説明

古紙含有ペーパータオル

【課題】100%古紙パルプを使用するものの、手拭き時の(水分)吸収性、手肉感及びホルダー容器からの脱落防止効果を示すものを提供する。
【解決手段】1プライ当たりの米坪が30〜50g/m2、古紙パルプを90〜100%含有し、平均繊維長が0.7〜1.5mmのパルプ原料を抄紙したものであり、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤をそれぞれ前記パルプ原料に対し0.10〜0.30質量%含有され、かつ、湿潤紙力剤/乾燥紙力剤の質量比が0.5〜1.5であり、ドライクレープが施されている古紙含有ペーパータオル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーのようにたとえば200組折り畳んで包材に内包されて製品とされ、使用に際しては、必要によりホルダー容器に移し替えされ、そのホルダー容器から1シートごと取り出して使用される古紙含有ペーパータオルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペーパータオルとしては、主に、手拭き時の(水分)吸収性、手肉感及びホルダー容器からの脱落防止を課題として設計される。
このために、ウエットクレープ加工によりしっかりと紙質のシートされている。なお、柔軟性を高めるための手法としては、特許文献1の提案がなされているが、古紙パルプを使用するものではない。
一方、環境意識に高まりに対応して、古紙パルプを使用したペーパータオルが要求されている。古紙パルプを使用したペーパータオル自体は特許文献2に記載がある。
古紙パルプを使用する場合において問題となるのは、パルプ繊維長が短いために、紙力が小さく、高い吸収性及び良好な手肉感を得難いことである。
【特許文献1】特開2006−97191号公報
【特許文献2】特開平11−164793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の主たる課題は、100%古紙パルプを使用するものの、手拭き時の(水分)吸収性、手肉感及びホルダー容器からの脱落防止効果を示すものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
1プライ当たりの米坪が30〜50g/m2、古紙パルプを90〜100%含有し、平均繊維長が0.7〜1.5mmのパルプ原料を抄紙したものであり、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤をそれぞれ前記パルプ原料に対し0.10〜0.30質量%含有され、かつ、湿潤紙力剤/乾燥紙力剤の質量比が0.5〜1.5であり、ドライクレープが施されていることを特徴とする古紙含有ペーパータオル。
【0005】
(作用効果)
本発明のペーパータオルは、平均繊維長が0.7〜1.5mmの古紙パルプを90〜100%含有する。紙力を増強するために、パルプ原料に対しポリアクリルアミド・エピクロルヒドリン樹脂に代表される湿潤紙力剤を、パルプ原料に対し0.10〜0.30質量%添加する。湿潤紙力剤の添加量が少ない場合は、湿潤強度が不十分であり、他方で過度の添加量では吸水特性が低下する。
繊維長が長いバージンパルプを使用する場合には、特許文献1のように湿潤紙力剤の添加のみで十分の紙力を得るのは容易である。これに対し、平均繊維長が0.9〜1.1mmの古紙パルプを、特に100%現有させる場合、紙力が十分でなく、特に乾燥時における表面における強度が低いものとなり、紙粉の発生などを生じる。
そこで、本発明では、乾燥紙力剤をパルプ原料に対し0.10〜0.30質量%添加して表面を強度高まる。
しかるに、前述のように、ペーパータオルとして手拭き時の(水分)吸収性及び手肉感が良好であることが要求されるところ、紙力を高めるために、かなり多い量(通常は湿潤紙力剤のみをパルプ原料に対し0.05〜0.08質量%程度である。)で湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤を添加すると、手拭き時の(水分)吸収性及び手肉感が損なわれ、嵩高感のないものなる。
そこで、ウエットクレープによることなくドライクレープ加工を採用することで、手拭き時の(水分)吸収性、嵩高感及び手肉感を優れるものとしたのである。
なお、本発明において所要の吸収量を確保するために、1プライ当たりの米坪が30〜50g/m2とした。通常は、2プライをエンボス加工により一体化させて製品シートとする。
【0006】
<請求項2記載の発明>
クレープ率が15〜20%である請求項1記載の古紙含有ペーパータオル。
【0007】
(作用効果)
クレープ率としては、13〜22%、特に15〜20%が望ましい。クレープ率が低いと、シート表面が平滑化の方向となるため、表面積が小さくなり、吸水特性が小さくなり、しかも必要な嵩高感及び手肉感を得難い。逆に、22%を超えると、嵩高になるため、吸水特性は向上するものの、ホルダー容器から引き出すとき破れの原因となる。
【0008】
<請求項3記載の発明>
吸水量が150〜300g/m2である請求項1または2項に記載の古紙含有ペーパータオル。
【0009】
(作用効果)
この吸水量は市販品(古紙パルプを使用しないバージンパルプ品)と比較しても、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤を添加するものでありながら、高い値を示す。これは、ウエットクレープによることなくドライクレープ加工によることに基因しているものと考えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、古紙パルプを90〜100%含有するものを使用するものの、手拭き時の(水分)吸収性、手肉感及びホルダー容器からの脱落防止効果を示す古紙含有ペーパータオルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について詳説する。
