説明

受信装置および受信プログラム

【課題】放送系コンテンツデータと通信系コンテンツデータとのデータ取得時の時間差を少なくして、安定した放送通信連携サービスを実現する。
【解決手段】PTS1を含む放送系コンテンツデータを取り込む放送系コンテンツ取得部601と、PTS1と同一の情報であるPTSsを含む通信系コンテンツデータを取り込む通信系コンテンツ取得部611と、放送系コンテンツデータからPTS1を抽出するとともに、通信系コンテンツデータからPTSsを抽出する映像デコーダ609,615と、抽出されたPTS1とPTSsとに基づいて、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの取り込み時の遅延時間を計算する遅延時間計算部617と、遅延時間に応じて、通信系コンテンツデータの配信要求を行う配信装置要求制御部619とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置および受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル放送であるデータ放送では、字幕データが符号化されて放送されている。そして、デジタル放送を受信するテレビジョン受像機は、その字幕データをも受信して映像と字幕とを画面に表示させることができる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、放送通信連携サービスを実現するための研究が行われている。この放送通信連携サービスは、一例として、視聴者により利用される受信装置に、放送局側から放送される放送番組コンテンツと、サービス事業者側からインターネット等の電気通信回線を介して配信される配信コンテンツとをそれぞれ受信させ、これら放送番組コンテンツと配信コンテンツとを連携させて再生させるサービスである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式 標準規格」、ARIB STD−B24、5.4版、第一分冊、社団法人電波産業会、平成21年12月16日、第一編第3部
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上記の放送通信連携サービスによって字幕提供サービスを実現する場合、放送局から放送される放送番組コンテンツを受信するとともに、サービス事業者から配信される字幕データを受信する受信装置は、字幕の表示タイミングを番組映像の表示タイミングにある程度合わせなければならない。しかしながら、インターネット等の電気通信回線は、トラヒックの影響によって伝送遅延が発生することがあり、そのトラヒックの程度によって伝送遅延時間が変動することもある。この伝送遅延時間が長くなると、番組映像の表示タイミングに対する字幕の表示タイミングの遅れが無視できなくなり、テレビ視聴に支障をきたすこととなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、放送を受信して得られる放送系コンテンツデータと配信を受信して得られる通信系コンテンツデータとのデータ取得時の時間差を少なくして、安定した放送通信連携サービスを実現することができる、受信装置および受信プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である受信装置は、送信装置から放送される、第1の時刻管理情報を含む放送系コンテンツデータを取り込む放送系コンテンツ取得部と、配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む通信系コンテンツデータを取り込む通信系コンテンツ取得部と、前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出部と、前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差を計算する時間差計算部と、前記時間差計算部が計算した前記時間差に応じて、前記通信系コンテンツデータの配信要求を行う配信装置要求制御部と、を備えることを特徴とする。
この構成により、本発明の一態様である受信装置は、放送系コンテンツデータに含まれる第1の時刻管理情報と通信系コンテンツデータに含まれる第2の時刻管理情報とを同時刻において比較し、放送系コンテンツデータの第1の時刻管理情報に対する通信系コンテンツデータの第2の時刻管理情報の遅延時間を取得し、この遅延時間に応じて通信系コンテンツデータの配信要求を配信装置に対して行うことができる。
ここで、放送系コンテンツデータおよび通信系コンテンツデータは、例えば、トランスポートストリームであり、第1の時刻管理情報および第2の時刻管理情報は、例えば、PTS,PCR,またはDTSとすることができる。
【0008】
[2]上記[1]記載の受信装置において、前記通信系コンテンツ取得部は、複数の配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む各通信系コンテンツデータを取り込み、前記時刻管理情報抽出部は、前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記各通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出し、前記時間差計算部は、前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記各通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差をそれぞれ計算し、前記配信装置要求制御部は、前記時間差計算部が計算した前記複数の配信装置それぞれに対応する前記時間差のうち、最も短い時間に対応する配信装置に対して前記通信系コンテンツデータの配信要求を行うことを特徴とする。
これにより、受信装置は、放送系コンテンツデータと通信系コンテンツデータとの時間差が最も少なくなる通信系コンテンツデータを取得することができる。
【0009】
[3]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である受信プログラムは、コンピュータを、送信装置から放送される、第1の時刻管理情報を含む放送系コンテンツデータを取り込む放送系コンテンツ取得部と、配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む通信系コンテンツデータを取り込む通信系コンテンツ取得部と、前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出部と、前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差を計算する時間差計算部と、前記時間差計算部が計算した前記時間差に応じて、前記通信系コンテンツデータの配信要求を行う配信装置要求制御部と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
