説明

受信方法及び受信装置

【課題】パルスの捕捉が完了するまでに多大の時間を要することがあった。
【解決手段】信号中に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、任意の時刻である第1の時刻を起点として、前記パルスの長さに対応する一定の期間であるウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みる受信工程であり、前記一定の期間に前記パルスを捕捉することができなかったとき、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍を経た第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間のr倍だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行によりにより行う前記受信工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の周期毎にパルスを含む信号を受信する受信方法及び当該受信方法を用いる受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の受信装置では、下記の特許文献1(図11)に記載されているように、送信装置から送信される信号に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、即ち、送信装置及び受信装置間で同期を取るべく、パルスを捕捉するためのウィンドウ期間(当該受信装置が前記信号の復調及び復号を行うことができるようにオン状態になっている期間)のタイミングを少しずつずらしながら前記パルスの捕捉を試みる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−121609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の受信装置では、前記パルスの捕捉の試みを開始したときの前記ウィンドウ期間の位置の如何によっては、前記パルスの捕捉が完了するまでに多大の時間を要することがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべく、以下の適用例により実現される。
【0006】
[適用例1]
適用例1の受信方法は、
信号中に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、任意の時刻である第1の時刻を起点として、前記パルスの長さに対応する一定の期間であるウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みる受信工程であり、前記一定の期間に前記パルスを捕捉することができなかったとき、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍(pは正の整数である定数)を経た第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間(qは1以上の整数である定数)のr倍(rは1以上の整数である変数)だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行により行う前記受信工程を含む。
【0007】
[適用例2]
適用例2の受信装置は、
アンテナと、制御回路と、受信回路と、を含み、
前記受信回路は、(1)前記アンテナが受信する信号中に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、前記制御回路により規定される、任意の時刻である第1の時刻を起点としての、前記パルスの長さに対応する一定の期間であるウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試み、(2)前記一定の期間に前記パルスを捕捉することができなかったとき、前記制御回路により規定される、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍(pは正の整数である定数)を経た第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間(qは1以上の整数である定数)のr倍(rは1以上の整数である変数)だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行により行う。
【0008】
適用例1の受信方法及び適用例2の受信装置によれば、前記第1の時刻を起点とする前記ウィンドウ期間で前記パルスの捕捉に失敗したとき、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍を経た前記第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間のr倍だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行により、即ち、前記ウィンドウ期間の位置を前記第2の時刻に近い位置から遠い位置へ向けて順次遠ざけることにより、前記パルスの捕捉を初めて試みた前記第1の時刻の位置の如何に拘わらず、従来に比して、前記パルスの捕捉が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0009】
特に、例えば、当該受信装置と対向の送信装置との間で同期を確立することができた後に、当該同期が解除され、再び同期を取ろうとする場合には、前記送信装置及び前記受信装置間での位相のずれが決して大きくないことが多いことから、従来と異なり、上記したような、前記ウィンドウ期間の位置を前記第2の時刻に近い位置から遠い位置へ向けて順次遠ざけることにより、前記パルスの捕捉が完了するまでの所要時間を短くすることが可能となる。
