収音装置およびコンデンサマイクロホン
【課題】イヤホンマイクの導音管などのような細い管状のスペースへの収納が容易であり、そのスペース内に伝搬される音を高感度に収音する。
【解決手段】イヤホンマイク14のパッケージ21の底面71には音響孔26及び27がある。パッケージ21の底面71には、音響孔26及び27から振動電極34及び35に向かって伝搬される音を電気信号に変換する電気音響変換ダイ23及び24がある。パッケージ21の接合面72は外部配電基板15の接合面73と接合されている。接合面72及び73間の隙間には、音響孔26及び27と連通し、振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向と直交する方向に延在する導音経路45が形成されている。
【解決手段】イヤホンマイク14のパッケージ21の底面71には音響孔26及び27がある。パッケージ21の底面71には、音響孔26及び27から振動電極34及び35に向かって伝搬される音を電気信号に変換する電気音響変換ダイ23及び24がある。パッケージ21の接合面72は外部配電基板15の接合面73と接合されている。接合面72及び73間の隙間には、音響孔26及び27と連通し、振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向と直交する方向に延在する導音経路45が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭小なスペースに収容して利用されるマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
狭小なスペース内に固定して利用される小型マイクロホンの1つに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてチップ化されたコンデンサマイクロホンがある。コンデンサマイクロホンには、次の2種類の構成のものがある。図15(A)に示すように、第1の種類のコンデンサマイクロホン50は、トレイ部52にカバー53を被せたパッケージ54におけるカバー53に孔55を穿設し、パッケージ54内におけるカバー53と対向する面56に電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58を固定した構成となっている。図15(B)に示すように、第2の種類のコンデンサマイクロホン51は、トレイ部52にカバー53を被せたパッケージ54におけるカバー53と対向する面56に孔55を穿設し、パッケージ54内における孔55と重なる位置とその隣の位置に電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58を固定した構成となっている。
【0003】
これらのコンデンサマイクロホン50及び51において、孔55からパッケージ54内に伝わる音は、電気音響変換ダイ57の電極60及び61に到達し、電極60及び61間の容量を変化させる。そして、この容量の変化を示す電気信号がインピーダンス変換ダイ58によって取り出され、収音結果を示す信号として出力される。また、図15(A)及び図15(B)に示すように、これら2種類の構成のコンデンサマイクロホン50及び51のうちコンデンサマイクロホン50は、パッケージ54における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58のある面56の裏側の面59に外部配電基板62が接合され、この状態で収容スペース内に固定される。また、コンデンサマイクロホン51は、パッケージ54における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58のある面56の裏側の面59に、孔63を有する外部配電基板62が孔63及び55同士を重ねるようにして接合され、この状態で収容スペース内に固定される。これらのコンデンサマイクロホン50,51に関する技術を開示した文献として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−100425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンデンサマイクロホン50,51は、イヤホンマイクにおけるイヤピースの中心を通る導音管内に収められ、イヤピースが挿入された耳内の音を収音する収音装置として利用される場合がある。この場合、図16(A)に示すように、コンデンサマイクロホン50,51(図16の例では、コンデンサマイクロホン51)と外部配電基板62とを接合したものを収音装置とし、電極60及び61から孔55に向かう方向がイヤホンマイク65の導音管66における音の入る側を向くような姿勢で導音管66内に収容する。このような姿勢で収容することにより、導音管66外から導音管66内に伝搬される音を高感度に収音できる。
【0006】
しかし、コンデンサマイクロホン51の面56(図15(B))には電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58が並べて接合されており、この面56における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58が並ぶ方向の幅は他の方向の幅よりも大きくなっている。よって、収音装置を、孔55が導音管66における音の入る側を向くような姿勢にして収容する場合、音の入る側から見たときの断面積が大きくならざるを得ない。このため、細い口径の導音管66を持ったイヤホンマイクへの利用が難しくなる。
【0007】
一方、図16(B)に示すように、収音装置を、電極60及び61から孔55に向かう方向が導音管66の内周壁を向くような姿勢とすれば、細い口径を有する導音管66内への収容は比較的容易である。しかし、この姿勢では、導音管66内に伝搬される音を高感度に収音できなくなる。
【0008】
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、イヤホンマイクの導音管などのような細い管状のスペースへの収納が容易であり、そのスペース内に伝搬される音を高感度に収音する収音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内側が中空のパッケージと、互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極と静止電極とを有し、前記振動電極および静止電極間の容量変化を収音結果を示す電気信号として出力するコンデンサマイクロホンを具備し、前記振動電極に対して直交する方向に音を案内して前記振動電極に音を到達させる音響孔を前記パッケージに形成するとともに、外部から到来する音を前記振動電極および静止電極に対して平行な方向に沿って案内して前記音響孔内に到達させる中空な導音ガイドを形成したことを特徴とする収音装置を提供する。
【0010】
本発明によると、電極から音響孔に向かう方向が収容スペースの内壁面を向き、且つ導音ガイドの出口が収容スペースにおける音の入る側を向くような姿勢で収容スペース内に収容できるので、収容スペース内に伝わる音を高感度に収音することができる。従って、収容スペースにおける音の入る側から見た収容スペースの断面積を大きくすることなく、収音の感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態である収音装置を含むイヤホンマイクの構成を示す図である。
【図2】図1における導音管および導音管内の収音装置の拡大図、および図1におけるA−A’線及びB−B’線断面図である。
