説明

可動ボックス付可動柵

【課題】 本発明の目的は、植物を植栽可能なボックスを駐車上等の柵に付随させ、柵とボックスとを同時に支柱に沿って移動可能とし、従来の柵としての機能を確保しながら狭小な空間に植物を配置することが可能な可動ボックス付可動柵を提供することにある。
【解決手段】 外部空間と内部空間とを仕切るための可動式の柵18と、柵18に隣接して設けられ、内部に植物を植栽することのできるボックス17と、柵18及びボックス17を移動させるための駆動装置19と、を備えた可動ボックス付可動柵に関する。
柵18は、外部空間と内部空間とを仕切る位置と、外部空間と内部空間とを仕切らずに連通させる位置と、に移動し、ボックス17は、柵18の移動と同時に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽等を行うことが可能な可動式ボックスを備えた可動ボックス付可動柵に関し、特に可動式ボックス及び柵の双方が同時に支柱に沿って移動することが可能な可動ボックス付可動柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、生活空間に緑を確保するために、住宅に付随して庭や生垣が設けられていた。
しかし、現在の住宅事情においては、住宅と共に庭や生垣を建設するために十分な面積の土地を確保することは非常に困難である。
また、現在では、自動車保有率が上昇傾向にあり、上記庭や生垣と共に駐車空間を確保することが益々困難になっている。
【0003】
このような問題を解決するために、駐車場等の柵を生きた樹木で構成する可動柵が開発された(例えば、特許文献1)。
特許文献1の生きた樹木からなる可動柵によれば、駐車場を確保した上に、この駐車場の柵として樹木を植栽したプランタを使用するので、このプランタが柵の役割を果たすと共に、緑の空間を提供することとなる。
柵の代わりをするプランタは、左右にスライドしたり、上下に移動することによって、開閉するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−333934号公報(第8頁及び第14頁、図1、図5乃至図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、従来の柵に代えて樹木を植栽したプランタを使用しているため、駐車場の内外を完全に遮断することができないという問題点があった。
すなわち、樹木と樹木との間には、多少の空間が形成されるため、小動物等が駐車場内に侵入する可能性も考えられ、更に防犯上も好ましいとはいえないものであった。
このため、従来の柵の利点を確保するとともに、狭小なスペースにおいても緑を確保することができる柵等の仕切の開発が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、植物を植栽可能なボックスを駐車上等の柵に付随させ、柵とボックスとを同時に支柱に沿って移動可能とし、従来の柵としての機能を確保しながら狭小な空間に植物を配置することが可能な可動ボックス付可動柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、外部空間と内部空間とを仕切るための可動式の柵と、該柵に隣接して設けられ、内部に植物を植栽することのできるボックスと、前記柵及び前記ボックスを移動させるための駆動装置と、を備え、前記柵は、前記外部空間と前記内部空間とを仕切る位置と、前記外部空間と前記内部空間とを仕切らずに連通させる位置と、に移動し、前記ボックスは、前記柵の移動と同時に移動することにより解決される。
【0008】
このように構成されているため、駐車場の空間付近に植物を植栽可能な可動ボックスを設けることができると共に、駐車空間等の内部空間と、その外部の空間を確実に仕切るための柵を備えることができる。
よって、可動式のボックスに植栽された緑を確保することができると共に、内部空間と外部空間とを確実に仕切ることができる。
【0009】
このとき、前記ボックスは、前記柵の上部に配設されていると好適である。
また、このとき、前記ボックスは、前記柵よりも前記内部空間側に配設されていると好適である。
【0010】
このように構成されていると、可動式のボックスを駐車上等の柵に付随させ、柵とボックスとを同時に支柱に沿って移動させることが可能であるため、柵としての機能を確保しながら狭小な空間に植物を配置することができる。
【0011】
また、このとき、前記柵は、巻き取り式シャッタからなるよう構成されていると好適である。
