説明

取り外し可能な頭部サスペンションを備えるレスピレータシステム

顔面シール部分を備える折り畳み可能な頭部カバーアセンブリを備えるレスピレータシステムが開示される。レスピレータアセンブリは、頭部カバーアセンブリに取り付けられるバイザーアセンブリと、バイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられる頭部サスペンションシステムと、を更に備える。一方でバイザーアセンブリ及び頭部カバーアセンブリ、他方でサスペンションシステムは、これらを個別に保管及び/又は出荷できるようにするために、分離可能であり、かつ折り畳み可能である。頭部サスペンションシステムもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、レスピレータシステムに関する。より詳細には、本開示は、頭部カバーアセンブリと、頭部カバーアセンブリに取り付けられるバイザーアセンブリと、バイザーアセンブリに解放可能に取り付けられるサスペンションシステムと、を備えるレスピレータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
レスピレータシステムは、多くの場合、粉塵、煙気、蒸気、及び/又は気体を含有する環境の中でユーザが呼吸するのを助けるために使用される。レスピレータシステムは、多様な種類及び寸法で販売されており、軍隊、工業、及び一般人によって、様々な目的のために使用され得る。レスピレータシステムは、レスピレータシステムが着用される環境に適した、柔軟で可撓性のある材料を通常は含む、呼吸用フードとレスピレータの頭部カバーとを非限定的に含む。レスピレータシステムには、典型的には、バイザー又はフェイスシールドが含まれ、これらは、周囲環境の実質的に無制限の適度な視野をユーザに提供するための任意の好適な構成を有することができる。
【0003】
多くの一般的なレスピレータシステムは、フードの内部に取り付けられる頭部サスペンションシステムを用いて、ユーザの頭部に装着される。バイザーを支持する頭部サスペンションシステムは、典型的には、フードの内部の様々な場所に縫い合わされることで、可撓性フードに固定されて保持される。レスピレータシステムは、典型的には、周囲の外部気体空間からユーザの呼吸ゾーン又は内部気体空間を分離するシェルを備える。呼吸ゾーンは、シェルと着用者の顔との間に位置し、典型的な頭部カバーでは、シェルは、少なくとも頭部カバーアセンブリとバイザーアセンブリとによって画定され得る。送気レスピレータシステムでは、給気タンクから、又は空気ろ過器を介して周囲空気を推進する動力空気源から、清浄な空気が内部気体空間の中へ、通常はホースを用いて圧入される。着用者はこの空気を吸い込んで、それを呼吸ゾーンの中に吐き戻す。この呼気は、呼吸ゾーンに圧入された余分な清浄空気とともに、顔面シールの中の開口部を通って、又は任意のその他の好適な経路を通って、呼吸ゾーンから出ていくことができる。前者のケースでは、通常内部気体空間内に発生する正圧は、典型的には、汚染物質が開口部を通って内部気体空間に入るのを防止する。
【0004】
頭部カバーを使用するレスピレータシステムの既知の構成は、頭部カバーに固着された頭部ハーネスを含む。したがって、このようなレスピレータシステムは、ユニットとして保管及び/又は出荷されなければならず、その結果、追加の保管及び出荷コストがかかる。更に、バイザー又は頭部カバーの材料等の構成要素の1つ以上が損傷、ないしは別の方法で使用不能になった場合、レスピレータシステム全部を破棄しなければならない場合があり、又は損傷を受けていない構成要素の回収は、比較的厄介なプロセスになる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、この分野における、特に、レスピレータシステムの構成要素を個別に保管及び/又は出荷するために、レスピレータシステムの構成要素を分離しかつ折り畳むことができるといった観点からの改善を提供する、という継続的な要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの例示の実施形態において、本開示は、顔面シール部分を含む折り畳み可能な頭部カバーアセンブリを備えるレスピレータシステムを提供する。レスピレータシステムは、頭部カバーアセンブリに取り付けられるバイザーアセンブリを更に備える。頭部サスペンションシステムは、バイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられる。
