説明

受電制御装置、無接点電力伝送システム、受電装置および電子機器

【課題】無接点電力伝送システムにおいて、1次コイルと2次コイルの位置ずれの影響を受けにくくし、周波数変調時における受電側のデータ検出精度のさらなる向上を実現する。
【解決手段】例えば、128個の送電側クロック(CCMCPI)分の時間を発振回路(58)の発振クロック(受電側クロック)CLKを用いて計測し、送電側クロック(CCMCPI)の周波数を直接的に検出する。カウンタ73は、128個の送電側クロック(CCMCPI)を検出すると、検出信号CTを出力する。最初の送電側クロック(CCMCPI)によって、カウンタ(77)がスタートし、検出信号CTによってリセットされる。リセット時のカウント値はメモリ(79)に取り込まれる。f1/f2判定回路(81)は、予め取得されている基準時間情報との比較によって、送電側クロックの周波数を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電制御装置、無接点電力伝送システム、受電装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。
【0003】
1次コイルと2次コイルを用いた無接点電力伝送装置は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される無接点電力伝送システムでは、送電側から受電側への通信方式として周波数変調方式を採用する。
【0004】
受電側では、周波数変調時の誘電電圧レベルを検出し、その電圧レベルの違いにより“0”および“1”を識別する。
【特許文献1】特開2006−60909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無接点電力伝送システムでは、受電側において、周波数変調時の誘電電圧レベルを検出する方式を採用している。受電側誘電電圧のレベルは、1次コイルと2次コイルの相対的な位置関係(位置ずれ)によって変動するため、検出精度のさらなる向上をめざす場合、一定の限界があることは否めない。
【0006】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、その目的は、1次コイルと2次コイルの位置ずれの影響を受けにくくして、周波数変調時における受電側のデータ検出精度のさらなる向上を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の受電制御装置は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の本負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、前記2次コイルの誘起電圧から生成される送電側クロックの周波数を検出する周波数検出回路を含み、前記周波数検出回路は、前記送電側クロックよりも周波数が高い受電側クロックによって動作するカウンタを有し、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出する。
【0008】
受電側の誘電電圧レベルを検出する方式に代えて、送電側クロックの周波数を直接的に検出する方式を採用するものである。1次コイルと2次コイルの位置関係に応じて電圧レベルが若干変動したとしても、クロックの周波数検出に大きな影響がでることがなく、したがって、より高精度の検出が可能となる。送電側クロック(2次コイルの一端の誘起電圧から生成される(抽出される)クロック)の周波数の検出は、送電側クロックの所定クロック数に相当する時間(例えば、128クロック分の時間)を、受電側クロック(送電側クロックよりも周波数が高いクロックであり、例えば、受電装置に備わる発振器の発振クロックである)によって計測することによって行われる。送電側クロックの周波数が高い場合は、1クロック周期が短くなるため、送電側クロックの所定クロック数に相当する時間に対応した、受電側クロックのカウント値は減少し、送電側クロックの周波数が低い場合には、1クロック周期が長くなるため、受電側クロックのカウント値は増加する。したがって、送電側クロックの所定クロック数(例えば128クロック数)相当の時間に対応した受電側クロック数(すなわち、アップカウンタまたはダウンカウンタのカウント値)に基づいて、送電側クロックの周波数を判定することができる。これによって、“1”,“0”を識別することができ、また、通常送電であるかパワーセーブ送電(通常送電の周波数よりも低い周波数による連続送電)であるかも検出することができる。
【0009】
(2)本発明の受電制御装置の一態様では、前記周波数検出回路は、計測された前記受電側クロック数を記憶するメモリを有すると共に、基準時間計測時において、前記送電側クロック複数個分に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロック(CLK)の数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数およびその計測された受電側クロック数に基づいて算出される受電側クロック数の少なくとも1つを、周波数毎の基準時間情報として前記メモリに記憶しておき、前記送電装置からのデータ検出時において、実測された受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を判定する場合に、前記メモリに記憶されている前記周波数毎の基準時間情報を参照し、前記実測された受電側クロック数と、前記各基準時間情報としての受電側クロック数との一致を判定し、両者の誤差が許容誤差範囲内である場合には一致していると判定し、これによって、前記送電側クロックの周波数を検出する。
【0010】
受電側クロックで動作するカウンタの計測値に基づいて、送電側クロックの周波数を判定するためには、使用される周波数毎に、周波数判定基準となる基準計測値(基準時間情報)を予め受電側で用意しておき、実測された計測値を各基準計測値(基準時間情報)と比較し、一致判定を行う必要がある。但し、カウンタの計測値は、例えば、受電側クロックの周波数の精度に影響されて変動するため、どの機器にも適用可能な、標準的な基準計測値というものは存在しない。そこで、受電側は、基準時間計測時(例えば、送電側からの電力供給を受けて起動された初期の状態)において、周波数が既知の、所定数の送電側クロックの時間をカウンタによって実際に計測し、その計測値を、基準時間情報としてメモリに記憶する。例えば、送電側クロックの周波数が“f1”のときに、初期状態において、128クロック分の送電側クロックに相当する時間をカウンタにより実測し、その計測値が“m”であったとすると、その“m”を基準時間情報としてメモリに記憶する。そして、送電装置からのデータ送信時において、同様に、所定数の送電側クロックの時間(例えば128クロック分の時間)をカウンタで計測する。その計測値が“X”であれば、次に、メモリに記憶されている基準時間情報“m”と比較する。そして、“X”と“M”との差が許容範囲(例えば±8)以内ならば、実測された計測値“X”は“M”に一致したと判定し、送電側クロックの周波数は“f1”と判定する。送電側クロックの周波数が“f2”のときも同様の方法で検出可能である。つまり、基準時間計測時において、周波数f2に対応する基準時間情報(Q)を取得してメモリに記憶させ、データ送信時における実測された計測値を基準時間情報と比較し、許容範囲であるか否かによって一致判定を行うことによって、周波数“f2”を判定することができる。ただし、基準時間情報は、必ず実測によって取得しなければならないわけではない。例えば、送電側から受電側への通信に使用する周波数が“f1”と“f2”であった場合、f1に対応する基準時間情報(カウンタの計測値P)が実測により取得されれば、そのf1についての実測値を利用して、計算によって、f2に対応した基準時間情報(カウンタの計測値Q)を算出することも可能である。したがって、メモリに、各周波数に対応した「基準時間情報」として記憶されるのは、「計測された受電側クロック数」あるいは「その受電側クロック数に基づいて算出される受電側クロック数」のいずれかである。
【0011】
(3)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記送電装置は、前記受電装置へのデータ送信中に、周波数変調された送信側クロックn個(nは2以上の自然数)によって1ビットのデータを送信すると共に、前記送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、前記第1の周波数および第2の周波数は共に、前記1次コイルを構成要素として含む共振回路の共振周波数よりも低い周波数側、あるいは高い周波数側のいずれかにおいて設定され、前記第1の周波数と前記第2の周波数との周波数差の、前記第1の周波数に対する割合が、30%以内に設定される。
【0012】
本態様では、以下の4点を明らかにしている。すなわち、(1)送電装置は周波数変調によって“1”および“0”を送信する点、(2)周波数変調された送信側クロックn個によって1ビット(“1”または“0”)が表現される点、(3)“1”および“0”に対応した周波数(例えば、“f1”および“f2”とする)は共に、共振回路の共振周波数を基準とした場合の高周波数域あるいは低周波数域のいずれかに設定されている点、(4)f1とf2の周波数差の絶対値|f1−f2|のf1(あるいはf2)に対する割合が30%以下(すなわち、(|f1−f2|/f1)≦30%)である点。(3)および(4)の条件が課せられる理由は、以下のとおりである。すなわち、送電側から受電側への通信に用いられる周波数が、共振カーブの左側(低周波数域)および右側(高周波数域)にまたがっていると、周波数の切換えの際に必ず共振点を通過することになり、動作が不安定となることから、共振点をまたぐことなく周波数の切換えを行えるように、使用する周波数のすべてを、共振カーブの左側(低周波数域)および右側(高周波数域)のいずれかに集中させて設定するのが望ましい。また、送電側から受電側への通信は、受電側における本負荷への給電中に行われることがないとはいえない。このとき、f1とf2の周波数差が大きすぎると、その周波数の切換えに伴って伝送電力レベルが大きく変動し、本負荷への給電が不安定化する、あるいは電池の充電効率が低下する等の悪影響が生じることがないとはいえない。そこで、f1とf2の周波数差を、(|f1−f2|/f1)≦30%の条件を満たすように制限し、周波数差が無制限に大きくならないようにするのが望ましい。
