説明

可動の把持体を備える継ぎ手を用いた管要素の連結方法

【課題】可動の把持体を備えた継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法を提供する。
【解決手段】
管要素を端部と端部とで連結する方法は、中央空間を囲むように互いの端部と端部とで連結される二つ以上のセグメントを備える継ぎ手を用いる。継ぎ手は、前記セグメントの二つの間に配置される少なくとも一つの把持体をさらに備える。管要素は、中央空間内に挿入される。セグメントおよび把持体は中央空間に向けて移動させられる。セグメントは、管要素の外面に係合する弓形面を備える。把持体は、管要素の外面に係合する把持面を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動の把持体を備えた継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管要素を端部と端部とで結合するための機械的継ぎ手は、例えば、化学産業、石油産業、鉱業、また、地方水道業、建物や他の構造物の消火システム等の、広い産業領域にわたり幅広い用途を見出している。
【0003】
現在利用されている従来の継ぎ手の一例が、特許文献1にあり、各セグメントの端部において突出部で受ける留め具により端部と端部とで連結される一対の継ぎ手セグメントを備える継ぎ手を開示している。シール部材が前記セグメント間に配置される。前記継ぎ手は工場において事前に組み立てられる。前記セグメントは、前記継ぎ手を分解し再び組み立てる必要なく、事前に組み立てられた状態で現場において前記継ぎ手セグメントの間に直接挿入される管要素を受け入れるように、設計されサイズ決めされる。前記管要素の挿入後、前記留め具は、前記管要素間で流体密封され機械的に拘束された結合をもたらすように、締め付けられる。
【0004】
このような継ぎ手を事前に組み立てることは、構成にかかる時間とそれによる費用とを抑えることができるため、好都合である一方で、前記留め具を締め付けるために、早くて疲れが少ないといった便宜上、動力工具がしばしば用いられる。しかしながら、電力源あるいは圧縮空気が使用できない場合、たとえそれらの工具が電池式であったとしても、動力工具の価値は限られる。さらに、電気火花を引き起こす動力工具は、例えば爆発条件が存在し得る鉱山などのような環境では用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7086131号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
事前に組み立てられることができ、ひいては、このような継ぎ手の費用面での利点及び便利さを確保することができ、その上、前記継ぎ手を設置する作業者によって手動で簡単に締め付けられるような管継ぎ手により、一対の管要素を連結する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法である。前記継ぎ手は、中央空間を囲むように互いの端部と端部とで連結される複数のセグメントであって、該セグメントの各々は前記管要素に係合可能な複数の弓形面を備え、該弓形面は前記中央空間に対向する前記セグメントと、前記セグメントの二つの間に配置される少なくとも一つの把持体であって、前記中央空間に対向する複数の把持面を備える前記把持体とを備える。前記方法は、前記管要素の各々を前記中央空間内に挿入する工程と、前記中央空間に向けて前記セグメントを移動させる工程と、前記セグメントの弓形面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程と、前記中央空間に向けて前記把持体を移動させる工程と、前記把持体の把持面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程とを備える。
【0008】
前記継ぎ手は、前記中央空間内にシールをさらに備えることができ、前記方法は、前記シールによって、互いに対して間隔をおいて前記セグメントを支持する工程をさらに備え得る。また、前記方法は、前記シールによって、前記把持体を支持する工程をさらに備え得る。前記セグメントの各々は、両端部に連結部材を備え、該連結部材は留め具を受け入れる開口部を備えることができ、前記方法は、前記留め具を用いて、前記セグメントを互いに連結する工程と、前記留め具を締め付けることによって、前記セグメントを前記中央空間に向けて移動させる工程とをさらに備え得る。前記管要素は、外面に円周方向の溝を備えることができ、前記方法は、前記円周方向の溝内に、前記セグメントの弓形面を係合させる工程をさらに備え得る。前記方法は、前記円周方向の溝内に、前記把持体の把持面を係合させる工程をさらに備え得る。前記方法は、前記各管要素上の前記円周方向の溝を前記セグメントの弓形面の各々および前記把持体の把持面の各々に整合させるように、前記管要素を挿入する工程をさらに備え得る。前記方法は、前記セグメントを互いに向けて移動させる工程をさらに備え得る。
【0009】