【0007】
別の例示の実施形態において、本開示は、レスピレータシステムのバイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられるように適合された頭部サスペンションシステムを提供する。レスピレータシステムは、折り畳み可能な頭部カバーアセンブリを備える。頭部サスペンションシステムは、着用者の頭部に装着されるように適合されたヘッドバンド部材と、それぞれがバイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられるように構成された少なくとも2つの解放機構と、を備える。広げられた状態の頭部サスペンションシステムは、概ね平面形状を形成する。
【0008】
添付の図面と併せて、本開示の上記の態様及びその他の特長について詳細に説明するが、添付図面では、いくつかの図面にわたって、同じ構造体を示すために同じ参照番号を用いている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
開示される主題は、添付図面を参照して更に説明され、同様の構造は種々の図にわたって同様の参照番号によって示される。
【図1】本開示に従って構築されたレスピレータシステムの1つの例示の実施形態の概略透視図。
【図2】例示の流体継手構造の透視分解図。
【図3】本開示の実施形態に従って作製された、組み立てられた頭部サスペンションシステムの前側斜視図。
【図4】本開示の実施形態に従って作製された、分解されかつ広げられた頭部サスペンションシステムの平面図。
【図5】本開示の一実施形態による、頭部サスペンションシステムが除去された状態の、折り畳まれたバイザーアセンブリ及び頭部カバーアセンブリの透視図。
【図6A】本開示による例示の解放機構の対向側部の逆転した図を示す拡大分解斜視図。
【図6B】本開示による例示の解放機構の対向側部の逆転した図を示す拡大分解斜視図。
【図7】本開示による解放機構の別の例示の実施形態を示す拡大分解斜視図。
【図8】本開示のレスピレータシステムの部分拡大透視図。
【図9】本開示の実施形態による、頭部サスペンションシステムが除去された状態の、囲い板を備える、折り畳まれたバイザーアセンブリ及び頭部カバーアセンブリの透視図。
【0010】
上記の図面は、開示される主題の1以上の実施形態を記載するが、他の実施形態もまた開示の中で述べられるように企図される。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、既知のレスピレータシステムの利益に勝る利益を提供する。例えば、本開示は、組み立てられて使用される際の呼吸ゾーンの一体性を依然として維持しつつ、システム構成要素をコンパクトで比較的平面形状に比較的簡単に組み立て及び分解ができる頭部サスペンションシステム、を有するレスピレータシステムを提供する。
【0012】
用語「a」、「an」、及び「the」は、1つ以上の記載された要素と互換的に用いられる。開示する物品の様々な要素の位置について、「最上部の」、「底部」などの配向の語を使用することによって、水平に配置させた本体部分に対する要素の相対位置を指す。開示された物品が、その製造中又は製造後に、空間内のいずれかの具体的な配向を有することを意図しない。
【0013】
図1は、出荷用に比較的容易に比較的平面形状に分解するのを容易にし、またその一方で、組み立てられて使用される際に、レスピレータシステムの一体性を維持することを可能とする、という本開示の原理に従って構成された、レスピレータシステム10の例示の実施形態を示す。
【0014】
本開示の1つの例示の実施形態では、分離可能及び折り畳み可能であることによって折り畳まれ、かつ別個の容器に入れて出荷することができる主要構成要素を有する、レスピレータシステム10を提供することができる。図1に示されるように、レスピレータシステム10は、頭部カバーアセンブリ12と、頭部サスペンションシステム14と、バイザーアセンブリ16と、空気供給システム18と、を備えることができる。1つの例示の実施形態において、本開示は、空気浄化要素を通して周囲空気をレスピレータシステムの吸気口開口部24まで押し進める送風機を有する、電動ファン付き空気清浄レスピレータ(PAPR: powered air purifying respirator)システムを使用する、レスピレータシステムを目的とする。しかしながら、本開示はこれに限定されず、負圧システムを含むがこれに限定されない任意のその他の好適な給気システムを含むことができる。他の代表的な給気システムは、自給式呼吸器(SCBA: self contained breathing apparatus)等の任意の好適な送気システム又は圧縮空気システムを非限定的に含むことができる。
