説明

口腔内挿入装置

【課題】本発明は、口腔内挿入装置に関するもので、口腔内挿入時に前記口腔内挿入部に装着する透明のカバーの装着が困難なこと。
すなわち、衛生面の向上のために、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーは、比較的密着性の高いものとなっていたが、この透明カバーを口腔内挿入部の前方より装着する際には、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近に空気が溜まり、最終的に口腔内挿入部の先端部分を装着する際には、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近の空気が圧縮されるために、空気圧が上がり、この空気圧が妨げとなって、透明カバーの装着が困難になってしまう。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、本体ケース1と、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部3と、を備え、
口腔内挿入部3の表面には、この前方から後方に向かって溝12を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口腔内カメラなどの口腔内に挿入する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の口腔内挿入装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、を備え、
衛生面を向上するために、口腔内挿入時には、前記口腔内挿入部を密着性の高い透明のカバーで覆った構成となっていた。関連した先行特許例としては、例えば内視鏡に衛生面向上のためにゴムカバーを用いたものもあった(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−29702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、口腔内挿入時に前記口腔内挿入部に装着する透明のカバーの装着が困難なことであった。
【0006】
すなわち、衛生面の向上のために、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーは、比較的密着性の高いものとなっていたが、この透明カバーを口腔内挿入部の前方より装着する際には、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近に空気が溜まり、最終的に口腔内挿入部の先端部分を装着する際には、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近の空気が圧縮されるために、空気圧が上がり、この空気圧が妨げとなって、透明カバーの装着が困難になってしまうのであった。
【0007】
そこで本発明は、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーを容易に装着できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、を備え、前記口腔内挿入部の表面には、この前方から後方に向かって溝を設けた構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、を備え、前記口腔内挿入部の表面には、この前方から後方に向かって溝を設けて構成したものであるので、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーを容易に装着することができる。
【0010】
すなわち、本発明においては、口腔内挿入部の表面の前方から後方に向かって溝を設けたので、口腔内挿入部の前方より透明カバーを装着した際に、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近に溜まった空気が、口腔内挿入部の表面に設けた溝を、前方から後方に抜けていくので、装着時の空気圧が緩和され、この結果として、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーを容易に装着することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図
【図2】その透明カバーを被せた斜視図
【図3】その透明カバーを被せた斜視図
【図4】その主要部の拡大斜視図
【図5】そのA−A’断面図
【図6】そのB−B’断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、この口腔内挿入装置の一例として、口腔内カメラに適用したものを、添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1において、1は、ほぼ円筒状の本体ケースで、この本体ケース1の後端側には電源および信号入出用のコード2が接続されており、このコード2の他端は、図示していないが、表示装置を含む本体側と接続されている。
【0014】
また、この本体ケース1の前方側には、口腔内挿入部3が装着されており、本体1の右側面には、前記表示装置に対して、記録した映像信号の再生、停止、早送り、巻き戻しを操作するための操作パネル4が設けられ、さらに、本体1の上面には、映像信号の記録を行うための記録操作ボタン5が設けられている。
【0015】
上述した口腔内挿入部3では、この先端下方側には、被写体となる口腔内部を撮像するための撮像窓6が設けられており、この撮像窓6より撮像された映像は、口腔内挿入部3内に配置されたレンズ群を経由して適切な映像光に変換され、この映像光は本体ケース1内に設けられた撮像部によって電気的な映像信号に変換され、コード2を通って本体側の表示装置に送られる。
【0016】
このように口腔内挿入部3では、先端下方に設けられた撮像窓6を、被写体となる口腔内の、例えば奥歯付近まで近づける必要があり、そのため、口腔内挿入部3自体を口腔内に挿入しなければならない。口腔内においては、唾液などによって口腔内挿入部3が汚れてしまうことが考えられるので、このような汚れから保護するための手段が必要になってくる。この手段としては、口腔内挿入部3を透明のカバーで覆うという手段が考えられる。
【0017】
図2に、口腔内挿入部3を透明のカバー7で覆った口腔内カメラの図を示す。
【0018】