別の実施形態において、継ぎ手は、中央空間を囲むように互いの端部と端部とで連結される第一セグメントおよび第二セグメントであって、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの各々は、前記管要素に係合可能な少なくとも二つの弓形面を備え、該弓形面は前記中央空間に対向する前記第一セグメントおよび前記第二セグメントと、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの間に配置される第一把持体および第二把持体であって、前記第一把持体および前記第二把持体の各々は、前記中央空間に対向する少なくとも二つの把持面を備える前記第一把持体および前記第二把持体とを備え得る。このような継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法は、前記管要素の各々を前記中央空間内に挿入する工程と、前記中央空間に向けて前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを移動させる工程と、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの弓形面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程と、前記中央空間に向けて前記第一把持体および前記第二把持体を移動させる工程と、前記第一把持体および前記第二把持体の把持面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従う継ぎ手の実施形態の分解等角図。
【図2】図1に示す継ぎ手の断面図。
【図3】図1に示す継ぎ手の断面図。
【図4】図1に示す継ぎ手の等角図。
【図4A】本発明に従う継ぎ手の他の実施形態の等角図。
【図4B】本発明に従う継ぎ手の他の実施形態の等角図。
【図5】本発明に従う継ぎ手の別の実施形態の分解等角図。
【図6】図5に示す継ぎ手の正面図。
【図7】図5に示す継ぎ手の正面図。
【図8】図5に示す継ぎ手の等角図。
【図9】本発明に従う継ぎ手の別の実施形態の分解等角図。
【図10】図9に示す継ぎ手の部品の正面図。
【図11】図9に示す継ぎ手の等角図。
【図12】図11の12−12線断面図。
【図13】図9に示す継ぎ手の断面図。
【図14】図9に示す継ぎ手の断面図。
【図15】本発明に従う継ぎ手の別の実施形態の分解等角図。
【図16】本発明に従う継ぎ手の別の実施形態の分解図。
【図17】図16に示す継ぎ手の一部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に従う継ぎ手の実施形態10の分解等角図を示す。継ぎ手10は複数のセグメント12および14を含む。セグメント12および14は中央空間16を囲むように端部と端部とで連結可能である。前記セグメントの連結は、前記セグメント12および14それぞれの両端部に配置される連結部材18によって達成される。この実施形態において、前記連結部材は、前記セグメントの端部から外向きに延びる突出部20を含む。突出部20は、例えば、ボルト24およびナット26のような留め具を受け入れるように適合する開口部22を備える。締め付けの際には、前記留め具は、前記突出部20を調節できるように締め付け、前記突出部20と共に前記セグメント12および14を前記中央空間16に引き寄せる。
【0012】
各セグメントは一対の弓形面28を備える。面28は互いに間隔をおいて配置され、前記中央空間16の方を向く。前記弓形面は、突出部20を連結する前記留め具が前記セグメントを互いに引き寄せるように締め付けられる際に、管要素30に係合し固定する(図4参照)。前記弓形面は、前記管要素、平らな端部の管要素、裾の広い端部の管要素、又はショルダを備える管端の円周方向の溝に係合することができる。
【0013】
各セグメントは、前記連結部材18上に配置された、少なくとも一つの、しかし望ましくは複数の、反応面32も備える。図1に示す実施形態において、二つの反応面32が各突出部20上に配置される。前記反応面は、前記突出部に対して角度をもって配向され、約30度〜約60度の配向角34を備えることができ、前記中央空間16の方を向くように傾斜している。以下で説明するように、約45度の配向角が望ましい。
【0014】
継ぎ手10は一つ以上の把持体も含む。前記例示的実施形態において、二つの把持体36および38は、互いに向かい合う前記セグメント12および14の間に配置される。各把持体は一対の把持面40を備える。前記弓形面28と同様に、前記把持面は間隔をおいて配置され、前記中央空間16の方を向く。各把持体は、前記セグメント12および14の突出部20上の反応面32と向き合うように配置される一対の接触面42を備える。前記接触面は、前記突出部に対し角度をもって配向されてもおり、約30度〜約60度の配向角44を備え得る。以下で説明するように約45度の配向角が望ましい。望ましくは、前記配向角34および44は相互補完的である。つまり、それらはほぼ等しい角度配向を備える。
【0015】
前記継ぎ手10の組立の際、前記セグメント12および14と前記把持体36とによって、シール46が中央空間16内に取り込まれる。シール46は、前記継ぎ手10が管端部間に流体密封の結合を提供することを保証する。前記シール46は、変形していない状態において、管要素が前記継ぎ手を分解することなく前記中央空間16内に挿入されるために十分間隔をおいて、前記シールの外周48が前記セグメント12および14と前記把持体36および38とを支持するようにサイズ決めされる。
