可動式長尺物用リール
【課題】 長尺物の巻き取りおよび引き出し操作が容易、巻き取り・引き出し量の調節も容易な可動式長尺物用リールを提供すること。
【解決手段】 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであり、リール部は巻き取りドラム８および同軸に固設された受動輪２とからなり、台車部は車輪１の設けられた架台３と把持用アーム杆６とからなり、台車部にはリール部の軸７を支持するリール軸支持部４が設けられ、リール軸支持部４には軸７を前後方向に可動とするレール構造５が、軸７の可動範囲内で受動輪２と車輪１とが接触可能なように設けられる。
【解決手段】 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであり、リール部は巻き取りドラム８および同軸に固設された受動輪２とからなり、台車部は車輪１の設けられた架台３と把持用アーム杆６とからなり、台車部にはリール部の軸７を支持するリール軸支持部４が設けられ、リール軸支持部４には軸７を前後方向に可動とするレール構造５が、軸７の可動範囲内で受動輪２と車輪１とが接触可能なように設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は可動式長尺物用リールに係り、特に、ホース、コード等の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作が容易、かつ巻き取り・引き出し量の調節が容易であり、長尺物の変形や老化を防止することのできる、可動式長尺物用リールに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、 ホースリールのホースの巻き取りおよび引き出し方法としては、ハンドルを回して行う巻き取りや手作業による引き出しが主である。これを移動を利用して行うものとしては、ベルトやチェーン等を利用し摩擦板などで回転を制御して巻き取る方式（特許文献１）や、ホースリールのホースを駆動車輪に圧接して巻き取る方式（特許文献２）などが知られている。
【０００３】
【特許文献１】実用新案出願公開平０１−１６９５７４「ホースリール」
【特許文献２】特許出願公告 Ｓ５５−５４７５「スプレー散布車」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、従来からのホースの巻き取りや引き出し方法は、ホースリール付属の取っ手を回して行うなど手作業が主であり、特許文献１開示技術のように移動式のベルト等による巻き取り方式では、移動距離とホースリールの巻き込み量に差を生じ、摩擦板やクラッチ操作等による矯正を施してもなお巻き込み量調節には限界があり、不具合を充分に解消できなかった。
【０００５】
また、特許文献２開示技術のように直接駆動輪でホースリールのホースを圧接し巻き取りを行う方式では、ホースリールの自重に依るホースの変形のため、ホースの巻余りがおきたり、圧接によるホースの老化を早めるといった問題があった。そして結局、これらいずれの方式も、取扱いやすさ、操作性に欠けるものであった。
【０００６】
また、かかる問題は撒水、薬剤散布等に用いるホースについてのみならず、電源コードその他ドラムに巻き取ることのできる長尺物一般についてもいえることである。
【０００７】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、ホースその他の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作が容易であり、かつ巻き取り・引き出し量の調節も容易であり、ホース等の変形や老化を効果的に防止することのできる、可動式長尺物用リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本願発明者は上記課題について検討した結果、長尺物巻き取り用の巻き取りドラムに、台車の車輪に対して接・離可能な受動輪を設ける構成によって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
（１） 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該台車部には該リール部の軸を支持するリール軸支持部が設けられており、該リール軸支持部は、該リール部の軸をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造が、該軸の可動範囲内において該受動輪と該車輪とが接触可能なように設けられていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
（２） 前記車輪は、前記架台の前方側に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて前記リール軸支持部に支持された前記リール部の軸を前方に移動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、（１）に記載の可動式長尺物用リール。
（３） 前記リール軸支持部は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能であることを特徴とする、（１）または（２）に記載の可動式長尺物用リール。
（４） 前記レール構造には、前記リール部の軸の移動を制止し得る制止構造が設けられていることを特徴とする、（３）に記載の可動式長尺物用リール。
（５） 前記制止構造は、前記レール構造の後端部に形成された鉤状部であり、前記リール部の軸は該鉤状部に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得ることを特徴とする、（４）に記載の可動式長尺物用リール。
【０００９】