更に、このとき、前記柵は、巻き取り式シャッタからなり、該巻取り式シャッタは、前記ボックス内部に巻き取られるよう構成されていると好適である。
このように構成されていると、シャッタを巻き取ることにより、可動式のボックスの下部の空間を広く確保することができるため、シャッタ開時の間口が広くなり好適である。
【0012】
また、このとき、前記駆動装置は、モータと、該モータの出力が伝達されるウインチと、該ウインチに巻き取られる少なくとも2本のチェーンを有して構成され、前記チェーンを介して、前記ボックス及び前記柵が、前記ウインチに接続されていると好適である。
【0013】
更に、このとき、前記駆動装置は、モータと、該モータの出力が伝達される一対のウインチと、該ウインチに巻き取られるチェーンと、前記一対のウインチを連結すると共に該一対のウインチの回転と共に同方向に回転するシャフトと、を有して構成され、前記柵は、巻き取り式シャッタであり、該巻き取り式シャッタの上端部は前記シャフトに固定され、前記チェーンを介して前記ボックスが前記ウインチに接続されていると好適である。
【0014】
このように構成されていると、遠隔操作によりモータを駆動することで、簡易に可動式ボックス及び柵を移動させ、柵を開閉することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、植物を植栽可能な可動式のボックスを駐車場等の柵に付随させ、柵とボックスとを同時に支柱に沿って移動させるように構成されている。
よって、柵としての空間を仕切るという機能を確保しながら、狭小な空間に植物を配置することができる。
また、柵を巻き取り式シャッタとして構成すれば、シャッタを巻き取ることによって、可動式のボックスの下部空間を広く確保することができるため、シャッタ開時の間口を広く確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
なお、本明細書での「柵」という用語は、鉄鋼製の柵、木製の柵、上下動式シャッタ、巻き取り式シャッタ等、空間を仕切るための部材全てを広く指すものである。
【0017】
図1乃至図5は、本発明に係る可動ボックス付可動柵の一実施形態を示すものであり、図1は可動ボックス付可動柵の閉時の斜視図、図2は可動ボックス付可動柵の開時の斜視図、図3は可動ボックスの説明図、図4は可動ボックスの平面図、図5は駆動部を示す説明図である。
なお、図6乃至図10は、本発明に係る可動ボックス付可動柵の改変例を示すものであり、図6は第2可動ボックス付可動柵の閉時の斜視図、図7は第2可動ボックス付可動柵の開時の斜視図、図8は第3可動ボックス付可動シャッタの閉時の斜視図、図9は第3可動ボックス付可動シャッタの開時の斜視図、図10は第2可動ボックスの説明図である。
【0018】
本実施形態に係る可動ボックス付可動柵10は、図1乃至図5に示すように、土台11,11、後部支柱12,12、前部支柱13,13、補強バー14,14、滑車支持バー15,15、案内部材16,16、可動ボックス17、柵18、駆動機構19を主要構成としている。
本実施形態に係る可動ボックス付可動柵10は、内部空間の開口に配設されて、外部空間と内部空間を仕切っている。
内部空間は、例えば、駐車場、倉庫、庭等に利用される空間である。
可動ボックス付可動柵10が、内部空間の開口に位置しているときは、内部空間が外部空間から仕切られており、車の出し入れや人の入出が行われるときには、可動ボックス付可動柵10を移動させて開口を開放する。
【0019】
本実施形態に係る土台11,11は、公知の門扉用支柱であり、略長方形状のコンクリートから形成されている。
なお、土台11,11は、可動ボックス付可動柵10の全重量を支持するのに十分な強度を備えたものが使用される。
土台11の上面11aには、支柱埋設孔11b,11bが、図1のY方向に並列して2個形成されている。
支柱埋設孔11b,11bは、上面11aから鉛直方向に穿孔されている。
【0020】
本実施形態に係る後部支柱12,12は、略円柱形状の鉄鋼製棒体であり、その一端側が、図1の奥側の支柱埋設孔11b,11bに各々挿入され、土台11,11に対して略垂直に起立するように固定される。
本実施形態に係る前部支柱13,13は、略円柱形状の鉄鋼製棒体であり、その一端側が、図1の手前側(図1のY方向側)の支柱埋設孔11b,11bに各々挿入され、土台11,11に対して略垂直に起立するように固定される。前部支柱13,13の長さ(図1のX方向の長さ)は、後部12,12の長さより若干長く形成されている。
