説明

受信装置

【課題】受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となる受信装置を提供する。
【解決手段】信号受信についての、受信電力およびC/N値を検出する受信状況検出部と、前記検出の結果、および、受信品質が一定水準となるときの受信電力とC/N値の関係を特定する受信特性データ、に基づいて、受信品質に関わる情報を表示する受信品質表示部と、を備え、前記受信品質表示部は、検出された受信電力と、検出されたC/N値の下で受信品質が前記一定水準となるときの受信電力との差、および、検出されたC/N値と、検出された受信電力の下で受信品質が前記一定水準となるときのC/N値との差、が特定される情報を表示する受信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号などの信号を受信する受信装置に関し、特に、受信品質に関する表示を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
放送信号などの信号を受信する受信装置の使用にあたり、ユーザがアンテナを設置する際などにおいては、この受信装置における受信品質を把握することが重要となる。このような事情から、従来、受信品質に関する表示を行う受信装置が考案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、受信品質についての指標として、電界強度(受信電力)とC/N(C/N値)が総合的に考慮されるアンテナレベルの概念を導入し、このアンテナレベルが一定値を超えるか否かを判断するようにした受信装置が開示されている。
【0004】
受信品質を考慮するにあたって、受信電力とC/N値は特に重視される指標であり、またこれらの値は総合的に考慮される必要がある。例えば、受信電力が十分であっても、C/N値が不十分であれば適切な受信が不可となることがあり、逆に、受信電力があまり大きくなくても、C/N値がある程度確保されていれば、適切な受信が可能となることがある。
【0005】
特許文献1に開示された受信装置によれば、アンテナレベルの概念を用いて、受信品質の良否について、受信電力とC/N値の双方が考慮された判断がなされる。これにより、受信品質の良否について、一方の値だけが考慮される場合に比べて、より適切な判断が可能であるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、受信電力とC/N値の双方が考慮された受信品質の指標(上述の場合は、アンテナレベル)を用いることにより、例えば当該指標の値を一定値(一定水準の受信品質に相当する値)と比較して、受信品質の良否をより適切に判断することが可能と考えられる。
【0008】
しかしながら、受信品質の良否判断の結果や、現在の受信電力もしくはC/N値が表示されるだけでは、例えば受信品質が悪い(一定水準を満たさない)と判断された場合に、その原因が、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足していることによるものかを、ユーザにとって把握することは難しい。
【0009】
そのためユーザにとって、受信品質が一定水準を満たすようにするために、主に受信電力を改善させるための措置を採る方が良いのか、或いは、主にC/N値を改善させるための措置を採る方が良いのかを、判断することは難しいと考えられる。また受信電力もしくはC/N値を、どの程度改善させれば良いかの目安を得ることも、難しいと考えられる。
【0010】
その結果、受信品質が一定水準を満たすようにするために、ユーザが適切な措置を採ることは難しいといえる。本発明は上述した問題に鑑み、受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となる受信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る受信装置は、信号を受信する受信装置において、前記受信についての、受信電力およびC/N値を検出する受信状況検出部と、前記検出の結果、および、受信品質が一定水準となるときの受信電力とC/N値の関係を特定する受信特性データ、に基づいて、受信品質に関わる情報を表示する受信品質表示部と、を備え、前記受信品質表示部は、検出された受信電力と、検出されたC/N値の下で受信品質が前記一定水準となるときの受信電力との差、および、検出されたC/N値と、検出された受信電力の下で受信品質が前記一定水準となるときのC/N値との差、が特定される情報を表示する構成とする。
【0012】
本構成によれば、例えば受信品質が悪い(一定水準を満たさない)と判断された場合に、その原因が、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足していることによるものかを、ユーザが判断可能となる。そのためユーザにとって、受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となる。
【0013】