【0015】
頭部カバーアセンブリ12及びバイザーアセンブリ16は、頭部サスペンションシステム14を用いてユーザの頭部に装着され得る。頭部カバーアセンブリ12及びバイザーアセンブリ16は、呼吸ゾーン又は内部気体空間を周囲の外部気体空間から分離するシェルを形成することができる。バイザーアセンブリ16は、プラスチック材料などの任意の好適な透明な材料で作製されてよい透明部材を備える。好ましくは、バイザーは、例えば、図1に示されるように、レスピレータシステムが組み立てられると、曲げられて概ね円筒面を形成することができるように、及び、例えば、図5及び図9に示されるように、頭部サスペンションシステムが除去されると、平たくされて概ね平面形状を形成することができるように、剛性かつ可撓性である。ポリエステル又はアセテートを使用してバイザーを作製してもよい。バイザーアセンブリ16は、ユーザの目の前に配置される透明性の高い部分を含んでもよく、及び/又は視界を制限する部分的に透明な部分を有してもよい。バイザーアセンブリ16はまた、スプラッシュハザードに対する防御を提供するように、及び/又は着用者に特定の視界を提供するように、構成されてもよい。特定のバイザーアセンブリが図示されているが、特定のレスピレータシステムの使用と整合性がとれるその他の好適な種類のバイザーアセンブリを提供することが可能である。
【0016】
最初に、給気システム80と組み合わせて使用するように適合され得る頭部カバーアセンブリ12の1つの例示の実施形態を参照する。頭部カバーアセンブリ12は、頭部カバー部材22と顔面シール部分40とを備えてもよい。例示の頭部カバー部材22は、ユーザの頭部及び耳の上及び周囲に被嵌するように構成される。その他の頭部カバー部材は、ユーザの耳、並びに、場合によっては、更には着用者の首及び肩、に対する適用範囲を提供するように構成されてもよい。そのような追加の適用範囲は、ユーザの首及び肩の上に延在する囲い板15(図9に示される)によって提供されてもよい。頭部カバー部材22は、少なくとも部分的に、意図される目的に適用可能でありかつ好適であり得る、当該技術分野において既知である任意の好適な可撓性材料タイプで作製されてもよい。例えば、レスピレータの頭部カバー部材22は、製薬産業、医療産業、及び軍事産業、並びに任意のその他の関連産業において使用することができ、及び任意のその他の好適な目的のために使用することができる。本開示は、折り畳むことが可能な、及び好ましくは、出荷に好適な比較的平面形状に折り畳むことが可能な、頭部カバー部材22を目的とする。例示の頭部カバー部材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等で製造されたウェブのような不織布材料、及び、ナイロン、コーティングされたナイロン等のような織材料を、非限定的に含んでもよい。
【0017】
頭部カバー部材22は、給気システム80と協働する吸気口開口部24と、ユーザの頭部を受容する頭部開口部26と、バイザーアセンブリ16を収容するバイザー開口部28と備えてもよい。バイザーアセンブリ16は、例えば、縫合、溶接、熱融着、結合等によって、開口部28に沿って頭部カバーアセンブリ12に、着脱自在に又は恒久的に取り付けられてもよい。囲い板15(図9に示される)は、例えば、頭部開口部に沿って取り付けられることによって、頭部カバーアセンブリに含まれてもよい。吸気口開口部24は、頭部カバー部材22の後ろに設置されてもよい。空気吸気口の流体継手構造30(図2に示される)はホース31に接続可能であってもよく、順次、給気システム80に接続されてもよい。給気システム80は、外気をろ過して、濾過した空気を頭部カバーアセンブリの内部に移動させる濾過システム(図示せず)を含んでもよい。これは、着用者が、自発的な呼吸に適さない可能性がある外部の空気と接触するのを防ぐ。
【0018】
