説明

受信端末初期設定システム

【課題】コンテンツ配信ネットワークを構成する複数のコンテンツ受信端末の個別初期設定を、少ないネットワーク負荷で容易に行うことのできる受信端末初期設定システムを提供する。
【解決手段】ホストコンピュータ9は複数のSTB3と通信する。STB3はコンテンツ受信端末である。ホスト側設定データ記憶部21は、複数のSTB3の各々に固有の端末固有設定データを記憶する。ホストコンピュータ9は、複数のSTB3にブロードキャストで設定開始を通知し、複数のSTB3の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各STB3に固有の端末固有コードを受け付ける。さらに、ホストコンピュータ9は、端末固有コードに対応する端末固有設定データをホスト側設定データ記憶部21から抽出し、端末固有コードに対応するコンテンツ受信端末に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークに設けられ、複数のコンテンツ受信端末と通信して初期設定用のデータを提供する受信端末初期設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコンテンツ受信端末へネットワーク経由でサーバから映像等のコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークが知られている。このようなコンテンツ配信ネットワークでは、各々のコンテンツ受信端末の初期設定は、個別に作業員が行う必要があった。
【0003】
コンテンツ配信ネットワークは、例えば、ホテル等の施設に備えられている。ホテルでは、各部屋にコンテンツ受信端末としてのセットトップボックス(以下、STBという)が置かれる。それらSTBがローカルエリアネットワークを介してVODサーバに接続され、VODサーバから各STBへ映像等のコンテンツが配信される。このようなコンテンツ配信ネットワークにおいては、全部屋のSTBの初期設定を行うためには、作業員が各部屋に行き、各部屋の中でSTBの初期設定を行う必要があった。
【0004】
また、ネットワーク機器の初期設定に関連する技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。同文献ではローカルエリアネットワークに複数のハブ装置が接続されている。一つのハブ装置から残りの複数のハブ装置に対してブロードキャストで設定データがダウンロードされる。各ハブ装置は、ダウンロードされた設定データに従って設定動作を行う。このようにして、ブロードキャスト通信を利用することにより、各機器の設置場所に作業員が行かなくても多数の機器の設定が可能になり、設定作業が容易に行われる。
【特許文献1】特開平9−200241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコンテンツ受信端末の初期設定は、上述したように一つ一つのコンテンツ受信端末の設置場所で作業員によって行われており、そのため作業に手間と時間がかかる。また、端末数が増えると、設定ミスの可能性も高くなり、そして、設定ミスを修正するためにさらなる手間もかかってしまう。このように、従来のコンテンツ配信ネットワークでは、コンテンツ受信端末の初期設定が容易でないという問題があった。
【0006】
また、上述の特許文献1はブロードキャスト通信で設定データをネットワーク機器に送っていた。しかし、コンテンツ受信端末の設定内容は比較的多く、初期設定に必要な情報量も少なくない。そのため、仮にブロードキャスト通信で設定データをコンテンツ受信端末に送ったとすると、ネットワークへの負荷が大きくなるという問題がある。また、コンテンツ受信端末毎に設定内容を異ならせるという要求に応えられないという問題もある。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、コンテンツ受信端末毎の個別の初期設定を、少ないネットワーク負荷で容易に行うことのできる受信端末初期設定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の受信端末初期設定システムは、複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークに設けられ、前記複数のコンテンツ受信端末との通信によって前記複数のコンテンツ受信端末へ初期設定用のデータを提供する。本発明のシステムは、前記複数のコンテンツ受信端末と通信するホストコンピュータを備え、前記ホストコンピュータは、前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶する設定データ記憶手段と、前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知する開始通知手段と、前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付ける応答受付手段と、前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記設定データ記憶手段から抽出して前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る設定データ提供手段と、を備え、前記複数のコンテンツ受信端末の各々は、前記ホストコンピュータから受信した前記端末固有設定データに従って初期設定を行う。