【0013】
(4)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記受電側クロックを出力する、発振回路をさらに有し、前記周波数検出回路は、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記発振回路から出力される前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出する。
【0014】
受電側クロックを生成するために、受電側に発振回路を設ける点を明らかとしたものである。発振回路の発振精度が高いほど、受電側クロックを用いた周波数測定の精度が向上する。ただし、発振精度の高い発振回路ほど高価であり、特に、受電装置が携帯電話端末等に搭載されることを考慮すると、高価な発振器を受電装置に内蔵するのが困難な場合がある。したがって、受電装置に内蔵する発振回路は、精度とコストの双方を検討して決定される。
【0015】
(5)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記送電側クロックn個をm分割し、前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、複数回連続して計測し、計測した受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、所定回数、連続して一致した場合に、前記送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定する。
【0016】
周波数判定方式として、連続した複数回の一致判定方式を採用するものである。上述のとおり、n個(例えば128個)の送電側クロックに相当する時間を受電側クロックで計測し、その計測値に基づく1回の周波数判定処理によって周波数を特定することは可能である。ただし、例えば、受電側クロックを発生する受電側の発振回路として、コスト面を重視して水晶発振器の代わりにCR発振器を使用しているような場合には、発振精度のある程度のばらつきがあるのは仕方のないことである。さらに、上述のとおり、本負荷への給電への悪影響をなくすために、f1とf2の周波数差を小さく設定している場合には、f1とf2を区別することがむずかしくなり、場合によっては誤検出の恐れもないとはいいきれない。このような事情を考慮して、本態様では、より高精度な周波数検出(周波数判定)の手法を提供するものである。すなわち、n個(例えば128個)をm(例えばm=4)等分し、送電側クロック(n/m)個分(=送電側クロック32個分)の受電側クロック数を、例えば連続して4回、計測する。各計測毎に基準時間情報(例えば、初期状態で取得され、メモリに格納されている送電側クロック(n/m)個に相当する時間の受電側クロック数)と比較して一致判定を行って周波数を検出する。そして、所定回数(例えば、3回)連続して周波数が一致したときに、送電側クロックの周波数は、その一致した周波数であると判定して、“1”または“0”を特定するものである。複数回の判定結果の連続一致によって送電側クロックの周波数を特定するため、上述のような場合でも、信頼できる周波数検出が可能である。
【0017】
(6)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を複数回連続して計測し、計測した第1の受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、直前に計測した第2の受電側クロック数に基づいて判定された周波数と一致しない場合には、前記第1の受電側クロック数に基づく周波数判定結果は無効とし、後続の、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測によって得られた受電側クロック数に基づく周波数判定結果が一致する場合に、送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定する。
【0018】
連続一致判定に、条件を付加して、判定精度の低下を防止するものである。つまり、周波数の変化が検出された場合、最初の1回の検出結果は誤差が大きい場合があるため無効とし、かつ、それ以降の測定結果を用いて、少なくとも連続して2回の一致が観測されたことを条件として周波数を特定する。最初の1回の判定結果を無効とするのは、受電側では、送電側におけるデータの送信タイミングとの同期を正確にとることはできないため、送電側で送信データを“1”から“0”に変化したとき、受電側で、その変化に正確に追従して“0”の判定のためのm回の周波数判定を開始することはできないからである。つまり、最初の“0”判定のときは、周波数f1(=1)および周波数f2(=0)の送電側クロックが混在している期間において受電側クロック数をカウントしている場合がほとんどであるため、これによって計測された時間は正確さを欠く。よって、周波数の変化が検出された場合における初回の測定結果は無効とするものである。ここで、連続一致判定の回数をK回としたとき、m回の測定のうち、初回の測定結果は捨てるために、K≦m−1の関係が成立する。また、連続一致判定のためには最低限2回の測定を必要とするから、2≦Kの関係が成立する。よって、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測結果の一致をもって周波数を特定し、これによって“1”または“0”を判定することになる。例えば、送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、m回測定するものとし、n=128,m=4とし、また、その測定の直前における判定では“f1”と判定されていたとする。まず、1回目の測定では、“f2”と判定されたとし、2回目でも“f2”,3回目でも“f2”,4回目でも“f2”が判定されたとする。この場合、1回目の周波数判定結果(最初のf2判定)は、誤差が含まれる可能性があるため無効とし、2回目〜4回目の周波数判定結果を参照して、判定された周波数が少なくとも2回、連続して一致したことを条件として周波数を特定し、“1”または“0”を判定する。
【0019】
(7)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記送電装置は、前記受電装置への電力伝送中に、周波数変調された送信側クロックn個によって1ビットのデータを送信すると共に、送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、前記送電装置から前記受電装置に送信されるデータフレームの前または後の少なくとも一つには、複数ビットの“0”または“1”が挿入されており、前記受電制御装置の前記周波数検出回路は、前記複数ビットの“0”または“1”を検出することによって、前記送信フレームの開始または終了を判定する。
【0020】
上述のとおり、受電側にて“1”または“0”を正確に判定できるように受電側の周波数検出方式に工夫が施されるが、本態様では、さらに、データフレームのデータ形式にも工夫を施して、受電側の正確なデータ検出のために、万全を期している。すなわち、データフレーム(所定規則に従って配列される一群のデータ列)の前あるいは後ろに、“1”または“0”が連続する領域を設けることによって、受電側では、送信フレームの開始判定または終了判定が容易化され、データフレームを、より確実に検出できるようになる。
【0021】
(8)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記データフレームは複数のコードを含み、かつ、前記複数のコードの各々の前後には、所定ビット数の“0”または“1”が挿入されており、前記受電制御装置の前記周波数検出回路は、前記所定ビット数の“0”または“1”を検出することによって、前記複数のコードの各々の開始または終了を判定する。
【0022】
本態様では、受電側の正確なデータ検出のために万全を期すべく、データフレームを構成する複数のコードの各々の前後に、所定ビット数(例えば1ビット)の“0”または“1”を意図的に挿入し、受電側にて、各コードの開始と終了の判定の容易化を図るものである。
【0023】
(9)本発明の無接点電力伝送システムは、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の本負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムであって、前記送電装置は、前記送電装置を制御する送電側制御回路と、発振回路と、を有し、前記発振回路から出力される送信側クロックを周波数変調し、周波数変調された前記送信側クロックn個(nは2以上の自然数)によって1ビットのデータを送信すると共に、前記送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、かつ、前記第1の周波数および第2の周波数は共に、前記1次コイルを構成要素として含む共振回路の共振周波数よりも低い周波数側、あるいは高い周波数側のいずれかにおいて設定され、前記第1の周波数と前記第2の周波数との周波数差の、前記第1の周波数に対する割合1)が、30%以内に設定され、前記受電装置は、前記2次コイルの誘起電圧から生成される送電側クロックの周波数を検出する周波数検出回路を含み、前記周波数検出回路は、前記送電側クロックよりも周波数が高い受電側クロックによって動作するカウンタを有し、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出する。
【0024】
本発明の無線伝送システムでは、送電装置は、周波数変調によって“1”および“0”を送信し、周波数変調された送信側クロックn個によって1ビット(“1”または“0”)を送信する。また、“1”および“0”に対応した周波数(例えば、“f1”および“f2”とする)は共に、共振回路の共振周波数を基準とした場合の高周波数域あるいは低周波数域のいずれかに設定され、かつ、f1とf2の周波数差(f1−f2)のf1(あるいはf2)に対する割合が30%以下(すなわち、((f1−f2)/f1)≦30%)に設定される。一方、受電側では、送電側クロックよりも周波数が高い受電側クロックによって動作するカウンタによって、送電側クロックの所定クロック数分の時間を計測し、計測された前記受電側クロック数に基づいて送電側クロックの周波数を、直接的に検出する。これによって、本負荷への給電に悪影響を与えることなく、必要な情報を送電側から受電側に送信することが可能となり、かつ、受電側にて、送られてきた情報を高精度に検出することが可能となる。