【0010】
さらに、適用例1の受信方法及び適用例2の受信装置では、qが2以上であるとき、前記パルスの捕捉を試みる一回当たりの期間が、qが1であるときに比較して長くなる(q倍になる)ことから、qが1であるときに比して、消費電力を増大させることなく、前記パルスの捕捉が完了するまでの所要時間をより短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施例の受信装置について図面を参照して説明する。
【0012】
《実施例1》
〈構成〉
図1は、実施例1の受信装置の構成を示す。実施例1の受信装置RX1は、送信装置(図示せず。)から送信される、図2に示されるような、送受信号SG1中に一定の周期Tx毎に含まれるパルスP1、P2、P3、...を捕捉すべく、図1に示されるように、アンテナ1と、受信回路2と、局部発振回路(クロック発振回路)3と、分周回路4と、選択回路5と、ON/OFFタイミング制御回路6と、受信検出回路7とを含む。
【0013】
アンテナ1は、前記送受信号SG1を受信すべく、例えば、ループアンテナから構成されている。
【0014】
受信回路2は、前記アンテナ1の後段に設けられており、かつ、前記アンテナ1から前記送受信号SG1の入力を受け、当該送受信号SG1に含まれる前記パルスP1、P2、P3、...のうちのいずれかを捕捉すべく、即ち、前記送信装置との間で同期を取るべく、ON/OFFタイミング制御回路6からの制御信号CT1による制御の下、当該制御信号CT1により特定されるタイミングで、即ち、時刻t1、t2、t3、...のときに、前記いずれかのパルスを、前記パルスP1、P2、P3、...の幅より僅かに長いウィンドウ期間Twであるウィンドウ期間Tw1、Tw2、Tw3、...の間だけ捕捉することを試み、換言すれば、受信回路2は、ウィンドウ期間Tw1、Tw2、Tw3、...以外の期間では、前記送受信号SG1を捕捉することを試みない(即ち、オフ状態になっている。)。受信回路2は、パルスを捕捉することができたときに限り、当該パルスと同一である捕捉信号AC1を出力する。
【0015】
局部発振回路3は、例えば、水晶振動子(図示せず。)を有し、当該水晶振動子により規定される周波数を有する発振信号OS1を生成する。
【0016】
分周回路4は、分周器等からなり、前記局部発振回路3から入力を受ける前記発振信号OS1を用いて、例えば、上記した一定の周期Tx、ウィンドウ期間Twの(+1)倍である+1Tw、ウィンドウ期間Twの(+2)倍である+2Tw、ウィンドウ期間Twの(−2)倍である−2Twを表す信号、換言すれば、位相(Tx)、位相(+1Tw)、位相(+2Tw)、位相(−2Tw)を生成する。
【0017】
選択回路5は、前記分周回路4の後段に設けられており、前記分周回路4から出力される位相(Tx)、位相(+1Tw)、位相(+2Tw)、位相(−2Tw)を選択的に用いることにより、例えば、時刻t1から位相(Tx+1Tw)だけ離れた時刻t2を起点とするウィンドウ期間であるウィンドウ期間Tw2を設けるべく、位相(Tw)及び位相(+1Tw)を選択する。
【0018】
選択回路5は、原理的には、図3(B)に示されるような、同一の方向に沿って位置が少しずつシフトされているウィンドウ期間Tw1、Tw2、Tw3、...を順次規定する従来の受信装置(特開2006−121609号公報)と相違して、図3(A)に示されるように、(1回目)まず、ウィンドウ期間Tw1を規定し(時刻t1)、(2回目)ウィンドウ期間Tw1を規定した後に、当該ウィンドウ期間Tw1よりウィンドウ期間Twの長さ(幅)だけ進んだ位置にウィンドウ期間Tw2を規定し(時刻t2)、(3回目)当該ウィンドウ期間Tw2を規定した後に、前記ウィンドウ期間Tw1よりウィンドウ期間Twの長さだけ遅れた位置にウィンドウ期間Tw3を規定し(時刻t3)(4回目)前記ウィンドウ期間Tw3を規定した後に、前記ウィンドウ期間Tw1より2Twだけ進んだ位置にウィンドウ期間Tw4を規定し(時刻t4)、(5回目)前記ウィンドウ期間Tw4を規定した後に、前記ウィンドウ期間Tw1より2Twだけ遅れた位置にウィンドウ期間Tw5を規定する(時刻t5)、...のように、1回目のウィンドウ期間Tw1からウィンドウ期間Twのr倍(rは1以上の整数である変数)だけ進んだ位置又は遅れた位置に、ウィンドウ期間Tw2、Tw3、Tw4、Tw5、...を、rを漸増させつつ規定する。
【0019】
ON/OFFタイミング制御回路6は、前記選択回路5の後段に設けられており、前記選択回路5から出力される前記位相(Tx)及び位相(+1Tw)を用いて、時刻t1から位相(Tx+1Tw)だけ離れた時刻t2を起点とするウィンドウ期間Tw2を生成することにより、前記受信回路2に、前記送受信号SG1中のいずれかのパルスの捕捉を試みさせる。
【0020】
受信検出回路7は、受信回路2の後段に設けられており、当該受信回路2が、前記送受信号SG1に含まれるパルスP1、P2、P3、...のうちのいずれかを捕捉することができたか否かを判断し、捕捉することができたと判断したとき、例えば、図2に示されるように、受信回路2が、ウィンドウ期間Tw5のとき、パルスP5と同一である捕捉信号AC1を出力することにより、受信回路2がパルスP5を捕捉することができたと判断したとき、前記選択回路5に、上記したような位相(Tx)、位相(+1Tw)、位相(+2Tw)、位相(−2Tw)の選択動作を中止させ、その代わりに、選択回路5に、ウィンドウ期間Tw5以後、前記一定の周期Tx毎に、ウィンドウ期間Tw6、Tw7、...を規定させる。
