説明

受信装置、信号処理装置、信号処理方法

【課題】少ない既知信号及び処理量で良好な復号性能を達成できる軟判定値を求めることができる受信装置が求められていた。
【解決手段】本発明の受信装置は、位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する受信部と、受信したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、サブキャリア信号をデマッピングしてビット列を生成するデマッピング部と、サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、デマッピング後のビット列に対して重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相偏移変調方式で一次変調された信号を受信して受信データを取得する受信装置に関し、特に電力線通信において位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを電力線を介して受信して受信データを取得する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線を通信媒体として通信を行う電力線通信に関する技術の開発が進められている。次世代の電力線通信では、高速通信・ノイズ耐性・周波数利用効率等の観点からOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が主流な通信方式として検討されている。
【0003】
特許文献1には、OFDM方式を用いるデジタル無線通信システムにおいて、復号に要する計算量を削減しつつ良好な復号特性を有する受信装置が開示されている。当該受信装置は、既知信号であるプリアンブルを利用して各サブキャリア信号の正規化を行い、コンスタレーションから復号した信号に当該プリアンブルに対応するサブキャリアの受信電力を用いて重み付けを行う。ここで、当該受信装置は、重み付けした信号に対して、プリアンブルの全サブキャリアの電力平均値を用いて丸め込み処理を行うことで量子化ビットを削減する。
【0004】
当該構成によれば、重み付けした信号に対して単に下位ビットを切り取って有効ビットを選択する場合と比較して、より有効にビタビ復号に寄与するビット選択を行うことができるため、高い復号性能を維持することが可能となる。
【0005】
また、特許文献2には、OFDM方式を用いるデジタル無線通信システムにおいて、希望波に干渉が発生している場合においてビタビ復号の精度が低下することを防止する受信装置が開示されている。当該受信装置は、受信信号の基準シンボル点からのばらつき度合いを求め、ばらつき度合いが所定の基準値より大きい場合は希望波に対する干渉が発生しているものとして復号への寄与が低下するように軟判定値の補正を行う。
【0006】
当該構成によれば、希望波と干渉波との受信電力差が小さい場合であっても希望波に生じる干渉を検出して軟判定値の補正を実行するため、ビタビ復号の精度低下を防止でき、通信品質を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−111626号公報
【特許文献2】特開2008−131364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の受信装置では、FFT(First Fourier Transform)処理後の各サブキャリア信号の正規化および重み付けにプリアンブルやパイロットといった既知信号のみを利用している。これは、送信装置−受信装置間での伝搬特性に応じて各サブキャリア信号の位相や振幅が様々に変化するため、送信装置側からどのような信号として送信されたかを受信装置側で単純に把握できないためである。
【0009】
さらに、正規化や重み付けはサブキャリア電力を基準としている。これは、周波数選択性フェージングの影響でサブキャリア毎に信号の強度や位相が変化してしまう影響をキャンセルするためである。
【0010】
ここで、自由空間を媒体とする無線通信や通信用ケーブルを媒体する有線通信では受信装置のノイズフロアの影響が大きい一方で、電力線通信では電力線に接続された機器により発生するノイズの影響が大きい。これは、電力線通信は通信媒体としての利用を前提としていない電力線を用いて通信を行うためである。そのため、特許文献1のように各サブキャリアの受信電力による重み付けを行うとノイズの影響で誤って重み付けされる可能性が高くなり、復号特性の低下に繋がる。
【0011】
また、プリアンブルやパイロット信号のように送信情報を持たない既知信号を利用して重み付けをするため処理が大きくなる。このことは、先行文献2の受信装置においても同じであり、既知信号を利用して振幅・位相の両方の規格化を行って基準シンボル点の位置を正確に求めることが必須となる。これは、先行文献2の受信装置のEVM算出器が、受信信号の信号点位置と基準シンボル点からのばらつき度合いを求め、ばらつき度合いの評価値を生成して軟判定のための重み付けを行うためである。
【0012】
このように、先行文献1、2においては、送信情報を持たない既知信号を多数配置する必要があるため、スループットが低下することに加えて、重み付けをするための処理量が増大するという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様である受信装置は、位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する受信部と、前記受信したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、前記サブキャリア信号をデマッピングしてビット列を生成するデマッピング部と、前記サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、前記デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、を具備する。
【0014】
当該構成によれば、理想的に一定であるノルムの統計を取ることで、そのばらつき具合から適切な重み付け係数を生成して軟判定値を求めることができるため、少ない処理で良好な受信性能を達成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第2態様である信号処理装置は、入力したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、前記サブキャリア信号をデマッピングしてビット列を生成するデマッピング部と、前記サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、前記デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、を具備する。
【0016】
当該構成によれば、理想的に一定であるノルムの統計を取ることで、そのばらつき具合から適切な重み付け係数を生成して軟判定値を求めることができるため、少ない処理で良好な復号性能を達成できる軟判定値を求めることができる。
【0017】
また、本発明の第3態様である信号処理方法は、入力したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得し、前記サブキャリア信号のノルムを算出し、前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成し、前記サブキャリア信号をデマッピングすることで得られるビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求めることを特徴とする。
【0018】
当該構成によれば、理想的に一定であるノルムの統計を取ることで、そのばらつき具合から適切な重み付け係数を生成して軟判定値を求めることができるため、少ない処理で良好な復号性能を達成できる軟判定値を求めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既知信号を用いて基準シンボル点を求めることなく良好な復号特性を示す軟判定値を求めることができるため、既知信号を削減することでスループットを向上させることができると共に、軟判定値の生成に必要となる処理量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る電力線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るフレーム構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2に係る等化処理前後の信号点位置を示す図である。