【0021】
本実施形態に係る補強バー14,14は、略長方形状の鉄鋼製板体であり、後部支柱12,12と、前部支柱13,13の下部に固定されている。補強バー14、14は、後部支柱12,12と、前部支柱13,13との間を架橋するように固定されている。
【0022】
本実施形態に係る滑車支持バー15,15は、略長方形状の鉄鋼製板体であり、後部支柱12,12と、前部支柱13,13の上部(図1のX方向側)に固定されている。滑車支持バー15、15は、後部支柱12,12と、前部支柱13,13との間を架橋するように固定され、後述する第1滑車19i及び第2滑車19jが固定されている。
【0023】
本実施形態に係る案内部材16,16は、公知のチェーン方向転換用部材であり、図示しない略円弧状のガイド溝に沿って、第1柵吊チェーン19l、第2柵吊チェーン19nの方向を略90度転換させる。
案内部材16,16は、前部支柱13,13の前側(図1のY方向側)に固定されている。また、案内部材16,16は、滑車支持バー15,15が固定されている位置とほぼ同じ高さ(図1のX方向)に固定されている。
【0024】
本実施形態に係る可動ボックス17は、有底の筐体である。
可動ボックス17を構成する素材は、鉄鋼、プラスティック、セラミック、レンガ等、内部に土若しくはオアシス等を充填し、樹木を植栽するに足る強度を有していれば、どのような素材を使用しても良い。
また、使用する駆動源であるモータ19Aの出力を考慮し、適切な重量の素材が選択される。
更に、可動ボックス付可動柵10が設置される住宅等のデザインに応じて適切な素材が選択される。
【0025】
本実施形態に係る可動ボックス17は、図3及び図4に示すように、略長方形状の底壁17aの各辺から、長側壁17b,17b及び短側壁17c,17cが略垂直に起立した筐体として形成されている。なお、図3は、説明のため、各壁の厚みを省略して図示している。
可動ボックス17の内部には、主駆動部配設部仕切壁17d、補助駆動部配設部仕切壁17f、仕切壁17hが備えられている。
また、本実施形態に係る可動ボックス17は、後部支柱12,12と前部支柱13,13との間に配設されている。また、可動ボックス17は、図1の状態(柵18が閉じた状態)で、後部支柱12,12の長さ(図1のX方向の長さ)のほぼ中央部に配設されている。なお、可動ボックス17の下部には、後述する柵18が配設されている。
【0026】
主駆動部配設部仕切壁17dは、略長方形状の板体であり、短側壁17c、17cと略平行となるように、長側壁17b,17bの端部から若干内側の位置で固定されている。
また、主駆動部配設部仕切壁17dには、モータ19Aの出力軸19cを貫通させるための出力軸貫通孔17iと、シャフトを貫通させるためのシャフト貫通孔17jとが並列して形成されている。
この主駆動部配設部仕切壁17d、短側壁17c(短側壁17c,17cのうち主駆動部配設部仕切壁17dと近い側の短側壁17c)、長側壁17b,17bで形成された空間が主駆動部配設空間17eとなる。
この主駆動部配設空間17eには、後述する駆動部18の一部が配設される。
また、図1に示すように、この主駆動部配設空間17eを形成する短側壁17cの上端部には、チェーンを固定するための主駆動側固定部材17pが固定されている。
【0027】
また、補助駆動部配設部仕切壁17fは、略長方形状の板体であり、短側壁17c、17cと略平行となるように、長側壁17b,17bの端部(主駆動部配設部仕切壁17dが配設されている側と反対側の端部)から若干内側の位置で固定されている。
また、補助駆動部配設部仕切壁17fには、シャフトを貫通させるためのシャフト貫通孔17kが、シャフト貫通孔17jと対応する位置に形成されている。
この補助駆動部配設部仕切壁17f、短側壁17c(短側壁17c,17cのうち補助駆動部配設部仕切壁17fと近い側の短側壁17c)、長側壁17b,17bで形成された空間が補助駆動部配設空間17gとなる。
この補助駆動部配設空間17gには、後述する駆動部18の一部が配設される。
また、図1に示すように、この補助駆動部配設空間17gを形成する短側壁17cの上端部には、チェーンを固定するための補助駆動側固定部材17qが固定されている。
【0028】
仕切壁17hは、略長方形状の板体であり、主駆動部配設部仕切壁17d、補助駆動部配設部仕切壁17f、長側壁17b,17bで囲まれた空間に、底壁17aと略並行となるように配設される。