また上記構成において、前記受信品質表示部は、二軸に受信電力とC/N値が割り当てられたグラフであって、受信品質が一定水準となるときの受信電力とC/N値の関係を表すライン、および、検出された受信電力およびC/N値を表すポイントが表されるグラフを、表示する構成としてもよい。
【0014】
本構成によれば、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足しているか等の情報を、グラフ表示を通じて、より直感的に把握することが可能となる。
【0015】
また上記構成において、前記受信状況検出部は、前記受信についてのエラーレートをも検出するものであり、前記受信品質表示部は、検出されたエラーレートの情報をも表示する構成としてもよい。本構成によれば、ユーザが受信品質を改善させる措置を採るにあたり、エラーレート(例えばBER値)を考慮することが可能となる。
【0016】
また上記構成において、前記受信状況検出部の検出結果、および前記受信特性データに基づいて、受信品質が一定水準を満たしているか否かを判別する、受信品質判別部を備え、前記受信品質表示部は、前記受信品質判別部の判別結果に応じて、表示内容の少なくとも一部を異なる色に表示する構成としてもよい。
【0017】
本構成によれば、ユーザは、受信品質が一定水準を満たしているか否かを、一目で把握することが可能となる。
【0018】
また上記構成としてより具体的には、アンプによってゲイン調整された受信信号の信号レベルが一定値となるように、前記アンプのゲインを設定するAGC制御部を備え、前記受信状況検出部は、当該ゲインの情報に基づいて、受信電力を検出する構成としてもよい。
【0019】
また上記構成としてより具体的には、映像情報が含まれたデジタル放送の信号を受信し、該映像情報に基づいて映像を表示する構成としてもよい。本構成によれば、デジタル放送についての受像機として活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
上述した通り、本発明に係る受信装置によれば、例えば受信品質が悪い(一定水準を満たさない)と判断された場合に、その原因が、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足していることによるものかを、ユーザが判断可能となる。そのためユーザにとって、受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る受信装置の構成図である。
【図2】受信品質表示画面についての説明図である。
【図3】受信特性データについての説明図である。
【図4】受信品質表示画面の表示に関する動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、映像情報が含まれたデジタル放送の信号を受信し、この映像情報に基づいて映像を表示する受信装置(受像機)を例に挙げて、以下に説明する。
【0023】
[受信装置の構成等について]
図1は、本発明の実施形態に係る受信装置の構成図である。図1に示すように、当該受信装置9は、アンテナ1、チューナ2、復調部3、AVデコーダ4、表示部5、演算制御部6、RAM7a、フラッシュメモリ7b、および操作部8などを備えている。
【0024】
チューナ2は、アンテナ1を介して受取った放送信号に対し、選局処理を行う機能を有している。なお選局するチャンネル(受信チャンネル)の情報は、演算制御部6に送出されるようになっている。
【0025】
またチューナ2は、周波数変換部21、アンプ22、およびAGC[Automatic Gain Control]制御部23を有している。周波数変換部21は、受信された放送信号(RF信号)に対し、IF信号に変換するためのダウンコンバート処理やフィルタ処理などを施して、アンプ22へ送出する。
【0026】
アンプ22は、周波数変換部21から受取った放送信号に対し、ゲインを調整するゲイン調整処理(増幅処理)を施す。なおアンプ22は、当該ゲイン(増幅の度合)を定めるゲイン情報が、AGC制御部23によって更新可能に設定されており、現在設定されているゲイン情報に従って、ゲイン調整処理を実行する。このようにチューナ2は、ゲインコントロール機能を有している。ゲイン調整処理のなされた放送信号は、後段側の復調部3へ送出される。
【0027】
AGC制御部23は、アンプ22によってゲイン調整された放送信号の信号レベルの情報が、フィードバックされるようになっている。AGC制御部23は、フィードバックされた情報に基づき、アンプ22によってゲイン調整された放送信号の信号レベルが所定の一定値αとなるように(アンプ22でのゲイン調整処理によって、これが実現されるように)、アンプ22に設定されているゲイン情報を更新する。つまりAGC制御部23は、受信された放送信号についてのAGC制御を行う機能を有している。
【0028】
復調部3は、チューナ2から受取った放送信号(IF信号)に対し、所定の復調処理を施して、後段側のAVデコーダ4に送出する。また復調部3は、BER[Bit Error Rate]値(エラーレートの値)を検出するBER検出部31、C/N値を検出するC/N検出部32、および受信電力を検出する受信電力検出部33を有しており、現在の信号受信における受信品質に関する情報を検出するようになっている。検出された各値の情報は、演算制御部6に送出される。