【0025】
(10)また、本発明の無接点電力伝送システムの一態様では、前記周波数回路は、前記周波数検出回路は、前記送電側クロックn個をm分割(2以上の自然数)し、前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、前記カウンタによって複数回連続して計測し、計測した第1の受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、直前に計測した第2の受電側クロック数に基づいて判定された周波数と一致しない場合には、前記第1の受電側クロック数に基づく周波数判定結果は無効とし、後続の、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測によって得られた受電側クロック数に基づく周波数判定結果が一致する場合に、送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定する。
【0026】
受電装置に含まれる周波数検出回路は、送電側クロック(n/m)個分の時間を受電側クロックを用いてm回計測し、周波数の変更が確認されたときには、初回の判定結果は破棄して、以降の判定結果をチェックし、連続するK回(2≦K≦m−1)の一致が認められることを条件として、送電側クロックの周波数を判定し、“1”および“0”を判定する。これによって、本負荷への給電に悪影響を与えずに、必要な情報を送電側から受電側に送信することが可能となり、かつ、受電側にて、送られてきた情報を、より高精度に検出することが可能となる。
【0027】
(11)本発明の受電装置は、本発明の受電制御装置と、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、受電部から得られる前記直流電圧の電圧レベルを調整して本負荷に供給する給電部と、を含む。
【0028】
これによって、本負荷への給電中に、送電側から送られてくる、周波数変調による情報を正確に検出可能な受電装置が得られる。また、使用される各周波数の差を縮小することによって、本負荷への給電中に情報送信が行われたときに、本負荷への給電レベルを大きく変動させることがなくなり、また、2次電池の充電時間を長くする等の悪影響を生じさせないようにすることができる。
【0029】
(12)本発明の電子機器は、本発明の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される本負荷と、を含む。
【0030】
これによって、例えば、受電装置を搭載する電子機器(例えば、携帯端末)は、送電装置を搭載する電子機器(例えば、充電用クレードル)から送られてくる周波数変調による情報を受信し、受信した情報に基づく種々の制御を行う機能をもつことになる。よって、無接点電力伝送に対応し、かつ高機能で信頼性や安全性の高い電子機器が実現される。
【0031】
このように、本発明によれば、1次コイルと2次コイルの位置ずれの影響を受けにくくして、周波数変調時における受電側のデータ検出精度のさらなる向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0033】
(第1の実施形態)
まず、本発明が適用される好適な電子機器の例、ならびに、無接点電力伝送技術の原理について説明する。
【0034】
(電子機器の例と無接点電力伝送の原理)
図1(A),(B)は無接点電力伝送技術について説明するための図であり、(A)は無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す図であり、(B)は誘導トランスを用いた無接点電力伝送の原理を説明するための図である。
【0035】
図1(A)に示されるように、電子機器の1つである充電器500(クレードル)は、送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は、受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
【0036】
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させたりすることができる。
【0037】
なお、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車などの種々の電子機器に適用できる。
【0038】
特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。
【0039】
特に、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)は、高負荷時の充電電流量が大きく、発熱の問題も顕在化しやすい。よって、本発明が有する低損失かつ低発熱という特性を十分に活かすことが可能な機器といえる。
【0040】
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
【0041】
(送電装置および受電装置の構成例)
図2は、送電装置、受電装置ならびに負荷からなる無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0042】
図示されるように、送電装置10には、送電制御装置20と、送電部12が設けられている。また、受電装置40には、受電部40と、負荷変調部46と、給電制御部48とが設けられている。また、負荷90は、充電制御装置92とバッテリ(2次電池)94が含まれる。以下具体的に説明する。
【0043】
図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2に示される送電装置10を含む。また、携帯電話機510などの受電側の電子機器は、少なくとも受電装置40と負荷90(本負荷)を含む。そして、図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の電圧出力ノードNB7から負荷90に対して電力(電圧VOUT)を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0044】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、電圧検出回路14、表示部16、送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部、電圧検出回路)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0045】
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。具体的には、図3(A)に示されるように、例えば、データ「1」を受電装置40に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。この送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(あるいはバッファ回路)であり、送電制御装置20のドライバ制御回路26により制御される。
【0046】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。
【0047】
一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0048】
電圧検出回路14は、1次コイルL1の誘起電圧を検出する回路であり、例えば、抵抗RA1、RA2や、RA1とRA2の接続ノードNA3とGND(広義には低電位側電源)との間に設けられるダイオードDA1を含む。具体的には、1次コイルの誘起電圧を抵抗RA1、RA2で分圧することによって得られた信号PHINが、送電制御装置20の波形検出回路28に入力される。
【0049】
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示装置)などにより実現される。
【0050】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、制御回路22(送電側)、発振回路24、ドライバ制御回路26、波形検出回路28を含むことができる。
【0051】
また、制御回路22(制御部)は、送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。具体的には、制御回路22は、電力伝送、負荷検出、周波数変調、異物検出、あるいは着脱検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0052】
発振回路24は、例えば、水晶発振回路により構成され、送電側のクロックを生成する。ドライバ制御回路26は、発振回路24で生成されたクロックや制御回路22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバ(不図示)に出力し、その送電ドライバの動作を制御する。
【0053】
波形検出回路28は、1次コイルL1の一端の誘起電圧に相当する信号PHINの波形をモニタし、負荷検出、異物検出等を行う。例えば、受電装置40の負荷変調部46が、送電装置10に対してデータを送信するための負荷変調を行うと、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形が、それに対応して変化する。
【0054】
具体的には、図3(B)に示すように、データ「0」を送信するために、受電装置40の負荷変調部46が負荷を低くすると、信号波形の振幅(ピーク電圧)が小さくなり、データ「1」を送信するために負荷を高くすると、信号波形の振幅が大きくなる。したがって、波形検出回路28は、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40からのデータが「0」なのか「1」なのかを判断できる。なお波形検出の手法は、上述の手法に限定されない。例えば、受電側の負荷が高くなったか低くなったかを、ピーク電圧以外の物理量を用いて判断してもよい。