【図3】図2における外部配電基板を剥がした状態のコンデンサマイクロホンの斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図15】従来のコンデンサマイクロホンの構成を示す図である。
【図16】従来のコンデンサマイクロホンの収容スペースへの収納の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1(A)及び図1(B)は、本発明の一実施形態である収音装置3を含むイヤホンマイク1の構成を示す図である。このイヤホンマイク1は、携帯電話機によるハンズフリー通話のためのオプション機器として利用される。イヤホンマイク1のハウジング11内には放音装置2が収容されている。ハウジング11からは円筒状の導音管12が突出しており、この導音管12内には収音装置3が収容されている。導音管12はイヤピース13により覆われている。イヤホンマイク1は、イヤピース13を利用者の耳の外耳道内に挿入することにより、利用者の耳に装着される。この装着状態において、放音装置2は、携帯電話機からケーブル70を介して供給される受話音信号SRCVを音に変換し、変換した音を出力する。この音は、導音管12を通って外耳道内に放音される。放音装置2の構成については、本願発明との関連性が希薄であるため、詳細な説明を割愛する。収音装置3は、利用者の声帯から頭蓋骨を介して外耳道内に伝わる音(利用者の話声)を示す送話音信号SSNDをケーブル70を介して携帯電話機に出力する。送話音信号SSNDは、出力先の携帯電話機から通話相手の携帯電話機に送信される。以下、収音装置3の構成の詳細について説明する。
【0013】
収音装置3は、外耳道内における音を収音するコンデンサマイクロホン14を、このコンデンサマイクロホン14の出力信号を送話音信号SSNDとしてケーブル70に伝える外部配電基板15上に搭載したものである。図2(A)は、図1(A)における導音管12及び同管12内の収音装置3の拡大図である。図2(B)は、図1(A)におけるA−A’線及び図1(B)におけるB−B’線の断面図である。また、図3は、図2(B)における外部配電基板15を剥がした状態のコンデンサマイクロホン14を示す斜視図である。
【0014】
図2(A),図2(B),及び図3に示すように、コンデンサマイクロホン14は、幅W1(例えば、W1=2.9mm),厚さT1(例えば、T1=1.1mm),及び長さL1(例えば、L1=6.0mm)の寸法の直方体状をなしている。コンデンサマイクロホン14の外殻は内側が中空なパッケージ21により構成され、このパッケージ21内には2つの電気音響変換ダイ23及び24と1つのインピーダンス変換ダイ25がある。より詳細に説明すると、コンデンサマイクロホン14のパッケージ21は、一面が開放された箱状のトレイ部48とこのトレイ部48の開放された側を塞ぐカバー49とからなる。パッケージ21におけるカバー49と対向する底面71の中央には、長さL1方向に沿って離間した2つの音響孔26及び27がある。トレイ部48にカバー49が装着された状態において、パッケージ21の内部は中空であり、音響孔26及び27のみが空気の通り道となっている。図3に示すように、底面71の裏側の接合面72には、音響孔27から音響孔26を通り、パッケージ21における当該接合面72と交差する面の1つである端面97まで伸びる溝28が形成されている。この溝28は、パッケージ21の幅W1より十分に小さい幅WC(例えば、WC=0.25mm)とパッケージ21の厚さT1より十分に小さい深さDC(例えば、DC=0.15mm)を有している。
【0015】
パッケージ21内の底面71における音響孔26と重なる位置には電気音響変換ダイ23が接合されている。また、底面71におけるもう1つの音響孔27と重なる位置には電気音響変換ダイ24が接合されている。電気音響変換ダイ23は、静止電極32及び振動電極34と支持部30とからなる。電気音響変換ダイ24は、静止電極33及び振動電極35と支持部31とからなる。静止電極32及び33と振動電極34及び35は、ドープトシリコンなどを素材とする円盤状の電極である。支持部30は、静止電極32及び振動電極34を平行な姿勢で互いに向かい合うように支持する役割を果たす部材である。また、支持部31は、静止電極33及び振動電極35を平行な姿勢で互いに向かい合うように支持する役割を果たす部材である。
【0016】
より具体的に説明すると、支持部30及び31は、音響孔26及び27の直径とほぼ同じ直径の内周を持った環状を成している。支持部30及び31は、音響孔26及び27の縁からカバー49に向かって延在している。静止電極32は、支持部30におけるカバー49側の縁を覆うようにして支持部30に支持されている。静止電極33は、支持部31におけるカバー49側の縁を覆うようにして支持部31に支持されている。静止電極32及び33には複数の後方通孔が形成されている。振動電極34は、支持部30内における静止電極32よりも音響孔26側を塞ぐようにして支持部30に支持されている。振動電極35は、支持部31内における静止電極33よりも音響孔27側を塞ぐようにして支持部31に支持されている。
【0017】
電気音響変換ダイ23及び24において、静止電極32及び振動電極34間と静止電極33及び振動電極35間には厚さT1方向の僅かな隙間が空いている。そして、静止電極32及び振動電極34と静止電極33及び振動電極35の各々によりコンデンサが形成される。パッケージ21内は、振動電極34及び35により、音響孔26及び27の外側に連通する空間(音響空間SSという)と音響空間SSの反対側の気密な空間(背部空気室BCという)とに隔てられる。
【0018】
音響孔26は、当該音響孔26に伝わる音を静止電極32及び振動電極34に対して直交する方向(厚さT1方向)に導いて振動電極34に到達させる役割を果たす。また、音響孔27は、当該音響孔27に伝わる音を静止電極33及び振動電極35に対して直交する方向(厚さT1方向)に導いて振動電極35に到達させる役割を果たす。音響孔26及び27に導かれて振動電極34及び35に到達した音波は、振動電極34及び35を振動させる。振動電極34及び35が振動すると、静止電極32及び振動電極34間の隙間や静止電極33及び振動電極35間の隙間の大きさが変化し、静止電極32及び振動電極34の容量や静止電極33及び振動電極35の容量が変化する。この結果、静止電極32及び振動電極34と静止電極33及び振動電極35の容量変化は、振動電極34及び35に到達した音の波形に応じたものとなる。
【0019】
図2(B)において、底面71における電気音響変換ダイ23及び24の並び方向に沿って電気音響変換ダイ24から離れた位置にはインピーダンス変換ダイ25が配置されている。インピーダンス変換ダイ25には、静止電極32及び振動電極34からなるコンデンサと静止電極33及び振動電極35からなるコンデンサとが並列接続されている(接続状態は図示略)。インピーダンス変換ダイ25は、この並列接続された2個のコンデンサの容量変化に応じた電気信号を発生し、収音結果を示す信号として出力する。
【0020】
図2(A)及び図2(B)に示すように、外部配電基板15は、幅W2(W2=W1),厚さT2(T2<T1),及び長さL2(L2>L1)の寸法の板状をなしている。外部配電基板15におけるコンデンサマイクロホン14に対向する接合面73には、インピーダンス変換ダイ25から出力される電気信号を送話音信号SSNDとして携帯電話機に出力するための回路パターンが形成されている。
【0021】
