受動光網システムおよびその運用方法
【課題】下り信号の伝送速度を制御して消費電力を削減する受動光網システムを提供する。
【解決手段】親局が子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で複数の子局に同報送信し、各子局がフレーム信号内の自局宛の信号を処理する受動光網システムにおいて、親局に第1の伝送速度または第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、複数の子局の夫々宛の信号を蓄積するパケットバッファと、該バッファに蓄積された信号の量に基づき子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で信号を送信するとともに、該送信タイミングと伝送速度を子局の夫々に通知する制御部とを備え、子局の夫々に第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、通知された送信タイミングと伝送速度に基づいて光受信インタフェースを制御する制御部とを備えた。
【解決手段】親局が子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で複数の子局に同報送信し、各子局がフレーム信号内の自局宛の信号を処理する受動光網システムにおいて、親局に第1の伝送速度または第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、複数の子局の夫々宛の信号を蓄積するパケットバッファと、該バッファに蓄積された信号の量に基づき子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で信号を送信するとともに、該送信タイミングと伝送速度を子局の夫々に通知する制御部とを備え、子局の夫々に第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、通知された送信タイミングと伝送速度に基づいて光受信インタフェースを制御する制御部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動光網システム、光多重終端装置及び光網終端装置に係り、特に、複数の加入者接続装置が光伝送回線を共有する受動光網システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速・広帯域化が加入者を接続するアクセス網でも進められ、国際電気通信連合(以下ITU−Tと称す)の勧告G984.3等で規定された受動網光システム(Passive Optical Network system:以下PONと称する)の導入が図られている。PONは、上位の通信網と接続される親局に相当する光多重終端装置(Optical Line Terminator:以下OLTと称する)と、複数の加入者の端末(PCや電話)を収容する子局に相当した光網終端装置(Optical Network Unit:以下ONUと称する)とを、基幹光ファイバと光スプリッタと複数の支線光ファイバとを含む光受動網で接続したシステムである。具体的には、各ONUに接続された端末(PC他)からの信号を光信号で支線光ファイバから光スプリッタを介して基幹光ファイバで光学(時分割)多重してOLTに送り、OLTが各ONUからの信号を通信処理して上位の通信網に送信する、あるいは、OLTに接続される他のONUに送信するという形態で通信を行うものである。
【0003】
PONの導入は64kbit/秒の低速信号を扱うシステムから始まり、固定長のATMセルを約600Mbit/秒で送受信するBPON(Broadband PON)あるいはイーサネット(登録商標。以下では登録商標の表記を省略)の可変長パケットを最大約1Gbit/秒で送受信するイーサネットPON(EPON)や、より高速な2.4Gbit/秒程度の信号を扱うGPON(Gigabit capable PON)の導入が進められている。更に、今後は10Gbit/秒から40Gbit/秒の信号を扱うことが可能な高速PONの実現が求められている。そして、これらの高速PONを実現する手段としては、現状のPONと同様な複数の信号を時分割多重するTDM(Time Division Multiplexing)を利用することが検討されている。尚、現状のTDMを用いたPONは、上り(ONUからOLT)の信号と下り(OLTからONU)の信号とで異なる波長を用い、OLTと各ONU間の通信は、各ONUに対して通信時間を割当てる構成である。具体的には、多様な信号(音声、画像、データ等)を扱い易いバースト状の可変長信号(バースト信号)を割当てる構成である。
【0004】
上記各PONでは、様々な場所に点在する加入者宅にONUを設置するため、OLTから各ONUまでの距離が異なる。即ち、OLTから各ONU迄の基幹光ファイバと支線光ファイバからなる光ファイバの長さ(伝送距離)がばらつくため、各ONUとOLT間の伝送遅延(遅延量)がばらつき、各ONUが異なるタイミングで信号を送信しても基幹光ファイバ上で各ONUからの光信号同士が衝突・干渉する可能性がある。このため、各PONでは、例えばITU−Tの勧告G984.3で規定したレンジング技術を用いて、OLTとONUとの間の距離測定を実施後に各ONUからの信号出力が衝突しないように各ONUの出力信号の遅延を調整する。また、OLTは、動的帯域割当て(Dynamic Bandwidth Assignment:以下DBAと称する)技術を用いて各ONUからの送信要求に基づき該ONUに送信を許可する信号の帯域を決めると、レンジングで測定した遅延量も考慮した上で、各ONUからの光信号が基幹光ファイバ上で衝突・干渉しないように各ONUへ送信タイミングを指定する。すなわち、PONは、OLTと各ONU間で送受信される信号のタイミングがシステム内で管理された状態で通信の運用がなされるように構成されている。
【0005】
上記GPONでは、OLTで基幹光ファイバ上に多重された各ONUからの信号を識別して処理できるように、各ONUからの送信信号は、最大12バイトからなる干渉防止用のガードタイムと、OLT内受信器の信号識別閾値の決定およびクロック抽出に利用するプリアンブルならびに受信信号の区切りを識別するデリミタと呼ばれるバーストオーバヘッドバイトと、PONの制御信号(オーバヘッドあるいはヘッダと称することもある)とがデータ(ペイロードと称することもある)の先頭に付加される構成である。尚、各データは、可変長のバーストデータであり、各データの先頭に可変長データを処理するためのGEM(G−PON Encapsulation Method)ヘッダと呼ばれるヘッダが付加される。
【0006】
一方、各ONUがOLTからの信号を識別して処理できるように、OLTから各ONUに向けて送信される信号の先頭に、先頭を識別するためのフレーム同期パタンと、監視・保守・制御情報を送信するPLOAM領域と、各ONUの信号送信タイミングを指示するグラント指示領域と呼ばれるオーバヘッド(ヘッダと称されることもある)とが各ONU宛に時分割多重化されたデータに付加される構成である。なお、多重化される各ONU宛のデータには、ONUからの信号と同様に、可変長データを処理するためのGEMヘッダが付加されている。OLTは、グラント指示領域を用いて各ONUの上り送信許可タイミング(送信開始(Start)と終了(Stop))を各ONUにバイト単位で指定する。この送信許可タイミングをグラントと称している。そして、各ONUが該許可タイミングでOLT宛のデータを送信すると、これらが光ファイバー上で光学(時分割)多重されOLTで受信される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ITU−T勧告G.984.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PONは、BPONからGPONへの移行のように、より高速信号を処理するものへと開発・導入が進んできている。PONの信号伝送機能を実現する光モジュールやLSIは、伝送速度が速いほど大量の電力を消費することが知られている。例えば、光モジュールはより高い伝送速度を達成するために、伝送速度が高いほど大量の電流を流すことで必要な帯域を確保している。また、CMOS技術を用いたディジタル信号処理LSIは、動作クロックの速度の2乗にほぼ比例した電力を消費する。すなわち、今後も伝送速度が速くなるほど大量の消費電力が消費される傾向にある。
【0009】
一方、PONの加入者は、より高速なPONを求める傾向があるが常時速い伝送速度を欲しているわけではない。通信を行っていない時間帯には速い伝送速度を要求しないのは勿論、通信中でもインターネットアクセスにおけるデータ伝送においては、大量の画像データや大容量ファイルをダウンロードやアップロードする期間に速い伝送速度を要求するが、内容の閲覧中や作業中は速い伝送速度を必要としない。また、データ伝送に用いられるTCPプロトコルでは、一定数のパケットを受信すると確認信号パケットを返送することが必要で、データの送信側は確認信号パケットを受信する迄後続のデータを送信しない。すなわち、データ伝送中であってもデータトラヒックは極めてバースト性の高い伝送形態となることが多くなるのが運用の実態である。しかし、現実のPONを構成する光モジュールやLSIは実質的にデータを伝送しない時間帯も動作して電力を消費しており、著しい電力の無駄を生じる原因となっている。このため、エンドユーザトラヒックが小さい時は低速の伝送速度で伝送を行い、エンドユーザトラヒックが大きい時は高速の伝送速度で伝送を行うことの可能なPONシステムが求められることになる。
【0010】
PONの上り方向では、各子局からバースト状に出力された信号を時分割多重する構成であるため、各子局で送信する信号の伝送速度をトラヒックに応じて変動させることで消費電力の低減が出来る。一方、PONの下り方向は、各子局宛の信号が多重化されたフレームが連続的に全子局に同報される構成であり、ある子局にとっては自局宛でない信号も受信する構成となる。すなわち、他局宛の信号が来ているときも光モジュール等の部品が連続的に動作して電力を消費するので、この時間帯での消費電力の低減が出来れば、PONの低消費電力化が一層進むことになる。本発明は以上の点に鑑み、伝送速度の異なる信号を混在させて運用出来る構成のPONにおいて、特に下り方向においてエンドユーザトラヒックに基づいて伝送速度を切替えることで消費電力の無駄を極力減らすことの可能なPONを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の受動光網システムは、親局が上位網から受信した複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で複数の子局に同報送信し、複数の子局の夫々が受信フレーム信号から自局宛の信号を処理する受動光網システムであって、親局に、第1の伝送速度または第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、上位網から受信した信号を該信号の宛先である複数の子局の夫々に対応して蓄積するパケットバッファと、該バッファに蓄積された信号の量に基づき複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で前記光送信インタフェースから複数の子局の夫々に信号を送信するとともに、決定した送信タイミングと伝送速度を複数の子局の夫々に通知する制御部とを備え、前記複数の子局の夫々に、第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、親局より通知された送信タイミングと伝送速度に基づいて光受信インタフェースを制御する制御部とを備えた。
【0012】
そして、親局の制御部は、上位網から受信し複数の子局の夫々に送信する信号の量に基づき任意の子局へ送信する信号の量を決定すると、この送信する信号の量が第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合、親局の信号の伝送速度を第1の伝送速度とし、送信する信号の量が第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、複数の子局の内の任意の子局宛の信号伝送速度を第2の伝送速度と決定するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、下り伝送速度の異なる複数の信号を時分割で混在させて運用出来る構成のPONにおいて、エンドユーザトラヒックに基づいて消費電力の無駄を極力減らすことの可能な受動光網システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PONを用いた光アクセス網の構成例を示す網構成図である。
【図2】OLTからONUへの下り信号の構成例を示すフレーム構成図である。
【図3】ONUの構成例を示すブロック構成図である。
【図4】光受信インタフェースの構成例を示すブロック構成図である。
【図5】OLTの構成例を示すブロック構成図である。
【図6】下りパケットバッファの構成例を示すブロック構成図である。
【図7】OLT制御部の構成と動作例を説明する説明図である。
【図8】OLT制御部の動作例を示す動作フロー図である。
【図9】同じく、動作例(その2)を示す動作フロー図である。
【図10】同じく、動作例(その3)を示す動作フロー図である。
【図11】OLTに備えた各テーブルの構成例を示すメモリ構成図である。
【図12】下り信号の別の構成例を示すフレーム構成図である。
【図13】同じく、他の構成例を示すフレーム構成図である。
【図14】同じく、他の構成例(その2)を示すフレーム構成図である。
