取引処理装置
【課題】液体が排水路にたまりにくくし、信頼性を向上させた取引処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23、紙幣取出口3aが設けられている。シャッタ13aは、紙幣貯留部13の上方に配置されている。シャッタ13aは、紙幣取出口3aの開位置と閉位置との間でスライドする。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aは、後端の辺を除く各辺に沿って設けられているパッキン20〜22に当接する。また、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、その先端部は、排水溝23の上方に位置している。
【解決手段】紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23、紙幣取出口3aが設けられている。シャッタ13aは、紙幣貯留部13の上方に配置されている。シャッタ13aは、紙幣取出口3aの開位置と閉位置との間でスライドする。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aは、後端の辺を除く各辺に沿って設けられているパッキン20〜22に当接する。また、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、その先端部は、排水溝23の上方に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が行う入力操作に応じて、入金取引、出金取引、振込取引等の取引を処理する取引処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入金取引、出金取引、振込取引等の各種取引を行うことができる現金自動預け払い機(以下、単にATMと称す。)がある。ATMは、出金貨幣を取り出す貨幣取出口等を備えた正面パネルが装置前面に設けられている。貨幣取出口は、出金貨幣を一時的に貯留する貨幣貯留部の上方に設けられている。また、シャッタが貨幣取出口に設けられている。ATMは、取引処理の状態に応じてシャッタをスライドさせ、貨幣取出口の開閉を行っている。
【0003】
こうしたATMは、屋外に設置されることがあり、雨が降ると、降った雨水がシャッタにたまる。シャッタにたまった雨水が、貨幣貯留部や装置内部に流れ込むと、貨幣搬送用のローラが濡れて紙幣搬送性能が低下してしまったり、電気部品の破損が起こったり、装置内部の鉄部品に錆が発生してしまったりする虞がある。
【0004】
また、屋内に設置される場合でも、利用者が清涼飲料水等の液体をシャッタにこぼし、こぼした液体が上述の問題を引き起こす虞があった。そのため、特許文献1で見られるように、シャッタにたまった雨水や清涼飲料水等の液体が装置内部や貨幣貯留部に流れこまないようにした構成が提案されている。
【0005】
特許文献1では、装置内部に排水路を設けている。液体がこの排水路に流れ込むことで、シャッタ上にたまらないようにしている。具体的には、シャッタが貨幣取出口を閉じた位置に位置しているとき、その下辺に沿って排水路を設けている。このとき、シャッタの下辺と貨幣取出口との間には隙間がある。液体はシャッタ上面からこの隙間を通り排水路に流れ込むので、シャッタ上に液体がたまらない。
【特許文献1】特開2003−303366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されている構成では、この隙間から塵や埃も排水路に入り込む。この入り込んだ塵や埃によって、排水路が詰まり、シャッタ上から流れ込んだ液体が排水路にたまってしまう。たまった液体が装置内部や貨幣貯留部に流れ込んでしまうと、上述した問題が起こる虞があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は液体が排水溝にたまりにくくし、信頼性を向上させた取引処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の通りである。
【0009】
出金貨幣貯留部は、その上面に取出口が設けられている。また、放出する出金貨幣を貯留する。
【0010】
開閉制御部は、出金貨幣貯留部の取出口の上方に位置するシャッタを開位置と閉位置との間でスライドさせ、出金貨幣貯留部の取出口を開閉する。このシャッタの形状は、例えば、矩形形状や後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状(例えば、台形や三角形)である。また、シャッタは、弾性体に当接する部位に溝が設けられていても良い。
【0011】
排水溝は、出金貨幣貯留部の外側に設けられている。シャッタが閉位置に位置しているとき、排水溝の上方にシャッタの先端部が位置する。
【0012】
弾性体は、シャッタが閉位置に位置しているとき、シャッタの周囲に沿って当接する位置に設けられている。弾性体は、例えば、シャッタが閉位置にあるとき、その後端の辺を除く各辺に沿って当接する位置に設けられていれば良い。また、弾性体は、シャッタが当接する辺の角部に隙間が設けられていても良い。
【0013】
こうすることにより、シャッタが取出口を閉じた閉位置にあるとき、塵や埃が排水溝に入りにくくなり、排水溝の目詰まりが起こりにくくなる。そのため、排水溝に液体がたまりにくくなり、信頼性が向上する。
【0014】
また、例えば、シャッタを閉位置から開位置までスライドさせるとき、所定の位置で一時停止させても良い。この一時停止させる時間は、例えば、外部から入力された降水量に係る情報を受け付け、この情報に基づいて決定すれば良い。また、シャッタを開するとき、前回シャッタが閉位置に来たときからの経過時間により、決定しても良い。
【0015】
こうすることにより、シャッタ上にたまった液体は、一時停止位置で排水溝に流れ込む。排水溝に塵や埃が入り込んでいても、液体により洗い流されるため、排水溝がつまりにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、排水溝に液体がたまりにくくなり、信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る取引処理装置の実施形態について説明する。ここでは、現金自動預け払い機(以下、単にATMと称す。)を例にして説明する。なお、以下では、断面図において、その断面表記を省略している。
【0018】
図1は、このATMの外観を示す概略図であり、図2は、ATMの主要部の構成を示すブロック図である。なお、図1において破線で示す構成は、装置内部にあることを意味している。
【0019】
ATM1は、利用者の入力操作に応じて、入金取引、出金取引、振込取引等の各種取引を処理する。ATM1は、制御部2、紙幣処理部3、硬貨処理部4、カード処理部5、通帳処理部6、明細票処理部7、表示部8、操作部9、通信部10、を備えている。
【0020】
制御部2は、本体各部の動作を制御し、上述した各種取引処理や後述するシャッタの一時停止処理を行う。
【0021】
紙幣処理部3は、取引に係る入金紙幣や出金紙幣を処理する。紙幣処理部3は、本体前面に設けた紙幣取出口3aと、紙幣取出口3aの下方に位置し、入金紙幣あるいは出金紙幣を一時的に貯留する略直方体の紙幣貯留部13と、を備えている。紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン、排水溝が設けられている。紙幣貯留部13に設けられているシャッタ13a、パッキン、排水溝、の其々の詳細は後述する。また、紙幣処理部3は、紙幣貯留部13と本体内部に設けられている紙幣カートリッジとの間で紙幣を搬送する紙幣搬送路を有している。この紙幣カートリッジは金種別に設けられている。また、紙幣の真偽や金種を鑑別する紙幣鑑別部が、紙幣搬送路の途中に設けられている。
【0022】
硬貨処理部4は、取引に係る入金硬貨や出金硬貨を処理する。硬貨処理部4は、本体前面に設けた硬貨取出口4aと、硬貨取出口4aの下方に位置し、入金硬貨あるいは出金硬貨を一時的に貯留する略直方体の硬貨貯留部14と、を備えている。硬貨貯留部14は、紙幣貯留部13と同様に、シャッタ、パッキン、排水溝が設けられている。また、硬貨貯留部14と本体内部に設けられている硬貨カートリッジとの間で硬貨を搬送する硬貨搬送路を有している。この硬貨カートリッジは金種別に設けられている。また、硬貨の真偽や金種を鑑別する硬貨鑑別部が、硬貨搬送路の途中に設けられている。
【0023】
カード処理部5は、本体前面に設けたカード投入口5aに投入されたカードを取り込み、このカードの口座を示す口座番号等のカード情報を読み取る。また、カード処理部5は、取引が終了すると、カードをカード投入口5aに放出する。
【0024】
通帳処理部6は、本体前面に設けた通帳投入口6aに投入された通帳を取り込み、この通帳に対する取引内容の印字等を行う。また、通帳処理部6は、取引内容を印字した通帳を通帳投入口6aに放出する。