【0029】
AVデコーダ4は、復調部3から受取った放送信号に対して、所定のデコード処理を行い、放送信号に含まれている映像信号を取得(抽出)する。取得された映像信号は、後段側の表示部5に送出される。なおAVデコーダ4は、放送信号に含まれている音声信号をも取得し、不図示の音声出力装置(スピーカ等)に送出するようになっていても良い。
【0030】
表示部5は、各種情報を表示させるためのディスプレイ51を有しており、演算制御部6の指示に従って、各種情報を表示する。表示部5には、AVデコーダ4から受取った映像信号の映像(つまり、デジタル放送の映像)を表示させる他、図2に示すような、現在の受信品質に関する各情報を表す画面(以下、「受信品質表示画面」と称する)が、適宜、OSD表示の形態で表示される。受信品質表示画面の内容などについては、後述の説明によって明らかとなる。
【0031】
演算制御部6は、CPUやマイコン等によって形成されており、受信装置9の機能を発揮させるために必要な、各種の演算処理や制御処理を実行する。なお、受信装置9が行う動作の一つである、受信品質表示画面の表示に関わる動作の流れについては、改めて詳細に説明する。
【0032】
RAM7aは、演算制御部6によるアクセスが可能となっており、各種動作の実行の際に使われる作業用メモリや、各種情報を一時的に記憶するメモリとしての機能を果す。
【0033】
フラッシュメモリ7bは、受信装置9の機能を発揮させるために必要な各種データが、予め(例えば、受信装置9の製造工程において)記録される。フラッシュメモリ7bに記録されているデータは、演算制御部6によって、適宜読出し可能となっている。フラッシュメモリ7bに記録されるデータには、受信装置9の動作プログラム等の他、受信装置9の受信特性に関するデータである、受信特性データが含まれる。
【0034】
受信特性データは、図3に示すように、受信電力(受信信号レベル)およびC/N値が各値となるときにおける、受信装置9における受信品質の良し悪しを表す値(以下、便宜的に「品質値」と称する)を表すデータとなっている。受信特性データは、例えば、受信装置9と同機種(受信特性が同等となるように設計された機種)のテスト機を用いた、ノイズの量(或いは、ノイズの発生し易さなど)の測定を通じて作成される。
【0035】
具体的には、種々の受信環境(テスト機にとって、受信電力あるいはC/N値が異なり、他の条件が同等である環境)を準備し、各受信環境において、テスト機に映像信号を含んだ信号を受信させて映像を表示させる。そしてそれぞれにおける、テスト機が検出する受信電力とC/N値、および、テスト機が表示する映像に含まれるノイズ(例えばブロックノイズ)の量が、調査されるようにする。
【0036】
またノイズの量については、予め決められた換算式(ノイズの量が小さい程、大きな値が算出されるようにした式)を使って、品質値に換算されるようにする。つまり、ノイズの量が少ないほど(或いは、ノイズが発生し難いほど)、そのときの受信品質は良いとみなす。ここまでの工程によって得られた、各受信環境における各検出値(受信電力の検出値およびC/N値の検出値)、および品質値に基づいて、受信特性データが作成される。
【0037】
なお受信特性データの作成にあたっては、複数のテスト機の各々について、先述した各検出値や品質値の情報を取得しておき、これらの平均値を採用することによって、より信頼性の高い受信特性データを得ることが可能である。また上述した受信特性データの作成手法は一例であり、他の作成手法(例えば、何らかの算出方法を用いて品質値を算出する手法)が採用されても構わない。
【0038】
また一般的に、受信電力やC/N値が大きいほど、受信品質は良好となる。そのため図3に示すように、品質値を、二つの軸(それぞれ右あるいは上方向を正方向とする)に受信電力とC/N値を割当てた表の形式で表すと、品質値は当該表の右上側に向かうほど大きくなる。
【0039】
そして当該表においては、受信品質が予め定められた一定水準を満たすか否かの境界に相当する、境界ラインを設定することが可能である。本実施形態では、この一定水準に対応する品質値(以下、「境界値」と称する)は「45」に設定されており、境界ラインは、図3における太い実線で示す通りとなる。なお、この一定水準をどのような水準に定めておくかは任意であるが、通常、(受信品質が悪いために)ユーザに違和感を与えることがない程度の水準に定められる。
【0040】
当該表における境界ラインより左下側の領域は、受信品質が一定水準を満たしていない場合に対応しており(つまり、品質値が45未満であり)、境界ラインより右上側の領域は、受信品質が一定水準を満たしている場合に対応している(つまり、品質値が45以上である)。なお受信電力が低い領域ではC/N値との線形性に偏りが生じ、受信電力が変動したときの、境界値に対応するC/N値の変動が大きくなる。そのため、受信特性データの作成においては、受信電力が低い領域に重み付け(サンプリングの間隔を小さくする)を行っておくことが望ましい。このような形態の受信特性データが、どのように利用されるかについては、後述の説明で明らかとなる。
【0041】