【図15】同じく、他の構成例(その3)を示すフレーム構成図である。
【図16】OLT制御部の別の動作例(その1)を示す動作フロー図である。
【図17】同じく、動作例(その2)を示す動作フロー図である。
【図18】割当バイト長テーブルの別の構成例を示すメモリ構成図である。
【図19】送信タイミングテーブルの別の構成例を示すメモリ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本実施の形態によるPONの構成と動作を、ITU−T勧告G984.3で規定したGPONと、今後導入が予想されている次世代GPONで伝送速度を上昇させた10GPONとが混在するPONの構成と動作を例に挙げて、詳細に説明する。
以下の説明は、GPONと同様に、可変長のデータをTDMで処理する構成のPONを想定したもので、OLTから各ONUへの下りデータの伝送速度は、10Gbit/秒(9.95328Gbit/秒だが、以下10Gbit/秒と称する)および2.4Gbit/秒(2.48832Gbit/秒だが、以下同様に2.4Gbit/秒と称する)の混在構成であり、またONUからOLTへの上りデータの伝送速度は、1.2Gbit/秒(1.24416Gbit/秒だが、以下同様に1.2Gbit/秒と称する)の1種類である例をとり説明する。なお、これらの伝送速度等の数値は一例であり、他の伝送速度であってもよく、本実施の形態がこの数値に限定されるものではない。また、下り伝送速度は3つ以上あっても良いし、上り伝送速度が複数種混在する構成であっても良い。
【0016】
図1は、本発明のPONを用いた光アクセス網の構成例を示す網構成図である。
アクセス網1は、例えば、PON10を介して上位の通信網である公衆通信網(PSTN)/インターネット20(以下、上位網と称することがある)と、加入者の端末(Tel:400、PC:410等)とを接続して通信を行う網である。PON10は、上位網20と接続されるOLT(以下、親局と称することがある)200と、加入者の端末(電話(Tel)400、PC410等)を収容する複数のONU(以下、子局と称することがある)300を備える。基幹光ファイバ110と光スプリッタ100と複数の支線光ファイバ120を有する光受動網でOLT200と各ONU300を接続して、上位網20と加入者端末400、410との通信、または、加入者端末400、410同士の通信を行う。ONU300は、例えば10GPONまたはGPONの双方で使用できるONU(例えば、下りについては10Gbit/秒、2.4Gbit/秒の双方を送信可能なONUであり、以下2.4G/10GONUと称することもある)である。同図では、5台のONU300がOLT200に接続されている。尚、OLT200に接続可能なONUの数は、ITU−T勧告G984.3に従えば最大で254台である。
【0017】
OLT200から各ONU300への下り信号130は、各ONU300宛の信号が時分割多重されて同報される。そして、各ONU300が、到達したフレームが自身の伝送速度であるか、もしくは、自宛の信号であるか否かを判定して信号を受信する。ONU300は、信号の宛先に基づき受信信号を電話400やPC410に送る。また、各ONU300からOLT200への上り信号140は、ONU300−1から伝送される上り信号150−1と、ONU310−2から伝送される上り信号150−2と、ONU300−3から伝送される上り信号150−3と、ONU300−4から伝送される上り信号150−4と、ONU300−nから伝送される信号150−nが、光スプリッタ100を介して光学的に時分割多重された光多重化信号140になりOLT200へ伝送される。各ONU300とOLT200間のファイバ長が異なるため、信号140は振幅が異なる信号が多重化された形となる。なお、下り信号130は、例えば波長帯1.5μmの光信号、上り信号140、150は、例えば波長帯1.3μmの光信号が用いられ、両方の光信号が同じ光ファイバ110、120を波長多重(WDM)されて送受信される。
【0018】
図2は、下り信号の構成例を示すフレーム構成図である。
下り信号130(以下、下りフレーム、もしくは、単にフレームと称することがある)は、ITU−T勧告G984.3に規定された125μ秒周期の構成で、2.4Gbit/秒と10Gbit/秒の信号を任意の比率で混在収容できる2.4G/10G混在フレーム20を繰り返して伝送するものである。各フレーム20は、フレーム同期パタン21、PLOAM(Physical Layer Operation,Admiistration and Maintenence)22、グラント指示23、フレームペイロード24から構成される。フレーム同期パタン21は、各ONU300が125μ秒周期のフレームの先頭を識別するための固定パタンである。PLOAM22は、OLT200が各ONU300の物理レイヤの管理に使用する情報を格納する。グラント指示23は後ほど詳細に説明するが、ONU300に信号送信タイミングと伝送速度を指示するものである。本フレームでは、フレーム同期パタン21、PLOAM22、グラント指示23までの領域が2.4Gbit/秒の速度で伝送される。一方、フレームペイロード24には、OLT200から各ONU300へ向かうユーザ信号が格納されており、各ONU300対応に、2.4Gbit/秒の信号と10Gbit/秒の信号を混在収容する。
【0019】
グラント指示23は、さらに上りグラント指示30と下りグラント指示31より構成されている。上りグラント指示30は、各ONU300の上り信号送信タイミング(グラント)を指示するもので、より詳細には、各ONU300の内部でのユーザ信号制御単位であるTCONT毎にグラントを指示するものである。一方、下りグラント指示31は、ITU−T勧告G984.3の規定とは別に本発明で導入したもので、OLTからONUへ送信するフレームペイロード24に格納されるデータについて宛先ONU番号毎にその伝送開始時間と伝送終了時間および伝送速度を通知している。
【0020】
同図は、図1の網構成に対応したフレーム20の構成例を示したもので、ONU300−1を制御するためのONU−ID#1用信号40a、ONU−2を制御するためのONU−ID#2用信号40b、ONU−3を制御するためのONU−ID#3用信号40cを示している。各ONU用信号40は、ONUを識別するためのONU−ID41、信号の送信開始タイミングを示すStart42と送信終了タイミングを示すEnd43と、伝送速度指定領域44とで構成した。伝送速度指定領域44は、下り信号に2.4Gbit/秒の信号または10Gbit/秒の信号のどちらを用いるかを指示するものである。尚、Start42とEnd43は上記2つの速度の信号について送信開始タイミングと送信終了タイミングを示すことになるが、上り下りを通して最も遅い伝送速度である1.2Gbit/秒の信号速度におけるバイト数で時間単位を指定し、2.4Gbit/秒信号の時間単位は2バイト単位、10Gbit/秒信号の時間単位は8バイト単位で示す構成とした。このように規定すれば1つの表記で複数の異なる速度の信号が運用できるようになるためである。OLT200は、各ONU300に周期的にグラント指示23を送信し、各ONUにどれだけの下りデータが転送されるかを指示する。このStart42とEnd43は、OLT200がグラント指示を送信する各周期の中で、どのタイミングでデータの受信を開始して終了すれば良いかを示す情報である。この指定された区間内で、ONU300は伝送速度指定領域44で指定された伝送速度で下り信号を受信する。尚、End43の代わりに、送信すべきデータのデータ長を指定し、Start42のタイミングから指定されたデータ長だけデータを受信するように指示しても良い。
【0021】
このStart42、End43および伝送速度指定領域44の組により、ペイロード23の中に格納されたONU#1宛信号ペイロード32の開始位置、終了位置、伝送速度が通知される。後で説明するONU300の内部では、この下りグラント指示を用いて自局が受信すべき信号の時間区間と伝送速度を検出し、内部の光受信インタフェースを制御して、指定された伝送速度の信号を受信する。以下、ONU#2宛信号ペイロード33、ONU#3宛信号ペイロード34についても同様であり、本図では、ONU#1宛信号ペイロード32が2.4Gbit/秒であり、ONU#2宛信号ペイロード33およびONU#3宛信号ペイロード34が10Gbit/秒の場合を図示している。
【0022】
上記の説明において、フレーム周期の125μ秒に送信できる総バイト数は、伝送速度を2.4Gbit/秒とすると、311040バイトである。フレーム同期パタン21に4バイト、PLOAM22に16バイト、グラント指示23に16バイト×ONU32台数分の256バイトの計532バイトを割り当てると、フレームペイロード24は、伝送速度を2.4Gbit/秒とすると、311040バイト−532バイト=310508バイトの伝送容量を有することになる。また、フレームペイロード24に全て10Gbit/秒の信号を収容すると、310508バイト×4=1242032バイトの信号が収容できる。
【0023】
図3は、本発明のPONで使用するONUの構成例を示すブロック構成図である。
ONU300は、WDMフィルタ501、受信部540、送信部541、制御部511、ユーザインタフェース(IF)508から構成した。受信部540は、光受信インタフェース502、PONフレーム分離部505、フレーム振り分け部506、パケットバッファ507から構成した。また、送信部541は、パケットバッファ509、送信制御部510、PONフレーム生成部504、光送信インタフェース503、キュー長監視部530より構成した。送信部541の動作クロックは、上り1.2Gクロック生成部542により供給される。受信部540の動作クロックは、下り10Gクロック生成部543および下り2.4Gクロック生成部544のいずれかの出力がセレクタ545によって選択されて供給される。このセレクタ制御は、制御部511で読み取られたOLT200からの伝送速度指示(図2の44)によって決定される。
【0024】
支線光ファイバ120から受信した光信号は、WDMフィルタ501で波長分離された後、光受信インタフェース502で電気信号に変換され、後に図4で説明する過程を経てディジタルビット列となる。光受信インタフェース502は10Gbit/秒および2.4Gbit/秒の2つの伝送速度で光受信信号を処理できるものであり、制御部511は光インタフェース502がOLT200より指示された伝送速度(図2の44)によって信号を受信するよう選択制御を行う。続いてPONフレーム分離部505で、図2で説明した信号の分離を行う。具体的には、PLOAM領域22およびグラント指示領域23の信号が制御部511に送られ、フレームペイロード領域24の信号のうちOLT200からの伝送範囲指示(図2の41,42および43)により自宛と判断される部分がフレーム振り分け部506に送られる。フレーム振り分け部506から出力されたユーザ信号は、パケットバッファ507−1およびパケットバッファ507−2に一時的に格納された後、それぞれユーザIF508−1およびユーザIF508−2を経て出力される。
【0025】
また、ユーザIF508−1およびユーザIF508−2から入力された信号は、それぞれパケットバッファ509−1およびパケットバッファ509−2に一時的に格納された後、送信制御部510の制御のもとに読み出され、PONフレーム生成部504でパケットに組立てられる。キュー長監視部530は、パケットバッファ509の使用量を監視する。バッファ使用量情報は、上り信号に格納されてOLTに伝えられ、OLT200はこの情報に基づいてDBAを行い発行するグラント量を制御する。PONフレーム生成部504で組立てられた信号は、光送信インタフェース503で光信号に変換され、WDMフィルタ501を経て支線光ファイバ120に向けて送信される。送信制御部510は、制御部511から抽出されたグラント値に基づいてOLTに向けて信号を送信する制御を行う。
【0026】
尚、上述したONU300の各機能ブロックはCPUやメモリに蓄積したファームウェアで実現したり、電気/光変換回路・メモリ・増幅器といった電気部品等で実現するものである。また、これらの機能を各処理に特化した専用のハードウェア(LSI等)により実現しても良い。さらに、ONU300の構成を、上記説明に限ることなく、適宜必要に応じた様々な機能の実装を行っても良い。
【0027】
図4は、光受信インタフェース502の詳細な構成例を示すブロック構成図である。
高電圧可変バイアス源401に接続されたAPD402は高電圧で逆バイアスされて、受信光信号をアバランシェ効果により増幅して電流に変換する。この増幅作用により、1Gbit/秒を超える高速信号が−30dBm程度の微弱な光信号として入力される場合も、正しくデータを識別することが可能となる。変換された電流は抵抗403および404と増幅器406から構成されるトランスインピーダンスアンプ(TIA)で電圧変換される。続いて可変利得増幅器407により増幅された信号はフリップフロップ410でディジタルビット列に変換される。ここでフリップフロップ410に入力されるクロックは、多相クロック発生回路408の出力から信号の最適識別点に最も近いクロックを選択する最適位相選択回路409により生成される。上記構成のうち、高電圧可変バイアス源401は制御部511からの制御により伝送速度に応じたバイアス電圧を出力して受信信号を適切に増幅する。またスイッチ405は制御部511からの制御により伝送速度に応じた抵抗403および404の選択を行い、帯域とトランスインピーダンスゲインを決定する。可変利得増幅器407は、制御部511からの制御により伝送速度に応じた利得が設定される。多相クロック発生回路408は制御部511からの制御により伝送速度に応じた周波数の多相クロックを出力し、最適位相選択回路409は制御部511からの制御により伝送速度に応じた最適識別点に最も近いクロックを選択する。
