説明

古紙再生処理装置

【課題】抄紙装置のメンテナンスを容易に行うことが可能であり、白水に含まれる繊維が抄紙ベルトに付着するのを防止することが可能な古紙再生処理装置を提供する。
【解決手段】古紙を離解して製造されたパルプ含有液を脱水して湿紙を製造する抄紙装置10が処理装置本体16に備えられた古紙再生処理装置であって、抄紙装置10は、無端状軌道を回動自在で且つ透水性を有する抄紙ベルト25と、パルプ含有液を抄紙ベルト25上に供給する供給部材26とを有し、抄紙装置10は処理装置本体16に対して着脱自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオフィス文書等の使用済み古紙から再生紙を製作する古紙再生処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の古紙再生処理装置としては、例えば、装置ケース内に、使用済みの古紙を離解して古紙パルプを製造するパルプ製造装置と、パルプ製造装置で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙装置とが設けられたものがある。
【0003】
抄紙装置は抄紙ネットコンベア部と脱水ロール部と乾燥ベルトコンベア部とを備えている。図27に示すように、抄紙ネットコンベア部130は、パルプ製造装置131から送られてくるパルプ懸濁液132を抄いて湿紙を製造する部位であり、複数のローラ134に巻回されて無端状軌道135を回動自在な網状無端ベルト136と、網状無端ベルト136上にパルプ懸濁液132を供給するパルプ供給部137とを有している。
【0004】
無端状軌道135は、網状無端ベルト136がパルプ供給部137から供給されたパルプ懸濁液132を搬送しながら脱水する抄紙軌道部138と、網状無端ベルト136が抄紙軌道部138の下流端から上流端へ戻る戻り軌道部139とを有している。
【0005】
これによると、パルプ製造装置131において、古紙を離解してパルプ懸濁液132が製造され、このパルプ懸濁液132はパルプ製造装置131から抄紙ネットコンベア部130のパルプ供給部137に送られる。そして、パルプ懸濁液132は、パルプ供給部137から回動している網状無端ベルト136上に供給され、網状無端ベルト136により抄紙軌道部138を搬送されながら網状無端ベルト136の網目(メッシュ)による自重濾過作用を受けて脱水され、繊維の層をなす湿紙となる。この際、抄紙軌道部138を走行する網状無端ベルト136を透過した透過水140(以下、白水140と記載)は下方へ落下する。
【0006】
尚、上記のような抄紙装置を有する古紙再生処理装置は下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−23450
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、古紙再生処理装置を小型化すると、その分、装置ケース内のスペースが狭くなり、抄紙装置(特に抄紙ネットコンベア部130)のメンテナンス(清掃や消耗部品の交換等)を行うのに手間を要するといった問題がある。
【0009】
また、抄紙軌道部138を走行する網状無端ベルト136を透過した白水140は戻り軌道部139を走行する網状無端ベルト136の内側に落下するため、白水140に含まれる繊維が戻り軌道部139を走行する網状無端ベルト136に付着し、網状無端ベルト136の網目の大きさが狭められ、これにより、網状無端ベルト136による濾過性能が低下し、抄紙性能に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0010】
したがって、網状無端ベルト136を頻繁に洗浄する等のメンテナンスが必要となるが、上記のようにメンテナンスには手間を要するといった問題がある。
本発明は、抄紙装置のメンテナンスを容易に行うことが可能であり、また、白水に含まれる繊維が抄紙ベルトに付着するのを防止することが可能な古紙再生処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、古紙を離解して製造されたパルプ含有液を脱水して湿紙を製造する抄紙装置が処理装置本体に備えられた古紙再生処理装置であって、
抄紙装置は、無端状軌道を回動自在で且つ透水性を有する抄紙ベルトと、パルプ含有液を抄紙ベルト上に供給する供給部材とを有し、
抄紙装置は処理装置本体に対して着脱自在であるものである。
【0012】
これによると、パルプ含有液を供給部材から回動している抄紙ベルト上に供給することにより、パルプ含有液は、抄紙ベルトで搬送されながら脱水され、繊維の層をなす湿紙となる。
【0013】
また、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出すことにより、抄紙装置に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
本第2発明における古紙再生処理装置は、供給部材は抄紙装置に対して着脱自在である。
【0014】
これによると、供給部材を抄紙装置から取り出すことにより、供給部材に対してメンテナンスを容易且つ確実に行うことができる。
本第3発明における古紙再生処理装置は、抄紙ベルトの無端状軌道は、抄紙ベルトが供給部材から供給されたパルプ含有液を搬送しながら脱水する抄紙軌道部と、抄紙ベルトが抄紙軌道部の下流端から上流端へ戻る戻り軌道部とを有し、
戻り軌道部は抄紙軌道部の下方に位置し、
抄紙軌道部と戻り軌道部との間に、抄紙軌道部の抄紙ベルトを透過した液体を受ける第1の受け部材が設けられ、
戻り軌道部の下方に、上方から落下する液体を受ける第2の受け部材が設けられているものである。
【0015】
これによると、パルプ含有液を供給部材から回動している抄紙ベルト上に供給することにより、パルプ含有液は、抄紙軌道部を走行する抄紙ベルトにより搬送されながら脱水され、湿紙となる。この際、抄紙軌道部を走行する抄紙ベルトを透過した液体(以下、白水と記載する)は第1の受け部材に落下して受けられる。これにより、上記白水が戻り軌道部を走行する抄紙ベルトの内側に落下するのを防止することができ、白水に含まれる繊維が抄紙ベルトに付着するのを防止することができる。
【0016】
また、戻り軌道部を走行する抄紙ベルトから落下した水(液体)や供給部材等から漏れて落下した水(液体)等は第2の受け部材に受けられる。これにより、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出した際、水が抄紙装置から処理装置本体の外部に滴下するのを防止することができる。
【0017】
本第4発明における古紙再生処理装置は、抄紙ベルトは複数の回転自在なローラ間に巻回され、
これらローラと第1の受け部材とが一対の内側フレーム間に支持され、
第2の受け部が一対の外側フレーム間に支持され、
一対の内側フレームは一対の外側フレーム間に配置されているものである。
【0018】