【0016】
図2および図3を参照しながら継ぎ手の作用について記載する。図2は、事前に組み立てられた段階で工場から受け取り、設置準備のできた前記継ぎ手10を示す。この構成において、前記留め具はまだ締め付けられておらず、そのため、管要素(明確にするために図示せず)を前記中央空間内に挿入できるように、前記セグメント12および14と前記把持体36および38とを前記中央空間16から半径方向外向きに離して配置することができる。前述したように、前記シール46は、管の挿入を容易にするために前記セグメントと把持体とを半径方向外側に保持するようにサイズ決めされる。挿入に関して、前記管要素は前記結合に対し流体密封を提供する前記シール46に係合する。次に、前記ボルト24およびナット26が締め付けられ、前記セグメント12および14を互いに引き寄せ、前記中央空間16に引き寄せる。前記セグメントが移動する際、前記弓形面28は、前記継ぎ手に前記管要素を固定するように前記管要素の外面と係合する。図3に示すように、前記セグメント12および14の相互の移動により、前記中央空間16に向かって内向きに、当該移動にほぼ垂直な方向に、前記把持体36および38が移動される。これにより、前記把持体36上の把持面40が前記管要素の外面に係合することが可能となる。前記把持体の前記中央空間16に向かう移動は、前記突出部20上の反応面32との前記把持体上の接触面42の相互作用によって達成される。前記接触面および前記反応面それぞれの前記角度配向44および34は、前記中央空間に向かう成分に分解される前記面間の力を与える。前記接触面に適応されるこの力は前記把持体の前記中央空間に向かう移動をもたらす。上述したように、前記反応面および前記接触面の両方にとって約45度の配向角が望ましい。前記45度の角度により、前記セグメント12および14と前記把持体36および38とが前記中央空間16に向かって移動する間、前記弓形面28と前記把持面40とが常に前記管要素30から等距離であると同時に、前記管要素と実質的に接触することが保証される。
【0017】
図2に示すように、前記把持体36、38の端面19とセグメント12および14のショルダ21との間に複数のギャップがある。前記ギャップ17は、前記把持体と前記セグメントとの間の相対的な移動を可能とする。前記ギャップは従来の継ぎ手のセグメントの間のギャップの約半分であり、したがって、図3に示すように、前記ギャップ17は事実上断面と断面とが一致する状態で密接するため、前記把持体及びセグメントは前記シール46を挟んでしまうという傾向がない。このことにより、シール46のより均一な圧縮をもたらし、加圧中に前記シールが押し出される経路を排除することができる。
【0018】
前記接触面と前記反応面との間の前記接合部が前記連結部材18(この実施例では突出部20)を互いに結合する前記留め具(ボルト24、ナット26)に近接して存在するように、前記反応面32を前記突出部20上に配置すること、そして、前記接触面42を前記中央空間16から実質的に半径方向外向きに突出させることは好都合である。前記シール46に作用する前記継ぎ手10内の内圧は、前記セグメント12および14と前記把持体36および38とを前記中央空間から離れるように強いるであろう。前記継ぎ手内の把持体に加わる力は、前記接触面42および前記反応面32の間の前記接合部で前記セグメントに伝わる。それらの角度配向により、前記接触面はくさびのように作用して、前記突出部20を離すように強いる傾向があるだろう。前記接合部を前記突出部と結合する前記留め具に近接して配置することによって、前記接合部が前記留め具からより離れている場合より、前記突出部が離される量は小さくなるだろう。前記接触面−反応面間接合部の前記有利な配置は、前記セグメントが離される量を最小にし、前記継ぎ手がより高い圧力に対して漏出することなく耐えることを可能とする。さらに、前記セグメントおよび前記把持体間の反力を前記留め具に近接して存在させることで、前記把持体による前記セグメントの歪みが小さくされ、前記継ぎ手がその円の形状をより良く維持する。
【0019】
図4Aは、本発明に従う継ぎ手の別の実施形態11を示す。この実施形態において、前記把持体36および38上の前記接触面42は凸形状を備える。これにより、前記セグメント12および14が互いに引き寄せられる際に、前記接触面42を前記反応面32に対して接線方向に係合させることが可能となり、前記把持体の前記中央空間に向かう移動を生じさせる反力をもたらす。前記反応面32は角度をもって配向されている。図4Bは、前記反応面32が凸形状を備え、前記接触面42が角度をもって配向される別の実施形態13を示す。これによっても、前記反応面及び前記接触面間の接線方向の係合が可能となり、前記セグメント12および14が互いに引き寄せられる際に、前記把持体の前記中央空間に向かう移動を生じさせる反力がもたらされる。
【0020】