【0025】
明細票処理部7は、取引内容を印字した明細票を本体前面に設けた明細票発行口7aに放出する。
【0026】
表示部8は、本体前面に設けた表示器8aを有し、利用者に対する操作案内画面等を表示する。
【0027】
操作部9は、表示器8aの画面上に貼付したタッチパネル9aや、図示していないテンキー等の入力デバイスを有し、利用者の入力操作を検知する。
【0028】
通信部10は、公衆回線や専用回線を介して、センタに設置されているホスト装置11や外部装置との通信を行なう。
【0029】
ホスト装置11は、金融機関に開設されている口座毎に、その口座の管理に用いる管理情報(口座番号、預金残高、暗証番号、取引履歴等)を記憶している。
【0030】
また、紙幣取出口3a、硬貨取出口4a、表示器8a、タッチパネル9aが設けられている装置前面の正面パネルは、装置奥側から装置手前側に向かって下る傾斜形状である。この正面パネルの傾斜は,13〜14度程度である。
【0031】
紙幣貯留部13について説明する。図3は、紙幣貯留部13の上面図である。
【0032】
紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23が設けられている。紙幣貯留部13は、上方に紙幣取出口3aが設けられている。
【0033】
シャッタ13aは、矩形形状の板であり、紙幣貯留部13の上方に配置されている。シャッタ13aは、紙幣取出口3aを開する開位置と、紙幣取出口3aを閉する閉位置と、の間の位置で矢示するXX’方向に制御部2により制御されスライドする。シャッタ13aが閉位置と開位置との間でスライドする機構は、公知の機構であるため、簡単に説明する。シャッタ13aは、パッキン20,21に当接する左右両辺が図示していないガイドレールに取り付けられており、図示していないモータからの駆動力を受けて、このガイドレール上をXX’方向にスライドする。シャッタ13aは、閉位置に位置しているとき、後端の辺以外の各辺に沿って設けられているパッキン20〜22に当接する。また、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部は、排水溝23の上方に位置している。なお、シャッタ13aをスライドさせる機構は他の方法であっても良い。
【0034】
パッキン20〜22は、ゴム等の弾性体で形成され、其々が矩形形状である。パッキン20〜22は、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、その後端の辺以外の各辺に沿って当接する位置に設けられている。パッキン20〜22の上面は、正面パネルに密着している。なお、パッキン20〜22は、一体形成された一つのパッキンであっても良い。この場合、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、コの字形状にシャッタ13aの周囲を囲っていれば良い。
【0035】
排水溝23は、紙幣貯留部13の外側でコの字形状に設けられており、側壁がパッキン20〜22の下面に密着している。
【0036】
図4は、シャッタ13aの上面図及びその先端部の部分拡大図である。
【0037】
シャッタ13aは、先端部の上面に溝が形成されている。この溝は、所定の長さと幅を有している。溝が形成されているシャッタ13aの先端部が、パッキン22に当接するため、反発力が弱まり、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。また、溝が形成されている部位と形成されていない部位とで、後述する一時停止位置で排水溝23に流れ込む液体の速度が変化するので、後述するシャッタ13a上にたまった液体が排水溝23に流れやすくなる。
【0038】
なお、溝は、シャッタ13aの先端部の下面に設けられていても良い。この場合でも、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。また、溝は、シャッタ13aの左右の辺の下面や上面に設けられていても良い。この場合でも、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。
【0039】
図5は、紙幣貯留部13のAA’方向での、正面断面図である。
【0040】
パッキン20,21は、上面が正面パネルに密着している。パッキン20,21は、下面に切り込み20a,21aが形成されている。シャッタ13aは、パッキン20,21の変形部20b,21bに当接する。シャッタ13aが当接するとき、変形部20bは、切り込み20aに向かって変形し、変形部21bは、切り込み20bに向かって変形する。排水溝23の外側の側壁23a,23bは、パッキン20,21の下面に密着している。パッキン20,21に切り込み20a,21aを設けたことにより、シャッタ13aがスライドする時の摩擦力を弱めることができ、モータの駆動力を抑えることができる。
【0041】
図6は、シャッタ13aが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のBB’方向での側面断面図である。
【0042】
シャッタ13aの先端部は、パッキン22に沿って当接する。このとき、シャッタ13aの先端部は、排水溝23の上方に位置している。また、シャッタ13aの先端部の上方にある正面パネルの端部は、シャッタ13aに向かって屈曲した鉤部が形成されている。シャッタ13aの先端部は、パッキン22の変形部22bに当接する。
【0043】
パッキン22は、下面に切り込み22aが形成されている。シャッタ13aの先端部が当接する変形部22bは、シャッタ13aが当接すると、切り込み22aに向かって変形する。
【0044】
排水溝23の外側の側壁23cは、パッキン22の下面に密着する。また、排水溝23は、側壁23cの下方に排水パイプ24が設けられている。この排水パイプ24は、ATM1の外部までつながっている。
【0045】
シャッタ13aの後端部は、その上面が正面パネルに密着する。この正面パネルは、光透過型センサ26,27(以下、単にセンサ26,27と称す。)の発光部26a,27aが設けられている。また、発光部26a,27aに対向する装置内部の位置に、発光部26a,27aが発光する光を受光する受光部26b,27bが設けられている。発光部26a,27aからの光を受光部26b,27bが受光しているとき、センサ26,27はオンの状態である。また、発光部26a,27aからの光を受光部26b,27bが受光していないとき、センサ26,27はオフの状態である。
【0046】
センサ26,27からの信号により、制御部2は、後述するシャッタ13aの一時停止位置及び開位置を判断する。シャッタ13aの後端部が、センサ26が設けられている第1のセンサ位置に到達すると、受光部26bは、シャッタ13aにより発光部26aからの光を受光できなくなる。センサ26がオンの状態からオフの状態に切り替わったタイミングを制御部2が検知すると、シャッタ13aが第1のセンサ位置に到達したことを判断する。また、シャッタ13aの後端部が、センサ27が設けられている第2のセンサ位置に到達すると、受光部27bは、シャッタ13aにより発光部27aからの光を受光できなくなる。センサ27がオンの状態からオフの状態に切り替わったタイミングを制御部2が検知すると、シャッタ13aが第2のセンサ位置に到達したことを判断する。
【0047】
なお、光透過型センサ以外のセンサを用いてシャッタ13aの位置を検出しても良いし、別の方法でシャッタ13aの位置を検出しても良い。例えば、反射型センサを設けシャッタ13aの位置を検出しても良いし、シャッタ13aをスライドさせるモータの回転数からシャッタ13aの位置を検出しても良い。
【0048】
図7は、シャッタ13aが一時停止位置に位置しているときにおけるBB’方向での側面断面図である。
【0049】
変形部22bは、反発力によりシャッタ13aの先端部に向かって変形する。シャッタ13aの先端部は、排水溝23の側壁23cに対向する側壁の上方に位置している。センサ26が設けられている第1のセンサ位置は、シャッタ13aの後端部の位置がこの位置に来る場所に配置されている。
【0050】
図8は、シャッタ13aが開位置に位置しているときにおけるBB’方向での側面断面図である。
【0051】
変形部22bは、シャッタ13aが一時停止位置から開位置にスライドするまでの間に変形がなくなり、元の形状に戻る。センサ27が設けられている第2のセンサ位置は、シャッタ13aの後端部の位置がこの位置に来る場所に配置されている。
【0052】
なお、パッキン20〜22に排水溝の側壁23a〜23cを密着させているが、密着させずに、パッキン20〜22の外側で正面パネルに直接排水溝23の側壁23a〜23cを取り付けても良い。この場合でも、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、パッキン20〜22により、排水溝23に液体が流れ込まない。そのため、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃も入り込まない。そのため、排水溝23の目詰まりが起こらない。