本第5発明における古紙再生処理装置は、抄紙装置の後段に、湿紙を抄紙ベルトから吸水ベルトに転写して湿紙の脱水を行う湿紙脱水装置が設けられ、
湿紙が抄紙ベルトから吸水ベルトに転写される転写部において、抄紙ベルトは吸水ベルトを押圧して吸水ベルトに張力を付与しており、
抄紙装置は処理装置本体の内外に出し入れ可能であり、
抄紙装置を処理装置本体の外部へ取り出す際、抄紙ベルトが吸水ベルトから退避する退避方向へ抄紙装置を案内する案内手段が処理装置本体に設けられ、
退避方向は、抄紙ベルトの幅方向以外の方向であり、且つ、吸水ベルトへの張力の付与を解除する方向である。
【0019】
これによると、湿紙は、転写部において、回動する抄紙ベルトから回動する吸水ベルトに転写され、その後、吸水ベルトにおいて脱水される。
また、抄紙装置を処理装置本体の外部へ取り出す際、抄紙装置は案内手段により退避方向へ案内される。これにより、抄紙ベルトから吸水ベルトへの張力の付与が解除された状態となり、この状態で、抄紙装置が処理装置本体の外部へ取り出される。したがって、抄紙装置を容易に取り出すことができる。
【0020】
本第6発明における古紙再生処理装置は、抄紙装置は、案内手段で案内されて、抄紙ベルトが吸水ベルトを押圧して吸水ベルトに張力を付与する取付位置まで、退避方向とは反対の装着方向に移動自在であり、
抄紙装置を装着方向へ移動して処理装置本体の内部へ挿入する際、抄紙装置を取付位置に位置決めする位置決め部材が設けられているものである。
【0021】
これによると、抄紙装置を装着方向へ移動して処理装置本体の内部へ挿入する際、抄紙装置は位置決め部材によって取付位置に位置決めされ、抄紙ベルトが吸水ベルトを押圧して吸水ベルトに所定の張力を付与する。これにより、吸水ベルトに所定の張力を超える過大な張力が付与されるのを防止することができ、吸水ベルトの損傷を防止できる。
【0022】
本第7発明における古紙再生処理装置は、処理装置本体に、古紙を離解してパルプ含有液を製造する古紙パルプ製造装置と、パルプ含有液から印刷成分を分離する脱墨装置とが設けられ、
抄紙装置は脱墨後のパルプ含有液を脱水して湿紙を製造するものである。
【0023】
これによると、古紙パルプ製造装置において製造された後に脱墨装置において脱墨されたパルプ含有液は抄紙装置において抄紙され、湿紙が得られる。
本第8発明における古紙再生処理装置は、パルプ含有液を脱墨装置から抄紙装置に供給する給水管路が設けられ、
給水管路は、給水継手を介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続されているものである。
【0024】
これによると、パルプ含有液は、脱墨装置から給水管路を流れて抄紙装置に供給され、供給部材から抄紙ベルト上に供給される。
また、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出す際、給水管路は給水継手を介して抄紙装置から離脱する。さらに、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内に取付ける際、給水管路は給水継手を介して抄紙装置に接続される。
【0025】
本第9発明における古紙再生処理装置は、電力を抄紙装置に供給する給電経路が設けられ、
給電経路は、コネクターを介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続されているものである。
【0026】
これによると、電力は外部から給電経路を通じて抄紙装置に供給され、抄紙ベルトがモータ等からなる駆動装置によって回動する。
また、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出す際、給電経路はコネクターを介して抄紙装置から離脱する。さらに、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内に取付ける際、給電経路はコネクターを介して抄紙装置に接続される。
【0027】
本第10発明における古紙再生処理装置は、パルプ含有液を脱墨装置から抄紙装置に供給する給水管路が設けられ、
給水管路は、給水継手を介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続され、
電力を抄紙装置に供給する給電経路が設けられ、
給電経路は、コネクターを介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続され、
抄紙装置が処理装置本体に対して着脱するのに伴って、給水管路と給電経路とが、一度に、抄紙装置に接続離脱するものである。
【0028】
これによると、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出す際、給水管路が給水継手を介して抄紙装置から離脱すると共に、給電経路がコネクターを介して抄紙装置から離脱する。
【0029】
また、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内に取付ける際、給水管路が給水継手を介して抄紙装置に接続されると共に、給電経路がコネクターを介して抄紙装置に接続される。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によると、抄紙装置を古紙再生処理装置の処理装置本体内から取り出すことにより、抄紙装置に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
また、白水に含まれる繊維が抄紙ベルトに付着するのを防止することができ、これにより、抄紙性能に悪影響を及ぼすことはない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態における古紙再生処理装置の前半部分の構成を示す模式図である。
【図2】同、古紙再生処理装置の後半部分の構成を示す模式図である。
【図3】同、古紙再生処理装置の抄紙装置の斜視図であり、取付位置に設けられている状態を示す。
【図4】同、抄紙装置の縦断面図であり、取付位置に設けられている状態を示す。
【図5】図4におけるX−X矢視図である。
【図6】同、抄紙装置の平面図であり、取付位置に設けられている状態を示す。
【図7】同、抄紙装置のヘッドボックスおよびその近辺の断面図である。
【図8】図7におけるX−X矢視図である。
【図9】同、抄紙装置の抄紙ベルトと斜行防止手段の図である。
【図10】同、抄紙装置の斜視図であり、抄紙装置を退避位置まで移動した状態を示す。
【図11】同、抄紙装置の縦断面図であり、抄紙装置を退避位置まで移動した状態を示す。
【図12】同、抄紙装置の斜視図であり、抄紙装置を引出位置まで引き出した状態を示す。
【図13】上記図12に示した抄紙装置の斜視図から外側フレームを省いた図である。
【図14】上記図12におけるX−X矢視図である。
【図15】上記図14におけるY−Y矢視図である。
【図16】同、抄紙装置の斜視図であり、抄紙装置を引出位置まで引き出し、さらに、ヘッドボックスを抄紙装置から手前に引き出した状態を示す。