図2に示すように、透明のカバー7は、口腔内カメラの口腔内挿入部3と、本体ケース1の前方部分を覆うような、後方が開口した筒形状になっており、柔軟で伸縮自在な部材で作られている。この透明カバー7には、図2に対して右側に開口部8を有しており、口腔内カメラにこの透明カバー7を被せる際には、まず、この開口部を口腔内挿入部3の先端部9に被せて、この開口部8を本体ケース1の後方に向けて引っ張って、最後は、図3のごとく、口腔内挿入部3の先端部9に、透明カバー7の先端部10が密着することで、透明カバー7の装着が完了する。
【0019】
再び図2に戻るが、この透明カバー7の装着時に課題となるのが、透明カバー7の装着の過程で、透明カバー7に覆われた口腔内挿入部3の先端部9付近の空洞部11に空気が溜まり、最終的に口腔内挿入部3の先端部分を装着する際には、溜まった空気の空気圧が上がり、この空気圧が妨げとなって、透明カバーの装着が困難になってしまうのであった。
【0020】
この課題を解決するために、口腔内挿入部3の表面、具体的には、この口腔内挿入部3の上表面には、この前方から後方に向かって溝を設けた構成とし、透明カバー7の装着時において、口腔内挿入部3の前方より透明カバー7を装着した際に、透明カバー7に覆われた口腔内挿入部3の空洞部11に溜まった空気が、口腔内挿入部3の表面に設けた溝12を、前方から後方に抜けていくので、装着時の空気圧が緩和され、この結果として、口腔内挿入時に口腔内挿入部3に装着する透明のカバー7を容易に装着することができるのである。
【0021】
より具体的には、図示していないが、透明カバー7の開口部8の下面には、口腔内挿入部3に装着する際に指でつまんで引っ張りやすいように、つまみ部分があり、この開口部8の下面のつまみ部分を引っ張って口腔内挿入部3に被せていくために、透明カバー7の下面は、口腔内挿入部3の下面に密着しながら被せていくことになるので、透明カバー7の上面は、下面に比較して、密着していない状態となっている。そのために、口腔内挿入部3の上表面に溝12を設けることが、口腔内挿入部3の空洞部11に溜まった空気を抜きやすくなるのである。
【0022】
さらには、この溝12の断面形状(図4のA−A’断面)は、図4のごとく、ほぼV字形状であり、さらには、V字の底部と上部の角部分13に丸み(湾曲面)を付けた形状になっており、さらには、溝12の前方端14と後方端15の断面形状(図4のB−B’断面)は、図5のごとく、端になるにしたがって、溝深さが徐々に浅くなっている。
【0023】
このような形状にすることにより、溝12の壁面が四方においてなだらかになるので、溝12に溜まった汚れを掃除しやすくなり、また、空気の流入がスムーズになるという効果がある。
【0024】
また、前方端に繋がる口腔内挿入部3の先端部9の上面16は、後方から前方にかけて低くなるように傾斜させている。
【0025】
このように口腔内挿入部3の先端部9の上面16を傾斜させることにより、溝12の前方端に対して口腔内挿入部3の先端部9に溜まった空気が流入しやすくなるという効果がある。
【0026】
さらには、溝12の幅は、前方から後方にかけて徐々に広くなるような形状となっている。このような形状にすることにより、溝12に溜まった汚れを前方から後方に履きだしやすく、掃除しやすくなり、また、空気の前方から後方への流れがスムーズになるために、空洞部11に溜まった空気が抜けやすくなるので、より透明のカバー7を容易に装着することができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、を備え、前記口腔内挿入部の表面には、この前方から後方に沿って溝を設けて構成したものであるので、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーを容易に装着することができる。
【0028】
すなわち、本発明においては、口腔内挿入部の表面の前方から後方に沿って溝を設けたので、口腔内挿入部の前方より透明カバーを装着した際に、透明カバーに覆われた口腔内挿入部の先端部付近に溜まった空気が、口腔内挿入部の表面に設けた溝を、前方から後方に抜けていくので、装着時の空気圧が緩和され、この結果として、口腔内挿入時に口腔内挿入部に装着する透明のカバーを容易に装着することができるのである。
【0029】
したがって、例えば、口腔内カメラなどの口腔内に挿入する装置全般に広く活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 本体ケース
2 コード
3 口腔内挿入部
4 操作パネル
5 記録操作ボタン
6 撮像窓
7 透明のカバー
8 開口部
9 先端部
10 カバー先端部
11 空洞部
12 溝
13 V字の角部分
14 溝の前方端
15 溝の後方端
16 先端部の上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、を備え、
前記口腔内挿入部の表面には、この前方から後方に向かって溝を設けた構成とした口腔内挿入装置。
【請求項2】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝は、前方から後方にかけて溝幅が徐々に広くなるように設けた請求項1に記載の口腔内挿入装置。
【請求項3】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝は、断面形状がほぼV字に設けられた請求項1または2に記載の口腔内挿入装置。
【請求項4】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝は、溝の角部を湾曲させた請求項1から3のいずれかに一つに記載の口腔内挿入装置。
【請求項5】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝の前方端に繋がる口腔内挿入部の先端部は、後方から前方にかけて低くなるように傾斜した請求項1から4のいずれかに一つに記載の口腔内挿入装置。
【請求項6】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝の前方端と後方端は、これらの端になるにしたがって、溝深さが徐々に浅くなるように設けられた請求項1から5のいずれかに一つに記載の口腔内挿入装置。
【請求項7】
前記口腔内挿入部の表面に設けた溝は、口腔内挿入部の上表面に設けた請求項1から6のいずれかに一つに記載の口腔内挿入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−103956(P2011−103956A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259634(P2009−259634)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】