図5は、本発明に従う継ぎ手の別の実施形態50の等角図を示す。継ぎ手50は、その両端部に配置される接触面52を伴う把持体36および38を備える。また、前記接触面は前記連結部材18に角度をもって配向され、前記連結部材18上に配置される反応面54と接触する。約30度〜約60度の前記接触面の配向角56が、この継ぎ手の設計にとって好都合である。前記反応面54の配向角は、図8に示すように前記接触面とほぼ等しいことが望ましい。
【0021】
継ぎ手50の作用は上述した継ぎ手10と類似している。図6に示すように、留め具58を締め付ける前、管要素が前記中央空間内に挿入されるように、前記セグメント12および14と前記把持体36および38とは前記中央空間16から外向きに離間している。図7に示すように前記留め具の締め付けは、前記セグメント12および14を互いに引き寄せて前記中央空間に引き寄せ、前記弓形面28が前記管要素の外面に係合することを可能とする。前記把持体36および38上の前記接触面52と前記セグメント12および14上の反応面54との間の相互作用が、前記留め具58が締め付けられる際に、前記把持体が前記中央空間に向かって内向きに移動するよう強いる。前記把持体の内向きの移動は、図8に示すように前記把持体の把持面40が前記管要素30に係合することを可能とする。
【0022】
図9は、本発明に従う継ぎ手の別の実施形態60の分解図を示す。継ぎ手60は継ぎ手セグメント12および14を含む。前記両セグメントは、向かい合うように配置され、各セグメントの両端部に配置される連結部材18によって端部と端部とで結合される。この実施形態においても、前述した実施形態と同様に、前記連結部材は、調節可能な締め付けが可能である留め具58を受け、外向きに延びる突出部20を含む。前記留め具の締め付けが、前記セグメント12および14を互いに引き寄せて前記中央空間16に引き寄せる。
【0023】
各セグメントは、互いに間隔をおいて配置され内側で向き合う弓形面28を備える。前記弓形面は各セグメントの前記端部間に配置される。各継ぎ手セグメント12および14の両端部に、反応面32が間隔をおいて配置される。前記反応面は、前記中央空間16の方へ内側を向いており、前記セグメントの接線方向に延びる。前記反応面は以下で述べるように角度をもって配向される。
【0024】
把持体36および38が前記継ぎ手60の両端部で前記セグメント12および14の間に配置される。各把持体は間隔をおいて配置され、内向きに向き合う把持面40を備える。望ましくは、図11に最も良く示されるように、前記継ぎ手が組み立てられる際、前記把持面40はそれぞれの弓形面28と整合する。再度図9を参照して、各把持体は間隔をおいて接触面42を備える。接触面42は、前記中央空間16から外を向いており、前記セグメント12および14上のそれぞれの反応面32に係合する。前記セグメントが例えば留め具58の前記締め付けによって互いに引き寄せられる際、さらに以下で説明するように、前記把持体上の前記接触面は前記セグメント上の反応面と共に、前記把持体を半径方向内向きに促す。
【0025】
シール46が前記継ぎ手セグメント12および14と前記把持体36および38との間に配置される。前記セグメント及び把持体の両方は、それぞれ前記弓形面28間と前記把持面40間とに位置し、シールを受け入れるチャネル62および64を備える。前記シール46の内周66は、前記継ぎ手によって流体密封を形成するように結合される管要素に係合する内向きのシール面68および70を備える。前記シール46は、変形していない状態において、前記継ぎ手を分解することなく管要素を前記中央空間16内に挿入するために十分間隔をおいて、前記シールの外周72が前記セグメント12および14と前記把持体36および38とを支持するようにサイズ決めされる。望ましくは、シール部材は、前記連結部材18を調節できるように締め付けることにより前記継ぎ手セグメントが互いに引き寄せられる際に変形するEPDMエラストマーのような弾性材料で形成されたリングである。
【0026】
図11は、事前に組み立てられた状態で使用可能な前記管継ぎ手60を示す。端部と端部とで管要素を連結する流体密封結合を達成するために、図12に示すように、前記セグメントが前記管要素の向き合う端部をまたぐように管要素30が前記シール部材46内に挿入される。前記管要素の外面の溝74が前記セグメントの弓形面(図示せず)と前記把持体36および38の把持面40とに整合するように、前記管要素はある程度挿入される。前記管要素の前記適切な深さへの挿入は、前記シール面68および70間に前記シール部材上に配置される管止め76によって容易に行なわれる。前記管止めは、前記管要素の端部に係合するために、かつ前記所望の挿入深さに制限するために、内側に突出する。
【0027】