放送を受信して得られる放送系コンテンツデータと配信を受信して得られる通信系コンテンツデータとのデータ取得時の時間差を少なくして、安定した放送通信連携サービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態である受信装置が適用された送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における、送信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における、配信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態における、受信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】受信装置の遅延時間管理部に記憶される遅延時間管理テーブルのデータ構成を示す図である。
【図6】同実施形態において、送信装置と配信装置と受信装置とにおける、放送系コンテンツデータおよび通信系コンテンツデータの送受信の流れを示すフローチャートである。
【図7】同実施形態において、受信装置が配信装置を選択する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態である配信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態における、受信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図10】同実施形態において、受信装置が配信装置を選択する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態である受信装置が適用された送受信システムの全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、送受信システム1は、送信装置10と、送信アンテナ20と、送出側ネットワーク30と、配信装置40−1〜40−3と、ネットワーク50と、受信装置60とを含んで構成される。
送信装置10と配信装置40−1〜40−3とは、送出側ネットワーク30を介して接続される。受信装置60は、送信アンテナ20が送信する放送電波Wを受信可能な範囲内に設置され、ネットワーク50に接続される。送出側ネットワーク30とネットワーク50とは通信路として接続される。よって、配信装置40−1〜40−3と受信装置60とは、送出側ネットワーク30とネットワーク50とを介して通信可能に接続される。
【0013】
図1において、送信装置10と送信アンテナ20と送出側ネットワーク30と配信装置40−1〜40−3とは、放送局の施設に設置される。受信装置60は、視聴者が保有または管理する装置である。
なお、送信アンテナ20は、放送局の施設から独立して離間設置されてもよい。また、以下の説明において、配信装置40−1〜40−3における各装置を配信装置40と呼ぶことがある。また、説明の便宜上、本実施形態において、配信装置40の台数を3台、受信装置60の台数を1台とするが、これらの台数は例示であり限定されるものではない。
【0014】
送信装置10は、放送すべき放送系コンテンツデータを放送信号に変換して送信アンテナ20に送信する装置である。放送系コンテンツデータは、映像および音声またはいずれか一方が含まれる放送番組のコンテンツデータである。送信装置10は、映像および音声またはいずれか一方の素材を編集して制作した放送番組のソースを符号化し、この符号化ストリームをトランスポートストリーム(Transport Stream;TS)にフォーマット変換することによって放送系コンテンツデータを生成する。
【0015】
具体的には、送信装置10は、放送番組のソースを符号化して、エレメンタリストリーム(Elementary Stream;ES)を生成する。そして、送信装置10は、自装置が管理するSTC(System Time Clock;システムクロック)に基づき生成したDTS(Decoding Time Stamp;復号の時刻管理情報)と、PTS(Presentation Time Stamp;再生出力の時刻管理情報)とをエレメンタリストリームに付加して放送系コンテンツデータを生成する。これらタイムスタンプである時刻管理情報(DTSおよびPTS)は、時間方向の長さを有するコンテンツデータにおいて、コンテンツ(映像、音声等)内の所定の時点に関連付けてエレメンタリストリームに設けられる情報である。DTSおよびPTSは、例えば、90KHzの精度を有する時刻を33ビット(約95444秒分に相当する)で表現したものである。これら時刻管理情報に基づいて、復号側の装置である受信装置60は所定の動作を行う。すなわち、受信装置60は、DTSで示される時刻に放送系コンテンツデータを復号し、PTSで示される時刻に復号コンテンツを出力(提示)する。
【0016】
送信アンテナ20は、送信装置10から供給される放送信号を放送電波Wとして空中に送出する。
【0017】
配信装置40は、通信系コンテンツデータを保有(記憶)する。この通信系コンテンツデータは、放送系コンテンツデータに関連するコンテンツデータであり、映像および音声またはいずれか一方が含まれるデータである。通信系コンテンツデータは、放送系コンテンツデータと同様に、映像および音声またはいずれか一方の素材から制作されたソースが符号化され、この符号化ストリームがTSにフォーマット変換されたデータである。例えば、放送系コンテンツデータがドラマ番組のコンテンツデータである場合、通信系コンテンツデータはそのドラマ番組の字幕データである。
配信装置40−1〜40−3それぞれが記憶する通信系コンテンツデータは、全て同一内容のデータである。
【0018】
配信装置40は、通信系コンテンツデータを読み出し、この通信系コンテンツデータにあらかじめ付加された時刻管理情報(PTS)を、放送系コンテンツデータに付加されたPTSと同一の情報に変更し、この変更後の通信系コンテンツデータを受信装置60に配信する。具体的には、配信装置40は、自装置が管理するSTCを、送信装置10から取得するSTCに同期結合(ゲンロック)する。そして、配信装置40は、記憶した通信系コンテンツデータに付加されているPTSを、その同期結合したSTCに基づき生成したPTSに置き替える。そして、配信装置40は、PTSが置き替えられた通信系コンテンツデータを受信装置60に送信する。
【0019】
