説明

受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法

【課題】FSK信号のMIMO通信などにおいて、計算量の増加量をある程度抑制して受信特性を向上させることを可能にする。
【解決手段】送信機10は、データビット11−1〜11−nに対して周波数偏移変調を行うMFSK変調部12−1〜12−n、周波数偏移変調後の信号に対してガードインターバルとしてゼロ挿入を行うゼロ挿入部13−1〜13−n、送信アンテナTx.1〜Tx.nを備える。受信機20は、受信アンテナRx.1〜Rx.n、受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部22−1〜22−n、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部23−1〜23−n、離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行い受信ビット25−1〜25−nを出力する最尤判定部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル無線通信方式におけるデータ伝送方式に関するものである。特に、FSK信号に対し周波数選択性通信路に於けるシングル入力、シングル出力(Single-Input Single-Output:SISO、以下SISOと称す)システム、及びマルチ入力、マルチ出力(Multiple-Input Multiple-Output:MIMO、以下MIMOと称す)システムで、優れたビット誤り率特性を実現させる受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信において高速大容量通信の需要が高まり、送受信共に複数本のアンテナを用いたMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)システムについての研究が盛んに行われている。MIMOシステムでは同一周波数で同時刻に空間多重の信号伝送ができ、SISO(Single Input Single Output)システムに比べ、送信アンテナ数をn、受信アンテナ数をnとしたとき、通信路容量がアンテナ数min(n,n)倍に増加することが明らかとなっている。FSK信号を用いたMIMOシステムの実現には、以下の方法がある。
【0003】
第1の従来技術として周波数領域等化(Frequency Domain Equalization、以下FDE)がある(非特許文献1参照)。受信機側で受信データを高速フーリエ変換(FFT)により周波数領域に変換し、MMSE基準の重み行列を乗算するNullingと呼ばれる方法を用いて、周波数等化と信号分離を同時に行う。この処理の後、逆高速フーリエ変換(IFFT)により時間領域に戻し、データを復調する。
【0004】
第2の従来技術として最尤判定法(Maximum Likelihood Detection、以下MLD)がある(非特許文献2参照)。送信信号の候補sに対して、受信信号yの条件確率密度関数をp(y/s)としたとき、sを変数とする関数p(y/s)を尤度関数と呼ぶ。MLDは、yに対して最も大きな尤度に対応するsを送信信号とみなして硬判定出力するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】宇都宮、高橋、岩波、岡本、”LDPC符号化MIMO SC FDE方式に関する一比較検討”、電子情報通信学会ソサイエティ大会B-5-56、2007年9月
【非特許文献2】A.van Zelst, “Space Division Multiplexing Algorithms”, IEEE MELECON2000, vol.3, pp.1218-1221, May 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、周波数選択性通信路におけるFSK信号の等化は、受信側の検波処理が非線形な処理であるため、検波器出力後の信号について線形処理による等化を行うことが難しい。最尤系列推定(Maximum Likelihood Sequence Estimation、以下MLSE)を用いればSISO通信路において検波器出力からの送信信号推定が可能であるが、MIMO通信路でこれを実現した例は無い。そこで、MIMO通信路におけるFSK信号の等化については、検波器の前に線形等化器を置くことにより信号分離と等化を行うFDE方式が考えられる。しかし、一般にFDEによる方式は処理が高速に行えるという利点はあるものの信号分離が不完全なためビット誤り率(Bit Error Rate、以下BER)特性においてMLDやMLSEなどに比べて劣る。そこで、MIMO通信路においても、よりBER特性の優れた方式の実現が求められる。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、FSK信号のMIMO通信などにおいて、計算量の増加量をある程度抑制して受信特性を向上させることを可能にする受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、周波数偏移変調を用いて通信を行う受信装置であって、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部と、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部と、前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定部と、を備えること
を特徴とする。
【0009】
前記最尤判定部は、前記送信信号候補の数を絞り込むことを特徴とする。
【0010】
また、前記最尤判定部は、受信信号のブロックをシンボル時間で分割し、累積メトリックを用いて前記シンボル時間毎に送信信号候補を削減することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の受信装置は、MIMO伝送において通信を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、データビットに対して周波数偏移変調を行うMFSK変調部と、
周波数偏移変調後の信号に対してガードインターバルとしてゼロ挿入を行うゼロ挿入部と、を備え、
