説明

可変容量型ラジアルピストン流体作動機械

大型の流体作動機械がアクセス不能な場所、たとえば、風力タービンタワーのナセル内で必要となる用途に使用される可変容量型流体作動機械。この機械は、内側リングと外側リングを含み、内側リングと外側リングの一方は、駆動シャフトに連結された回転可能なリングカムを備え、もう一方は、各リングの周囲に、円周方向に離間された複数の半径方向に延びるピストンを備える。外側リングは、軸方向に離間された第一と第二の構造部材と、その間に取り外し可能に保持される複数の取り外し可能なブロックを備え、取り外し可能なブロックは、ピストンシリンダまたはリングカムセグメントのいずれかを備える。取り外し可能なブロックは、メンテナンスと修理を容易にし、内側リングに半径方向にアクセスしやすくするように、半径方向に取り外し可能である。その結果できるギャップから、内側リングの構成部品もまた、半径方向に取り外してよい。取り外し可能なブロックはまた、構造的機能も有するため、機械の質量は、そうでない場合に必要な質量より軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転リングカムを有する可変容量型ラジアルピストン流体作動機械に関する。本発明は特に、たとえば風力タービンタワーのナセルの中等、メンテナンスが困難な環境で使用される大型流体作動機械に関する。
【背景技術】
【0002】
流体作動機械には、ポンプ、モータ等の流体被動式および/または流体原動式機械および、異なる動作モードでポンプまたはモータのいずれかとして機能できる機械が含まれる。
【0003】
流体作動機械がポンプとして動作する場合、低圧マニホルドが一般に、基本的な流体供給源として機能し、高圧マニホルドが一般に、基本的な流体シンクとして機能する。流体作動機械がモータとして動作する場合は、高圧マニホルドが一般に、基本的な流体供給源として機能し、低圧マニホルドが一般に、基本的な流体シンクとして機能する。この説明と付属の特許請求の範囲の中では、「高圧マニホルド」と「低圧マニホルド」という用語は相対的であり、相対圧力は用途ごとに決まる。本発明のいくつかの実施形態において、低圧マニホルドの中の圧力は大気圧よりずっと高く、たとえば数気圧であるが、これは、通常の動作中の高圧マニホルドの中の圧力より低いであろう。流体作動機械は、1つより多い低圧マニホルドと1つより多い高圧マニホルドを有していてもよい。
【0004】
大型の変位リングカムを用いた流体作動機械(すなわち、カムの周囲に配置された多数のピストンを駆動する大型の回転する環状のカムを有し、各ピストンがカムの1回転中に何往復もする機械)が知られており、入力は低速回転によるが、比較的高速で発電する再生可能エネルギー分野で使用するものとして提案されている(Rampen,Taylor&Riddoch,Gearless transmissions for wind turbines,DEWEK,Bremen,Dec.2006)。リングカム流体作動機械は一般に、複数のローラを有し、これらのローラは波形カムの上で転動し、シリンダ内のピストンを駆動する。ピストンとシリンダがカムの中で回転するか、またカムがピストンとシリンダの中で回転するか、いずれでもよい。このような、比較的小さな油圧モータを駆動するポンプは、風力タービン発電機用だけでなく、潮流および重力式水力発電機用の堅牢な変速機として提案されている。たとえば上記の動作原理を利用して、ポンプまたはモータあるいはその両方を可変容量型とすることができる。
【0005】
しかしながら、大型のリングカム機械は、修理が困難で高コストであり、1つの作動室だけを修理する場合でも本体全体を分解しなければならない。これは再生可能エネルギー分野では特にコスト高となるが、それは、重いポンプを地面または水面まで運ばなければならず、そのためには一般に、離れた場所にある大型で高コストのクレーンが必要となるからである。
【0006】
したがって、本発明は、機械が巨大で(たとえば、500kgを超える)、アクセスが困難な場所にあっても、現場で容易に修理できる流体作動機械を提供することを目標とする。
【0007】
欧州特許第0692071号明細書は、リングカムがセグメントで構成されるモジュール式構造を提案しており、このセグメントは相互に突き当たる端部を有し、これらの端部は舌状部と溝からなる形成部において接合し、この形成部を横切ってローラが転動し、リングカムはフランジを介して回転軸にボルトで固定される。また、取り外し可能なピストンとシリンダのキャリングユニットを設置することも提案されており、これはリングカムの周囲またはその中で相互にボルトで固定される。この機械は作動現場での修理が困難であるが、それは、ポンプモジュールが周辺フレームにボルトで固定され、フレームを取り除かなければポンプモジュールを取り外すことができないと、機械の周辺構造が壊されるからである。
【0008】
欧州特許第1985853号明細書(Golle)が開示するポンプは、そこからピストンシリンダを取り除くことができるが、内部のリングカム表面が部分的に露出されるだけである。その結果、シャフトをポンプから取り外さなければ、リングカムのメンテナンスを行うことができない。また、Golleのポンプは、複数の穴の開いた単体の金属本体を含み、その穴の中にそれぞれピストンシリンダが受けられ、したがって、ある流体の変位に対してそれは比較的重く、たとえば風力タービン発電機のナセル等に適した大型のものとして製作された場合、ポンプの構成部品にアクセスし、そのメンテナンスを行うことは困難であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、メンテナンス中もその構造的完全性を保持できる流体作動機械を提供することを目標としている。これに関連して、大きなトルクの利用分野のための大型流体作動機械には、機械の重量と負荷(モータの場合)または入力(ポンプの場合)のトルクから生じる大きな力を受けても、その構造的完全性を保持する構造が必要である。これを最も単純に実現するには、大型の構造的要素、たとえば大型のシャーシまたはハウジングを提供してもよい。しかしながら、そうすることによる構成部品の質量は大きくなり得るため、本発明は、十分な機械的強度を有する構造を提供し、その一方で使用中に完全性を維持する必要のある構造的要素の質量をなるべく小さくすることを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、可変容量型ラジアルピストン流体作動機械が提供され、この流体作動機械は、