操作部8は、例えばリモコン装置や押しボタンスイッチによって形成されており、ユーザによる操作の内容を表す情報を、演算制御部6に送出する。これにより演算制御部6は、各種の演算処理や制御処理に、ユーザの意図を反映させることが可能となっている。
【0042】
[受信装置が行う動作について]
受信装置9は上述した通りの構成となっており、通常の動作状態において、デジタル放送の受像を実行する。また受信装置9は、ユーザによる受信品質表示画面の表示の指示(操作部8における所定操作)がなされたかを継続的に監視しており、当該指示がなされたときには、受信品質表示画面を表示するための動作を開始する。当該動作の流れについて、図4に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0043】
当該動作が開始されると、受信電力検出部33は、現在の信号受信における受信電力を検出する(ステップS1)。より具体的には、受信電力検出部33は、アンプ22に設定しているゲイン情報をAGC制御部23から受取り、このゲイン情報(AGCレベル)に基づいて、現在の受信電力を算出する。なお当該算出は、例えば一定値α(AGC制御における目標値)を、アンプ22における現在のゲインβで除することによって実現される。当該算出の結果、現在の受信電力が検出されることとなる。
【0044】
またC/N検出部32は、現在の信号受信におけるC/N値を検出する(ステップS2)。より具体的には、C/N検出部32は、復調された受信信号のコンスタレーションについて、理想のコンスタレーションポイントからのベクトル誤差を算出し、推定のC/N値を得る。これにより、現在のC/N値が検出されることとなる。
【0045】
またBER検出部31は、復調部31に伝送された受信信号に基づいて、現在の信号受信におけるBER値を検出する(ステップS3)。なお、受信電力、C/N値、およびBER値を検出する手法自体については公知であり、またステップS1〜S3における検出の手法については、他の手法が採用されても構わない。またBER値の検出動作においては、瞬間的に大きくなった値を検出可能とするように、MAX値をホールドする機能が備えられていても構わない。
【0046】
次に演算制御部6は、受信電力の検出結果、C/N値の検出結果、および受信特性データに基づき、現在の受信品質が一定水準を満たしているか否かを判別する(ステップS4)。すなわち演算制御部6は、受信特性データに基づいて、検出された受信電力およびC/N値に対応する品質値を特定する。そして、この品質値が境界値「45」以上であれば、一定水準を満たしていると判別され、そうでなければ、一定水準を満たしていないと判別される。
【0047】
また演算制御部6は、現在の(今回検出された)受信電力およびC/N値について、他方の値を固定した場合の、境界ラインとの差を算出する(ステップS5)。受信電力についての境界ラインとの差をDIF1、C/N値についての境界ラインとの差をDIF2とすると、これらはそれぞれ、下式によって算出される。
DIF1=|(検出された受信電力)−(検出されたC/N値の下で、品質値が境界値に一致するときの受信電力)|
DIF2=|(検出されたC/N値)−(検出された受信電力の下で、品質値が境界値に一致するときのC/N値)|
【0048】
例えば図3の表によれば、検出された受信電力が「−72(dBm)」、検出されたC/N値が「20(dB)」であったとすると、受信電力が「−72(dBm)」であるときに品質値が境界値に一致するときのC/N値は「22(dB)」である。そのためDIF2は、|20(dB)−22(dB)|=2(dB)と算出されることになる。
【0049】
次に演算制御部6は、ステップS1〜S5の動作によって得られた各検出および算出の結果に基づいて、図2に示す形態の受信品質表示画面の情報を生成し、表示部5に表示させる(ステップS6)。なお、受信品質表示画面が既に表示されている場合は、その画面表示はそのまま維持され、表示内容が最新のものに更新される。
【0050】
受信品質表示画面は、図2に示す通り、各種情報が表示される複数の表示窓(W1〜W7)と、グラフGRが表示されるようになっている。表示窓W1は、現在の受信品質が一定水準を満たしているか否か(ステップS4における判別の結果)に応じて、異なる色に表示される。例えば、一定水準を満たしている場合には緑色に、満たしていない場合には赤色に表示される。なお表示窓W1の表示態様は、現在の受信品質が一定水準を満たしているか否かを、ユーザが一目で把握できるようになっている限り、種々の態様とすることができる。
【0051】
表示窓W2には、現在の受信チャンネルが表示されるようになっている。また表示窓W3には、現在の受信電力(ステップS1における検出結果)が、表示窓W5には、現在のC/N値(ステップS2における検出結果)が、表示窓W7には、現在のBER値(ステップS3における検出結果)が、それぞれ表示されるようになっている。
【0052】
なお現在のBER値が予め定められた閾値を超えている場合は、表示窓W7の色が変化するようになっていたり、注意メッセージが表示されるようになっていたりしても良い。これによりユーザは、現在のBER値が当該閾値を超えていることを、一目で把握することが可能となる。