図13は、挿入された管要素30を伴う前記継ぎ手60の断面図を示す。前記接触面42を把持体36および38上に係合させるセグメント12および14上の前記反応面32に着目する。前記留め具58が締め付けられ、図14に示すように前記セグメント12および14を互いに引き寄せる際、図12に示す前記把持体36および38上の把持面が前記管要素30の溝74に係合し保持するように前記把持体が半径方向内向きに移動されるようにして、前記反応面は角度をもって配向される。前記セグメント12および14の互いに向かう移動は、各セグメント上の前記弓形面28(図示せず)が同様に前記溝に係合し保持するようにもさせる。このようにして、前記管要素は端部と端部との関係を確保する。前記シール面68及び70を前記管要素の外面とさらに係合させるように、前記シール部材は半径方向内向きに変形する。この構成は比較的堅牢な結合を作り出す。前記弓形面の移動が該弓形面が前記溝の底と係合し固定しないように制限される場合、より柔軟な結合を代わりに設けることもできる。このためには、前記把持体の移動が前記反応面及び前記接触面の範囲あるいは長さによって制限される。前記連結部材18の接触を介する前記セグメントの移動を制限することによって、前記セグメント上の前記弓形面の前記中央空間に向かう移動の限界を制御することが望ましい。
【0028】
記述したように、前記継ぎ手の実施形態60は、前記管要素のための実質的に剛性の結合を提供する。すなわち、著しいたわみと、前記管要素の相対的な互いを向く軸方向の動き(圧縮及び伸長)とを避けるために、前記結合は全三軸方向(曲げ、軸力、そしてねじれ)に著しい剛性を備える。ねじれの変形も防止される。図9に最もよく示されるように、各セグメント12及び14上に前記連結部材18に近接して配置された前記角度付きの配向面78及び80により、前記結合の堅牢性が実現される。各セグメント上の前記面78及び80は逆の傾斜を備え、前記隣接するセグメント上の角度付きの配向面と向き合っている。前記セグメント12及び14が留め具58の締め付けによって互いに引き寄せられる時、各セグメント上の前記角度付きの配向面は相互に係合し、前記継ぎ手によって結合される前記管要素に対し垂直方向の軸82の周りに反対方向に前記セグメントが回転するように強いる。前記セグメントの回転は、参照することにより本明細書に含まれる米国特許第4611839号、第4639020号、第5758907号に記載されているように、前記弓形面28が前記管要素内の溝の側面に強制的に係合し、前記結合を強固にさせる。
【0029】
継ぎ手60により形成される管要素間の前記結合の堅牢性をさらに強めるために、前記把持体36及び38を、該把持体の端面84及び86が前記把持面40に対して角度をもって配向されるように、図9に示すように設計することができる。結果として菱形の断面となる把持体36の前記角度配向は図10に最もよく示される。前記端面84及び86は、前記セグメントが結合を形成する際に互いに引き寄せられる時、各セグメント12及び14上の内向きに突出するショルダ88に係合する。前記端面が前記ショルダ88に接する際、前記端面の角度配向は前記把持体36及び38を軸90の周りに反対方向に回転させる。軸90は前記継ぎ手セグメント12及び14で結合される前記管要素に対してほぼ垂直である。前記把持体の回転は、前記セグメント上の弓形面と同様に、該把持体上の把持面40が回転し、前記管要素内の溝の側面に強制的に係合するようにさせる。前記シール46を回転して変形することを避けるために、前記把持要素が軸90の周りに回転する際、基本的に半径方向の圧縮のみが生じた状態で、つまり、軸90の周りの前記シール部材の著しいねじれが存在しない状態で、前記チャネル64が前記シール部材と整合するように、各把持体内の前記チャネル64が回転と反対の方向に歪んでいる。
【0030】
前記端面84及び86の角度配向が前記セグメント12及び14の軸82の周りの回転を引き起こし、それによって、任意的に前記傾斜した面78及び80を設けることがさらに観測され、このことは必要に応じて前記セグメントをさらに回転させるために便利である。
【0031】
前記把持体36及び38の軸90の周りの回転は、図15に示すように前記内側に突出したショルダ88を角度をもって配向させることと、前記セグメント12及び14が互いに引き寄せられる際に前記把持体を回転させる前記ショルダの配向角92と、前記ショルダ88と前記把持体の端面84及び86とに係合することとによっても実現することができる。図9及び図15の特徴を組み合わせ、前記端面84及び86の両方を前記ショルダ88と同様に角度をもって配向させることも可能である。
【0032】
逆の傾斜を備える各セグメントの角度をもって配向される面を設けることも実現可能である。このような継ぎ手は堅牢な結合も提供し、前記面の相互作用は前記継ぎ手が逆方向に滑り、それによって前記溝の側面に係合するようにさせるだろう。前記結合がある程度の曲げ柔軟性を持つことが望まれる場合、前記連結部材に近接する前記面は傾斜をもたず、つまり、実質的に平らに作られることができる。
【0033】
図16は、本発明に従う継ぎ手の別の実施形態94の分解図を示す。継ぎ手94は、平らな端部の管要素、つまり、前記継ぎ手で強制的に係合するために前記端部に近接して、溝、ビード、拡大部、又は他の特徴を備えない管を一緒に連結するために用いられる。この実施形態の多くの構成要素は継ぎ手60と同様であり、詳細には記載しない。図1に示す前記シール部材46は、同一のあるいは同様のシール部材を継ぎ手94に用いることもできるが、明確にするために図6には示していない。
【0034】