内側リングと、内側リングの周囲の(一般に、これと同心円状の)外側リングを備え、
内側リングと外側リングの一方は回転可能なリングカムを備え、もう一方はそれぞれのリングの周囲に円周方向に離間された、半径方向に延びる複数のシリンダを備え、各シリンダはその中に往復運動可能に取り付けられたピストンを有し、
リングカムに連結されたドライブシャフトを備え、
外側リングは、軸方向に離間された第一と第二の構造要素と、その間に取り外し可能に保持される複数の取り外し可能なブロックを備え、複数の取り外し可能なブロックの各々は、それぞれ、前記複数のシリンダの少なくともいくつか(外側リングが半径方向に延びる複数のシリンダを備える場合)またはリングカムの1つのセグメント(外側リングがリングカムを備える場合)のいずれかを備え、前記ブロックの各々は、前記シリンダの1つまたはそれ以上をリングカムの一部と対向する関係に位置付けて、ピストンがリングカムによって(任意で、1つまたはそれ以上のその他の構成部品、たとえばカムローラを通じて)駆動されるように取り付け可能であり、また内側リングを露出させてアクセスできるように取り外し可能である。
【0011】
それゆえ、取り外し可能なブロックは、リングカムがピストンを駆動できるようにするために動作中には存在しなければならないが、個々に取り外し可能であり、それによって、取り外し可能なブロックだけでなく、リングカムか複数のシリンダのいずれか、内側リングの一部を構成するほうの修理とメンテナンスが容易となる。ポンプは一般に、500kgを超える質量を有し、アクセス不能な場所(たとえば、風力タービン施設のタワーのナセルの中)に取り付けられているかもしれないため、メンテナンス(点検を含む)と修理(交換を含む)のために内側リングに容易にアクセスできる構成は、非常に大きな実用的利点である。取り外し可能なブロックの1つだけ、または少数だけを取り外せば、半径方向に内側のリングの一部にアクセスできる。さらに、取り外し可能なブロックは、外側リングの完全性を維持することにおいて構造的な役割を満たすことができ、そのため、外側リングの全体的質量は、そうでない場合より小さくなる。
【0012】
一般に、装置を完全に組み立てると、ピストンは、ピストンに取り付けられたローラを通じて、リングカムによって駆動される。各シリンダとそのそれぞれのピストンが共同で作動室を画定し、その容量はリングカムの回転に伴って周期的に変化する。各シリンダの一端は一般に、組み立てられた機械の中のリングカムに向かって方向付けられ、シリンダは、半径方向に内側リングの軸から遠ざかるように、またはこの軸に向かって、あるいはより一般的には、半径方向に内側リングの軸から遠ざかるように延び、またはこの軸に向かって小さな角度を成して延びて、摩擦から生じる接線力に対抗する。
【0013】
一般に、取り外し可能なブロックは、半径方向に外側への移動によって取り外すことができ、これによって、外側リングの周辺からメンテナンスのために容易にアクセスすることができる。好ましくは、取り外し可能なブロックは個々に取り外すことができる。それゆえ、取り外し可能なブロックの1つまたは少数が取り外されている間に、残りの、取り付けられたままのブロックは依然として、外側リングを支持し、その完全性を維持することにおいてその構造的な役割を果たすことができる。
【0014】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間に取り外し可能に保持される取り外し可能なブロックは、軸方向に離間された第一と第二の構造部材の間の力に抵抗するように機能してもよい。
【0015】
実際、一般に、構造要素の間に作用する大きな力があり、取り外し可能なブロックを利用して、これらの力に抵抗することができる。これらの力は、垂直の、軸方向の、および/またはねじりの力であるかもしれない。構造要素の間の力としては、ドライブシャフト上の機械用軸受の構成部品の重量から生じる力、ピストンとリングカムを分離するように作用する半径方向の力、および使用中にリングカムへのピストンの動作から生じる接線力がある。また、ドライブシャフトにかかるトルクから生じる、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間に作用するせん断力もあるかもしれない。
【0016】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素の一方は、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の前記一方を通じて、流体作動機械を支持手段に連結するための連結手段を備え、またはこの連結手段に取り付けられていてもよい。
【0017】
この場合、流体作動機械の重量はしたがって、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の一方を通じて(一般に、軸受を通じてドライブシャフトによって重量が支持されることに加えて)支持されることが可能である。これは、流体作動機械、特に略ドーナツ型の機械の1つを支持手段に取り付けるのに好都合な機構である。しかしながら、軸方向に離間された第二の構造要素の重量は、少なくとも部分的に、軸方向に離間された第一と第二の構造的要素の間の連結手段によって支えられ、これもまた別の力であり、取り外し可能なブロックによって支えることができる。
【0018】