【0053】
また、パッキン20,21を設けずとも良い。この場合、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、先端部がパッキン22に当接し、シャッタ13aの左右の各辺は、例えば、装置本体に密着させておけばよい。このような構成にしても、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、排水溝23に液体が流れ込まないので、排水溝23から紙幣貯留部13や装置本体内部に流れ込まない。そのため、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃が入り込まない。そのため、排水溝23の目詰まりが起こらない。
【0054】
次に、図9,図10に基づいて、制御部2が行なうシャッタ13aの制御について説明する。
【0055】
図9は、制御部2が行なう制御のフローチャートである。また、図10は、制御部2がシャッタ13aをスライドさせた時の状態を示すBB’方向での側面断面図である。
【0056】
制御部2は、入金取引や出金取引や振込取引等の各種取引が開始されることを待っている(S1)。
【0057】
図10(A)に示す通り、シャッタ13aが上述した閉位置に位置しているとき、シャッタ13aに降った雨水や利用者がこぼした清涼飲料水等の液体28は、紙幣貯留部13やATM1内には流れ込まずシャッタ13aの先端部の上面に滞留する。シャッタ13aに滞留した液体28は、正面パネルの傾斜によりシャッタ13aの先端部に向かって流れる。液体28は、シャッタ13aの先端部が当接する変形部22bで受け止められ、排水溝23に流れこまない。また、パッキン20,21により、シャッタ13aの左辺及び右辺の下方に配置されている排水溝23にも流れ込まない。また、シャッタ13aの後端部は正面パネルに密着しているため、シャッタ13aの後端部からも液体28は、ATM1内に入り込まない。取引が開始されると(S1のY)、制御部2は、シャッタ13aを開位置の方向へスライドさせる(S2)。制御部2は、シャッタ13aの後端部が上述したセンサ26をオンの状態からオフの状態へと切り替えたかを判断する(S3)。シャッタ13aの後端部がセンサ26の発光する光を遮蔽し、センサ26の信号がオンからオフに切り替わったとき、制御部2はシャッタ13aの後端部が第1のセンサ位置に来たと判断し(S3のY)、シャッタ13aを一時停止させる(S4)。
【0058】
図10(B),(C)に示す通り、シャッタ13aが上述した一時停止位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部に滞留していた液体28は、シャッタ13aと変形部22bとの隙間から排水溝23に向かって流れ込む。流れ込んだ液体28は、側壁23cの下方に設けられている排水パイプ24を流れ、ATM1外へ排水される。ステップS4において、制御部2がシャッタ13aを一時停止させる時間は、予め係員等が入力した降水量に係る情報に基づいて、制御部2が決定した時間である。制御部2は、降水量が多いときは、一時停止時間を長めに決定する(例えば、1s,2s)。また、制御部2は、降水量が少ないときは、一時停止時間を短めに決定する(例えば、0.4s、0.2s)。この一時停止時間は、シャッタ13a上に滞留している液体28を排水溝23に流すための時間である。
【0059】
なお、一時停止時間の決定は他の方法を用いても良い。例えば、通信部10を介して外部装置から降水量に係る情報を受け付け、受け付けた降水量に係る情報により一時停止時間を決定しても良い。また、シャッタ13aを開するとき、前回シャッタが閉位置に来た時からの経過時間により、シャッタを一時停止させる時間を決定しても良い。この場合、経過時間が短い場合、シャッタ13aに滞留している液体の量は少ないと考えられるため、一時停止時間を短めに決定する。また、経過時間が長い場合、シャッタ13a上に滞留している液体の量が多い場合が考えられるため、一時停止時間を長めに決定する。
【0060】
制御部2は、一時停止時間を過ぎたと判断すると(S5のY)、シャッタ13aの後端部が上述したセンサ27をオンの状態からオフの状態へと切り替えたかを判断する(S7)。
【0061】
図10(D)に示す通り、シャッタ13aの後端部がセンサ27の発光する光を遮蔽し、センサ27の信号がオンからオフに切り替わったとき、制御部2はシャッタ13aの後端部が第2のセンサ位置に来たと判断し(S7のY)、シャッタ13aのスライドを停止する(S8)。そして、取引が終了すると、制御部2は、シャッタ13aを閉位置にスライドさせる(S9)。
【0062】
こうすることにより。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aに滞留した雨水や利用者がこぼした清涼飲料水等の液体28が排水溝23に流れ込なまなくなる。そのため、液体28が排水溝23から紙幣貯留部13や装置本体内部に流れ込まなくなり、貨幣搬送用のローラが濡れて紙幣搬送性能が低下してしまったり、電気部品の破損が起こったり、装置内部の鉄部品に錆が発生してしまったりすることがなくなる。したがって、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃が入り込むことがなくなるため、排水溝23が詰まることがなくなる。
【0063】
また、シャッタ13aが一時停止位置に位置しているとき、液体28が排水溝23に流れ込む。そのため、シャッタ13aが開するとき、滞留していた液体28が紙幣貯留部13や装置内部に流れ込まなくなるので、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に入り込んだ塵や埃は、排水溝23に流れ込んだ液体28によりATM1外部に洗い流される。
【0064】
以下、シャッタ、パッキン、排水溝、の形状を変形した例について説明していく。なお、以下の説明では、上述した構成と同じ構成については同符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、シャッタ13aの動作は、上述した動作と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0065】
パッキンの形状の一部を変更した例について説明する。
【0066】
図11は、紙幣貯留部13の上面図である。紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23が設けられている。
【0067】
図12は、紙幣貯留部13のCC’方向での、正面断面図である。パッキン20,21は、下面に切り込みが設けられておらず、シャッタ13aの側辺が密着する側面に切り込み20c,21cが設けられている。この切り込み20c,21cに沿って、シャッタ13aはスライドする。シャッタ13aが切り込み20c,21cに沿ってスライドするため、パッキン20,21とシャッタ13aとによる密閉性がより高まる。
【0068】
図13は、シャッタ13aが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のDD’方向での側面断面図である。また、図14は、シャッタ13aが開位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のDD’方向での側面断面図である。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部は、パッキン22に密着する。シャッタ13aが密着するパッキン22は、この部位に切り込み22cが設けられている。シャッタ13aの先端部が切り込み22cに当接するため、パッキン22とシャッタ13aとによる密閉性がより高まる。
【0069】
次に、シャッタ、排水溝、パッキンの形状を変更した例について説明する。
【0070】
図15は、紙幣貯留部13の上面図である。図15(A)は、シャッタ30が開位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図であり、図15(B)は、シャッタ30が一時停止位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図であり、図15(C)は、シャッタ30が開位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図である。
【0071】
紙幣貯留部13は、シャッタ30、排水溝31、パッキン32〜34が設けられている。排水溝31は、排水溝23と同様に排水パイプが設けられている。また、パッキン32〜34は、上述したパッキン20〜22と同様にその下面あるいはシャッタ13aの先端部が密着する側面に切り込みが設けられている。また、シャッタ30、排水溝31、パッキン32〜34の配置は、上述した配置関係と同様である。また、制御部2は上述した制御でシャッタ30をスライドさせる。