前記受信装置は、受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部と、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部と、前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、周波数偏移変調を用いて通信を行う受信方法であって、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波過程と、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング過程と、前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定過程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、送信方法と受信方法とを有する通信方法であって、
前記送信方法は、データビットに対して周波数偏移変調を行うMFSK変調過程と、周波数偏移変調後の信号に対してゼロ挿入を行うゼロ挿入過程と、を備え、
前記受信方法は、受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波過程と、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング過程と、前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定過程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明は、受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行い、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成して、前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行うので、計算量の増加量をある程度抑制した上でFSK信号のMIMO通信におけるBER特性などの受信特性の改善を実現することが可能となり、高品質なデータの送受信を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】送受信機のシステムモデルを示す図である。
【図2】Cyclic Prefix(CP)とZero Padding(ZP)のブロック構成を示す図である。
【図3】遅延プロフィールを示す図である。
【図4】シミュレーションでの遅延プロフィールを示す図である。
【図5】送受信の様子を示す図である。
【図6】本システムにおけるMアルゴリズムStep1を解説した図である。
【図7】本システムにおけるMアルゴリズムStep2を解説した図である。
【図8】本システムにおけるMアルゴリズムStep3を解説した図である。
【図9】本システムにおけるMアルゴリズムStep4を解説した図である。
【図10】4×4 MIMO周波数選択性通信路モデルに於いて、変調に2FSKを用いた場合のFull MLDとM−MLDの計算量を示す図である。
【図11】1×1SISO・2×2MIMO周波数選択性通信路モデルに於いて、変調に2FSK・4FSK(変調指数h=0。7)を用いた場合のCP−FDE方式とZP−MLD方式について計算機シミュレーションにより求めたBER特性を示す図である。
【図12】4×4 MIMO周波数選択性通信路モデルに於いて、変調に2FSK(変調指数h=0。7)を用いた場合のM−MLD方式とFull MLD方式について計算機シミュレーションにより求めたBER特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
まず本発明の概略を、図1を用いて説明する。図1は本発明の送受信機のシステムモデルを示す図である。図1に示すように、送信機10は、データビット11−1〜11−nに対して周波数偏移変調(FSK:Frequency Shift Keying)を行うMFSK変調部12−1〜12−n、周波数偏移変調後の信号に対してガードインターバルとしてゼロ挿入を行うゼロ挿入部(ZP)13−1〜13−n、送信アンテナ数がnである送信アンテナTx.1〜Tx.nを備える。受信機20は、受信アンテナ数をnである受信アンテナRx.1〜Rx.n、受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部22−1〜22−n、I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部23−1〜23−n、離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行い受信ビット25−1〜25−nを出力する最尤判定部(MLD)24と、を備える。
【0019】
本発明では、MIMO周波数選択性通信路に対し、ゼロ挿入(Zero Padding、以下ZP)を用いてブロック間干渉(Inter Block Interference、IBI)の除去を行い、信号間距離に基づくメトリックを用いたMLDにより、送信MIMO MFSK信号ストリームの等化・分離処理を実現する。
【0020】
図1のシステムモデル図に示すように、送信機10側で、ゼロ挿入部13−1〜13−nが送信信号の各ブロックの末尾にZPによるガードインターバルを挿入し、マルチパス遅延波によるブロック間干渉を防ぐ。
【0021】
ここで、ZPとサイクリックプレフィクス(Cyclic Prefix、以下CP)の違いを示すと図2の様になる。ブロック構成は、データシンボル長をN、GI長をNとする。ただしTはMFSK信号の1シンボル時間である。受信機20側では、I−Q検波部22−1〜22−nのI−Q検波により複素ベースバンド信号を得た後に、サンプリング部23−1〜23−nがΔt=T/2c間隔(c:整数)で離散時間サンプリングを行う。ZPによるガードインターバルを含めた1 block長をKTとすると、N=K・2c個のサンプリング点に分割される。このサンプリングは複素ベースバンド信号に対し標本化定理を満足する程度に細かく行う。
【0022】
ここで、送信アンテナ数をn、受信アンテナ数をnとし、送信アンテナi(i=1,…,n)番目におけるZP後の送信信号について1 block長の連続信号表現をs(t)、その離散時間表現をs[k]とする。同様に受信信号をr(t),r[k]j(j=1,…,n)、受信雑音をn(t),n[k]と表す。
【0023】
【数1】