受信装置60は、放送電波Wを受信して放送信号を取り込み、この放送信号から放送系コンテンツデータを抽出する。また、受信装置60は、配信装置40−1〜40−3のうち選択した一の配信装置40から供給される通信系コンテンツデータを取り込む。受信装置60は、放送系コンテンツデータおよび通信系コンテンツデータそれぞれから同時刻におけるPTSを抽出してこれら両PTSの差分値を計算し、この差分値から放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの時間差である遅延時間を計算する。受信装置60は、配信装置40−1〜40−3の各配信装置に対して遅延時間を計算し、最も短い遅延時間に対応する配信装置40を選択して、この配信装置40との通信を確立させる。
【0020】
そして、受信装置60は、放送系コンテンツデータに含まれるDTSに基づくタイミングで放送系コンテンツデータを復号して放送系復号コンテンツデータを生成する。また、受信装置60は、通信を確立した配信装置40から供給される通信系コンテンツデータを取り込み、この通信系コンテンツデータに含まれるDTSに基づくタイミングで通信系コンテンツデータを復号して通信系復号コンテンツデータを生成する。そして、受信装置60は、放送系復号コンテンツデータを放送系コンテンツデータに含まれるPTSに基づくタイミングで出力するとともに、通信系復号コンテンツデータを通信系コンテンツデータに含まれるPTSに基づくタイミングで出力する。
【0021】
送出側ネットワーク30は、送信装置10と配信装置40−1〜40−3との間でシステムクロックであるSTCを伝送する電気通信回線である。
ネットワーク50は、受信装置60が接続される電気通信回線であり、インターネットにも接続されるコンピュータネットワークである。
【0022】
図2は、送信装置10の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、送信装置10は、システムクロック生成部101と、コンテンツ記憶部102と、コンテンツ符号化部103と、タイムスタンプ付加部104と、コンテンツバッファ105と、放送信号送信部106とを備える。
【0023】
システムクロック生成部101は、例えば、27MHzの周波数によりカウントアップするSTCカウンタを備える。システムクロック生成部101は、そのSTCカウンタの出力値であるSTC(STC1)に基づいて、システムクロックデータであるPCR(PCR1)を生成する。このPCRも時刻管理情報である。システムクロック生成部101は、STC1およびPCR1をタイムスタンプ付加部104に供給し、STC1を配信装置40−1〜40−3に送信する。
【0024】
コンテンツ記憶部102は、映像および音声またはいずれか一方の素材を編集して制作した放送番組のソースを記憶する記憶装置である。コンテンツ記憶部102は、例えば、磁気ハードディスク装置や半導体ディスク装置により実現される。
コンテンツ符号化部103は、コンテンツ記憶部102から放送番組のソースを読み込み、このソースを符号化してエレメンタリストリームを生成する。そして、コンテンツ符号化部103は、そのエレメンタリストリームをPES(Packetized Elementary Stream)に変換してタイムスタンプ付加部104に供給する。
【0025】
タイムスタンプ付加部104は、システムクロック生成部101から供給されるSTC1およびPCR1を取り込み、STC1およびPCR1に基づいて、DTS(DTS1)とPTS(PTS1)とを生成する。また、タイムスタンプ付加部104は、PCR1とDTS1とPTS1とエレメンタリストリームのPESとを多重化しTSにフォーマット変換して放送系コンテンツデータを生成し、この放送系コンテンツデータをコンテンツバッファ105に供給する。
【0026】
コンテンツバッファ105は、放送系コンテンツデータをバッファリングして放送信号送信部106に供給する。
放送信号送信部106は、コンテンツバッファ105にバッファリングされた放送系コンテンツデータを読み込み、この放送系コンテンツデータを放送信号に変換して送信アンテナ20に送信する。
【0027】
図3は、配信装置40の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、配信装置40は、システムクロック生成部401と、通信系コンテンツ記憶部402と、コンテンツバッファ403と、通信系コンテンツ送信部404とを備える。
【0028】
システムクロック生成部401は、送信装置10から供給されるSTC(STC1)を受信して取り込む。システムクロック生成部401は、27MHzの周波数によりカウントアップするSTCカウンタを備える。システムクロック生成部401は、そのSTCカウンタの出力値であるSTC(STCs)を、取り込んだSTC1に同期結合する。これにより、STCsはSTC1と等しくなる。システムクロック生成部401は、STCsに基づいてPTS(PTSs)を生成し、このPTSsをコンテンツバッファ403に供給する。これにより、PTSsはPTS1と等しくなる。
【0029】
通信系コンテンツ記憶部402は、通信系コンテンツデータを記憶する記憶装置である。通信系コンテンツ記憶部402は、例えば、磁気ハードディスク装置や半導体ディスク装置により実現される。なお、図示しない制御部は、通信系コンテンツ記憶部402から通信系コンテンツデータを読出し、この通信系コンテンツデータをコンテンツバッファ403に供給する。
【0030】
コンテンツバッファ403は、通信系コンテンツ記憶部402から読み出した通信系コンテンツデータをバッファリングし、その通信系コンテンツデータに含まれるPTSをPTSsに変更し、この変更後の通信系コンテンツデータを通信系コンテンツ送信部404に供給する。
通信系コンテンツ送信部404は、時刻管理情報をPTSからPTSsに変更した通信系コンテンツデータを受信装置60に送信する。
【0031】
図4は、受信装置60の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、受信装置60は、放送系コンテンツ取得部601と、分離部602と、映像バッファ603と、音声バッファ604と、システムバッファ605と、システムデコーダ606と、システム制御部607と、システムクロック再生部608と、映像デコーダ609と、音声デコーダ610とを備える。さらに、受信装置60は、通信系コンテンツ取得部611と、分離部612と、映像バッファ613と、音声バッファ614と、映像デコーダ615と、音声デコーダ616とを備える。さらに、受信装置60は、遅延時間計算部(時間差計算部)617と、遅延時間管理部618と、配信装置要求制御部619と、映像出力部620と、音声出力部621とを備える。
【0032】