（６） 前記リール部の軸は、前記レール構造を転動または摺動可能であることを特徴とする、（１）ないし（５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（７） 前記リール部の軸は、前記レール構造を、前記巻き取りドラムの回動とは独立に回動可能であることを特徴とする、（１）ないし（５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（８） 前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、（１）ないし（７）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（９） 前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、（１）ないし（８）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【００１０】
なお、上述の本発明とは別に、次のような解決手段も可能である（本願出願時未公開の特願２００６−７６に係る発明）。
（別１） 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該架台には該リール部の軸が軸架された軸受けアーム杆が、本可動長尺物用リールの前後方向に揺動可能に枢設されており、該揺動範囲の一端において該受動輪と該車輪とは接触可能なように配置されていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
（別２） 前記車輪は、前記軸受けアーム杆と比べて前記把持用アーム杆により近い位置すなわち前方に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて該軸受けアーム杆を前方に揺動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、（別１）に記載の可動式長尺物用リール。
（別３） 前記軸受けアーム杆には、その後方への揺動を制止するための制止用具が取り付けられていることを特徴とする、（別２）に記載の可動式長尺物用リール。
（別４） 前記制止用具は少なくとも後方側端部の閉じられたレール構造を備えて前記台車部に取り付けられており、前記軸受けアーム杆は摺動部材を備えており、該摺動部材は該レール構造に摺設されていることを特徴とする、（別３）に記載の可動式長尺物用リール。
（別５） 前記制止用具の後方側端部には、前記軸受けアーム杆を係止することのできる係止部が備えられていることを特徴とする、（別４）に記載の可動式長尺物用リール。
【００１１】
（別６） 前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、（別１）ないし（別５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（別７） 前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、（別１）ないし（別４）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【００１２】
図６、７はこれら別発明の基本的構成を示す説明図であり、図６は架台を接地している状態を、図７は把持用アーム杆を前方に揺動させ移動準備されている状態を、それぞれ示す側面視の説明図である。
【００１３】
（１）〜（７）に示した本願に係る発明は、図６、７に示した別発明（別１）〜（別７）と比較すると、台車部に固定されたリール軸支持部にてリール部を支持でき、また該リール部の両側に亘って軸を掛け渡す構造であるため、より耐久性が高く、作動の安定性の高い装置とすることができ、また全体構成としても簡素なものとすることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の可動式長尺物用リールは上述のように構成されるため、これによれば、ホースその他の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作を容易に行うことができる。また、巻き取り量の調節も容易となる。さらに、ホース等の長尺物の変形や老化を効果的に防止することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図１は、本発明の可動式長尺物用リールの台車部の要部構成を示す側面視説明図、
図２は、本発明の可動式長尺物用リールの概略構成を示す側面視説明図であり、架台を接地している状態を示している。つまり、装置停止時または収納時の状態を示す。また、
図３は、図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させて、受動輪を車輪と接させた状態を示す側面視の説明図である。つまり、本装置の移動時の状態を示す。
【００１６】
これらに図示するように本可動式長尺物用リールは、台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラム８と該巻き取りドラム８と同軸にその外側に固設された受動輪２とからなり、該台車部は車輪１の設けられた架台３と、該架台３に連続して設けられた把持用アーム杆６とからなり、該台車部には該リール部の軸７を支持するリール軸支持部４が設けられており、該リール軸支持部４は、該リール部の軸７をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造５が、該軸７の可動範囲内において該受動輪２と該車輪１とが接触可能なように設けられていることを、主たる構成とする。
【００１７】
また、可動式長尺物用リールは、前記車輪１が前記架台３の前方側に設けられ、該把持用アーム杆６を前方に傾斜させて前記リール軸支持部４に支持された前記リール部の軸７を前方に移動させることによって前記受動輪２を該車輪１に接触させ、該車輪１の回転を該受動輪２に伝動可能であるように構成される。
【００１８】