【図6】複素平面上におけるノイズが小さい場合の信号点分布を説明する図である。
【図7】複素平面上におけるノイズが大きい場合の信号点分布を説明する図である。
【図8】実施の形態3に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3に係るSNR推定部の具体構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る復調部(復調装置)の別構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態4に係るフレーム構成を示す図である。
【図12】実施の形態4に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態4に係る別形態のフレーム構成を示す図である。
【図14】実施の形態5に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図15】受信OFDMシンボルにおけるSNRの時間変動を示す図である。
【図16】実施の形態6に係る復調部(復調装置)の構成を示すブロック図である。
【図17】AC電源周期とOFDMシンボル周期との関係を説明する図である。
【図18】各サブキャリアの各シンボル位置でのノルム分散値が纏められたノルム分散値テーブルを示す図である。
【図19】実施の形態6に係る復調部(復調装置)の別構成を示すブロック図である。
【図20】各サブキャリアのAC電源の各位相におけるばらつき情報が纏められたばらつき情報テーブルを示す図である。
【図21】グループ分けされたAC電源位相における各グループのばらつき情報(統計値)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、各図面において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示しており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0022】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる電力線通信システム1000の構成を示すブロック図である。電力線通信システム1000では、送信装置100と受信装置200とが電力線10を介して通信可能な状態で接続されている。
【0023】
まず送信装置100の構成について説明する。送信装置100は、FEC(Forward Error Corrector)エンコーダ部110と、一次変調部120と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部130と、CP(Cyclic Prefix)追加部140と、Window処理部150と、AFE(Analog Front End)部160と、を備える。
【0024】
FECエンコーダ部110は、送信データに対して畳み込み符号化等の誤り訂正符号を用いて符号化処理を行う。
【0025】
一次変調部120は、符号化された送信データに対して一次変調を行う。ここで、一次変調部120は、位相偏移変調方式(Phase shift Keying:以下PSKと称す)で一次変調を行う。これは、電力線通信が通信媒体として振幅ノイズの大きい電力線を用いるため、振幅方向へ変調を行うことが困難であるためである。一次変調部120は、位相偏移変調となるように符号化後の送信データを複素平面(IQ平面)の基準シンボル点にマッピングした後に周波数軸上の直交する複数のサブキャリアに対応付けることでサブキャリア信号を生成する。具体的には、一次変調部120は、DBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)、D8PSK(Differential 8-Phase Shift Keying)と言った差動位相偏移変調方式の中からSNR(Signal Noise Ratio)等を考慮して使用する変調方式を決定し、決定した変調方式で一次変調を行う。
【0026】
IFFT部130は、一次変調部120で生成されたサブキャリア信号に対して逆高速フーリエ変換処理を行うことで周波数領域信号から時間領域信号に変換する。
【0027】
CP追加部140は、IFFT部130において時間領域に変換された信号にCPを追加する。
【0028】
Window処理部150は、CP追加後の信号に対してウィンドウ処理を行う。
【0029】
AFE部160は、ウィンドウ処理後の信号をアナログ信号に変換して電力線10に印加すること信号(OFDMシンボル)を送信する。
【0030】
図2に送信装置100より送信される信号のフレーム構成を示す。図2に示すように、各フレームの先頭には同期検出用のプリアンブルである同期検出用信号が配置されており、続いてPSKで一次変調されたOFDMシンボルが所定のシンボル数配置されている。
【0031】
次に受信装置200の構成について説明する。受信装置200は、AFE(Analog Front End)部210と、同期処理部220と、CP(Cyclic Prefix)除去部230と、FFT(Fast Fourier Transform)部240と、復調部250と、FECデコーダ部260と、を備える。
【0032】
AFE部210は、電力線10を介して送信装置100より送信された信号を受信する。具体的には、AFE部210は、フィルタと自動利得調整部とAD変換部とを備える。自動利得調整部は、電力線10より入力されてフィルタでフィルタリングされた受信信号に対してゲインの調整を行った後にAD変換部に出力する。AD変換部は、ゲイン調整後のアナログ信号をデジタル信号に変換する。変換後のデジタル信号は、同期処理部220に出力される。
【0033】
同期処理部220は、AFE部210より出力されたデジタル信号に対して上述した同期検出用信号を用いて同期処理を行うことでフレームの先頭を検出し、フレーム先頭を検出した信号をシンボル単位に分割してOFDMシンボルを取得する。同期処理後のOFDMシンボルはCP除去部230に出力される。
【0034】
CP除去部230は、同期処理部220における同期処理によりシンボル単位に分割された各OFDMシンボルからCPを除去する。以下、AFE部210と同期処理部220とCP除去部230とを一纏めにして、位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する受信部としてOFDMシンボル受信部と呼ぶことがある。
【0035】
FFT部240は、CPが除去されたOFDMシンボルに対してFFT処理(高速フーリエ変換処理)を行うことで時間領域信号から周波数領域信号に変換してサブキャリア信号を取得する。
【0036】
復調部250は、FFT部240におけるFFT処理で得られたサブキャリア信号に対して復調処理を行うことで軟判定値を求める。
【0037】
FECデコーダ部260は、復調部250で得られた軟判定値に対してビタビ復号法等のアルゴリズムを用いて復号処理を行い、送信装置100より送信されたデータを受信データとして取り出す。
【0038】
次に、復調部250の具体的構成について詳しく説明する。図2は、復調部250の構成を示すブロック図である。復調部250は、チャネル推定部251と、位相正規化部254と、デマッピング部255と、重み付け部256と、を備える。FFT部240におけるFFT処理により取得された周波数軸上の各サブキャリアにそれぞれ対応付けされている各サブキャリア信号は、チャネル推定部251及び位相正規化部254に入力される。
【0039】
チャネル推定部251は、FFT部240より入力したサブキャリア信号のノルムに基づいてサブキャリア毎の重み付け係数を算出し、重み付け部256に出力する。ここで、ノルムとは複素平面(IQ平面)上における中心点と受信信号点までの絶対距離を意味する。ここで、チャネル推定部251は、具体的には、ノルム算出部252と、重み付け係数生成部253と、を備える。