【0009】
この構成により、ホストコンピュータが複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知すると、各コンテンツ受信端末がユニキャストで設定開始応答とともに端末固有コードを送り、ホストコンピュータが端末固有コードに対応する端末固有設定データを該当するコンテンツ受信端末にユニキャストで提供する。そして、各コンテンツ受信端末は、ホストコンピュータから受信した端末固有設定データに従って初期設定を行う。したがって、一つ一つのコンテンツ受信端末の設置場所へ作業員が初期設定データを入力しに行かなくてよいので、初期設定が容易になる。また、各コンテンツ受信端末へ端末固有設定データがユニキャストで送られるので、ネットワーク負荷の増大を避けることができ、また、端末毎の設定内容を異ならせることができる。こうして、コンテンツ受信端末毎の個別の初期設定を少ないネットワーク負荷で容易に行うことのできる受信端末初期設定システムを提供できる。
【0010】
また、本発明の受信端末初期設定システムにおいて、前記設定データ記憶手段は、前記端末固有設定データを、複数項目データを含んだ端末固有設定データファイルの形式で記憶しており、前記設定データ提供手段は、前記端末固有設定データファイルを前記コンテンツ受信端末に提供する。
【0011】
この構成により、各コンテンツ受信端末の初期設定データをファイル化するので、ネットワークの通信負荷を低減できる。
【0012】
また、本発明の受信端末初期設定システムにおいて、前記複数のコンテンツ受信端末および前記ホストコンピュータはサブホストコンピュータと接続されており、前記設定開始応答を送ってきた応答端末数が所定のホスト配信上限数を超過した場合、前記応答端末数と前記ホスト配信上限数の差分に相当する数のコンテンツ受信端末を超過コンテンツ受信端末とし、前記超過コンテンツ受信端末の前記端末固有設定データを前記サブホストコンピュータ経由で送信する。
【0013】
この構成により、コンテンツ受信端末の数が多い場合に、サブホストコンピュータを経由することにより負荷分散が可能になる。
【0014】
また、本発明の受信端末初期設定システムにおいて、前記ホストコンピュータは、複数の前記超過コンテンツ受信端末の前記端末固有設定データをまとめて前記サブホストコンピュータに送り、前記サブホストコンピュータは、複数の前記超過コンテンツ受信端末の各々から前記端末固有コードを受け付けて、該当する前記端末固有設定データを提供する。
【0015】
この構成により、複数のコンテンツ受信端末の設定データがまとめてサブホストコンピュータに送られ、それら複数のコンテンツ受信端末に振り分けられるので、負荷分散が可能になり、設定データの配布に要する時間を短縮でき、これにより初期設定に要する時間も短縮できる。
【0016】
本発明の別の態様は、上記の受信端末初期設定用のホストコンピュータ装置である。このホストコンピュータ装置は、前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶する設定データ記憶手段と、前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知する開始通知手段と、前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付ける応答受付手段と、前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記設定データ記憶手段から抽出して前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る設定データ提供手段と、を備える。この態様によっても上述の本発明の利点が得られる。
【0017】
本発明の別の態様は、上述のシステムによって実行される受信端末初期設定方法である。この方法では、前記ホストコンピュータは、前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶しており、前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知し、前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付け、前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送り、前記コンテンツ受信端末は、前記ホストコンピュータから受信した前記端末固有設定データに従って初期設定を行う。この態様によっても上述の本発明の利点が得られる。
【0018】