【0072】
紙幣貯留部13は、その上方に後端から先端に向かってその幅が狭くなる紙幣取出口3bを有している。シャッタ30は、板状で、後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状であり、先端の辺が後端の辺よりも短い台形形状である。また、排水溝31は、シャッタ30が閉位置に位置しているとき、シャッタ30の先端部は、排水溝31の上方に位置している。また、シャッタ30の左右の辺は排水溝31の上方に位置している。また、パッキン32〜34は、其々矩形形状である。
【0073】
シャッタ30は、制御部2により制御され、紙幣取出口3bを開閉する。シャッタ30が図15(C)で示す閉位置に位置するとき、シャッタ30の先端部は、パッキン34に沿って当接し、シャッタ30の左辺はパッキン32に沿って当接し、シャッタ30の右辺はパッキン33に沿って当接する。そして、シャッタ30が閉位置からスライドし、閉位置以外の位置にあるとき、例えば、シャッタ30が一時停止位置に位置するときや、開位置に位置するときは、図15(A),(B)で示す通り、シャッタ30の各辺はパッキン32〜34に当接しない。
【0074】
このような構成では、シャッタ30が閉位置に位置しているときだけ、シャッタ30の各辺は周囲に設けられたパッキン32〜34に沿って当接するため、シャッタ30はスライド時にパッキン32〜34からの摩擦力を受けなくなる。したがって、シャッタ30を駆動させるモータの駆動力を抑えることができる。
【0075】
なお、シャッタは、台形形状に限らず他の形状であっても良く、シャッタは後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状であれば良い(例えば、三角形)。この場合、シャッタの形状に合わせて、パッキン、排水溝、紙幣取出口の形状も変更すればよい。
【0076】
図16は、図15で示した構成において、パッキンの形状を一部変更した例を示す紙幣貯留部13の上面図である。
【0077】
図16(A)では、パッキン32とパッキン34の角部に隙間35がある。また、パッキン33とパッキン34の角部に隙間36がある。このように、隙間35,36があることにより、シャッタ30上にたまった液体が少量だけ排水溝31に流れ込む。そのため、排水溝31にたまる塵や埃を洗い流すことができ、排水溝31の目詰まりが起こりにくくなる。
【0078】
また、図16(B)では、パッキン34の中央部付近にも隙間37がある。こうすることで、少量の液体が排水溝31に流れ込むことになり、排水溝31にたまった塵や埃が、この液体により洗い流されやすくなる。
【0079】
図17では、図16(A),図16(B)における隙間35〜37に対向するシャッタの先端部の位置に突起35a〜37aを設けている。この突起35a〜37aは、設けられている隙間35〜37の幅よりも小さな幅である。
【0080】
こうすることにより、シャッタ30が紙幣取出口3bを開閉するたび、突起35a〜37aが隙間35〜37を往復するため、隙間35〜37に塵や埃がつまりにくくなる。
【0081】
なお、二つの角部ではなく、一方の角部にだけ隙間があっても良い。この場合でも、同様の効果が得られる。また、角部以外の部位に隙間があっても良い。また、図3や図11で示した構成に対してこの構成を設けても良い。また、パッキン32,33を設けずとも良い。この場合、シャッタ30が閉位置に位置しているとき、先端部がパッキン34に当接し、シャッタ30の側辺は、例えば、装置本体に密着させる構成にしておけばよい。また、パッキン32〜34は一体形成された一つのパッキンであっても良い。
【0082】
また、硬貨貯留部14に設けられているパッキン、排水溝、シャッタは上述した紙幣貯留部13に設けられているパッキン、排水溝、シャッタと同様の構成であるため其の詳細な説明は省略する。
【0083】
また、この発明は、現金自動預け払い機だけでなく、入金取引、出金取引、振込取引等の取引を処理する取引処理装置(例えば、出金装置、現金自動払い機、紙葉類取扱装置)であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】ATMの外観を示す概略図である。
【図2】ATMの主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】紙幣貯留部の正面図である。
【図4】シャッタの上面図及び先端部の部分拡大図である。
【図5】紙幣貯留部のAA’方向での側面断面図である。
【図6】シャッタが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図7】シャッタが一時停止位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図8】シャッタが開位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図9】制御部がシャッタを開閉する制御を示すフローチャートである。
【図10】シャッタの各位置に応じた紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図11】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図12】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のCC’方向での側面断面図である。
【図13】シャッタが閉位置に位置しているときにおける、パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のDD’方向での側面断面図である。
【図14】シャッタが開位置に位置しているときにおける、パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のDD’方向での側面断面図である。
【図15】シャッタ、パッキン、排水溝の形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図16】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図17】シャッタの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【符号の説明】
【0085】
1−ATM
2−制御部
3−紙幣処理部
3a,3b−紙幣取出口
4−硬貨処理部
4a−硬貨取出口
5−カード処理部
5a−カード投入口
6−通帳処理部
6a−通帳投入口
7−明細票処理部
7a−明細票発行口
8−表示部
8a−表示器
9−操作部
9a−タッチパネル
10−通信部
11−ホスト装置
13−紙幣貯留部
13a,30−シャッタ
14−硬貨貯留部
20〜22,32〜34−パッキン
20a〜22a,20c〜22c−切り込み
20b〜22b−変形部
23,31−排水溝
23a〜23c−側壁
24−排水パイプ
26,27−光透過型センサ
26a,27a−発光部
26b,27b−受光部
28−液体
35〜37−隙間
35a〜37a−突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が行う入力操作に応じて、入金取引、出金取引、振込取引等の取引を処理する取引処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入金取引、出金取引、振込取引等の各種取引を行うことができる現金自動預け払い機(以下、単にATMと称す。)がある。ATMは、出金貨幣を取り出す貨幣取出口等を備えた正面パネルが装置前面に設けられている。貨幣取出口は、出金貨幣を一時的に貯留する貨幣貯留部の上方に設けられている。また、シャッタが貨幣取出口に設けられている。ATMは、取引処理の状態に応じてシャッタをスライドさせ、貨幣取出口の開閉を行っている。
【0003】
こうしたATMは、屋外に設置されることがあり、雨が降ると、降った雨水がシャッタにたまる。シャッタにたまった雨水が、貨幣貯留部や装置内部に流れ込むと、貨幣搬送用のローラが濡れて紙幣搬送性能が低下してしまったり、電気部品の破損が起こったり、装置内部の鉄部品に錆が発生してしまったりする虞がある。
【0004】
また、屋内に設置される場合でも、利用者が清涼飲料水等の液体をシャッタにこぼし、こぼした液体が上述の問題を引き起こす虞があった。そのため、特許文献1で見られるように、シャッタにたまった雨水や清涼飲料水等の液体が装置内部や貨幣貯留部に流れこまないようにした構成が提案されている。
【0005】
特許文献1では、装置内部に排水路を設けている。液体がこの排水路に流れ込むことで、シャッタ上にたまらないようにしている。具体的には、シャッタが貨幣取出口を閉じた位置に位置しているとき、その下辺に沿って排水路を設けている。このとき、シャッタの下辺と貨幣取出口との間には隙間がある。液体はシャッタ上面からこの隙間を通り排水路に流れ込むので、シャッタ上に液体がたまらない。