【0028】
図5は、本発明のPONで用いるOLTの構成例を示すブロック構成図である。
OLT200は、網IF部607、制御部700、送信部710、受信部711、WDM606とで構成した。送信部710は、下りデータバッファ701、下り信号処理部702、光送信インタフェース703とで構成した。また、受信部711は、光受信インタフェース704、上り信号処理部705、上りデータバッファ706とで構成した。受信部711の動作クロックは、上り1.2Gクロック生成部712から供給される。送信部710の動作クロックは、下り10Gクロック生成部713および下り2.4Gクロック生成部714のいずれかの出力がセレクタ715によって選択されて供給される。このセレクタ制御は、下り帯域制御部708によって行われる。具体的な伝送速度の決定方法は、後で図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
下りデータバッファ701は、上位網20から網IF部607を介して受信したデータを一時的に蓄える。下り信号処理部702は、上位網20からの光信号をONU300に中継するために必要な処理を行う。図2で説明した下りフレームの組立は、このブロックで行われ、後に説明する方法で下り帯域制御部708より出力された下りグラント(図2の31)が下りフレーム内に格納される。光送信インタフェース703は、電気信号を光信号に変換して、光信号IF部606を介してONUに光信号(下り信号)を送信する。光受信インタフェース704は、ONU300から光信号IF部606を介して受信した光信号を電気信号に変換する。上り信号処理部705は、ONU300からの信号を上位網20に中継するために必要な処理を行う。上りデータバッファ706は、上位網20へ網IF部607を介して送信するデータを一時的に蓄える。制御部700は、上述した各機能ブロックと接続され、複数のONU300と通信(監視・制御等)を行うための必要な各種処理を実行する。また、上位網20とONU300との間の信号を中継する機能も有する。
【0030】
上り帯域制御部707は、あらかじめ定められたDBA周期毎に、該周期内でOLT200が収容したONU300(TCONT)の夫々にどれだけの通信帯域を割当てるかを決定する動的帯域割当処理を行う。下り帯域制御部708は、あらかじめ定められた周期毎に該周期内でOLT200が収容したONU300の夫々にどれだけの信号を転送するかを決定する。制御部700は、PONに備えた制御ボード(例えば、PCで構成した保守端末)と通信を行い、予め制御に必要な制御パラメータ(例えば、ONUの加入条件、契約トラヒック等)を制御部に設定しておいたり、保守者の要求に基づいて監視情報(例えば、障害発生状況や各ONUへの送信許可データ量等)を受信したりする構成とした。 尚、上述したOLT200の各機能ブロックは、CPUやメモリに蓄積したファームウェアで実現したり、電気/光変換回路・メモリ・増幅器といった電気部品等で実現するものである。また、これらの機能を各処理に特化した専用のハードウェア(LSI等)により実現しても良い。
【0031】
図6は、OLTに備えた下りパケットバッファ701の構成例を示すブロック構成図である。
下りパケットバッファ701は、振り分け部721、多重化部722、キュー長モニタ部723、バッファ読み出し制御部724、パケットバッファ725より構成される。上位網20から網IF部607を介して受信したデータは、例えばVLANのラベル等を参照して宛先ONU別に振り分けられ、ONU別に備えられたパケットバッファ725に一時蓄積される。キュー長モニタ部723は各パケットバッファ725のキュー長をモニタし、下り帯域制御部708に通知する。バッファ読み出し制御部724は下り帯域制御部708からの指示により、指示されたパケットバッファ725からデータを指示された量だけ読み出し、多重化部722を介して後段に送信する。
【0032】
図7は、OLTに備えた下り帯域制御部708の構成と動作例を説明する説明図である。また、図8、図9および図10は、それぞれOLTの制御部の動作例を示す動作フロー図である。そして、図11は、制御部が生成する各テーブルの構成例を示すメモリ構成図で、ONU毎に割り当てた帯域(バイト数)を記憶する割当バイト長テーブル733と、ONU毎の信号送信タイミングと使用伝送速度を記憶する送信タイミングテーブル734の構成例を示すメモリ構成図である。
以下、これらの図面を用いて、本発明のPONの動作と構成を、具体的にはOLTが実施する各ONUへの帯域割当と使用伝送速度決定動作と構成を、詳細に説明する。
(1)バイト長決定部731は、下り帯域制御周期内(本実施例では0.125m秒)で各ONU300向けにパケットバッファ725が蓄積したデータの量であるキュー長をキュー長モニタ部723から受信する(図8:801)。
バイト長決定部731には、ONUに許可可能な最大帯域パラメータであるポリサ帯域が契約に基づき、保守者により制御ボード(図5参照)から設定されているので、上記受信したキュー長と予め設定されたポリサ帯域の値に基づいて、各ONU300に送信するバイト数(下り通信帯域)を決定し、各ONUの識別子であるONU−IDと送信するバイト長を対応付けた割当バイト長テーブル733を作成して記憶部732に格納する(図7:(1)、図8:802)。
尚、割当バイト長テーブル733は、図11で示したように、ONUの識別子であるONU−ID901と、ONUに送信するバイト長902を記憶する構成とした。
(2)送信タイミング決定部735は、以下の演算を行って下りフレームのペイロード(図2の24)内で何バイトを10Gbit/秒で送信し、何バイトを2.4Gbit/秒で送信するかを決定する。
先に説明したように、2.4G/10G混在フレーム20のフレームペイロード24に全て2.4Gbit/秒の信号を収容すると310508バイトの信号が収容できる。上記(1)で各パケットバッファ725に割り当てたバイト長の総和をXとして、上記フレームペイロード24に全て2.4Gbit/秒の信号を収容する時の310508バイトをYとする。ここで、(1)で割り当てたバイト長の総和のうち、2.4Gbit/秒で送信するバイト数をA、10Gbit/秒で送信するバイト数をBとすると、フレームペイロード24がXバイトで埋め尽くされた状況では以下の式が成り立つ。
【0033】
A+B=X (式1) A+B/4=Y (式2)
この連立方程式を解くと、
A=(4Y−X)/3 (式3) B=X−A (式4)
が解として得られる。したがって、まず2.4Gbit/秒で伝送するバイト長Aを(式3)により計算し (ただし8の倍数に切り上げ、図8:803)、続いて10Gbit/秒で伝送するバイト長Bを(式4)により計算する (ただし2の倍数に切り上げ、図8:804)。切り上げ処理は、図2にて説明したように、上り下りを通して最も遅い伝送速度である1.2Gbit/秒の信号速度におけるバイト数で時間単位を指定し、2.4Gbit/秒信号の時間単位は2バイト単位、10Gbit/秒信号の時間単位は8バイト単位で示す構成としたためである。切り上げ後のA+B/4がYを上回ったらBの端数を切り捨てる(図8:805)。ただし、X<Yの場合は、上式は成り立たず、全てを2.4Gbit/秒で伝送することができる。
(3)送信タイミング決定部735は、割当バイト長テーブル733の内容を読み出して(図7:(2))、各ONUへ送信するバイト長902に対応するタイムスロットをフレーム周期内で割り当て、ONU−IDと各フレーム周期内にて割り当てたバイト長範囲を対応付けた送信タイミングテーブル734を作成して記憶部732に格納する(図7:(3)、図8:806)。
(4)送信タイミングテーブル734に基づき、下りグラント値が下り信号処理部702に渡され、送信される(図8:807)。
【0034】
図9は、処理802で実行する各ONU宛に送信するバイト数を決定する動作を示した動作フロー図である。
ONUへの送信数バイト数決定は次のように行われる、先ず、ONU−ID=1から決定を開始し(901)、
L=(該ONUのポリサ設定周期)×(帯域制御周期=0.125m秒) (式5)
でポリサ許容バイト長Lを求める(902)。ここで、演算対象ONU宛のキュー長とポリサ許容バイト長Lの値を比較し(903)、キュー長が大きければ該ONUへの割当バイト長をLの値とする(904)。また、キュー長が小さければ該ONUへの割当バイト長をキュー長とする(905)。この動作を最後のONU−IDになるまで繰り返す(906,907)。
【0035】
図10は、処理806で実行する送信タイミングの決定する動作を示した動作フロー図である。
(E1)最初に割当バイト長テーブル733の行をバイト長の小さい順に並べ替える(1001)。この処理は、送信データ量の少ないONU300にはなるべく低い伝送速度を割り当てるために実施する。並べ替え後、最初のONU−IDの割当バイト長を割当バイト長テーブル733から読込む(1002)。ここで、伝送速度を2.4Gbit/秒に設定し(1003)、Startに1を代入する(1004)。
(E2)Start−1+バイト長/2によりEndを計算し、Start値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1005)。演算したEnd値をA/2の値(Aは図8でて説明した2.4Gbit/秒で送信するバイト数)と比較し(1006)、End値が小さければEnd値を演算対象ONU−IDの行に書き込んで、次のONU−IDを参照し、StartにEnd+1を代入(1007)して演算を繰り返す。
(E3)End値が大きければ、伝送速度を10Gbit/秒に設定し(1008)、EndとしてA/2の値を演算対象ONU−IDの行に書き込んだ後、Startにバイト長/2−a/2−前のStart値を代入して、新しいStart値を同一ONU−IDの新しい行に書き込む(848)。
(E4)Start−1+バイト長/8によりEndを計算し、End値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1009)。
(E5)全ONU−IDの演算が終了するまで繰り返す(1010〜1012)。
【0036】
以上で説明したように、送信するデータ量の少ないONUに対してなるべく低い伝送速度を用いてデータ伝送を行うことで、伝送帯域の少ないONUの消費電力を低減させることができる。本演算を実行して決定した送信タイミング等を送信タイミングテーブル734に書き込んだ結果の一例を図11に示している。
【0037】
図12は、下り信号の別の構成例を示すフレーム構成図である。
先に説明したフレームの構成との違いは、フレームペイロード24の最後尾に2.4Gbit/秒で伝送されるダミーペイロード34を備えたことである。これは、ONU300の光受信伝送インタフェースに図4で説明したような回路を使用した場合、伝送速度が10Gbit/秒から2.4Gbit/秒に変化すると、その変化に追従して同期するために数100n秒から数μ秒の時間を要する場合がある為である。あるフレームに続くフレーム同期パタン20は全ONU300が受信しなければならない周期信号である。ダミーペイロード34を入れることで、各ONU300の光受信伝送インタフェースが同期するための時間を確保することができ、確実に同期パタン20が受信出来るようになる。ダミーペイロード34の具体的な値として、信号振幅調整およびクロック同期の双方に都合の良い“10“交番パタンを用いる構成が最適であるが、この値に限定する必要はない。また、ダミーペイロード34の長さは、使用する光受信回路の特性に合わせて予め設定しておけば良い。
【0038】
図13も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、フレームペイロード24の中で隣接するONU宛のペイロードの伝送速度が変わる時にもダミーペイロード35を挿入する。本図では、伝送速度が2.4Gbit/秒のONU#1宛信号ペイロード32と、伝送速度が10Gbit/秒のONU#2宛信号ペイロード33の間にもダミーペイロード35が挿入されている。同図の構成のフレームを用いる場合、ONU#2は、下りグラント領域31のONU−ID#2のStart値をモニタして10Gbit/秒の信号が受信されるタイミングを待ちうけ、受信光インタフェースの同期がとれるように動作させる。また、下りグラント領域31のONU−ID#1のEnd値とONU−ID#2のStart値とをモニタし、ONU−ID#1のEnd値直後より受信光インタフェースの再同期を開始させダミーペイロード35の時間をかけて光受信インタフェースの同期を確立する構成としても良く、従来から用いられる連続光伝送用のデバイスを適用しやすいメリットがある。
【0039】
図14も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、すべてのONU宛ペイロードの変わり目にダミーペイロード35を挿入する。このフレームを用いると送信出来る(割当される)データの量が複数のダミーペイロード35の分だけ削減されるが、各ONU300は、自分宛の信号受信直前まで光受信インタフェースを停止させておき、ダミーペイロード35を利用して受信光インタフェースの同期を行うことができるように構成できる。これにより消費電力を削減できる可能性がある。
【0040】
図15も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、2.4Gbit/秒で伝送するフレームと10Gbit/秒で伝送するフレームの2種類が存在する。そして、各フレームの送信頻度を調整して伝送速度の最適化を実施する。