【0040】
ノルム算出部252は、FFT部240より入力した各サブキャリア信号のノルムを算出する。ノルム算出部252は、算出した各サブキャリア信号のノルムを重み付け係数生成部253に出力する。
【0041】
重み付け係数生成部253は、ノルム算出部252よりシンボルタイミング毎に入力する各サブキャリア信号のノルムに基づいてサブキャリア毎に重み付け係数を生成する。ここで、重み付け係数とは、後述する重み付け部256における重み付け処理に用いられる情報である。
【0042】
具体的には、重み付け係数生成部253は、各サブキャリア信号のノルムの統計を複数シンボルに渡ってサブキャリア毎に取ることで、サブキャリア毎の重み付け係数を生成する。これは、単一シンボルのI/Q情報だけでは、雑音と信号の分離が不可能であるため、複数シンボルに渡って統計を取ることで、雑音と信号の分離を可能とするためである。
【0043】
ここで、送信装置100において、一次変調にPSKが用いられているため、ノルム算出部252で算出される各サブキャリア信号のノルムは理想的には一定である。実際には、電力線10で生じるノイズによりノルムにばらつきが生じる。重み付け係数生成部253は、このノルムのばらつき具合からノイズを推定し、重み付け部256における重み付けに反映させる。すなわち、重み付け係数生成部253は、ノルム算出部252で算出されるノルムのばらつき具合が大きいほど重み付け部256において求められる軟判定値の尤度が小さくなるように重み付け係数を生成する。
【0044】
ここで、サブキャリア毎にノルム統計を取る理由は、周波数毎に信号電力やノイズ電力が異なるためである。従って、重み付け係数生成部253は、すべてのサブキャリアで共通の重み付け係数ではなく、サブキャリア毎に個別の重み付け係数を生成する。
【0045】
位相正規化部254は、FFT部240より入力した各サブキャリア信号に対して正規化を行う。ここで、各サブキャリア信号は、PSKで一次変調された信号であるため、振幅の規格化を行う必要が無い。従って、位相正規化部254は、各サブキャリア信号の位相について正規化を行う。
【0046】
デマッピング部255は、位相正規化後の各サブキャリア信号についてコンスタレーションからの復号(デマッピング)を行い、ビット列を生成する。
【0047】
重み付け部256は、デマッピング後のビット列に対してチャネル推定部251で生成された重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める。具体的には、デマッピング部255から出力されたデマッピング後のビット列を被除数とし、重み付け係数生成部253におけるノルム統計により得られるノルムのばらつき具合に応じた重み付け係数を除数として除算することで重み付けを行う。ここで、重み付け部256は、各サブキャリア信号からデマッピングされたサブキャリア毎の各ビット列に対して、対応するサブキャリアの重み付け係数をそれぞれ用いて重み付けを行う。重み付け後の符号列である軟判定値は、FECデコーダ部260に出力される。FECデコーダ部260は、ビタビ復号などの最尤復号法を用いて入力した軟判定値を復号して受信データを取り出す。
【0048】
以上のように、本実施の形態1に係る受信装置は、位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する受信部と、前記受信したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、前記サブキャリア信号に復調処理を行って軟判定値を求める復調部とを備える。ここで、前記復調部は、前記サブキャリア信号をデマッピングするデマッピング部と、前記サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、前記デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、を備える。求められた軟判定値は、復号部において所定の軟判定復号アルゴリズムを用いて復号され、送信装置より送信されたデータが最終的に取り出されて受信データとなる。
【0049】
電力線通信では振幅ノイズが大きく、主にPSKを用いて一次変調されるため、理想的な信号点のノルムが一定である。本実施の形態1の受信装置は、当該ノルムが一定であることに着目して、ノルムのばらつき具合からチャネル推定を行って重み付け処理を行うことを特徴としている。当該構成によれば、基準シンボル点からのばらつき具合を求める場合と比較して、基準シンボル点を求めるために振幅及び位相の正規化に必要となるパイロット信号を必要としないため、スループットを向上させることができると共に、重み付け係数を求めるまでの処理量を削減することができる。
【0050】
なお、送信装置100において、送信データはインタリーブされた後に送信される構成としても良い。すなわちFECエンコーダ部110と一次変調部120との間にインタリーバを配置し、FECエンコーダ部110より出力された符号列の順序を並び替えるインタリーブ処理を行った後に一次変調部120に出力する構成としても良い。この場合、受信装置200側において、復調部250とFECデコーダ部260の間にデインタリーバが配置され、復調後の符号列(軟判定値)を基の順序に並び替えるデインタリーブ処理が行われた後にFECデコーダ部260に出力される構成となる。
【0051】
また、受信装置200において、FFT部240と復調部250における各処理を行う信号処理装置が組み込まれていても良い。この場合、当該信号処理装置は、位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、FFT処理によって取得されたサブキャリア信号をデマッピングするデマッピング部と、FFT処理によって取得されたサブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行う重み付け部と、を備える。また、当該信号処理装置は、前記重み付け部における重み付け処理により求められる軟判定値に対して軟判定復号法を用いて復号してデータを取り出す復号部を更に備えていても良い。ここで、上記各部の機能は、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)の組合せによって様々な形で実現できる。当該信号処理装置は、半導体回路として実装することができ、MPU(Micro Processing Unit)と呼ばれることがある。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る受信装置は、ノルムのばらつき具合としてノルムの分散を取ることで重み付け係数を生成することを特徴とする。以下図面を参照して説明する。但し、実施の形態1で既に説明した部分については発明の明確化のために一部説明を省略する。
【0053】
図4は、本実施の形態2に係る復調部350の構成を示すブロック図である。復調部350において、ノルム算出部252で算出されたノルムを用いて重み付け係数を生成する重み付け係数生成部353は、ノルム分散値算出部354と、ノルム分散値保持部355と、を備える。
【0054】
ノルム分散値算出部354は、ノルム算出部252より出力されるサブキャリア毎のノルムの分散を計算する。あるサブキャリアに関して、kシンボル目のサブキャリア信号のノルムをxkとした場合、ノルム分散値算出部354は以下の式(1)に従ってkシンボル目までのノルム統計であるノルム分散値σを計算する。ここでμは、ノルムの期待値を示している。
【数1】

【0055】
式(1)に示すように、ノルム分散値算出部354は、PSKで一次変調されたサブキャリア信号の累積移動平均の二乗と、二乗の累積移動平均の計算をサブキャリア毎におこなうことでサブキャリア毎のノルム分散値σを求めることができる。ノルム分散値算出部354は、サブキャリア毎に計算したノルム分散値σを重み付け係数として重み付け部256に出力すると共に、ノルム分散値保持部355に出力する。
【0056】
ノルム分散値保持部355は、ノルム分散値算出部354においてkシンボル目において計算されたkシンボル目までのノルム統計であるノルム分散値σをサブキャリア毎に保持しておく。
【0057】
