説明

受信装置

【課題】 ユーザ操作を要することなく送信装置との接続を有線接続と無線接続との間で切換え可能な受信装置を提供する。
【解決手段】 受信装置は、無線通信経由で送信装置と接続されている状態で、有線通信経由で送信装置が接続された場合に、有線通信経由で送信装置から識別情報を取得する。受信装置は、有線通信経由で取得した識別情報が、現在無線通信経由で接続されている送信装置の識別情報と同一であるかを判断する。同一である場合に、受信装置は、送信装置に対して、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える指示を送信する。これを受信した送信装置は、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える。また、受信装置は、受信装置のコンテンツデータの入力を無線通信経由から有線通信経由に切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置に有線接続および無線接続可能な受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽ファイルを記録可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体を有する送信装置と、アンプ装置およびスピーカーを有する受信装置とを備えるコンテンツ送受信システムが利用されている。送信装置は、音楽ファイルを再生し、音楽データを例えばBluetooth等の無線通信を使用して受信装置に送信する。あるいは、送信装置は、音楽ファイルを再生し、音楽データを例えばUSB等の有線通信を使用して受信装置に送信する。受信装置は、音楽データを受信して、増幅し、スピーカーから音声を出力する。
【0003】
受信装置と無線通信を実行している送信装置を受信装置に有線接続し、有線通信を使用して音楽データを送信させるためには、ユーザ操作によって、送信装置の出力セレクタを無線通信から有線通信に切換え、かつ、受信装置の入力セレクタを無線通信から有線通信に切換える必要がある。同様に、受信装置と有線通信を実行している送信装置を受信装置に無線接続し、無線通信を使用して音楽データを送信させるためには、ユーザ操作によって、送信装置の出力セレクタを有線通信から無線通信に切換え、かつ、受信装置の入力セレクタを有線通信から無線通信に切換える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−312155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザ操作を要することなく送信装置との接続を有線接続と無線接続との間で切換え可能な受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による受信装置は、コンテンツデータを送信する送信装置に接続可能であり、コンテンツデータを受信する受信装置であって、前記送信装置と無線通信経由で接続する無線通信部と、前記送信装置と有線通信経由で接続する有線通信部と、無線通信経由で前記送信装置と接続している場合に、有線通信経由で前記送信装置が接続されたとき、無線通信経由で使用される前記送信装置の識別情報を前記送信装置から有線通信経由で取得する識別情報取得手段と、無線通信経由で接続している前記送信装置の識別情報と、前記識別情報取得手段によって取得された識別情報とが同一であるか否かを判断する識別情報判断手段と、前記識別情報判断手段によって同一であると判断された場合、前記送信装置に、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、前記受信装置のコンテンツデータの入力を無線通信経由から有線通信経由に切換える切換制御手段とを備える。
【0007】
受信装置は、無線通信経由で送信装置と接続されている状態で、有線通信経由で送信装置が接続された場合に、有線通信経由で送信装置から識別情報を取得する。受信装置は、有線通信経由で取得した識別情報が、現在無線通信経由で接続されている送信装置の識別情報と同一であるかを判断する。同一である場合には、有線通信経由で接続された送信装置は、現在無線通信経由で接続されている送信装置と同一であると判断される。この場合に、受信装置は、送信装置に対して、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える指示を送信する。これを受信した送信装置は、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える。また、受信装置は、受信装置のコンテンツデータの入力を無線通信経由から有線通信経由に切換える。従って、ユーザ操作を要することなく、送信装置を受信装置に有線通信経由で接続するだけで、自動的に、送信装置及び受信装置の双方のコンテンツ経路を無線通信経由から有線通信経由に切換えることができる。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記送信装置と無線通信経由での接続を維持している状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、前記切換制御手段が、前記送信装置に、コンテンツデータの出力を有線通信経由から無線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、前記受信装置のコンテンツデータの入力を有線通信経由から無線通信経由に切換える。
【0009】
受信装置は、有線通信経由で送信装置と接続している場合にも、同送信装置との間で無線通信経由での接続を維持することができる。この場合に、有線通信経由での送信装置との接続が解除された場合、受信装置は、送信装置に対して、コンテンツデータの出力を有線通信経由から無線通信経由に切換える指示を送信する。これを受信した送信装置は、コンテンツデータの出力を有線通信経由から無線通信経由に切換える。また、受信装置は、受信装置のコンテンツデータの入力を有線通信経由から無線通信経由に切換える。従って、ユーザ操作を要することなく、送信装置と受信装置との有線接続を解除するだけで、自動的に、送信装置及び受信装置の双方のコンテンツ経路を有線通信経由から無線通信経由に切換えることができる。