【図17】同、抄紙装置の斜視図であり、抄紙装置を取付位置に取り付けたままで、ヘッドボックスを抄紙装置から手前に引き出した状態を示す。
【図18】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターの正面図である。
【図19】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターの斜視図である。
【図20】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターの平面図であり、給水管路と給電経路とが抄紙装置から離脱している状態を示す。
【図21】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターを下から見た図であり、給水管路と給電経路とが抄紙装置から離脱している状態を示す。
【図22】同、古紙再生処理装置の給水継手と洗浄水供給継手の断面図である。
【図23】同、古紙再生処理装置のコネクターの図であり、(a)はコネクターの中央部分の断面図、(b)はコネクターのピンの部分の断面図である。
【図24】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターの平面図であり、給水管路と給電経路とが抄紙装置に接続している状態を示す。
【図25】同、古紙再生処理装置の給水管路と給水継手および給電経路とコネクターを下から見た図であり、給水管路と給電経路とが抄紙装置に接続している状態を示す。
【図26】本発明の第2の実施の形態における古紙再生処理装置の抄紙装置の縦断面図である。
【図27】従来の古紙再生処理装置の抄紙装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態について説明する。図1,図2は古紙再生処理装置1の構成を示す概略図である。古紙再生処理装置1は、使用済みの古紙2(故紙)から再生紙3を製造するものであり、シュレッダー等の用紙細断機75で細断された古紙2を離解してパルプ含有液4を製造する古紙パルプ製造装置5(パルパー)と、上記細断された古紙2を古紙パルプ製造装置5へ供給する古紙供給装置6と、古紙パルプ製造装置5で得られたパルプ含有液4を貯留する貯留槽7と、貯留槽7において貯留されたパルプ含有液4からトナー等の印刷成分を分離して除去する脱墨装置8と、脱墨装置8において脱墨されたパルプ含有液4を脱水して湿紙9を製造する抄紙装置10と、湿紙9を脱水する湿紙脱水装置11と、脱水した湿紙9を乾燥して再生紙3にする湿紙乾燥装置12と、再生紙3に対して仕上工程を行う仕上装置13と、抄紙装置10において発生する白水14を貯留する白水タンク15等が処理装置本体16内に備えられている。
【0033】
尚、処理装置本体16は、図5,図6に示すように、床等に据え付けられたフレーム17や上記各装置5,6,8,10〜13を覆う外壁材18等で構成されている。
脱墨装置8は、脱墨槽21と、脱墨槽21内の底部から気泡22を発生させる気泡発生装置(図示省略)とを有しており、脱墨槽21内のパルプ含有液4に対して脱墨剤を添加するとともに気泡22を発生させることによってパルプ含有液4から印刷成分を分離除去するものである。
【0034】
図3,図4に示すように、抄紙装置10は、複数の回転自在なローラ23a〜23cと、これらローラ23a〜23c間に巻回されて無端状軌道24を回動自在な抄紙ベルト25と、脱墨装置8から送られてきたパルプ含有液4を抄紙ベルト25上に供給するヘッドボックス26(供給部材の一例)と、抄紙トレー27(第1の受け部材の一例)と、全体トレー28(第2の受け部材の一例)と、抄紙フレーム体29とを有している。
【0035】
複数のローラ23a〜23cのうち、ローラ23bがモーター48で回転駆動される駆動ローラをなし、その他のローラ23a,23cは従動ローラをなしている。抄紙ベルト25は透水性を有するメッシュ(網)状のベルトである。
【0036】
図4に示すように、無端状軌道24は、側面視において三角形状に形成されており、抄紙ベルト25がヘッドボックス26から供給されたパルプ含有液4を上流端から下流側へ搬送しながら脱水する抄紙軌道部30と、抄紙ベルト25が抄紙軌道部30の下流端から上流端へ戻る戻り軌道部31とを有している。尚、戻り軌道部31は、抄紙軌道部30の下方に位置しており、斜め下方へ向う第1傾斜部分31aと、斜め上方へ向う第2傾斜部分31bとを有している。
【0037】
抄紙トレー27は、抄紙軌道部30と戻り軌道部31との間に配置されており、抄紙軌道部30の抄紙ベルト25を透過した白水14(液体の一例)を受ける皿状の部材である。全体トレー28は、戻り軌道部31の下方に配置されており、上方(例えば抄紙ベルト25やローラ23a〜23c等)から落下する水(液体)を受ける皿状の部材である。尚、図4,図5に示すように、抄紙トレー27に受けられた白水14は、抄紙ベルト25に干渉しないように配置された排水管等からなる排水経路32を流下して、全体トレー28に流れ込む。
【0038】
図4〜図6に示すように、抄紙フレーム体29は、抄紙ベルト25の幅方向Wにおいて相対向する平板状の一対の内側フレーム35および一対の外側フレーム36と、両内側フレーム35の前端部間に設けられた連結部材37と、両外側フレーム36の前端部間および後端部間に設けられた平板状の連結部材38a,38bとを有している。尚、一対の内側フレーム35は、一対の外側フレーム36間に、ボルト,ナット等の連結部材(図示省略)を介して連結され支持されている。
【0039】
各ローラ23a〜23cと抄紙トレー27とが一対の内側フレーム35間に支持され、全体トレー28が一対の外側フレーム36の下部間に支持されている。また、一対の内側フレーム35間には、抄紙ベルト25に洗浄水120を噴射して洗浄する洗浄水噴射部材121が設けられている。
【0040】
図3,図7,図8に示すように、ヘッドボックス26は、パルプ含有液4を貯留する四角箱状の貯留部材40と、貯留部材40内のパルプ含有液4を抄紙ベルト25上に供給する供給口41と、供給口41から流出するパルプ含有液4を抄紙ベルト25上へ円滑に導く案内板42と、供給口41から流出するパルプ含有液4の流れを抄紙ベルト25の幅方向Wにおいて規制する一対の幅規制板43とを有している。
【0041】
案内板42は、貯留部材40に設けられており、抄紙軌道部30の上流側端部において抄紙ベルト25の上面に重なっている。両幅規制板43は貯留部材40の両側部に設けられて下流側へ向って突き出しており、両幅規制板43間に案内板42が設けられている。また、両幅規制板43の下方には一対の支持部材44が対向して配置されている。抄紙ベルト25は幅規制板43と支持部材44との上下間に挟まれて抄紙軌道部30を上流側から下流側へ回動する。尚、支持部材44は内側フレーム35に取付られている。
【0042】
貯留部材40の内部は仕切板45により第1および第2貯留部46,47に仕切られており、第1貯留部46と第2貯留部47とは下部で連通している。