例示の実施形態では、レスピレータシステムシェルの吸気口開口部24を通って入る空気を、呼吸ゾーンの中に通過させることができる。図1に図示される例示の実施形態では、吸気口24を通って入る空気は、シェル(ここでは、頭部カバーアセンブリ12とバイザーアセンブリ16とによって画定されている)とユーザの頭部との間を循環することができる。より詳細には、本開示の典型的な実施形態は、ユーザの頭部の周囲に配置される、空気を方向付けるダクトを含まない。空気を方向付けるダクトの例は、入口開口部24に連結される吸気口と、ユーザの顔付近に配置される1つ以上の排気口と、を有する、空気を方向付けるマニホルドである。空気を方向付けるダクトのその他の例は、互いに縫合されてもよい材料の2枚の可撓性シートの間を空気が通過するような、剛性の、部分的に剛性の、又は可撓性の、空気を方向付けるマニホルドである。
【0019】
ここで図2を参照すると、流体継手構造30は、吸気口開口部24の中に挿入されると、頭部カバー部材22の内部から突出するように適合され得る管部分34を有する流体カップラーホースコネクタ32と、リング部分33と、を含んでもよい。流体継手構造30は、スナップ嵌め接続、ネジ接続等によってホース(図示せず)に接続されるように適合されてもよい。固定カラー36は、管部分34を収容するための中央開口部を有する。管部分34の上の周辺隆起部37は、固定カラー36をホースコネクタ32及び頭部カバー部材22に着脱自在に取り付けるために、固定カラー36上のバイアスされた指留め38と解放可能に協働するように適合されていてもよい。ホースコネクタ32が固定カラー36に解放可能に係合されると、吸気口開口部24近傍に配置される頭部カバー部材22の材料は、固定カラー36とリング部分33との間に挟まれてもよいことは理解されよう。
【0020】
1つの例示の実施形態において、固定カラー36を、管部分34の上でかつリング部分33に接触させて嵌合させるために、指留め38を、管部分の開口部の中心軸に対して内向きに押圧する。したがって、内部の係止縁部39は、中心軸から離れるように旋回する。固定カラー36を管部分の上に定置した後に、押圧力を解除することで、指留め38のそれぞれに備わる固有のバイアスが、係止縁部39を隆起部37と係合するように動かす。したがって、固定カラー36はホースコネクタ32にしっかりと接合又は取り付けられ、かつ、固定カラー36とホースコネクタ32との間に頭部カバー部材22の材料が解放可能に固定される。有利には、前記接続は、レスピレータシステムの組み立て、並びに分解の容易さを高める。本開示は、外部源からレスピレータアセンブリ10の内部へと呼吸可能な空気を供給するための、他の種類の連結装置を想定している事は認識されよう。
【0021】
ここで図1を参照すると、頭部カバーアセンブリ12は顔面シール部分40を更に含み、この顔面シール部分40は、着用者の顔を嵌め込んで、呼吸ゾーンを外部環境から分離するのを助けるために、頭部開口部26に隣接して配置されてもよい。顔面シール40は、頭部カバーアセンブリ12の中に縫い合わされてもよい。好ましくは、顔面シール40は、ユーザの皮膚と接触させる必要があるので、軟質材料で作製される。例示の実施形態では、顔面シール部分40の外側周辺40aは、少なくとも着用者の口及び鼻の周囲に配置されるように構成される。一実施形態において、顔面シール40の外側周辺40aは、少なくとも一部がユーザの顎先の下に配置される。
【0022】
顔面シールは、ユーザが話すときにユーザの顎と一緒に動くことができるように、少なくとも部分的に弾性であってもよい。弾性特性はまた、顔面シール部分40がユーザの顔の周囲にしっかりとフィットするのを可能にする。典型的な実施形態では、顔面シール部分40は、顔面シール40の周辺40aに沿って配置され、かつ、空気が呼吸ゾーンの中に漏れるのを低減する又は最小限にする少なくともある程度の封止の有効性又は一体性によって特徴づけられる、伸縮部材を有する。例えば、顔面シール部分40は、スパンデックス(Spandex)(商標)等などの任意の好適な材料から作製されることができる弾性バンド(図示せず)を含んでもよい。あるいは、顔面シール部分40自体が弾性特性を有していてもよい。着用者の頭部の周囲へのフィットを改善するために、頭部カバー部材22に伸縮部材41が提供されてもよい。
【0023】