かかる構成により本可動式長尺物用リールでは、該把持用アーム杆６を前方に傾斜させることにより、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７が該レール構造５上において前方に移動して、それによって該リール部の該受動輪２が該車輪１に接触するため、該車輪１の回転が該受動輪２に伝動される。該受動輪２に伝動された回転はそのまま巻き取りドラム８の回転となり、これにセットされたホース、コードその他の長尺物は、その回転方向によって該巻き取りドラム８に巻き取られたり、逆に巻きが解かれて引き出されたりする。
【００１９】
一方、該把持用アーム杆６を後方に傾斜させた場合には、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７が該レール構造５上において後方に移動し、それによって該リール部の該受動輪２は該車輪１から離れた状態となるため、該車輪１の回転が該受動輪２に伝動されることはない。したがって、該車輪１の回転すなわち台車の移動の如何に関わらず、該車輪１の回転が該リール部に伝動されることはなく、該巻き取りドラム８にセットされたホース、コードその他の長尺物は、該台車の移動によって該巻き取りドラム８に巻き取られたり、逆に巻きが解かれて引き出されたりすることはない。
【００２０】
また、該リール部の軸７を該レール構造５上において前方に移動させ、位置させる場合に、該把持用アーム杆６の傾斜加減や、あるいはこれを上下方向上にて動かすことによって該車輪１と受動輪２の接圧を増減することも可能であり、それによって該受動輪２の該車輪１への接触度合いが制御され得る。したがって、該車輪１の回転の該受動輪２への伝動量が制御され得るため、該巻き取りドラム８への長尺物巻き込み・引き出しのピッチが調節され、長尺物の巻き過ぎ防止や、一定した巻圧での巻き込み・引き出しが可能である。
【００２１】
つまり本発明可動式長尺物用リールは、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７を該レール構造５上において前後方に自在に移動させることによって、これと連設された該受動輪２と該車輪１との伝動断続状態を制御して、該台車移動と該リール部回転の連動を制御するものである。
【００２２】
前出各図に示されるように、本可動式長尺物用リールの前記リール軸支持部４は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能な構成とすることができる。つまり図の例のように、前記架台３と前記把持用アーム杆６の計２点において固定したり、あるいはこのような固定が可能な構成とするものである。本発明はかかる構成に限定されるものではなく、たとえば架台３側にのみ、あるいは把持用アーム杆６側にのみ、１点で固定する構成等も含むものであるが、前記リール部を支持するという該リール軸支持部４の機能上、複数点でのより強固な固定が望ましいといえる。
【００２３】
また、前記レール構造５上における前記リール部の軸７の円滑な移動方法として、該リール部の軸７は、該レール構造５を転動または摺動可能な構成とするのが望ましい。また転動の場合は、意図せぬ長尺物の巻き取り等が発生しないよう、該リール部の軸７は、前記巻き取りドラム８の回動とは独立に回動可能な構成とすることができる。
【００２４】
図４は、図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させつつも、リール部の前方への移動を制止した状態を示す側面視の説明図である。つまり、車輪と受動輪が離れたままで本装置が移動可能な状態を示す。図示するように本可動式長尺物用リールは、前記レール構造５に、該リール部の軸７の移動を制止し得る制止構造９を設けた構成とすることができる。
【００２５】
図において該制止構造９は、該レール構造５の後端部に形成された鉤状部であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば該レール構造５中に設けられる分岐構造でもよい。図では、該リール部の軸７は該鉤状部をなす制止構造９に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆６の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得る。
【００２６】
これにより、該リール部の軸７は該レール構造５の本線部分に入らず、したがって該リール部は前方へは移動しないため、前記車輪１と前記受動輪２とが離れたままの状態が維持されつつ、本可動式長尺物用リールを移動させることができる。したがって、移動による該車輪１の回動と連動して長尺物を巻き取ったり、引き出したりする必要がない場合、あるいは連動した巻き取り等を避けたい場合には便利である。もちろんこの状態においても、手動による引き出しや巻き取りは可能である。
【００２７】
図示しないが、前記車輪１または前記受動輪２の少なくともいずれか一方には、両者１、２間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられた構成とすることができる。かかる構成により、該車輪１−受動輪２間の伝動制御の安定性を高めることができる。
【００２８】
また、該車輪１と前記巻き取りドラム８は、その回転距離が等しくなるように、該車輪１、該受動輪２および該巻き取りドラム８の軸比もしくは伝動構造を構成するものとすることもできる。
【００２９】
以上説明したように本発明の可動式長尺物用リールを用いれば、台車の車輪１の回転を利用して巻き取りドラム８を回すことができ、ホース等の長尺物の巻き取りまたは引き出しを、接離制御可能な台車の車輪１とリール部の受動輪２との接圧連動を利用して、長尺物用に手を触れることなく行うことができる。
【００３０】
そして、台車の取っ手部分を有する把持用アーム杆６を傾斜させたり、あるいはまた上下方向上にて動かすことによって、リール部を前後間で動かし、台車の安定した停止状態や台車の移動によるホース等の巻き取りおよび引き出しを可能としたものである。
【００３１】
また、把持用アーム杆６の上下動によっても、車輪１と受動輪２との接圧の増減が可能であり、ホース等長尺物の一定した巻圧での巻き取りが可能である。
【００３２】