【0024】
ここで、送信アンテナiから受信アンテナj間の通信路の遅延プロフィールが図3の様に表されるとすると、送受信信号の関係は、次式(1)のようになる。
【0025】
【数2】

【0026】
MLD24では、このチャネル情報(CSI)が受信側で既知であるとし、CSIを元に受信側で受信レプリカ信号を作成する。これをr^(t),r^[k]と表すと、MLD24に於けるメトリックは1ブロック長の受信信号と受信レプリカ信号の間の2乗信号間距離を用いて次式(2)のように表される。
【0027】
【数3】

【0028】
また、送信信号は次式(3)により判定される。
【0029】
【数4】

【0030】
すなわち送信信号のMのN乗通りのシンボルパターンに対するメトリックの内から、式(3)を最小にするシンボルパターンを選択し送信信号ストリームの判定を行う。このシステムによる受信方式を以下ZP−MLD方式と呼ぶ。
【0031】
ZP−MLD方式において、さらにMアルゴリズムを適用するシステムについて述べる。前述のZP−MLD方式ではFull MLD(完全MLD)により、式(2)で表されるメトリックをすべての送信信号候補について算出し、このメトリック値を最小とする送信信号候補を推定送信信号とした。しかしFull MLDではアンテナ数・多値数・ブロック長に対して、計算量はMのN乗となり指数関数的に増加してしまう。一方、伝送速度の面では、同じGI長を用いた場合で比較すると、データブロック長は大きい程良い。なぜなら、ブロック長が大きい方が各ブロックにおいてGIが占める割合を減少させることができ、GIによる伝送速度の損失を減らすことができるからである。
【0032】
そこで、ブロック長による計算量の指数関数的増加を抑制する一手法として、Mアルゴリズムの適用を検討し、計算量の削減を行う。Mアルゴリズムの適用法を以下に述べる。
【0033】
まず、0≦t≦iTにおける2乗信号間距離であるiシンボル目までの累積メトリックと定義する。これは次式(4)で表される。
【0034】
【数5】

【0035】
この累積メトリックは、各アンテナのiシンボル目までの送信信号候補の尤度基準として用いることができる。この累積メトリックを用いて、iを順次増やしながらの各ステップにおけるiシンボル目までの送信信号候補をM個に絞り込む。これにより、最終的な候補探索回数は、Full MLDの場合、MのN乗回(M:変調多値数、n:送信アンテナ数、N:1ブロックのデータシンボル数)となる。一方、Mアルゴリズムを適用した場合(1+N)×(Mのn乗)回となり、指数部にNが含まれなくなるため、計算量を大幅に削減することができる。
【0036】
ここで、具体例として図5のように送信アンテナ数n=2,1ブロックの送信シンボル長N=4T、GI長N=1T、全体の送信ブロック長KT=5Tとした場合で図を交えて詳細を手順を示す。
<Step1> i=1での累積メトリックを算出(図6)
<Step2> i=1での累積メトリックを元に送信信号トレリスからM個の生き残りパスを選択(図7)
<Step3> iを(N−1)になるまで1ずつ増やしstep1、2を繰り返す(図8)
<Step4> (N−1)シンボル目までの送信信号トレリスの生き残りパスを用い、i=Kすなわち末尾のZP部を含めた通常のメトリックを算出し最終結果とする。(図9)
【0037】
Mアルゴリズムを用いたM−MLD方式と、前述のFull MLD方式の計算量の違いを図10に示す。
【0038】
以下、実施例に基づいて本発明の効果を具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
各送信・受信アンテナ間の通信路は、互いに独立な1dB減衰の16パス周波数選択性準静的レイリーフェージング通信路(Quasi-static Rayleigh fading channel)とする。この通信路の遅延プロフィールを図4に示す。
【0040】
MFSK(M−ary FSK)信号はM=2、4の場合について実施した。それぞれサンプリングの分割数2cは2FSKに於いて16、4FSKに於いて32とした。変調指数はh=0.7とし、受信方式はZP−MLDのほかに比較対象としてCPを用いたFDE(以下CP−FDE)のBER特性も合わせて算出した。アンテナ数は1×1SISO、2×2MIMO、通信路情報は受信側で既知とする。1ブロックあたりの送信データシンボル長Nは2Tとし、CP−FDEのFFTサイズ2c×Nは2FSKに於いて32、4FSKに於いて64となる。Guard Interval(以下GI)長Nは1Tとする。この条件におけるBER特性を計算機シミュレーションにより算出した結果を図11に示す。この結果から、2FSKに於いてZP−MLDはCP−FDEに比べBER=10−5で20dB以上の改善が見られ、4FSKに於いても同様に20dB程度の改善が見られる。ZP−MLDは受信側での計算量が多く受信機の複雑度は高くなるが、大幅なBER特性改善を可能とするため、そのメリットは大きい。
【0041】
Mアルゴリズムを適用したMLD(以下M−MLD)を、MFSK信号M=2の場合について実施した。サンプリングの分割数2cは16、変調指数はh=0.7とし、受信方式はM−MLDのほかに比較対象としてFull MLDによるZP−MLDのBER特性も合わせて算出した。アンテナ数は4×4MIMO、通信路情報は受信側で既知とする。1ブロックあたりの送信データシンボル長Nは2Tとし。Guard Interval(以下GI)長Nは1Tとする。この条件におけるBER特性を計算機シミュレーションにより算出した結果を図12に示す。
【0042】
この条件ではMアルゴリズムのMの値であるMが4以上の場合にFull MLDと同等のBER特性に収束している。本シミュレーションに於いてはN=2Tとしているが図10からわかるように1ブロックあたりの送信データシンボル数Nの値をさらに大きくしてもN=2TのFull MLDと同程度の探索回数で送信信号の判定が可能である。計算量のブロック長に依存した指数関数的増大の抑制を実現しているため、ブロックサイズの大きな条件に於いて大幅な計算量削減の効果が発揮できる。
【0043】
<第2の実施形態>
本実施形態では、空間分離のみMLDを用いる場合を説明する。i番目のアンテナにおけるk番目のシンボルを次式(5)(6)(7)のように表わす。
【0044】
【数6】