放送系コンテンツ取得部601は、放送電波Wを受信して放送信号を取り込み、この放送信号から放送系コンテンツデータを抽出して、この放送系コンテンツデータを分離部602に供給する。
分離部602は、放送系コンテンツ取得部601から供給される放送系コンテンツデータを取り込み、この放送系コンテンツデータを、ビデオデータとオーディオデータとシステムデータとに分離する。ビデオデータおよびオーディオデータはエレメンタリストリームである。そして、分離部602は、ビデオデータを映像バッファ603に供給し、オーディオデータを音声バッファ604に供給し、システムデータをシステムバッファ605に供給する。
【0033】
映像バッファ603は、分離部602から供給されるビデオデータを取り込んでバッファリングする。
音声バッファ604は、分離部602から供給されるオーディオデータを取り込んでバッファリングする。
システムバッファ605は、分離部602から供給されるシステムデータを取り込んでバッファリングする。
【0034】
システムデコーダ606は、システムバッファ605でバッファリングされたシステムデータを取り込んでPCR(PCR1)、PSI/SI等を抽出する。そして、システムデコーダ606は、PCRをシステムクロック再生部608に供給し、PSI/SIをシステム制御部607に供給する。
システム制御部607は、システムデコーダ606から供給されるPSI/SIを取り込み、プログラムを管理したり番組情報を管理したりする。
システムクロック再生部608は、システムデコーダ606から供給されるPCRを取り込む。システムクロック再生部608は、27MHzの周波数でカウントアップするSTCカウンタを備え、このSTCカウンタの出力値であるSTCを、取り込んだPCRに基づいて校正する。そして、システムクロック再生部608は、校正されたSTCに基づいて映像デコーダ609と音声デコーダ610とを制御する。
【0035】
映像デコーダ609は、映像バッファ603でバッファリングされたビデオデータを取り込む。映像デコーダ609は、取り込んだビデオデータから時刻管理情報であるPTS(PTS1)を抽出し、このPTSを遅延時間計算部617と映像出力部620とに供給する。また、映像デコーダ609は、ビデオデータからDTS(DTS1)を抽出し、このDTSに基づいてビデオデータを復号して放送系復号映像データを生成し、この放送系復号映像データを映像出力部620に供給する。
【0036】
音声デコーダ610は、音声バッファ604でバッファリングされたオーディオデータを取り込む。音声デコーダ610は、取り込んだオーディオデータからPTSを抽出し、このPTSを音声出力部621に供給する。また、音声デコーダ610は、オーディオデータからDTSを抽出し、このDTSに基づいてオーディオデータを復号して放送系復号音声データを生成し、この放送系復号音声データを音声出力部621に供給する。
【0037】
通信系コンテンツ取得部611は、通信系コンテンツデータを受信して取り込み、この通信系コンテンツデータを分離部612に供給する。
分離部612は、通信系コンテンツ取得部611から供給される通信系コンテンツデータを取り込み、この通信系コンテンツデータを、ビデオデータとオーディオデータとに分離する。ビデオデータおよびオーディオデータはエレメンタリストリームである。そして、分離部612は、ビデオデータを映像バッファ613に供給し、オーディオデータを音声バッファ614に供給する。
映像バッファ613は、分離部612から供給されるビデオデータを取り込んでバッファリングする。
音声バッファ614は、分離部612から供給されるオーディオデータを取り込んでバッファリングする。
【0038】
映像デコーダ615は、映像バッファ613でバッファリングされたビデオデータを取り込む。映像デコーダ615は、取り込んだビデオデータから時刻管理情報であるPTS(PTSs)を抽出し、このPTSを遅延時間計算部617に供給する。また、映像デコーダ615は、ビデオデータからDTS(DTSs)を抽出し、このDTSに基づいてビデオデータを復号して通信系復号映像データを生成し、この通信系復号映像データを映像出力部620に供給する。
【0039】
音声デコーダ616は、音声バッファ614でバッファリングされたオーディオデータを取り込む。音声デコーダ616は、オーディオデータからDTSを抽出し、このDTSに基づいてオーディオデータを復号して通信系復号音声データを生成し、この通信系復号音声データを音声出力部621に供給する。
【0040】
映像デコーダ609と映像デコーダ615とは時刻管理情報抽出部である。
【0041】
遅延時間計算部617は、映像デコーダ609から供給される放送系のPTS(PTS1)を取り込むとともに、映像デコーダ615から供給される通信系のPTS(PTSs)を取り込み、放送系のPTSに対する通信系のPTSの差分値を計算する。そして、遅延時間計算部617は、その差分値に基づいて、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの遅延時間を計算し、この遅延時間を遅延時間管理部618に供給する。遅延時間は、PTSの差分値とPTSのカウントアップの周波数である90KHzとに基づいて計算される。
【0042】
遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルを記憶する。遅延時間管理テーブルは、配信装置40−1〜40−3それぞれについて、配信装置40を識別する情報と、配信装置40が保有する通信系コンテンツデータの所在情報と、配信装置40に対応する遅延時間とを対応付けたテーブルデータである。遅延時間管理部618は、遅延時間計算部617から供給される遅延時間を取り込み、この遅延時間を遅延時間管理テーブルに代入する。遅延時間管理テーブルについては、その詳細を後述する。
また、遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルにおいて最も短い遅延時間に対応する所在情報を抽出し、この所在情報を配信装置要求制御部619に供給する。
【0043】
配信装置要求制御部619は、遅延時間管理部618から供給される所在情報を取り込み、この所在情報を含む配信装置接続要求信号を生成し、この配信装置接続要求信号を対応する配信装置40に送信する。
【0044】
映像出力部620は、映像デコーダ609から供給される放送系復号映像データを取り込むとともに、映像デコーダ615から供給される通信系復号映像データを取り込み、これら放送系復号映像データと通信系復号映像データとを、映像デコーダ609から供給されるPTSに基づいて同期させる。そして、映像出力部620は、同期した放送系復号映像データと通信系復号映像データとを画像合成させたり複合ウィンドウにマッピングさせたりした後、映像信号に変換して出力する。