【0010】
好ましい実施形態においては、無線通信経由で接続する1又は複数の前記送信装置の識別情報を管理する識別情報管理手段と、前記送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された前記送信装置の識別情報と同一の識別情報を、前記識別情報管理手段によって管理されている識別情報の中から特定する識別情報特定手段と、前記識別情報特定手段によって特定された識別情報の前記送信装置と、無線通信経由で自動的に接続させる接続制御手段とをさらに備える。
【0011】
受信装置は、送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での送信装置との接続が解除された場合、有線通信経由での接続を解除された送信装置を自動的に特定し、特定した送信装置と無線通信経由で自動的に接続することができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された前記送信装置の再生状態を記憶する再生状態記憶手段と、前記接続制御手段によって、特定された前記送信装置と無線通信経由で自動的に接続された後、前記送信装置に前記再生状態記憶手段によって記憶されている再生状態を送信し、前記送信装置を当該再生状態に復帰させる再生状態送信手段とをさらに備える。
【0013】
受信装置は、送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での送信装置との接続が解除された場合、有線通信経由での接続を解除された送信装置の再生状態を記憶しておき、自動的に無線通信経由で送信装置と接続した際に、記憶しておいた再生状態を送信装置に送信する。例えば、有線通信経由での接続が解除されたときに送信装置がコンテンツを再生していた場合には、無線通信経由で自動的に接続したときに再度コンテンツの再生を開始させることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
ユーザ操作を要することなく送信装置との接続を有線接続と無線接続との間で切換え可能な受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態による受信装置100と送信装置200とを示すブロック図である。
【図2】接続履歴テーブルを示す図である。
【図3】受信装置100と送信装置200とのペアリング処理を示すフローチャートである。
【図4】受信装置100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【図5】受信装置100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【図6】受信装置100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システムを示す概略ブロック図である。コンテンツ再生システムは、コンテンツ受信装置(以下、受信装置という。)100と、コンテンツ送信装置(以下、送信装置という。)200とを備える。受信装置100は、例えば各部屋に設置された据置型のオーディオ装置である。送信装置200は、各個人が所持、携帯する音楽プレーヤ、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機等である。コンテンツは、音楽ファイル(音楽データ)、音声ファイル(音声データ)、映像ファイル(映像データ)、静止画ファイル(静止画データ)等の総称であるが、本実施形態においては音楽ファイル(音楽データ)である。
【0018】
受信装置100と送信装置200とは、例えば、Bluetooth等の任意の規格の無線通信によって相互に接続可能である。また、受信装置100と送信装置200とは、例えば、USB等の任意の規格の有線通信によって相互に接続可能である。送信装置200は、自身が記録している音楽フィルを再生し、再生した音楽データを無線通信経由又は有線通信経由で、受信装置100に送信する。受信装置100は、送信装置200から送信された音楽データを受信し、増幅して、スピーカーから音声を出力する。
【0019】
受信装置100は、CPU1と、RAMやフラッシュメモリ等の書換可能メモリ2と、ROM3と、無線通信部4と、有線通信部5と、再生部6と、スピーカー7とを概略備える。CPU1は、ROM3に格納されている受信装置100の動作プログラムに基づいて受信装置100の各部を制御する。
【0020】
無線通信部4は、送信装置200の無線通信部18と無線接続して通信し、各種の制御コマンドや、音楽データ等を送信装置200との間で送受信する。無線通信部4は、例えばBluetooth等の無線送受信機である。
【0021】
有線通信部5は、送信装置200の有線通信部19と有線接続して通信し、各種の制御コマンドや、音楽データ等を送信装置200との間で送受信する。有線通信部5は、例えばUSBインターフェース(USBコネクタ)およびUSBホストコントローラ等である。
【0022】
再生部6は、無線通信部4または有線通信部5が送信装置200から受信した音楽データを再生(例えば、デコード、D/A変換、音量調整、増幅等)し、スピーカー7から音声を出力する。
【0023】
CPU1は、1又は複数の送信装置200の識別情報を管理する。詳細には、書換可能メモリ2には図2に示す接続履歴テーブルが格納されている。接続履歴テーブルは、受信装置100と送信装置200との無線通信による接続履歴を管理するテーブルである。接続履歴テーブルには所定数(本例では8つ)の項目が存在し、各項目には送信装置200の識別情報を登録可能である。識別情報は受信装置100と送信装置200とがペアリングした際に相互に交換しあい登録される情報であり、例えば、送信装置200のアドレスと暗号鍵との組合せである。あるいは、識別情報は単なる識別番号であってよい。なお、図2では、送信装置の識別情報を単に「送信装置A」等と略して記述する。