このフレームを使用する場合の帯域割り当ての方法を以下で説明する。図16は、OLT制御部の別の動作例を示す動作フロー図で、図15で示したフレームを下り信号に使用する場合の各ONU300への下り信号割当動作例を示したものである。
【0041】
本動作例では、4つのフレーム周期(各125μ秒)で1つの帯域制御周期(0.5m秒)を構成しているので、伝送速度が2.4Gbit/秒の場合に1つの帯域制御周期で送信可能なバイト数は、先に説明した数値例を使用すると310508バイト×4周期=1242032バイトとなる。すなわち、全てのONUからの送信待ちデータ量であるキュー長の総和が1242032バイト以内であれば、2.4Gbit/秒の伝送速度で全ての割り当てデータを送信可能である。キュー長の総和が1242032バイトより大きければ、2.4Gbit/秒の伝送速度では全ての要求データを伝送することは出来ないので伝送速度を10Gbit/秒に上げる必要がある。
【0042】
ここで、1つの帯域制御周期を構成する4つのフレーム周期のうち、3つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの1つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×3周期+1242032×1周期=1552540バイトまで上げることが出来る。同様に、4つのフレーム周期のうち、2つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの2つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×2周期+1242032×2周期=3105080バイトまで上げることが出来る。更に、4つのフレーム周期のうち、1つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの3つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×1周期+1242032×3周期=4036604バイトまで上げることが出来る。最後に、4つのフレーム周期の全てを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、1242032×4周期=4968128バイトまで上げることが出来る。
【0043】
したがって、送信タイミング決定部735は、割当バイト長テーブル733‘から得た割当バイト長の総和に基づいて、以下のように伝送速度を決定し、送信タイミングテーブル734’のそれぞれのフレーム周期(以下、グラント周期と称することもある)に伝送速度の値を入力する。
(A)割当バイト長の総和≦1242032か否かを判定し(図16:1103)、Yesの場合は全グラント周期を2.4Gbit/秒の速度に決定する(図16:1104)。
(B)1242032<割当バイト長の総和≦1552540か否かを判定し(図16:1105)、Yesの場合は第1〜第3グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1106)。
(C)1552540<割当バイト長の総和≦3105080か否かを判定し(図16:1107)、Yesの場合は第1・第2グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第3・第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1108)。
(D)3105080<割当バイト長の総和≦4036604か否かを判定し(図17:1109)、Yesの場合は第1グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第2〜第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1110)。また、Noの場合は全グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1111)。
(E)各グラント周期の伝送速度が決まると、データ送信許可部735は、割当バイト長テーブル733‘に格納されたバイト長(図18:902で詳細は後述)を参照し、各ONUに対してグラント周期内でデータを送信させるタイムスロットの決定を行い、送信タイミングテーブル734の値を生成する(図16:806’(詳細動作例は後述する))。この時、2.4Gbit/秒の伝送速度を使用するグラント周期においては、割当バイト長テーブルでの割り当てバイト数を2で割った値となるよう、また10Gbit/秒の伝送速度を使用するグラント周期においては、割当バイト長テーブルでの割り当てバイト数を8で割った値となるようにする。
【0044】
図17も、OLT制御部の別の動作例を示す動作フロー図で、図16の処理806‘で実行する各ONU300へのデータ送信タイミングを決定する動作例を示したものである。8は処理1112の詳細を示す実施例である。
(E1)最初に割当バイト長テーブル733’の行をバイト長の小さい順に並べ替え(1301)、最初のONU−IDのバイト長をバイト長テーブル733‘から読み出す(1302)。
(E2)最初のグラント周期の送信タイミングテーブル734‘の行から演算を開始(1303)して、該グラント周期で速度が2.4Gbit/秒であるか否かを判定し(1304)、Yesであれば以後の演算でバイト長を2で除算し(1305)、Noであれば伝送速度は10Gbit/秒であるので以後の演算でバイト長を8で除算し、1.2Gbit/秒と同じ時間幅となるバイト値に換算して演算を続ける(1306)。尚、除算する際に小数点以下の端数は切り上げる。続いて、Startに0を代入し、その値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1307)。
(E3)Start−1+バイト長≦ 155253であるか否かを判定し(1308)、YesであればEndにStart−1+バイト長を代入し、Endを演算対象ONU−IDの行に書き込み、演算対象ONU−IDを+1加算し、さらにStartにEnd+12+1を代入し、Startを新演算対象ONU−IDの行に書き込む(1309)。
(E4)判定(1308)がNoであれば、Endに19439を代入し、Endを演算対象ONU−IDの行に書き込み、バイト長←にStart−1+バイト長−155253を代入し(1310)、処理1304に再帰することにより次のグラント周期のテーブル計算に進む。
(E5)上記処理を再帰的に繰り返した後、全ONU−IDの演算完了を判定し(1311)、Yesであれば次のDBA周期での演算のために、最初のONU−IDに設定する値を1つシフトして記憶して、この処理を終了する。判定(1311)がNoであれば処理1308に戻る。
【0045】
図18は、図16と図17の動作フロー図に従った制御で生成された割当バイト長テーブル733‘の構成例を示すメモリ構成図である。また、図19は、同じく送信タイミングテーブル734’の構成例を示すメモリ構成図である。
図18と図19では、各ONUからのキュー長に基づき各ONUへの割当バイト長を(a)〜(e)の5通りに変化させて割り当てた例を示している。具体的には、各ONUに対応した下りパケットバッファ725のキュー長が(a)〜(e)に対応して増えていき、各ONUへ送信するバイト数と帯域割当周期での総割当バイト数が増えている状況を例として示している。
上記動作例では、1つの帯域制御周期を4つのフレーム周期で構成して、フレーム周期毎に伝送速度を切り替える例を説明しているが、1つの帯域制御周期をさらに多くのフレーム周期で構成して伝送速度をより細かく切り替えることで、全ONUに割り当てたバイト数の総和に最も近い伝送速度の組み合わせを選び、かつ、極力伝送速度を下げて全体の消費電力を最小化することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10・・・PON、 100・・・スプリッタ、 110、120・・・光ファイバ、
130・・・下り信号、 140、150・・・上り信号、
200・・・OLT、 300・・・ONU、 400、410・・・端末、
700・・・制御部、 708・・・下り帯域制御部、
731・・・バイト長決定部、 735・・・送信タイミング決定部、
733・・・割当バイト長テーブル、 734・・・送信タイミングテーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動光網システム、光多重終端装置及び光網終端装置に係り、特に、複数の加入者接続装置が光伝送回線を共有する受動光網システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速・広帯域化が加入者を接続するアクセス網でも進められ、国際電気通信連合(以下ITU−Tと称す)の勧告G984.3等で規定された受動網光システム(Passive Optical Network system:以下PONと称する)の導入が図られている。PONは、上位の通信網と接続される親局に相当する光多重終端装置(Optical Line Terminator:以下OLTと称する)と、複数の加入者の端末(PCや電話)を収容する子局に相当した光網終端装置(Optical Network Unit:以下ONUと称する)とを、基幹光ファイバと光スプリッタと複数の支線光ファイバとを含む光受動網で接続したシステムである。具体的には、各ONUに接続された端末(PC他)からの信号を光信号で支線光ファイバから光スプリッタを介して基幹光ファイバで光学(時分割)多重してOLTに送り、OLTが各ONUからの信号を通信処理して上位の通信網に送信する、あるいは、OLTに接続される他のONUに送信するという形態で通信を行うものである。
【0003】
PONの導入は64kbit/秒の低速信号を扱うシステムから始まり、固定長のATMセルを約600Mbit/秒で送受信するBPON(Broadband PON)あるいはイーサネット(登録商標。以下では登録商標の表記を省略)の可変長パケットを最大約1Gbit/秒で送受信するイーサネットPON(EPON)や、より高速な2.4Gbit/秒程度の信号を扱うGPON(Gigabit capable PON)の導入が進められている。更に、今後は10Gbit/秒から40Gbit/秒の信号を扱うことが可能な高速PONの実現が求められている。そして、これらの高速PONを実現する手段としては、現状のPONと同様な複数の信号を時分割多重するTDM(Time Division Multiplexing)を利用することが検討されている。尚、現状のTDMを用いたPONは、上り(ONUからOLT)の信号と下り(OLTからONU)の信号とで異なる波長を用い、OLTと各ONU間の通信は、各ONUに対して通信時間を割当てる構成である。具体的には、多様な信号(音声、画像、データ等)を扱い易いバースト状の可変長信号(バースト信号)を割当てる構成である。
【0004】
上記各PONでは、様々な場所に点在する加入者宅にONUを設置するため、OLTから各ONUまでの距離が異なる。即ち、OLTから各ONU迄の基幹光ファイバと支線光ファイバからなる光ファイバの長さ(伝送距離)がばらつくため、各ONUとOLT間の伝送遅延(遅延量)がばらつき、各ONUが異なるタイミングで信号を送信しても基幹光ファイバ上で各ONUからの光信号同士が衝突・干渉する可能性がある。このため、各PONでは、例えばITU−Tの勧告G984.3で規定したレンジング技術を用いて、OLTとONUとの間の距離測定を実施後に各ONUからの信号出力が衝突しないように各ONUの出力信号の遅延を調整する。また、OLTは、動的帯域割当て(Dynamic Bandwidth Assignment:以下DBAと称する)技術を用いて各ONUからの送信要求に基づき該ONUに送信を許可する信号の帯域を決めると、レンジングで測定した遅延量も考慮した上で、各ONUからの光信号が基幹光ファイバ上で衝突・干渉しないように各ONUへ送信タイミングを指定する。すなわち、PONは、OLTと各ONU間で送受信される信号のタイミングがシステム内で管理された状態で通信の運用がなされるように構成されている。
【0005】
上記GPONでは、OLTで基幹光ファイバ上に多重された各ONUからの信号を識別して処理できるように、各ONUからの送信信号は、最大12バイトからなる干渉防止用のガードタイムと、OLT内受信器の信号識別閾値の決定およびクロック抽出に利用するプリアンブルならびに受信信号の区切りを識別するデリミタと呼ばれるバーストオーバヘッドバイトと、PONの制御信号(オーバヘッドあるいはヘッダと称することもある)とがデータ(ペイロードと称することもある)の先頭に付加される構成である。尚、各データは、可変長のバーストデータであり、各データの先頭に可変長データを処理するためのGEM(G−PON Encapsulation Method)ヘッダと呼ばれるヘッダが付加される。
【0006】