【0045】
音声出力部621は、音声デコーダ610から供給される放送系復号音声データを取り込むとともに、音声デコーダ616から供給される通信系復号音声データを取り込み、これら放送系復号音声データと通信系復号音声データとを、音声デコーダ610から供給されるPTSに基づいて同期させる。そして、音声出力部621は、同期した放送系復号音声データと通信系復号音声データとを音声信号に変換して出力する。
【0046】
図5は、受信装置60の遅延時間管理部618に記憶される遅延時間管理テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、遅延時間管理テーブルは、配信装置40−1〜40−3それぞれについて、配信装置40を識別する情報である「配信装置名称」と、配信装置40が保有する通信系コンテンツデータの所在情報である「配信装置URL(Uniform Resource Locator)」と、「遅延時間」とを対応付けたデータである。
【0047】
次に、本発明の第1実施形態における送受信システム1の動作について説明する。
図6は、送信装置10と配信装置40と受信装置60とにおける、放送系コンテンツデータおよび通信系コンテンツデータの送受信の流れを示すフローチャートである。
まず、送信装置10の処理について説明する。
ステップS101において、システムクロック生成部101は、内蔵するSTCカウンタの出力値であるSTC(STC1)に基づいてPCR(PCR1)を生成し、STC1およびPCR1をタイムスタンプ付加部104に供給し、STC1を配信装置40−1〜40−3に送信する。
【0048】
次に、ステップS102において、コンテンツ符号化部103は、コンテンツ記憶部102から放送番組のソースを読み込み、このソースを符号化してエレメンタリストリームを生成する。次に、コンテンツ符号化部103は、そのエレメンタリストリームをPESに変換してタイムスタンプ付加部104に供給する。次に、タイムスタンプ付加部104は、システムクロック生成部101から供給されるSTC1およびPCR1を取り込み、STC1およびPCR1に基づいて、時刻管理情報であるDTS(DTS1)とPTS(PTS1)とを生成する。次に、タイムスタンプ付加部104は、PCR1とDTS1とPTS1とエレメンタリストリームのPESとを多重化しTSにフォーマット変換して放送系コンテンツデータを生成し、この放送系コンテンツデータをコンテンツバッファ105に供給する。
【0049】
次に、ステップS103において、放送信号送信部106は、コンテンツバッファ105に記憶された放送系コンテンツデータを読み込み、この放送系コンテンツデータを放送信号に変換して送信アンテナ20に送信する。次に、送信アンテナ20は、放送信号を受信するとこの放送信号を放送電波Wとして空中に送出する。
【0050】
次に、配信装置40の処理について説明する。
ステップS201において、システムクロック生成部401は、ステップS101の処理において送信装置10のシステムクロック生成部101が送信したSTC(STC1)を受信する。
次に、ステップS202において、システムクロック生成部401は、内蔵するSTCカウンタの出力値であるSTC(STCs)を、ステップS101の処理において受信したSTC1に同期結合する。これにより、STCsはSTC1と等しくなる。次に、システムクロック生成部401は、STCsに基づいてPTS(PTSs)を生成し、このPTSsをコンテンツバッファ403に供給する。これにより、PTSsはPTS1と等しくなる。
【0051】
次に、ステップS203において、配信装置40の制御部は、通信系コンテンツ記憶部402に記憶された通信系コンテンツデータを読み出し、この通信系コンテンツデータをコンテンツバッファ403に供給する。
次に、ステップS204において、コンテンツバッファ403は、バッファリングしている通信系コンテンツデータに含まれるPTSをPTSsに変更し、この変更後の通信系コンテンツデータを通信系コンテンツ送信部404に供給する。
次に、ステップS205において、通信系コンテンツ送信部404は、時刻管理情報をPTSからPTSsに変更した通信系コンテンツデータを受信装置60に送信する。
【0052】
次に、受信装置60の処理について説明する。
ステップS301において、放送系コンテンツ取得部601は、ステップS103の処理において送信アンテナ20が送信した放送電波Wを受信して放送信号を取り込み、この放送信号から放送系コンテンツデータを抽出する。
次に、ステップS302において、通信系コンテンツ取得部611は、ステップS205の処理において、配信装置40の通信系コンテンツ送信部404が送信した、値がPTSsであるPTSが付加された通信系コンテンツデータを取り込む。
【0053】
図7は、受信装置60が配信装置40を選択する処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS311において、放送系コンテンツ取得部601は、送信アンテナ20から送信された放送電波Wを受信して放送信号を取り込み、この放送信号から放送系コンテンツデータを抽出する。次に、分離部602は、放送系コンテンツデータを分離して、ビデオデータを映像バッファ603に供給する。次に、映像デコーダ609は、映像バッファ603がバッファリングしているビデオデータを読み込み、このビデオデータから放送系のPTS(PTS1)を抽出し、このPTSを遅延時間計算部617に供給する。
【0054】
次に、ステップS312において、遅延時間管理部618は、記憶している遅延時間管理テーブルを初期化する。遅延時間管理テーブルの初期化とは、例えば、遅延時間管理テーブルの項目「遅延時間」への代入値をヌル(null)にすることである。
【0055】
次に、ステップS313において、遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルを参照し、遅延時間が未計算である(代入値がヌルである)レコードがあるか否かを判定する。判定の結果、遅延時間が未計算であるレコードがあると遅延時間管理部618が判定した場合(S313:YES)はステップS314の処理に移し、遅延時間が未計算であるレコードがないと遅延時間管理部618が判定した場合(S313:NO)はステップS318の処理に移す。
【0056】
ステップS314において、配信装置要求制御部619は、遅延時間が未計算であるレコードにおける通信系コンテンツデータの所在情報を含めた配信装置接続要求信号を生成し、この配信装置接続要求信号を対応する配信装置40に送信する。
【0057】