なおまた、移動によるホース等長尺物の巻き取り過剰の時には、リール部はホース等に引っ張られるため、車輪１と受動輪２は離れて接圧摩擦が減り、巻き取りが停止するかあるいはその程度が一時弱まる。そして、さらなる移動によって再び巻き取りは開始されるが、このような巻き取りや引き出しの調整が自動的になされる。また、巻き取り等のピッチや程度は、取っ手の上下動によって車輪１と受動輪２の接圧を増減制御することによっても可能であり、ホース等の巻き過ぎ等を防止し、一定した巻圧で巻き込みができるため、ホース等の劣化防止、自重による変形の防止、ひいては長寿命化にも効果がある。
【００３３】
図５は、本発明可動式長尺物用リールの一実施例として製造したホースリールの要部を示す写真図である。図示するように制止構造３９としては、前方・後方への傾斜程度によって充分にリール部の軸の前方への移動を制止し得る屈曲構造や、上述した鈎状の構造を用いることができる。該実施例は、上述した本発明の作用効果をすべて発揮することができた。また、図６等により示した別発明と比較して製造が容易であった。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明の可動式長尺物用リールは上述のように構成されているため、たとえばこれをホースリールに用いた場合は、ホースに手を触れることなくその巻き取りまたは引き出し作業を容易にかつ効率よく行うことができる。撒水、薬剤散布といった用途の他、電源コードの取扱いなど長尺物に適用することができ、複数の産業分野にわたって利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の可動式長尺物用リールの台車部の要部構成を示す側面視説明図である。
【図２】本発明の可動式長尺物用リールの概略構成を示す側面視説明図であり、架台を接地している状態を示している。
【図３】図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させて、受動輪を車輪と接させた状態を示す側面視の説明図である。
【図４】図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を、前方に揺動させつつもリール部の前方への移動を制止した状態を示す側面視の説明図である。
【図５】本発明可動式長尺物用リールの一実施例として製造したホースリールの要部を示す写真図である。
【図６】可動式長尺物用リールについて別の構成を示す説明図であり、架台を接地している状態を示す側面視の説明図である。
【図７】図５の可動式長尺物用リールについて、把持用アーム杆を前方に揺動させ移動準備されている状態を示す側面視の説明図である。
【符号の説明】
【００３６】
１、３１…車輪
２、３２…受動輪
３、３３…架台
４、３４…リール軸支持部
５、３５…レール構造
６、３６…把持用アーム杆
７、３７…軸
８、３８…巻き取りドラム
９、３９…制止構造
【００３７】
５１…車輪
５２…受動輪
５３…架台
５４…軸受けアーム杆
５４Ｃ…支点
５５…制止用具
５５１…レール構造
５６…把持用アーム杆
５７…軸
５８…巻き取りドラム
【技術分野】
【０００１】
本発明は可動式長尺物用リールに係り、特に、ホース、コード等の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作が容易、かつ巻き取り・引き出し量の調節が容易であり、長尺物の変形や老化を防止することのできる、可動式長尺物用リールに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、 ホースリールのホースの巻き取りおよび引き出し方法としては、ハンドルを回して行う巻き取りや手作業による引き出しが主である。これを移動を利用して行うものとしては、ベルトやチェーン等を利用し摩擦板などで回転を制御して巻き取る方式（特許文献１）や、ホースリールのホースを駆動車輪に圧接して巻き取る方式（特許文献２）などが知られている。
【０００３】
【特許文献１】実用新案出願公開平０１−１６９５７４「ホースリール」
【特許文献２】特許出願公告 Ｓ５５−５４７５「スプレー散布車」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、従来からのホースの巻き取りや引き出し方法は、ホースリール付属の取っ手を回して行うなど手作業が主であり、特許文献１開示技術のように移動式のベルト等による巻き取り方式では、移動距離とホースリールの巻き込み量に差を生じ、摩擦板やクラッチ操作等による矯正を施してもなお巻き込み量調節には限界があり、不具合を充分に解消できなかった。
【０００５】
また、特許文献２開示技術のように直接駆動輪でホースリールのホースを圧接し巻き取りを行う方式では、ホースリールの自重に依るホースの変形のため、ホースの巻余りがおきたり、圧接によるホースの老化を早めるといった問題があった。そして結局、これらいずれの方式も、取扱いやすさ、操作性に欠けるものであった。
【０００６】
また、かかる問題は撒水、薬剤散布等に用いるホースについてのみならず、電源コードその他ドラムに巻き取ることのできる長尺物一般についてもいえることである。
【０００７】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、ホースその他の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作が容易であり、かつ巻き取り・引き出し量の調節も容易であり、ホース等の変形や老化を効果的に防止することのできる、可動式長尺物用リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本願発明者は上記課題について検討した結果、長尺物巻き取り用の巻き取りドラムに、台車の車輪に対して接・離可能な受動輪を設ける構成によって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