図3に示すように、コンデンサマイクロホン14の接合面72における4隅の内側の4点と、接合面72における音響孔26及び27と溝28の縁の僅かに外側を包囲する部分には、半田40,41,42,43,及び44が配されており、この半田40,41,42,43,及び44の溶着によってコンデンサマイクロホン14及び外部配電基板15が接合されている。接合面72の4隅の内側の半田40,41,42,及び43は、コンデンサマイクロホン14の接合面72上の端子(不図示)と外部配電基板15の接合面73上の端子(不図示)を電気的に接続する役割を果たす。
【0022】
また、音響孔26及び27と溝28の縁の外側を包囲する部分の半田44は、当該半田44、接合面72の溝28、接合面72における当該半田44に囲まれた内側の部分、及び外部配電基板15の接合面73における当該半田44に囲まれた内側の部分とともに中空な導音経路45を形成する。導音経路45は、外部からパッケージ21の端面97側に到来する音(図2(B)の矢印方向に伝搬する音)を振動電極34,35及び静止電極32,33に対して平行な方向に沿って案内して音響孔26及び27に到達させる導音ガイドとしての役割を果たす経路である。そして、図2(A)及び図2(B)に示すように、収音装置3は、電気音響変換ダイ23及び24の振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向が導音管12の内壁面を向き、且つ導音経路45の出口が導音管12における音の入る側を向くような姿勢で導音管12内に収容される。
【0023】
以上説明した本実施形態によると、次の効果が得られる。
第1に、本実施形態の収音装置3では、電気音響変換ダイ23及び24とインピーダンス変換ダイ25とをパッケージ21の長さL1方向(すなわち、耳に対する挿入方向)に並べ、静止電極32及び振動電極34からなるコンデンサと静止電極33及び振動電極35からなるコンデンサを並列接続したものの容量変化を送話音信号SSNDとして取り出すようになっている。そして、パッケージ21の接合面72と外部配電基板15の接合面73の間の隙間に導音経路45が形成されている。パッケージ21の端面97側に到来する音(図2(B)の矢印方向に伝搬する音)は、この導音経路45によって、振動電極34,35及び静止電極32,33に対して平行な方向に沿って案内されて音響孔26及び27に到達する。よって、振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向が導音管12の内壁面を向き、且つ導音経路45の出口が導音管12における音の入る側を向くような姿勢で導音管12内に収容した場合でも、外耳道内から導音管12内に伝わる音を高感度に収音することができる。従って、イヤホンマイク1の導音管12における音の入る側から見た導音管12の断面積(図2(B)の矢印方向から見た導音管12の断面積)を大きくすることなく、収音の感度を高めることができる。
【0024】
第2に、本実施形態では、パッケージ21におけるカバー49と反対側の面71に音響孔26及び27を設けている。よって、音響孔26及び27をカバー49に設けたものよりも、背部空気室BCの容積を広くとることができる。従って、音響孔26及び27をカバー49に設けたものよりも高い感度及びS/Nで音を収音することができる。
第3に、本実施形態では、パッケージ21及び外部配電基板15間の隙間に導音経路45を形成するようにしたので、製造が容易であり、且つ、収音装置3全体の寸法を小さくすることができる。
【0025】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば、以下の通りである。
(1)上記実施形態において、パッケージ21における音響孔26及び27および電気音響変換ダイ23及び24の組の数を1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。
【0026】
(2)上記実施形態では、パッケージ21の底面71に音響孔26及び27と電気音響変換ダイ23及び24が設けられ、この底面71の裏側の接合面72に外部配電基板15の接合面73が接合されていた。しかし、パッケージ21のカバー49側に音響孔26及び27と電気音響変換ダイ23及び24を設け、カバー49における電気音響変換ダイ23及び24の設けられた面の裏側に外部配電基板15を接合し、カバー49と外部配電基板15との間の隙間に導音経路45を形成してもよい。
【0027】
(3)上記実施形態では、パッケージ21における底面71の裏側の面である接合面72に溝28が形成されていた。しかし、外部配電基板15の接合面73に、上記実施形態における溝28と同方向に延在する溝を設け、この接合面73の溝28の周囲を覆うように半田を配してもよい。また、上記実施形態では、コンデンサマイクロホン14の接合面72における4隅の内側の4点と接合面72における音響孔26及び27と溝28の縁の僅かに外側を包囲する部分に半田40,41,42,43,及び44が配されていた。しかし、4隅の半田40,41,42,43を別の位置に配してもよいし、溝28の縁の外側の半田44のみによってパッケージ21と外部配電基板15とを接合してもよい。要するに、パッケージ21の接合面72における少なくとも溝28を包囲する部分に半田が配され、接合面72がこの半田により外部配電基板15に接合されていればよい。
【0028】
(4)上記実施形態では、パッケージ21と外部配電基板15の間の隙間には、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の端面97に至る導音経路45が形成されていた。しかし、図4に示す収音装置3Aのように、音響孔26からパッケージ21の端面97に至る導音経路45と、音響孔27からパッケージ21における端面97と反対側の端面98に至る導音経路45’とを形成してもよい。この収音装置3Aでは、導音経路45及び45’が半田44及び44’によって各々封止され、導音経路45及び45’が空間的に隔てられている。この収音装置3Aでは、パッケージ21内における音響孔26を塞ぐ電気音響変換ダイ23が、パッケージ21の端面97側に到来する音(図4の矢印A方向に伝搬する音)を収音する。また、パッケージ21内における音響孔27を塞ぐ電気音響変換ダイ24が、パッケージ21の端面98側に到来する音(図4の矢印B方向に伝搬する音)を収音する。この収音装置3Aは、例えば、導音経路45の出口が導音管12における音の入る側(利用者の外耳道内の側)を向き、導音経路45’の出口がイヤホンマイク1のハウジング11の内部(利用者の耳の外と連通する空間の側)を向くような姿勢で導音管12内に収容される。これにより、利用者の声帯から頭蓋骨を経由して外耳道内を伝わる第1の音と、利用者の口から頬の周囲を経由して耳の外に伝わる第2の音を個別に収音し、第2の音の収音信号によって第1の音の収音信号を補正したものを送話音信号SSNDとする、といった制御が可能となる。
【0029】
(5)上記実施形態では、パッケージ21と外部配電基板15の間の隙間に導音経路45が形成されていた。しかし、図5に示す収音装置3Bのように、コンデンサマイクロホン14の外殻を収音装置3のものよりも大きな厚さT1”(T1”>T1)をもったパッケージ21”により形成し、このパッケージ21”内におけるカバー49と対向する面71と外側の面72の間に、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21”の端面97に至る導音経路45”を設けてもよい。
【0030】
(6)上記実施形態では、導音経路45は、パッケージ21の接合面72における音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の先の端面97まで延びる一直線状をなしていた。しかし、導音経路45の代わりに、2つの音響孔26及び27の各々と繋がる個別の導音経路を形成してもよいし、一直線状でない導音経路を形成してもよい。導音経路の態様としては、例えば、次のようなものがある。