次に、ステップS315において、通信系コンテンツ取得部611は、上記の配信装置接続要求信号を受信した配信装置40から送信された通信系コンテンツデータを取り込む。次に、分離部612は、通信系コンテンツデータを分離して、ビデオデータを映像バッファ613に供給する。次に、映像デコーダ615は、映像バッファ613がバッファリングしているビデオデータを読み込み、このビデオデータからPTSを抽出し、この通信系のPTS(PTSs)を遅延時間計算部617に供給する。
【0058】
次に、ステップS316において、遅延時間計算部617は、放送系のPTSに対する通信系のPTSの差分値を計算する。次に、遅延時間計算部617は、その差分値に基づいて、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの時間差(遅延時間)を計算し、この遅延時間を遅延時間管理部618に供給する。
次に、ステップS317において、遅延時間管理部618は、遅延時間計算部617から供給された遅延時間を、遅延時間管理テーブルに代入する。
次に、遅延時間管理部618は、ステップS313の処理に移す。
【0059】
ステップS318において、遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルにおいて最も短い遅延時間に対応する所在情報を抽出し、この所在情報を配信装置要求制御部619に供給する。
次に、ステップS319において、配信装置要求制御部619は、遅延時間管理部618から供給される所在情報を取り込み、この所在情報を含む配信装置接続要求信号を生成し、この配信装置接続要求信号を対応する配信装置40に送信する。
【0060】
本発明の第1実施形態によれば、受信装置60は、配信装置40−1〜40−3それぞれについて、通信系コンテンツデータに含まれるPTSと放送系コンテンツデータに含まれるPTSとを同時刻において比較し、放送系コンテンツデータのPTSに対する通信系コンテンツデータのPTSの遅延時間が最も短くなる配信装置40を選択する。
これにより、受信装置60は、放送系コンテンツデータと通信系コンテンツデータとの時間差が最も少なくなる通信系コンテンツデータを取得することができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
本発明の第2実施形態は、配信装置および受信装置の機能構成が第1実施形態と部分的に異なるものである。そこで、本実施形態では、配信装置40−1〜40−3を配信装置40a−1〜40a−3、受信装置60を受信装置60aとして説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図8は、配信装置40aの機能構成を示すブロック図である。同図において、配信装置40aは、配信装置40におけるシステムクロック生成部401とコンテンツバッファ403とを、システムクロック生成部401aとコンテンツバッファ403aとに変更した構成を有する。
【0063】
システムクロック生成部401aは、送信装置10から供給されるSTC(STC1)を受信して取り込む。システムクロック生成部401aは、27MHzの周波数によりカウントアップするSTCカウンタを備える。システムクロック生成部401aは、そのSTCカウンタの出力値であるSTC(STCs)を、取り込んだSTC1に同期結合する。これにより、STCsはSTC1と等しくなる。システムクロック生成部401aは、STCsに基づいてシステムクロックデータ(時刻管理情報)であるPCR(PCRs)を生成し、このPCRsをコンテンツバッファ403に供給する。これにより、PCRsはPCR1と等しくなる。
【0064】
コンテンツバッファ403aは、通信系コンテンツ記憶部402から読み出した通信系コンテンツデータをバッファリングし、その通信系コンテンツデータに含まれるPCRをPCRsに変更し、この変更後の通信系コンテンツデータを通信系コンテンツ送信部404に供給する。
【0065】
よって、配信装置40aの通信系コンテンツ送信部404は、時刻管理情報をPCRからPCRsに変更した通信系コンテンツデータを受信装置60aに送信する。
【0066】
図9は、受信装置60aの機能構成を示すブロック図である。同図において、受信装置60aは、システムバッファ622とシステムデコーダ623とを新たに備え、受信装置60におけるシステムクロック再生部608と分離部612と遅延時間計算部617とを、システムクロック再生部608aと分離部612aと遅延時間計算部(時間差計算部)617aとに変更した構成を有する。
システムクロック再生部608aとシステムデコーダ623とは、時刻管理情報抽出部である。
【0067】
分離部612aは、通信系コンテンツ取得部611から供給される通信系コンテンツデータを取り込み、この通信系コンテンツデータを、ビデオデータとオーディオデータとシステムデータとに分離する。ビデオデータおよびオーディオデータはエレメンタリストリームである。そして、分離部612aは、ビデオデータを映像バッファ613に供給し、オーディオデータを音声バッファ614に供給し、システムデータをシステムバッファ622に供給する。
【0068】
システムバッファ622は、分離部612aから供給されるシステムデータを取り込んでバッファリングする。
システムデコーダ623は、システムバッファ622でバッファリングされたシステムデータを取り込んで通信系のPCR(PCRs)を抽出する。そして、システムデコーダ623は、PCRを遅延時間計算部617aに供給する。
【0069】
システムクロック再生部608aは、システムデコーダ606から供給される放送系のPCR(PCR1)を取り込む。システムクロック再生部608aは、27MHzの周波数でカウントアップするSTCカウンタを備え、このSTCカウンタの出力値であるSTCを、取り込んだPCRに基づいて校正する。そして、システムクロック再生部608aは、PCRを遅延時間計算部617aに供給する。また、システムクロック再生部608aは、校正されたSTCに基づいて映像デコーダ609と音声デコーダ610とを制御する。
【0070】
遅延時間計算部617aは、システムクロック再生部608aから供給される放送系のPCR(PCR1)を取り込むとともに、システムデコーダ623から供給される通信系のPCR(PCRs)を取り込み、放送系のPCRに対する通信系のPCRの差分値を計算する。そして、遅延時間計算部617aは、その差分値に基づいて、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの遅延時間を計算し、この遅延時間を遅延時間管理部618に供給する。遅延時間は、PCRの差分値とPCRのカウントアップの周波数である27MHzとに基づいて計算される。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態における送受信システム1の動作について説明する。