【特許文献1】特開2003−303366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されている構成では、この隙間から塵や埃も排水路に入り込む。この入り込んだ塵や埃によって、排水路が詰まり、シャッタ上から流れ込んだ液体が排水路にたまってしまう。たまった液体が装置内部や貨幣貯留部に流れ込んでしまうと、上述した問題が起こる虞があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は液体が排水溝にたまりにくくし、信頼性を向上させた取引処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の通りである。
【0009】
出金貨幣貯留部は、その上面に取出口が設けられている。また、放出する出金貨幣を貯留する。
【0010】
開閉制御部は、出金貨幣貯留部の取出口の上方に位置するシャッタを開位置と閉位置との間でスライドさせ、出金貨幣貯留部の取出口を開閉する。このシャッタの形状は、例えば、矩形形状や後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状(例えば、台形や三角形)である。また、シャッタは、弾性体に当接する部位に溝が設けられていても良い。
【0011】
排水溝は、出金貨幣貯留部の外側に設けられている。シャッタが閉位置に位置しているとき、排水溝の上方にシャッタの先端部が位置する。
【0012】
弾性体は、シャッタが閉位置に位置しているとき、シャッタの周囲に沿って当接する位置に設けられている。弾性体は、例えば、シャッタが閉位置にあるとき、その後端の辺を除く各辺に沿って当接する位置に設けられていれば良い。また、弾性体は、シャッタが当接する辺の角部に隙間が設けられていても良い。
【0013】
こうすることにより、シャッタが取出口を閉じた閉位置にあるとき、塵や埃が排水溝に入りにくくなり、排水溝の目詰まりが起こりにくくなる。そのため、排水溝に液体がたまりにくくなり、信頼性が向上する。
【0014】
また、例えば、シャッタを閉位置から開位置までスライドさせるとき、所定の位置で一時停止させても良い。この一時停止させる時間は、例えば、外部から入力された降水量に係る情報を受け付け、この情報に基づいて決定すれば良い。また、シャッタを開するとき、前回シャッタが閉位置に来たときからの経過時間により、決定しても良い。
【0015】
こうすることにより、シャッタ上にたまった液体は、一時停止位置で排水溝に流れ込む。排水溝に塵や埃が入り込んでいても、液体により洗い流されるため、排水溝がつまりにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、排水溝に液体がたまりにくくなり、信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る取引処理装置の実施形態について説明する。ここでは、現金自動預け払い機(以下、単にATMと称す。)を例にして説明する。なお、以下では、断面図において、その断面表記を省略している。
【0018】
図1は、このATMの外観を示す概略図であり、図2は、ATMの主要部の構成を示すブロック図である。なお、図1において破線で示す構成は、装置内部にあることを意味している。
【0019】
ATM1は、利用者の入力操作に応じて、入金取引、出金取引、振込取引等の各種取引を処理する。ATM1は、制御部2、紙幣処理部3、硬貨処理部4、カード処理部5、通帳処理部6、明細票処理部7、表示部8、操作部9、通信部10、を備えている。
【0020】
制御部2は、本体各部の動作を制御し、上述した各種取引処理や後述するシャッタの一時停止処理を行う。
【0021】
紙幣処理部3は、取引に係る入金紙幣や出金紙幣を処理する。紙幣処理部3は、本体前面に設けた紙幣取出口3aと、紙幣取出口3aの下方に位置し、入金紙幣あるいは出金紙幣を一時的に貯留する略直方体の紙幣貯留部13と、を備えている。紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン、排水溝が設けられている。紙幣貯留部13に設けられているシャッタ13a、パッキン、排水溝、の其々の詳細は後述する。また、紙幣処理部3は、紙幣貯留部13と本体内部に設けられている紙幣カートリッジとの間で紙幣を搬送する紙幣搬送路を有している。この紙幣カートリッジは金種別に設けられている。また、紙幣の真偽や金種を鑑別する紙幣鑑別部が、紙幣搬送路の途中に設けられている。
【0022】
硬貨処理部4は、取引に係る入金硬貨や出金硬貨を処理する。硬貨処理部4は、本体前面に設けた硬貨取出口4aと、硬貨取出口4aの下方に位置し、入金硬貨あるいは出金硬貨を一時的に貯留する略直方体の硬貨貯留部14と、を備えている。硬貨貯留部14は、紙幣貯留部13と同様に、シャッタ、パッキン、排水溝が設けられている。また、硬貨貯留部14と本体内部に設けられている硬貨カートリッジとの間で硬貨を搬送する硬貨搬送路を有している。この硬貨カートリッジは金種別に設けられている。また、硬貨の真偽や金種を鑑別する硬貨鑑別部が、硬貨搬送路の途中に設けられている。
【0023】
カード処理部5は、本体前面に設けたカード投入口5aに投入されたカードを取り込み、このカードの口座を示す口座番号等のカード情報を読み取る。また、カード処理部5は、取引が終了すると、カードをカード投入口5aに放出する。
【0024】
通帳処理部6は、本体前面に設けた通帳投入口6aに投入された通帳を取り込み、この通帳に対する取引内容の印字等を行う。また、通帳処理部6は、取引内容を印字した通帳を通帳投入口6aに放出する。
【0025】
明細票処理部7は、取引内容を印字した明細票を本体前面に設けた明細票発行口7aに放出する。
【0026】
表示部8は、本体前面に設けた表示器8aを有し、利用者に対する操作案内画面等を表示する。
【0027】
操作部9は、表示器8aの画面上に貼付したタッチパネル9aや、図示していないテンキー等の入力デバイスを有し、利用者の入力操作を検知する。
【0028】
通信部10は、公衆回線や専用回線を介して、センタに設置されているホスト装置11や外部装置との通信を行なう。
【0029】
ホスト装置11は、金融機関に開設されている口座毎に、その口座の管理に用いる管理情報(口座番号、預金残高、暗証番号、取引履歴等)を記憶している。
【0030】
また、紙幣取出口3a、硬貨取出口4a、表示器8a、タッチパネル9aが設けられている装置前面の正面パネルは、装置奥側から装置手前側に向かって下る傾斜形状である。この正面パネルの傾斜は,13〜14度程度である。
【0031】
紙幣貯留部13について説明する。図3は、紙幣貯留部13の上面図である。
【0032】
紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23が設けられている。紙幣貯留部13は、上方に紙幣取出口3aが設けられている。
【0033】
シャッタ13aは、矩形形状の板であり、紙幣貯留部13の上方に配置されている。シャッタ13aは、紙幣取出口3aを開する開位置と、紙幣取出口3aを閉する閉位置と、の間の位置で矢示するXX’方向に制御部2により制御されスライドする。シャッタ13aが閉位置と開位置との間でスライドする機構は、公知の機構であるため、簡単に説明する。シャッタ13aは、パッキン20,21に当接する左右両辺が図示していないガイドレールに取り付けられており、図示していないモータからの駆動力を受けて、このガイドレール上をXX’方向にスライドする。シャッタ13aは、閉位置に位置しているとき、後端の辺以外の各辺に沿って設けられているパッキン20〜22に当接する。また、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部は、排水溝23の上方に位置している。なお、シャッタ13aをスライドさせる機構は他の方法であっても良い。
【0034】
パッキン20〜22は、ゴム等の弾性体で形成され、其々が矩形形状である。パッキン20〜22は、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、その後端の辺以外の各辺に沿って当接する位置に設けられている。パッキン20〜22の上面は、正面パネルに密着している。なお、パッキン20〜22は、一体形成された一つのパッキンであっても良い。この場合、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、コの字形状にシャッタ13aの周囲を囲っていれば良い。
【0035】
排水溝23は、紙幣貯留部13の外側でコの字形状に設けられており、側壁がパッキン20〜22の下面に密着している。
【0036】
図4は、シャッタ13aの上面図及びその先端部の部分拡大図である。
【0037】