（１） 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該台車部には該リール部の軸を支持するリール軸支持部が設けられており、該リール軸支持部は、該リール部の軸をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造が、該軸の可動範囲内において該受動輪と該車輪とが接触可能なように設けられていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
（２） 前記車輪は、前記架台の前方側に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて前記リール軸支持部に支持された前記リール部の軸を前方に移動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、（１）に記載の可動式長尺物用リール。
（３） 前記リール軸支持部は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能であることを特徴とする、（１）または（２）に記載の可動式長尺物用リール。
（４） 前記レール構造には、前記リール部の軸の移動を制止し得る制止構造が設けられていることを特徴とする、（３）に記載の可動式長尺物用リール。
（５） 前記制止構造は、前記レール構造の後端部に形成された鉤状部であり、前記リール部の軸は該鉤状部に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得ることを特徴とする、（４）に記載の可動式長尺物用リール。
【０００９】
（６） 前記リール部の軸は、前記レール構造を転動または摺動可能であることを特徴とする、（１）ないし（５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（７） 前記リール部の軸は、前記レール構造を、前記巻き取りドラムの回動とは独立に回動可能であることを特徴とする、（１）ないし（５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（８） 前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、（１）ないし（７）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（９） 前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、（１）ないし（８）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【００１０】
なお、上述の本発明とは別に、次のような解決手段も可能である（本願出願時未公開の特願２００６−７６に係る発明）。
（別１） 台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該架台には該リール部の軸が軸架された軸受けアーム杆が、本可動長尺物用リールの前後方向に揺動可能に枢設されており、該揺動範囲の一端において該受動輪と該車輪とは接触可能なように配置されていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
（別２） 前記車輪は、前記軸受けアーム杆と比べて前記把持用アーム杆により近い位置すなわち前方に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて該軸受けアーム杆を前方に揺動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、（別１）に記載の可動式長尺物用リール。
（別３） 前記軸受けアーム杆には、その後方への揺動を制止するための制止用具が取り付けられていることを特徴とする、（別２）に記載の可動式長尺物用リール。
（別４） 前記制止用具は少なくとも後方側端部の閉じられたレール構造を備えて前記台車部に取り付けられており、前記軸受けアーム杆は摺動部材を備えており、該摺動部材は該レール構造に摺設されていることを特徴とする、（別３）に記載の可動式長尺物用リール。
（別５） 前記制止用具の後方側端部には、前記軸受けアーム杆を係止することのできる係止部が備えられていることを特徴とする、（別４）に記載の可動式長尺物用リール。
【００１１】
（別６） 前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、（別１）ないし（別５）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
（別７） 前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、（別１）ないし（別４）のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【００１２】
図６、７はこれら別発明の基本的構成を示す説明図であり、図６は架台を接地している状態を、図７は把持用アーム杆を前方に揺動させ移動準備されている状態を、それぞれ示す側面視の説明図である。
【００１３】
（１）〜（７）に示した本願に係る発明は、図６、７に示した別発明（別１）〜（別７）と比較すると、台車部に固定されたリール軸支持部にてリール部を支持でき、また該リール部の両側に亘って軸を掛け渡す構造であるため、より耐久性が高く、作動の安定性の高い装置とすることができ、また全体構成としても簡素なものとすることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の可動式長尺物用リールは上述のように構成されるため、これによれば、ホースその他の長尺物の巻き取りおよび引き出し操作を容易に行うことができる。また、巻き取り量の調節も容易となる。さらに、ホース等の長尺物の変形や老化を効果的に防止することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図１は、本発明の可動式長尺物用リールの台車部の要部構成を示す側面視説明図、