本発明の別の態様は、上述のホストコンピュータで実行されるプログラムである。このプログラムは、前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶し、前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知し、前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付け、前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る処理を前記ホストコンピュータ装置に実行させる。この態様によっても上述の本発明の利点が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ホストコンピュータから各コンテンツ受信端末にユニキャストで端末固有設定データを送る構成を設けることにより、コンテンツ受信端末毎の個別の初期設定を少ないネットワーク負荷で容易に行うことができるという効果を有する受信端末初期設定システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る受信端末初期設定システムについて、図面を用いて説明する。
【0021】
本発明の実施の形態に係る受信端末初期設定システムを備えたコンテンツ配信ネットワークを図1〜図3に示す。図1および図2がコンテンツ配信ネットワーク全体を示しており、図3が受信端末初期設定システムを示している。まず、図1および図2を参照して、全体の構成を説明する。本実施の形態では、コンテンツ配信ネットワークがホテルに備えられ、コンテンツ受信端末がセットトップボックス(以下、STB)である。
【0022】
図1に示されるように、コンテンツ配信ネットワーク1においては、複数のSTB3が、クローズされたローカルエリアネットワーク5を介してVODサーバ7と接続されている。さらに、複数のSTB3は、ローカルエリアネットワーク5を介して、ホストコンピュータ9およびサブホストコンピュータ11とも接続されている。さらに、ローカルエリアネットワーク5はインターネット13とも接続されている。
【0023】
STB3にはVODサーバ7から映像等のコンテンツが提供される。ホストコンピュータ9は、各STB3の稼働状況等を監視してコンテンツ配信ネットワーク1を管理するコンピュータ装置である。また、サブホストコンピュータ11は、ホストコンピュータ9を補助するコンピュータ装置である。
【0024】
上記構成において、本実施の形態の受信端末初期設定システムの主な機能はホストコンピュータ9、各STB3およびサブホストコンピュータ11に設けられている。また、図1には示されないが、コンテンツ配信ネットワーク1にはルータが組み込まれてよく、これにより、ネットワークを分割して管理することが可能になる。
【0025】
図2は、STB3関連の構成をより詳細に示している。STB3はホテルの各部屋に設置されている。STB3は、各部屋の各種機器と接続される。図の例では、STB3は、テレビ101に接続され、テレビ101は外部機器103、105に接続される。STB3は、受光モジュール107を介してリモコン109、キーボード111から信号を受信し、また、発光モジュール113を介してテレビ101に信号を送る。さらに、STB3は、宿泊客のパーソナルコンピュータ115と接続可能である。また、テレビ101は、ホテル設備である共通アンテナ117と接続されている。このような構成により、ホテル宿泊客は、STB3と関連システムを利用して、各種コンテンツの提供を受けたり、その他のIT関連サービスを受けることができる。
【0026】
次に、図3を参照し、本実施の形態に係る受信端末初期設定システムの構成を説明する。図3は、ホストコンピュータ9、サブホストコンピュータ11およびSTB3における初期設定関連の構成を示している。
【0027】
図3に示すように、ホストコンピュータ9は、ホスト側設定データ記憶部21、ホスト側初期設定制御部23、ネットワーク通信部25、DHCPサーバ部27および入力部29を備えている。
【0028】
ホスト側設定データ記憶部21は、STB3に提供されるべき初期設定データを記憶している。初期設定データはSTB3毎に異なっている。本実施の形態では、各STB3に固有の初期設定データを、端末固有設定データという。端末固有設定データは、複数の設定内容情報を含んだ端末固有設定データファイルのかたちにファイル化されている。
【0029】
各STB3の端末固有設定データファイルは、端末固有コードと関連づけられている。端末固有コードは、各STB3に固有のコードである。本実施の形態の例では、端末固有コードが、STB3のシリアル番号である。そして、端末固有設定データファイルのファイル名に、該当STB3のシリアル番号が含められており、これにより各ファイルが端末固有コードと関連づけられる。
【0030】
ホスト側初期設定制御部23は、ホストコンピュータ9側で初期設定関連の処理を行う構成である。ホスト側初期設定制御部23は、各STB3の端末固有設定データファイルを、シリアル番号をキーにしてホスト側設定データ記憶部21から読み出して、該当するSTB3へとネットワーク通信部25を介して送信する。