一方、各ONUがOLTからの信号を識別して処理できるように、OLTから各ONUに向けて送信される信号の先頭に、先頭を識別するためのフレーム同期パタンと、監視・保守・制御情報を送信するPLOAM領域と、各ONUの信号送信タイミングを指示するグラント指示領域と呼ばれるオーバヘッド(ヘッダと称されることもある)とが各ONU宛に時分割多重化されたデータに付加される構成である。なお、多重化される各ONU宛のデータには、ONUからの信号と同様に、可変長データを処理するためのGEMヘッダが付加されている。OLTは、グラント指示領域を用いて各ONUの上り送信許可タイミング(送信開始(Start)と終了(Stop))を各ONUにバイト単位で指定する。この送信許可タイミングをグラントと称している。そして、各ONUが該許可タイミングでOLT宛のデータを送信すると、これらが光ファイバー上で光学(時分割)多重されOLTで受信される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ITU−T勧告G.984.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PONは、BPONからGPONへの移行のように、より高速信号を処理するものへと開発・導入が進んできている。PONの信号伝送機能を実現する光モジュールやLSIは、伝送速度が速いほど大量の電力を消費することが知られている。例えば、光モジュールはより高い伝送速度を達成するために、伝送速度が高いほど大量の電流を流すことで必要な帯域を確保している。また、CMOS技術を用いたディジタル信号処理LSIは、動作クロックの速度の2乗にほぼ比例した電力を消費する。すなわち、今後も伝送速度が速くなるほど大量の消費電力が消費される傾向にある。
【0009】
一方、PONの加入者は、より高速なPONを求める傾向があるが常時速い伝送速度を欲しているわけではない。通信を行っていない時間帯には速い伝送速度を要求しないのは勿論、通信中でもインターネットアクセスにおけるデータ伝送においては、大量の画像データや大容量ファイルをダウンロードやアップロードする期間に速い伝送速度を要求するが、内容の閲覧中や作業中は速い伝送速度を必要としない。また、データ伝送に用いられるTCPプロトコルでは、一定数のパケットを受信すると確認信号パケットを返送することが必要で、データの送信側は確認信号パケットを受信する迄後続のデータを送信しない。すなわち、データ伝送中であってもデータトラヒックは極めてバースト性の高い伝送形態となることが多くなるのが運用の実態である。しかし、現実のPONを構成する光モジュールやLSIは実質的にデータを伝送しない時間帯も動作して電力を消費しており、著しい電力の無駄を生じる原因となっている。このため、エンドユーザトラヒックが小さい時は低速の伝送速度で伝送を行い、エンドユーザトラヒックが大きい時は高速の伝送速度で伝送を行うことの可能なPONシステムが求められることになる。
【0010】
PONの上り方向では、各子局からバースト状に出力された信号を時分割多重する構成であるため、各子局で送信する信号の伝送速度をトラヒックに応じて変動させることで消費電力の低減が出来る。一方、PONの下り方向は、各子局宛の信号が多重化されたフレームが連続的に全子局に同報される構成であり、ある子局にとっては自局宛でない信号も受信する構成となる。すなわち、他局宛の信号が来ているときも光モジュール等の部品が連続的に動作して電力を消費するので、この時間帯での消費電力の低減が出来れば、PONの低消費電力化が一層進むことになる。本発明は以上の点に鑑み、伝送速度の異なる信号を混在させて運用出来る構成のPONにおいて、特に下り方向においてエンドユーザトラヒックに基づいて伝送速度を切替えることで消費電力の無駄を極力減らすことの可能なPONを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の受動光網システムは、親局が上位網から受信した複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で複数の子局に同報送信し、複数の子局の夫々が受信フレーム信号から自局宛の信号を処理する受動光網システムであって、親局に、第1の伝送速度または第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、上位網から受信した信号を該信号の宛先である複数の子局の夫々に対応して蓄積するパケットバッファと、該バッファに蓄積された信号の量に基づき複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で前記光送信インタフェースから複数の子局の夫々に信号を送信するとともに、決定した送信タイミングと伝送速度を複数の子局の夫々に通知する制御部とを備え、前記複数の子局の夫々に、第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、親局より通知された送信タイミングと伝送速度に基づいて光受信インタフェースを制御する制御部とを備えた。
【0012】
そして、親局の制御部は、上位網から受信し複数の子局の夫々に送信する信号の量に基づき任意の子局へ送信する信号の量を決定すると、この送信する信号の量が第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合、親局の信号の伝送速度を第1の伝送速度とし、送信する信号の量が第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、複数の子局の内の任意の子局宛の信号伝送速度を第2の伝送速度と決定するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、下り伝送速度の異なる複数の信号を時分割で混在させて運用出来る構成のPONにおいて、エンドユーザトラヒックに基づいて消費電力の無駄を極力減らすことの可能な受動光網システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PONを用いた光アクセス網の構成例を示す網構成図である。
【図2】OLTからONUへの下り信号の構成例を示すフレーム構成図である。
【図3】ONUの構成例を示すブロック構成図である。
【図4】光受信インタフェースの構成例を示すブロック構成図である。
【図5】OLTの構成例を示すブロック構成図である。
【図6】下りパケットバッファの構成例を示すブロック構成図である。
【図7】OLT制御部の構成と動作例を説明する説明図である。
【図8】OLT制御部の動作例を示す動作フロー図である。
【図9】同じく、動作例(その2)を示す動作フロー図である。
【図10】同じく、動作例(その3)を示す動作フロー図である。
【図11】OLTに備えた各テーブルの構成例を示すメモリ構成図である。
【図12】下り信号の別の構成例を示すフレーム構成図である。
【図13】同じく、他の構成例を示すフレーム構成図である。
【図14】同じく、他の構成例(その2)を示すフレーム構成図である。
【図15】同じく、他の構成例(その3)を示すフレーム構成図である。
【図16】OLT制御部の別の動作例(その1)を示す動作フロー図である。
【図17】同じく、動作例(その2)を示す動作フロー図である。
【図18】割当バイト長テーブルの別の構成例を示すメモリ構成図である。
【図19】送信タイミングテーブルの別の構成例を示すメモリ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本実施の形態によるPONの構成と動作を、ITU−T勧告G984.3で規定したGPONと、今後導入が予想されている次世代GPONで伝送速度を上昇させた10GPONとが混在するPONの構成と動作を例に挙げて、詳細に説明する。
以下の説明は、GPONと同様に、可変長のデータをTDMで処理する構成のPONを想定したもので、OLTから各ONUへの下りデータの伝送速度は、10Gbit/秒(9.95328Gbit/秒だが、以下10Gbit/秒と称する)および2.4Gbit/秒(2.48832Gbit/秒だが、以下同様に2.4Gbit/秒と称する)の混在構成であり、またONUからOLTへの上りデータの伝送速度は、1.2Gbit/秒(1.24416Gbit/秒だが、以下同様に1.2Gbit/秒と称する)の1種類である例をとり説明する。なお、これらの伝送速度等の数値は一例であり、他の伝送速度であってもよく、本実施の形態がこの数値に限定されるものではない。また、下り伝送速度は3つ以上あっても良いし、上り伝送速度が複数種混在する構成であっても良い。
【0016】
図1は、本発明のPONを用いた光アクセス網の構成例を示す網構成図である。
アクセス網1は、例えば、PON10を介して上位の通信網である公衆通信網(PSTN)/インターネット20(以下、上位網と称することがある)と、加入者の端末(Tel:400、PC:410等)とを接続して通信を行う網である。PON10は、上位網20と接続されるOLT(以下、親局と称することがある)200と、加入者の端末(電話(Tel)400、PC410等)を収容する複数のONU(以下、子局と称することがある)300を備える。基幹光ファイバ110と光スプリッタ100と複数の支線光ファイバ120を有する光受動網でOLT200と各ONU300を接続して、上位網20と加入者端末400、410との通信、または、加入者端末400、410同士の通信を行う。ONU300は、例えば10GPONまたはGPONの双方で使用できるONU(例えば、下りについては10Gbit/秒、2.4Gbit/秒の双方を送信可能なONUであり、以下2.4G/10GONUと称することもある)である。同図では、5台のONU300がOLT200に接続されている。尚、OLT200に接続可能なONUの数は、ITU−T勧告G984.3に従えば最大で254台である。
【0017】
OLT200から各ONU300への下り信号130は、各ONU300宛の信号が時分割多重されて同報される。そして、各ONU300が、到達したフレームが自身の伝送速度であるか、もしくは、自宛の信号であるか否かを判定して信号を受信する。ONU300は、信号の宛先に基づき受信信号を電話400やPC410に送る。また、各ONU300からOLT200への上り信号140は、ONU300−1から伝送される上り信号150−1と、ONU310−2から伝送される上り信号150−2と、ONU300−3から伝送される上り信号150−3と、ONU300−4から伝送される上り信号150−4と、ONU300−nから伝送される信号150−nが、光スプリッタ100を介して光学的に時分割多重された光多重化信号140になりOLT200へ伝送される。各ONU300とOLT200間のファイバ長が異なるため、信号140は振幅が異なる信号が多重化された形となる。なお、下り信号130は、例えば波長帯1.5μmの光信号、上り信号140、150は、例えば波長帯1.3μmの光信号が用いられ、両方の光信号が同じ光ファイバ110、120を波長多重(WDM)されて送受信される。
【0018】
図2は、下り信号の構成例を示すフレーム構成図である。
下り信号130(以下、下りフレーム、もしくは、単にフレームと称することがある)は、ITU−T勧告G984.3に規定された125μ秒周期の構成で、2.4Gbit/秒と10Gbit/秒の信号を任意の比率で混在収容できる2.4G/10G混在フレーム20を繰り返して伝送するものである。各フレーム20は、フレーム同期パタン21、PLOAM(Physical Layer Operation,Admiistration and Maintenence)22、グラント指示23、フレームペイロード24から構成される。フレーム同期パタン21は、各ONU300が125μ秒周期のフレームの先頭を識別するための固定パタンである。PLOAM22は、OLT200が各ONU300の物理レイヤの管理に使用する情報を格納する。グラント指示23は後ほど詳細に説明するが、ONU300に信号送信タイミングと伝送速度を指示するものである。本フレームでは、フレーム同期パタン21、PLOAM22、グラント指示23までの領域が2.4Gbit/秒の速度で伝送される。一方、フレームペイロード24には、OLT200から各ONU300へ向かうユーザ信号が格納されており、各ONU300対応に、2.4Gbit/秒の信号と10Gbit/秒の信号を混在収容する。
【0019】
グラント指示23は、さらに上りグラント指示30と下りグラント指示31より構成されている。上りグラント指示30は、各ONU300の上り信号送信タイミング(グラント)を指示するもので、より詳細には、各ONU300の内部でのユーザ信号制御単位であるTCONT毎にグラントを指示するものである。一方、下りグラント指示31は、ITU−T勧告G984.3の規定とは別に本発明で導入したもので、OLTからONUへ送信するフレームペイロード24に格納されるデータについて宛先ONU番号毎にその伝送開始時間と伝送終了時間および伝送速度を通知している。
【0020】
同図は、図1の網構成に対応したフレーム20の構成例を示したもので、ONU300−1を制御するためのONU−ID#1用信号40a、ONU−2を制御するためのONU−ID#2用信号40b、ONU−3を制御するためのONU−ID#3用信号40cを示している。各ONU用信号40は、ONUを識別するためのONU−ID41、信号の送信開始タイミングを示すStart42と送信終了タイミングを示すEnd43と、伝送速度指定領域44とで構成した。伝送速度指定領域44は、下り信号に2.4Gbit/秒の信号または10Gbit/秒の信号のどちらを用いるかを指示するものである。尚、Start42とEnd43は上記2つの速度の信号について送信開始タイミングと送信終了タイミングを示すことになるが、上り下りを通して最も遅い伝送速度である1.2Gbit/秒の信号速度におけるバイト数で時間単位を指定し、2.4Gbit/秒信号の時間単位は2バイト単位、10Gbit/秒信号の時間単位は8バイト単位で示す構成とした。このように規定すれば1つの表記で複数の異なる速度の信号が運用できるようになるためである。OLT200は、各ONU300に周期的にグラント指示23を送信し、各ONUにどれだけの下りデータが転送されるかを指示する。このStart42とEnd43は、OLT200がグラント指示を送信する各周期の中で、どのタイミングでデータの受信を開始して終了すれば良いかを示す情報である。この指定された区間内で、ONU300は伝送速度指定領域44で指定された伝送速度で下り信号を受信する。尚、End43の代わりに、送信すべきデータのデータ長を指定し、Start42のタイミングから指定されたデータ長だけデータを受信するように指示しても良い。