図２は、本発明の可動式長尺物用リールの概略構成を示す側面視説明図であり、架台を接地している状態を示している。つまり、装置停止時または収納時の状態を示す。また、
図３は、図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させて、受動輪を車輪と接させた状態を示す側面視の説明図である。つまり、本装置の移動時の状態を示す。
【００１６】
これらに図示するように本可動式長尺物用リールは、台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラム８と該巻き取りドラム８と同軸にその外側に固設された受動輪２とからなり、該台車部は車輪１の設けられた架台３と、該架台３に連続して設けられた把持用アーム杆６とからなり、該台車部には該リール部の軸７を支持するリール軸支持部４が設けられており、該リール軸支持部４は、該リール部の軸７をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造５が、該軸７の可動範囲内において該受動輪２と該車輪１とが接触可能なように設けられていることを、主たる構成とする。
【００１７】
また、可動式長尺物用リールは、前記車輪１が前記架台３の前方側に設けられ、該把持用アーム杆６を前方に傾斜させて前記リール軸支持部４に支持された前記リール部の軸７を前方に移動させることによって前記受動輪２を該車輪１に接触させ、該車輪１の回転を該受動輪２に伝動可能であるように構成される。
【００１８】
かかる構成により本可動式長尺物用リールでは、該把持用アーム杆６を前方に傾斜させることにより、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７が該レール構造５上において前方に移動して、それによって該リール部の該受動輪２が該車輪１に接触するため、該車輪１の回転が該受動輪２に伝動される。該受動輪２に伝動された回転はそのまま巻き取りドラム８の回転となり、これにセットされたホース、コードその他の長尺物は、その回転方向によって該巻き取りドラム８に巻き取られたり、逆に巻きが解かれて引き出されたりする。
【００１９】
一方、該把持用アーム杆６を後方に傾斜させた場合には、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７が該レール構造５上において後方に移動し、それによって該リール部の該受動輪２は該車輪１から離れた状態となるため、該車輪１の回転が該受動輪２に伝動されることはない。したがって、該車輪１の回転すなわち台車の移動の如何に関わらず、該車輪１の回転が該リール部に伝動されることはなく、該巻き取りドラム８にセットされたホース、コードその他の長尺物は、該台車の移動によって該巻き取りドラム８に巻き取られたり、逆に巻きが解かれて引き出されたりすることはない。
【００２０】
また、該リール部の軸７を該レール構造５上において前方に移動させ、位置させる場合に、該把持用アーム杆６の傾斜加減や、あるいはこれを上下方向上にて動かすことによって該車輪１と受動輪２の接圧を増減することも可能であり、それによって該受動輪２の該車輪１への接触度合いが制御され得る。したがって、該車輪１の回転の該受動輪２への伝動量が制御され得るため、該巻き取りドラム８への長尺物巻き込み・引き出しのピッチが調節され、長尺物の巻き過ぎ防止や、一定した巻圧での巻き込み・引き出しが可能である。
【００２１】
つまり本発明可動式長尺物用リールは、該レール構造５上に支持されている該リール部の軸７を該レール構造５上において前後方に自在に移動させることによって、これと連設された該受動輪２と該車輪１との伝動断続状態を制御して、該台車移動と該リール部回転の連動を制御するものである。
【００２２】
前出各図に示されるように、本可動式長尺物用リールの前記リール軸支持部４は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能な構成とすることができる。つまり図の例のように、前記架台３と前記把持用アーム杆６の計２点において固定したり、あるいはこのような固定が可能な構成とするものである。本発明はかかる構成に限定されるものではなく、たとえば架台３側にのみ、あるいは把持用アーム杆６側にのみ、１点で固定する構成等も含むものであるが、前記リール部を支持するという該リール軸支持部４の機能上、複数点でのより強固な固定が望ましいといえる。
【００２３】
また、前記レール構造５上における前記リール部の軸７の円滑な移動方法として、該リール部の軸７は、該レール構造５を転動または摺動可能な構成とするのが望ましい。また転動の場合は、意図せぬ長尺物の巻き取り等が発生しないよう、該リール部の軸７は、前記巻き取りドラム８の回動とは独立に回動可能な構成とすることができる。
【００２４】
図４は、図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させつつも、リール部の前方への移動を制止した状態を示す側面視の説明図である。つまり、車輪と受動輪が離れたままで本装置が移動可能な状態を示す。図示するように本可動式長尺物用リールは、前記レール構造５に、該リール部の軸７の移動を制止し得る制止構造９を設けた構成とすることができる。
【００２５】
図において該制止構造９は、該レール構造５の後端部に形成された鉤状部であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば該レール構造５中に設けられる分岐構造でもよい。図では、該リール部の軸７は該鉤状部をなす制止構造９に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆６の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得る。
【００２６】