【0055】
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0056】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4を含む。ダイオードDB1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と直流電圧VDCの生成ノードNB3との間に設けられ、DB2は、ノードNB3と2次コイルL2の他端のノードNB2との間に設けられ、DB3は、ノードNB2とVSSのノードNB4との間に設けられ、DB4は、ノードNB4とNB1との間に設けられる。
【0057】
受電部42の抵抗RB1、RB2はノードNB1とNB4との間に設けられる。そしてノードNB1、NB4間の電圧を抵抗RB1、RB2により分圧することで得られた信号CCMPIが、受電制御装置50の周波数検出回路60に入力される。
【0058】
受電部42のコンデンサCB1及び抵抗RB4、RB5は、直流電圧VDCのノードNB3とVSSのノードNB4との間に設けられる。そしてノードNB3、NB4間の電圧を抵抗RB4、RB5により分圧して得られる分圧電圧VD4は、信号線LP2を経由して、受電側制御回路52および位置検出回路56に入力される。位置検出回路56に関しては、その分圧電圧VD4が、位置検出のための信号入力(ADIN)となる。
【0059】
負荷変調部46は、負荷変調処理を行う。具体的には、受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(受電側)での負荷を可変に変化させ、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。
【0060】
このトランジスタTB3は、受電制御装置50の受電側制御回路52から信号線LP3を経由して与えられる制御信号P3Qによりオン・オフ制御される。通常送電が開始される前の認証ステージにおいて、トランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行って送電装置に信号を送信する際には、給電制御部48のトランジスタTB1、TB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
【0061】
例えば、データ「0」を送信するために受電側を低負荷(インピーダンス大)にする場合には、信号P3QがLレベルになってトランジスタTB3がオフになる。これにより負荷変調部46の負荷はほぼ無限大(無負荷)になる。一方、データ「1」を送信するために受電側を高負荷(インピーダンス小)にする場合には、信号P3QがHレベルになってトランジスタTB3がオンになる。これにより負荷変調部46の負荷は、抵抗RB3(高負荷)になる。
【0062】
給電制御部48は、負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ(LDO)49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0063】
また、トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ)は、電源電圧VD5の生成ノードNB5(レギュレター49の出力ノード)とトランジスタTB1(ノードNB6)との間に設けられ、受電制御装置50の制御回路52からの信号P1Qにより制御される。具体的には、トランジスタTB2は、ID認証が完了(確立)して通常の電力伝送(すなわち、通常送電)を行う場合にはオン状態となる。
【0064】
なお、電源電圧生成ノードNB5とトランジスタTB2のゲートのノードNB8との間にはプルアップ抵抗RU2が設けられる。
【0065】
トランジスタTB1(P型のCMOSトランジスタ)は、トランジスタTB2(ノードNB6)とVOUTの電圧出力ノードNB7との間に設けられ、出力保証回路54からの信号P4Qにより制御される。具体的には、ID認証が完了して通常の電力伝送を行う場合にはオンになる。一方、ACアダプタの接続が検出され、あるいは、電源電圧VD5が受電制御装置50(制御回路52)の動作下限電圧よりも小さいといった場合には、オフになる。なお、電圧出力ノードNB7とトランジスタTB1のゲートのノードNB9との間にはプルアップ抵抗RU1が設けられる。
【0066】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧VD5により動作することができる。また、受電制御装置50は、制御回路52(受電側)、出力保証回路54、位置検出回路56、発振回路58、周波数検出回路60、満充電検出回路62を含むことができる。
【0067】
受電側制御回路52は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。この受電側制御回路52は、シリーズレギュレータ(LDO)49の出力端の定電圧(VD5)を電源として動作する。
【0068】
この受電側制御回路52は、具体的には、ID認証、位置検出、周波数検出、満充電検出、認証用の通信のための負荷変調、異物挿入検出を可能とするための通信のための負荷変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0069】
出力保証回路54は、低電圧時(0V時)の受電装置40の出力を保証する回路である。すなわち、トランジスタTB1を制御し、ACアダプタの接続が検出され、あるいは、電源電圧VD5が動作下限電圧よりも小さい場合に、トランジスタTB1をオフにする設定を行い、電圧出力ノードNB7から受電装置40側への電流の逆流を防止する。
【0070】
位置検出回路56は、2次コイルL2の誘起電圧の波形に相当する信号ADINの波形を監視して、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。具体的には、信号ADINをコンパレータで2値に変換して、位置関係が適正であるか否かを判断する。
【0071】
発振回路58は、例えばCR発振回路により構成され、受電側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出して、送電装置10からの送信データが「1」なのか「0」なのかを判断する。
【0072】
満充電検出回路62(充電検出回路)は、負荷90のバッテリ94が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する回路である。具体的には満充電検出回路62は、例えば、充電状態の表示に使用されるLEDRのオン・オフを検出することによって、満充電状態を検出する。すなわち、所定時間(例えば5秒)連続でLEDRが消灯した場合に、バッテリ94が満充電状態(充電完了)であると判断する。また、負荷90内の充電制御装置92も、LEDRの点灯状態に基づいて満充電状態を検出することができる。
【0073】
また、負荷90は、バッテリ94の充電制御等を行う充電制御装置92を含む。充電制御装置92は、発光装置(LEDR)の点灯状態に基づいて満充電状態を検出することができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリのように、バッテリ94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。なお、負荷90は、2次電池に限定されるものではない。
【0074】
(送電側から受電側への通信に用いられる周波数)
上述のとおり、送電側から受電側への通信は、発振回路24の発振クロックを周波数変調することにより行われる。図4は、送電側から受電側への通信に用いられる周波数を説明するための図である。図4は、1次コイルを構成要素とする共振回路の共振特性と、周波数変調に用いられる周波数の各々とを示す図である。
【0075】
図中、f0は共振回路の負荷有りのときの共振周波数であり、f1は“1”を送信するための周波数であり、“f2”は“0”を送信するための周波数である。また、f3は、パワーセーブモード時の送電周波数である。
【0076】
パワーセーブモードとは、本負荷90の2次電池94が満充電となった後、送電側からの送電を止めるのではなく、弱い連続送電を継続し、充電制御装置92を動作状態に保つモードである。時間経過と共に2次電池94が放電して2次電池94が消耗すると、充電制御装置92がそのことを検出し、自動的に再充電が開始される。よって、2次電池94は常に、満充電に近い状態に保たれることになる。
【0077】
f1,f2,f3の各々の周波数は、例えば、100kHz台の周波数とすることができ、各々の周波数間の周波数差は、例えば、20khz程度の範囲内に設定することができる。
【0078】
図4から明らかなように、実際に使用される周波数(f1,f2,f3)はすべて、共振カーブの右側(高周波数域)においてのみ設けられており、左右(低周波数域と高周波数域)に分かれていない。これは、左右に分かれていると、周波数の切換えの際に、かならず共振回路の共振周波数f0を通過する(またぐ)ことになり、回路動作が不安定化する。そこで、図4では、実際に使用される周波数(f1,f2,f3)はすべて、共振カーブの右側(高周波数域)においてのみ設けられている(もちろん、共振カーブの左側(低周波数域)においてのみ設けることも可能である)。
【0079】
また、上述のとおり、“1”と“0”を通信するための周波数f1とf2の周波数差は、わずかに8kHzである。また、f2とf3(パワーセーブモードの周波数)の周波数差も8kHzである。このように、実際に使用する周波数(f1〜f3)の周波数差を、小さく抑えているのは、本負荷90への給電への悪影響を防止するためである。
【0080】
送電側から受電側への通信(ならびにパワーセーブ送電)に使用する周波数の差が大きい場合、周波数の切換え毎に、2次コイル(L2)から得られる誘電電圧のレベルが大きく変動し、本負荷90に供給する電力がばらつくことがあり、この場合、回路動作の不安定化や、2次電池94の充電時間の増大等の悪影響が生じることがないとは言えない。そこで、実際に使用する周波数の周波数差を、あまり拡大しないようにすることが望ましい。
【0081】