また、供給口41は第2貯留部47の上部に開口している。さらに、第1貯留部46の下部には、上下に移動することにより第1貯留部46のパルプ含有液4を攪拌する第1攪拌部材50が設けられている。また、第2貯留部47の下部には、上下に移動することにより第2貯留部47のパルプ含有液4を攪拌する第2攪拌部材51が設けられている。尚、第1攪拌部材50と第2攪拌部材51とは互い違いに上下移動するように設定されており、これら第1および第2攪拌部材50,51を上下移動させる移動装置(図示せず)がヘッドボックス26に設けられている。
【0043】
図9に示すように、抄紙ベルト25の幅方向Wにおける両端部の裏面には、斜行防止用突起部53が全周にわたり設けられている。斜行防止用突起部53は、抄紙ベルト25の裏面から突出する方向において幅方向寸法が次第に縮小するような、台形型の断面形状を有している。各斜行防止用突起部53は、一対の斜行防止用板54間に形成された空隙部55に嵌まり込んでいる。これら斜行防止用板54は、図4に示すように、抄紙軌道部30の下流側端部と戻り軌道部31の第2傾斜部分31bとの二箇所において、内側フレーム35に設けられている。
【0044】
また、図8に示すように、各ローラ23a〜23cの軸心方向における両端部の外周面には、斜行防止用溝56が全周にわたり形成されている。抄紙ベルト25の斜行防止用突起部53は各ローラ23a〜23cの斜行防止用溝56に対して嵌脱自在である。尚、斜行防止用突起部53と斜行防止用板54と斜行防止用溝56とによって、抄紙ベルト25の斜行を防止する斜行防止手段が構成されている。
【0045】
図2〜図4に示すように、湿紙脱水装置11は、抄紙装置10の後段(下流側)に配置され、湿紙9を抄紙ベルト25から吸水ベルト59に転写して脱水するものである。尚、吸水ベルト59は、フェルトベルトからなり、複数のローラ60a〜60dに巻回されて回動自在に構成されている。また、各ローラ60a〜60dのうちのいずれかのローラ60aがモーターで回転駆動される駆動ローラをなす。湿紙9が抄紙ベルト25から吸水ベルト59に転写される転写部61において、抄紙ベルト25は吸水ベルト59を押圧して吸水ベルト59に所定の張力を付与している。
【0046】
図3〜図6に示すように、抄紙装置10は、処理装置本体16に対して着脱自在、すなわち、処理装置本体16の内外に出し入れ自在である。抄紙装置10を処理装置本体16の外部へ取り出す際、抄紙ベルト25が吸水ベルト59から退避する退避方向Aへ抄紙装置10を案内する案内手段63が処理装置本体16に設けられている。尚、退避方向Aは、抄紙ベルト25の幅方向W以外の方向であり、且つ、吸水ベルト59への張力の付与を解除する方向であって、この場合、抄紙軌道部30における抄紙ベルト25の移動方向とは逆方向である前方向が退避方向Aとなる。
【0047】
案内手段63は、処理装置本体16内に設けられた一対の案内レール64と、案内レール64に支持案内されて退避方向Aおよびその反対方向である装着方向B(後方向)へ移動自在な可動台65とを有している。
【0048】
案内レール64は、支持フレーム78によって、床面の上方に支持されている。可動台65の底部には、上方から案内レール64に外嵌されて、案内レール64上を退避方向Aおよび装着方向Bへ摺動自在なチャンネル状の案内部材66が設けられている。
【0049】
可動台65は上部と一側部とが開口した浅い箱形状の台であり、抄紙装置10は、可動台65上に支持され、可動台65の一側部67から可動台65上に出し入れ可能である。尚、図6に示すように、可動台65に対する抄紙装置10の出し入れ方向C,D(左右方向)は、抄紙ベルト25の幅方向Wと同方向であり、退避および装着方向A,B(前後方向)に対して直交する方向である。
【0050】
抄紙装置10の前後の連結部材38a,38bの下部にはそれぞれスライド式案内部材69が設けられている。また、可動台65の前板部65aの内面と後板部65bの内面とにはそれぞれ受け部材70が設けられている。スライド式案内部材69は、下方から受け部材70で受けられており、出し入れ方向C,Dにおいて受け部材70上を摺動する。
【0051】
図6の実線で示すように、抄紙装置10を可動台65の外側方の引出位置P1から可動台65上の挿入位置P2まで押し込み、可動台65を退避位置P3から取付位置P4へ移動することにより、抄紙装置10が処理装置本体16内の正規の取付位置P4に装着される。
【0052】
尚、取付位置P4とは、図3,図4に示すように、抄紙ベルト25が吸水ベルト59を押圧して吸水ベルト59に所定の張力を付与する位置である。両案内レール64には、抄紙装置10を装着方向Bへ移動して処理装置本体16の内部へ挿入する際、抄紙装置10を取付位置P4に位置決めするストッパー71(位置決め部材の一例)が設けられている。可動台65はストッパー71に当接離間自在であり、可動台65がストッパー71に当接することにより、抄紙装置10が取付位置P4に位置決めされる。
【0053】
また、図6に示すように、処理装置本体16の外壁材18の側面には、抄紙装置10を出し入れするための出入用開口部19と、出入用開口部19を開閉する扉20とが設けられている。
【0054】
白水タンク15は、可動台65の下方に設置されており、上面の一部が開口する上面開口部を有している。図4,図5,図13に示すように、全体トレー28の底部には、全体トレー28に受けられた水(液体の一例であり、白水14を含む)を白水タンク15に排出する排水管33が垂設されている。排水管33は可動台65の底板に形成された細長い開口部77に上方から挿通されている。尚、可動台65を退避位置P3と取付位置P4との間で移動させるとともに抄紙装置10を引出位置P1と挿入位置P2との間で移動させる場合、いずれの位置においても常に排水管33が白水タンク15の上面開口部の上方に位置するように設定されている。
【0055】
また、ヘッドボックス26は抄紙装置10に対して着脱自在である。すなわち、図7,図16に示すように、ヘッドボックス26はローラ23aと抄紙フレーム体29の連結部材38aとの間に形成された設置スペース73に設置されており、連結部材37はヘッドボックス26を下方から支持する支持面37aを有している。また、左右いずれか一方の外側フレーム36の上部には、ヘッドボックス26を出し入れするための出し入れ口74(図3参照)が形成されている。図12,図16に示すように、ヘッドボックス26は、連結部材37の支持面37aに支持された状態で、出し入れ口74から抄紙ベルト25の幅方向Wへ出し入れ自在となっている。
【0056】
図18,図19に示すように、古紙再生処理装置1には、パルプ含有液4を脱墨槽21から抄紙装置10に供給する給水管路91と、電力を抄紙装置10に供給する給電経路105と、洗浄水120を洗浄水噴射部材121に供給する洗浄水管路122とが設けられている。
【0057】
給水管路91は、複数の給水継手92,93を介して、接続離脱自在に抄紙装置10に接続されている。また、給電経路105は、コネクター106を介して、接続離脱自在に抄紙装置10に接続されている。さらに、洗浄水管路122は洗浄水供給継手119を介して、接続離脱自在に抄紙装置10に接続されている。