取り外し可能なブロックが軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間の力に抵抗できる能力は、取り外し可能なブロックがシリンダからなり、使用中に予め圧力がかけられている作動流体、たとえば少なくとも2気圧の圧力がかかっている作業流体を受ける空間を画定するような実施形態において、さらに有利である。取り外し可能なブロックが、使用中に作動室へと供給される、予め圧力がかけられている作動流体を受ける空間(シリンダの外側であってもよい)を画定することは有利となりうる。それによって作動室の中に生じる圧力は、ピストンを(一般に、カムローラを通じて)リングカムに押し付けた状態に保持するための圧力を提供するのに役立つ。この場合、圧縮された作動流体によって、軸方向に離間された第一と第二の構造要素を離すように圧迫するか、または取り外し可能なブロックを半径方向に外側へと圧迫するように作用する力がさらに発生するかもしれない。この場合、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間に作用する力に抵抗するように作用できる取り外し可能なブロックを提供することは、さらに有利である。
【0019】
したがって、第一と第二の構造要素の間に作用する力に抵抗し、シリンダの1つまたはいくつか、またはリングカムのセグメントを備え、取り外し可能であるブロックを提供することにより、前記1つまたはいくつかのシリンダ、またはリングカムセグメントのほかに、上記の力の一部または全部に抵抗するための別の補強要素を設ける必要性が軽減され、またはなくなる。これによって、機械の質量を、そうでない場合より小さくすることができる。
【0020】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素の一方または両方は、半径方向に内側に、少なくとも、リングカムと複数のシリンダのいずれか、内側リングの一部を構成するほうまで、またはその内側まで延びていてもよい。軸方向に離間された第一と第二の構造要素の一方または両方は、ディスクの形態であってもよい。軸方向に離間された第一と第二の構造要素は、平行なディスクであってもよい。
【0021】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素は、軸受上に個別に取り付けてもよい。ドライブシャフトは、軸方向に離間された構造要素の少なくとも1つを通って延びてもよい。
【0022】
ドライブシャフトは、軸方向に離間された構造要素のもう一方の中またはその前を通って延びていても、またはそこで終了してもよい。軸方向に離間された第一と第二の構造要素は一般に、内側リングの両側に延びる。例えば、内側リングがリングカムを備える場合、軸方向に離間された第一と第二の構造要素は一般に、リングカムの両側にあって離れており、リングカムの周囲に取り外し可能なブロックを保持する。リングカムと複数のシリンダのいずれか、内側リングの一部を構成するほうは一般に、軸方向に離間された第一と第二の構造部材の間に位置付けられる。実際、リングカムと複数のシリンダの両方が、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間に位置付けられてもよい。
【0023】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素と取り外し可能なブロックは、取り外し可能なブロックを軸方向に離間された第一と第二の構造要素の各々に、軸方向と半径方向の両方にボルトで固定するための、協働的形成部を備えていてもよい。
【0024】
これによって、組み立てられた構造の機械的強度が増す。軸方向のボルトは、軸方向に離間された構造要素を結合し、たとえば、構造要素の一方の重量または取り外し可能なブロックの中の事前にかけられていた圧力から生じる力に抵抗する。半径方向のボルトは、せん断力と、予めかけられた圧力から生じる力に抵抗する。半径方向のボルトは一般に、十分な張力の下で取り付けられ、これらは共同で半径方向に内側に向かう力を提供し、この力は、作動流体に事前にかけられた圧力(存在する場合)から予想される、取り外し可能なブロックに作用する外側への力と、使用中のカムトラックの回転中にピストンにかかる半径方向の力より大きく、そのため、半径方向のボルトは使用中、緊張状態に保たれる。
【0025】
好ましくは、取り外し可能なブロックの各々は、取り外し可能なブロックを軸方向に離間された第一と第二の構造要素の各々に、軸方向と半径方向の両方に、円周方向に離間された少なくとも2つの位置で(一般に、反対の端の付近)ボルトで固定するための、協働的形成部を備える。
【0026】
軸方向に離間された第一と第二の構造要素はそれぞれ、1つまたはそれ以上の肩部を備えていてもよく、この肩部は、取り外し可能なブロックと係合するための、半径方向に外側の表面を有し、取り外し可能なブロックには、これと協働するような半径方向に内側の表面がある。
【0027】
好ましくは、取り外し可能なブロックのリングカムのセグメントの少なくともいくつかのシリンダは、取り外し可能なブロックの本体に取り付けられ(この本体は、今度は、軸方向に離間された第一と第二の要素に取り外し可能に取り付けられる)、軸方向に離間された第一と第二の構造要素に直接取り付けられない。これによって、取り外し可能なブロックが取り外しやすくなる。
【0028】
肩部は一般に、軸方向に離間された構造要素のそれぞれの周囲にリング状に延びる。肩部は一般に、軸方向に離間された構造要素の円周上に、またはその付近に位置付けられる。肩部は、取り外し可能なブロックを、特に取り付けられたブロックとリングカムの間に距離が画定されるように位置付ける役割を果たしてもよい。肩部は、取り外し可能なブロックを構造要素に半径方向にボルトで固定するための固定手段(ボルト穴等)を有していてもよい。軸方向に離間された第一および/または第二の構造要素は円形であってもよく、円周上の肩部の半径は、軸方向に離間された第一または第二の構造要素の外半径より小さくてもよい。
【0029】
取り外し可能なブロックは1つまたはそれ以上のシリンダを備えるシリンダブロックで、内側リングはリングカムを備えていてもよい。この場合、リングカムは、複数のリングカムセグメント(その各々は、リングカムのカム表面の一部を含む)を備えていてもよく、これは、本来はそれぞれのリングカムセグメントを覆っている、その、または各シリンダブロックが取り外されると、軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間で半径方向に外側に個別に取り外すことができる。それゆえ、シリンダブロックを半径方向に外側に取り外してもよいだけでなく、リングカムセグメントを個別に、半径方向に外側に取り外すことができる。それゆえ、リングカムのメンテナンスまたは交換は、個々のリングカムセグメントを順次取り外すことによって行うことができ、リングカム全体を露出させることは、アクセス不能な場所にある大型のポンプの場合は困難で、時間がかかるが、その必要がない。