仕切壁17hは、対向する長辺の長さが、主駆動部配設部仕切壁17dと補助駆動部配設部仕切壁17f間の距離とほぼ等しくなるように形成され、対向する短辺の長さが、主駆動部配設部仕切壁17d及び補助駆動部配設部仕切壁17fの短辺の長さとほぼ等しくなるように形成されている。よって、仕切壁17hを、主駆動部配設部仕切壁17d、補助駆動部配設部仕切壁17f、長側壁17b,17bで囲まれた空間に、底壁17aと略並行となるように挿入すれば、仕切壁17hは、当該空間に嵌合することとなる。
【0029】
このように、仕切壁17hは、主駆動部配設部仕切壁17d、補助駆動部配設部仕切壁17f、長側壁17b,17bで囲まれた空間に嵌合した状態で固定される。
なお、仕切壁17h、主駆動部配設部仕切壁17d、補助駆動部配設部仕切壁17f、長壁17h,17hで囲まれた空間の上部側(図3のZ方向側)を植栽空間17lとし、下部側(図3のZ方向と反対側)を、駆動部配設空間17mとする。
駆動部配設空間17mには、図4に示すとおり、モータ19A、シャフト18gが配設され、植栽空間17lには、図示しない樹木等が植えつけられる。
なお、可動ボックス17の後部支柱12,12と対向する位置及び前部支柱13,13と対向する位置には、図示しないガイドローラが固定されており、後部支柱12,12及び前部支柱13,13に配設された図示しないガイドレール上を移動可能となっている。
【0030】
本実施形態に係る柵18は、公知の柵であり、素材は住宅のデザイン等により適宜選択される。
本実施形態に係る柵18は、縦枠18a、18a及び横枠18b、18bを備えた略長方形上の柵であり、横枠18b,18bと略平行な複数のバーを備えている。
また、上側(図1のX方向側)の横枠18b上部両端部には、チェーン固定部材18c,18cが固定されている。
柵18は、可動ボックス17の下側に配設される。
また、柵18は、前部支柱13,13の前側(図1のY方向側)に、前部支柱13,13に沿って移動可能となるように配設されている。
すなわち、縦枠18a,18aの前部支柱13,13に対向する側には、図示しないガイドローラが固定されており、この図示しないガイドローラが前部支柱13,13に配設された図示しないガイドレール上を移動することによって、柵18は前部支柱13,13に沿って移動可能となっている。
【0031】
駆動機構19は、図5に示すように、モータ19A、第1プーリ19e、第1ウインチ19f、ベルト19p、第2ウインチ19h、第1滑車19i、第2滑車19j、第1可動ボックス吊チェーン19k、第1柵吊チェーン19l、第2可動ボックス吊チェーン19m、第2柵吊チェーン19n、シャフト19gを主要構成とする。
本実施形態に係るモータ19Aは、公知のモータであり、図示しない配線を介して図示しない操作盤に接続されており、操作盤からの指令によって作動する。
【0032】
モータ19Aは、本体部19b、出力軸19c、出力プーリ19dを主要構成とする。
本体部19bは、公知の固定具で長側壁17bの内側(駆動部配設空間17m側)に固定されている。
出力軸19cは、可動ボックス17の出力軸貫通孔17iを貫通して、本体部19bに接続されていない側の端部が、主駆動部配設空間17eに配設されている。
また、出力軸19cの本体側と接合されていない側の端部には、出力プーリ19dが固定されており、本体部19cの作動により、その回転が出力プーリ19dに伝えられる。
出力プーリ19d及び第1プーリ19eは、公知のプーリであり、出力プーリ19d及び第1プーリ19eには、ベルト19pが旋回されている。
よって、出力プーリ19dの回転方向と同方向に第1プーリ19eは回転する。
【0033】
第1ウインチ19fは、公知の巻上ウインチであり、その中央部に第1プーリ19eが固定されている。よって、第1プーリの回転方向と同方向に第1ウインチ19fは回転する。
なお、出力プーリ19d、第1プーリ19e、第1ウインチ19f、ベルト19pは、可動ボックス17の主駆動部配設空間17eに配設されている。
シャフト19gは、棒状の部材であり、可動ボックス17のシャフト貫通孔17j及びシャフト貫通孔17kを貫通して、主駆動部配設空間17e、駆動部配設空間17m、補助駆動部配設空間17gに渡って配設されている。
また、シャフト19g一端部は、第1プーリ19eの中央部を貫通した状態で第1プーリ19eに固定されており、他端側は、可動ボックス17の補助駆動部配設空間17gに配設されている。
【0034】
第2ウインチ19hは、公知の巻上ウインチであり、補助駆動部配設空間17gに配設されている。