【0058】
図18,図21,図22に示すように、第1の給水継手92は、互いに嵌脱自在な円筒状のオス型の嵌合部材94および円筒状のメス型の嵌合部材95とを有している。オス型の嵌合部材94は外側フレーム36に形成された孔部に挿入されて取り付けられている。
【0059】
また、図6,図14に示すように、可動台65の挿入方向D側の側端部には可動台側取付板96が立設されており、可動台側取付板96は外側フレーム36の外側方において対向している。図18,図21,図22に示すように、メス型の嵌合部材95は、可動台側取付板96に形成された孔部97に挿入され、支持装置98を介して可動台側取付板96に支持されている。
【0060】
支持装置98は、メス型の嵌合部材95に外嵌された支持板99と、支持板99に挿通されて可動台側取付板96に連結される複数の六角穴付きボルト100と、支持板99と可動台側取付板96との間に挟まれると共に各ボルト100に外嵌されるコイルばね101とを有している。メス型の嵌合部材95は、支持板99に装着され、コイルばね101の伸縮に応じて引出および挿入方向C,Dに変移可能である。また、孔部97の直径F1はメス型の嵌合部材95の外径F2よりも余裕を持って大きく形成されている。
【0061】
また、第2の給水継手93は、上記第1の給水継手92と同様、オス型およびメス型の嵌合部材94,95を有している。ヘッドボックス26の貯留部材40の挿入方向Dにおける側面部にはヘッドボックス側取付板103が設けられており、オス型の嵌合部材94はヘッドボックス側取付板103に形成された孔部に挿入されて取り付けられている。また、メス型の嵌合部材95は、内側フレーム35に形成された孔部97に挿入され、支持装置98を介して内側フレーム35に支持されている。
【0062】
給水管路91は、一端が脱墨槽21に接続され且つ他端が第1の給水継手92のメス型の嵌合部材95に接続された主給水ホース91aと、一端が第1の給水継手92のオス型の嵌合部材94に接続され且つ他端が第2の給水継手93のメス型の嵌合部材95に接続された中継ぎ給水ホース91bと、一端が第2の給水継手93のオス型の嵌合部材94に接続され且つ他端がヘッドボックス26に接続されて第1貯留部46の下部に連通する末端給水ホース91cとからなる。
【0063】
図18〜図20,図23に示すように、コネクター106は、互いに嵌脱自在なオス型の嵌合部材107およびメス型の嵌合部材108とを有している。オス型の嵌合部材107は外側フレーム36に形成された孔部に挿入されて取り付けられている。尚、オス型の嵌合部材107には複数本のピン114が設けられている。
【0064】
メス型の嵌合部材108は、可動台側取付板96に形成された孔部109に挿入され、支持装置110を介して可動台側取付板96に支持されている。
支持装置110は、メス型の嵌合部材108の外周に設けられた鍔部111と、鍔部111に挿通されて可動台側取付板96に連結される複数の六角穴付きボルト112と、鍔部111と可動台側取付板96との間に挟まれると共に各ボルト112に外嵌されるコイルばね113とを有している。メス型の嵌合部材108は、コイルばね113の伸縮に応じて引出および挿入方向C,Dに変移可能である。また、孔部109の大きさF3はメス型の嵌合部材108の大きさF4よりも余裕を持って大きく形成されている。
【0065】
尚、メス型の嵌合部材108には複数のピン孔115が形成されており、引出および挿入方向C,Dにおいて、ピン114はピン孔115に挿脱自在である。
また、給電経路105は、一端が電源に接続され且つ他端がメス型の嵌合部材108に接続された主給電ケーブル105aと、一端がオス型の嵌合部材107に接続され他端が抄紙装置10のモーター48に接続された中継ぎ給電ケーブル105bとからなる。
【0066】
図18,図19に示すように、コネクター106は第1の給水継手92の真上に位置している。また、第1の給水継手92の支持板99には、接合状態の第1の給水継手92の上方を覆ってコネクター106と第1の給水継手92との間を仕切る覆い板116が設けられている。
【0067】
洗浄水供給継手119は、第1の給水継手92と同じ構成を有しており、第1の給水継手92の横隣りに設けられている。
図20に示すように、洗浄水管路122は、一端が洗浄水供給源(例えば水道の蛇口等)に接続され且つ他端が洗浄水供給継手119のメス型の嵌合部材95に接続された主洗浄水ホース122aと、一端が洗浄水供給継手119のオス型の嵌合部材94に接続され且つ他端が洗浄水噴射部材121の端部に接続された中継ぎ洗浄水ホース122bとからなる。
【0068】
図6,図14,図19,図20に示すように、外側フレーム36の両端部には複数のピン117が設けられ、可動台側取付板96の両端部には複数のピン孔118が形成されている。引出および挿入方向C,Dにおいて、ピン117はピン孔118に挿脱自在である。尚、ピン孔118は上下方向に長い長孔である。
【0069】
図2に示すように、湿紙乾燥装置12は、湿紙脱水装置11の後段(下流側)に配置されており、湿紙9を表裏両面から挟んで搬送する第1および第2の搬送ベルト85,86と、これら搬送ベルト85,86によって搬送されている湿紙9を加熱して乾燥させる乾燥用ドラム87とを有している。
【0070】
第1の搬送ベルト85は、金属製のベルトであり、乾燥用ドラム87と複数のローラ88とに巻回されて無端状軌道を回動自在である。また、第2の搬送ベルト86は、網状をなす樹脂製のベルトであり、複数のローラ89に巻回されて無端状軌道を回動自在である。乾燥用ドラム87は、回転自在に支持されており、ヒーターを内蔵している。
【0071】
仕上装置13は、湿紙乾燥装置12の後段(下流側)に配置されており、湿紙乾燥装置12で得られた再生紙3を所定の大きさに切断するカッター90等を有している。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0072】
図1に示すように、細断された古紙2を古紙供給装置6で古紙パルプ製造装置5へ供給することにより、古紙パルプ製造装置5において古紙2が離解され、パルプ含有液4が製造される。このパルプ含有液4は、古紙パルプ製造装置5から貯留槽7へ送られて貯留され、その後、貯留槽7から脱墨装置8の脱墨槽21に送られる。そして、脱墨槽21においてパルプ含有液4に脱墨剤を添加するとともに脱墨槽21内の底部から多数の気泡22を発生させることにより、パルプ含有液4中の印刷成分が分離され除去される。その後、図18,図25に示すように、脱墨槽21内のパルプ含有液4が給水管路91(各給水ホース91a〜91cおよび各給水継手92,93)を流れて抄紙装置10のヘッドボックス26の貯留部材40内に供給される。
【0073】