【0030】
取り外し可能なブロックはリングカムセグメントを備えていてもよい。この場合、内側リングは複数のシリンダブロックを備えていてもよく、その各々は、1つまたはそれ以上のシリンダを備え、これらには、リングカムセグメントを取り外すことによってできた空間を通じて、(一般に、半径方向に内側に)メンテナンスのためにアクセスできる。
【0031】
一般に、外側リングは連続的である。一般に、軸方向に離間された第一と第二の構造要素は連続的である(および、一般に、それぞれ一体構造を有する)。軸方向に離間された第一と第二の構造要素は、連続する略円形の周囲を有していてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、リングカムはさらに、その片側または両側に側板を有する。側板はリングカムの円周の周囲に延び、ローラ(または前記ピストンとリングカムを動作的に係合させるその他の手段)がリングカムの波形の表面から滑って外れる(すなわち、軸方向に)のを防止する。
【0033】
一般に、その、または各側板は、リングカムの円周の周囲で、カム表面の縁辺と当接する。それゆえ、使用中、カムローラ(またはその他のカム追従要素)は、リングカムのカム表面に当たるように付勢され、少なくともいくつかの動作条件において、ローラはそれぞれの側板の内面に当接し、側板はトラックまたは溝を画定して、リングカムがカムローラに関して回転するとき、カムローラはそのトラックまたは溝の中を移動する。
【0034】
したがって、本発明は、別の態様において、流体作動機械のためのリングカムも含み、このリングカムは、カム表面と、その片側または両側の周囲に延びる側板を有し、その、または各側板は、リングカムの円周の周囲でカム表面の縁辺と当接する。
【0035】
前記側板の各々は、いくつかの実施形態において、カム表面から一定の距離だけ延び得る。それゆえ、波形のカム表面を有するリングカムの側板もまた、波形の円周を有する。いくつかの実施形態において、前記側板の各々は、カム表面から、その、または各ローラの半径より短い、好ましくははるかに短い距離(たとえば、前記ローラの各々の半径の50%未満、または25%もしくは10%)だけ延びる。
【0036】
使用中、リングカムが前記ローラの各々に関して回転しているとき、カム表面と(カム表面の円周の周囲の)ローラの表面の相対速度はゼロである(または無視できる)。カム表面に関する、およびそれゆえ、前記側板の各々(またはリングカムに関して固定されたあらゆる物体または特徴物)にも関するローラの外面の速度は、カム表面からの距離とともに増大する。
【0037】
それゆえ、ローラが側板に当接するとき、ローラはローラと側板の相対速度が低い場所で当接する。それゆえ、ローラはカム表面上で横方向(すなわち、軸方向)に移動しないようになっており、その一方で、ローラと側板の間の摩擦は最小限となる。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記側板の各々外周は、略円形である。
(2つの側板を有するリングカムの)側板の対向する内面は平行であってもよく、また、リングカムの回転軸からの距離に伴って離れて行ってもよい。好ましくは、前記側板の各々は、前記ローラの各々の側面がカム表面と接触する角度(これは一般に、直角である)と同じ角度でカム表面と接触する。前記側板の各々は前記ローラから離れて行ってもよい(これにより、使用中、ローラの側面は、側板とカム表面の間の接合部の付近でのみ、側板と接触する)。
【0039】
リングカム(および一般に、前記側板の各々)は当接部を有してもよく、これは、前記側板の各々の内面の一部を横切り、カム表面と前記側板の各々の間の接合部に沿って延びる。
【0040】
当接部は、カム表面から一定の距離だけ延びていてもよい。それゆえ、波形カム表面を有するカムの側板には、波形の当接部が設けられるであろう。
【0041】
カムリングの側板の、対向する内面の間の距離は、側板とカム表面の間のそれぞれの接合部に沿った当接部の間の距離より大きい。
【0042】
前記当接部の各々は一般に、カム表面から、その、または各ローラの半径より短い、好ましくはずっと短い距離(たとえば、前記ローラの各々の半径の50%未満、または25%もしくは10%)だけ延びる。
【0043】
前記側板の内面の一部を横切って(その、または各ローラの半径より短い、好ましくはずっと短い距離だけ)、側板とカム表面の間の接合部に沿って延びる当接部は、少なくともいくつかの動作条件において、ローラがカム表面に接触する領域(および一般に、小さな領域)で前記ローラの各々と当接してもよく、通常の使用中、ローラが側板と直接接触できないようになっている。
【0044】
使用中、リングカムが前記ローラの各々に関して回転しているとき、カム表面と(カム表面の円周の周囲の)ローラの表面の相対速度はゼロである(または無視できる)。カム表面に関する、およびそれゆえ、前記側板の各々(またはリングカムに関して固定されたあらゆる物体または特徴物)にも関するローラの外面の速度は、カム表面からの距離とともに増大する。
【0045】
それゆえ、ローラは、ローラと当接部の相対速度が低い領域で当接部と当接する。それゆえ、ローラは、当接部によってカム表面上で横方向(すなわち、軸方向)に移動できないようになっており、その一方で、ローラと側板の間の摩擦は最小限となる。
【0046】
当接部の表面材料または当接部全体は、側板の材料とは異なる材料であってもよい。当接部は、弾性材料または低摩擦材料を含む、またはそれから構成されてもよい。当接部は、側板の表面に、カム表面と前記側板の各々の間の接合部に沿って設けられた、耐摩耗性および/または低摩擦コーティングであってもよい。当接部は、側板の材料から形成されてもよく、側板(または側板セグメント)と当接部は一体であってもよい。