また、第2ウインチ19hの中央部には、シャフト19gの他端側が固定されている。
よって、第2ウインチ19hは、第1プーリ19e及び第1ウインチ19fの回転方向と同方向に回転する。
このように、出力プーリ19d、第1プーリ19e、第1ウインチ19f、第2ウインチ19hは、モータ19Aの回転出力と同方向に回転する。
【0035】
第1可動ボックス吊チェーン19k及び第1柵吊チェーン19lは、公知のチェーンであり、吊下げる可動ボックス17の重量に応じてその強度が選択される。
また、第1可動ボックス吊チェーン19kは、第1ウインチ19fと主駆動側固定部材17pとを接続し、第1柵吊チェーン19lは、第1ウインチ19fとチェーン固定部材18c(主駆動部側)とを接続する。
第1滑車19iは、公知の滑車であり、滑車支持バー15(主駆動部側)の外側に固定されており、第1可動ボックス吊チェーン19k及び第1柵吊チェーン19lの方向を転換する。
【0036】
第1可動ボックス吊チェーン19kは、その一端が第1ウインチ19fに固定され、第1滑車19iを介して約180度方向が転換され、他端側が可動ボックス17の主駆動側固定部材17pに固定されている。
第1柵吊チェーン19lは、その一端が第1ウインチ19fに固定され、第1滑車19iを介して約90度方向を転換されて案内部材16に導かれる。次いで、第1柵吊チェーン19lは案内部材16を介して約90度方向が転換され、その他端側がチェーン固定部材18c(主駆動部側)に固定される。
すなわち、第1ウインチ19fに固定された第1柵吊チェーン19lは、図1のX方向へ向かって伸び、第1滑車19iによって、図1のY方向へ約90度方向を転換される。
更に、図1のY方向へ伸びた第1柵吊チェーン19lは、案内部材16によって、図1のX方向と反対方向に約90度方向を転換させられ、柵18のチェーン固定部材18cに固定される。
【0037】
また、第2可動ボックス吊チェーン19mは、第2ウインチ19hと可動ボックス17の補助駆動側固定部材17qとを接続し、第2柵吊チェーン19nは、第2ウインチ19hと柵18のチェーン固定部材18c(補助駆動部側)とを接続する。
第2滑車19jは、公知の滑車であり、滑車支持バー15(補助駆動部側)の外側に固定されており、第2可動ボックス吊チェーン19m及び第2柵吊チェーン19nの方向を転換する。
【0038】
第2可動ボックス吊チェーン19mは、その一端が第2ウインチ19hに固定され、第2滑車19jを介して約180度方向が転換され、他端側が補助駆動側固定部材17qに固定されている。
第2柵吊チェーン19nは、その一端が第2ウインチ19hに固定され、第2滑車19jを介して約90度方向を転換されて案内部材に導かれる。次いで、第2柵吊チェーン19nは案内部材16を介して約90度方向が転換され、その他端側がチェーン固定部材18c(補助駆動部側)に固定される。
すなわち、第2ウインチ19hに固定された第2柵吊チェーン19nは、図1のX方向へ向かって伸び、第2滑車19jによって、図1のY方向へ約90度方向を転換される。
更に、図1のY方向へ伸びた第2柵吊チェーン19nは、案内部材16によって、図1のX方向と反対方向に約90度方向を転換させられ、チェーン固定部材18cに固定される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る可動ボックス付可動柵10によれば、図1の状態で、モータ19Aを作動させることにより、出力プーリ19dが、図5のS方向に回転すると、第1ウインチ19f及び第2ウインチ19hも同方向であるS方向に回転し、第1可動ボックス吊チェーン19k、第1柵吊チェーン19l、第2可動ボックス吊チェーン19m、第2柵吊チェーン19nが第1ウインチ19f及び第2ウインチ19hに巻き取られ、可動ボックス17及び柵18が上昇する。そして、図2に示すように柵18が開いた状態となる。
【0040】
また、図2の状態で、モータ19AをS方向と逆方向に回転させると、第1ウインチ19f及び第2ウインチ19hも同方向に回転し、第1可動ボックス吊チェーン19k、第1柵吊チェーン19l、第2可動ボックス吊チェーン19m、第2柵吊チェーン19nが第1ウインチ19f及び第2ウインチ19hから巻き戻り、可動ボックス17及び柵18が下降する。そして、図1に示すように柵18が閉まった状態となる。
なお、図1、図2のいずれの状態においても、可動ボックス17は、柵18と共に上昇するので、柵が開いた状態で、可動ボックス17が人や車の通行の妨げとなることはない。