この際、図7に示すように、脱墨槽21内のパルプ含有液4は先ず貯留部材40内の第1貯留部46に流入するため、脱墨槽21からパルプ含有液4に連行して第1貯留部46に流入した気泡22の大部分は、仕切板45によって、第2貯留部47へ流れ込むのを阻止され、第1貯留部46に集められて留まる。これにより、第2貯留部47から供給口41を通って抄紙ベルト25へ流出する気泡22の量が大幅に低減され、湿紙9の品質が向上する。
【0074】
また、抄紙装置10の複数のローラ23a〜23cのうちの駆動ローラ23bをモーター48で回転駆動することにより、抄紙ベルト25が所定の走行速度で回動する。この際、図18,図24に示すように、電力は外部から給電経路105を通じてモーター48に供給され、モーター48が稼動する。また、図4に示すように、湿紙脱水装置11の複数のローラ60a〜60dのうちの駆動ローラ60aをモーター等で回転駆動することにより、吸水ベルト59が抄紙ベルト25と同じ走行速度で回動する。
【0075】
尚、図8,図9に示すように、抄紙ベルト25が回動している際、抄紙ベルト25の斜行防止用突起部53がローラ23a〜23cの斜行防止用溝56と斜行防止用板54の空隙部55とに嵌まり込むことで、抄紙ベルト25が幅方向Wに斜行するのを防止することができる。
【0076】
また、図7に示すように、ヘッドボックス26の貯留部材40内のパルプ含有液4は、次第に増量し、やがて、供給口41から溢流して抄紙ベルト25上に供給される。これにより、パルプ含有液4は、抄紙軌道部30を走行する抄紙ベルト25により搬送されながら脱水され、繊維の層をなす湿紙9となる。
【0077】
この際、図7,図8に示すように、抄紙ベルト25は幅規制板43と支持部材44との上下間に挟まれて抄紙軌道部30を走行するため、抄紙軌道部30において抄紙ベルト25が上下方向(抄紙ベルト25の厚さ方向)へ波打つ(撓む)のを防止することができる。したがって、幅規制板43の下端が確実に抄紙ベルト25の表面に摺接し、供給口41から抄紙ベルト25上に供給されるパルプ含有液4の流れが抄紙ベルト25の幅方向Wにおいて規制され、パルプ含有液4が幅規制板43と抄紙ベルト25との隙間から外側方へ漏れるのを防止することができる。これにより、厚みと幅のばらつきが少ない湿紙9を形成することができる。
【0078】
また、第1攪拌部材50と第2攪拌部材51とを互い違いに上下移動させることにより、第1および第2貯留部46,47のパルプ含有液4が攪拌されると共に、供給口41から抄紙ベルト25上に供給されるパルプ含有液4に、所定周期および高さ(振幅)を有する波を発生させることができる。これにより、パルプ含有液4を抄紙ベルト25上に重ねるように流すことができ、パルプ含有液4中の繊維を均一にすることが可能である。尚、上記波の周期及び高さは第1および第2攪拌部材50,51の上下移動距離および周期を制御することにより、所望の抄紙性能(地合や厚み等)を得ることができる。
【0079】
また、上記のような抄紙工程において、図4,図5に示すように、抄紙軌道部30を走行する抄紙ベルト25を透過した白水14は抄紙トレー27に落下して受けられる。これにより、白水14が戻り軌道部31を走行する抄紙ベルト25の内側に落下するのを防止することができ、白水14に含まれる繊維が抄紙ベルト25に付着するのを防止することができる。
【0080】
このようにして抄紙トレー27に受けられた白水14は排水経路32を流下して全体トレー28に流れ込む。さらに、戻り軌道部31を走行する抄紙ベルト25やローラ23a〜23cから落下する水或は内側フレーム35に形成されたねじ孔等から漏れて流れ落ちる水は全体トレー28に受けられる。このようにして全体トレー28に集められた水は排水管33から排水されて白水タンク15に貯留される。
【0081】
図25に示すように、洗浄水120は、洗浄水管路122(各洗浄水ホース122a,122bおよび洗浄水供給継手119)を流れて抄紙装置10の洗浄水噴射部材121に供給され、図4に示すように、洗浄水噴射部材121から抄紙ベルト25に噴射される。これにより、抄紙ベルト25が洗浄される。
【0082】
また、図2に示すように、上記湿紙9は、転写部61において、回動する抄紙ベルト25から回動する吸水ベルト59に転写され、その後、吸水ベルト59において吸水され脱水される。さらに、第1および第2の搬送ベルト85,86を回動させると共に乾燥用ドラム87を回転させることにより、湿紙9は、湿紙脱水装置11から湿紙乾燥装置12に移送され、第1の搬送ベルト85と第2の搬送ベルト86との間に挟まれて搬送されながら乾燥用ドラム87の熱で乾燥され、仕上げ前の再生紙3となる。その後、上記再生紙3は、湿紙乾燥装置12から仕上装置13に移送され、カッター90で所定の大きさに切断される等して仕上げられ、処理装置本体16の後方へ排紙される。
【0083】
また、抄紙装置10に対してメンテナンスを行う場合、利用者(又は作業者等)は、抄紙装置10の作動を停止し、図6に示すように、扉20を開き、出入用開口部19を通して、可動台65を退避方向Aへ移動させる。これにより、抄紙装置10が可動台65と共に退避方向Aへ案内されて取付位置P4から退避位置P3へ移動し、図10,図11に示すように、抄紙ベルト25が吸水ベルト59から離間し、抄紙ベルト25から吸水ベルト59への張力の付与が解除された状態となる。
【0084】
この状態で、図5,図6に示すように、抄紙装置10を可動台65の一側部67から引出方向Cへ引き出すことにより、スライド式案内部材69が受け部材70上を摺動し、抄紙装置10が挿入位置P2から引出位置P1へ移動する。これにより、図12〜図15に示すように、抄紙装置10を容易に処理装置本体16の出入用開口部19から外部へ取り出すことができ、抄紙装置10に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
【0085】
上記のように抄紙装置10を処理装置本体16の外部に取り出した際においても、図5の仮想線および図13に示すように、抄紙ベルト25やローラ23a〜23cから落下する水或は内側フレーム35のねじ孔等から漏れて流れ落ちる水は、全体トレー28に受けられ、全体トレー28から排水管33を通って白水タンク15に流れ込む。このため、水が抄紙装置10から処理装置本体16の外部に滴下して床面等が濡れるのを防止することができる。
【0086】
また、上記のように抄紙装置10を引出方向Cへ引出位置P1まで引き出した際、図21に示すように、先ず、第1の給水継手92のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95から脱抜されて分離されると共に、洗浄水供給継手119のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95から脱抜されて分離され、さらに、図20に示すように、コネクター106のオス型の嵌合部材107がメス型の嵌合部材108から脱抜されて分離され、次に、コネクター106のピン114がピン孔115から脱抜され、その直後、ピン117がピン孔118から脱抜される。
【0087】