【0053】
また表示窓W4には、受信電力についての境界ラインとの差(ステップS5の動作において算出されたDIF1の値)が表示されるようになっている。また表示窓W6には、C/N値についての境界ラインとの差(ステップS5の動作において算出されたDIF2の値)が表示されるようになっている。
【0054】
またグラフGRは、横軸に受信電力が、縦軸にC/N値が、それぞれ割当てられた2次元のグラフとなっている。そしてグラフGRには、受信特性データにおける境界ラインに相当するラインL、および、検出された受信電力およびC/N値を表す(これらの検出値の何れにも対応した)ポイントPが、それぞれ表されるようになっている。ポイントPがラインLより右上側にあれば、現在の受信品質は一定水準を満たしており、ラインLより左下側にあれば、受信品質は一定水準を満たしていないことになる。またポイントPがラインLより左下側にある場合、ポイントPがラインLから大きく離れているほど、現在の受信品質は一定水準に大きく及ばないことが分かる。
【0055】
グラフGRが表示されることにより、ユーザは、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足しているか等の情報を、グラフ表示を通じて、より直感的に把握することが可能となっている。なおラインLは、受信品質が一定水準となるときの、受信電力とC/N値の関係を表すラインと見ることもできる。
【0056】
また演算制御部6は、ユーザによって、受信品質表示画面の表示の停止指示がなされたかを監視する(ステップS7)。そして当該停止指示がなされた場合には(ステップS7のY)、演算制御部5は、受信品質表示画面の表示を停止する。その後、受信装置9は通常の動作状態に戻る。
【0057】
一方、当該停止指示がなされていない場合には(ステップS7のN)、ステップS1以降の動作が繰り返される。これにより、当該停止指示がなされるまで、受信品質表示画面における表示の内容は、逐次最新のものに更新される。なお本実施形態では、受信品質表示画面は、ユーザの指示に応じて表示されるようになっているが、例えばディスプレイ51の一部の領域に、常時表示されるようになっていても構わない。
【0058】
[受信品質表示画面の利用形態について]
ユーザは、例えば表示画像へのブロックノイズの混入といった不具合が生じた場合、これを改善させようとする。そして当該改善のための作業を行うにあたり、ユーザは、受信品質表示画面を利用することが可能である。この場合、当該作業は、例えば次のようにして進められる。
【0059】
ユーザは先ず、受信装置9に受信品質表示画面の表示の指示を与え、ディスプレイ51に受信品質表示画面を表示させる。これによりユーザは、現在の受信品質について、図2に示す内容の各情報を得ることができる。
【0060】
ここでユーザは先ず、表示窓W1或いはグラフGRに着目して、現在の受信品質が一定水準を満たしているかを確認する。その結果、不具合が発生しているにも関わらず、受信品質が一定水準を満たしている場合には、不具合の原因は受信品質の他にあると考えられる。そこでユーザは、他の原因を調べて、不具合の改善を図ることができる。
【0061】
また、受信品質が一定水準を満たしていないことが分かった場合、次にユーザは、特に二つの表示窓(W4、W6)或いはグラフGRに着目し、受信品質が一定水準を満たしていない原因が、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足していることによるものかを把握する。
【0062】
これによりユーザは、受信品質が一定水準を満たすようにするために、主に受信電力を改善させるための措置を採る方が良いのか、或いは、主にC/N値を改善させるための措置を採る方が良いのかを、判断することができる。例えば、受信電力における境界ラインとの差が比較的小さく、C/N値における境界ラインとの差が比較的大きい場合には、受信電力を改善させるための措置を採る方が良い(より少ない改善だけで目的が達成され得る)と判断することができる。またユーザは、受信電力もしくはC/N値を、どの程度改善させれば良いかの目安を得ることもできる。
【0063】
ここで一般的に、主に受信電力を改善させるための措置としては、実行容易な措置から順に、(1)アンテナの方向調整、(2)アンテナの近くへのブースターの挿入、(3)分配器やケーブルを損失の小さいものに交換する措置、および(4)アンテナを高性能品に交換する措置などが挙げられる。
【0064】
また、主にC/N値を改善させるための措置としては、実行容易な措置から順に、(1)アンテナの方向調整、(2)アンテナ混合部の利得や減衰の調整、(3)アンテナ混合部へのフィルタの挿入、(4)ブースターを高性能品に交換する措置、および(5)アンテナを高性能品に交換する措置などが挙げられる。
【0065】
このように、主に受信電力を改善させるための措置と、主にC/N値を改善させるための措置は異なっているが、受信品質表示画面を参照することにより、ユーザは、何れの措置を重点的に行えば良いかを判断することが可能である。また、受信品質表示画面の表示内容は、逐次最新のものに更新されるため、ユーザは、例えば一つの措置を終えた後に、受信品質表示画面を再度確認し、次に行えば良い措置を判断することも可能である。