【0041】
ただし、本実施形態に係る駆動機構19の構成は一例であり、可動ボックス17及び柵18を上昇及び下降させる機構であれば、どのような機構であってもよい。
例えば、巻上ウインチを、可動ボックス17の動作用と柵18の動作用とに分けて、複数使用し、各々にモータを接続してもよい。このように構成すると、可動ボックス17と柵18とを別個に動かすことが可能となる。
【0042】
更に、本実施形態に係る可動ボックス付可動柵10には、図示しない挟み込み防止センサが備えられており、図2の状態で柵18及び可動ボックス17と地面との間に物体を感知したときには、安全装置が働き、モータ19Aは作動しないように構成されている。
挟み込み防止センサは、超音波センサ及び赤外線センサ等の公知のセンサが使用される。
また、本実施形態に係る可動ボックス付可動柵10では、柵18の下端部や可動ボックス17に近接センサを配設し、下げ止まり及び上げ止まりを感知させ、モータ19Aを停止させるよう構成されているが、モータ19Aに回転センサを配設して、回転数を検知することにより下げ止まり及び上げ止まりを感知させ、モータ19Aを停止させても良い。
【0043】
図6及び図7は、本発明の改変例である第2可動ボックス付可動柵20である。
第2可動ボックス付可動柵20の基本構成は、可動ボックス付可動柵10と同様であるので、相違点のみ説明する。
本実施形態においては、可動ボックス17は、柵18の裏面側に配設されている。
よって、柵18が閉じた状態では図6の状態に、柵18が開いた状態では、図7の状態となる。
可動ボックス17及び柵18の駆動機構19に関しては、可動ボックス付可動柵10と同様である。
【0044】
この第2可動ボックス付可動柵20は、可動ボックス17の上部の空間を広く確保できるため、可動ボックス17に比較的高さのある樹木を植栽する際に有利である。
また、図7のように、可動ボックス17及び柵18を上昇させた場合には、可動ボックス付可動柵10に比して、柵18の下部の空間を比較的広く確保することができるため、車高の高い自動車が出入りするためのゲートとして使用する場合には有利である。
更に、柵18と可動ボックス17の2重の仕切りを形成することができるため、駐車場等のゲートとして使用する場合には、防犯上有利である。
【0045】
図8乃至図10は、本発明の改変例である第3可動ボックス付可動シャッタ30である。
第3可動ボックス付可動シャッタ30の基本構成は、可動ボックス付可動柵10と同様であるので、相違点のみ説明する。
本実施形態においては、柵18は、巻き取り式のシャッタ180として形成されている。
よって、シャッタ18が閉じた状態では図8の状態に、シャッタ180が開いた状態では、図9の状態となる。
シャッタ180は、公知の巻き取り式シャッタである。
図10に示すように、第2可動ボックス170は、シャフト19gの下部に位置する底面に略長方形状の切り欠き部170aが設けられていること以外は、可動ボックス17と同様の構成である。
また、駆動機構190は、第1柵吊チェーン19l及び第2柵吊チェーン19nが存在しないこと以外は、可動ボックス付可動柵10と同様の構成である。
【0046】
シャッタ180の上部は、切り欠き部170aを貫通してシャフト19gに固定されており、シャフト19gが、図5のS方向に回転すると、シャッタ180が巻き取られるように構成されている。
第3可動ボックス付可動柵30においては、図9のように、可動ボックス170及びシャッタ180を上昇させた場合には、第2可動ボックス付可動柵20に比して、シャッタ180の下部の空間を比較的広く確保することができるため、車高の高い自動車が出入りするためのゲートとして使用する場合には有利である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る可動ボックス付可動柵の閉時の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る可動ボックス付可動柵の開時の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る可動ボックスの説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る可動ボックスの平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る駆動部を示す説明図である。
【図6】本発明の改変例である第2可動ボックス付可動柵の閉時の斜視図である。