【0047】
2つまたはそれ以上のリングカムを有する実施形態において、2つのカムリングの中間に配置された1枚の側板があってもよく、前記側板は、ローラが両方のカムリングから滑って外れるのを防止するように機能する。あるいは、前記カムリングの各々は、2枚の(別個の、共有でない)側板を有していてもよい。
【0048】
側板は一体であってもよく、または複数の側板セグメントからなっていてもよい。それゆえ、各リングカムセグメントは側板セグメント(またはリングカムセグメントの波形表面の両側の、2つの側板セグメント)に固定されてもよい。リングカムは、その、または各リングカムの円周のそれぞれの側の周囲に配置された側板セグメントを、リングカムセグメントと同じ数、これより少ない、またはこれより多い数だけ備えていてもよい。
【0049】
側板(または側板セグメントのいずれか該当するほう)は、前記セグメントに、側板(または側板セグメント)を通ってリングカムセグメントの中に、またはそれを通って延びるボルト(またはその他の適当な固定具)によって固定されてもよい。いくつかの実施形態において、前記ボルトの各々は、1枚より多い側板(またはそのセグメント)を通って、1つより多いリングカムの1つ以上のセグメントの中に、またはそれを通って延びていてもよい。
【0050】
側板セグメントは、カムセグメントから角度的にずらされていてもよく、それによって各側板は、組み立てられたリングカムの2つの(またはそれ以上の)セグメントと重なり、組み立てられたリングカムにおいて、側板セグメントの間の接合部は、セグメント間の接合部と整列せず、または重ならない。重なりは、軸方向に(すなわち、シャフトに関して)カムセグメントを整列させるために使用してもよい。いくつかの実施形態において、側板は、シャフトに固定するか、また弁と作動室に関して固定し、それによって、カムセグメントが側板間で移動するようにしてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、側板セグメントは、半径方向に外側に取り外し可能であってもよい。一般に、前記リングカムセグメントの各々は、1つまたはそれ以上の側板セグメントに固定され(前記リングカムセグメントの片側または両側)、リングカムセグメントアセンブリ(リングカムセグメントと、それに固定された1つまたはそれ以上の側板セグメントからなる)として、半径方向に外側に取り外し可能である。
【0052】
本発明は、リングカムセグメントとそこに固定された1つまたはそれ以上の側板セグメントからなる、リングカムセグメントアセンブリも含む。前記側板セグメントの各々の好ましい、任意の特徴は、本願で開示される側板の好ましい、任意の特徴に対応する。
【0053】
一般に、1つまたはそれ以上の流体マニホルド(たとえば、送り出された流体を負荷へと輸送するための高圧マニホルド)は、軸方向に離間された構造要素の少なくとも1つを通って延びる。それゆえ、軸方向に離間された構造要素の少なくとも1つは一般に、前記作動室から作動流体を受けるための複数のポートを有する。前記ポートの各々について、一般に、シリンダブロックからポートを通過する流体の漏出に抵抗するためにシール材が設けられる。ポートの一方または両方は一般に、逆止め弁を備える。
【0054】
軸方向に離間された構造要素の少なくとも1つ(一般に、その前記肩部)は、作動流体を受けるための1つまたはそれ以上のポートを有してもよく、前記シリンダブロックの各々は、作動流体を排出するための少なくとも1つの協働的ポートを含み、前記ポートのいずれかまたは両方はシール材を含み、前記ポートとその、または各シール材は、半径方向に内側または外側に面する表面上に位置付けられる。
【0055】
シール材が損傷するリスクは、ポートおよびその、または各シール材が軸方向に面する表面上に位置付けられた場合より低くなり、これは、取り外し可能なブロックが、取り付けおよび取り外し中に、軸方向に面する表面に当たった状態で半径方向に内側または半径方向に外側にスライドでき、その、または各シール材に大きな摩擦力がかからないからである。これは、その、または各シール材が、それに関連付けられたポートを含む表面から盛り上がっている場合に、特に当てはまる。
【0056】
流体作動機械は、複数のマニホルドと複数の弁をさらに備えていてもよく、その各々は、作動室とマニホルドの間の流体の流れを調整するように動作可能である。
【0057】
このような機械では、シリンダが静止し、リングカムが回転することが特に有利であり、これは、たとえばポートプレートだけを使って作動室とマニホルドの間の流体の流れを調整する機械とは異なり、弁を使って作動室とマニホルドの間の流体の流れを調整する。
【0058】
流体作動機械は、たとえば、それぞれの作動室と低圧マニホルドの間の流体の流れを調整するための逆止弁と、それぞれの作動室と高圧マニホルドの間の流体の流れを調整するための逆止弁のいずれかまたは両方を有する流体作動ポンプであってもよい。
【0059】
各作動室に関連付けられる少なくとも1つの弁は、能動的に制御可能な弁であってもよい。一般に、各作動室に関連付けられた少なくとも1つの弁は、電子的に制御可能な弁である。電子的に制御可能な弁とは、本明細書では、圧力差に対して能動的に開放され得るか、能動的に閉止され得るか、能動的に開放状態に保たれ得るか、圧力差に対して能動的に閉止され得るうちの1つまたはそれ以上の弁を指す。電子的に制御可能な弁は、いくつかの状況においてのみ、能動的に制御されてもよく、他の状況においては、受動的に開閉してもよい。
【0060】
流体作動機械はコントローラを備えていてもよく、各作動室に関連付けられた少なくとも1つの弁は能動的に制御可能な弁であってもよく、これは、コントローラによって、作動室容量のサイクルとの位相関係において制御され、サイクルごとに各作動室による作動流体の正味変位を選択する。流体作動機械は、たとえば欧州特許第0361927号明細書から知られており、同特許は、マルチチャンバポンプを通じた流体の正味スループットを制御する方法を開示しており、この制御は、電子的に制御可能な「低圧」ポペット弁を、作動室のサイクルとの段階的な関係において開放および/または閉止し、ポンプの個々の作動室と低圧マニホルドの間の流体連通を調整することによって行われる。その結果、個々のチャンバは、コントローラによってサイクルごとに、流体を所定の一定量だけ変位させるか、または流体の正味変位が起こらないようなアイドルサイクルを経させるか選択可能であり、それによって、ポンプの正味スループットを需要に動的に適合させることができる。