【0031】
DHCPサーバ部27は、サブホストコンピュータ11のDHCPクライアント部37およびSTB3のDHCPクライアント部47と共に、DHCPの機能を実現する。DHCP(Dynaimc Host Configuration Protocol)は、周知のように、各クライアントの起動時に、クライアントに動的にIPアドレスを割り当ててネットワーク設定を行う機能である。
【0032】
入力部29は、キーボード等で構成されており、各種のデータを入力するために用いられる。各STB3の端末固有設定データは、入力部29から入力されてホスト側設定データ記憶部21に格納されてよい。また、初期設定開始の指示も、入力部29から入力されてよい。
【0033】
次に、サブホストコンピュータ11は、サブホスト側設定データ記憶部31、サブホスト側初期設定制御部33、ネットワーク通信部35およびDHCPクライアント部37を備えている。
【0034】
サブホスト側設定データ記憶部31は、ホストコンピュータ9から供給された端末固有設定データファイルを記憶する。後述するように、ホストコンピュータ9からサブホストコンピュータ11へは、STB3の数が所定のホスト配信上限数より多いときに端末固有設定データファイルが供給される。
【0035】
サブホスト側初期設定制御部33は、サブホストコンピュータ11側で初期設定関連の処理を行う構成である。サブホスト側初期設定制御部33は、サブホスト側設定データ記憶部31の端末固有設定データファイルを、ホストコンピュータ9から指示されたSTB3へと提供する。
【0036】
STB3は、端末側設定データ記憶部41、端末側初期設定制御部43、ネットワーク通信部45およびDHCPクライアント部47を備えている。
【0037】
端末側設定データ記憶部41は、ホストコンピュータ9またはサブホストコンピュータ11から提供された端末固有設定データファイルを記憶する。ホストコンピュータ9は、複数のSTB3の端末固有設定データファイルを記憶していたが、STB3の端末側設定データ記憶部41は、自己のSTB3のための端末固有設定データファイルのみを記憶する。端末側設定データ記憶部41は不揮発性メモリで構成されている。
【0038】
端末側初期設定制御部43は、STB3側で初期設定関連の処理を行う構成である。STB3は、ホストコンピュータ9またはサブホストコンピュータ11から端末固有設定データファイルを取得して端末側設定データ記憶部41に格納する。また、STB3は、端末側設定データ記憶部41の端末固有設定データファイルに従って初期設定動作をSTB3に行わせる。
【0039】
図4は、端末固有設定データファイルの例を示している。端末固有設定データファイルは、STB3の初期設定に必要な複数の情報を含んでいる。図示のように、端末固有設定データファイルは、個別設定ファイル、アップデート設定ファイルおよびVLAN設定ファイルといった3つのファイルに別れている。各ファイルが、各STB3に固有の情報を持つ。
【0040】
例えば、個別設定ファイルでは、端末固有の情報は、「STB ID」、「IPアドレス」、「アップデータサーバ接続先」、「接続TVメーカ」、「接続TV画面モード」、「D端子出力設定」、「STB接続端子設定」、「外部機器接続端子設定1」、「外部機器接続端子設定2」、「リモコン受付無効時間設定」および「STB出力音量設定」である。
【0041】
また、アップデートサーバ設定ファイルでは、端末固有の情報は、「ログインアカウント」と「ログインパスワード」の両方である。また、VLAN設定ファイルでは、端末固有の情報は、「STBポート」および「PCポート」の情報である。本実施の形態では、アップデートサーバ設定ファイルおよびVLAN設定ファイルの情報は暗号化されている。暗号化には例えばSSHが利用される。暗号化通信方式を用いることにより、セキュリテイレベルを高くできる。
【0042】
図5は、上述のようにして構成された受信端末初期設定システムの動作を示すタイムチャートである。図5は、初期設定の対象になるSTB3の数が少なく、サブホストコンピュータ11が機能しない場合の動作を示している。図の例では、一つのSTB3が示されているが、すべてのSTB3が同様に動作する。
【0043】
ホストコンピュータ9では、DHCPサーバ部27が起動する(S1)。また、STB3のシリアル番号毎に端末固有設定データファイルが作成され、ホスト側設定データ記憶部21に格納される(S3)。
【0044】
STB3が起動し(S5)、DHCPで仮ネットワーク設定が行われる(S7)。このように初期状態ではDHCP機能でネットワークが確立される。それから、ホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23が初期設定処理を開始する(S9)。ここでは、例えば、入力部29がユーザにより操作されて、初期設定の指示が入力部29に入力される。この指示がホスト側初期設定制御部23に受け付けられて、初期設定が開始する。