顔面シール部分40は、底部44に1つ以上の開口部42を含んでもよい。底部44の開口部42は、頭部カバー部材に供給される呼吸可能な空気が、吐き出す際に出て行けるようにする。別の例示の実施形態では、1つ以上の開口部42の替わりに、底部44は、空気が流出できるようにする比較的空気透過性の材料を含んでもよい。空気をレスピレータシステム10の外へ出すためのその他のアプローチを、本開示の例示の実施形態と共に用いることが可能である。
【0024】
いくつかの例示の実施形態では、頭部カバーアセンブリ12は、頭部カバーアセンブリ12に取り付けられる1つ以上のタブ25を備える。好ましくは、頭部カバーアセンブリ12は、レスピレータシステム10の内部に配置され、かつ頭部カバーアセンブリ12の対向側部に取り付けられる、一対のタブ25を備える。1つの例示の実施形態では、図1に図示されるように、タブ25は、顔面シール40の対向側部のそれぞれ(即ち、ユーザの顔に対して左側及び右側)に取り付けられる。タブ25は、頭部カバー部材及び/又は顔面シールと同じ材料から形成されてもよい。1つの例示の実施形態では、1つ以上のタブは、少なくともある程度弾性である。図示された実施形態では、タブ25のそれぞれは、例えば、頭部カバーアセンブリ12を頭部サスペンションシステム14に効果的に解放式に取り付けるために、レスピレータシステム10の中に内向きに延出し、かつ頭部サスペンションシステム14と協働するように構成される。
【0025】
図1、図3、及び図4に示されるように、例示の実施形態における頭部サスペンションシステム14は、細長い部材などのヘッドバンド部材50を備えてもよい。ヘッドバンド部材50は、バイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられるように適合されてもよく、任意に、頭部カバーアセンブリ内部にも着脱自在に取り付けられるように適合されてもよい。結果として、レスピレータシステム10の主要構成要素を組み立てることができ、かつ分解することができる。また、主要構成要素の折り畳み可能な又は折り畳み可能でない性質に起因して、一方では頭部サスペンション14、及び他方ではバイザーアセンブリ16を備える頭部カバーアセンブリ12を、梱包容量を低減するために比較的平面形状に折り畳むことができ、これにより、出荷における、特に、比較的大量に出荷する場合の省力を提供する。例えば、a)頭部サスペンションシステム14を組み込んだ頭部カバーアセンブリ12及びバイザーアセンブリ16を示す図1、b)バイザーアセンブリ16及び頭部カバーアセンブリ12から取り外された頭部サスペンションシステム14を示す図3、c)広げられた状態で概ね平面形状を形成している頭部サスペンションシステム14を示す図4、及びd)折り畳まれている頭部カバーアセンブリ12、及び平坦にされて概ね平面形状を形成しているバイザーアセンブリ16を示す図5、を比較して頂きたい。
【0026】
更に、本開示に従って構成された頭部サスペンションは、成型によるなど、廉価なやり方で製造することが可能なワンピース一体構造であることができる。例示の実施形態に関連して単一構造を記載したが、本開示は、この構造に複数ピースを使用することができるとも思料する。ヘッドバンド部材50は、ユーザの頭部にぴったり一致するように湾曲していてもよく、頭部サスペンションシステム14は、三次元の頭部架台構造(図3)に形成されてもよい。
【0027】
ここで図3を参照すると、例示の頭部サスペンションシステム14は、第1及び第2の解放式の固定部分54を備える。解放式の固定部分54のそれぞれは、通常、細長いヘッドバンド部材50の端部に隣接して設置される解放機構58を備え、ウイングセグメント78によって解放機構58に接続されてもよい。好ましい実施形態では、両方の解放機構58は同一であるので、それらの構成及び機能を理解するには、一方の説明で十分であるとみなすものとする。解放機構58は、上記のやり方で、ヘッドバンド部材50がバイザーアセンブリ16の側面に着脱自在に取り付けられるのを可能とする。
【0028】
図6A及び図6Bは、横方向又は側部突出部などのバイザーの受容部に着脱自在に取り付けられることができる、例示の解放機構58を図示している。例示の実施形態では、一対の解放機構58のそれぞれは、バイザーアセンブリ16の対向側部に(例えば、ユーザの顔に対して左側及び右側に)配置される一対の横方向突出部つまりタブ60などの、バイザーアセンブリの一対の受容部の対応する一方に着脱自在に取り付けられるように構成される。受容部はバイザーから突出している必要はなく、その代わりに、任意の好適な構造を有してもよいことは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0029】
