開口部1cが全開となる。
【0032】
この実施例4の収納容器は、蓋2の動作を上下方向への摺動と回動するようにしたものであり、収納容器上部端面からの取り出しが可能な物の収納に適する。例えば、粒状物等である。また、内容物が少なくなったときには一度に補充でき使い勝手が良い。
【0033】
なお、上述の実施例1〜4の収納容器においては、容器本体1に蓋係合溝1gを設け、蓋2に蓋係合溝1gに係合する第一の係合突起2cと第二の係合突起2dを設けるようにしたが、蓋2に係合溝(図示せず)を設け、容器本体1に係合溝に係合する係合突起(図示せず)を設けるようにしても良い。
【実施例5】
【0034】
図9は、本発明の実施例5を示す収納容器を示す分解斜視図である。図10は、図9に示す収納容器の蓋を一部開いた状態の斜視図である。図11は、図9に示す収納容器の蓋を全開した状態の斜視図である。図において、実施例1と同様なものは、同じ符号を付けてその説明を省略する。
この実施例5に示す収納容器は、日曜雑貨・衣類・缶・瓶など種々様々な物の収納できる収納容器を想定したものである
【0035】
図9において、31は容器本体であり、内部に第一の収納部31aと第二の収納部31bとを備え、外周と底部とが閉塞され、仕切り壁31yで仕切られている。
また、上部は開口部31cとなっており、その周囲に開口面31dが設けられ、この開口面31dの上部両側面には一対の蓋保持部31eが設けられ、この蓋保持部31eには容器本体31の後部壁面より突出した位置に一対の軸部31fが設けられている。また、蓋保持部31eの中ほどには一対の蓋係合突起31gが設けられ、前部壁面上部の開口面31dから蓋係止突起31hが突出し、この蓋係止突起31hは係止部操作片31kと一体に結合されて容器本体31に装着され、上下方向に移動可能である。
【0036】
蓋体32は、下部に蓋面32aを有し、両側面端部の一方に一対の軸案内溝32fが形成され、他方に一対の容器係合溝32gが形成されている。また、蓋面32aの前方部には容器係合穴32hが設けられ、上面には一対の第一の開閉取手32mが設けられ、前部外側には第二の開閉取手32nが設けられている。
【0037】
容器本体31と蓋32は、合成樹脂材料等により形成されている。蓋32は、容器本体31の上部両側面に形成された一対の蓋保持部31eの間に挿着され、その間で軸案内溝32fに沿って摺動し、その任意の位置で軸部31fを支点に回動する。軸部31fは、軸案内溝32fに係合され容易には外れないように蓋保持部31eの両側面の内側から突出している。
蓋係止突起31hは容器係合穴32hに係合し、閉蓋時に不意の力で開口部31cの露出を防止するものであり、係止部操作片31kを下方向に作動させることにより、容器係合穴32hとの係合を解除できる。
【0038】
一対の蓋係合突起31gは一対の容器係合溝32gに係合し、蓋32が摺動時に安易に回動するのを防止するものである。
また、一対の蓋係合突起31gは、所定以上の力が加わると蓋保持部31eの弾性たわみにより係合が解除されるように、蓋保持部31eの両側面内側から僅かに突出している。
蓋面32aは開口面31dに接し、この開口面31dは摺動時には摺動支え面となる。仕切り壁31yは蓋2が最大限摺動したとき第一の収納部31aの開口部31cがすべて露出する位置に設けられている。
【0039】
上述のように構成された収納容器の使用方法を図9〜図11に基づき説明する。
図9において、蓋32を全閉した時は、容器本体31の軸部31fは蓋32の軸案内溝32fに係合され、容器本体31の一対の蓋係合突起31gは一対の容器係合溝32gに係合され,蓋係止突起31hは容器係合穴32hに係合され、開口部31cを閉塞している。
【0040】
この状態から係止部操作片31kを下方に押し下げ、蓋係止突起31hと容器係合穴32hとの係合を解除し、第一の開閉取手32mを矢印F方向に押し出すことにより、蓋32が摺動し、図10に示す状態まで開口部31cが露出される。摺動時には蓋係合突起31gと容器係合溝32gは係合されたままであり、不意の力で安易に蓋32が回動することはない。蓋32の摺動長さを調節することにより開口部31cの露出面積の調整が図10に示す状態まで任意に可能となり、第一の収納部31aの内容物だけを出し入れできる。
【0041】
図9に示す状態から蓋32の第二の開閉取手32nに手を掛け、一対の軸部31fを支点に所定の力以上で矢印H方向に回動させることにより、蓋係合突起31gの係合部周辺の蓋保持部31eが撓んで開き、蓋係合突起31gと容器係合溝32gとの係合が解除され、蓋32が回動可能となる。図11は、開口部31cをすべて露出した状態を示し、第一の収納部31aと第二の収納部31bの両方共に内容物を出し入れできる。
この実施例5の収納容器は、頻繁に出し入れする内容物は第一の収納部31aに収納し、頻繁に出し入れしない内容物は第二の収納部31bに収納することで、内容物の出し入れが容易で整理整頓がしやすく使い勝手が良い。
【0042】