【0031】
図6に示す第1の態様では、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の端面97に至る導音経路145が形成されている。この導音経路145における音響孔27から音響孔26までの区間の幅は音響孔27及び26の直径より僅かに大きくなっている。そして、音響孔26から端面97までの区間の幅は端面97に近づくに従って大きくなっている。
【0032】
図7に示す第2の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面97に至る導音経路245と音響孔27からパッケージ21の端面98(端面97の反対側の端面98)に至る導音経路245’とが形成されている。そして、導音経路245の幅は端面97に近づくに従って大きくなっており、導音経路245’の幅は端面98に近づくに従って大きくなっている。
【0033】
図8に示す第3の態様では、音響孔26から端面97に至る導音経路345と音響孔27から端面98に至る導音経路345’とが形成されている。導音経路345及び345’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。そして、導音経路345は、音響孔26から、端面97及び接合面72の両方に直交する2つの端面99及び100のうち一方の端面100と端面97との交差位置に向かって延在し、その交差位置に至る途中の位置で端面97側に屈曲している。また、導音経路345’は、音響孔27から、端面99及び100のうち他方の端面99と端面98との交差位置に向かって延在し、その交差位置に至る途中の位置で端面98側に屈曲している。
【0034】
図9に示す第4の態様では、音響孔26及び27の各々からパッケージ21の端面99に至る導音経路445及び445’が形成されている。導音経路445及び445’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。
【0035】
図10に示す第5の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面99に至る導音経路545と音響孔27からパッケージ21の端面100に至る導音経路545’とが形成されている。導音経路545及び545’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。
【0036】
図11に示す第6の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面99に至る導音経路645と音響孔27からパッケージ21の端面100に至る導音経路645’とが形成されている。導音経路645の幅は端面99に近づくに従って大きくなっており、導音経路645’の幅は端面100に近づくに従って大きくなっている。
【0037】
図12に示す第7の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路745が形成されている。導音経路745の幅は、音響孔26及び27間の距離(より具体的には、音響孔26における端面99と直交する2つの接線のうち端面97側の接線から音響孔27における端面99と直交する2つの接線のうち端面98側の接線までの距離)と同じである。
【0038】
図13に示す第8の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路845が形成されている。導音経路845の幅は端面99に近づくに従って大きくなっている。
【0039】
図14に示す第9の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路945が形成されている。導音経路945の幅は端面99に近づくに従って小さくなっている。
【符号の説明】
【0040】
1…イヤホンマイク、2…放音装置、3…収音装置、11…ハウジング、12…導音管、13…イヤピース、70…ケーブル、14…コンデンサマイクロホン、15…外部配電基板、21,52…パッケージ、23,24…電気音響変換ダイ、25…インピーダンス変換ダイ、26,27…音響孔、30,31…支持部、32,33…静止電極、34,35…振動電極、45,145,245,345,445,545,645,745,845,945…導音経路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭小なスペースに収容して利用されるマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
狭小なスペース内に固定して利用される小型マイクロホンの1つに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてチップ化されたコンデンサマイクロホンがある。コンデンサマイクロホンには、次の2種類の構成のものがある。図15(A)に示すように、第1の種類のコンデンサマイクロホン50は、トレイ部52にカバー53を被せたパッケージ54におけるカバー53に孔55を穿設し、パッケージ54内におけるカバー53と対向する面56に電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58を固定した構成となっている。図15(B)に示すように、第2の種類のコンデンサマイクロホン51は、トレイ部52にカバー53を被せたパッケージ54におけるカバー53と対向する面56に孔55を穿設し、パッケージ54内における孔55と重なる位置とその隣の位置に電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58を固定した構成となっている。
【0003】
これらのコンデンサマイクロホン50及び51において、孔55からパッケージ54内に伝わる音は、電気音響変換ダイ57の電極60及び61に到達し、電極60及び61間の容量を変化させる。そして、この容量の変化を示す電気信号がインピーダンス変換ダイ58によって取り出され、収音結果を示す信号として出力される。また、図15(A)及び図15(B)に示すように、これら2種類の構成のコンデンサマイクロホン50及び51のうちコンデンサマイクロホン50は、パッケージ54における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58のある面56の裏側の面59に外部配電基板62が接合され、この状態で収容スペース内に固定される。また、コンデンサマイクロホン51は、パッケージ54における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58のある面56の裏側の面59に、孔63を有する外部配電基板62が孔63及び55同士を重ねるようにして接合され、この状態で収容スペース内に固定される。これらのコンデンサマイクロホン50,51に関する技術を開示した文献として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−100425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンデンサマイクロホン50,51は、イヤホンマイクにおけるイヤピースの中心を通る導音管内に収められ、イヤピースが挿入された耳内の音を収音する収音装置として利用される場合がある。この場合、図16(A)に示すように、コンデンサマイクロホン50,51(図16の例では、コンデンサマイクロホン51)と外部配電基板62とを接合したものを収音装置とし、電極60及び61から孔55に向かう方向がイヤホンマイク65の導音管66における音の入る側を向くような姿勢で導音管66内に収容する。このような姿勢で収容することにより、導音管66外から導音管66内に伝搬される音を高感度に収音できる。