これにより、図18,図20,図21に示すように、給水管路91の主給水ホース91aが第1の給水継手92を介して抄紙装置10から離脱すると共に、給電経路105の主給電ケーブル105aがコネクター106を介して抄紙装置10から離脱し、洗浄水管路122の主洗浄水ホース122aが洗浄水供給継手119を介して抄紙装置10から離脱する。
【0088】
また、図16に示すように、ヘッドボックス26に対してメンテナンスを行う場合、上記のように抄紙装置10を処理装置本体16の外部に取り出した状態で、ヘッドボックス26を出し入れ口74から抄紙ベルト25の幅方向Wにおける一側外方E(操作側外方)へ引き出すことにより、ヘッドボックス26は、連結部材37の支持面37aに支持された状態で、抄紙装置10の外部へ取り出される。これにより、ヘッドボックス26に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
【0089】
尚、上記のようにヘッドボックス26を一側外方Eへ引き出した際、図18,図20,図21に示すように、第2の給水継手93のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95から脱抜されて分離される。
【0090】
また、抄紙装置10やヘッドボックス26に対するメンテナンスが終了した後、上記の手順とは逆の手順で、ヘッドボックス26を抄紙装置10内に戻し、抄紙装置10を処理装置本体16内に戻すことができる。すなわち、ヘッドボックス26を出し入れ口74から上記一側外方Eの反対方向へ押し込むことにより、図12に示すように、ヘッドボックス26は、連結部材37の支持面37aに支持された状態で、抄紙装置10内の設置スペース73に設置される。
【0091】
この際、図25に示すように、第2の給水継手93のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95に嵌め込まれて接合され、これにより、末端給水ホース91cと中継ぎ給水ホース91bとが第2の給水継手93を介して接続される。
【0092】
その後、抄紙装置10を図12,図14に示した引出位置P1から図10に示した挿入位置P2まで挿入方向Dへ押し込んで可動台65上に戻す。この際、図23に示すように、先ず最初に、ピン117がピン孔118に挿入され、その直後に、コネクター106のピン114がピン孔115に挿入され、次に、コネクター106のピン114がピン孔115に挿入され、次に、図24に示すように、コネクター106のオス型の嵌合部材107がメス型の嵌合部材108に嵌め込まれて接合され、さらに、図25に示すように、第1の給水継手92のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95に嵌め込まれて接合されると共に、洗浄水供給継手119のオス型の嵌合部材94がメス型の嵌合部材95に嵌め込まれて接合される。
【0093】
これにより、主給水ホース91aと中継ぎ給水ホース91bとが第1の給水継手92を介して接続されると共に、主給電ケーブル105aと中継ぎ給電ケーブル105bとがコネクター106を介して接続され、さらに、主洗浄水ホース122aと中継ぎ洗浄水ホース122bとが洗浄水供給継手119を介して接続される。
【0094】
この際、図24に示すように、ピン117がピン孔118に挿入されるため、取付板96に対して外側フレーム36が位置決めされ、また、コネクター106のピン114がピン孔115に挿入されるため、メス型の嵌合部材108に対してオス型の嵌合部材107が位置決めされる。
【0095】
また、万一、各給水継手92,93のオス型の嵌合部材94の位置とメス型の嵌合部材95の位置とが僅かにずれて、オス型の嵌合部材94の先端がメス型の嵌合部材95の先端に当接した場合でも、各コイルばね101が圧縮されて、メス型の嵌合部材95がオス型の嵌合部材94から挿入方向Dへ逃げるため、オス型およびメス型の嵌合部材94,95の損傷を防止することができる。この時、各コイルばね101の圧縮量が不均一であっても、孔部97の直径F1がメス型の嵌合部材95の外径F2より大きいため、メス型の嵌合部材95が取付板96に対して傾斜して逃げることができる。
【0096】
また、コネクター106のオス型の嵌合部材107の位置とメス型の嵌合部材108の位置とが僅かにずれた場合も、同様に、各コイルばね113が圧縮されて、メス型の嵌合部材108がオス型の嵌合部材107から挿入方向Dへ逃げるため、オス型およびメス型の嵌合部材107,108の損傷を防止することができる。この時、各コイルばね113の圧縮量が不均一であっても、孔部109の大きさF3がメス型の嵌合部材108の大きさF4より大きいため、メス型の嵌合部材108が取付板96に対して傾斜して逃げることができる。
【0097】
また、洗浄水供給継手119についても、上記給水継手92,93と同様の作用・効果が得られる。
上記のように、抄紙装置10を挿入方向Dへ押し込んで可動台65上に戻した後、可動台65を図10,図11に示した退避位置P3から図3,図4に示した取付位置P4まで装着方向Bへ移動させる。この際、可動台65がストッパー71に当接することにより、抄紙装置10が取付位置P4に位置決めされる。これにより、転写部61において、抄紙ベルト25が、吸水ベルト59に当接して吸水ベルト59を押圧し、吸水ベルト59に所定の張力を付与する。このため、吸水ベルト59に所定の張力を超える過大な張力が付与されるのを防止することができ、吸水ベルト59の損傷を防止できる。
【0098】
上記実施の形態では、図18に示すように、コネクター106を第1の給水継手92よりも上方に配置しているため、万一、第1の給水継手92からパルプ含有液4の水滴が漏出し落下してもコネクター106に付着することはない。また、万一、パルプ含有液4が第1の給水継手92から漏出して周囲に飛散した場合、このうちコネクター106へ向って飛散したパルプ含有液4は覆い板116で遮られてコネクター106まで到達しない。このようなことから、第1の給水継手92から漏出したパルプ含有液4がコネクター106に付着するのを防止することができ、感電を防止して安全性を確保することができる。尚、洗浄水供給継手119に設けられた覆い板116も同様の効果を有する。
【0099】
上記実施の形態では、図16に示すように、抄紙装置10を引出位置P1へ移動して処理装置本体16の外部へ取り出した状態で、ヘッドボックス26を抄紙装置10の一側外方Eへ引き出したが、図17に示すように、抄紙装置10を、処理装置本体16の外部へ取り出すことなく、取付位置P4に取り付けたままの状態で、ヘッドボックス26を抄紙装置10の一側外方Eへ引き出すことも可能である。
【0100】
上記実施の形態では、図11に示すように、抄紙装置10を前方(退避方向A)へ水平移動させることにより、抄紙ベルト25を吸水ベルト59から前方へ退避させているが、抄紙装置10を下方へ回動させることにより、抄紙ベルト25を吸水ベルト59から下方へ退避させてもよい。
【0101】