ノルム分散値算出部354は、次のシンボルk+1において、ノルム分散値保持部355に保持してあるkシンボル目までのノルム分散値σと、新たにノルム算出部252で算出されたk+1シンボル目のノルムとに基づいてk+1シンボル目までのノルム分散値σを新たに算出し、kシンボル目の場合と同様、重み付け部256及びノルム分散値保持部355に出力する。ノルム分散値保持部355は、ノルム分散値算出部354より出力されたk+1シンボル目におけるノルム分散値σを保持していたkシンボル目におけるノルム分散値σに上書きして記憶することでノルム分散値σを更新する。
【0058】
重み付け部256は、デマッピング部255より入力したサブキャリア毎のビット列に対してノルム分散値算出部354より出力された対応するサブキャリアのノルム分散値σで除算する、すなわちノルム分散値σの逆数を乗算することで重み付けを行い、軟判定値とする。
【0059】
このように、本実施の形態2に係る受信装置において、復調部350は、サブキャリア信号のノルムから求まる分散値を重み付け係数としてデマッピング後のビット列に対して重み付けすることで尤度として表現する。そして、復調部350により求められたビットの確からしさを示す尤度である軟判定値をFECデコーダ部260で軟判定復号処理することで、精度良く受信データを取り出す。
【0060】
ここで、ノルムのばらつき具合が大きい場合は、ノルム分散値σが大きくなるため、重み付け係数となるノルム分散値σで除算することによって重み付けした場合の信号は、図5に示すようになる。すなわち、図5(左)に示すように、ノイズが大きく、ノルム分散値σが大きい場合には、例え振幅が大きい場合であっても重み付け処理によって小さい振幅へ調整される。一方、図5(右)のように、振幅が小さい場合であっても、ノイズが小さく、ノルム分散値σが小さければ、重み付け処理によって大きな振幅へ調整される。そして、当該重み付け処理によって調整された振幅の大きさをビットの確からしさ(尤度)に割り当て(例えば−127〜+127のいずれかの値に割り当て)、FECデコーダ部260で軟判定復号処理を行う構成とすることで、処理量を減らしつつも高い復号特性を維持することが可能となる。
【0061】
ここで、上述の通り、ノルム分散値算出部354が行う処理は積算のみであり、すべてのシンボルを保持しておくようなメモリは不要である。すなわち、これまでの計算によりサブキャリア毎に求めたノルム分散値σを保持しておくノルム分散値保持部355があれば良い。前シンボルまでに求めたサブキャリア毎のノルム分散値σに対して新たにノルム算出部252より出力されたサブキャリア毎のノルムを式(1)に示って積算することで現在のシンボルまでのサブキャリア毎のノルム分散値σを求めることができる。従って、大きな容量を有するメモリを備える必要はなく、また、単純な計算でかつ実時間で逐次行うことができる。このようにして逐次求められて更新される分散値は、処理するシンボル数が増加するほどサンプル数が増えて収束していくため、時間の経過に従ってより精度良くノイズを推定することができる。
【0062】
なお、上記説明では、電力基準で計算を行うためにノルムのばらつき具合としてノルム分散値σを求め、重み付け係数として用いる場合について説明したが、振幅基準で計算を行う場合には標準偏差σを重み付け係数として用いることができる。すなわち、ノルム分散値算出部354は、算出した分散値σの平方根をとることでノルムのばらつき具合として標準偏差σを求め、当該標準偏差σを重み付け係数として重み付け部256に出力する構成とすることができる。この場合、ノルム分散値算出部354はノルム標準偏差算出部と呼ばれても良い。
【0063】
(実施の形態3)
上述した実施の形態2においては、各サブキャリアのノルムに基づいて算出した分散値を重み付け係数として重み付けに用いる構成であった。これは、図6に示すように、ノルムの期待値μがσよりも十分大きく取れている場合、すなわちSNが大きく取れている場合は、μ?信号電力、σ?ノイズ電力、と近似することができるためである。
【0064】
しかしながら、期待値μがσに近い場合、つまりSNが取れていない場合には、σ?ノイズ電力の近似はそれほど大きく外れないものの、μ?信号電力の近似は当てはまらなくなる。これは、図7に示すようにノイズNが大きい場合に、180°位相が折り返して足される成分の割合が大きくなり、この寄与を無視できなくなって観測値と確率密度関数にずれが生じるためである。
【0065】
そこで、本発明の実施の形態3に係る受信装置は、ノルムのばらつき具合に基づいてSNR(Signal Noise Ratio)を推定し、当該推定したSNRが軟判定値に反映されるように重み付け係数を生成することを特徴とする。以下図面を参照して説明する。但し、実施の形態1及び2で既に説明した部分については発明の明確化のために一部説明を省略する。
【0066】
図8は、本実施の形態3に係る復調部450の構成を示すブロック図である。復調部450において、重み付け係数を生成する重み付け係数生成部453は、ノルム分散値算出部454と、ノルム分散値保持部455と、SNR(Signal Noise Ratio)推定部456とを備えることを特徴とする。
【0067】
ノルム分散値算出部454は、ノルム算出部252より出力されるサブキャリア毎のノルムに基づいてノルム分散値σ及びノルム期待値μ(又はノルム期待値μの二乗であるμ)を上述の式(1)に従って計算する。
【0068】
ノルム分散値保持部455は、ノルム分散値算出部454においてkシンボル目において計算されたkシンボル目までのノルム分散値σ及びノルム期待値μの値をサブキャリア毎に保持しておく。ノルム分散値算出部454は、ノルム分散値保持部455に保持されている前シンボルまでのノルム分散値σ及びノルム期待値μにノルム算出部252より新たに出力されるノルムを式(1)に従って積算することで、現在のシンボルまでのノルム分散値σ及びノルム期待値μをサブキャリア毎に求める。
【0069】
SNR推定部456は、ノルム分散値算出部454で計算されたノルム分散値σ及びノルム期待値μに基づいてSNRを推定する。ここで、上述のとおりノイズ電力Pnoiseは、σで近似できるものの、信号電力Psignalは、μで近似できず、式(2)のようにσとμの関数fで表される。ここで、Psignalは、解析的な厳密解の導出は困難であるものの、規格化することで1変数のテーブルとして与えることができる。そこで、SNR推定部456は、μに当該補正テーブルに基づく補正を行うことでSとし、当該補正されたSを考慮して重み付け係数を算出する。
【数2】

【0070】
図9は、SNR推定部456の具体構成を示すブロック図である。SNR推定部456は、補正前SNR算出部4561と、補正テーブル記憶部4562と、補正係数算出部4563と、補正実行部4564と、重み付け係数算出部4565と、を備える。
【0071】
補正前SNR算出部4561は、ノルム分散値算出部454より入力した仮の信号電力を表すμをσで除算することで補正前SNRを算出し、補正係数算出部4563に出力する。
【0072】
補正テーブル記憶部4562は、補正前SNRの値(μ/σ)と補正係数との対応関係を纏めた補正テーブルを記憶する。
【0073】
補正係数算出部4563は、補正テーブル記憶部4562に記憶された補正テーブルを参照して、補正前SNR算出部4561より入力した補正前SNRに対応する補正係数g(μ/σ)を求めて、補正実行部4564に出力する。
【0074】
補正実行部4564は、仮の信号電力であるμに対して入力した補正係数算出部4563で求められた補正係数を乗算することで式(2)に示すPsignalを求めて重み付け係数算出部4565に出力する。
【0075】
重み付け係数算出部4565は、ノルム分散値算出部454からそのまま入力したPNoiseであるノルム分散値σと補正実行部4564で求められたPsignalとに基づいて重み付け部256による重み付け処理後の軟判定値にSNRが反映されるように重み付け係数を求める。重み付け係数算出部4565は、このようにPNoiseとPsignalに基づいて求めた重み付け係数を重み付け部256に出力する。
【0076】
なお、SNR推定部456を構成する各部において、上記補正前SNR、補正係数、Psignal、Pnoise、及び、重み付け係数は、それぞれサブキャリア毎に求められる。
【0077】