なお、上述の実施例5の収納容器においては、容器本体31に蓋係合突起31gを設け、蓋32に蓋係合突起31gに係合する容器係合溝32gを設けるようにしたが、蓋32に係合突起(図示せず)を設け、容器本体31に係合突起に係合する係合溝(図示せず)を設けるようにしても良い。
【0043】
上述のように、本発明の収納容器は、開口部1c,31cを有する容器本体1,31と、開口部1c,31cを開閉する蓋体2,32とからなる収納容器において、容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設けられた軸部3,31fと、容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設けられて軸部3,31fに係合する軸案内溝1f,32fとを備え、軸部3,31fは、軸案内溝1f,32fに沿って摺動可能であるとともに、軸案内溝1f,32f内の所定の範囲で回動可能であり、蓋2,32は摺動と回動とに連動して開口部開口部1c,31cを開閉し、開口部1c,31cの露出面積が調節できる。
【0044】
また、容器本体1,31と蓋2,32とによる構造とし、軸部3,31fを容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設け、他方に軸案内溝1f,32fを設け、軸部3,31fは、軸案内溝1f,32fに沿って摺動することが可能で、かつ軸案内溝1f,32f内において回動可能としている。すなわち、蓋2,32の開閉操作は、摺動だけによる開閉、回動だけによる開閉、および摺動と回動を組み合わせた開閉、の3通りが可能であり、これらを任意に選択することにより、開口部1c,31cの露出面積が調節される。
【0045】
軸部3,31fは軸案内溝1f,32f内の所定の範囲で回動可能としている。軸部3,31fの回動可能な範囲を軸案内溝1f,32f内の全域と定めた場合、軸部3,31fが軸案内溝内1f,32fのどの位置にあっても蓋2,32を回動しての開閉操作が可能である。また、軸部3,31fの回動可能な範囲を限定した場合、軸部3,31fが軸案内溝1f,32f内の回動不可能な位置にあるとき、蓋2,32の開閉操作は摺動だけに限定される。
【0046】
また、本発明の収納容器は、容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設けられた係合溝1g,32gと、容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設けられて係合溝1g,32gに係合する係合突起2c,2d,31gとを備え、蓋2,32の動きが制御される。
【0047】
また、係合溝を容器本体1,31と蓋2,32とのいずれか一方に設け、他方に係合突起2c,2d,31gを設け、それらを係合させることにより、容器本体1,31の開口部1c,31cを閉蓋しているとき、不意の力で開口部1c,31cが安易に露出するのを防ぐことができる。また蓋2,32を摺動させて開口するとき、蓋2,32が安易に回動するのを防ぐことができる。さらには、開口部1c,31cの露出面積を容易に調整することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 容器本体、1c 開口部、2 蓋、3 軸部、1f 軸案内溝、1g 蓋係合溝、2c 第一の係合突起、2d 第二の係合突起、31 容器本体、31f 軸部、31g 蓋係合突起、32f 軸案内溝、32g 容器係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とからなる収納容器において、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられた軸部と、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられて前記軸部に係合する軸案内溝とを備え、前記軸部は前記軸案内溝に沿って摺動可能であるとともに、前記軸案内溝内の所定の範囲で回動可能であり、前記蓋は前記摺動と前記回動とに連動して前記開口部を開閉し、前記開口部の露出面積が調節できることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられた係合溝と、前記容器本体と前記蓋とのいずれか一方に設けられて前記係合溝に係合する係合突起とを備え、前記蓋の動きを制御できることを特徴とする請求項1記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−25996(P2011−25996A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188733(P2009−188733)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(509231396)
【Fターム(参考)】