シャッタ13aは、先端部の上面に溝が形成されている。この溝は、所定の長さと幅を有している。溝が形成されているシャッタ13aの先端部が、パッキン22に当接するため、反発力が弱まり、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。また、溝が形成されている部位と形成されていない部位とで、後述する一時停止位置で排水溝23に流れ込む液体の速度が変化するので、後述するシャッタ13a上にたまった液体が排水溝23に流れやすくなる。
【0038】
なお、溝は、シャッタ13aの先端部の下面に設けられていても良い。この場合でも、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。また、溝は、シャッタ13aの左右の辺の下面や上面に設けられていても良い。この場合でも、シャッタ13aをスライドさせるモータの駆動力を抑えることができる。
【0039】
図5は、紙幣貯留部13のAA’方向での、正面断面図である。
【0040】
パッキン20,21は、上面が正面パネルに密着している。パッキン20,21は、下面に切り込み20a,21aが形成されている。シャッタ13aは、パッキン20,21の変形部20b,21bに当接する。シャッタ13aが当接するとき、変形部20bは、切り込み20aに向かって変形し、変形部21bは、切り込み20bに向かって変形する。排水溝23の外側の側壁23a,23bは、パッキン20,21の下面に密着している。パッキン20,21に切り込み20a,21aを設けたことにより、シャッタ13aがスライドする時の摩擦力を弱めることができ、モータの駆動力を抑えることができる。
【0041】
図6は、シャッタ13aが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のBB’方向での側面断面図である。
【0042】
シャッタ13aの先端部は、パッキン22に沿って当接する。このとき、シャッタ13aの先端部は、排水溝23の上方に位置している。また、シャッタ13aの先端部の上方にある正面パネルの端部は、シャッタ13aに向かって屈曲した鉤部が形成されている。シャッタ13aの先端部は、パッキン22の変形部22bに当接する。
【0043】
パッキン22は、下面に切り込み22aが形成されている。シャッタ13aの先端部が当接する変形部22bは、シャッタ13aが当接すると、切り込み22aに向かって変形する。
【0044】
排水溝23の外側の側壁23cは、パッキン22の下面に密着する。また、排水溝23は、側壁23cの下方に排水パイプ24が設けられている。この排水パイプ24は、ATM1の外部までつながっている。
【0045】
シャッタ13aの後端部は、その上面が正面パネルに密着する。この正面パネルは、光透過型センサ26,27(以下、単にセンサ26,27と称す。)の発光部26a,27aが設けられている。また、発光部26a,27aに対向する装置内部の位置に、発光部26a,27aが発光する光を受光する受光部26b,27bが設けられている。発光部26a,27aからの光を受光部26b,27bが受光しているとき、センサ26,27はオンの状態である。また、発光部26a,27aからの光を受光部26b,27bが受光していないとき、センサ26,27はオフの状態である。
【0046】
センサ26,27からの信号により、制御部2は、後述するシャッタ13aの一時停止位置及び開位置を判断する。シャッタ13aの後端部が、センサ26が設けられている第1のセンサ位置に到達すると、受光部26bは、シャッタ13aにより発光部26aからの光を受光できなくなる。センサ26がオンの状態からオフの状態に切り替わったタイミングを制御部2が検知すると、シャッタ13aが第1のセンサ位置に到達したことを判断する。また、シャッタ13aの後端部が、センサ27が設けられている第2のセンサ位置に到達すると、受光部27bは、シャッタ13aにより発光部27aからの光を受光できなくなる。センサ27がオンの状態からオフの状態に切り替わったタイミングを制御部2が検知すると、シャッタ13aが第2のセンサ位置に到達したことを判断する。
【0047】
なお、光透過型センサ以外のセンサを用いてシャッタ13aの位置を検出しても良いし、別の方法でシャッタ13aの位置を検出しても良い。例えば、反射型センサを設けシャッタ13aの位置を検出しても良いし、シャッタ13aをスライドさせるモータの回転数からシャッタ13aの位置を検出しても良い。
【0048】
図7は、シャッタ13aが一時停止位置に位置しているときにおけるBB’方向での側面断面図である。
【0049】
変形部22bは、反発力によりシャッタ13aの先端部に向かって変形する。シャッタ13aの先端部は、排水溝23の側壁23cに対向する側壁の上方に位置している。センサ26が設けられている第1のセンサ位置は、シャッタ13aの後端部の位置がこの位置に来る場所に配置されている。
【0050】
図8は、シャッタ13aが開位置に位置しているときにおけるBB’方向での側面断面図である。
【0051】
変形部22bは、シャッタ13aが一時停止位置から開位置にスライドするまでの間に変形がなくなり、元の形状に戻る。センサ27が設けられている第2のセンサ位置は、シャッタ13aの後端部の位置がこの位置に来る場所に配置されている。
【0052】
なお、パッキン20〜22に排水溝の側壁23a〜23cを密着させているが、密着させずに、パッキン20〜22の外側で正面パネルに直接排水溝23の側壁23a〜23cを取り付けても良い。この場合でも、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、パッキン20〜22により、排水溝23に液体が流れ込まない。そのため、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃も入り込まない。そのため、排水溝23の目詰まりが起こらない。
【0053】
また、パッキン20,21を設けずとも良い。この場合、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、先端部がパッキン22に当接し、シャッタ13aの左右の各辺は、例えば、装置本体に密着させておけばよい。このような構成にしても、シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、排水溝23に液体が流れ込まないので、排水溝23から紙幣貯留部13や装置本体内部に流れ込まない。そのため、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃が入り込まない。そのため、排水溝23の目詰まりが起こらない。
【0054】
次に、図9,図10に基づいて、制御部2が行なうシャッタ13aの制御について説明する。
【0055】
図9は、制御部2が行なう制御のフローチャートである。また、図10は、制御部2がシャッタ13aをスライドさせた時の状態を示すBB’方向での側面断面図である。
【0056】
制御部2は、入金取引や出金取引や振込取引等の各種取引が開始されることを待っている(S1)。
【0057】
図10(A)に示す通り、シャッタ13aが上述した閉位置に位置しているとき、シャッタ13aに降った雨水や利用者がこぼした清涼飲料水等の液体28は、紙幣貯留部13やATM1内には流れ込まずシャッタ13aの先端部の上面に滞留する。シャッタ13aに滞留した液体28は、正面パネルの傾斜によりシャッタ13aの先端部に向かって流れる。液体28は、シャッタ13aの先端部が当接する変形部22bで受け止められ、排水溝23に流れこまない。また、パッキン20,21により、シャッタ13aの左辺及び右辺の下方に配置されている排水溝23にも流れ込まない。また、シャッタ13aの後端部は正面パネルに密着しているため、シャッタ13aの後端部からも液体28は、ATM1内に入り込まない。取引が開始されると(S1のY)、制御部2は、シャッタ13aを開位置の方向へスライドさせる(S2)。制御部2は、シャッタ13aの後端部が上述したセンサ26をオンの状態からオフの状態へと切り替えたかを判断する(S3)。シャッタ13aの後端部がセンサ26の発光する光を遮蔽し、センサ26の信号がオンからオフに切り替わったとき、制御部2はシャッタ13aの後端部が第1のセンサ位置に来たと判断し(S3のY)、シャッタ13aを一時停止させる(S4)。
【0058】
図10(B),(C)に示す通り、シャッタ13aが上述した一時停止位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部に滞留していた液体28は、シャッタ13aと変形部22bとの隙間から排水溝23に向かって流れ込む。流れ込んだ液体28は、側壁23cの下方に設けられている排水パイプ24を流れ、ATM1外へ排水される。ステップS4において、制御部2がシャッタ13aを一時停止させる時間は、予め係員等が入力した降水量に係る情報に基づいて、制御部2が決定した時間である。制御部2は、降水量が多いときは、一時停止時間を長めに決定する(例えば、1s,2s)。また、制御部2は、降水量が少ないときは、一時停止時間を短めに決定する(例えば、0.4s、0.2s)。この一時停止時間は、シャッタ13a上に滞留している液体28を排水溝23に流すための時間である。