この観点から、“1”と“0”の通信に用いられる周波数「f1」と「f2」の周波数差を、(|f1−f2|/f1)≦30%(より好ましくは20%)の条件を満たすように制限し、周波数差が無制限に大きくならないようにするのが望ましい。
【0082】
ただし、周波数差が小さくなればなるほど、受電側における周波数検出が困難になる。したがって、受電側において、送電側クロックの周波数を高精度に区別して検出できる程度の、最小限の周波数差は確保しておく必要がある。また、受電側における周波数検出の精度を高める必要があり、このためには、複数回連続一致方式を採用するのが望ましい(この点は、後述の実施形態にて具体的に説明する)。
【0083】
(受電側における周波数検出方式)
従来のように、2次コイル(L2)の誘起電圧レベルによって“1”と“0”を判定する方式では、その検出精度が、1次コイル(L1)と2次コイル(L2)との位置ずれに影響される。そこで、本発明では、送電側クロックの周波数を直接的に検出する方式を採用する。
【0084】
送電側では、nクロック(以下、n=128クロックとして説明する)によって、1ビット(“1”または“0”を送信する。すなわち、“1”を送信するときは、送信側クロック128個分の時間において周波数“f1”が継続し、例えば、次に“0”を送信するときは、同じく、送信側クロック128個分の時間において周波数“f2”が継続する(図3(A)参照)。
【0085】
送信側クロック128個分の時間は、低周波数のf1のときは長くなり、高周波数数のf2のときは短くなる。
【0086】
この点に着目し、受電側では、送電側クロック(例えば、2次コイルの一端の電圧を抵抗分圧し、その分圧電圧をコンパレータで波形整形して抽出されるクロック)128個分の時間を、発振回路58の発振クロック(CLK)を受電側クロックとして用いて計測し、その計測値に基づいて周波数を判定し、“1”,“0”を判定する。
【0087】
図5(A),(B)は、送電側クロックn個分の時間に相当する受電側クロック数を計測し、その受電側クロック数によって周波数(受信ビット)を判定する原理を説明するための図である。
【0088】
図4にて説明したように、“1”を送信するための周波数f1は、“0”を送信するための周波数よりも低い周波数である。上述のように、n=128とした場合、1ビット(“1”または“0”)を送信する場合には、f1またはf2が、送信側クロック128個分の期間継続する。
【0089】
“1”が送信される場合(f1が選択される場合)は、図5(A)に示すように、送電側クロック(CCMPI)の周波数が低いため、128クロック分の時間はT1となり、f2の場合の時間T2よりも長くなる。その時間T1に相当する、受電側クロック(CLK)の数はP個である。
【0090】
一方、“0”が送信される場合(f2が選択される場合)は、図5(B)に示すように、送電側クロック(CCMPI)の周波数が高いため、128クロック分の時間はT2となり、f1の場合の時間T1よりも短くなる。その時間T2に相当する、受電側クロック(CLK)の数はQ個(Q<P)となる。
【0091】
したがって、送電側クロック128個分の時間に相当する受電側クロック(CLK)の数を計測することによって、周波数の判定(すなわち、“1”と“0”の判定)を行うことができる。
【0092】
実際には、受電側クロック(CLK)で動作するカウンタの計測値に基づいて、送電側クロック(CCMPI)の周波数を判定することになる。そして、その判定のためには、使用される周波数(f1,f2)毎に、周波数判定基準となる基準計測値(基準時間情報:上述のP,Qに相当する)を予め受電側のメモリに記憶しておき、実測された計測値を各基準計測値(基準時間情報:P,Q)と比較し、一致判定を行う必要がある。但し、カウンタの計測値は、例えば、受電側クロック(CLK)の周波数の精度に影響されて変動するため、どの機器にも適用可能な、標準的な基準計測値というものは存在しない。
【0093】
そこで、受電側は、送電側からの電力供給を受けて起動された初期の状態において、周波数が既知の、所定数(例えば128個)の送電側クロック(CCMPI)の時間をカウンタによって実際に計測し、その計測値を、基準時間情報としてメモリに記憶する。
【0094】
例えば、送電側クロックの周波数が“f1”のときに、初期状態において、128クロック分の送電側クロック(CCMPI)に相当する時間をカウンタにより実測し、その計測値が、図5(A)に示すように“P”であったとすると、その“P”を基準時間情報としてメモリに記憶する。送電側クロックの周波数がf2のときは、“Q”(図5(B)参照)をメモリに記憶する。
【0095】
その後、データ通信時において、周波数変調されたクロックが受信されたときには、同様に、所定数の送電側クロックの時間(例えば128クロック分の時間)をカウンタで計測する。その計測値が“X”であれば、次に、メモリに記憶されている基準時間情報“P”ならびに“Q”と比較する。
【0096】
その結果、例えば“X”と“P”との差が許容範囲ΔP(ΔPは、例えば±8)以内ならば、実測された計測値“X”は“M”に一致したと判定し、送電側クロックの周波数は“f1”と判定する。
【0097】
送電側クロックの周波数が“f2”のときも同様の方法で検出可能である。つまり、周波数変調時における実測された計測値を基準時間情報(“Q”)と比較し、許容範囲ΔQ(ΔQは例えば±8)以内であるか否かによって一致判定を行い、これによって、周波数“f2”を判定することができる。
【0098】
以上の説明では、基準時間情報である“P”や“Q”は、受電側の初期状態において実測してメモリに記憶するとしたが、実測値に基づいて算出することも可能である。例えば、送電側から受電側への通信に使用する周波数が“f1”と“f2”であった場合、f1に対応する基準時間情報(カウンタの計測値P)が実測により取得されれば、f1とf2の周波数の関係に着目して、そのf1についての実測値(P)を利用して、計算によって、f2に対応した基準時間情報(カウンタの計測値Q)を算出することも可能である。
【0099】
したがって、受電側のメモリに、各周波数に対応した基準時間情報として記憶されるのは、「計測された受電側クロック数」あるいは「その受電側クロック数に基づいて算出される受電側クロック数」のいずれかということになる。
【0100】
(周波数検出回路の具体的な回路構成例)
図6は、本発明の受電装置に設けられる周波数検出回路の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図6では、前掲の図面と共通する部分には共通の参照符号を付してある。また、以下の説明では、f1とf2の判定(“1”と“0”の判定)について説明する。
【0101】
図示されるように、2次コイル(L2)の一端の誘起電圧は、抵抗RB1とRB2により分圧され、その分圧された電圧がコンパレータ71の非反転端子に入力される。このコンパレータ71は波形整形回路として機能し、このコンパレータ71から送電側クロック(CCMPI)が出力される。送電側クロック(CCMPI)は、周波数検出回路60に入力される。
【0102】
周波数検出回路60は、第1のカウンタ73と、第2のカウンタ77と、メモリ79と、f1/f2判定回路81と、を有する。
【0103】
周波数検出回路60は、n個(ここでは、n=128とする)の送電側クロック(CCMCPI)分の時間を、発振回路58の発振クロック(これが受電側クロックとなる)CLKを用いて計測し、送電側クロック(CCMPI)の周波数を直接的に検出する。
【0104】
発振回路58としては、種々の発振回路(水晶発振回路、CR発振回路、LC発振回路等)を用いることができるが、本実施形態では、高精度の検出のために、例えば水晶発振回路などの高精度の発振回路を用いるのが望ましい。
【0105】
周波数検出回路60は、以下のように動作する。すなわち、最初の送電側クロック(CCMPI)によって、カウンタ(77)がスタートし、受電側クロックCLKによるカウントを開始する。一方、第1のカウンタ73は、送電側クロック(CCMPI)の個数をカウントし、128個の送電側クロック(CCMPI)を検出すると、検出信号CTを出力する。この検出信号CTは、第2のカウンタ77のリセット端子に入力され、また、メモリ79に、ラッチクロックとして供給される。
【0106】
すなわち、第2のカウンタ77は、検出信号CTによってリセットされる。リセット時のカウント値(カウント出力)は、メモリ79にラッチされる。このようにして、送電側クロック(CCMPI)の128個分に相当する、受電側クロックCLKの個数が計測され、その計測値がメモリ79にラッチされる。
【0107】
f1/f2判定回路(81)は、予め取得されている基準時間情報との比較によって、送電側クロックの周波数がf1であるか、f2であるかを判定する。図5を用いて説明したように、受電装置40が起動された直後の初期状態において、各周波数毎の計数値が決定されてメモリ79に記憶されており、その記憶された計数値が基準時間情報である。また、周波数の判定は、上述のとおり、周波数変調時における実測された計測値を基準時間情報と比較し、実測値が許容範囲以内であるか否かによって一致を判定することによって行われる。
【0108】
周波数f1/f2が特定されれば、受信データが“1”であるか“0”であるかが特定される。f1/f2判定回路81は、特定された2値データを、受電側制御回路52に送る。受電側制御回路52は、送電側から送られてきたデータを解析し、例えば、受電側に応答を返信する等の所定の動作を実行する。上述のとおり、受電側から送電側への通信には、負荷変調方式が採用される。
【0109】
(第2の実施形態)
(連続一致判定方式の概要)
本実施形態では、複数回連続一致方式によって送電側クロックの周波数を判定する。上述のとおり、n個(例えば128個)の送電側クロックに相当する時間を受電側クロックで計測し、その計測値に基づく1回の周波数判定処理によって周波数を特定することは可能である。ただし、例えば、受電側クロックを発生する受電側の発振回路58として、コスト面を重視して水晶発振器の代わりにCR発振器を使用しているような場合には、発振精度のある程度のばらつきがあるのは仕方のないことである。
【0110】
さらに、上述のとおり、本負荷への給電への悪影響をなくすために、f1とf2の周波数差を極力、小さく設定している場合には、f1とf2を区別することがむずかしくなり、場合によっては誤検出の恐れもまったくないとはいえない。