重み付け部256は、SNR推定部456から入力したサブキャリア毎の重み付け係数を用いて、各サブキャリア信号よりデマッピングされたビット列に対してそれぞれ重み付けを行うことで軟判定値を求め、FECデコーダ部260に出力する。当該FECデコーダ部260に入力される軟判定値はSNRがより適切に反映されているため、高い復号性能で軟判定復号を行うことが可能となる。
【0078】
なお、上記説明では、ノルム分散算出部454がμを求めてSNR推定部456に出力する構成を示したが、これに限るものではない。ノルム分散算出部454はノルム期待値μを求めてSNR推定部456に出力し、SNR推定部456において当該入力したノルム期待値μを2乗してμを求めた後に補正前SNRの算出及びPsignalの算出を行う構成としても良い。当該ノルム期待値μを2乗する機能がどちらに属するかだけの違いであり、どちらの場合においてもSNR推定部456は、ノルム分散値σとノルム期待値μとに基づいてSNRを推定することになる。
【0079】
このように、本実施の形態における受信装置は、サブキャリア毎の確からしさ(SNR)に応じた振幅となるように振幅成分に対する等化処理を行う。具体的には、ノルム分散値σとノルム期待値μとに基づいてSNRを推定するSNR推定部を更に具備し、SNR推定部は、SNRが軟判定値に適切に反映されるように重み付け係数を求めて重み付け部に出力する。従って、ノルム分散値算出部454で求めたノルム分散σをそのまま重み付け係数として用いる場合と比較して、特にSNRが悪い場合においても精度の良い復号を可能とする軟判定値を重み付け部256で求めることができる。
【0080】
なお、重み付け係数生成部453は、図10のように補正要否判定部457を更に具備していても良い。補正要否判定部457は、ノルム分散値算出部454から入力した期待値μに基づいて重み付け係数の補正が必要かどうかを判定する。具体的には、補正要否判定部457は、ノルム期待値μまたはμの値が十分大きい、又は、ノルム分散値σの値が十分小さい場合には、SNR=Psignal/Pnoiseはμ/σで近似することができるものと判定し、ノルム分算出部454で計算されたノルム分散値σを重み付け係数としてそのまま重み付け部256に出力する。一方、ノルム期待値μまたはμの値が所定の基準値より大きい、又は、ノルム分散値σの値が所定の基準値より小さい場合は、補正要否判定部457は、信号電力Psignalがμで近似することができず、ノルム分散値σを重み付け係数とする重み付けを行っても軟判定値にSNRが適切に反映されないと判定する。そこで、補正要否判定部457は、ノルム分散値算出部454より入力した期待値μと分散値σとをSNR推定部456に出力する。SNR推定部456は、補正要否判定部457より入力したノルム分散値σ及びノルム期待値μに基づいてSNR推定を行った上で重み付け係数を算出し重み付け部256へ入力する。このように構成することで、Psignalの近似が十分効く場合には、SNR推定を行わせない構成とすることで処理を削減することができる。
【0081】
(実施の形態4)
上記実施の形態1〜3では、送信装置100における一次変調がPSKに限られる場合について説明した。しかしながら、スループットを向上させるために、図11に示すように1フレームを構成する複数シンボルのいくつかが16QAMなど振幅成分にも変調される多値変調方式で一次変調される場合が想定される。この場合、当該シンボルにおけるノルムは一定ではないため、このようなシンボルで受信された信号のノルムを用いてチャネル推定を行うと、正しい重み付けができなくなる可能性がある。そこで、本実施の形態4に係る受信装置では、PSK以外の変調方式で一次変調されたシンボルを受信する場合においても適切なチャネル推定を行うことができる構成とすることを目的としている。以下図面を用いて説明する。但し、実施の形態1〜3で既に説明した部分については発明の明確化のため一部説明を省略する。
【0082】
図12は、本実施の形態4に係る復調部550の構成を示すブロック図である。復調部550は、新たにサブキャリア信号選択部557を具備することを特徴とする。
【0083】
サブキャリア信号選択部557は、各シンボルタイミングで入力するサブキャリア信号の内、PSKで一次変調されているサブキャリア信号をノルム算出部552に通し、PSK以外の変調方式で一次変調されているサブキャリア信号をブロックする。1フレームの中でどのシンボルがどのような変調方式で変調されているかは、送信装置100より送信されて、自装置で受信された制御情報内で指定されている。従って、サブキャリア信号選択部557は、当該制御情報に基づいてブロックするサブキャリア信号を特定する。
【0084】
ノルム算出部552は、サブキャリア信号選択部557が通過させたサブキャリア信号についてノルムを算出し、重み付け係数生成部553に出力する。
【0085】
重み付け係数生成部553は、ノルム算出部552でサブキャリア毎に算出されたノルムについてサブキャリア毎にノルム統計を取ることで現シンボルまで考慮に入れた重み付け係数を生成して重み付け部256に出力する。ここで、サブキャリア信号選択部557でブロックされたサブキャリア信号についてはノルム算出部552においてノルムが計算されない。そこで、重み付け係数生成部553は、当該サブキャリアについては、新たな重み付け係数を計算せず、前シンボルにおける重み付け係数をホールドして、再度重み付け部256に出力する。
【0086】
位相・振幅正規化部554は、入力したサブキャリア信号に対して正規化を行う。ここで位相・振幅正規化部554は、PSK以外の変調方式で一次変調されているサブキャリア信号に対して、位相と振幅の両方を正規化した上でデマッピング部255に出力する。
【0087】
重み付け部256は、PSK以外の変調方式で一次変調されているサブキャリア信号からデマッピングされて生成されたビット列に対して、PSKの変調方式で一次変調されたサブキャリア信号のノルムに基づいてこれまでに生成された重み付け係数を用いて重み付けする。
【0088】
このように、本実施の形態4に係る受信装置は、FFT部におけるFFT処理で取得されるサブキャリア信号の中から位相偏移変調方式で一次変調されたサブキャリア信号を選択してノルム算出部に出力する選択部を更に具備する。当該選択部は、位相偏移変調方式で一次変調されたシンボルにおけるサブキャリア信号をノルム算出部に通過させる一方、位相偏移変調方以外の変調方式で一次変調されたシンボルにおけるサブキャリア信号を遮断する。当該構成によれば、異なる一次変調方式が混在している場合でもチャネル推定精度を落とさず、適切な重み付けを可能とすることができる。
【0089】
ここで、図11のようにシンボル単位で位相偏移変調方式で一次変調されるかどうかが異なる場合には、上記選択部は、シンボル単位でサブキャリア信号をノルム算出部に通過させるかどうかの切り換えを行っても良い。すなわち、上記選択部は、位相偏移変調方式で各サブキャリアが一次変調されたOFDMシンボルに対してFFT処理が行われることで取得されるサブキャリア信号を選択してノルム算出部に出力しても良い。この場合、当該選択部は、位相偏移変調方式以外の変調方式で各サブキャリアが一次変調されたOFDMシンボルに対してFFT処理が行われることで取得されるサブキャリア信号を遮断し、ノルム算出部に出力しない。このように構成することで、シンボル単位でノルムの算出及び重み付け係数の更新を行うかどうかを適切に切り換えることができる。
【0090】
なお、図13に示すように位相偏移変調方式で一次変調されるか位相偏移変調方式以外の変調方式で一次変調されるかがフレーム単位で異なる場合は、上記選択部は、フレーム単位でサブキャリア信号をノルム算出部に通過させるかどうかの切り換えを行っても良い。すなわち、上記選択部は、位相偏移変調方式で各サブキャリアが一次変調されるフレームを構成するOFDMシンボルに対してFFT処理が行われることで取得されるサブキャリア信号を選択してノルム算出部に出力しても良い。この場合、当該選択部は、位相偏移変調方式以外の変調方式で各サブキャリアが一次変調されるフレームを構成するOFDMシンボルに対してFFT処理が行われることで取得されるサブキャリア信号を遮断し、ノルム算出部に出力しない。このように構成することで、フレーム単位でノルムの算出及び重み付け係数の更新を行うかどうかを適切に切り換えることができる。
【0091】