前記継ぎ手94が平らな端部の管要素を固定することを可能とするために、二つの保持具96及び98が使われる。各保持具は、複数の柔軟で弾力のある歯102を備える環状バンド100を含む。前記歯は以下に記載するように前記管要素と係合するために半径方向内向きに突出している。保持具96上の歯が保持具98上の歯に向かって整合し、かつ逆もまた同様に整合した状態で、歯はまた前記バンド100の平面から外方へ角度をもって配向されている。前記歯の角度配向は、前記管要素が前記継ぎ手に挿入されることを可能とし、該歯が以下に記載するように前記管要素に強制的に係合する際、前記管要素が引き抜かれること防止する。前記ギャップ104から明らかなように、バンド100は分離されている。このギャップにより、前記歯を前記管要素に係合させるように前記バンドが半径方向に圧縮されることが可能となる。
【0035】
前記保持具は、セグメント12及び14内の溝106及び108内と、前記把持体36及び38内の溝110及び112内とで受けられる。組立時に、前記セグメント内の溝は前記把持体内の溝と整合することが望ましい。図16及び図17に示すように、前記管要素30が前記継ぎ手94内に挿入され、前記留め具58が締め付けられる際、前記セグメント12及び14は互いを引き寄せ、前記把持体36及び38は前記反応面32の前記接触面42との相互作用に応えて内向きに移動する。前記溝106と108と110と112との内向きの移動は、歯102が管要素30の前記面に係合するように、保持具96及び98の前記バンド100を内向きに圧縮する。前記歯は、該歯が前記管要素を内向きに歪め、前記継ぎ手内に挿入されること可能とするように曲がっている。しかし、前記管要素を前記継ぎ手から外そうとする力が加えられる時、前記歯は曲げられた歯のセルフジャミング特性によって、この移動を防止する。
【0036】
保持具96および98は、前記バンド100から外向きに突出する複数の爪を備えることが望ましい。図16に示すように、前記爪は前記セグメントの溝106及び108と前記把持体の溝110及び112とに係合し、前記保持具のある程度の半径方向の柔軟性を提供する。この付け加えられた柔軟性は、前記セグメントや管に寸法の変動があるにもかかわらず前記留め具58が締め付けられる際に、前記セグメント上の連結部材18が互いに隣接するパッド・ツー・パッド関係として知られる関係で前記セグメントが結合されることを可能とする。前記セグメントがパッド・ツー・パッドで結合することは、それによって前記留め具が完全に締め付けられることの視覚的識別が容易に可能となり、その結果、液体密封結合がなされたことを証明する特定値まで前記留め具を回転させるトルクを加える必要がなくなるので、好都合である。トルク測定を必要としないことは、トルクレンチを必要としないので前記継ぎ手の設置を簡単にする。
【0037】
本発明に従う継ぎ手は、該継ぎ手を前記事前に組み立てられた状態から手動工具を利用して容易に設置することを可能とする動く把持体を用いることによって、優位性を実現する。前記可動の把持体は、前記セグメントを接合するために要求されるトルクを下げ、前記管要素が流体密封結合を実現するように該管要素を固定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法であって、前記継ぎ手は、中央空間を囲むように互いの端部と端部とで連結される複数のセグメントであって、該セグメントの各々は前記管要素に係合可能な複数の弓形面を備え、該弓形面は前記中央空間に対向する前記セグメントと、前記セグメントの二つの間に配置される少なくとも一つの把持体であって、前記中央空間に対向する複数の把持面を備える前記把持体とを備え、
前記管要素の各々を前記中央空間内に挿入する工程と、
前記中央空間に向けて前記セグメントを移動させる工程と、
前記セグメントの弓形面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程と、
前記中央空間に向けて前記把持体を移動させる工程と、
前記把持体の把持面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程とを備える方法。
【請求項2】
前記継ぎ手は前記中央空間内にシールを備え、
前記シールによって、互いに対して間隔をおいて前記セグメントを支持する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記継ぎ手は前記中央空間内にシールを備え、
前記シールによって、前記把持体を支持する工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セグメントの各々は、両端部に連結部材を備え、該連結部材は留め具を受け入れる開口部を備え、
前記留め具を用いて、前記セグメントを互いに連結する工程と、
前記留め具を締め付けることによって、前記セグメントを前記中央空間に向けて移動させる工程とをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記管要素は、外面に円周方向の溝を備え、