【0111】
このような事情を考慮して、本実施形態では、より高精度な周波数検出(周波数判定)の手法を採用する。
【0112】
すなわち、n個(128個)をm(例えばm=4)等分し、送電側クロック(n/m)個分(=送電側クロック32個分)の受電側クロック数を、例えば連続して4回、計測する。そして、各計測毎に基準時間情報(初期状態で取得された、送電側クロック(n/m)個に相当する時間の受電側クロック数)と比較して一致判定を行って周波数を検出する。
【0113】
そして、所定回数(例えば、3回)連続して周波数が一致したときに、送電側クロックの周波数は、その一致した周波数であると判定して、“1”または“0”を特定するものである。複数回の判定結果の連続一致によって送電側クロックの周波数を特定するため、上述のような場合でも、信頼できる周波数検出(“1”および“0”の判定)が可能である。
【0114】
図7は、複数回連続一致方式を採用した周波数検出回路の構成を説明するためのブロック図である。図7において、前掲の図面と共通する部分には同じ参照符号を付してある。図7の周波数検出回路60の構成は、図6の周波数検出回路とほとんど同じであるが、図7の場合、連続一致判定回路83を有しており、この点で異なる。
【0115】
図8は、複数回連続一致方式を採用した周波数検出回路の、主要な動作手順を示す図である。図8のステップS1では、周波数f2の、n個(ここでは、n=128)の送電側クロック(CCMPI)が入力される。
【0116】
ステップS2では、周波数検出回路60は、n/m(ここではm=4,n/m=32)クロック毎に、合計で4回の時間計測(受電側クロック数の計測)を行う。
【0117】
図示されるように、送電側クロック(n/m)個分の時間はT1,T2、T3,T4である。現在の周波数はf2であるから、図5(B)に示すように、送電側クロックn個(128個)分の受電側クロック(CLK)の計測値(基準時間情報)はQ個である。
【0118】
したがって、(Q/m)が、時間T1〜T4の各々に対応した基準時間情報である。但し、ある程度の測定誤差が生じるから、これを考慮して、実測値が許容誤差ΔQの範囲内なら、一致していると判定する。ΔQは、例えば“±8”である。
【0119】
すなわち、ステップS3では、送電側クロック(n/m)個に相当する受電側クロック(CLK)の計測値が、(Q/m)±(ΔQ)であるとき、周波数はf2(=“0”)と判定する。
【0120】
ステップS4では、4回の測定によって、K回(例えばK=3)連続して周波数が一致するかを判定する。そして、ステップS5では、連続してK回の周波数の一致が検出されたときに、送電側クロックの周波数は、その一致した周波数(=f2)であると判定する。
例えば、f1が3回連続して検出されたときに、送電側クロック(CCMPI)の周波数はf1であると判定され、これによって、受信したデータは“0”であると判定される。なお、ステップS4およびステップS5は、図7の連続一致判定回路83が実行する。
【0121】
(初回の測定結果を無効とする連続一致判定方式)
以下、複数回連続一致判定において、所定の条件を付加して、判定精度の低下を防止する、改良された実施例について説明する。図9は、所定条件を付加した、改良された複数回連続一致判定方式の原理を説明するための図である。
【0122】
図9でも、複数回に分けて受電側クロック(CLK)数を測定する。ただし、図9の場合は、最初の計測によって、直前の周波数とは異なる周波数が検出された場合(例えば、直前まではf1だったが、今回からf2になったと検出された場合、あるいは、直前まではf1だったが、今回からf1以外の周波数になったと検出された場合)には、最初の1回の検出結果は誤差が大きい場合があるため無効とし、それ以降の測定結果を用いて、少なくとも連続して2回の一致が観測されたことを条件として周波数を特定し、“1”または“0”を特定する。
【0123】
最初の1回の判定結果を無効とするのは、受電側では、送電側におけるデータの送信タイミングとの同期を正確にとることはできないため、送電側で送信データを“1”から“0”に変化したとき、受電側で、その変化に正確に追従して“0”の判定のためのm回の周波数判定を開始することはできないからである。
【0124】
つまり、図9において、送電側の送信データは、時刻t21において、f1からf2に変化し、時刻t26においてf2からf1に変化する。しかし、受電側では、その変化のタイミングを正確には把握することができない。
【0125】
この結果、受電側では、時刻t20から1回目の計測を開始する。つまり、送電側の送信データの変化タイミング時刻t21よりも、早いタイミングで1回目の計測が開始されることになる。以降、時刻t22から2回目の計測を開始し、時刻t23から3回目の計測を開始し、時刻t24から4回目の計測を開始し、時刻t25において4回目の計測が終了する。
【0126】
ここで、図9の時刻t20〜t22の期間(受電側の第1回目の計測期間)に着目すると、この期間では、周波数f1の送電側クロックと周波数f2の送電側クロックが混在しており、このような混在期間における計測値は、信頼性が低いと判断される。
【0127】
つまり、初回の周波数判定では、f1とf2が混在した期間において受電側クロック数をカウントしている場合がほとんどであるため、これによって計測された時間は正確さを欠く。そこで、初回の周波数判定結果(時刻t20〜t22の期間における周波数判定結果)は無効とする。
【0128】
そして、以降の期間(時刻t22〜t23,t23〜t24,t24〜t25の各期間)における測定結果を有効とする。これらの各期間では、図9から明らかなように、送電側から送られてくるのは周波数f2のクロックのみである。したがって、正確な周波数判定が可能である。
【0129】
ここで、連続一致判定の回数をK回としたとき、m回の測定のうち、初回は捨てるために、K≦m−1の関係が成立する。また、連続一致判定のためには最低限2回の測定を必要とするから、2≦Kの関係が成立する。よって、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測結果の一致をもって周波数を特定し、これによって“1”または“0”を判定することになる。
【0130】
例えば、送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、m回測定するものとし、n=128、m=4とし、また、その測定の直前における判定では“f1”と判定されていたとする。まず、1回目の測定では、“f2”と判定されたとし、2回目でも“f2”,3回目でも“f2”,4回目でも“f2”が判定されたとする。
【0131】
この場合、1回目の周波数判定結果(最初のf2判定)は、誤差が含まれる可能性があるため無効とし、2回目〜4回目の周波数判定結果を参照して、判定された周波数が少なくとも2回、連続して一致したことを条件として周波数を特定し、“1”または“0”を判定する。ただし、上記の例では、より精度の高い周波数判定を行うためには、連続した3回の一致判定を行うのが望ましい。
【0132】
(3連続一致判定方式)
図10は、3連続一致判定方式による周波数検出を説明するための図である。図10では、時刻t1〜t6の期間において、送電側から周波数“f2”の送電側クロック128個が送信され、受電側にて受信される。
【0133】
同様に、時刻t6〜t9の期間には、送電側から周波数“f1”の送電側クロック128個が送信され、受電側にて受信される。時刻t9〜t12の期間には、送電側から周波数“f1”の送電側クロック128個が送信され、受電側にて受信される。
【0134】
受電側では、時刻t2から、送電側クロック32個毎に受電側クロック(CLK)による時間計測を行い、送電側クロック(CCMPI)の周波数(f1/f2)を判定する。
【0135】
ここで、時刻t5〜t8の期間に着目する。初回の計測結果(時刻t5〜t7の計測結果)からは、直前の周波数f2以外の周波数に変化していることが検出される。ただし、この期間は、周波数f2およびf1の送電側クロックが混在しているため、その周波数判定結果は無効とし、それ以降の期間(時刻t7〜t8の期間)における周波数の3連続一致を判定する。すなわち、f1の3連続一致が検出されるため、送電側クロックの周波数は“f1”であると判定する。
【0136】
以後、同様の処理が実行される。つまり、時刻t8〜t10の判定結果を無効とし、t10〜t11からの期間において、周波数判定結果の3連続一致を検出し、これによって、送電側クロックの周波数は“f2”であると判定する。
【0137】
図11は、3連続一致判定処理における主要な処理タイミングを示す図である。図11において、時刻t30〜t31の期間、時刻t31〜t32の期間、時刻t32〜t33の期間の各々において、送電側クロック(CCMPI)の周波数判定が実施される。そして、時刻t31、時刻t32、時刻t33において、直前の周波数判定結果をメモリ79(図7参照)に記憶する。
【0138】
そして、3回の測定が終了したのちに、図7の連続一致判定回路83は、メモリ79に記憶されている周波数測定結果の一致/不一致を判定する。図11では、各判定結果はいずれも“f1”であるため、送電側クロックの周波数は“f1”であると判定し、受信したデータは“1”であると判定する。
【0139】
(第3の実施形態)
(送電側と受電側との間の通信処理の例)
図12は、送電側と受電側との間の通信処理の例を示すフロー図である。上述のとおり、送電側から受電側への通信には周波数変調方式が用いられ、受電側から送電側への通信には、負荷変調方式が用いられる。
【0140】
図12において、送電装置10の電源が投入されると(ステップS10)、送電装置10は、周波数f1による位置検出用電力伝送(間欠的な電力伝送)を開始する(ステップS11)。受電装置40は、送電側からの電力伝送を受けてパワーオン状態となり(ステップS12)、1次コイル(L1)と2次コイル(L2)の位置関係が適正であるか否かの判定(位置レベル判定)を行う(ステップS13)。
【0141】
続いて、前掲の実施形態で説明したように、例えば、周波数が既知の送信側クロックを受信して、3連一致判定方式によるデータ判定を行い、受信したデータを正確に判定できるか否かを確認する。ステップS13およびS14において、No(いいえ)の場合には、受電装置40をリセットし(ステップS15)、所定時間(例えば30msec)後に、再度、ステップS12を実行する。