【0066】
またユーザは、表示窓W7を適宜参照し、現在のBER値をも考慮して措置を採ることも可能である。このように受信品質表示画面を参照することによって、ユーザは、受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となっている。
【0067】
[まとめ]
以上に説明した通り、受信装置9は、デジタル放送の信号受信についての、受信電力およびC/N値を検出する機能部(受信状況検出部)と、当該検出の結果、および、受信特性データ(受信品質が一定水準となるときの、受信電力とC/N値の関係を特定するデータ)に基づいて、受信品質に関わる情報を表示する機能部(受信品質表示部)と、を備えている。
【0068】
そして受信品質表示部は、検出された受信電力と、検出されたC/N値の下で受信品質が一定水準となるときの受信電力との差(DIF1に相当する)、および、検出されたC/N値と、検出された受信電力の下で受信品質が一定水準となるときのC/N値との差(DIF2に相当する)、が特定される情報(グラフGR、表示窓W4、表示窓W6に表示される情報)を表示する。
【0069】
そのため受信装置9によれば、例えば受信品質が悪い(一定水準を満たさない)と判断された場合に、その原因が、受信電力とC/N値がそれぞれどの程度不足していることによるものかを、ユーザが判断可能となっている。そのためユーザにとって、受信品質が一定水準を満たすようにするために、適切な措置を採ることが容易となっている。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、デジタル放送などを受信する受信装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 アンテナ
2 チューナ
3 復調部
4 AVデコーダ
5 表示部
6 演算制御部
7a RAM
7b フラッシュメモリ
8 操作部
21 周波数変換部
22 アンプ
23 AGC制御部
31 BER検出部
32 C/N検出部
33 受信電力検出部
51 ディスプレイ
GR グラフ
L グラフGRに表されたライン
P グラフGRに表されたポイント
W1〜W7 表示窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信する受信装置において、
前記受信についての、受信電力およびC/N値を検出する受信状況検出部と、
前記検出の結果、および、受信品質が一定水準となるときの受信電力とC/N値の関係を特定する受信特性データ、に基づいて、受信品質に関わる情報を表示する受信品質表示部と、を備え、
前記受信品質表示部は、
検出された受信電力と、検出されたC/N値の下で受信品質が前記一定水準となるときの受信電力との差、および、
検出されたC/N値と、検出された受信電力の下で受信品質が前記一定水準となるときのC/N値との差、
が特定される情報を表示することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信品質表示部は、
二軸に受信電力とC/N値が割り当てられたグラフであって、
受信品質が一定水準となるときの受信電力とC/N値の関係を表すライン、および、検出された受信電力およびC/N値を表すポイントが表されるグラフを、表示することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記受信状況検出部は、
前記受信についてのエラーレートをも検出するものであり、
前記受信品質表示部は、
検出されたエラーレートの情報をも表示することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信状況検出部の検出結果、および前記受信特性データに基づいて、受信品質が一定水準を満たしているか否かを判別する、受信品質判別部を備え、
前記受信品質表示部は、
前記受信品質判別部の判別結果に応じて、表示内容の少なくとも一部を異なる色に表示することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
アンプによってゲイン調整された受信信号の信号レベルが一定値となるように、前記アンプのゲインを設定するAGC制御部を備え、
前記受信状況検出部は、
当該ゲインの情報に基づいて、受信電力を検出することを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の受信装置。
【請求項6】
映像情報が含まれたデジタル放送の信号を受信し、該映像情報に基づいて映像を表示することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−171878(P2011−171878A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32074(P2010−32074)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】