説明

受口付き管体

【課題】拡径受口を備えた管体へのリブ付き管の接続を手間をかけずに簡易な操作で行えるようにし、リブ付き管を拡径受口内に管軸を揃えて確実に固定する。
【解決手段】リブ付き管の差口が接続する拡径受口部を備えた受口付き管体において、拡径受口部の根元部内面に、管中心方向へ突出した突片を周方向に沿って互いに所定の間隔を開けて複数配し、これら突片の先端に差口先端が嵌合するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リブ付き管が接続する拡大受口を備えたプラスチック製の管体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
外周面にリブを環状に突設して形成されたリブ付き管は、軽量ながらも高い剛性を有し、電線や信号線などを地中に埋設する場合の保護管路や下水配管路などに広く利用されている。
このようなリブ付き管を管体や継手管に接続する場合、図4に示されるように、予めリブ付き管41の差口41aの外周に、リブ41bよりも外径が大きな、同図(B)に示す屈曲防止リング42と、シール用のゴム輪43とを装着しておき、管体や継手管44の拡径受口44aに差口41aを差し込んで当該受口内周面と差口外周面との間に屈曲防止リング42とゴム輪43とを圧入させ、屈曲防止リング42が拡径受口44aと差口41aの内外周面に弾圧接することにより、管軸を揃えて両口を固定するようにしていた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−208255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図示した従来のリブ付き管41の接続形態は、リブ41bよりも大径の屈曲防止リング42が拡径受口44aと差口41aとの間で弾性変形し、差口41aの外周面を押圧してリブ付き管41を拡径受口44a内に安定的に固定させることができる。
しかし、リブ付き管41とは別に屈曲防止リング42を成形するためのコストを要し、また、これを予めリブ付き管41に装着する手間が面倒である。屈曲防止リング42は、硬質なプラスチックを用いてリブ付き管41の外周に密着嵌合する大きさに成形されるため、リブ付き管41への装着操作の際に、リブ41bと屈曲防止リング42の間に指を挟んでしまう危険があり、また、一旦リブ付き管41の外周に嵌め入れた屈曲防止リング42の取り外しは極めて面倒なことから、装着操作は取り付け位置を確認しながら時間をかけて慎重に行う必要があった。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、拡径受口を備えた管体にリブ付き管を接続する際に、これらとは別体の部材を用いることなく手間をかけずに簡易な操作で接続し、且つリブ付き管を拡径受口内に確実に固定しておくことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、管本体部の端部に管本体部よりも大径の拡径受口部が一体に連結されてなり、リブ付き管の差口が拡径受口部内に差し込まれてリブ付き管を接続する受口付き管体において、拡径受口部の根元部内周に管中心方向へ張り出した突部を一体に形成し、この突部に前記リブ付き管の差口先端が嵌合するように設けたことを特徴とする。
【0007】
これによれば、リブ付き管の差口を受口付き管体の拡径受口部内に差し入れて押し込めば、拡径受口部の根元部において差口先端の外周が突部に圧接して嵌合し、嵌合により突部から差口先端に管中心方向への押圧力が加わるため、差口先端は拡径受口部の根元部に固定せしめられ、リブ付き管は受口付き管体に接続する。
【0008】
前記構成において、拡径受口部の根元部に形成される突部の管中心方向への張り出し幅(拡径受口部内面からの突出長さ)は、当該根元部まで進入したリブ付き管の差口先端の外周面に突部の表面が隙間なく圧密に外嵌合する幅(長さ)に設定される。拡径受口部とリブ付き管の管軸のずれを防止するため、突部からの押圧力が差口先端の管周方向に沿って均等に加えられるように突部を配することが好ましい。拡径受口部の根元部を、差口先端の幅分だけ周方向に沿って肉厚にし、この肉厚部に差口先端が嵌合するように設けてもよい。
また、拡径受口部の根元部内面に、管中心方向へ突出した突片を周方向に沿って互いに所定の間隔を開けて複数配し、これら突片の先端に差口先端が嵌合するように設けてもよい。この場合、拡径受口部内でリブ付き管が屈曲して接続することのないよう、突片は根元部内周に等間隔を開けて配置することが好ましい。
嵌合により突片から差口先端に加わる押圧力の大きさ、すなわちリブ付き管を拡径受口部内に固定する強さは、リブ付き管のサイズや接続条件、施工管路の使用形態などに応じ、突片の数とその根元部内面からの突出長さを調整して適宜に設定される。
【0009】