前記円周方向の溝内に、前記セグメントの弓形面を係合させる工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記円周方向の溝内に、前記把持体の把持面を係合させる工程をさらに備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記各管要素上の前記円周方向の溝を前記セグメントの弓形面の各々および前記把持体の把持面の各々に整合させるように、前記管要素を挿入する工程をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記セグメントを互いに向けて移動させる工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
継ぎ手を用いて、一対の管要素を端部と端部とで連結する方法であって、前記継ぎ手は、中央空間を囲むように互いの端部と端部とで連結される第一セグメントおよび第二セグメントであって、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの各々は、前記管要素に係合可能な少なくとも二つの弓形面を備え、該弓形面は前記中央空間に対向する前記第一セグメントおよび前記第二セグメントと、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの間に配置される第一把持体および第二把持体であって、前記第一把持体および前記第二把持体の各々は、前記中央空間に対向する少なくとも二つの把持面を備える前記第一把持体および前記第二把持体とを備え、
前記管要素の各々を前記中央空間内に挿入する工程と、
前記中央空間に向けて前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを移動させる工程と、
前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの弓形面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程と、
前記中央空間に向けて前記第一把持体および前記第二把持体を移動させる工程と、
前記第一把持体および前記第二把持体の把持面の各々を前記管要素の一つの外面に係合させる工程とを備える方法。
【請求項10】
前記継ぎ手は前記中央空間内にシールを備え、
前記シールによって、互いに対して間隔をおいて前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを支持する工程をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シールによって、互いに対して間隔をおいて前記第一把持体および前記第二把持体を支持する工程をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの各々は、両端部に連結部材を備え、該連結部材は留め具を受け入れる開口部を備え、
前記留め具を用いて、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを互いに連結する工程と、
前記留め具を締め付けることによって、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを前記中央空間に向けて移動させる工程とをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記管要素は、外面に円周方向の溝を備え、
前記円周方向の溝内に、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの弓形面を係合させる工程をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記円周方向の溝内に、前記第一把持体および前記第二把持体の把持面を係合させる工程をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記各管要素上の前記円周方向の溝を前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの弓形面の各々および前記第一把持体および前記第二把持体の把持面の各々に整合させるように、前記管要素を挿入する工程をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一把持体および前記第二把持体を互いに向けて移動させる工程をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第一セグメントおよび前記第二セグメントを互いに向けて移動させる工程をさらに備える請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−13231(P2012−13231A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185812(P2011−185812)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2010−508555(P2010−508555)の分割
【原出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(503217015)ヴィクトリック カンパニー (19)
【Fターム(参考)】