送信装置10と配信装置40aと受信装置60aとにおける、放送系コンテンツデータおよび通信系コンテンツデータの送受信の流れについては、第1実施形態において説明した図6のフローチャートを用いて説明する。なお、本実施形態における同図のフローチャートによる処理において第1実施形態と異なる処理は、配信装置40aの処理であるため、ここでは、その配信装置40aの処理についてのみ説明する。
【0072】
ステップS201において、システムクロック生成部401aは、ステップS101の処理において送信装置10のシステムクロック生成部101が送信したSTC(STC1)を受信する。
次に、ステップS202において、システムクロック生成部401aは、内蔵するSTCカウンタの出力値であるSTC(STCs)を、ステップS101の処理において受信したSTC1に同期結合する。これにより、STCsはSTC1と等しくなる。次に、システムクロック生成部401aは、STCsに基づいてPCR(PCRs)を生成し、このPCRsをコンテンツバッファ403aに供給する。これにより、PCRsはPCR1と等しくなる。
【0073】
次に、ステップS203において、配信装置40aの制御部は、通信系コンテンツ記憶部402に記憶された通信系コンテンツデータを読み出し、この通信系コンテンツデータをコンテンツバッファ403aに供給する。
次に、ステップS204において、コンテンツバッファ403aは、バッファリングしている通信系コンテンツデータに含まれるPCRをPCRsに変更し、この変更後の通信系コンテンツデータを通信系コンテンツ送信部404に供給する。
次に、ステップS205において、通信系コンテンツ送信部404は、時刻管理情報をPCRからPCRsに変更した通信系コンテンツデータを受信装置60aに送信する。
【0074】
図10は、受信装置60aが配信装置40aを選択する処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS411において、放送系コンテンツ取得部601は、送信アンテナ20から送信された放送電波Wを受信して放送信号を取り込み、この放送信号から放送系コンテンツデータを抽出する。次に、分離部602は、放送系コンテンツデータを分離して、システムデータをシステムバッファ605に供給する。次に、システムデコーダ606は、システムバッファ605がバッファリングしているシステムデータを読み込み、このシステムデータから放送系のPCR(PCR1)を抽出し、このPCRをシステムクロック再生部608aに供給する。次に、システムクロック再生部608aは、放送系のPCRを遅延時間計算部617aに供給する。
【0075】
次に、ステップS412において、遅延時間管理部618は、記憶している遅延時間管理テーブルを初期化する。遅延時間管理テーブルの初期化とは、例えば、遅延時間管理テーブルの項目「遅延時間」への代入値をヌル(null)にすることである。
【0076】
次に、ステップS413において、遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルを参照し、遅延時間が未計算である(代入値がヌルである)レコードがあるか否かを判定する。判定の結果、遅延時間が未計算であるレコードがあると遅延時間管理部618が判定した場合(S413:YES)はステップS414の処理に移し、遅延時間が未計算であるレコードがないと遅延時間管理部618が判定した場合(S413:NO)はステップS418の処理に移す。
【0077】
ステップS414において、配信装置要求制御部619は、遅延時間が未計算であるレコードにおける通信系コンテンツデータの所在情報を含めた配信装置接続要求信号を生成し、この配信装置接続要求信号を対応する配信装置40aに送信する。
【0078】
次に、ステップS415において、通信系コンテンツ取得部611は、上記の配信装置接続要求信号を受信した配信装置40aから送信された通信系コンテンツデータを取り込む。次に、分離部612aは、通信系コンテンツデータを分離して、システムデータをシステムバッファ622に供給する。次に、システムデコーダ623は、システムバッファ622がバッファリングしているシステムデータを読み込み、このシステムデータからPCRを抽出し、この通信系のPCR(PCRs)を遅延時間計算部617aに供給する。
【0079】
次に、ステップS416において、遅延時間計算部617aは、放送系のPCRに対する通信系のPCRの差分値を計算する。次に、遅延時間計算部617aは、その差分値に基づいて、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの時間差(遅延時間)を計算し、この遅延時間を遅延時間管理部618に供給する。
次に、ステップS417において、遅延時間管理部618は、遅延時間計算部617aから供給された遅延時間を、遅延時間管理テーブルに代入する。
次に、遅延時間管理部618は、ステップS413の処理に移す。
【0080】
ステップS418において、遅延時間管理部618は、遅延時間管理テーブルにおいて最も短い遅延時間に対応する所在情報を抽出し、この所在情報を配信装置要求制御部619に供給する。
次に、ステップS419において、配信装置要求制御部619は、遅延時間管理部618から供給される所在情報を取り込み、この所在情報を含む配信装置接続要求信号を生成し、この配信装置接続要求信号を対応する配信装置40aに送信する。
【0081】
本発明の第2実施形態によれば、受信装置60aは、配信装置40a−1〜40a−3それぞれについて、通信系コンテンツデータに含まれるPCRと放送系コンテンツデータに含まれるPCRとを同時刻において比較し、放送系コンテンツデータのPCRに対する通信系コンテンツデータのPCRの遅延時間が最も短くなる配信装置40aを選択する。
これにより、受信装置60aは、放送系コンテンツデータと通信系コンテンツデータとの時間差が最も少なくなる通信系コンテンツデータを取得することができる。
【0082】
以上詳述したように、第1実施形態および第2実施形態によれば、受信機60,60aは、ネットワーク50のトラヒック負荷が軽い配信装置40を選択して通信することができ、受信機内部のバッファオーバフローやアンダフロー等に起因する異常動作を防止することができる。これにより、各実施形態によれば、より安定した放送と通信との連携サービスを実現することができる。
【0083】
なお、第1実施形態において、放送系コンテンツデータに対する通信系コンテンツデータの遅延時間を測るためにPTSを用いたが、このPTSの代わりにDTSを用いるようにしてもよい。
【0084】