【0021】
〈動作〉
実施例1の受信装置の動作について図2のタイミングチャートを参照して説明する。
【0022】
ステップS1:受信回路2は、ON/OFFタイミング制御回路6からの制御信号CT1による制御の下で、任意の時刻である時刻t1のとき、ウィンドウ期間Tw1の間だけ、オン状態になり、即ち、送受信号SG1中のパルス、例えば、パルスP1の捕捉を試みる。
【0023】
ステップS2:受信検出回路7は、受信回路2が前記ウィンドウ期間Tw1内にパルスP1を捕捉することができなかったことを検出すると、選択回路5に対し何らの通知を行わない。その結果として、選択回路5は、前記時刻t1から位相(Tx+1Tw)だけ離れた時刻t2を起点とするウィンドウ期間Tw2の間だけ受信回路2を動作させるべく、即ちオン状態にすべく、分周回路4から出力される位相(Tx)及び位相(+1Tw)を選択することにより、時刻t2を規定する。
【0024】
ステップS3:受信回路2は、時刻t2のとき、ウィンドウ期間Tw2の間だけ、送受信号SG1中のパルス、例えば、パルスP2の捕捉を試みる。
【0025】
ステップS4:受信検出回路7が、受信回路2が前記ウィンドウ期間Tw2内にパルスP2を捕捉することができなかったことを検出すると、ステップS2と同様にして、選択回路5は、前記時刻t2から位相(Tx−2Tw)だけ離れた時刻t3(換言すれば、時刻t1から位相(Tx−1Tw)だけ離れた時刻t3)を起点とするウィンドウ期間Tw3の間だけ受信回路2をオン状態にすべく、位相(Tx)及び位相(−2Tw)を選択することにより、時刻t3を規定する。
【0026】
ステップS5:受信回路2は、時刻t3のとき、ウィンドウ期間Tw3の間だけ、送受信号SG1中のパルス、例えば、パルスP3の捕捉を試みる。
【0027】
ステップS6:受信検出回路7が、受信回路2が前記ウィンドウ期間Tw3内にパルスP3を捕捉することができなかったことを検出すると、ステップS2、S4と同様にして、選択回路5は、前記時刻t3から位相(Tx+3Tw)だけ離れた時刻t4(換言すれば、時刻t1から位相(Tx+2Tw)だけ離れた時刻t4)を起点とするウィンドウ期間Tw4の間だけ受信回路2をオン状態にすべく、位相(Tx)、位相(+1Tw)、位相(+2Tw)を選択することにより、時刻t4を規定する。
【0028】
ステップS7:受信回路2は、時刻t4のとき、ウィンドウ期間Tw4の間だけ、送受信号SG1中のパルス、例えば、パルスP4の捕捉を試みる。
【0029】
ステップS8:受信検出回路7が、受信回路2が前記ウィンドウ期間Tw4内にパルスP4を捕捉することができなかったことを検出すると、ステップS2、S4、S6と同様にして、選択回路5は、前記時刻t4から位相(Tx−4Tw)だけ離れた時刻t5(換言すれば、時刻t1から位相(Tx−2Tw)だけ離れた時刻t5)を起点とするウィンドウ期間Tw5の間だけ受信回路2をオン状態にすべく、位相(Tx)、位相(−2Tw)を選択することにより、時刻t5を規定する。
【0030】
ステップS9:受信検出回路7は、受信回路2から出力される捕捉信号AC1により、受信回路2が前記ウィンドウ期間Tw5内にパルスP5を捕捉することができたことを検出すると、選択回路5に、時刻t5の後には位相(Tx)毎に時刻t6、時刻t7、...を規定するように指示し、当該選択回路5は、当該指示に応答して、時刻t5の後には位相(Tx)毎に時刻t6、時刻t7、...を規定する。
【0031】
ステップS10:受信回路2は、時刻t5から位相(Tx)だけ離れた時刻t6のとき、ウィンドウ期間Tw6の間に送受信号SG1中のパルスP6を捕捉し、即ち、同期を維持し、同様にして、時刻t6から位相(Tx)だけ離れた時刻t7のとき、ウィンドウ期間Tw7の間に送受信号SG1中のパルスP7を捕捉することにより、前記同期を維持する。
【0032】
〈効果〉
上述したように、実施例1の受信装置RX1では、ウィンドウ期間Tw1の間だけ受信回路2をオン状態にした後、図2及び図3(A)に示されるように、当該ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw2、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw3、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw4、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw5、...のように、ウィンドウ期間Tw1を中心として、位相(Tw)の整数倍だけ離れたウィンドウ期間だけ順次受信回路2をオン状態にすることにより、送受信号SG1中に含まれるパルスP1、P2、P3、...のいずれかを捕捉することができるまでに費やされる所要時間を、従来に比して短縮することが可能となる。
【0033】
特に、例えば、受信装置RX1と対向の送信装置との間で同期を確立することが一旦できた後に当該同期が解除された場合であって、再び同期を取ろうとするときには、前記送信装置及び当該受信装置RX1間での位相のずれが比較的小さいことが多いことから、上記したような、前記ウィンドウ期間Tw2、Tw3、Tw4、Tw5の位置を最初のウィンドウ期間Tw1に近い位置から遠い位置へ向けて順次遠ざけることにより、前記パルスの捕捉が完了するまでの所要時間を短くすることが可能となる。
【0034】
《変形例1》