【0142】
ステップS14において、データを正確に受信できたときは、受電装置40は、認証フレームを送電側に送信する(ステップS16)。
【0143】
送電装置10は、送られてきた認証フレームを検証する(ステップS17)。検証結果が否定的である場合には(ステップS18)、伝送を停止して(ステップS19)、ステップS11に戻る。認証結果が肯定的な場合には(ステップS18)、許諾フレームを受電装置40に対して送信する(ステップS20)。
【0144】
受電装置40は、送られてきた許諾フレームを検証した後(ステップS21)、スタートフレームを送電装置10に対して送信する(ステップS22)。
【0145】
送電装置10は、送られてきたスタートフレームを検証した後(ステップS23)、通常送電を開始する(ステップS24)。一方、受電装置40は、通常受電を開始する(ステップS25)。
【0146】
(送信フレームのデータ形式の例)
上述のとおり、受電側にて“1”または“0”を正確に判定できるように受電側の周波数検出方式に工夫が施されるが、さらに、送信フレームのデータ形式にも工夫を施して、受電側の正確なデータ検出のために、万全を期すのが望ましい。
【0147】
図13は、送電側から受電側に送信されるフレームの形式の一例を示す図である。
【0148】
図示されるように、送信フレームには、スタートコード(c)、コマンドコード(e)、エラーコード(g)からなるデータフレーム(所定規則にしたがった一群のデータの配列)が含まれる。なお、終了コードは付属的なものであり、無くても特に問題はなく、この終了コードは、本明細書では、データコードには含まれないものとする。
【0149】
図13において注目すべき第1の点は、データフレーム(スタートコード(c)、コマンドコード(e)、エラーコード(g))の直前には、24ビットの“0”の領域(領域a)が設けられ、また、送信コードの直後には、16ビットの“0”の領域(領域i)が設けられている点である。
【0150】
受電制御装置60に設けられる受電側制御回路52は、データフレームの前後(の少なくとも一つ)に挿入された複数ビットの“0”を検出することによって、送信フレームの開始または終了を容易に判定することができる。
【0151】
すなわち、送信フレームの前に、“0”が連続する領域を設けることによって、受電側では、送信フレームの開始判定および終了判定が容易化され、送信フレームを、より確実に検出できるようになる。なお、送信フレームの前後に、“1”が連続するデータ領域を設けてもよい。
【0152】
また、図13において注目すべき第2の点は、スタートコード(c)、コマンドコード(e)、エラーコード(g)の各々の前後には、1ビットの“1”が挿入されていることである。
【0153】
すなわち、受電側の正確なデータ検出のために万全を期すべく、送信フレームを構成する複数のコード(c,e,g)の前後に、所定ビット数(例えば1ビット)の“1”を意図的に挿入し、受電側にて、各コードの開始と終了の判定の容易化を図っている。コード間に“1”が挿入されていれば、例えば、各コードが連続した“0”で構成されている場合でも、コード間の区切りを正確に検出することができる。なお、コードの前後に“0”を挿入するようにしてもよい。
【0154】
このように、送信フレームのデータ形式を工夫することによって、受電側におけるデータの受信精度を、さらに高めることができる。
【0155】
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、以下の効果が得られる。ただし、以下の効果が同時に得られるとは限らず、以下に列挙する効果が本発明を不当に限定する根拠として用いられてはならない。
(1)送電側クロックの周波数を直接的に検出する方式を採用することによって、1次コイルと2次コイルの位置関係に応じて電圧レベルが若干変動したとしても、クロックの周波数検出に大きな影響がでることがなくなり、したがって、受電側において、より高精度の周波数検出が可能となる。
(2)基準時間計測時(例えば、起動直後の初期状態)において、所定数の送電側クロックに相当する受電側クロック数を測定し、その実測値、あるいはその実測値に基づいて算出された算出値を、基準時間情報としてメモリに記憶しておくことによって、その基準時間情報との比較による周波数判定が可能となる。
(3)周波数変調に用いる複数の周波数を、共振カーブをまたがないように設定することによって、周波数の切換えに際して、回路の不安定化を招く心配がなくなる。また、周波数を縮小することによって、伝送電力の変動を最小化でき、本負荷への給電を安定化させることができる。
(4)複数回の判定結果の連続一致によって送電側クロックの周波数を特定する方式を採用することによって、例えば、受電側の発振回路のばらつきを無視できない場合や、使用される周波数が接近している場合においても、高精度な周波数検出(“1”および“0”の判定)が可能となる。
(5)周波数の変化が検出された場合、初回の判定結果は無効とし、それ以降の測定結果を用いて、少なくとも連続して2回の一致が観測されたことを条件として周波数を特定し、“1”または“0”を特定することによって、周波数検出精度の低下を防止することができる。
(6)送信フレームの前に、“1”または“0”が連続する領域を設けることによって、受電側では、送信フレームの開始判定および終了判定が容易化され、送信フレームを、より確実に検出できるようになる。
(7)送信フレームを構成する複数のコード間に、所定ビット数(例えば1ビット)の“0”または“1”を意図的に挿入することによって、受電側にて、各コードの開始と終了の判定の容易となり、送信フレームに含まれる各コードを、より確実に検出できるようになる。
(8)無接点電力伝送システムによって、本負荷への給電に悪影響を与えずに、必要な情報を送電側から受電側に送信することが可能となり、かつ、受電側にて、送られてきた情報を高精度に検出することが可能となる。
(9)受電装置を搭載する電子機器(例えば、携帯端末)は、送電装置を搭載する電子機器(例えば、充電用クレードル)から送られてくる周波数変調による情報を受信し、受信した情報に基づく種々の制御を行う機能をもつことになる。よって、無接点電力伝送に対応し、かつ高機能で信頼性や安全性の高い電子機器が実現される。
(10)送電装置を搭載する電子機器(例えば、携帯端末の2次電池充電用クレードル)は、本負荷への給電に悪影響を与えずに、必要な情報を受電側に送信することが可能である。したがって、無接点電力伝送に対応した、高機能な電子機器が実現される。
(11)本発明によれば、1次コイルと2次コイルの位置ずれの影響を受けにくくして、周波数変調時における受電側のデータ検出精度のさらなる向上を実現することができる。
(12)本発明によって、無接点電力伝送システムの利便性が格段に向上する。したがって、無接点電力伝送システムの利用促進を図ることができる。
(13)本発明によって、無接点電力伝送システムを、社会基盤として広く普及させることができる。
【0156】
以上、本発明を、実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々、変形、応用が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲において多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。
【0157】
従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(低電位側電源、電子機器等)と共に記載された用語(GND、携帯電話機・充電器等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態および変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
【0158】
また、送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成・動作や、送電側における受電側の負荷検出の手法も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0159】
本発明は、1次コイルと2次コイルの位置ずれの影響を受けにくくして、周波数変調時における受電側のデータ検出精度のさらなる向上を実現することができるという効果を奏し、したがって、受電制御装置(受電制御IC)、送電制御装置(送電制御IC)、無接点電力伝送システム、受電装置(ICモジュール等)、送電装置(ICモジュール等)、および電子機器(携帯端末および充電器等)として利用可能である。なお、「携帯端末」には、携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なコンピュータ端末が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1(A),図1(B)は各々、無接点電力伝送を利用した電子機器の例を説明するための図
【図2】本発明の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の具体的な構成の一例を示す図
【図3】図3(A),図3(B)は、送電側機器と受電側機器との間の情報伝送の原理を説明するための図
【図4】送電側から受電側への通信に用いられる周波数を説明するための図
【図5】図5(A),図5(B)は、受電側クロック数によって周波数(受信ビット)を判定する原理を説明するための図
【図6】本発明の受電装置に設けられる周波数検出回路の具体的な構成の一例を示すブロック図
【図7】複数回連続一致方式を採用した周波数検出回路の構成を説明するためのブロック図
【図8】複数回連続一致方式を採用した周波数検出回路の主要な動作手順を示す図
【図9】所定条件を付加した、改良された複数回連続一致判定方式の原理を説明するための図
【図10】3連続一致判定方式による周波数検出を説明するための図
【図11】3連続一致判定処理における主要な処理タイミングを示す図
【図12】送電側と受電側との間の通信処理の例を示すフロー図
【図13】送電側から受電側に送信されるフレームの形式の一例を示す図
【符号の説明】