また、第1実施形態における配信装置40−1〜40−3、および第2実施形態における配信装置40a−1〜40a−3は、放送局が管理する装置であるものとした。これ以外に、これら配信装置40,40aは、放送局以外のサービス事業者が管理する装置であるものとしてもよい。この場合、例えば、配信装置40−1〜40−3や配信装置40a−1〜40a−3全てを同一のサービス事業者が管理するようにしてもよいし、配信装置40,40aごとに、管理者を異ならせてもよい。配信装置40,40aごとに管理者が異なる場合でも、配信装置40−1〜40−3および配信装置40a−1〜40a−3が記憶する通信系コンテンツデータは、同一のデータである。
【0085】
また、上述した実施形態である受信装置60の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、その制御機能を実現するための受信プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された受信プログラムをコンピュータシステムに読み込ませて、このコンピュータシステムが実行することによって実現してもよい。なお、このコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(Operating System;OS)や周辺装置のハードウェアを含むものである。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに備えられる磁気ハードディスクやソリッドステートドライブ等の記憶装置のことをいう。さらに、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のコンピュータネットワーク、および電話回線や携帯電話網を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、さらには、その場合のサーバ装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記の受信プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 送受信システム
10 送信装置
20 送信アンテナ
30 送出側ネットワーク
40−1〜40−3,40a−1〜40a−3 配信装置
50 ネットワーク
60,60a 受信装置
101 システムクロック生成部
102コンテンツ記憶部
103 コンテンツ符号化部
104 タイムスタンプ付加部
105 コンテンツバッファ
106 放送信号送信部
401,401a システムクロック生成部
402 通信系コンテンツ記憶部
403,403a コンテンツバッファ
404 通信系コンテンツ送信部
601 放送系コンテンツ取得部
602 分離部
603 映像バッファ
604 音声バッファ
605 システムバッファ
606 システムデコーダ
607 システム制御部
608,608a システムクロック再生部
609 映像デコーダ
610 音声デコーダ
611 通信系コンテンツ取得部
612,612a 分離部
613 映像バッファ
614 音声バッファ
615 映像デコーダ
616 音声デコーダ
617,617a 遅延時間計算部(時間差計算部)
618 遅延時間管理部
619 配信装置要求制御部
620 映像出力部
621 音声出力部
622 システムバッファ
623 システムデコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置から放送される、第1の時刻管理情報を含む放送系コンテンツデータを取り込む放送系コンテンツ取得部と、
配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む通信系コンテンツデータを取り込む通信系コンテンツ取得部と、
前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出部と、
前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差を計算する時間差計算部と、
前記時間差計算部が計算した前記時間差に応じて、前記通信系コンテンツデータの配信要求を行う配信装置要求制御部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記通信系コンテンツ取得部は、複数の配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む各通信系コンテンツデータを取り込み、
前記時刻管理情報抽出部は、前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記各通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出し、
前記時間差計算部は、前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記各通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差をそれぞれ計算し、
前記配信装置要求制御部は、前記時間差計算部が計算した前記複数の配信装置それぞれに対応する前記時間差のうち、最も短い時間に対応する配信装置に対して前記通信系コンテンツデータの配信要求を行う
ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。
【請求項3】
コンピュータを、
送信装置から放送される、第1の時刻管理情報を含む放送系コンテンツデータを取り込む放送系コンテンツ取得部と、
配信装置から電気通信回線を介して配信される、前記第1の時刻管理情報と同一の情報である第2の時刻管理情報を含む通信系コンテンツデータを取り込む通信系コンテンツ取得部と、
前記放送系コンテンツ取得部が取り込んだ前記放送系コンテンツデータから前記第1の時刻管理情報を抽出するとともに、前記通信系コンテンツ取得部が取り込んだ前記通信系コンテンツデータから前記第2の時刻管理情報を抽出する時刻管理情報抽出部と、
前記時刻管理情報抽出部が抽出した前記第1の時刻管理情報と前記第2の時刻管理情報とに基づいて、前記放送系コンテンツデータと前記通信系コンテンツデータとの取り込み時の時間差を計算する時間差計算部と、
前記時間差計算部が計算した前記時間差に応じて、前記通信系コンテンツデータの配信要求を行う配信装置要求制御部と、
として機能させるための受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85123(P2013−85123A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223715(P2011−223715)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】