本発明の古紙含有ペーパータオルは、古紙パルプを90〜100%含有する。より好ましくは古紙パルプ100%のものである。古紙パルプとしては、デインキングパルプ(DIP)の何れをも使用できる。古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられる。これらのパルプを2種以上用いてもよい。
【0012】
資材の有効利用のために、雑誌古紙脱墨パルプを使用するのが望ましい。雑誌古紙脱墨パルプの繊維長は、操業条件によるが、平均繊維長が0.7〜1.5mmである。雑誌古紙パルプの特徴は、新聞古紙パルプなどの通常の古紙パルプが機械パルプを5〜10%程度含むのに対し、機械パルプを20〜30%程度含み紙力が弱い原因となることである。しかるに、本発明に従えば、雑誌古紙脱墨パルプを使用したとしても、特性に優れた古紙含有ペーパータオルを得ることができる。
【0013】
本発明では、古紙パルプ原料スラリーを、好適には、カナディアンスタンダードフリーネスが、280〜350mlになるように調整され、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤をそれぞれパルプ原料に対し0.10〜0.30質量%含有するように添加し、円網抄紙機、短網抄紙機などにより抄紙する。
その際に、1プライ当たりの米坪が30〜50g/m2とする。抄紙機のドライヤー出口にドライクレープ加工する。クレープ率は13〜22%が望ましい。
【0014】
本発明で使用する湿潤紙力剤としては、ポリアクリルアミド・エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂などを使用できるが、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂が好適である。
【0015】
本発明で使用する乾燥紙力剤としては、アニオン性ポリアクリルアミド、PAM、澱粉、カチオン性ポリアクリルアミドなどを使用できるが、カチオン性ポリアクリルアマイドが好適である。
湿潤紙力剤/乾燥紙力剤の質量比はより望ましくは、0.6〜1.5である。
【0016】
本発明によれば、吸水量が150〜300g/m2である製品を得ることができる。この場合に吸水量は、シートにある一定の時間の間に浸み込み、保水した時の水の量を計測することによって測定できるものである。
【実施例】
【0017】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明の効果を明らかにする。
(実施例1〜5)
雑誌古紙脱墨パルプのパルプスラリーを表1に示すフリーネスに調整し、湿潤紙力剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(星光PMC社製「WS4024」)、及び乾燥紙力剤としてカチオン性ホリアクリルアミドポリアミド(ハリマ化成社製「ハーマイドDN−420」)、及びを添加し、丸網抄紙機、ヤンキードライヤーにて乾燥し製造した。ヤンキードライヤーの出口でドライクレープ加工をした。
得られたシートを、インターホルダーにより200組ものとして折り畳み製品とした。
各実施例の製造条件及び結果を表1に示す。
【0018】
(比較例1〜5)
表1に示すように製造条件を換えた。比較例の製造条件及び結果を表1に併せて示す。
測定及び評価条件は次記のとおりである。
〔米 坪〕:JIS P 8124に基づいて測定した。
〔乾燥紙力〕:JIS P 8113に基づいて測定した。
〔湿潤紙力〕:JIS P 8135に基づいて測定した。
〔吸水量〕:実施例及び比較例にかかるペーパータオルを100mm方に裁断し測定用試料とした。この測定試料を実施例、比較例毎に5枚準備し、各試料の重量を測定した。次いで、測定機の平面網状の試料支持部に測定試料を載せ、試料支持部を純水が満たされたバットに浸し、1分間浸漬させる。1分間浸漬後、試料支持部を上昇させ、30秒間放置して測定試料の水切りを行い、その後に再度測定試料の重量を測定した。そして、純水に浸漬した測定試料の重量から、浸漬前の測定試料の重量を除いて、増加した重量%を求め、5枚の平均値を算出して吸収量とした。
〔ウェブ嵩〕:200枚のシートをティシュペーパーのように組み合わせながら折りたたんだときのウェブ高さを測定した。
〔クレープ率〕: ドドライヤーとリールとの速度差をリール速度で割った数値をパーセント表示した。
【0019】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1プライ当たりの米坪が30〜50g/m2、古紙パルプを90〜100%含有し、平均繊維長が0.7〜1.5mmのパルプ原料を抄紙したものであり、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤をそれぞれ前記パルプ原料に対し0.10〜0.30質量%含有され、かつ、湿潤紙力剤/乾燥紙力剤の質量比が0.5〜1.5であり、ドライクレープが施されていることを特徴とする古紙含有ペーパータオル。
【請求項2】
クレープ率が13〜22%である請求項1記載の古紙含有ペーパータオル。
【請求項3】
吸水量が150〜300g/m2である請求項1または2項に記載の古紙含有ペーパータオル。

【公開番号】特開2008−255496(P2008−255496A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95404(P2007−95404)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】