図6A及び図6Bで見ると、例示の解放機構58は、ここでは概ね矩形形状を有する基部71と、ラッチ機構70とを備えてもよい。例示の解放機構58は、傾斜面79と、少なくとも1つの保持部材76aであるが、好ましくは一対の保持部材76a及び76bとを備えてもよい。傾斜面79は、1つ以上の突出部77を備えてもよい。この1つ以上の突出部77は、受容部を解放機構、特にラッチ機構70ときつい嵌合関係に付勢するようなやり方で、バイザーアセンブリの受容部、例えば突出部60と摩擦によって係合するように、適合される。
【0030】
傾斜面79及び保持部材76aは互いに対して配置されて、位置決め溝又はチャネル72aを画定することができる。位置決めチャネル72aは、適切に位置決めするために密着かつ固定するやり方で、側部突出部、つまりタブ60の縁部62aを摺動自在に受容及び保持するように適合される。同様に、傾斜面79及び保持部材76bは互いに対して配置されて、位置決め溝又はチャネル72bを画定することができる。位置決めチャネル72bは、適切に位置決めするために密着かつ固定するやり方で、側部突出部、つまりタブ60の縁部62aを摺動自在に受容及び保持するように適合される。位置決めチャネル72a及び72bはまた、バイザーアセンブリ16に対する頭部サスペンションアセンブリ14の変位(回転変位及び/又は直線変位等)を阻止する傾向にある。
【0031】
ラッチ機構70は、通常は図示された位置にバイアスされるように適合されてもよい。1つの例示の実施形態では、ラッチ機構70は、傾斜面79に向けて配置されるラッチ突出部74を備える。ラッチ突出部74は、バイザーアセンブリの受容部、例えば突出部60に形成された開口部64の中に付勢され得るように構成され、かつ寸法設定される。ラッチ突出部74が開口部64と係合すると、頭部サスペンションシステム14に対するバイザーアセンブリ16の直線変位が軽減し得る。有利には、これらアセンブリは、使用中は適切な位置合せに維持することができ、所望するときに分離することができる。
【0032】
ラッチ機構70は、ラッチ突出部74を開口部64から解放するために、ユーザによって押圧されるように構成されたレバー75を更に含む。1つの例示の実施形態では、ラッチ機構70は、レバー75が押圧されるとラッチ突出部74が開口部64から離れて旋回するのを容易にする、リビングヒンジを形成する弾力材を含んでもよい。通常、ラッチ機構70を分離するために、ユーザはレバー75を下向きに押圧して、その他端を上向きに旋回させる。本開示は、記載の例示の実施形態の代わりに、様々な種類の解放可能な固定機構又はラッチ機構を使用することができることを想定している。
【0033】
図7は、解放機構500の別の例示の実施形態を図示している。この実施形態では、バイザー解放機構500は、傾斜面502と隆起部504とを備える。隆起部504は、傾斜面502の周囲の少なくとも一部分を包囲するように配置されてもよい。開口506は傾斜面502に形成される。カバー部材508は傾斜面502に接続され、好ましくはカバー部材508はヒンジにより接続される。突出部510は、バイザー受容部が傾斜面502とカバー部材508との間に配置されるように、カバーが閉じた又は覆う位置に移動された場合に、バイザー受容領域の開口部64と協働するように、カバー部材508の上に配置される。この構成は、他の例示の実施形態と同様に、構成要素の互いに対する変位を阻止することを意図している。
【0034】
図3及び図4を更に参照すると、バイザー解放機構58のそれぞれは、折り畳み軸180に関して折り畳まれる(図3)又は広げられる(図4)ことができる、対応するウイングセグメント78に装着されてもよい。折り畳み軸180は、例えば、リビングヒンジタイプの接続部によって画定され得る。リビングヒンジによって折り畳みが達成されたように図示されているが、他の好適なヒンジタイプの構成体を使用してもよい。図4に示されるようにウイングセグメント78が広げられた状態で、頭部サスペンションシステム14全体は、概ね平面形状を形成することができる。頭部サスペンションシステムをバイザーアセンブリに接合することが望ましい場合は、ウイングセグメント78がヘッドバンド部材50と係合関係になるまで、折り畳み軸180に沿ってウイングセグメント78を折り畳むことができる。係合関係の一例は、ウイングセグメント78又はヘッドバンド部材50の一方に開口部84を設けることによって達成することができ、この開口部は、ウイングセグメント78又はヘッドバンド部材50の他の一方に形成される突起86をその中に受容することができる。