【0024】
CPU1は、無線通信経由で送信装置200と接続している場合に、有線通信経由で送信装置200が接続されたとき、無線通信経由で使用される送信装置200の識別情報を送信装置200から有線通信経由で取得する。CPU1は、無線通信経由で接続している送信装置200の識別情報と、有線通信経由で取得された識別情報とが同一であるか否かを判断し、同一であると判断された場合、送信装置200に、音楽データの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、受信装置100の音楽データの入力を無線通信経由から有線通信経由に切換える。
【0025】
また、CPU1は、送信装置200と無線通信経由での接続を維持している状態で、有線通信経由での送信装置200との接続が解除されたとき、送信装置200に、音楽データの出力を有線通信経由から無線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、受信装置100の音楽データの入力を有線通信経由から無線通信経由に切換える。
【0026】
また、CPU1は、送信装置200と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での送信装置200との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された送信装置200の識別情報と同一の識別情報を、接続履歴テーブルの識別情報の中から特定し、特定された識別情報の送信装置200と無線通信経由で自動的に接続させる。
【0027】
また、CPU1は、送信装置200と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での送信装置200との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された送信装置200の再生状態を記憶し、特定された送信装置200と無線通信経由で自動的に接続された後、送信装置200に記憶されている再生状態を送信し、送信装置200を当該再生状態に復帰させる。
【0028】
送信装置200は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、フラッシュメモリ等のコンテンツ記憶部14と、再生部15と、表示部16と、操作部17と、無線通信部18と、有線通信部19とを概略備える。CPU11は、ROM13に格納されている送信装置200の動作プログラムに基づいて送信装置200の各部を制御する。また、ROM13には再生アプリケーションプログラムがインストール又は記録されている。CPU11は、再生アプリケーションプログラムをRAM12に読み出して実行する。
【0029】
フラッシュメモリ14には複数の音楽ファイルが記録されている。再生部15は、再生アプリケーションプログラムに従って、フラッシュメモリ14に記録されている音楽ファイルを再生し、無線通信部18または有線通信部19を介して受信装置100に音楽データを送信する。表示部16は、再生中の音楽ファイルのコンテンツ情報(曲名、アーティスト名等)を表示する。操作部17は、ユーザ操作に基づく指示が入力されるものであり、送信装置200の筐体に設けられた操作ボタンやタッチパネル等である。無線通信部18は、受信装置100の無線通信部4と通信し、各種の制御コマンドや、音楽データ等を受信装置100との間で送受信する。無線通信部18は、例えばBluetooth等の無線送受信機である。有線通信部19は、受信装置100の有線通信部5と通信し、各種の制御コマンドや、音楽データ等を受信装置100との間で送受信する。有線通信部19は、例えばUSBインターフェース(USBコネクタ)およびUSBホストコントローラである。
【0030】
以下、本実施形態の動作を説明する。図3は、受信装置100と送信装置200とのBluetoothのペアリング処理を示すフローチャートである。受信装置100と送信装置200とは、周知の方法によって、無線を介して相互に接続し、ペアリング情報(識別情報)を相互に交換して登録することによって、ペアリング処理を実行する(S101、S201)。受信装置100のCPU1は、新たにペアリング処理を実行した送信装置200のペアリング情報(識別情報)を接続履歴テーブルに登録する。
【0031】
図4は、送信装置200が受信装置100に有線接続される際の、受信装置100のCPU1の処理を示すフローチャートである。CPU1は、有線通信経由で、送信装置200が受信装置100に接続されたか否かを判断している(S1)。接続された場合(S1でYES)、CPU1は、有線通信経由で、送信装置200のCPU11から送信装置200の識別情報を要求して取得する(S2)。ここで、送信装置200から取得された識別情報は、有線通信(USB)で使用されるものではなく、無線通信で使用される識別情報である。
【0032】
CPU1は、現在、受信端末100が、無線通信経由で、送信装置200と接続しているか否かを判断する(S3)。接続していなければ(S3でNO)、処理を終了する。接続していれば(S3でYES)、CPU1は、現在受信端末100が無線通信経由で接続している送信装置200の識別情報を特定する(S4)。詳細には、現在無線通信を経由して接続している送信装置200の識別情報はRAM2内で記憶されているので、RAM2から送信装置200の識別情報を読み出して特定する。
【0033】
CPU1は、有線通信経由で送信装置200から取得した識別情報と、現在無線通信経由で接続している送信装置200の識別情報とを比較し(S5)、同一であるか否かを判断する(S6)。すなわち、有線通信経由で接続された送信装置200と、現在無線通信経由で接続されている送信装置200とが同一の送信装置200であるか否かが判断される。同一でなければ(S6でNO)、有線通信経由で接続された送信装置200と、現在無線通信経由で接続されている送信装置200とが異なると判断されるので、処理を終了する。