【0061】
欧州特許第0494236号明細書は、この原理を発展させ、個々の作動室と高圧マニホルドの間の流体連通を調整する、電子的に制御可能な「高圧」のポペット弁を取り入れ、それによって、交互の動作モードでポンプまたはモータのいずれかとして機能する流体作動機械を提供しやすくした。欧州特許第1537333号明細書は、部分的サイクルの可能性を提案しており、個々の作動室の個々のサイクルが、複数の異なる体積の流体を変位させて、需要によりよく適合させることができるようにした。このタイプの流体作動機械は複雑であるため、本発明が、回転するリングカムを有し、能動的に制御される弁が、使用中に実質的に静止した状態に保たれるようにするシステムを提供することは特に有利である。
【0062】
内側リングと外側リングとは、本明細書では、前記リングの相対的な半径方向の位置を指す。リングカムまたはシリンダを有するそれ以外のリングが設けられていてもよい。たとえば、ポンプは2つのリングカムを備えていてもよく、一方は外側に面し、一方は内側に面し、その各々が半径方向に延びる複数のシリンダを駆動する。いずれのリングも複数のリングカムを備えていてもよく、複数のシリンダは軸方向に離間された複数のリングとして配置されていてもよい。さらに別の取り外し可能なブロックを前記取り外し可能なブロックの、半径方向に外側に設置して、構成部品の3つまたはそれ以上の同心リングを、半径方向に外側に取り外すことができるようにしてもよい。
【0063】
本発明はまた、第二の態様において、本発明の第一の態様による、可変容量型ラジアルピストン流体作動機械を形成するように組み立てることができる、パーツキットも含む。
【0064】
第三の態様において、本発明は、可変容量型ラジアルピストン流体作動機械のシャーシを含み、このシャーシは、
内側リングと、内側リングの周囲の(一般に、これと同心円状の)外側リングを備え、
内側リングと外側リングの一方は、回転可能なリングカム保持形成部を備え(これは、たとえば、リングのそれぞれ外周または内周からなっていてもよく、内側リングの場合、いくつかの実施形態において、そこに一時的または永久的に連結された回転可能なリングカムを有していてもよい)、もう一方は、それぞれのリングの周囲で円周方向に離間された、半径方向に延びるシリンダを保持するための複数の取付手段を備え(これは、内側リングの場合、永久的または一時的にその中に保持されるシリンダを有していてもよい)、
リングカム保持形成部をドライブシャフトに連結する連結手段(これは、ドライブシャフトとリングカム保持形成部が一体の場合、永久的連結手段であってもよい)を備え、
外側リングは、それぞれ、前記複数のシリンダの少なくともいくつかまたはリングカムの1つのセグメントのいずれかを備える複数の取り外し可能なブロックを取り外し可能に保持して、前記シリンダの1つまたはそれ以上をリングカムの一部と対向する関係に位置付けて、シリンダ内にスライド可能に取り付けられたピストンがリングカムによって(任意で、1つまたはそれ以上のその他の構成部品、たとえばカムローラを通じて)駆動されるようにするための、軸方向に離間された第一と第二の構造部材を備える。
【0065】
本発明の第二と第三の態様のその他の任意および好ましい特徴は、本発明の第一の態様に関して説明した任意および好ましい特徴に対応する。
【0066】
本発明はまた、第四の態様において、本発明の第一の態様による可変容量型ラジアル流体作動機械と、ドライブシャフトに取り付けられた複数のブレードを備え、ブレードが回転すると、リングカムにトルクを伝達するタービンを備えるタービンアセンブリも含む。
【0067】
タービンアセンブリは、風力タービンアセンブリであってもよい。一般に、風力タービンアセンブリはタワーを含み、このタワーの中にはラジアル流体作動機械が取り付けられる。タワーは、海底に取り付けられてもよく、またはタワーは浮いて、海底に係留されてもよい。本発明は特に、本来はメンテナンスのためにポンプにアクセスすることが困難な場所において応用可能である。しかしながら、タービンアセンブリは流体から、たとえば潮流または、川または水力発電施設内のコンジットの中を流れる水からエネルギーを受け取るためのタービンを備えていてもよい。本発明は、本発明の第一の態様による流体作動機械を備え、(ドライブシャフトによって)タービンを駆動するポンプとして動作可能な風力タービンナセルも含む。
【0068】
流体作動機械のドライブシャフトとタービンの回転シャフトはそれぞれ中空で、相互に連通してもよく、それによって人がドラフトシャフトの中からタービンのブレードの内部にアクセスできる。
【0069】
本発明の第三の態様によれば、本発明の第一の態様による可変容量型機械または、本発明の第二の態様によるタービンアセンブリのメンテナンスを行う方法が提供され、この方法は、取り外し可能なブロックを取り外すステップと、(a)取り外し可能なブロックについてメンテナンスを行い、メンテナンスが完了した取り外し可能なブロックを再び取り付けるステップ、(b)取り外されたブロックの代わりに交換用の取り外し可能なブロックを取り付けるステップ、および(c)ブロックを取り外すことによってできた空間から、内側リングの一部についてメンテナンスを行うステップのうちの1つまたはそれ以上を実行するステップを含む。
【0070】
メンテナンスには、本明細書では、構成部品の試験、修理および交換が含まれる。取り外し可能なブロックは一般に、軸方向に離間された構造部材から半径方向に取り外される。ブロックを取り外すことによってできた空間から内側リングの一部についてメンテナンスを行うステップは、内側リングの一部(たとえば、内側リングがリングカムを含む場合は、リングカム部分)を取り外すステップを含んでいてもよい。
【0071】