これにより、該リール部の軸７は該レール構造５の本線部分に入らず、したがって該リール部は前方へは移動しないため、前記車輪１と前記受動輪２とが離れたままの状態が維持されつつ、本可動式長尺物用リールを移動させることができる。したがって、移動による該車輪１の回動と連動して長尺物を巻き取ったり、引き出したりする必要がない場合、あるいは連動した巻き取り等を避けたい場合には便利である。もちろんこの状態においても、手動による引き出しや巻き取りは可能である。
【００２７】
図示しないが、前記車輪１または前記受動輪２の少なくともいずれか一方には、両者１、２間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられた構成とすることができる。かかる構成により、該車輪１−受動輪２間の伝動制御の安定性を高めることができる。
【００２８】
また、該車輪１と前記巻き取りドラム８は、その回転距離が等しくなるように、該車輪１、該受動輪２および該巻き取りドラム８の軸比もしくは伝動構造を構成するものとすることもできる。
【００２９】
以上説明したように本発明の可動式長尺物用リールを用いれば、台車の車輪１の回転を利用して巻き取りドラム８を回すことができ、ホース等の長尺物の巻き取りまたは引き出しを、接離制御可能な台車の車輪１とリール部の受動輪２との接圧連動を利用して、長尺物用に手を触れることなく行うことができる。
【００３０】
そして、台車の取っ手部分を有する把持用アーム杆６を傾斜させたり、あるいはまた上下方向上にて動かすことによって、リール部を前後間で動かし、台車の安定した停止状態や台車の移動によるホース等の巻き取りおよび引き出しを可能としたものである。
【００３１】
また、把持用アーム杆６の上下動によっても、車輪１と受動輪２との接圧の増減が可能であり、ホース等長尺物の一定した巻圧での巻き取りが可能である。
【００３２】
なおまた、移動によるホース等長尺物の巻き取り過剰の時には、リール部はホース等に引っ張られるため、車輪１と受動輪２は離れて接圧摩擦が減り、巻き取りが停止するかあるいはその程度が一時弱まる。そして、さらなる移動によって再び巻き取りは開始されるが、このような巻き取りや引き出しの調整が自動的になされる。また、巻き取り等のピッチや程度は、取っ手の上下動によって車輪１と受動輪２の接圧を増減制御することによっても可能であり、ホース等の巻き過ぎ等を防止し、一定した巻圧で巻き込みができるため、ホース等の劣化防止、自重による変形の防止、ひいては長寿命化にも効果がある。
【００３３】
図５は、本発明可動式長尺物用リールの一実施例として製造したホースリールの要部を示す写真図である。図示するように制止構造３９としては、前方・後方への傾斜程度によって充分にリール部の軸の前方への移動を制止し得る屈曲構造や、上述した鈎状の構造を用いることができる。該実施例は、上述した本発明の作用効果をすべて発揮することができた。また、図６等により示した別発明と比較して製造が容易であった。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明の可動式長尺物用リールは上述のように構成されているため、たとえばこれをホースリールに用いた場合は、ホースに手を触れることなくその巻き取りまたは引き出し作業を容易にかつ効率よく行うことができる。撒水、薬剤散布といった用途の他、電源コードの取扱いなど長尺物に適用することができ、複数の産業分野にわたって利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の可動式長尺物用リールの台車部の要部構成を示す側面視説明図である。
【図２】本発明の可動式長尺物用リールの概略構成を示す側面視説明図であり、架台を接地している状態を示している。
【図３】図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を前方に揺動させて、受動輪を車輪と接させた状態を示す側面視の説明図である。
【図４】図２に示す本発明可動式長尺物用リールの把持用アーム杆を、前方に揺動させつつもリール部の前方への移動を制止した状態を示す側面視の説明図である。
【図５】本発明可動式長尺物用リールの一実施例として製造したホースリールの要部を示す写真図である。
【図６】可動式長尺物用リールについて別の構成を示す説明図であり、架台を接地している状態を示す側面視の説明図である。
【図７】図５の可動式長尺物用リールについて、把持用アーム杆を前方に揺動させ移動準備されている状態を示す側面視の説明図である。
【符号の説明】
【００３６】
１、３１…車輪
２、３２…受動輪
３、３３…架台
４、３４…リール軸支持部
５、３５…レール構造
６、３６…把持用アーム杆
７、３７…軸
８、３８…巻き取りドラム
９、３９…制止構造
【００３７】
５１…車輪
５２…受動輪
５３…架台
５４…軸受けアーム杆
５４Ｃ…支点
５５…制止用具
５５１…レール構造
５６…把持用アーム杆
５７…軸
５８…巻き取りドラム
【特許請求の範囲】
【請求項１】
台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該台車部には該リール部の軸を支持するリール軸支持部が設けられており、該リール軸支持部は、該リール部の軸をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造が、該軸の可動範囲内において該受動輪と該車輪とが接触可能なように設けられていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
【請求項２】
前記車輪は、前記架台の前方側に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて前記リール軸支持部に支持された前記リール部の軸を前方に移動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、請求項１に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項３】