電力線通信の場合、モバイル機器と異なり、同じ通信装置間の接続位置が大きく変動しないため、伝搬特性を一定とみなすことができる場合がある。そこで、通信相手を同定できる場合、複数のフレームのうち、少なくとも最初の1フレームにPSK変調されたシンボルを含み、後続フレームにPSK以外の変調方式で変調されたシンボルを含む構成とすることができる。この場合、後続フレームにおいては、既にノルム統計を取ることで求めてある重み付け係数をそのまま踏襲して重み付けを行うことができ、複雑な処理を必要とせずにスループットを向上させることができる。
【0092】
なお、重み付け係数生成部553が行うノルムの統計は、上述の通りノルムの分散としても良いしノルムの標準偏差としても良いし、その他のノルムに関する統計であっても良い。
【0093】
(実施の形態5)
実施の形態1〜4で説明したように、重み付け係数生成部は、複数シンボルに渡ってサブキャリア毎のノルム統計を取ることにより重み付け係数を生成する。ここで、通常は長いシンボル区間に渡ってノルム統計をとることにより、サンプル数が増えることによる収束効果が期待でき、より適切な重み付け係数を求めることができる。
【0094】
しかしながら、電力線通信において伝搬特性が緩やかに時間変動する場合がある。このような状況において、必要以上に過去のシンボルをノルム統計に使用すると、上記緩やかな時間変動を反映させてしまい、返って復号特性を悪化させる場合があった。そこで、本実施の形態5に係る受信装置は、このように伝搬特性が緩やかに時間変動している場合においても精度良く軟判定を行える構成とすることを目的とする。以下図面を参照して説明する。但し、実施の形態1〜4で既に説明した部分については発明の明確化のため一部説明を省略する。
【0095】
図14は、本実施の形態5に係る復調部の構成を示すブロック図である。復調部640
は、新たにシンボル区間指定部654を備えることを特徴とする。
【0096】
シンボル区間指定部654は、重み付け係数生成部653が行うノルム統計において、何シンボルに渡って統計を取るかを指定する。すなわち、シンボル区間指定部654は、ノルム統計を取るサンプル数を指定する。例えば、シンボル区間指定部654は、重み付け係数生成部653が求めた過去のノルム統計と、直近の少ないシンボル数(シンボル区間)でのノルム統計との差をみることにより、伝搬特性が時間とともに緩やかに変動しているかどうかを判定する。
【0097】
当該判定方法の一例を、図15を参照して説明する。SNRが図15に示すように緩やかに時間変動しているとする。シンボル区間指定部654は、過去のB区間における複数シンボルで求められたノルム統計値と、A区間における直近の複数シンボルで求められたノルム統計値とを比較することで、SNRが緩やかな時間変動を示しているかを判定する。シンボル区間指定部654は、当該判定結果に基づいて、重み付け係数を生成するために用いるシンボル区間(シンボル数)を決定し、重み付け係数生成部653に出力する。
【0098】
重み付け係数生成部653は、シンボル区間指定部654から指定されたシンボル区間(シンボル数)におけるノルム統計を取ることで重み付け係数を生成し、重み付け部256へ出力する。
【0099】
このように、本実施の形態5に係る受信装置は、重み付け係数生成部653がノルムの統計を取るシンボル区間(シンボル数)を指定するシンボル区間指定部654を更に具備する。重み付け係数生成部653は、前記シンボル区間指定部654で指定されたシンボル区間に渡ってノルム算出部242で算出されたノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する。当該構成によれば、SNRが全体として時間変動している場合は、過去の情報に引きずられずに直近の少ないシンボル数でノルム統計を求める構成であるため、このような状況においてもより精度良く現在のSNRを反映させた軟判定値を求めることができる。
【0100】
ここで、上述の通りシンボル区間指定部654は、複数のシンボル区間で求められたノルム統計の結果を比較することで前記指定するシンボル区間を決定することができる。すなわち、重み付け係数生成部653は、ノルム統計に基づいて生成する重み付け係数とは別に、複数のシンボル区間についてノルム統計を取ることで得た統計値をシンボル区間指定部654に出力する。シンボル区間指定部654は、当該複数の統計値同士を比較することで、SNRがどのように時間変動しているのかを推定し、重み付け係数を求めるために必要とするシンボル区間を決定する。
【0101】
例えば、過去の統計値と現在の統計値との差が所定の基準値以内である場合は、シンボル区間指定部654は、SNRにおける緩やかな時間変動が小さいと判断する。この場合、シンボル区間指定部654は、サンプル数を増やすことによる収束効果を高める方がより適切な重み付け係数を生成できると判断して、シンボル区間を長く設定する。一方、過去の統計値と現在の統計値との差が所定の基準値以上である場合は、シンボル区間指定部654は、SNRにおける緩やかな時間変動が大きいと判断する。この場合、ノルム統計用のシンボル区間として長いシンボル区間を設定すると、緩やかな時間変動が重み付け係数に反映されてしまうため、シンボル区間指定部654は、シンボル区間を短く設定する。このように構成しても良い。
【0102】
(実施の形態6)
先行文献2に係る受信装置は、EVM算出器が直近の数シンボルにおける基準シンボル点からのばらつき統計をサブキャリア毎に取って重み付けを行っている。ここで、電力線を介して通信を行う電力線通信では、商用電源(AC電源)の位相に依存したノイズが発生する。従って、AC電源の周期毎に所定の相関を有するノイズが発生している。背景技術にかかる受信装置では、このようなAC電源の位相に由来するノイズ相関について何ら考慮されていなかった。そこで、本実施の形態6は、当該AC電源の位相に依存するノイズを考慮した重み付け係数を求めて重み付けを行うことを特徴とする。以下図面を参照して説明する。但し、実施の形態1〜5で既に説明した部分については発明の明確化のために一部説明を省略する。
【0103】
図16は、本実施の形態6に係る受信装置の復調部750の構成を示すブロック図である。復調部750は、チャネル推定部751と、位相正規化部254と、デマッピング部255と、重み付け部256と、を具備する。
【0104】
FFT部240より入力したサブキャリア信号は、位相正規化部254及びチャネル推定部751に入力される。各サブキャリア信号は位相正規化部254で位相の正規化が行われた後にデマッピング部255でデマッピングされる。デマッピング後のビット列はチャネル推定部751で求められた重み付け係数で重み付け部256において重み付けされ、軟判定値として後段のFECデコーダ部260へ出力される。チャネル推定部751は、シンボル毎及びサブキャリア毎に重み付け係数を求めて重み付け部256に出力する。
【0105】
次に、チャネル推定部751について詳しく説明する。チャネル推定部751は、ノルム算出部252と重み付け係数生成部753とを備える。ノルム算出部252は、入力したサブキャリア信号のノルムを算出して重み付け係数生成部753に出力する。重み付け係数生成部753は、AC電源の周期毎のシンボルにおけるサブキャリア信号のノルムについて統計を取ることでAC電源位相毎の重み付け係数を求める。重み付け係数生成部753の機能を図17を用いて説明する。なお、AC電源の周波数は50Hzとし、1シンボル周期を1msとする。
【0106】
20msである1AC電源周期には20シンボル含まれることになる。ここで、当該20シンボルを図17のようにアルファベットのA〜Tでラベリングする。重み付け係数生成部753は、現在のシンボルのラベルと同一のラベルを有する過去のシンボルにおいてのノルム算出部252で算出されたノルムを集めて統計をとることでAC電源位相毎の重み付け係数を求める。
【0107】
具体的には、重み付け係数生成部753は、ノルム分散値算出部754とノルム分散値保持部755とを備える。
【0108】
ノルム分散値算出部754は、現在のシンボルのラベルと同一のラベルを有する過去のシンボルにおけるサブキャリア毎のノルム分散値σを算出して重み付け係数を生成する。
【0109】