上記した実施例1の順序とは対照的に、図4に示されるように、ウィンドウ期間Tw1の間だけ受信回路2をオン状態にした後、当該ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw2、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw3、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw4、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw5、...のような順序で受信回路2をオン状態にすることによっても、上記した実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0035】
《変形例2》
上記した実施例1の順序と異なり、ウィンドウ期間Tw1の間だけ受信回路2をオン状態にした後、当該ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw2、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw3、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw4、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw5、...のような順序で受信回路2をオン状態にすることによっても、上記した実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0036】
《変形例3》
上記した変形例2の順序と対照的に、ウィンドウ期間Tw1の間だけ受信回路2をオン状態にした後、当該ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw2、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx−2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw3、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw4、前記ウィンドウ期間Tw1から位相(Tx+2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw5、...のような順序で受信回路2をオン状態にすることによっても、上記した実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0037】
《変形例4》
変形例4の受信装置RX1では、実施例1の受信装置RX1の動作の原理を示す図3(A)と、変形例4の受信装置RX1の動作の原理を示す図5との比較から明らかなように、実施例1の位相(Tx)に代えて、より正確には位相(0)に代えて、位相(p*Tx)を中心にウィンドウ期間Tw2、Tw3、Tw4、Tw5、...を作成する(pは正の整数である定数。例えば、1/2、1/3、1/4。)。
【0038】
より具体的には、例えば、p=1/2であることを想定すると、図6に示されるように、ウィンドウ期間Tw1の後には、ウィンドウ期間Tw1から位相(1/2*Tx)だけ離れたウィンドウ期間Tw2に、3回目には、ウィンドウ期間Tw1から位相(1/2*Tx+1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw3に、4回目には、ウィンドウ期間Tw1から位相(1/2*Tx−1Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw4に、5回目には、ウィンドウ期間Tw1から位相(1/2*Tx+2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw5に、6回目には、ウィンドウ期間Tw1から位相(1/2*Tx−2Tw)だけ離れたウィンドウ期間Tw6のように、次々にウィンドウ期間Tw1、Tw2、Tw3、Tw4、Tw5、Tw6を作成する。このような変形例4の受信装置RX1によっても、上記した実施例1の受信装置RX1と同様の効果を得ることができる。
【0039】
《実施例2》
〈構成〉
図7は、実施例2の受信装置の構成を示す。実施例2の受信装置RX10は、図7に示されるように、アンテナ10と、受信回路20と、局部発振回路30と、第1の分周回路40aと、第2の分周回路40bと、選択回路50と、ON/OFFタイミング制御回路60と、受信検出回路70とを含む。
【0040】
実施例2のアンテナ10、受信回路20、局部発振回路30、第1の分周回路40a、選択回路50、ON/OFFタイミング制御回路60、及び受信検出回路70は、実施例1のアンテナ1、受信回路2、局部発振回路3、分周回路4、選択回路5、ON/OFFタイミング制御回路6、及び受信検出回路7の構成及び機能と同一な構成及び機能を有し、また、実施例2の送受信号SG10及び捕捉信号AC10は、実施例1の送受信号SG1及び捕捉信号AC1に相当する。
【0041】
他方で、第2の分周回路40bは、図8に示されるように、制御信号CT10により、図2に図示されたウィンドウ期間Twのq倍(qは1以上の整数である定数。例えば、2。)のウィンドウ期間Tw、即ち、実施例1のウィンドウ期間Twの2倍の長さを有するウィンドウ期間Twを規定する。
【0042】
〈動作〉
実施例2の受信装置の動作について図8のタイミングチャートを参照して説明する。
【0043】
ステップS21:受信回路20は、ON/OFFタイミング制御回路60からの制御信号CT10による制御の下で、任意の時刻である時刻t1のとき、ウィンドウ期間Tw1の間だけ、送受信号SG10中のパルスP1の捕捉を試みる。
【0044】