【0045】
初期設定が開始すると、ホスト側初期設定制御部23は、ブロードキャストで全STB3に対して設定開始を通知する(S11)。各STB3の端末側初期設定制御部43は、ユニキャストで、シリアル番号と共に設定開始応答をホストコンピュータ9へ送る(S13)。この応答はホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23に受け付けられる。シリアル番号は既に述べたように端末固有コードの一例である。
【0046】
ホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23は、設定開始応答を送ってきた応答端末数が所定のホスト配信上限数を超過したか否かを判定する(S15)。ここでは、応答端末数がホスト配信上限数以下であったとする。
【0047】
この場合、各STB3は、ホストコンピュータ9からシリアル番号をキーに該当する端末固有設定データファイルを取得する(S17)。このとき、ホスト側初期設定制御部23は、各STB3のシリアル番号を含んだファイル名を持つ端末固有設定データファイルをホスト側設定データ記憶部21から読み出し、該当するSTB3へ送る。
【0048】
STB3では、端末側初期設定制御部43が、取得した端末固有設定データファイルを端末側設定データ記憶部41に格納する(S19)。このとき、ファイル名が適当にリネームされてよい。
【0049】
端末側初期設定制御部43は、端末固有設定データファイルに従った設定動作を行い、それから、ユニキャストで、シリアル番号と共に、設定完了通知をホストコンピュータ9に送る(S21)。この通知がホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23に取得される。ホストコンピュータ9は、端末管理テーブルを保持することで、全STB3の設定状況を管理してもよい。この場合、端末管理テーブルには、未設定、設定中、設定完了といった各種状態が書き込まれてよい。
【0050】
ホスト側初期設定制御部23は、STB3から設定完了の通知を受け取ると、そのSTB3に応答をユニキャストで送る(S23)。この応答と共に再起動指示が送られる。そして、STB3は、再起動を行う(S25)。全STB3が、各々異なる端末固有設定データファイルを取得して初期設定を行い、再起動する。したがって、全STB3が個別に設定された状態で動作できる。
【0051】
このようにして、本実施の形態では、全ての端末(STB3)が接続されてから、ホスト側から一斉に各種設定を指示することにより、全端末の個別設定を行うことができる。接続等に関する従来と同内容の端末別の初期設定を、従来より容易かつ迅速に行うことができる。
【0052】
上記の図5の例では、STB3の数が比較的少なく、応答受信端末数がホスト配信上限数以下であり、サブホストコンピュータ11が機能していない。これに対して、図6は、サブホストコンピュータ11が機能する場合の、受信端末初期設定システムの動作を示すタイムチャートである。図6では、図5と共通する部分は適宜省略されている。
【0053】
図5と同様に、図6においては、ホストコンピュータ9がブロードキャストで全STB3に対して設定開始を通知し(S11)、各STB3は、ユニキャストで、シリアル番号と共に設定開始応答をホストコンピュータ9へ送る(S13)。そして、ホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23は、設定開始応答を送ってきた応答端末数が所定のホスト配信上限数を超過したか否かを判定する(S15)。ここでは、応答端末数がホスト配信上限数を超過したとする。
【0054】
この場合、超過数(応答端末数とホスト配信上限数の差分に相当する数)のSTB3を、超過STBに設定する。本実施の形態の初期設定システムは、超過STBに関しては、以下の処理を行う。
【0055】
ホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23は、超過STBに設定されたSTB3に対して、ユニキャストで設定待機を通知する(S31)。設定待機を受け取ったSTB3は、設定開始通知待ち状態になる(S33)。ホスト側初期設定制御部23は、接続可能なサブホストコンピュータ11を検索する(S35)。サブホストコンピュータ11は予めホストコンピュータ9のメモリに登録されており、この登録されたサブホストコンピュータ11が検索される。そして、ホスト側初期設定制御部23は、サブホストコンピュータ11に対して、ユニキャストで対応準備を通知する(S37)。このとき、超過STBのシリアル番号が通知される。
【0056】