【0045】
なお、式(5)は送信シンボル、式(6)は受信シンボル、式(7)は雑音を表している。本実施形態のMLDは、空間分離のみMLDを行うため、ISIを除去した後でMLDを行う。ISIの除去は、式(8)に示すISIレプリカを用いて行う。
【0046】
【数7】

【0047】
なお、j=k,…,k+L−1である。このISIレプリカは、過去の送信シンボルとチャネル情報(CSI:Channel State Information)Hを用いて次式(9)のように求められる。
【0048】
【数8】

【0049】
なお、X〜p(p=k−L+1,…,k−1)には過去のシンボルの判定結果を用いる。Hは次式(10)のように表わされる。
【0050】
【数9】

【0051】
式(9)を用いてISI除去を行う(式(11))。
【0052】
【数10】

【0053】
ここで、Y^は干渉除去後の受信シンボルである。Y^は次式(12)のように表わせる。
【0054】
【数11】

【0055】
ただし、j(j=k,…,k+L−1)は干渉残留成分であり、過去の判定結果に誤りがなければ0となる。式(8)に対してMLDを行う。MLDは、次式のようにY^と送信信号レプリカX^との差の各要素の2乗和をメトリックとし、それが最も小さくなる送信信号候補{X^},(j=k,…,k+L−1)をMLDにより探索することで送信信号Xkを推定する(式(13))。
【0056】
【数12】

【0057】

このように本実施形態ではISIを除去した後にMLDを行うようにしたため、探索候補数を大幅に減らすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
ディジタル無線通信方式におけるデータ伝送方式に関するものである。特に、非線形変調であるFSK信号に対してSISO通信路とMIMO通信路のどちらにも適用可能なMLD受信方式を実現し、伝送速度の向上と優れたビット誤り率特性を実現させるディジタル無線通信方式として利用可能性がある。
【符号の説明】
【0059】
10 送信機
11−1〜11−n データビット
12−1〜12−n MFSK変調部
13−1〜13−n ゼロ挿入部(ZP)
Tx.1〜Tx.n 送信アンテナ
20 受信機
Rx.1〜Rx.n 受信アンテナ
22−1〜22−n I−Q検波部
23−1〜23−n サンプリング部
24 最尤判定部(MLD)
25−1〜25−n 受信ビット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数偏移変調を用いて通信を行う受信装置であって、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部と、
I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部と、
前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定部と、
を備えること
を特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記最尤判定部は、前記送信信号候補の数を絞り込むこと
を特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記最尤判定部は、
受信信号のブロックをシンボル時間で分割し、
累積メトリックを用いて前記シンボル時間毎に送信信号候補を削減すること
を特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
MIMO伝送において通信を行うこと
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の受信装置。
【請求項5】
送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、
データビットに対して周波数偏移変調を行うMFSK変調部と、
周波数偏移変調後の信号に対してガードインターバルとしてゼロ挿入を行うゼロ挿入部と、
を備え、
前記受信装置は、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波部と、
I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング部と、
前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定部と、
を備えること
を特徴とする通信システム。
【請求項6】
周波数偏移変調を用いて通信を行う受信方法であって、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波過程と、
I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング過程と、
前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を行う最尤判定過程と、
を有すること
を特徴とする受信方法。
【請求項7】
送信方法と受信方法とを有する通信方法であって、
前記送信方法は、
データビットに対して周波数偏移変調を行うMFSK変調過程と、
周波数偏移変調後の信号に対してゼロ挿入を行うゼロ挿入過程と、
を備え、
前記受信方法は、
受信アンテナで受信した信号のI−Q検波を行うI−Q検波過程と、
I−Q検波後のアナログ信号から離散時刻信号を生成するサンプリング過程と、
前記離散時刻信号と送信信号候補から生成される受信レプリカ信号を用いて最尤判定を 行う最尤判定過程と、
を有すること
を特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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