【図7】本発明の改変例である第2可動ボックス付可動柵の開時の斜視図である。
【図8】本発明の改変例である第3可動ボックス付可動シャッタの閉時の斜視図である。
【図9】本発明の改変例である第3可動ボックス付可動シャッタの開時の斜視図である。
【図10】本発明改変例である第2可動ボックスの説明図である。
【符号の説明】
【0048】
10 可動ボックス付可動柵
11 土台
11a 上面
11b 支柱埋設孔
12 後部支柱
13 前部支柱
14 補強バー
15 滑車支持バー
16 案内部材
17 ボックス(可動ボックス)
17a 底壁
17b 長側壁
17c 短側壁
17d 主駆動部配設部仕切壁
17e 主駆動部配設空間
17f 補助駆動部配設部仕切壁
17g 補助駆動部配設空間
17h 仕切壁
17i 出力軸貫通孔
17j シャフト貫通孔
17k シャフト貫通孔
17l 植栽空間
17m 駆動部配設空間
17p 主駆動側固定部材
17q 補助駆動側固定部材
18 柵
18a 縦枠
18b 横枠
18c チェーン固定部材
19 駆動装置(駆動機構)
19A モータ
19b 本体部
19c 出力軸
19d 出力プーリ
19e 第1プーリ
19f ウインチ(第1ウインチ)
19g シャフト
19h ウインチ(第2ウインチ)
19i 第1滑車
19j 第2滑車
19k チェーン(第1可動ボックス吊チェーン)
19l チェーン(第1柵吊チェーン)
19m チェーン(第2可動ボックス吊チェーン)
19n チェーン(第2柵吊チェーン)
19p ベルト
20 第2可動ボックス付可動柵
30 第3可動ボックス付シャッタ
170 第2可動ボックス
170a 切り欠き部
180 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間と内部空間とを仕切るための可動式の柵と、
該柵に隣接して設けられ、内部に植物を植栽することのできるボックスと、
前記柵及び前記ボックスを移動させるための駆動装置と、を備え、
前記柵は、前記外部空間と前記内部空間とを仕切る位置と、前記外部空間と前記内部空間とを仕切らずに連通させる位置と、に移動し、
前記ボックスは、前記柵の移動と同時に移動することを特徴とする可動ボックス付可動柵。
【請求項2】
前記ボックスは、前記柵の上部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付き可動柵。
【請求項3】
前記ボックスは、前記柵よりも前記内部空間側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付き可動柵。
【請求項4】
前記柵は、巻き取り式シャッタからなることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付可動柵。
【請求項5】
前記柵は、巻き取り式シャッタからなり、該巻取り式シャッタは、前記ボックス内部に巻き取られることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付可動柵。
【請求項6】
前記駆動装置は、モータと、該モータの出力が伝達されるウインチと、該ウインチに巻き取られる少なくとも2本のチェーンを有して構成され、
前記チェーンを介して、前記ボックス及び前記柵が、前記ウインチに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付可動柵。
【請求項7】
前記駆動装置は、モータと、該モータの出力が伝達される一対のウインチと、該ウインチに巻き取られるチェーンと、前記一対のウインチを連結すると共に該一対のウインチの回転と共に同方向に回転するシャフトと、を有して構成され、
前記柵は、巻き取り式シャッタであり、該巻き取り式シャッタの上端部は前記シャフトに固定され、前記チェーンを介して前記ボックスが前記ウインチに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の可動ボックス付可動柵。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−94839(P2006−94839A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288067(P2004−288067)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】