本発明によれば、拡径受口部内に管中心方向へ張り出した突部を一体に成形し、この受口部内に差し込んだリブ付き管を、差口外周と突部の嵌合により固定するように設けてあるので、従来の屈曲防止リングの如き管を接続するための部材は不要であり、リブ付き管を拡径受口部内に押し込むという簡易な操作で、リブ付き管を受口付き管体に接続することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の受口付き管体の要部を破断して示した正面図、図2は図1のII−II線に沿った切断端面図、図3は図1の受口付き管体にリブ付き管を接続した状態の断面図であり、図中、符号1は受け口付き管体、2はリブ付き管、3はシール用のゴム輪をそれぞれ示している。
【0011】
本形態の受口付き管体1は三方に分岐した継手管であり、図1に示されるように、上方への分岐口11aを周面に有する管本体部11の両側に、これよりも大径の拡径受口部12、12を管軸方向(管の延長方向)へ適宜な長さで突設させるとともに、外周面全体に環状のリブ13を互いに等間隔開けて多数列設させて一体に成形してある。
拡径受口部12は、その内部にリブ付き管2が略一杯に密接して差し込まれるように、その内径をリブ付き管2のリブ21の外径よりも僅かに大きくした寸法に設けてある。
なお、図中、受口付き管体1の各リブ13間と、リブ付き管2の各リブ21間に表れた二本の平行線は、管体を任意の箇所で切断する際の目安となる、それぞれのリブ間の中央を跨いで管表面に形成された突筋である。
【0012】
また、管本体部11に連結する拡径受口部12、12の根元部には、その内面から管中心方向へ突出した突片14を複数設けてある。各突片14は、その根元部内面から管中心方向への突出長さ(H1)をリブ付き管2のリブ21の高さ(H2)と略同じに設定して、図2に示されるように、拡径受口部12の根元部内面に周方向に沿って互いに等間隔を開けて配置してあり、これら突片14の先端にリブ付き管2の差口22の先端外周面が圧密に接し嵌合するように設けてある。
また、各突片14の管軸方向の突出幅(D1)は、リブ付き管2のリブ21同士の間隔(D2)の略半分に相当する長さに設定してある。
【0013】
本形態の受口付き管体1はこのように形成されており、外周にゴム輪3を装着したリブ付き管2を、その差口22を拡径受口部12内に差し入れてそのまま押し込めば、拡径受口部12の根元部において差口22の先端外周が、根元部内面に環状に配された突片14に圧接して嵌合し、嵌合により各突片14から差口22の外周面に管中心方向への押圧力が加わるため、差口22は拡径受口部22の根元部に固定され、リブ付き管2を受口付き管体1に接続することができる。
この場合に、差口22の外周面には、拡径受口部12の根元部内周に等間隔を開けて配された各突片14から管中心方向への押圧力が均等に加わるので、リブ付き管2は拡径受口部12の中心に保持され、管軸を揃えて受口付き管体1に接続することとなる。
【0014】
なお、図示した形態の受口付き管体1は、拡径受口部12を管本体部11の両側に設けた両受タイプの継手であるが、管本体部11の片側のみに拡径受口部12を設けた片受タイプの継手にも本発明は適用が可能である。また、拡径受口部12の根元部に設ける突片14の数、配置は、リブ付き管2の接続条件などに応じて適宜に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の受口付き管体の要部を破断して示した正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った切断端面図である。
【図3】図1の受口付き管体にリブ付き管を接続した状態の要部断面図である。
【図4】受口付き管体にリブ付き管を接続する従来の形態であり、(A)は接続状態の要部断面図、(B)は接続に用いる屈曲防止リングの斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 受口付き管体、11 管本体部、11a 分岐口、12 拡径受口部、13 リブ、2 リブ付き管、21 リブ、22 差口、3 ゴム輪






【特許請求の範囲】
【請求項1】
管本体部の端部に管本体部よりも大径の拡径受口部が一体に連結されてなり、リブ付き管の差口が拡径受口部内に差し込まれてリブ付き管を接続する受口付き管体において、
拡径受口部の根元部内周に管中心方向へ張り出した突部を一体に形成し、この突部に前記リブ付き管の差口先端が嵌合するように設けたことを特徴とする受口付き管体。
【請求項2】
突部として、拡径受口部の根元部内周に、管中心方向へ突出した突片を、周方向に沿って互いに所定の間隔を開けて複数配したことを特徴とする請求項1に記載の受口付き管体。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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