サブホストコンピュータ11のサブホスト側初期設定制御部33は、超過STBの端末固有設定データファイルが既にサブホスト側設定データ記憶部31に有るか否かを確認する(S39)。そして、サブホスト側初期設定制御部33は、超過STBの端末固有設定データファイルを持っていなければ、シリアル番号をキーに端末固有設定データファイルをホストコンピュータ9から取得する(S41)。ホスト側初期設定制御部23は、取得したシリアル番号を含んだファイル名を持つ端末固有設定データファイルをホスト側設定データ記憶部21から読み出し、サブホストコンピュータ11へ送る。このとき、複数の端末固有設定データファイルがまとめて一つのセッションでサブホストコンピュータ11へ送られる。
【0057】
サブホストコンピュータ11では、サブホスト側初期設定制御部33が、取得した端末固有設定データファイルをサブホスト側設定データ記憶部31に格納し、ユニキャストで対応準備完了の応答をホストコンピュータ9に送る(S43)。
【0058】
ホストコンピュータ9では、ホスト側初期設定制御部23が、ユニキャストで、接続先アドレスと共に、設定開始通知を、超過分のSTB3へと送る(S45)。接続先アドレスは、サブホストコンピュータ11のアドレスである。
【0059】
そして、STB3は、接続先アドレスに基づきサブホストコンピュータ11と通信する。STB3は、シリアル番号をキーに、サブホストコンピュータ11から端末固有設定データファイルを取得する(S47)。この動作は、ホストコンピュータ9から端末固有設定データファイルを取得する動作と同様でよい。すなわち、サブホスト側初期設定制御部33は、各STB3のシリアル番号を含んだファイル名を持つ端末固有設定データファイルをサブホスト側設定データ記憶部31から読み出し、該当するSTB3へ送る。STB3では、端末側初期設定制御部43が、取得した端末固有設定データファイルを端末側設定データ記憶部41に格納する(S49)。このとき、ファイル名が適当にリネームされてよい。
【0060】
端末側初期設定制御部43は、端末固有設定データファイルに従った設定動作を行い、それから、ユニキャストで、シリアル番号と共に、設定完了通知をホストコンピュータ9に送る(S51)。この通知がホストコンピュータ9のホスト側初期設定制御部23に取得される。
【0061】
以上により、超過STBへは、サブホストコンピュータ11を経由して端末固有設定データファイルが送られる。超過STB以外のSTB3へは、図5と同様の動作によって、ホストコンピュータ9から端末固有設定データファイルが送られる。このファイル送信は、サブホストコンピュータ11のファイル送信と並行して行われる。より詳細には、ホストコンピュータ9からSTB3へのファイル送信は、サブホストコンピュータ11へ超過STBの端末固有設定データファイルをまとめて送った後に行われる。
【0062】
このようにして、本実施の形態では、一部の端末固有設定データファイルがホストコンピュータ9からサブホストコンピュータ11経由でSTB3へ送られる。ホストコンピュータ9からサブホストコンピュータ11へは、複数の端末固有設定データファイルがまとめて送られる。したがって、本実施の形態によれば、ホストコンピュータ9が通信を確立すべきセッション数が低減する。こうして、負荷分散が可能になり、ホストコンピュータ9の負荷が減り、設定データの配布に要する時間を短縮でき、これにより初期設定に要する時間も短縮できる。
【0063】
なお、上記の例では、一つのサブホストコンピュータ11が示されていた。しかし、複数のサブホストコンピュータ11が設けられてもよいことはもちろんである。また、サブホストコンピュータ11は、専用のコンピュータでなくてよい。例えば、ホストコンピュータ9のミラーサーバが、初期設定のために、上記のサブホストコンピュータ11として機能してよい。
【0064】
また、上記の動作説明では、全部のSTB3の初期設定を同時に行う場合が想定されている。しかし、本実施の形態の初期設定システムは、一部のSTB3を交換するような場合にも好適に動作する。より詳細には、一部のSTB3が交換された場合も、図5および図6の動作が同様に行われる。ただし、正常なSTB3は、既に端末固有設定データファイルを持っているので、ホストコンピュータ9から端末固有設定データファイルを取得しない。したがって、交換されたSTB3のみが、設定開始応答をホストコンピュータ9に返し、端末固有設定データファイルをホストコンピュータ9に要求する。これに応えて、ホストコンピュータ9は、交換されたSTB3にのみ端末固有設定データファイルを供給する。
【0065】
以上に本発明の実施の形態に係る受信端末初期設定システムについて説明した。本実施の形態では、STB3がコンテンツ受信端末であった。また、ホスト側設定データ記憶部21が、ホストコンピュータ9の設定データ記憶手段に相当する。また、ホスト側初期設定制御部23が、ホストコンピュータ9の開始通知手段、応答受付手段および設定データ提供手段として機能する。
【0066】
本実施の形態によれば、ホストコンピュータ9が複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知すると、各コンテンツ受信端末がユニキャストで設定開始応答とともに端末固有コードを送る。そして、ホストコンピュータ9が端末固有コードに対応する端末固有設定データを設定データ記憶部21から抽出して、該当するコンテンツ受信端末にユニキャストで提供する。そして、各コンテンツ受信端末は、ホストコンピュータ9から受信した端末固有設定データに従って初期設定を行う。