【0034】
同一であれば(S6でYES)、有線通信経由で接続された送信装置200と、現在無線通信経由で接続されている送信装置200とが同一であると判断されるので、CPU1は、無線通信経由で送信装置200に対して音楽データの出力セレクタを、無線通信経由から有線通信経由に切換えるように指示を送信する(S7)。無線通信経由でこの指示を受信した送信装置200は、音楽データの出力セレクタを、無線通信経由から有線通信経由に切換える。
【0035】
CPU1は、受信装置100の音声データの入力セレクタを、無線通信経由から有線通信経由に切換える(S8)。その結果、ユーザ操作によって、受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを無線通信経由から有線通信経由に切換える操作を要することなく、単に送信装置200を受信装置100に有線通信経由で接続させるだけで、自動的に受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを無線通信経由から有線通信経由に切換えることができる。
【0036】
なお、上記の通り、有線通信経由で接続された送信装置200と、現在無線通信経由で接続されている送信装置200とが異なると判断された場合には、受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを無線通信経由から有線通信経由に切換えない。従って、受信装置100が、有線通信経由で接続された送信装置200以外の他の送信装置200から音楽データを受信して再生している途中で、再生する音楽データが別の音楽データに切り替ってしまうことを防止することが出来る。
【0037】
なお、自動的に受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを無線通信経由から有線通信経由に切換えた場合でも、送信装置200と受信装置100との間の無線接続は維持しておくことが好ましい。これは、のちに送信装置200と受信装置100との有線接続を解除した際に、直ちに無線通信を使用して音楽データの送信を再開できるからである。
【0038】
図5は、送信装置200との有線接続が解除される際の、受信装置100のCPU1の処理を示すフローチャートである。この処理では、上記の通り、受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを無線通信経由から有線通信経由に切換えた場合でも、送信装置200と受信装置100との間の無線接続は維持していることを前提としている。
【0039】
CPU1は、有線通信経由での送信装置200との接続が解除されたか否かを判断する(S11)。有線通信による接続が解除された場合(S11でYES)、CPU1は、無線通信経由で送信装置200に対して音楽データの出力セレクタを、有線通信経由から無線通信経由に切換えるように指示を送信する(S12)。無線通信経由でこの指示を受信した送信装置200は、音楽データの出力セレクタを、有線通信経由から無線通信経由に切換える。
【0040】
CPU1は、受信装置100の音声データの入力セレクタを、有線通信経由から無線通信経由に切換える(S13)。その結果、ユーザ操作によって、受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換える操作を要することなく、単に、有線通信経由での送信装置200の受信装置100への接続を解除するだけで、自動的に受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換えることができる。
【0041】
図6は、送信装置200との有線接続が解除される際の、受信装置100のCPU1の他の処理を示すフローチャートである。CPU1は、有線通信経由での送信装置200との接続が解除されたか否かを判断する(S21)。有線通信による接続が解除された場合(S21でYES)、CPU1は、現在、無線通信経由で、送信装置200と接続しているか否かを判断する(S22)。
【0042】
無線通信経由で接続している場合(S22でYES)、CPU1は、無線通信経由で、送信装置200に対して音楽データの出力セレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換えるように指示を送信する(S23)。無線通信経由でこの指示を受信した送信装置200は、音楽データの出力セレクタを、有線通信経由から無線通信経由に切換える。
【0043】
CPU1は、受信装置100の音声データの入力セレクタを、有線通信経由から無線通信経由に切換える(S24)。その結果、ユーザ操作によって、受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換える操作を要することなく、単に、有線通信経由での送信装置200の受信装置100への接続を解除するだけで、自動的に受信装置100および送信装置200の双方のセレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換えることができる。
【0044】
S22において、無線通信経由で接続していないと判断された場合(S22でNO)、CPU1は、有線通信経由での接続を解除したときの送信装置200の再生状態をRAM2に記憶する(S25)。再生状態とは、音楽ファイルの再生に関する状態を意味し、例えば、再生中又は停止中等である。または、再生状態は、再生しているコンテンツの情報(曲名、アーティスト名等のメタデータや、再生位置情報)を含んでいてもよい。
【0045】
続いて、CPU1は、有線通信経由で接続を解除した送信装置200の識別情報をRAM2から読み出して(この識別情報は例えば図4のS2でRAM2に記憶した識別情報である。)、図2の接続履歴テーブルに同一の識別情報が存在するかを確認する(S26、S27)。すなわち、有線通信による接続を解除した送信装置200が、過去に無線通信経由で受信装置100に接続されたことがあるか否かが判断される。接続履歴テーブルに存在しなければ(S27でNO)、処理を終了する。