【0059】
なお、一時停止時間の決定は他の方法を用いても良い。例えば、通信部10を介して外部装置から降水量に係る情報を受け付け、受け付けた降水量に係る情報により一時停止時間を決定しても良い。また、シャッタ13aを開するとき、前回シャッタが閉位置に来た時からの経過時間により、シャッタを一時停止させる時間を決定しても良い。この場合、経過時間が短い場合、シャッタ13aに滞留している液体の量は少ないと考えられるため、一時停止時間を短めに決定する。また、経過時間が長い場合、シャッタ13a上に滞留している液体の量が多い場合が考えられるため、一時停止時間を長めに決定する。
【0060】
制御部2は、一時停止時間を過ぎたと判断すると(S5のY)、シャッタ13aの後端部が上述したセンサ27をオンの状態からオフの状態へと切り替えたかを判断する(S7)。
【0061】
図10(D)に示す通り、シャッタ13aの後端部がセンサ27の発光する光を遮蔽し、センサ27の信号がオンからオフに切り替わったとき、制御部2はシャッタ13aの後端部が第2のセンサ位置に来たと判断し(S7のY)、シャッタ13aのスライドを停止する(S8)。そして、取引が終了すると、制御部2は、シャッタ13aを閉位置にスライドさせる(S9)。
【0062】
こうすることにより。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aに滞留した雨水や利用者がこぼした清涼飲料水等の液体28が排水溝23に流れ込なまなくなる。そのため、液体28が排水溝23から紙幣貯留部13や装置本体内部に流れ込まなくなり、貨幣搬送用のローラが濡れて紙幣搬送性能が低下してしまったり、電気部品の破損が起こったり、装置内部の鉄部品に錆が発生してしまったりすることがなくなる。したがって、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に塵や埃が入り込むことがなくなるため、排水溝23が詰まることがなくなる。
【0063】
また、シャッタ13aが一時停止位置に位置しているとき、液体28が排水溝23に流れ込む。そのため、シャッタ13aが開するとき、滞留していた液体28が紙幣貯留部13や装置内部に流れ込まなくなるので、装置の信頼性が向上する。また、排水溝23に入り込んだ塵や埃は、排水溝23に流れ込んだ液体28によりATM1外部に洗い流される。
【0064】
以下、シャッタ、パッキン、排水溝、の形状を変形した例について説明していく。なお、以下の説明では、上述した構成と同じ構成については同符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、シャッタ13aの動作は、上述した動作と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0065】
パッキンの形状の一部を変更した例について説明する。
【0066】
図11は、紙幣貯留部13の上面図である。紙幣貯留部13は、シャッタ13a、パッキン20〜22、排水溝23が設けられている。
【0067】
図12は、紙幣貯留部13のCC’方向での、正面断面図である。パッキン20,21は、下面に切り込みが設けられておらず、シャッタ13aの側辺が密着する側面に切り込み20c,21cが設けられている。この切り込み20c,21cに沿って、シャッタ13aはスライドする。シャッタ13aが切り込み20c,21cに沿ってスライドするため、パッキン20,21とシャッタ13aとによる密閉性がより高まる。
【0068】
図13は、シャッタ13aが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のDD’方向での側面断面図である。また、図14は、シャッタ13aが開位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部13のDD’方向での側面断面図である。シャッタ13aが閉位置に位置しているとき、シャッタ13aの先端部は、パッキン22に密着する。シャッタ13aが密着するパッキン22は、この部位に切り込み22cが設けられている。シャッタ13aの先端部が切り込み22cに当接するため、パッキン22とシャッタ13aとによる密閉性がより高まる。
【0069】
次に、シャッタ、排水溝、パッキンの形状を変更した例について説明する。
【0070】
図15は、紙幣貯留部13の上面図である。図15(A)は、シャッタ30が開位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図であり、図15(B)は、シャッタ30が一時停止位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図であり、図15(C)は、シャッタ30が開位置に位置しているときの紙幣貯留部13の上面図である。
【0071】
紙幣貯留部13は、シャッタ30、排水溝31、パッキン32〜34が設けられている。排水溝31は、排水溝23と同様に排水パイプが設けられている。また、パッキン32〜34は、上述したパッキン20〜22と同様にその下面あるいはシャッタ13aの先端部が密着する側面に切り込みが設けられている。また、シャッタ30、排水溝31、パッキン32〜34の配置は、上述した配置関係と同様である。また、制御部2は上述した制御でシャッタ30をスライドさせる。
【0072】
紙幣貯留部13は、その上方に後端から先端に向かってその幅が狭くなる紙幣取出口3bを有している。シャッタ30は、板状で、後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状であり、先端の辺が後端の辺よりも短い台形形状である。また、排水溝31は、シャッタ30が閉位置に位置しているとき、シャッタ30の先端部は、排水溝31の上方に位置している。また、シャッタ30の左右の辺は排水溝31の上方に位置している。また、パッキン32〜34は、其々矩形形状である。
【0073】
シャッタ30は、制御部2により制御され、紙幣取出口3bを開閉する。シャッタ30が図15(C)で示す閉位置に位置するとき、シャッタ30の先端部は、パッキン34に沿って当接し、シャッタ30の左辺はパッキン32に沿って当接し、シャッタ30の右辺はパッキン33に沿って当接する。そして、シャッタ30が閉位置からスライドし、閉位置以外の位置にあるとき、例えば、シャッタ30が一時停止位置に位置するときや、開位置に位置するときは、図15(A),(B)で示す通り、シャッタ30の各辺はパッキン32〜34に当接しない。
【0074】
このような構成では、シャッタ30が閉位置に位置しているときだけ、シャッタ30の各辺は周囲に設けられたパッキン32〜34に沿って当接するため、シャッタ30はスライド時にパッキン32〜34からの摩擦力を受けなくなる。したがって、シャッタ30を駆動させるモータの駆動力を抑えることができる。
【0075】
なお、シャッタは、台形形状に限らず他の形状であっても良く、シャッタは後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状であれば良い(例えば、三角形)。この場合、シャッタの形状に合わせて、パッキン、排水溝、紙幣取出口の形状も変更すればよい。
【0076】
図16は、図15で示した構成において、パッキンの形状を一部変更した例を示す紙幣貯留部13の上面図である。
【0077】
図16(A)では、パッキン32とパッキン34の角部に隙間35がある。また、パッキン33とパッキン34の角部に隙間36がある。このように、隙間35,36があることにより、シャッタ30上にたまった液体が少量だけ排水溝31に流れ込む。そのため、排水溝31にたまる塵や埃を洗い流すことができ、排水溝31の目詰まりが起こりにくくなる。
【0078】
また、図16(B)では、パッキン34の中央部付近にも隙間37がある。こうすることで、少量の液体が排水溝31に流れ込むことになり、排水溝31にたまった塵や埃が、この液体により洗い流されやすくなる。
【0079】
図17では、図16(A),図16(B)における隙間35〜37に対向するシャッタの先端部の位置に突起35a〜37aを設けている。この突起35a〜37aは、設けられている隙間35〜37の幅よりも小さな幅である。
【0080】
こうすることにより、シャッタ30が紙幣取出口3bを開閉するたび、突起35a〜37aが隙間35〜37を往復するため、隙間35〜37に塵や埃がつまりにくくなる。
【0081】
なお、二つの角部ではなく、一方の角部にだけ隙間があっても良い。この場合でも、同様の効果が得られる。また、角部以外の部位に隙間があっても良い。また、図3や図11で示した構成に対してこの構成を設けても良い。また、パッキン32,33を設けずとも良い。この場合、シャッタ30が閉位置に位置しているとき、先端部がパッキン34に当接し、シャッタ30の側辺は、例えば、装置本体に密着させる構成にしておけばよい。また、パッキン32〜34は一体形成された一つのパッキンであっても良い。