【0067】
したがって、一つ一つのコンテンツ受信端末の設置場所へ作業員が初期設定データを入力しに行かなくても、従来と同内容の端末別の初期設定を行うことが可能である。これにより、初期設定の手間と時間を削減でき、作業員の設定ミスも減り、その修正のための手間も削減され、コンテンツ受信端末の初期設定が容易になる。また、各コンテンツ受信端末へ端末固有設定データがユニキャストで送られるので、ネットワーク負荷の増大を避けることができ、かつ、端末毎の設定内容を異ならせることができる。こうして、コンテンツ受信端末毎の個別の初期設定を少ないネットワーク負荷で容易に行うことのできる受信端末初期設定システムを提供できる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、端末固有設定データが、複数項目データを含んだ端末固有設定データファイルの形式で記憶されており、この端末固有設定データファイルが各コンテンツ受信端末に提供される。各コンテンツ受信端末の初期設定データをファイル化するので、ネットワークの通信負荷を低減できる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、応答端末数がホスト配信上限数を超過した場合、超過コンテンツ受信端末(上記例では超過STB)の端末固有設定データがサブホストコンピュータ11経由で送信される。このようにして、コンテンツ受信端末の数が多い場合に、サブホストコンピュータ11を経由することにより負荷分散が可能になる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、ホストコンピュータ9は、複数の超過コンテンツ受信端末の端末固有設定データをまとめてサブホストコンピュータ11に送り、サブホストコンピュータ11は、複数の超過コンテンツ受信端末の各々から端末固有コードを受け付けて、該当する端末固有設定データを提供する。このようにして、複数のコンテンツ受信端末の端末固有設定データファイルがまとめてサブホストコンピュータに送られ、それら複数のコンテンツ受信端末に振り分けられるので、負荷分散が可能になり、設定データの配布に要する時間を短縮でき、これにより初期設定に要する時間も短縮できる。
【0071】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる受信端末初期設定システムは、複数のコンテンツ受信端末の個別設定を少ないネットワーク負荷で容易に行うことのできるという効果を有し、例えば、ホテル等の施設におけるセットトップボックスの初期設定システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】受信端末初期設定システムを含むコンテンツ配信ネットワークのブロック図
【図2】受信端末初期設定システムを含むコンテンツ配信ネットワークのブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係る受信端末初期設定システムのブロック図
【図4】端末固有設定データファイルを示す図
【図5】受信端末初期設定システムの動作を示す図
【図6】STBが多い場合の受信端末初期設定システムの動作を示す図
【符号の説明】
【0074】
1 コンテンツ配信ネットワーク
3 STB
5 ローカルエリアネットワーク
7 VODサーバ
9 ホストコンピュータ
11 サブホストコンピュータ
13 インターネット
21 ホスト側設定データ記憶部
23 ホスト側初期設定制御部
25 ネットワーク通信部
31 サブホスト側設定データ記憶部
33 サブホスト側初期設定制御部
35 ネットワーク通信部
41 端末側設定データ記憶部
43 端末側初期設定制御部
45 ネットワーク通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークに設けられ、前記複数のコンテンツ受信端末との通信によって前記複数のコンテンツ受信端末へ初期設定用のデータを提供する受信端末初期設定システムであって、
前記複数のコンテンツ受信端末と通信するホストコンピュータを備え、
前記ホストコンピュータは、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶する設定データ記憶手段と、
前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知する開始通知手段と、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付ける応答受付手段と、
前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記設定データ記憶手段から抽出して前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る設定データ提供手段と、