ステップS22:受信検出回路70は、受信回路20が前記ウィンドウ期間Tw1内にパルスP1を捕捉することができなかったことを検出すると、選択回路50に対し何らの通知を行わない。その結果、選択回路50は、前記時刻t1から位相(Tx+1Tw)だけ離れた時刻t2を起点とするウィンドウ期間Tw2の間だけ受信回路20をオン状態にすべく、第1の分周回路40aから出力される位相(Tx)及び位相(+1Tw)を選択することにより、時刻t2を規定する。
【0045】
ステップS23:受信回路20は、時刻t2のとき、ウィンドウ期間Tw2の間だけ、送受信号SG10中のパルスP2の捕捉を試みる。
【0046】
ステップS24:受信検出回路70が、受信回路20が前記ウィンドウ期間Tw2内にパルスP2を捕捉することができなかったことを検出すると、ステップS22と同様にして、選択回路50は、前記時刻t2から位相(Tx−2Tw)だけ離れた時刻t3(換言すれば、時刻t1から位相(Tx−1Tw)だけ離れた時刻t3)を起点とするウィンドウ期間Tw3の間だけ受信回路20をオン状態にすべく、位相(TX)及び位相(−2Tw)を選択することにより、時刻t3を規定する。
【0047】
ステップS25:受信回路20は、時刻t3のとき、ウィンドウ期間Tw3の間だけ、送受信号SG10中のパルスP3の捕捉を試みる。
【0048】
ステップS26:受信検出回路70は、受信回路20から出力される捕捉信号AC10により、受信回路20が前記ウィンドウ期間Tw3内にパルスP3を捕捉することができたことを検出すると、選択回路50に、時刻t3の後には位相(Tx)毎に時刻t4、t5、t6、...を規定するように指示し、当該選択回路50は、当該指示に応答して、時刻t3の後には位相(Tx)毎に時刻t4、t5、t6...を規定する。
【0049】
ステップS27:受信回路20は、時刻t3から位相(Tx)だけ離れた時刻t4のとき、ウィンドウ期間Tw4の間に送受信号SG10中のパルスP4を捕捉し、即ち、同期を維持し、同様にして、時刻t4から位相(Tx)だけ離れた時刻t5のとき、ウィンドウ期間Tw5の間に送受信号SG10中のパルスP5を捕捉することにより、前記同期を維持する。受信回路20は、以下、同様にして、同期を維持し続ける。
【0050】
〈効果〉
上述したように、実施例2の受信装置RX10では、実施例1のウィンドウ期間Twの2倍の幅を有するウィンドウ期間Twの間、受信回路20をオン状態にすることにより、実施例1の受信装置RX1と同様の消費電力であるにも拘らず、実施例1の受信装置RX1に比して、同期を捕捉するまでに掛かる所要時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の受信装置の構成を示す図。
【図2】実施例1の受信装置の動作を示すタイミングチャート。
【図3】実施例1の受信装置及び従来の受信装置の動作の原理を示す図。
【図4】変形例1の受信装置の動作を示すタイミングチャート。
【図5】変形例4の受信装置の動作の原理を示す図。
【図6】変形例4の受信装置の動作を示すタイミングチャート。
【図7】実施例2の受信装置の構成を示す図。
【図8】実施例2の受信装置の動作を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0052】
RX1…受信装置、2…受信回路、3…局部発振回路、4…分周回路、5…選択回路、6…ON/OFFタイミング制御回路、7…受信検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号中に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、任意の時刻である第1の時刻を起点として、前記パルスの長さに対応する一定の期間であるウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みる受信工程であり、前記一定の期間に前記パルスを捕捉することができなかったとき、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍(pは正の整数である定数)を経た第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間(qは1以上の整数である定数)のr倍(rは1以上の整数である変数)だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行により行う前記受信工程を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項2】
アンテナと、制御回路と、受信回路と、を含み、
前記受信回路は、(1)前記アンテナが受信する信号中に一定の周期毎に含まれるパルスを捕捉すべく、前記制御回路により規定される、任意の時刻である第1の時刻を起点としての、前記パルスの長さに対応する一定の期間であるウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試み、(2)前記一定の期間に前記パルスを捕捉することができなかったとき、前記制御回路により規定される、前記第1の時刻から前記一定の周期の長さのp倍(pは正の整数である定数)を経た第2の時刻から、実質的に前記ウィンドウ期間のq倍に相当する期間(qは1以上の整数である定数)のr倍(rは1以上の整数である変数)だけ進み又は遅れた第3の時刻を起点として、前記ウィンドウ期間に、前記パルスの捕捉を試みることをrの漸増、及び、前記進み及び前記遅れの実質的な交互の実行により行うことを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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