【0021】
このStart42、End43および伝送速度指定領域44の組により、ペイロード23の中に格納されたONU#1宛信号ペイロード32の開始位置、終了位置、伝送速度が通知される。後で説明するONU300の内部では、この下りグラント指示を用いて自局が受信すべき信号の時間区間と伝送速度を検出し、内部の光受信インタフェースを制御して、指定された伝送速度の信号を受信する。以下、ONU#2宛信号ペイロード33、ONU#3宛信号ペイロード34についても同様であり、本図では、ONU#1宛信号ペイロード32が2.4Gbit/秒であり、ONU#2宛信号ペイロード33およびONU#3宛信号ペイロード34が10Gbit/秒の場合を図示している。
【0022】
上記の説明において、フレーム周期の125μ秒に送信できる総バイト数は、伝送速度を2.4Gbit/秒とすると、311040バイトである。フレーム同期パタン21に4バイト、PLOAM22に16バイト、グラント指示23に16バイト×ONU32台数分の256バイトの計532バイトを割り当てると、フレームペイロード24は、伝送速度を2.4Gbit/秒とすると、311040バイト−532バイト=310508バイトの伝送容量を有することになる。また、フレームペイロード24に全て10Gbit/秒の信号を収容すると、310508バイト×4=1242032バイトの信号が収容できる。
【0023】
図3は、本発明のPONで使用するONUの構成例を示すブロック構成図である。
ONU300は、WDMフィルタ501、受信部540、送信部541、制御部511、ユーザインタフェース(IF)508から構成した。受信部540は、光受信インタフェース502、PONフレーム分離部505、フレーム振り分け部506、パケットバッファ507から構成した。また、送信部541は、パケットバッファ509、送信制御部510、PONフレーム生成部504、光送信インタフェース503、キュー長監視部530より構成した。送信部541の動作クロックは、上り1.2Gクロック生成部542により供給される。受信部540の動作クロックは、下り10Gクロック生成部543および下り2.4Gクロック生成部544のいずれかの出力がセレクタ545によって選択されて供給される。このセレクタ制御は、制御部511で読み取られたOLT200からの伝送速度指示(図2の44)によって決定される。
【0024】
支線光ファイバ120から受信した光信号は、WDMフィルタ501で波長分離された後、光受信インタフェース502で電気信号に変換され、後に図4で説明する過程を経てディジタルビット列となる。光受信インタフェース502は10Gbit/秒および2.4Gbit/秒の2つの伝送速度で光受信信号を処理できるものであり、制御部511は光インタフェース502がOLT200より指示された伝送速度(図2の44)によって信号を受信するよう選択制御を行う。続いてPONフレーム分離部505で、図2で説明した信号の分離を行う。具体的には、PLOAM領域22およびグラント指示領域23の信号が制御部511に送られ、フレームペイロード領域24の信号のうちOLT200からの伝送範囲指示(図2の41,42および43)により自宛と判断される部分がフレーム振り分け部506に送られる。フレーム振り分け部506から出力されたユーザ信号は、パケットバッファ507−1およびパケットバッファ507−2に一時的に格納された後、それぞれユーザIF508−1およびユーザIF508−2を経て出力される。
【0025】
また、ユーザIF508−1およびユーザIF508−2から入力された信号は、それぞれパケットバッファ509−1およびパケットバッファ509−2に一時的に格納された後、送信制御部510の制御のもとに読み出され、PONフレーム生成部504でパケットに組立てられる。キュー長監視部530は、パケットバッファ509の使用量を監視する。バッファ使用量情報は、上り信号に格納されてOLTに伝えられ、OLT200はこの情報に基づいてDBAを行い発行するグラント量を制御する。PONフレーム生成部504で組立てられた信号は、光送信インタフェース503で光信号に変換され、WDMフィルタ501を経て支線光ファイバ120に向けて送信される。送信制御部510は、制御部511から抽出されたグラント値に基づいてOLTに向けて信号を送信する制御を行う。
【0026】
尚、上述したONU300の各機能ブロックはCPUやメモリに蓄積したファームウェアで実現したり、電気/光変換回路・メモリ・増幅器といった電気部品等で実現するものである。また、これらの機能を各処理に特化した専用のハードウェア(LSI等)により実現しても良い。さらに、ONU300の構成を、上記説明に限ることなく、適宜必要に応じた様々な機能の実装を行っても良い。
【0027】
図4は、光受信インタフェース502の詳細な構成例を示すブロック構成図である。
高電圧可変バイアス源401に接続されたAPD402は高電圧で逆バイアスされて、受信光信号をアバランシェ効果により増幅して電流に変換する。この増幅作用により、1Gbit/秒を超える高速信号が−30dBm程度の微弱な光信号として入力される場合も、正しくデータを識別することが可能となる。変換された電流は抵抗403および404と増幅器406から構成されるトランスインピーダンスアンプ(TIA)で電圧変換される。続いて可変利得増幅器407により増幅された信号はフリップフロップ410でディジタルビット列に変換される。ここでフリップフロップ410に入力されるクロックは、多相クロック発生回路408の出力から信号の最適識別点に最も近いクロックを選択する最適位相選択回路409により生成される。上記構成のうち、高電圧可変バイアス源401は制御部511からの制御により伝送速度に応じたバイアス電圧を出力して受信信号を適切に増幅する。またスイッチ405は制御部511からの制御により伝送速度に応じた抵抗403および404の選択を行い、帯域とトランスインピーダンスゲインを決定する。可変利得増幅器407は、制御部511からの制御により伝送速度に応じた利得が設定される。多相クロック発生回路408は制御部511からの制御により伝送速度に応じた周波数の多相クロックを出力し、最適位相選択回路409は制御部511からの制御により伝送速度に応じた最適識別点に最も近いクロックを選択する。
【0028】
図5は、本発明のPONで用いるOLTの構成例を示すブロック構成図である。
OLT200は、網IF部607、制御部700、送信部710、受信部711、WDM606とで構成した。送信部710は、下りデータバッファ701、下り信号処理部702、光送信インタフェース703とで構成した。また、受信部711は、光受信インタフェース704、上り信号処理部705、上りデータバッファ706とで構成した。受信部711の動作クロックは、上り1.2Gクロック生成部712から供給される。送信部710の動作クロックは、下り10Gクロック生成部713および下り2.4Gクロック生成部714のいずれかの出力がセレクタ715によって選択されて供給される。このセレクタ制御は、下り帯域制御部708によって行われる。具体的な伝送速度の決定方法は、後で図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
下りデータバッファ701は、上位網20から網IF部607を介して受信したデータを一時的に蓄える。下り信号処理部702は、上位網20からの光信号をONU300に中継するために必要な処理を行う。図2で説明した下りフレームの組立は、このブロックで行われ、後に説明する方法で下り帯域制御部708より出力された下りグラント(図2の31)が下りフレーム内に格納される。光送信インタフェース703は、電気信号を光信号に変換して、光信号IF部606を介してONUに光信号(下り信号)を送信する。光受信インタフェース704は、ONU300から光信号IF部606を介して受信した光信号を電気信号に変換する。上り信号処理部705は、ONU300からの信号を上位網20に中継するために必要な処理を行う。上りデータバッファ706は、上位網20へ網IF部607を介して送信するデータを一時的に蓄える。制御部700は、上述した各機能ブロックと接続され、複数のONU300と通信(監視・制御等)を行うための必要な各種処理を実行する。また、上位網20とONU300との間の信号を中継する機能も有する。
【0030】
上り帯域制御部707は、あらかじめ定められたDBA周期毎に、該周期内でOLT200が収容したONU300(TCONT)の夫々にどれだけの通信帯域を割当てるかを決定する動的帯域割当処理を行う。下り帯域制御部708は、あらかじめ定められた周期毎に該周期内でOLT200が収容したONU300の夫々にどれだけの信号を転送するかを決定する。制御部700は、PONに備えた制御ボード(例えば、PCで構成した保守端末)と通信を行い、予め制御に必要な制御パラメータ(例えば、ONUの加入条件、契約トラヒック等)を制御部に設定しておいたり、保守者の要求に基づいて監視情報(例えば、障害発生状況や各ONUへの送信許可データ量等)を受信したりする構成とした。 尚、上述したOLT200の各機能ブロックは、CPUやメモリに蓄積したファームウェアで実現したり、電気/光変換回路・メモリ・増幅器といった電気部品等で実現するものである。また、これらの機能を各処理に特化した専用のハードウェア(LSI等)により実現しても良い。
【0031】
図6は、OLTに備えた下りパケットバッファ701の構成例を示すブロック構成図である。
下りパケットバッファ701は、振り分け部721、多重化部722、キュー長モニタ部723、バッファ読み出し制御部724、パケットバッファ725より構成される。上位網20から網IF部607を介して受信したデータは、例えばVLANのラベル等を参照して宛先ONU別に振り分けられ、ONU別に備えられたパケットバッファ725に一時蓄積される。キュー長モニタ部723は各パケットバッファ725のキュー長をモニタし、下り帯域制御部708に通知する。バッファ読み出し制御部724は下り帯域制御部708からの指示により、指示されたパケットバッファ725からデータを指示された量だけ読み出し、多重化部722を介して後段に送信する。
【0032】
図7は、OLTに備えた下り帯域制御部708の構成と動作例を説明する説明図である。また、図8、図9および図10は、それぞれOLTの制御部の動作例を示す動作フロー図である。そして、図11は、制御部が生成する各テーブルの構成例を示すメモリ構成図で、ONU毎に割り当てた帯域(バイト数)を記憶する割当バイト長テーブル733と、ONU毎の信号送信タイミングと使用伝送速度を記憶する送信タイミングテーブル734の構成例を示すメモリ構成図である。
以下、これらの図面を用いて、本発明のPONの動作と構成を、具体的にはOLTが実施する各ONUへの帯域割当と使用伝送速度決定動作と構成を、詳細に説明する。
(1)バイト長決定部731は、下り帯域制御周期内(本実施例では0.125m秒)で各ONU300向けにパケットバッファ725が蓄積したデータの量であるキュー長をキュー長モニタ部723から受信する(図8:801)。
バイト長決定部731には、ONUに許可可能な最大帯域パラメータであるポリサ帯域が契約に基づき、保守者により制御ボード(図5参照)から設定されているので、上記受信したキュー長と予め設定されたポリサ帯域の値に基づいて、各ONU300に送信するバイト数(下り通信帯域)を決定し、各ONUの識別子であるONU−IDと送信するバイト長を対応付けた割当バイト長テーブル733を作成して記憶部732に格納する(図7:(1)、図8:802)。
尚、割当バイト長テーブル733は、図11で示したように、ONUの識別子であるONU−ID901と、ONUに送信するバイト長902を記憶する構成とした。
(2)送信タイミング決定部735は、以下の演算を行って下りフレームのペイロード(図2の24)内で何バイトを10Gbit/秒で送信し、何バイトを2.4Gbit/秒で送信するかを決定する。
先に説明したように、2.4G/10G混在フレーム20のフレームペイロード24に全て2.4Gbit/秒の信号を収容すると310508バイトの信号が収容できる。上記(1)で各パケットバッファ725に割り当てたバイト長の総和をXとして、上記フレームペイロード24に全て2.4Gbit/秒の信号を収容する時の310508バイトをYとする。ここで、(1)で割り当てたバイト長の総和のうち、2.4Gbit/秒で送信するバイト数をA、10Gbit/秒で送信するバイト数をBとすると、フレームペイロード24がXバイトで埋め尽くされた状況では以下の式が成り立つ。
【0033】
A+B=X (式1) A+B/4=Y (式2)
この連立方程式を解くと、
A=(4Y−X)/3 (式3) B=X−A (式4)
が解として得られる。したがって、まず2.4Gbit/秒で伝送するバイト長Aを(式3)により計算し (ただし8の倍数に切り上げ、図8:803)、続いて10Gbit/秒で伝送するバイト長Bを(式4)により計算する (ただし2の倍数に切り上げ、図8:804)。切り上げ処理は、図2にて説明したように、上り下りを通して最も遅い伝送速度である1.2Gbit/秒の信号速度におけるバイト数で時間単位を指定し、2.4Gbit/秒信号の時間単位は2バイト単位、10Gbit/秒信号の時間単位は8バイト単位で示す構成としたためである。切り上げ後のA+B/4がYを上回ったらBの端数を切り捨てる(図8:805)。ただし、X<Yの場合は、上式は成り立たず、全てを2.4Gbit/秒で伝送することができる。