内側リングの、取り外される部分は、半径方向に取り外されてもよい。取り外された部分について、その後、試験、修理または交換を行ってもよい。その後、取り外されたブロックまたは、交換用の取り外されたブロックを所定の位置に再び取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による流体作動機械を含む風力タービンのナセルの構成部品の等角投影図である。
【図2】組み立てられた流体作動機械と、(異なる縮尺の)ハウジングを取り外し、内部構成部品が見えるようにした流体作動機械の等角投影図である。
【図3】ハウジングがなく、2つのシリンダブロックが取り外された流体作動機械の等角投影図である。
【図4】ハウジングがなく、2つのシリンダブロックが取り外され、リングカムセグメントが取り外された流体作動機械の等角投影図である。
【図5】流体作動機械の構成部品の分解等角図である。
【図6】後方端板が取り外された流体作動機械の構成部品の一部切欠き側面図である。
【図7】本発明による流体作動機械の、半径方向の断面の概略図である。
【図8】図7にタービンシャフトへの連結手段を加えた図である。
【図9】流体作動機械の作動室と流体の流れを調整する弁の概略図である。
【図10】リングカムセグメントアセンブリの、使用中のリングカムの回転軸に垂直な断面図である。
【図11】リングカムセグメントアセンブリの、使用中のリングカムの回転軸に平行な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
ここで、本発明の一例としての実施形態を、風力タービン用ポンプに関して説明する。しかしながら、本発明による流体作動機械は、多数の別の用途にも利用できる。
【0074】
図1から図7に関して、可変容量型ラジアルピストンポンプ1(可変容量型ラジアル流体作動機械の例である)は、風力タービンのナセル2での使用に適した大きさと構成を有し、タービン4によって駆動される。タービンは、タービンシャフト6を通じてポンプの中空のドライブシャフト8に連結される。出力される圧縮流体は、モータ10と発電機12を駆動するために使用される。ポンプは、取付板16を通じてシャーシ14に連結される。ポンプのドライブシャフトは中空であるため、これは、他の構成部品のメンテナンスと修理を行うために、たとえば風力タービンのブレードにアクセスするために人が通ってもよい、好都合な通路となる。
【0075】
ポンプは、第一と第二の端板18Aと18Bおよびハウジング20を備え、ハウジング20は軸方向にスライドさせて、メンテナンスと修理のために内部の構成部品を露出させることができる。ポンプは、ドライブシャフトを通じて延びる軸に関して略回転対称である。この例において、ポンプは略ドラム状であり、質量と大きさが最小限となっている。シリンダの配置(以下に説明)は略円形であるが、ポンプの外周の形状は、その機能にとってそれほど重要ではない。
【0076】
ポンプは、概して21として示される内側リングを備え、内側リングは、使用中、そこに取り外し可能に固定され、共同でリングカムを形成する複数の波形リングカムセグメント23を有するドーナツ型のリングカム支持手段22を備える。リングカムは複数の突出部を有し、この例においては、2つのリングカムがリングカム支持手段に、相互に近接して、軸方向に離間されて取り付けられている。
【0077】
ポンプは、概して24として示される外側リングを備え、外側リングは、軸受28を通じてドライブシャフト26に独立して取り付けられる第一と第二の端板18Aと18Bおよび、複数の取り外し可能なシリンダブロック30を備える。ドライブシャフトは第一と第二の端板の両方を通って延び、端板は、軸方向に離間された第一と第二の構造部材として機能する。外側リングは連続的である。
【0078】
シリンダブロックの断面が図7に示されている。各々、複数のシリンダ32を備え、シリンダは、その中にスライド可能に取り付けられたピストン34を有する。各シリンダの中では、ピストンとシリンダ内側によって、周期的に容積が変化する作動室36が画定される。各ピストンは、ローラ38に、リングカムと駆動係合状態となるように取り付けられる。
【0079】
第一と第二の端板はそれぞれ、円形の肩部40Aと40Bを有し、肩部は各端板の周囲に延び、第一と第二の端板の外周に近いが、それより出ない。各シリンダブロックは、円形の肩部の上に取り外し可能に保持される。これは、各シリンダとリングカムの間の距離を画定し、構造上の強度を持たせる。各シリンダブロックは、端板の開口部とシリンダブロックを通って、シリンダとシリンダの間に延びる軸方向のボルト42と、また、シリンダブロックの開口部を通って円形の肩部の中へと延びる半径方向のボルト44によって、所定の場所に取り付けられる。一般に、軸方向のボルトは、各シリンダブロックの、円周方向に離間された各々の端部に向かって設置され、半径方向のボルトのペア(端板1枚につき1つ)は、各シリンダブロックの、円周方向に離間された各々の端部に向かって設置される。
【0080】
外側ハウジングとシリンダブロックの間の空間は低圧マニホルド46として機能し、ポンプに供給されることになる油圧油を受ける。低圧マニホルド内の流体には、数気圧となるように予め圧力がかけられている。これは、ピストンをリングカムに押し当てるのに役立つ。作動流体はこの空洞から、コンジット48と電子的に制御される弁50を通じて各作動室の中に供給される。別のコンジット52は高圧マニホルドの一部として機能し、逆止弁54を介して流体を受け取る。コンジットは、シリンダブロックを通って、シリンダブロックのポートと第二の端板の肩部を通って半径方向に内側に延び、高圧の流体を出力するためのまた別のコンジット56へと延びる。協働するポートの各ペアの少なくとも一方がシール材を有する。第二の端板は、高圧の流体を負荷、たとえば油圧モータに供給するための流出ポート(図示せず)を含み、この油圧モータは、次に、発電機を駆動する。
【0081】