【0006】
しかし、コンデンサマイクロホン51の面56(図15(B))には電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58が並べて接合されており、この面56における電気音響変換ダイ57とインピーダンス変換ダイ58が並ぶ方向の幅は他の方向の幅よりも大きくなっている。よって、収音装置を、孔55が導音管66における音の入る側を向くような姿勢にして収容する場合、音の入る側から見たときの断面積が大きくならざるを得ない。このため、細い口径の導音管66を持ったイヤホンマイクへの利用が難しくなる。
【0007】
一方、図16(B)に示すように、収音装置を、電極60及び61から孔55に向かう方向が導音管66の内周壁を向くような姿勢とすれば、細い口径を有する導音管66内への収容は比較的容易である。しかし、この姿勢では、導音管66内に伝搬される音を高感度に収音できなくなる。
【0008】
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、イヤホンマイクの導音管などのような細い管状のスペースへの収納が容易であり、そのスペース内に伝搬される音を高感度に収音する収音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内側が中空のパッケージと、互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極と静止電極とを有し、前記振動電極および静止電極間の容量変化を収音結果を示す電気信号として出力するコンデンサマイクロホンを具備し、前記振動電極に対して直交する方向に音を案内して前記振動電極に音を到達させる音響孔を前記パッケージに形成するとともに、外部から到来する音を前記振動電極および静止電極に対して平行な方向に沿って案内して前記音響孔内に到達させる中空な導音ガイドを形成したことを特徴とする収音装置を提供する。
【0010】
本発明によると、電極から音響孔に向かう方向が収容スペースの内壁面を向き、且つ導音ガイドの出口が収容スペースにおける音の入る側を向くような姿勢で収容スペース内に収容できるので、収容スペース内に伝わる音を高感度に収音することができる。従って、収容スペースにおける音の入る側から見た収容スペースの断面積を大きくすることなく、収音の感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態である収音装置を含むイヤホンマイクの構成を示す図である。
【図2】図1における導音管および導音管内の収音装置の拡大図、および図1におけるA−A’線及びB−B’線断面図である。
【図3】図2における外部配電基板を剥がした状態のコンデンサマイクロホンの斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態である収音装置を示す図である。
【図15】従来のコンデンサマイクロホンの構成を示す図である。
【図16】従来のコンデンサマイクロホンの収容スペースへの収納の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1(A)及び図1(B)は、本発明の一実施形態である収音装置3を含むイヤホンマイク1の構成を示す図である。このイヤホンマイク1は、携帯電話機によるハンズフリー通話のためのオプション機器として利用される。イヤホンマイク1のハウジング11内には放音装置2が収容されている。ハウジング11からは円筒状の導音管12が突出しており、この導音管12内には収音装置3が収容されている。導音管12はイヤピース13により覆われている。イヤホンマイク1は、イヤピース13を利用者の耳の外耳道内に挿入することにより、利用者の耳に装着される。この装着状態において、放音装置2は、携帯電話機からケーブル70を介して供給される受話音信号SRCVを音に変換し、変換した音を出力する。この音は、導音管12を通って外耳道内に放音される。放音装置2の構成については、本願発明との関連性が希薄であるため、詳細な説明を割愛する。収音装置3は、利用者の声帯から頭蓋骨を介して外耳道内に伝わる音(利用者の話声)を示す送話音信号SSNDをケーブル70を介して携帯電話機に出力する。送話音信号SSNDは、出力先の携帯電話機から通話相手の携帯電話機に送信される。以下、収音装置3の構成の詳細について説明する。
【0013】
収音装置3は、外耳道内における音を収音するコンデンサマイクロホン14を、このコンデンサマイクロホン14の出力信号を送話音信号SSNDとしてケーブル70に伝える外部配電基板15上に搭載したものである。図2(A)は、図1(A)における導音管12及び同管12内の収音装置3の拡大図である。図2(B)は、図1(A)におけるA−A’線及び図1(B)におけるB−B’線の断面図である。また、図3は、図2(B)における外部配電基板15を剥がした状態のコンデンサマイクロホン14を示す斜視図である。
【0014】
図2(A),図2(B),及び図3に示すように、コンデンサマイクロホン14は、幅W1(例えば、W1=2.9mm),厚さT1(例えば、T1=1.1mm),及び長さL1(例えば、L1=6.0mm)の寸法の直方体状をなしている。コンデンサマイクロホン14の外殻は内側が中空なパッケージ21により構成され、このパッケージ21内には2つの電気音響変換ダイ23及び24と1つのインピーダンス変換ダイ25がある。より詳細に説明すると、コンデンサマイクロホン14のパッケージ21は、一面が開放された箱状のトレイ部48とこのトレイ部48の開放された側を塞ぐカバー49とからなる。パッケージ21におけるカバー49と対向する底面71の中央には、長さL1方向に沿って離間した2つの音響孔26及び27がある。トレイ部48にカバー49が装着された状態において、パッケージ21の内部は中空であり、音響孔26及び27のみが空気の通り道となっている。図3に示すように、底面71の裏側の接合面72には、音響孔27から音響孔26を通り、パッケージ21における当該接合面72と交差する面の1つである端面97まで伸びる溝28が形成されている。この溝28は、パッケージ21の幅W1より十分に小さい幅WC(例えば、WC=0.25mm)とパッケージ21の厚さT1より十分に小さい深さDC(例えば、DC=0.15mm)を有している。
【0015】
パッケージ21内の底面71における音響孔26と重なる位置には電気音響変換ダイ23が接合されている。また、底面71におけるもう1つの音響孔27と重なる位置には電気音響変換ダイ24が接合されている。電気音響変換ダイ23は、静止電極32及び振動電極34と支持部30とからなる。電気音響変換ダイ24は、静止電極33及び振動電極35と支持部31とからなる。静止電極32及び33と振動電極34及び35は、ドープトシリコンなどを素材とする円盤状の電極である。支持部30は、静止電極32及び振動電極34を平行な姿勢で互いに向かい合うように支持する役割を果たす部材である。また、支持部31は、静止電極33及び振動電極35を平行な姿勢で互いに向かい合うように支持する役割を果たす部材である。
【0016】