(3)送信タイミング決定部735は、割当バイト長テーブル733の内容を読み出して(図7:(2))、各ONUへ送信するバイト長902に対応するタイムスロットをフレーム周期内で割り当て、ONU−IDと各フレーム周期内にて割り当てたバイト長範囲を対応付けた送信タイミングテーブル734を作成して記憶部732に格納する(図7:(3)、図8:806)。
(4)送信タイミングテーブル734に基づき、下りグラント値が下り信号処理部702に渡され、送信される(図8:807)。
【0034】
図9は、処理802で実行する各ONU宛に送信するバイト数を決定する動作を示した動作フロー図である。
ONUへの送信数バイト数決定は次のように行われる、先ず、ONU−ID=1から決定を開始し(901)、
L=(該ONUのポリサ設定周期)×(帯域制御周期=0.125m秒) (式5)
でポリサ許容バイト長Lを求める(902)。ここで、演算対象ONU宛のキュー長とポリサ許容バイト長Lの値を比較し(903)、キュー長が大きければ該ONUへの割当バイト長をLの値とする(904)。また、キュー長が小さければ該ONUへの割当バイト長をキュー長とする(905)。この動作を最後のONU−IDになるまで繰り返す(906,907)。
【0035】
図10は、処理806で実行する送信タイミングの決定する動作を示した動作フロー図である。
(E1)最初に割当バイト長テーブル733の行をバイト長の小さい順に並べ替える(1001)。この処理は、送信データ量の少ないONU300にはなるべく低い伝送速度を割り当てるために実施する。並べ替え後、最初のONU−IDの割当バイト長を割当バイト長テーブル733から読込む(1002)。ここで、伝送速度を2.4Gbit/秒に設定し(1003)、Startに1を代入する(1004)。
(E2)Start−1+バイト長/2によりEndを計算し、Start値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1005)。演算したEnd値をA/2の値(Aは図8でて説明した2.4Gbit/秒で送信するバイト数)と比較し(1006)、End値が小さければEnd値を演算対象ONU−IDの行に書き込んで、次のONU−IDを参照し、StartにEnd+1を代入(1007)して演算を繰り返す。
(E3)End値が大きければ、伝送速度を10Gbit/秒に設定し(1008)、EndとしてA/2の値を演算対象ONU−IDの行に書き込んだ後、Startにバイト長/2−a/2−前のStart値を代入して、新しいStart値を同一ONU−IDの新しい行に書き込む(848)。
(E4)Start−1+バイト長/8によりEndを計算し、End値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1009)。
(E5)全ONU−IDの演算が終了するまで繰り返す(1010〜1012)。
【0036】
以上で説明したように、送信するデータ量の少ないONUに対してなるべく低い伝送速度を用いてデータ伝送を行うことで、伝送帯域の少ないONUの消費電力を低減させることができる。本演算を実行して決定した送信タイミング等を送信タイミングテーブル734に書き込んだ結果の一例を図11に示している。
【0037】
図12は、下り信号の別の構成例を示すフレーム構成図である。
先に説明したフレームの構成との違いは、フレームペイロード24の最後尾に2.4Gbit/秒で伝送されるダミーペイロード34を備えたことである。これは、ONU300の光受信伝送インタフェースに図4で説明したような回路を使用した場合、伝送速度が10Gbit/秒から2.4Gbit/秒に変化すると、その変化に追従して同期するために数100n秒から数μ秒の時間を要する場合がある為である。あるフレームに続くフレーム同期パタン20は全ONU300が受信しなければならない周期信号である。ダミーペイロード34を入れることで、各ONU300の光受信伝送インタフェースが同期するための時間を確保することができ、確実に同期パタン20が受信出来るようになる。ダミーペイロード34の具体的な値として、信号振幅調整およびクロック同期の双方に都合の良い“10“交番パタンを用いる構成が最適であるが、この値に限定する必要はない。また、ダミーペイロード34の長さは、使用する光受信回路の特性に合わせて予め設定しておけば良い。
【0038】
図13も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、フレームペイロード24の中で隣接するONU宛のペイロードの伝送速度が変わる時にもダミーペイロード35を挿入する。本図では、伝送速度が2.4Gbit/秒のONU#1宛信号ペイロード32と、伝送速度が10Gbit/秒のONU#2宛信号ペイロード33の間にもダミーペイロード35が挿入されている。同図の構成のフレームを用いる場合、ONU#2は、下りグラント領域31のONU−ID#2のStart値をモニタして10Gbit/秒の信号が受信されるタイミングを待ちうけ、受信光インタフェースの同期がとれるように動作させる。また、下りグラント領域31のONU−ID#1のEnd値とONU−ID#2のStart値とをモニタし、ONU−ID#1のEnd値直後より受信光インタフェースの再同期を開始させダミーペイロード35の時間をかけて光受信インタフェースの同期を確立する構成としても良く、従来から用いられる連続光伝送用のデバイスを適用しやすいメリットがある。
【0039】
図14も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、すべてのONU宛ペイロードの変わり目にダミーペイロード35を挿入する。このフレームを用いると送信出来る(割当される)データの量が複数のダミーペイロード35の分だけ削減されるが、各ONU300は、自分宛の信号受信直前まで光受信インタフェースを停止させておき、ダミーペイロード35を利用して受信光インタフェースの同期を行うことができるように構成できる。これにより消費電力を削減できる可能性がある。
【0040】
図15も、下り信号の他の構成例を示すフレーム構成図である。この構成では、2.4Gbit/秒で伝送するフレームと10Gbit/秒で伝送するフレームの2種類が存在する。そして、各フレームの送信頻度を調整して伝送速度の最適化を実施する。
このフレームを使用する場合の帯域割り当ての方法を以下で説明する。図16は、OLT制御部の別の動作例を示す動作フロー図で、図15で示したフレームを下り信号に使用する場合の各ONU300への下り信号割当動作例を示したものである。
【0041】
本動作例では、4つのフレーム周期(各125μ秒)で1つの帯域制御周期(0.5m秒)を構成しているので、伝送速度が2.4Gbit/秒の場合に1つの帯域制御周期で送信可能なバイト数は、先に説明した数値例を使用すると310508バイト×4周期=1242032バイトとなる。すなわち、全てのONUからの送信待ちデータ量であるキュー長の総和が1242032バイト以内であれば、2.4Gbit/秒の伝送速度で全ての割り当てデータを送信可能である。キュー長の総和が1242032バイトより大きければ、2.4Gbit/秒の伝送速度では全ての要求データを伝送することは出来ないので伝送速度を10Gbit/秒に上げる必要がある。
【0042】
ここで、1つの帯域制御周期を構成する4つのフレーム周期のうち、3つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの1つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×3周期+1242032×1周期=1552540バイトまで上げることが出来る。同様に、4つのフレーム周期のうち、2つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの2つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×2周期+1242032×2周期=3105080バイトまで上げることが出来る。更に、4つのフレーム周期のうち、1つを伝送速度2.4Gbit/秒で、残りの3つを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、310508×1周期+1242032×3周期=4036604バイトまで上げることが出来る。最後に、4つのフレーム周期の全てを伝送速度10Gbit/秒で伝送する場合、帯域制御周期において送信可能なバイト数は、1242032×4周期=4968128バイトまで上げることが出来る。
【0043】
したがって、送信タイミング決定部735は、割当バイト長テーブル733‘から得た割当バイト長の総和に基づいて、以下のように伝送速度を決定し、送信タイミングテーブル734’のそれぞれのフレーム周期(以下、グラント周期と称することもある)に伝送速度の値を入力する。
(A)割当バイト長の総和≦1242032か否かを判定し(図16:1103)、Yesの場合は全グラント周期を2.4Gbit/秒の速度に決定する(図16:1104)。
(B)1242032<割当バイト長の総和≦1552540か否かを判定し(図16:1105)、Yesの場合は第1〜第3グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1106)。
(C)1552540<割当バイト長の総和≦3105080か否かを判定し(図16:1107)、Yesの場合は第1・第2グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第3・第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1108)。
(D)3105080<割当バイト長の総和≦4036604か否かを判定し(図17:1109)、Yesの場合は第1グラント周期を2.4Gbit/秒の速度、第2〜第4グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1110)。また、Noの場合は全グラント周期を10Gbit/秒の速度に決定する(図17:1111)。
(E)各グラント周期の伝送速度が決まると、データ送信許可部735は、割当バイト長テーブル733‘に格納されたバイト長(図18:902で詳細は後述)を参照し、各ONUに対してグラント周期内でデータを送信させるタイムスロットの決定を行い、送信タイミングテーブル734の値を生成する(図16:806’(詳細動作例は後述する))。この時、2.4Gbit/秒の伝送速度を使用するグラント周期においては、割当バイト長テーブルでの割り当てバイト数を2で割った値となるよう、また10Gbit/秒の伝送速度を使用するグラント周期においては、割当バイト長テーブルでの割り当てバイト数を8で割った値となるようにする。
【0044】
図17も、OLT制御部の別の動作例を示す動作フロー図で、図16の処理806‘で実行する各ONU300へのデータ送信タイミングを決定する動作例を示したものである。8は処理1112の詳細を示す実施例である。
(E1)最初に割当バイト長テーブル733’の行をバイト長の小さい順に並べ替え(1301)、最初のONU−IDのバイト長をバイト長テーブル733‘から読み出す(1302)。
(E2)最初のグラント周期の送信タイミングテーブル734‘の行から演算を開始(1303)して、該グラント周期で速度が2.4Gbit/秒であるか否かを判定し(1304)、Yesであれば以後の演算でバイト長を2で除算し(1305)、Noであれば伝送速度は10Gbit/秒であるので以後の演算でバイト長を8で除算し、1.2Gbit/秒と同じ時間幅となるバイト値に換算して演算を続ける(1306)。尚、除算する際に小数点以下の端数は切り上げる。続いて、Startに0を代入し、その値を演算対象ONU−IDの行に書き込む(1307)。
(E3)Start−1+バイト長≦ 155253であるか否かを判定し(1308)、YesであればEndにStart−1+バイト長を代入し、Endを演算対象ONU−IDの行に書き込み、演算対象ONU−IDを+1加算し、さらにStartにEnd+12+1を代入し、Startを新演算対象ONU−IDの行に書き込む(1309)。
(E4)判定(1308)がNoであれば、Endに19439を代入し、Endを演算対象ONU−IDの行に書き込み、バイト長←にStart−1+バイト長−155253を代入し(1310)、処理1304に再帰することにより次のグラント周期のテーブル計算に進む。
(E5)上記処理を再帰的に繰り返した後、全ONU−IDの演算完了を判定し(1311)、Yesであれば次のDBA周期での演算のために、最初のONU−IDに設定する値を1つシフトして記憶して、この処理を終了する。判定(1311)がNoであれば処理1308に戻る。
【0045】
図18は、図16と図17の動作フロー図に従った制御で生成された割当バイト長テーブル733‘の構成例を示すメモリ構成図である。また、図19は、同じく送信タイミングテーブル734’の構成例を示すメモリ構成図である。
図18と図19では、各ONUからのキュー長に基づき各ONUへの割当バイト長を(a)〜(e)の5通りに変化させて割り当てた例を示している。具体的には、各ONUに対応した下りパケットバッファ725のキュー長が(a)〜(e)に対応して増えていき、各ONUへ送信するバイト数と帯域割当周期での総割当バイト数が増えている状況を例として示している。