【0035】
頭部サスペンションシステム14は、頭部架台構造の形成を容易にするためにヘッドバンド部材50に接続される、92、96のようなストラップを更に備えてもよい。ストラップ96は、任意の好適なやり方でストラップ92の上の締結バックル94と協働する、複数の隆起部98を備えてもよい。頭部サスペンションシステム14は、図示のようにヘッドバンド部材50に接続される湾曲したストラップ102、106を更に備えてもよい。1つの例示の実施形態では、ストラップ102、106のそれぞれは、その中に形成される一対のL字形ブラケット104、108を有してもよい。L字形ブラケット104及び108は、ストラップ92及び96の対応する一方をその中に受容するように適合される。ストラップ92及び96がL字形ブラケット104及び108と協働することで、ユーザの頭部に頭部サスペンションシステムを調整可能に固定するためのアプローチがユーザに提供される。頭部サスペンションシステムの特定の構成が図示されているが、本開示は、いくつかの例示の実施形態ではストラップを使用しないこと、又はストラップに加えて、又はストラップに変えて架台を使用し得ることを想定している。
【0036】
図4は、頭部サスペンションシステム14が、一対の離間した保持部材110などの1つ以上の保持部材を更に備えることができることを示している。この1つ以上の保持部材110は、例えば、頭部カバー部材22を頭部サスペンションシステム14に着脱自在に取り付けるために、ヘッドバンド部材50の上に設けられてもよい。1つの例示の実施形態では、保持部材110は、それぞれ、ペグ210と協働する。より詳細には、各保持部材は、そこを通してペグ210を受容するように構成された開口部112を形成する可撓性壁要素113を有してもよい。したがって、この例示の実施形態の組み立てられた構成では、ペグ210はタブ25の開口部(図示せず)を通って、並びに保持部材110の開口部112を通って延出する。ペグ210は、タブ25を保持部材110に対して固定する拡張したセグメント210aを、その一端に有する。ペグ210は、更に、ペグが保持部材110に固定されるようにする拡張した部分210bを、その他端に更に有する。保持要素110及びペグ210は図のような寸法及び構成を有するが、他の寸法及び構成を使用することができることは理解されよう。頭部カバーアセンブリ12又は顔面シール部分40を頭部サスペンションシステム14に着脱自在に固定するために、様々な機構を用いることが可能であることが理解されるであろう。また、頭部カバー部材を頭部サスペンションシステムに解放可能に接合するために、フックとループ、ボタンとボタンホール等のような、その他の締結又は保持機構を使用することが可能である。
【0037】
当業者であれば、特許請求の範囲で示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の原理に従って多種多様なその他の配列を容易に考案できることは理解されるであろう。本開示の方法及びシステムを、特定の例示的な実施形態を参照しながら説明してきたが、本開示の趣旨と範囲から逸脱しない変更と修正が可能であることは当業者により容易に理解され得るところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面シール部分を備える折り畳み可能な頭部カバーアセンブリと、
該頭部カバーアセンブリに取り付けられるバイザーアセンブリと、
該バイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられる頭部サスペンションシステムと、
を備えるレスピレータシステム。
【請求項2】