より具体的に説明すると、支持部30及び31は、音響孔26及び27の直径とほぼ同じ直径の内周を持った環状を成している。支持部30及び31は、音響孔26及び27の縁からカバー49に向かって延在している。静止電極32は、支持部30におけるカバー49側の縁を覆うようにして支持部30に支持されている。静止電極33は、支持部31におけるカバー49側の縁を覆うようにして支持部31に支持されている。静止電極32及び33には複数の後方通孔が形成されている。振動電極34は、支持部30内における静止電極32よりも音響孔26側を塞ぐようにして支持部30に支持されている。振動電極35は、支持部31内における静止電極33よりも音響孔27側を塞ぐようにして支持部31に支持されている。
【0017】
電気音響変換ダイ23及び24において、静止電極32及び振動電極34間と静止電極33及び振動電極35間には厚さT1方向の僅かな隙間が空いている。そして、静止電極32及び振動電極34と静止電極33及び振動電極35の各々によりコンデンサが形成される。パッケージ21内は、振動電極34及び35により、音響孔26及び27の外側に連通する空間(音響空間SSという)と音響空間SSの反対側の気密な空間(背部空気室BCという)とに隔てられる。
【0018】
音響孔26は、当該音響孔26に伝わる音を静止電極32及び振動電極34に対して直交する方向(厚さT1方向)に導いて振動電極34に到達させる役割を果たす。また、音響孔27は、当該音響孔27に伝わる音を静止電極33及び振動電極35に対して直交する方向(厚さT1方向)に導いて振動電極35に到達させる役割を果たす。音響孔26及び27に導かれて振動電極34及び35に到達した音波は、振動電極34及び35を振動させる。振動電極34及び35が振動すると、静止電極32及び振動電極34間の隙間や静止電極33及び振動電極35間の隙間の大きさが変化し、静止電極32及び振動電極34の容量や静止電極33及び振動電極35の容量が変化する。この結果、静止電極32及び振動電極34と静止電極33及び振動電極35の容量変化は、振動電極34及び35に到達した音の波形に応じたものとなる。
【0019】
図2(B)において、底面71における電気音響変換ダイ23及び24の並び方向に沿って電気音響変換ダイ24から離れた位置にはインピーダンス変換ダイ25が配置されている。インピーダンス変換ダイ25には、静止電極32及び振動電極34からなるコンデンサと静止電極33及び振動電極35からなるコンデンサとが並列接続されている(接続状態は図示略)。インピーダンス変換ダイ25は、この並列接続された2個のコンデンサの容量変化に応じた電気信号を発生し、収音結果を示す信号として出力する。
【0020】
図2(A)及び図2(B)に示すように、外部配電基板15は、幅W2(W2=W1),厚さT2(T2<T1),及び長さL2(L2>L1)の寸法の板状をなしている。外部配電基板15におけるコンデンサマイクロホン14に対向する接合面73には、インピーダンス変換ダイ25から出力される電気信号を送話音信号SSNDとして携帯電話機に出力するための回路パターンが形成されている。
【0021】
図3に示すように、コンデンサマイクロホン14の接合面72における4隅の内側の4点と、接合面72における音響孔26及び27と溝28の縁の僅かに外側を包囲する部分には、半田40,41,42,43,及び44が配されており、この半田40,41,42,43,及び44の溶着によってコンデンサマイクロホン14及び外部配電基板15が接合されている。接合面72の4隅の内側の半田40,41,42,及び43は、コンデンサマイクロホン14の接合面72上の端子(不図示)と外部配電基板15の接合面73上の端子(不図示)を電気的に接続する役割を果たす。
【0022】
また、音響孔26及び27と溝28の縁の外側を包囲する部分の半田44は、当該半田44、接合面72の溝28、接合面72における当該半田44に囲まれた内側の部分、及び外部配電基板15の接合面73における当該半田44に囲まれた内側の部分とともに中空な導音経路45を形成する。導音経路45は、外部からパッケージ21の端面97側に到来する音(図2(B)の矢印方向に伝搬する音)を振動電極34,35及び静止電極32,33に対して平行な方向に沿って案内して音響孔26及び27に到達させる導音ガイドとしての役割を果たす経路である。そして、図2(A)及び図2(B)に示すように、収音装置3は、電気音響変換ダイ23及び24の振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向が導音管12の内壁面を向き、且つ導音経路45の出口が導音管12における音の入る側を向くような姿勢で導音管12内に収容される。
【0023】
以上説明した本実施形態によると、次の効果が得られる。
第1に、本実施形態の収音装置3では、電気音響変換ダイ23及び24とインピーダンス変換ダイ25とをパッケージ21の長さL1方向(すなわち、耳に対する挿入方向)に並べ、静止電極32及び振動電極34からなるコンデンサと静止電極33及び振動電極35からなるコンデンサを並列接続したものの容量変化を送話音信号SSNDとして取り出すようになっている。そして、パッケージ21の接合面72と外部配電基板15の接合面73の間の隙間に導音経路45が形成されている。パッケージ21の端面97側に到来する音(図2(B)の矢印方向に伝搬する音)は、この導音経路45によって、振動電極34,35及び静止電極32,33に対して平行な方向に沿って案内されて音響孔26及び27に到達する。よって、振動電極34及び35から音響孔26及び27に向かう方向が導音管12の内壁面を向き、且つ導音経路45の出口が導音管12における音の入る側を向くような姿勢で導音管12内に収容した場合でも、外耳道内から導音管12内に伝わる音を高感度に収音することができる。従って、イヤホンマイク1の導音管12における音の入る側から見た導音管12の断面積(図2(B)の矢印方向から見た導音管12の断面積)を大きくすることなく、収音の感度を高めることができる。
【0024】
第2に、本実施形態では、パッケージ21におけるカバー49と反対側の面71に音響孔26及び27を設けている。よって、音響孔26及び27をカバー49に設けたものよりも、背部空気室BCの容積を広くとることができる。従って、音響孔26及び27をカバー49に設けたものよりも高い感度及びS/Nで音を収音することができる。
第3に、本実施形態では、パッケージ21及び外部配電基板15間の隙間に導音経路45を形成するようにしたので、製造が容易であり、且つ、収音装置3全体の寸法を小さくすることができる。
【0025】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば、以下の通りである。
(1)上記実施形態において、パッケージ21における音響孔26及び27および電気音響変換ダイ23及び24の組の数を1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。
【0026】
(2)上記実施形態では、パッケージ21の底面71に音響孔26及び27と電気音響変換ダイ23及び24が設けられ、この底面71の裏側の接合面72に外部配電基板15の接合面73が接合されていた。しかし、パッケージ21のカバー49側に音響孔26及び27と電気音響変換ダイ23及び24を設け、カバー49における電気音響変換ダイ23及び24の設けられた面の裏側に外部配電基板15を接合し、カバー49と外部配電基板15との間の隙間に導音経路45を形成してもよい。
【0027】