【0046】
接続履歴テーブルに存在する場合(S27でYES)、有線通信経由で接続を解除した送信装置200の識別情報を接続履歴テーブルから選択し、無線通信経由でその識別情報で特定される送信装置200と自動的に接続する(S28)。詳細には、CPU1は、特定された送信装置200を自動的に探索する。すなわち、特定された送信装置200の識別情報を接続履歴テーブルから読み出して、ポーリング処理を実行する。CPU1は、特定された送信装置200からポーリングに対する応答を受信したか否かを判断する。特定された送信装置200から応答を受信したとき、CPU1は、特定された送信装置200と自動的に無線接続する。
【0047】
続いて、CPU1は、有線通信経由での接続を解除したときに記憶しておいた送信装置200の再生状態をRAM2から読み出して、無線通信経由で、送信装置200に送信する(S29)。これを受信した送信装置200は、再生状態を変更する。例えば、再生状態として「再生」が送信された場合、送信装置200は、自動的に音楽ファイルの再生を開始する。その後、処理は、S23へと進み、送信装置200および受信装置100の双方のセレクタを有線通信経由から無線通信経由に切換える。
【0048】
以上のように、図6の処理によると、有線通信経由での接続を解除する際に、送信装置200と受信装置100とが無線通信経由で接続されていない場合でも、自動的に、有線通信経由での接続を解除した送信装置200を特定し、無線通信経由での接続を実行することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。無線通信の規格は、Bluetoothに限定されず、無線LANやWifi等でもよい。有線通信の規格は、USBに限定されずHDMI、IEEE1394等でもよい。本発明の受信装置100、送信装置200を動作させるためのコンピュータプログラムまたはそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は例えば据置型オーディオ機器と携帯型音楽プレーヤとに好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0051】
100 受信装置
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 無線通信部
5 有線通信部
6 再生部
7 スピーカー
200 送信装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 フラッシュメモリ
15 再生部
16 表示部
17 操作部
18 無線通信部
19 有線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを送信する送信装置に接続可能であり、コンテンツデータを受信する受信装置であって、
前記送信装置と無線通信経由で接続する無線通信部と、
前記送信装置と有線通信経由で接続する有線通信部と、
無線通信経由で前記送信装置と接続している場合に、有線通信経由で前記送信装置が接続されたとき、無線通信経由で使用される前記送信装置の識別情報を前記送信装置から有線通信経由で取得する識別情報取得手段と、
無線通信経由で接続している前記送信装置の識別情報と、前記識別情報取得手段によって取得された識別情報とが同一であるか否かを判断する識別情報判断手段と、
前記識別情報判断手段によって同一であると判断された場合、前記送信装置に、コンテンツデータの出力を無線通信経由から有線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、前記受信装置のコンテンツデータの入力を無線通信経由から有線通信経由に切換える切換制御手段とを備える、受信装置。
【請求項2】
前記送信装置と無線通信経由での接続を維持している状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、前記切換制御手段が、前記送信装置に、コンテンツデータの出力を有線通信経由から無線通信経由に切換える指示を送信し、かつ、前記受信装置のコンテンツデータの入力を有線通信経由から無線通信経由に切換える、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
無線通信経由で接続する1又は複数の前記送信装置の識別情報を管理する識別情報管理手段と、
前記送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された前記送信装置の識別情報と同一の識別情報を、前記識別情報管理手段によって管理されている識別情報の中から特定する識別情報特定手段と、
前記識別情報特定手段によって特定された識別情報の前記送信装置と、無線通信経由で自動的に接続させる接続制御手段とをさらに備える、請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記送信装置と無線通信経由での接続を維持していない状態で、有線通信経由での前記送信装置との接続が解除されたとき、有線通信経由での接続が解除された前記送信装置の再生状態を記憶する再生状態記憶手段と、
前記接続制御手段によって、特定された前記送信装置と無線通信経由で自動的に接続された後、前記送信装置に前記再生状態記憶手段によって記憶されている再生状態を送信し、前記送信装置を当該再生状態に復帰させる再生状態送信手段とをさらに備える、請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の受信装置の各手段をコンピュータに実行させる、受信装置の動作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90057(P2013−90057A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227118(P2011−227118)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】