ノルム分散値保持部755は、上記ラベル毎及びサブキャリア毎にそれぞれ求めたノルム分散値σを記憶する。図18は、ノルム分散値保持部755が記憶している各ノルム分散値σを示している。図18からわかるように、ノルム分散値保持部755は、ラベル数×サブキャリア数のノルム分散値σを記憶しており、ここでは20シンボル×nサブキャリア=20n個のノルム分散値σを記憶している。ノルム分散値保持部755は、ノルム分散値算出部754からの要求に基づいて、ラベル毎に記憶しているノルム分散値σの中から要求された現シンボルのラベルに対応する各サブキャリアのノルム分散値σを読み出してノルム分散値算出部754に出力する。
【0110】
ノルム分散値算出部754は、ノルム分散値保持部755より受け取ったサブキャリア毎のノルム分散値σにノルム算出部252から受け取った各サブキャリア信号のノルムを式(2)に従ってそれぞれ積算することで現シンボルまでのサブキャリア毎のノルム分散値σを求める。サブキャリア毎に求められたノルム分散値σは、重み付け係数として重み付け部256に出力されると共に、ノルム分散値保持部755に上書き更新して記憶される。
【0111】
当該構成とすることで、ノルム分散値算出部754は、1AC電源周期毎に送信されるシンボル同士を用いてノルム分散値σを取るため、AC電源の各位相に依存したノイズが反映されたノルム分散値σを求めることができ、復号性能を向上させることができる。
【0112】
なお、本実施の形態6において、上記説明ではAC電源の同一位相で送信されるシンボル同士の統計として当該シンボルにおけるサブキャリア信号のノルム分散を求める構成を示したがこれに限るものではない。パイロット信号を用いて位相と振幅の両方を規格化して基準シンボル点を求められる構成である場合は、当該基準シンボル点からのばらつきに関する統計をとることで重み付け係数を生成することも可能である。
【0113】
(実施の形態7)
実施の形態6の受信装置では、AC電源周期毎に受信されるOFDMシンボルを用いてばらつき統計をとることでAC電源の位相に応じたノイズ相関を適切に反映した重み付け係数を求めていた。ここで、AC電源周期がOFDMシンボル周期の倍数でなければ時間の経過とともにズレが生じる。そこで、本実施の形態7の受信装置は、AC電源周期がOFDMシンボル周期の倍数でない場合でもAC電源の位相に応じたノイズ相関を適切に反映した重み付け係数を求めることを特徴とする。以下図面を参照して説明する。但し、実施の形態1〜6で既に説明した部分については発明の明確化のために一部説明を省略する。
【0114】
図19は、本実施の形態7に係る復調部850の構成を示すブロック図である。復調部850において、チャネル推定部851は、位相別重み付け係数生成部852と、位相検出部853と、位相別ばらつき情報保持部854と、を備える。
【0115】
位相検出部853は、現在のAC電源の位相を検出し、現在のAC電源の位相を示す位相情報を位相別ばらつき情報保持部854に出力する。
【0116】
位相別ばらつき情報保持部854は、AC電源の位相毎に位相別重み付け係数生成部852で求められた所定の物理量の統計値であるばらつき情報を記憶する。図20は、位相別ばらつき情報保持部854に記憶されたばらつき情報を示している。AC電源の位相について10度ずつ区切られ、各位相と各サブキャリアに対応するばらつき情報がテーブル状に管理されて記憶されている。位相別ばらつき情報保持部854は、位相別重み付け係数生成部852よりばらつき情報の読み出し要求を受けると、位相検出部853から入力した位相情報で示される現在(現在シンボル)のAC電源の位相に対応するばらつき情報を読み出して位相別重み付け係数生成部852に出力する。
【0117】
位相別重み付け係数生成部852は、FFT部240より入力したサブキャリア信号について所定の物理量の統計をサブキャリア毎にとることでサブキャリア毎の重み付け係数を生成し、重み付け部256に出力する。また、位相別重み付け係数生成部852は、当該統計値であるばらつき情報を位相別ばらつき情報保持部854に出力する。位相別ばらつき情報保持部854は、位相別重み付け係数生成部852で新たに求められたばらつき情報を対応するAC電源位相及びサブキャリアの格納位置に上書き記憶する。
【0118】
ここで、位相別重み付け係数生成部852は、実施の形態1〜5と同様ノルムの統計を求めることで重み付けを行っても良い。この場合、位相別重み付け係数生成部852は、入力したサブキャリア信号のノルムを算出する。位相別重み付け係数生成部852は、位相別ばらつき情報保持部854から当該サブキャリア信号が送られたOFDMシンボルにおけるAC電源位相に対応するばらつき情報であるノルム統計値を受け取る。位相別重み付け係数生成部852は、サブキャリア毎に算出したノルムと位相別ばらつき情報保持部854から受け取ったサブキャリア毎のノルム統計値とを式(1)に従って積算することでサブキャリア毎の重み付け係数を求める。このように構成されていても良い。
【0119】
このように、本実施の形態7における受信装置は、OFDMシンボルが重畳されるAC電源の位相を検出するAC電源位相検出部を具備し、重み付け係数生成部は、サブキャリア信号の所定の物理量に関する統計をAC電源位相毎に取ることでAC電源位相毎の重み付け係数を生成する。当該構成によれば、AC電源位相に起因するノイズを適切に反映させた重み付け係数をAC電源位相に応じてそれぞれ求めることができ、当該位相を考慮しない統計を取って重み付けを行う場合と比較して復号特性を向上させることができる。
【0120】
ここで、上述した通り、AC電源位相毎にサブキャリア信号の所定の物理量に関する統計を取ることで得られる統計値を記憶する記憶部を更に具備する構成とすることが好ましい。重み付け係数生成部は、サブキャリア信号に関する所定の物理量を算出する算出部を備え、当該算出した物理量を当該記憶部から読み出したAC電源位相検出部で検出された前記AC電源位相に対応する統計値に積算することで当該AC電源位相における重み付け係数を生成する。ここで、上記サブキャリア信号に関する所定の物理量としては、サブキャリア信号のノルムや基準シンボル点からの距離などとすることができる。このように構成しても良い。
【0121】
なお、図21に示すように、AC電源の位相を複数のグループに分けて、サブキャリア信号の統計値を記憶し、現在のシンボルが重畳しているAC電源の位相に対応するグループの統計値を用いて重み付け係数を生成する構成としても良い。すなわち、受信装置は、OFDMシンボルが重畳されるAC電源の位相を検出するAC電源位相検出部と、当該OFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、当該サブキャリア信号に関する所定の物理量を算出する算出部と、当該物理量の統計を前記検出されたAC電源の位相が属するグループ毎に求めることによりAC電源の位相毎の重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、を具備する構成としても良い。
【0122】
以上、各実施の形態で説明したように、本願発明の受信装置によれば、理想的に一定であるノルムの統計を取ることで、そのばらつき具合から適切な重み付け係数を生成して軟判定値を求めることができるため、少ない処理で良好な復号性能を達成できる軟判定値を求めることができる。
【0123】
なお、上記説明では、FFT処理で得られる複数のサブキャリア信号についてサブキャリア毎のノルムを算出し、サブキャリア毎のノルムの統計をとり、サブキャリア毎の重み付け係数を生成し、サブキャリア毎にデマッピングされたビット列に対応する重み付け係数でそれぞれ重み付けを行う場合について説明したがこれに限るものではない。周波数選択性が所定の基準より小さい場合は、各シンボルについて1つのサブキャリア信号を代表してノルムの算出等を行う構成であっても良い。すなわち、FFT処理で得られる複数のサブキャリア信号のうち、所定のサブキャリア信号を選択してノルムを算出し、当該ノルムの統計を複数シンボルに渡ってとることで重み付け係数を生成し、デマッピングされて得られるビット列について当該重み付け係数で一律に重み付けを行う構成とすることも可能である。当該構成によれば、復号特性の劣化を一定レベルに維持しつつ、重み付け係数生成に必要となる処理量を大幅に削減することが可能となる。
【0124】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記各実施の形態を相互に組み合わせた受信装置や信号処理装置とすることができることは言うまでもない。また、上記各実施の形態で説明した受信装置と実施の形態1の送信装置を組み合わせて通信装置とすることができることは言うまでもない。