前記リール軸支持部は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能であることを特徴とする、請求項１または２に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項４】
前記レール構造には、前記リール部の軸の移動を制止し得る制止構造が設けられていることを特徴とする、請求項３に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項５】
前記制止構造は、前記レール構造の後端部に形成された鉤状部であり、前記リール部の軸は該鉤状部に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得ることを特徴とする、請求項４に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項６】
前記リール部の軸は、前記レール構造を転動または摺動可能であることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項７】
前記リール部の軸は、前記レール構造を、前記巻き取りドラムの回動とは独立に回動可能であることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項８】
前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、請求項１ないし７のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項９】
前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、請求項１ないし８のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項１】
台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、該リール部はホース、コードその他の長尺物を巻き取るための巻き取りドラムと該巻き取りドラムと同軸にその外側に固設された受動輪とからなり、該台車部は車輪の設けられた架台と、該架台に連続して設けられた把持用アーム杆とからなり、該台車部には該リール部の軸を支持するリール軸支持部が設けられており、該リール軸支持部は、該リール部の軸をこれが掛け渡された状態で直接支持しつつこれを前後方向に可動のものとなさしめるためのレール構造が、該軸の可動範囲内において該受動輪と該車輪とが接触可能なように設けられていることを特徴とする、可動式長尺物用リール。
【請求項２】
前記車輪は、前記架台の前方側に設けられ、該把持用アーム杆を前方に傾斜させて前記リール軸支持部に支持された前記リール部の軸を前方に移動させることによって前記受動輪を該車輪に接触させ、該車輪の回転を該受動輪に伝動可能であることを特徴とする、請求項１に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項３】
前記リール軸支持部は、前記台座部に２点以上で固定されている、もしくは固定可能であることを特徴とする、請求項１または２に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項４】
前記レール構造には、前記リール部の軸の移動を制止し得る制止構造が設けられていることを特徴とする、請求項３に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項５】
前記制止構造は、前記レール構造の後端部に形成された鉤状部であり、前記リール部の軸は該鉤状部に引っ掛けられることによって、前記把持用アーム杆の前方傾斜がなされた場合であっても前方への移動が制止され得ることを特徴とする、請求項４に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項６】
前記リール部の軸は、前記レール構造を転動または摺動可能であることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項７】
前記リール部の軸は、前記レール構造を、前記巻き取りドラムの回動とは独立に回動可能であることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項８】
前記車輪または前記受動輪の少なくともいずれか一方には、両者間における伝動の損失防止もしくは抑制のため、その表面に凹凸構造もしくは噛合構造が設けられていることを特徴とする、請求項１ないし７のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【請求項９】
前記車輪と前記巻き取りドラムは、その回転距離が等しくなるよう、該車輪、前記受動輪および該巻き取りドラムの軸比もしくは伝動構造が構成されていることを特徴とする、請求項１ないし８のいずれかに記載の可動式長尺物用リール。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図６】
【図７】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図６】
【図７】
【図５】
【公開番号】特開２００７−１９７１２７（Ｐ２００７−１９７１２７Ａ）
【公開日】平成１９年８月９日（２００７．８．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１５７１５（Ｐ２００６−１５７１５）
【出願日】平成１８年１月２４日（２００６．１．２４）
【出願人】（５０６００５４００）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年８月９日（２００７．８．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１月２４日（２００６．１．２４）
【出願人】（５０６００５４００）
【Ｆターム（参考）】
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