(3)上記実施形態では、パッケージ21における底面71の裏側の面である接合面72に溝28が形成されていた。しかし、外部配電基板15の接合面73に、上記実施形態における溝28と同方向に延在する溝を設け、この接合面73の溝28の周囲を覆うように半田を配してもよい。また、上記実施形態では、コンデンサマイクロホン14の接合面72における4隅の内側の4点と接合面72における音響孔26及び27と溝28の縁の僅かに外側を包囲する部分に半田40,41,42,43,及び44が配されていた。しかし、4隅の半田40,41,42,43を別の位置に配してもよいし、溝28の縁の外側の半田44のみによってパッケージ21と外部配電基板15とを接合してもよい。要するに、パッケージ21の接合面72における少なくとも溝28を包囲する部分に半田が配され、接合面72がこの半田により外部配電基板15に接合されていればよい。
【0028】
(4)上記実施形態では、パッケージ21と外部配電基板15の間の隙間には、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の端面97に至る導音経路45が形成されていた。しかし、図4に示す収音装置3Aのように、音響孔26からパッケージ21の端面97に至る導音経路45と、音響孔27からパッケージ21における端面97と反対側の端面98に至る導音経路45’とを形成してもよい。この収音装置3Aでは、導音経路45及び45’が半田44及び44’によって各々封止され、導音経路45及び45’が空間的に隔てられている。この収音装置3Aでは、パッケージ21内における音響孔26を塞ぐ電気音響変換ダイ23が、パッケージ21の端面97側に到来する音(図4の矢印A方向に伝搬する音)を収音する。また、パッケージ21内における音響孔27を塞ぐ電気音響変換ダイ24が、パッケージ21の端面98側に到来する音(図4の矢印B方向に伝搬する音)を収音する。この収音装置3Aは、例えば、導音経路45の出口が導音管12における音の入る側(利用者の外耳道内の側)を向き、導音経路45’の出口がイヤホンマイク1のハウジング11の内部(利用者の耳の外と連通する空間の側)を向くような姿勢で導音管12内に収容される。これにより、利用者の声帯から頭蓋骨を経由して外耳道内を伝わる第1の音と、利用者の口から頬の周囲を経由して耳の外に伝わる第2の音を個別に収音し、第2の音の収音信号によって第1の音の収音信号を補正したものを送話音信号SSNDとする、といった制御が可能となる。
【0029】
(5)上記実施形態では、パッケージ21と外部配電基板15の間の隙間に導音経路45が形成されていた。しかし、図5に示す収音装置3Bのように、コンデンサマイクロホン14の外殻を収音装置3のものよりも大きな厚さT1”(T1”>T1)をもったパッケージ21”により形成し、このパッケージ21”内におけるカバー49と対向する面71と外側の面72の間に、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21”の端面97に至る導音経路45”を設けてもよい。
【0030】
(6)上記実施形態では、導音経路45は、パッケージ21の接合面72における音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の先の端面97まで延びる一直線状をなしていた。しかし、導音経路45の代わりに、2つの音響孔26及び27の各々と繋がる個別の導音経路を形成してもよいし、一直線状でない導音経路を形成してもよい。導音経路の態様としては、例えば、次のようなものがある。
【0031】
図6に示す第1の態様では、音響孔27から音響孔26の下を通ってパッケージ21の端面97に至る導音経路145が形成されている。この導音経路145における音響孔27から音響孔26までの区間の幅は音響孔27及び26の直径より僅かに大きくなっている。そして、音響孔26から端面97までの区間の幅は端面97に近づくに従って大きくなっている。
【0032】
図7に示す第2の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面97に至る導音経路245と音響孔27からパッケージ21の端面98(端面97の反対側の端面98)に至る導音経路245’とが形成されている。そして、導音経路245の幅は端面97に近づくに従って大きくなっており、導音経路245’の幅は端面98に近づくに従って大きくなっている。
【0033】
図8に示す第3の態様では、音響孔26から端面97に至る導音経路345と音響孔27から端面98に至る導音経路345’とが形成されている。導音経路345及び345’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。そして、導音経路345は、音響孔26から、端面97及び接合面72の両方に直交する2つの端面99及び100のうち一方の端面100と端面97との交差位置に向かって延在し、その交差位置に至る途中の位置で端面97側に屈曲している。また、導音経路345’は、音響孔27から、端面99及び100のうち他方の端面99と端面98との交差位置に向かって延在し、その交差位置に至る途中の位置で端面98側に屈曲している。
【0034】
図9に示す第4の態様では、音響孔26及び27の各々からパッケージ21の端面99に至る導音経路445及び445’が形成されている。導音経路445及び445’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。
【0035】
図10に示す第5の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面99に至る導音経路545と音響孔27からパッケージ21の端面100に至る導音経路545’とが形成されている。導音経路545及び545’の幅は音響孔26及び27の直径より僅かに大きくなっている。
【0036】
図11に示す第6の態様では、音響孔26からパッケージ21の端面99に至る導音経路645と音響孔27からパッケージ21の端面100に至る導音経路645’とが形成されている。導音経路645の幅は端面99に近づくに従って大きくなっており、導音経路645’の幅は端面100に近づくに従って大きくなっている。
【0037】
図12に示す第7の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路745が形成されている。導音経路745の幅は、音響孔26及び27間の距離(より具体的には、音響孔26における端面99と直交する2つの接線のうち端面97側の接線から音響孔27における端面99と直交する2つの接線のうち端面98側の接線までの距離)と同じである。
【0038】
図13に示す第8の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路845が形成されている。導音経路845の幅は端面99に近づくに従って大きくなっている。
【0039】
図14に示す第9の態様では、音響孔26及び27からパッケージ21の端面99に至る導音経路945が形成されている。導音経路945の幅は端面99に近づくに従って小さくなっている。
【符号の説明】
【0040】
1…イヤホンマイク、2…放音装置、3…収音装置、11…ハウジング、12…導音管、13…イヤピース、70…ケーブル、14…コンデンサマイクロホン、15…外部配電基板、21,52…パッケージ、23,24…電気音響変換ダイ、25…インピーダンス変換ダイ、26,27…音響孔、30,31…支持部、32,33…静止電極、34,35…振動電極、45,145,245,345,445,545,645,745,845,945…導音経路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側が中空のパッケージと、
互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極と静止電極とを有し、前記振動電極および静止電極間の容量変化を収音結果を示す電気信号として出力するコンデンサマイクロホンを具備し、