【0161】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、10 送電装置、12 送電部、
14 電圧検出回路、16 表示部、20 送電制御装置、22 送電側制御回路、
24 送電側発振回路、26 ドライバ制御回路、28 波形検出回路、
40 受電装置、42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、
48 給電制御部、50 受電制御装置、52 受電側制御回路、54 出力保証回路、
56 位置検出回路、58 受電側発振回路、60 周波数検出回路、
62 満充電検出回路、71 波形整形器としてのコンパレータ、
73 送電側クロックの数を計測する第1のカウンタ、
77 所定数の送電側クロックに相当する時間を計測するための第2のカウンタ、
79 メモリ、81 f1/f2判定回路 83 連続一致判定回路、
90 受電側機器の本負荷、92 充電制御装置(充電制御IC)、
94 負荷としてのバッテリ(2次電池)、
LEDR 電池残量や電池の状態のインジケータとしての発光装置、
CCMPI 2次コイルの誘起電圧に基づいて生成(抽出)される送電側クロック、
CLK 受電側クロック(例えば、受電装置に内蔵される発振器の発振クロック)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の本負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、
前記2次コイルの誘起電圧から生成される送電側クロックの周波数を検出する周波数検出回路を含み、
前記周波数検出回路は、前記送電側クロックよりも周波数が高い受電側クロックによって動作するカウンタを有し、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出することを特徴とする受電制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の受電制御装置であって、
前記周波数検出回路は、計測された前記受電側クロック数を記憶するメモリを有すると共に、
基準時間計測時において、前記送電側クロック複数個分に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数およびその計測された受電側クロック数に基づいて算出される受電側クロック数の少なくとも1つを、周波数毎の基準時間情報として前記メモリに記憶しておき、
前記送電装置からのデータ検出時において、実測された受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を判定する場合に、前記メモリに記憶されている前記周波数毎の基準時間情報を参照し、前記実測された受電側クロック数と、前記各基準時間情報としての受電側クロック数との一致を判定し、両者の誤差が許容誤差範囲内である場合には一致していると判定し、これによって、前記送電側クロックの周波数を検出することを特徴とする受電制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の受電制御装置であって、
前記送電装置は、前記受電装置へのデータ送信中に、周波数変調された送信側クロックn個(nは2以上の自然数)によって1ビットのデータを送信すると共に、前記送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、
前記第1の周波数および第2の周波数は共に、前記1次コイルを構成要素として含む共振回路の共振周波数よりも低い周波数側、あるいは高い周波数側のいずれかにおいて設定され、
前記第1の周波数と前記第2の周波数との周波数差の、前記第1の周波数に対する割合が、30%以内に設定されることを特徴とする受電制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか記載の受電制御装置であって、
前記受電側クロックを出力する、発振回路をさらに有し、
前記周波数検出回路は、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記発振回路から出力される前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出することを特徴とする受電制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか記載の受電制御装置であって、
前記周波数検出回路は、前記送電側クロックn個をm分割(2以上の自然数)し、前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、複数回連続して計測し、計測した受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、所定回数、連続して一致した場合に、前記送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定する受電制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の受電制御装置であって、
前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を複数回連続して計測し、
計測した第1の受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、直前に計測した第2の受電側クロック数に基づいて判定された周波数と一致しない場合には、前記第1の受電側クロック数に基づく周波数判定結果は無効とし、
後続の、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測によって得られた受電側クロック数に基づく周波数判定結果が一致する場合に、前記送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか記載の受電制御装置であって、
前記送電装置は、前記受電装置へのデータ送信中に、周波数変調された送信側クロックn個によって1ビットのデータを送信すると共に、送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、
前記送電装置から前記受電装置に送信されるデータフレームの前または後の少なくとも一方には、複数ビットの“0”または“1”が挿入されており、
前記受電制御装置の前記周波数検出回路は、前記複数ビットの“0”または“1”を検出することによって、前記送信フレームの開始または終了を判定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の受電制御装置であって、
前記データフレームは複数のコードを含み、かつ、前記複数のコードの各々の前後には、所定ビット数の“0”または“1”が挿入されており、
前記受電制御装置の前記周波数検出回路は、前記所定ビット数の“0”または“1”を検出することによって、前記複数のコードの各々の開始または終了を判定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項9】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の本負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムであって、
前記送電装置は、
前記送電装置を制御する送電側制御回路と、
発振回路と、を有し、
前記発振回路から出力される送信側クロックを周波数変調し、周波数変調された前記送信側クロックn個(nは2以上の自然数)によって1ビットのデータを送信すると共に、前記送信側クロックの周波数を第1の周波数とすることによって“1”を送信し、第2の周波数とすることによって“0”を送信し、
かつ、前記第1の周波数および第2の周波数は共に、前記1次コイルを構成要素として含む共振回路の共振周波数よりも低い周波数側、あるいは高い周波数側のいずれかにおいて設定され、
前記第1の周波数と前記第2の周波数との周波数差の、前記第1の周波数に対する割合が、30%以内に設定され、
前記受電装置は、
前記2次コイルの誘起電圧から生成される送電側クロックの周波数を検出する周波数検出回路を含み、
前記周波数検出回路は、前記送電側クロックよりも周波数が高い受電側クロックによって動作するカウンタを有し、前記送電側クロックの所定クロック数に相当する時間を、前記カウンタによって前記受電側クロックの数を計測することによって測定し、計測された前記受電側クロック数に基づいて前記送電側クロックの周波数を検出する、
ことを特徴とする無接点電力伝送システム。
【請求項10】
請求項11記載の無接点電力伝送システムであって、
前記周波数検出回路は、
前記送電側クロックn個をm分割(2以上の自然数)し、前記送電側クロック(n/m)個分の時間に相当する受電側クロック数を、前記カウンタによって複数回連続して計測し、
計測した第1の受電側クロック数に基づいて判定される周波数が、直前に計測した第2の受電側クロック数に基づいて判定された周波数と一致しない場合には、前記第1の受電側クロック数に基づく周波数判定結果は無効とし、
後続の、連続するK回(2≦K≦m−1)の計測によって得られた受電側クロック数に基づく周波数判定結果が一致する場合に、送電側クロックの周波数は前記一致した周波数であると判定する、
ことを特徴とする無接点電力伝送システム。
【請求項11】
請求項1〜請求項8のいずれか記載の受電制御装置と、
前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、
受電部から得られる前記直流電圧の電圧レベルを調整して本負荷に供給する給電部と、
を含むことを特徴とする受電装置。
【請求項12】
請求項9記載の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される本負荷と、を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−206325(P2008−206325A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40359(P2007−40359)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】