を備え、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々は、前記ホストコンピュータから受信した前記端末固有設定データに従って初期設定を行うことを特徴とする受信端末初期設定システム。
【請求項2】
前記設定データ記憶手段は、前記端末固有設定データを、複数項目データを含んだ端末固有設定データファイルの形式で記憶しており、前記設定データ提供手段は、前記端末固有設定データファイルを前記コンテンツ受信端末に提供することを特徴とする請求項1に記載の受信端末初期設定システム。
【請求項3】
前記複数のコンテンツ受信端末および前記ホストコンピュータはサブホストコンピュータと接続されており、
前記設定開始応答を送ってきた応答端末数が所定のホスト配信上限数を超過した場合、前記応答端末数と前記ホスト配信上限数の差分に相当する数のコンテンツ受信端末を超過コンテンツ受信端末とし、前記超過コンテンツ受信端末の前記端末固有設定データを前記サブホストコンピュータ経由で送信することを特徴とする請求項1または2に記載の受信端末初期設定システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、複数の前記超過コンテンツ受信端末の前記端末固有設定データをまとめて前記サブホストコンピュータに送り、
前記サブホストコンピュータは、複数の前記超過コンテンツ受信端末の各々から前記端末固有コードを受け付けて、該当する前記端末固有設定データを提供することを特徴とする請求項3に記載の受信端末初期設定システム。
【請求項5】
複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークに設けられ、前記複数のコンテンツ受信端末と通信して初期設定用のデータを提供する、受信端末初期設定用のホストコンピュータ装置であって、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶する設定データ記憶手段と、
前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知する開始通知手段と、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付ける応答受付手段と、
前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記設定データ記憶手段から抽出して前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る設定データ提供手段と、
を備えることを特徴とする受信端末初期設定用のホストコンピュータ装置。
【請求項6】
複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークにて実行され、前記複数のコンテンツ受信端末とホストコンピュータとの通信によって前記複数のコンテンツ受信端末へ初期設定用のデータを提供する受信端末初期設定方法であって、
前記ホストコンピュータは、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶しており、
前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知し、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付け、
前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送り、
前記コンテンツ受信端末は、前記ホストコンピュータから受信した前記端末固有設定データに従って初期設定を行うことを特徴とする受信端末初期設定方法。
【請求項7】
複数のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信ネットワークにて、前記複数のコンテンツ受信端末と通信して初期設定用のデータを提供するホストコンピュータ装置で実行されるプログラムであって、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々に固有の端末固有設定データを記憶し、
前記複数のコンテンツ受信端末にブロードキャストで設定開始を通知し、
前記複数のコンテンツ受信端末の各々からユニキャストで設定開始応答とともに各コンテンツ受信端末に固有の端末固有コードを受け付け、
前記端末固有コードに対応する端末固有設定データを前記コンテンツ受信端末にユニキャストで送る処理を前記ホストコンピュータ装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−279867(P2007−279867A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102665(P2006−102665)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】