【0082】
また、硬貨貯留部14に設けられているパッキン、排水溝、シャッタは上述した紙幣貯留部13に設けられているパッキン、排水溝、シャッタと同様の構成であるため其の詳細な説明は省略する。
【0083】
また、この発明は、現金自動預け払い機だけでなく、入金取引、出金取引、振込取引等の取引を処理する取引処理装置(例えば、出金装置、現金自動払い機、紙葉類取扱装置)であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】ATMの外観を示す概略図である。
【図2】ATMの主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】紙幣貯留部の正面図である。
【図4】シャッタの上面図及び先端部の部分拡大図である。
【図5】紙幣貯留部のAA’方向での側面断面図である。
【図6】シャッタが閉位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図7】シャッタが一時停止位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図8】シャッタが開位置に位置しているときにおける、紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図9】制御部がシャッタを開閉する制御を示すフローチャートである。
【図10】シャッタの各位置に応じた紙幣貯留部のBB’方向での側面断面図である。
【図11】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図12】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のCC’方向での側面断面図である。
【図13】シャッタが閉位置に位置しているときにおける、パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のDD’方向での側面断面図である。
【図14】シャッタが開位置に位置しているときにおける、パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部のDD’方向での側面断面図である。
【図15】シャッタ、パッキン、排水溝の形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図16】パッキンの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【図17】シャッタの形状を変化させた紙幣貯留部の上面図である。
【符号の説明】
【0085】
1−ATM
2−制御部
3−紙幣処理部
3a,3b−紙幣取出口
4−硬貨処理部
4a−硬貨取出口
5−カード処理部
5a−カード投入口
6−通帳処理部
6a−通帳投入口
7−明細票処理部
7a−明細票発行口
8−表示部
8a−表示器
9−操作部
9a−タッチパネル
10−通信部
11−ホスト装置
13−紙幣貯留部
13a,30−シャッタ
14−硬貨貯留部
20〜22,32〜34−パッキン
20a〜22a,20c〜22c−切り込み
20b〜22b−変形部
23,31−排水溝
23a〜23c−側壁
24−排水パイプ
26,27−光透過型センサ
26a,27a−発光部
26b,27b−受光部
28−液体
35〜37−隙間
35a〜37a−突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出口を上面に設け、放出する出金貨幣を貯留する出金貨幣貯留部と、
前記出金貨幣貯留部の前記取出口の上方に位置するシャッタを開位置と閉位置との間でスライドさせ、前記出金貨幣貯留部の前記取出口を開閉する開閉制御部と、
前記出金貨幣貯留部の外側に設けた排水溝と、
前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、そのシャッタの周囲に沿って当接する弾性体と、を備え、
前記シャッタは、前記閉位置に位置しているとき、その先端部が前記排水溝の上方に位置する、取引処理装置。
【請求項2】
前記弾性体は、前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、そのシャッタの後端の辺を除く各辺に沿って当接する位置に設けられている、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記弾性体は、前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、前記シャッタが当接する辺の少なくとも角部に隙間が設けられている、請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記シャッタは、前記弾性体に当接する辺に溝が形成されている、請求項2または3に記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記シャッタは、後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状である、請求項1〜4の何れかに記載の取引処理装置。
【請求項6】
前記シャッタは、先端の辺が後端の辺よりも短い台形形状である、請求項5に記載の取引処理装置。
【請求項7】
前記開閉制御部は、前記シャッタを前記閉位置から前記開位置までスライドさせるとき、所定の位置で一時停止させる、請求項1〜6の何れかに記載の取引処理装置。
【請求項8】
前記開閉制御部は、外部から入力された降水量に係る情報を受け付け、この情報に基づいて、前記シャッタを一時停止させる時間を決定する、請求項7に記載の取引処理装置。
【請求項9】
前記開閉制御部は、前記シャッタを開するとき、前回前記シャッタが前記閉位置に来たときからの経過時間により、前記シャッタを一時停止させる時間を決定する、請求項7または8に記載の取引処理装置。
【請求項1】
取出口を上面に設け、放出する出金貨幣を貯留する出金貨幣貯留部と、
前記出金貨幣貯留部の前記取出口の上方に位置するシャッタを開位置と閉位置との間でスライドさせ、前記出金貨幣貯留部の前記取出口を開閉する開閉制御部と、
前記出金貨幣貯留部の外側に設けた排水溝と、
前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、そのシャッタの周囲に沿って当接する弾性体と、を備え、
前記シャッタは、前記閉位置に位置しているとき、その先端部が前記排水溝の上方に位置する、取引処理装置。
【請求項2】
前記弾性体は、前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、そのシャッタの後端の辺を除く各辺に沿って当接する位置に設けられている、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記弾性体は、前記シャッタが前記閉位置に位置しているとき、前記シャッタが当接する辺の少なくとも角部に隙間が設けられている、請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記シャッタは、前記弾性体に当接する辺に溝が形成されている、請求項2または3に記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記シャッタは、後端から先端に向かってその幅が狭くなる形状である、請求項1〜4の何れかに記載の取引処理装置。
【請求項6】
前記シャッタは、先端の辺が後端の辺よりも短い台形形状である、請求項5に記載の取引処理装置。
【請求項7】
前記開閉制御部は、前記シャッタを前記閉位置から前記開位置までスライドさせるとき、所定の位置で一時停止させる、請求項1〜6の何れかに記載の取引処理装置。
【請求項8】
前記開閉制御部は、外部から入力された降水量に係る情報を受け付け、この情報に基づいて、前記シャッタを一時停止させる時間を決定する、請求項7に記載の取引処理装置。
【請求項9】
前記開閉制御部は、前記シャッタを開するとき、前回前記シャッタが前記閉位置に来たときからの経過時間により、前記シャッタを一時停止させる時間を決定する、請求項7または8に記載の取引処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−211575(P2009−211575A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55712(P2008−55712)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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