上記実施の形態では、抄紙装置10を処理装置本体16の外部に取り出す際、図6の仮想線で示すように、抄紙装置10を退避方向Aへ移動させた後に引出方向Cへ引き出しているが、このように抄紙装置10を二方向へ移動させるのではなく、抄紙装置10を退避方向Aのみに移動させて処理装置本体16の外部へ取り出し可能に構成してもよい。
【0102】
上記実施の形態では、図12に示すように、抄紙装置10を可動台65上に支持した状態で引出位置P1まで引き出しているが、さらに、抄紙装置10を可動台65から手前に引き抜いて取り外してもよい。
【0103】
(第2の実施の形態)
先に述べた第1の実施の形態では、抄紙装置10は古紙再生処理装置1の処理装置本体16に対して着脱自在であるが、以下に記載する第2の実施の形態においては、図26に示すように、抄紙装置10は古紙再生処理装置1の処理装置本体16に固定されている。
【0104】
抄紙装置10は、複数の回転自在なローラ23a〜23cと、これらローラ23a〜23c間に巻回されて無端状軌道24を回動自在な抄紙ベルト25と、脱墨装置8から送られてきたパルプ含有液4を抄紙ベルト25上に供給するヘッドボックス26(供給部材の一例)と、抄紙トレー27(第1の受け部材の一例)と、全体トレー28(第2の受け部材の一例)と抄紙フレーム体29とを有している。
【0105】
ローラ23a〜23cとヘッドボックス26と抄紙トレー27と全体トレー28とはそれぞれ抄紙フレーム体29に設けられ、抄紙フレーム体29は処理装置本体16内に取付け固定されている。
【0106】
尚、抄紙装置10以外の構成については第1の実施の形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0107】
1 古紙再生処理装置
2 古紙
4 パルプ含有液
5 古紙パルプ製造装置
8 脱墨装置
9 湿紙
10 抄紙装置
11 湿紙脱水装置
14 白水(液体)
16 処理装置本体
23a〜23c ローラ
24 無端状軌道
25 抄紙ベルト
26 ヘッドボックス(供給部材)
27 抄紙トレー(第1の受け部材)
28 全体トレー(第2の受け部材)
30 抄紙軌道部
31 戻り軌道部
35 内側フレーム
36 外側フレーム
59 吸水ベルト
61 転写部
63 案内手段
71 ストッパー(位置決め部材)
91 給水管路
92,93 給水継手
105 給電経路
106 コネクター
A 退避方向
B 装着方向
P4 取付位置
W 抄紙ベルトの幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を離解して製造されたパルプ含有液を脱水して湿紙を製造する抄紙装置が処理装置本体に備えられた古紙再生処理装置であって、
抄紙装置は、無端状軌道を回動自在で且つ透水性を有する抄紙ベルトと、パルプ含有液を抄紙ベルト上に供給する供給部材とを有し、
抄紙装置は処理装置本体に対して着脱自在であることを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項2】
供給部材は抄紙装置に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1記載の古紙再生処理装置。
【請求項3】
抄紙ベルトの無端状軌道は、抄紙ベルトが供給部材から供給されたパルプ含有液を搬送しながら脱水する抄紙軌道部と、抄紙ベルトが抄紙軌道部の下流端から上流端へ戻る戻り軌道部とを有し、
戻り軌道部は抄紙軌道部の下方に位置し、
抄紙軌道部と戻り軌道部との間に、抄紙軌道部の抄紙ベルトを透過した液体を受ける第1の受け部材が設けられ、
戻り軌道部の下方に、上方から落下する液体を受ける第2の受け部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の古紙再生処理装置。
【請求項4】
抄紙ベルトは複数の回転自在なローラ間に巻回され、
これらローラと第1の受け部材とが一対の内側フレーム間に支持され、
第2の受け部が一対の外側フレーム間に支持され、
一対の内側フレームは一対の外側フレーム間に配置されていることを特徴とする請求項3記載の古紙再生処理装置。
【請求項5】
抄紙装置の後段に、湿紙を抄紙ベルトから吸水ベルトに転写して湿紙の脱水を行う湿紙脱水装置が設けられ、
湿紙が抄紙ベルトから吸水ベルトに転写される転写部において、抄紙ベルトは吸水ベルトを押圧して吸水ベルトに張力を付与しており、
抄紙装置は処理装置本体の内外に出し入れ可能であり、
抄紙装置を処理装置本体の外部へ取り出す際、抄紙ベルトが吸水ベルトから退避する退避方向へ抄紙装置を案内する案内手段が処理装置本体に設けられ、
退避方向は、抄紙ベルトの幅方向以外の方向であり、且つ、吸水ベルトへの張力の付与を解除する方向であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の古紙再生処理装置。
【請求項6】
抄紙装置は、案内手段で案内されて、抄紙ベルトが吸水ベルトを押圧して吸水ベルトに張力を付与する取付位置まで、退避方向とは反対の装着方向に移動自在であり、
抄紙装置を装着方向へ移動して処理装置本体の内部へ挿入する際、抄紙装置を取付位置に位置決めする位置決め部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の古紙再生処理装置。
【請求項7】
処理装置本体に、古紙を離解してパルプ含有液を製造する古紙パルプ製造装置と、パルプ含有液から印刷成分を分離する脱墨装置とが設けられ、
抄紙装置は脱墨後のパルプ含有液を脱水して湿紙を製造することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の古紙再生処理装置。
【請求項8】
パルプ含有液を脱墨装置から抄紙装置に供給する給水管路が設けられ、
給水管路は、給水継手を介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続されていることを特徴とする請求項7記載の古紙再生処理装置。
【請求項9】
電力を抄紙装置に供給する給電経路が設けられ、
給電経路は、コネクターを介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の古紙再生処理装置。
【請求項10】
パルプ含有液を脱墨装置から抄紙装置に供給する給水管路が設けられ、
給水管路は、給水継手を介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続され、
電力を抄紙装置に供給する給電経路が設けられ、
給電経路は、コネクターを介して、接続離脱自在に抄紙装置に接続され、
抄紙装置が処理装置本体に対して着脱するのに伴って、給水管路と給電経路とが、一度に、抄紙装置に接続離脱することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の古紙再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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