前記振動電極に対して直交する方向に音を案内して前記振動電極に音を到達させる音響孔を前記パッケージに形成するとともに、
外部から到来する音を前記振動電極および静止電極に対して平行な方向に沿って案内して前記音響孔内に到達させる中空な導音ガイドを形成したことを特徴とする収音装置。
【請求項2】
前記導音ガイドを前記パッケージと前記パッケージを搭載するための基板との間の隙間に形成したことを特徴とする請求項1に記載の収音装置。
【請求項3】
前記パッケージにおける前記音響孔が設けられた面に、当該音響孔から当該パッケージにおける音響孔が設けられた面と交差する面の1つに至る溝が形成されるとともに、当該音響孔が設けられた面における少なくとも前記溝の外側を包囲する部分が半田により前記基板に接合されており、当該半田、及び前記パッケージと前記基板における当該半田に囲まれた内側の部分により前記導音ガイドが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の収音装置。
【請求項4】
各々前記振動電極および静止電極からなる2個の電気音響変換ダイと、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極により構成される各コンデンサを並列接続したものの容量変化を電気信号に変換するインピーダンス変換ダイとを有し、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極が互いに平行であり、
前記インピーダンス変換ダイは、前記2個の電気音響変換ダイの並び方向に沿って配置されており、
前記パッケージは、前記2個の電気音響変換ダイの振動電極に音を案内する2個の音響孔を有し、
前記導音ガイドは、外部から到来する音を前記2個の音響孔内に到達させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の収音装置。
【請求項5】
各々前記振動電極および静止電極からなる2個の電気音響変換ダイと、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極により構成される各コンデンサの各容量変化を電気信号に各々変換するインピーダンス変換ダイとを有し、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極が互いに平行であり、
前記パッケージは、前記2個の電気音響変換ダイの振動電極に音を案内する2個の音響孔を有し、
前記導音ガイドは、外部から到来する音を前記2個の音響孔の一方に到達させる第1の導音ガイドと、外部から到来する音を前記第1の導音ガイドとは異なる方向に沿って案内して前記2個の音響孔の他方に到達させる第2の導音ガイドとからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の収音装置。
【請求項6】
当該パッケージの1つの面に音響孔が設けられた中空なパッケージと、
互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極および静止電極と、
前記振動電極および静止電極間の容量変化を電気信号に変換するインピーダンス変換ダイと
を有し、
前記パッケージにおける音響孔が設けられた面に、当該音響孔から当該パッケージにおける音響孔が設けられた面と交差する面の1つに向かって伸びる溝が形成されていることを特徴とするコンデンサマイクロホン。
【請求項1】
内側が中空のパッケージと、
互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極と静止電極とを有し、前記振動電極および静止電極間の容量変化を収音結果を示す電気信号として出力するコンデンサマイクロホンを具備し、
前記振動電極に対して直交する方向に音を案内して前記振動電極に音を到達させる音響孔を前記パッケージに形成するとともに、
外部から到来する音を前記振動電極および静止電極に対して平行な方向に沿って案内して前記音響孔内に到達させる中空な導音ガイドを形成したことを特徴とする収音装置。
【請求項2】
前記導音ガイドを前記パッケージと前記パッケージを搭載するための基板との間の隙間に形成したことを特徴とする請求項1に記載の収音装置。
【請求項3】
前記パッケージにおける前記音響孔が設けられた面に、当該音響孔から当該パッケージにおける音響孔が設けられた面と交差する面の1つに至る溝が形成されるとともに、当該音響孔が設けられた面における少なくとも前記溝の外側を包囲する部分が半田により前記基板に接合されており、当該半田、及び前記パッケージと前記基板における当該半田に囲まれた内側の部分により前記導音ガイドが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の収音装置。
【請求項4】
各々前記振動電極および静止電極からなる2個の電気音響変換ダイと、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極により構成される各コンデンサを並列接続したものの容量変化を電気信号に変換するインピーダンス変換ダイとを有し、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極が互いに平行であり、
前記インピーダンス変換ダイは、前記2個の電気音響変換ダイの並び方向に沿って配置されており、
前記パッケージは、前記2個の電気音響変換ダイの振動電極に音を案内する2個の音響孔を有し、
前記導音ガイドは、外部から到来する音を前記2個の音響孔内に到達させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の収音装置。
【請求項5】
各々前記振動電極および静止電極からなる2個の電気音響変換ダイと、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極により構成される各コンデンサの各容量変化を電気信号に各々変換するインピーダンス変換ダイとを有し、
前記2個の電気音響変換ダイの振動電極および静止電極が互いに平行であり、
前記パッケージは、前記2個の電気音響変換ダイの振動電極に音を案内する2個の音響孔を有し、
前記導音ガイドは、外部から到来する音を前記2個の音響孔の一方に到達させる第1の導音ガイドと、外部から到来する音を前記第1の導音ガイドとは異なる方向に沿って案内して前記2個の音響孔の他方に到達させる第2の導音ガイドとからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の収音装置。
【請求項6】
当該パッケージの1つの面に音響孔が設けられた中空なパッケージと、
互いに向き合って前記パッケージの内側に収容された板状の振動電極および静止電極と、
前記振動電極および静止電極間の容量変化を電気信号に変換するインピーダンス変換ダイと
を有し、
前記パッケージにおける音響孔が設けられた面に、当該音響孔から当該パッケージにおける音響孔が設けられた面と交差する面の1つに向かって伸びる溝が形成されていることを特徴とするコンデンサマイクロホン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−223324(P2011−223324A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90605(P2010−90605)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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