前記顔面シール部分の外側周辺は、少なくとも一部がユーザの顎先の下に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バイザーアセンブリが、前記バイザーアセンブリの対向する側面上に位置決めされる少なくとも2つの受容領域を含み、前記頭部サスペンションシステムが少なくとも2つの解放機構を含み、該解放機構のそれぞれが該受容領域の対応する一方に解放可能に付着する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記頭部サスペンションシステムがヘッドバンド部材を備え、前記各解放機構が該ヘッドバンド部材に対して折り畳み可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記受容領域のそれぞれが、タブと、該タブの中の開口部とを備え、前記解放機構のそれぞれが、対応する開口部と係合するように構成される突起を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記解放機構が、前記対応するタブの縁部を摺動自在に受容するように適合された、少なくとも1つのチャネルを有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記頭部サスペンションシステムが前記頭部カバーアセンブリに解放可能に固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記頭部サスペンションシステムが一対の保持部材を備え、前記頭部カバーアセンブリが一対のタブを備え、各タブは対応する保持部材に解放可能に固定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記頭部サスペンションシステムが、前記頭部サスペンションシステムを着用者の頭部の寸法に調整することが可能な、少なくとも1つの調整ストラップを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記頭部サスペンションシステムがワンピース構造である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記頭部カバーアセンブリに取り付けられる囲い板を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記頭部カバー部材に着脱自在に取り付けられる流体継手構造を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
レスピレータシステムのバイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられるように適合された頭部サスペンションシステムであって、該レスピレータシステムは折り畳み可能な頭部カバーアセンブリを含み、該頭部サスペンションシステムは、着用者の頭部に装着されるように適合されたヘッドバンド部材と、それぞれが該バイザーアセンブリに着脱自在に取り付けられるように構成された少なくとも2つの解放機構と、を備え、広げられた状態の該頭部サスペンションシステムは概ね平面形状を形成する、頭部サスペンションシステム。
【請求項14】
前記頭部カバーアセンブリをそこに解放可能に固定するように構成された少なくとも1つの保持部材を更に備える、請求項13に記載の頭部サスペンションシステム。
【請求項15】
前記頭部サスペンションシステムが、開口部を形成する可撓性壁要素を有する一対の保持部材を備える、請求項14に記載の頭部サスペンションシステム。
【請求項16】
前記頭部サスペンションシステムが一対のウイングセグメントを更に備え、該ウイングセグメントのそれぞれが対応する解放機構を前記ヘッドバンドに接続し、該ウイングセグメントがリビングヒンジによって前記ヘッドバンド要素に対して折り畳み可能である、請求項13に記載の頭部サスペンションシステム。
【請求項17】
前記頭部サスペンションシステムがワンピース構造である、請求項13に記載の頭部サスペンションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−504787(P2011−504787A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536035(P2010−536035)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081280
【国際公開番号】WO2009/070403
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】