上記動作例では、1つの帯域制御周期を4つのフレーム周期で構成して、フレーム周期毎に伝送速度を切り替える例を説明しているが、1つの帯域制御周期をさらに多くのフレーム周期で構成して伝送速度をより細かく切り替えることで、全ONUに割り当てたバイト数の総和に最も近い伝送速度の組み合わせを選び、かつ、極力伝送速度を下げて全体の消費電力を最小化することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10・・・PON、 100・・・スプリッタ、 110、120・・・光ファイバ、
130・・・下り信号、 140、150・・・上り信号、
200・・・OLT、 300・・・ONU、 400、410・・・端末、
700・・・制御部、 708・・・下り帯域制御部、
731・・・バイト長決定部、 735・・・送信タイミング決定部、
733・・・割当バイト長テーブル、 734・・・送信タイミングテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局と複数の子局とが光スプリッタおよび複数の光ファイバから成る光ファイバ網で接続され、前記親局は、上位網から受信した前記複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で前記光ファイバ網を介して前記複数の子局に同報送信し、前記複数の子局の夫々は、前記フレーム信号を受信して自局宛の信号を処理する受動光網システムであって、
前記親局は、
第1の伝送速度または該第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で前記複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、
前記上位網から受信した信号を該信号の宛先である前記複数の子局の夫々に対応して蓄積するパケットバッファと、
前記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき、前記複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で前記光送信インタフェースから該複数の子局の夫々に信号を送信するとともに、該決定した送信タイミングと伝送速度を該複数の子局の夫々に通知する制御部とを備え、
前記複数の子局の夫々は、
前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、
前記親局より通知された前記送信タイミングと伝送速度に基づいて前記光受信インタフェースを制御する制御部とを備える
ことを特徴とする受動光網システム。
【請求項2】
上記親局の制御部は、上記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき上記複数の子局の夫々に送信する信号の量を決定すると、
前記決定した信号の量が上記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合は、前記複数の子局への信号の伝送速度を該第1の伝送速度とし、該決定した信号の量が前記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、前記複数の子局の内の該任意の子局への信号の伝送速度を上記第2の伝送速度と決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受動光網システム。
【請求項3】
上記親局の制御部は、上記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき上記複数の子局の夫々へ送信する信号の量を一定の周期毎に決める帯域制御部と、
前記決定された信号の量に基づき、前記信号を送信する親局の送信タイミングと伝送速度を決める送信タイミング制御部とを備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求工2のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項4】
上記親局で決定した伝送速度の情報は、該親局から上記複数の子局へ送信されるフレーム信号の制御信号領域内に前記親局が決定した送信タイミングの情報と併せて挿入され、前記第1の伝送速度で該複数の子局の夫々に通知されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項5】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、時分割多重の最後の子局宛の信号の後に複数バイトからなるダミー信号も挿入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項6】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、任意の子局宛の信号の次に多重化する子局宛の信号の伝送速度が変わる場合、該次の子局宛の信号の前に複数バイトからなるダミー信号を挿入することを特徴とする請求項5に記載の受動光網システム。
【請求項7】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、各子局宛の信号の間に複数バイトからなるダミー信号を挿入することを特徴とする請求項6に記載の受動光網システム。
【請求項8】
親局と複数の子局とが光スプリッタおよび複数の光ファイバから成る光ファイバ網で接続され、前記親局は、上位網から受信した前記複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で前記光ファイバ網を介して前記複数の子局に対して同報送信し、前記複数の子局の夫々は、前記フレーム信号を受信して自局宛の信号を処理する受動光網システムの運用方法であって、
前記親局は、前記複数の子局の夫々に送信する信号の量に基づき、該親局から該複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミング、および、第1の伝送速度または該第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度のいずれかの伝送速度を一定周期毎に決めて、該決定送信タイミングと伝送速度での信号送信と該決定送信タイミングと伝送速度の通知を該複数の子局の夫々に実施し、
前記複数の子局の夫々は、前記親局より通知された前記送信タイミングと伝送速度に基づいて前記第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信すること
を特徴とする受動光網システムの運用方法。
【請求項9】
上記伝送速度の決定は、上記送信する信号の量が上記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合は、上記複数の子局への信号の伝送速度を前記第1の伝送速度とし、該送信する信号の量が前記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、該複数の子局の内の任意の子局宛の信号の伝送速度を上記第2の伝送速度と決定することを特徴とする請求項8に記載の受動光網システムの運用方法。
【請求項1】
親局と複数の子局とが光スプリッタおよび複数の光ファイバから成る光ファイバ網で接続され、前記親局は、上位網から受信した前記複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で前記光ファイバ網を介して前記複数の子局に同報送信し、前記複数の子局の夫々は、前記フレーム信号を受信して自局宛の信号を処理する受動光網システムであって、
前記親局は、
第1の伝送速度または該第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度で前記複数の子局へ信号を送信する光送信インタフェースと、
前記上位網から受信した信号を該信号の宛先である前記複数の子局の夫々に対応して蓄積するパケットバッファと、
前記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき、前記複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミングと伝送速度を決定し、該送信タイミングと伝送速度で前記光送信インタフェースから該複数の子局の夫々に信号を送信するとともに、該決定した送信タイミングと伝送速度を該複数の子局の夫々に通知する制御部とを備え、
前記複数の子局の夫々は、
前記第1の伝送速度または前記第2の伝送速度の信号を受信する光受信インタフェースと、
前記親局より通知された前記送信タイミングと伝送速度に基づいて前記光受信インタフェースを制御する制御部とを備える
ことを特徴とする受動光網システム。
【請求項2】
上記親局の制御部は、上記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき上記複数の子局の夫々に送信する信号の量を決定すると、
前記決定した信号の量が上記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合は、前記複数の子局への信号の伝送速度を該第1の伝送速度とし、該決定した信号の量が前記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、前記複数の子局の内の該任意の子局への信号の伝送速度を上記第2の伝送速度と決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受動光網システム。
【請求項3】
上記親局の制御部は、上記パケットバッファに蓄積された信号の量に基づき上記複数の子局の夫々へ送信する信号の量を一定の周期毎に決める帯域制御部と、
前記決定された信号の量に基づき、前記信号を送信する親局の送信タイミングと伝送速度を決める送信タイミング制御部とを備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求工2のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項4】
上記親局で決定した伝送速度の情報は、該親局から上記複数の子局へ送信されるフレーム信号の制御信号領域内に前記親局が決定した送信タイミングの情報と併せて挿入され、前記第1の伝送速度で該複数の子局の夫々に通知されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項5】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、時分割多重の最後の子局宛の信号の後に複数バイトからなるダミー信号も挿入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の受動光網システム。
【請求項6】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、任意の子局宛の信号の次に多重化する子局宛の信号の伝送速度が変わる場合、該次の子局宛の信号の前に複数バイトからなるダミー信号を挿入することを特徴とする請求項5に記載の受動光網システム。
【請求項7】
上記親局の制御部は、上記複数の子局宛の信号を時分割多重する送信タイミングの決定時、各子局宛の信号の間に複数バイトからなるダミー信号を挿入することを特徴とする請求項6に記載の受動光網システム。
【請求項8】
親局と複数の子局とが光スプリッタおよび複数の光ファイバから成る光ファイバ網で接続され、前記親局は、上位網から受信した前記複数の子局宛の信号を時分割多重したフレーム信号で前記光ファイバ網を介して前記複数の子局に対して同報送信し、前記複数の子局の夫々は、前記フレーム信号を受信して自局宛の信号を処理する受動光網システムの運用方法であって、
前記親局は、前記複数の子局の夫々に送信する信号の量に基づき、該親局から該複数の子局の夫々に送信する信号の送信タイミング、および、第1の伝送速度または該第1の伝送速度より高速な第2の伝送速度のいずれかの伝送速度を一定周期毎に決めて、該決定送信タイミングと伝送速度での信号送信と該決定送信タイミングと伝送速度の通知を該複数の子局の夫々に実施し、
前記複数の子局の夫々は、前記親局より通知された前記送信タイミングと伝送速度に基づいて前記第1の伝送速度または第2の伝送速度の信号を受信すること
を特徴とする受動光網システムの運用方法。
【請求項9】
上記伝送速度の決定は、上記送信する信号の量が上記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を下回る場合は、上記複数の子局への信号の伝送速度を前記第1の伝送速度とし、該送信する信号の量が前記第1の伝送速度で伝送可能な最大伝送量を上回る場合は、該複数の子局の内の任意の子局宛の信号の伝送速度を上記第2の伝送速度と決定することを特徴とする請求項8に記載の受動光網システムの運用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−102483(P2013−102483A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−283905(P2012−283905)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2009−116069(P2009−116069)の分割
【原出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2009−116069(P2009−116069)の分割
【原出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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