【0125】
また、上記説明では電力線通信システムにおける受信装置について説明したがこれに限るものではない。上記実施の形態1〜5に記載の受信装置を無線通信システムにおける受信装置とすることができる。この場合、受信装置の受信部は、アンテナを介して無線伝送路よりOFDMシンボルを受信し、FFT部に出力する構成となる。
【0126】
また、言うまでもなく、上記受信装置を構成する各要素は、プログラム(ソフトウェア)をCPU(Central Processing Unit)などの信号処理装置で処理させることにより実現できることができる。
【0127】
なお、上述したプログラムは、コンピュータ・システムがアクセス可能な様々な種類の記憶媒体に格納することが可能である。また、このプログラムは、通信媒体を介して伝達されることが可能である。ここで、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体等が含まれ、インターネットも含まれる。
【符号の説明】
【0128】
10 電力線 100 送信装置
110 エンコーダ部 120 一次変調部
130 IFFT部 140 CP追加部
150 WINDOW処理部 160 AFE部
200 受信装置 210 AFE部
220 同期処理部 230 CP除去部
240 FFT部 250 復調部
251 チャネル推定部 252 ノルム算出部
253 重み付け係数生成部 254 位相正規化部
255 デマッピング部 256 重み付け部
260 FECデコーダ部 350 復調部
353 重み付け係数生成部 354 ノルム分散算出部
355 ノルム分散値保持部 456 SNR推定部
557 サブキャリア信号選択部 654 シンボル区間指定部
852 位相別重み付け係数生成部 853 位相検出部
854 位相別ばらつき情報保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する受信部と、
前記受信したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、
前記サブキャリア信号をデマッピングしてビット列を生成するデマッピング部と、
前記サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、
前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、
前記デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、
を具備する受信装置。
【請求項2】
前記重み付け係数生成部は、前記ノルムの複数シンボルにおける分散値又は期待値を算出して前記重み付け係数を生成するノルム分散値算出部を備える、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記重み付け係数生成部は、前記ノルムの複数シンボルにおける分散値と期待値とを算出するノルム分散値算出部と、
前記ノルムの複数シンボルにおける分散値と期待値とに基づいてSNRを推定して重み付け係数を生成するSNR推定部と、
を備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記SNR推定部は、推定したSNRが前記軟判定値の尤度に反映されるように前記重み付け係数を生成する、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記重み付け係数生成部は、前記算出した分散値を記憶する分散値記憶部を更に備え、
前記ノルム分散値算出部は、前記ノルム算出部で新たに算出されたノルムを前記記憶された分散値に積算することで新たな分散値を算出する、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記重み付け係数生成部は、前記ノルム算出部で算出されるノルムのばらつき具合が大きいほど前記軟判定値の尤度が小さくなるように重み付け係数を生成する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項7】
前記FFT処理で取得されるサブキャリア信号の中から位相偏移変調方式で一次変調されたサブキャリア信号を選択して前記ノルム算出部に出力する選択部を更に備え、
前記ノルム算出部は、前記選択部で選択されたサブキャリア信号のノルムを算出して前記ノルム分散値算出部に出力する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項8】
前記重み付け係数生成部が前記ノルムの統計を取るシンボル区間を指定するシンボル区間指定部を更に具備し、
前記重み付け係数生成部は、前記シンボル区間指定部で指定されたシンボル区間に渡って前記ノルム算出部で算出されたノルムの統計を取ることで前記重み付け係数を生成する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項9】
前記シンボル区間指定部は、複数のシンボル区間で求められたノルム統計値を比較することで前記指定するシンボル区間を決定する、
請求項8に記載の受信装置。
【請求項10】
前記ノルム算出部は、前記FFT処理で得られる複数のサブキャリア信号毎にノルムを算出し、
前記重み付け係数生成部は、前記算出した複数のサブキャリア信号のノルムについてサブキャリア毎に統計を取ることでサブキャリア毎の重み付け係数を生成し、
前記デマッピング部は、前記複数のサブキャリア信号をデマッピングしてサブキャリア毎のビット列を生成し、
前記重み付け部は、前記デマッピング後のサブキャリア毎のビット列に対して対応するサブキャリアの前記重み付け係数を用いてそれぞれ重み付けを行うことで軟判定値を求める、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項11】
前記軟判定値を用いて軟判定復号を行うことで送信されたデータを取り出す復号部を更に具備する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項12】
前記受信部は、電力線を介して送信される位相偏移変調方式で一次変調されたOFDMシンボルを受信する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項13】
前記OFDMシンボルが重畳されるAC電源の位相を検出するAC電源位相検出部を更に具備し、
前記重み付け係数生成部は、前記位相に応じたノルム統計を取ることで前記位相毎の重み付け係数を生成する、
請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
前記位相毎のノルム統計を取ることで得られる統計値を記憶する位相別統計値記憶部を更に備え、
前記重み付け係数生成部は、前記ノルム算出部で新たに算出されたノルムを前記位相別統計値記憶部から読み出した前記AC電源位相検出部で検出された前記位相に対応する統計値に積算することで前記位相における重み付け係数を生成する、
請求項13に記載の受信装置。
【請求項15】
入力したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得するFFT処理部と、
前記サブキャリア信号をデマッピングしてビット列を生成するデマッピング部と、
前記サブキャリア信号のノルムを算出するノルム算出部と、
前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成する重み付け係数生成部と、
前記デマッピング後のビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める重み付け部と、
を具備する信号処理装置。
【請求項16】
入力したOFDMシンボルにFFT処理を行うことでサブキャリア信号を取得し、
前記サブキャリア信号のノルムを算出し、
前記算出したノルムの統計を取ることで重み付け係数を生成し、
前記サブキャリア信号をデマッピングすることで得られるビット列に対して前記重み付け係数を用いて重み付けを行うことで軟判定値を求める、信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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