組み立てられた機械において、シリンダブロックは、ピストンシリンダ用のハウジングとして機能するだけではなく、構造的完全性を提供する。これらは、第一と第二の端板の両方と同一平面にあり、使用中、円周方向に離間された各端部において、所定の位置に軸方向および半径方向にボルトで固定される。これらはしたがって、使用中に端板間に働く力、たとえば、主として、第一の端板だけに取り付けられる取付板を通じて支持されるポンプの重量から生じる力、および直接半径方向には延びず、若干の角度をつけて延びる、ドライブシャフトを通じてピストンにかかる力から生じるねじり力に抵抗することができる。半径方向のボルトはまた、ピストンに作用するリングカムの外側への力と低圧マニホルド内に事前にかけられた圧力から生じる、シリンダブロックにかかる外側への力にも抵抗するように機能する。
【0082】
メンテナンス(点検を含む)と修理を行うためには、ハウジングを図2に示されるように軸方向に取り外し、シリンダブロックを露出させる。シリンダブロックの1つまたは少数を、図3に示されるように、半径方向に取り外して、リングカムの表面を含む内側リングを露出させてもよく、内側リングには半径方向にアクセスできる。一般に、シリンダブロックの1つまたは少数だけが一度に取り外される。実際、その構造的役割によって、ポンプが所定の位置に取り付けられている間、所定の数より多いシリンダブロックを同時に取り外すことはできないかもしれない。その後、シリンダブロックとそれらの構成部品、たとえば弁、ピストンその他についてメンテナンスと修理を行ってもよく、その後、同じ、または交換用のシリンダブロックを戻す。
【0083】
1つまたはそれ以上のシリンダブロックが取り外されている間に、内側リングのメンテナンスを行うことができる。リングカムのセグメントには、現場でメンテナンスまたは修理を行ってもよく、あるいは図4に示されるように半径方向に取り外し、その後、必要に応じてメンテナンス、修理または交換を行ってもよい。
【0084】
リングカムは、リングカムの円周の周囲に延びる側板120を(リングカムの片側または、より好ましくは両側に)さらに備え、これはローラ38がリングカムの波形表面から滑って外れるのを防止する。2つまたはそれ以上のリングカムを有する実施形態では、2つのカムリングの間に配置され、ローラがカムリングから滑って外れるのを防止するように機能する1つの側板があってもよい。あるいは、2つまたはそれ以上のカムリングの各々が、図1から図10の流体作動機械に示されるように、別々の側板を有していてもよい。
【0085】
この側板は一体であってもよく、あるいは図4と図10に最も明瞭に示されているように、セグメント化されていてもよい。図1から図10に示される実施形態において、各リングカムセグメントは、側板セグメント124に(および一般に、2つの側板セグメントに、セグメントの波形表面の両側で)固定される。別の実施形態では、その、または各リングカムの円周の両側の周辺に、リングカムセグメントがある場合より少ない、または多い側板セグメントが配置されていてもよい。
【0086】
側板はセグメント23に、交差するボルト穴を通って延びるボルト122によって保持される。このボルトは各々、1つより多いリングカムを通って延びてもよい。
【0087】
側板セグメントはカムセグメントから角度的にずれて、各側板が、組み立てられたリングカムの2つの(またはそれ以上の)セグメントと重なってもよい。それゆえ、組み立てられたリングカムにおいて、側板セグメントの間の接合部はセグメント間の接合部と整列せず、または重ならず、重なりは、カムセグメントを軸方向に(すなわち、シャフトに関して)整列させるのに使用してもよい(たとえば、組立およびメンテナンス中または、使用中に波形表面に力が加えられたとき、リングカムセグメントの相互に関する運動によって生じる摩耗を削減するため)。いくつかの実施形態において、側板は、シャフトに固定し、または弁と作動室に関して固定して、それによってカムセグメントが側板間で移動するようにしてもよい。
【0088】
図10と図11において最もよく見ることができるように、側板は、当接帯片126をさらに備え、少なくともその表面は、側板とカム表面の間の接合部に沿って延びる弾性の低摩擦材料、たとえば、一般にPTFEおよび/またはブロンズ表面からなる乾燥滑り軸受材料からなる。帯片は、カム表面から(ローラ36の半径と比較して)短い距離だけ延びる。使用中、ローラは、ローラとカム表面の間の接触点の付近で、ローラと側板の相対速度が低い場所で帯片126と当接し、それによって、側板に関するローラの速度がより大きい場所で側板の内面128と接触することが防止される。それゆえ、ローラはカム表面の上で横方向(すなわち、軸方向)に移動できないようになっており、その一方でローラと側板の間の摩擦が最小限となる。
【0089】
図5は、ポンプの構成部品を示す分解図であるが、シリンダブロックの構造的役割によって、ポンプが取り付けられているときに、図に示された数のシリンダブロックを同時に取り外すことは、一般的に賢明ではなく、あるいはいくつかの実施形態において不可能であろう。しかしながら、図6に示されるように、第二の端板を軸方向に取り外し、ポンプ全体を取り外すことなく、軸受にアクセスし、これに対して必要に応じてメンテナンス、修理または交換を行えるようにしてもよい。これは、ポンプの質量が非常に大きく、クレーンまたはその他の大型吊り上げ装置が必要であるのに対して、第二の端板と、シリンダブロック等の個々の構成部品は比較的小さな吊り上げ装置で動かすことができるため、非常に有利である。
【0090】
一般に、シリンダブロックは、吊り上げ装置を使って外側リングから半径方向に取り外される。これらが取り付けられている時、これらは軸方向と半径方向のボルトによって所定の位置に保持され、半径方向のボルトは、使用中に予想される最大の外側への力を超える力を発生するように引っ張られ、それによって、通常の動作中に緊張状態に保たれる。シリンダブロックを半径方向に取り外すと、高圧の流体を第二の端板に供給するためのシール材は、シリンダブロックの内側への運動によってのみ圧縮され、取り付けおよび取り外し中にシリンダブロックがスライドする、軸方向に面する表面上にシール材があるときに発生するような、せん断力を受けない。
【0091】
したがって、本発明は、風力タービンタワーのナセル等、アクセスが困難な場所で、大規模な風力発電等の分野において必要とされる機械の大きな質量にかかわらず、容易にメンテナンスが行える流体作動機械を提供した。
【0092】
図1から図7に示される例は取り外し可能なシリンダブロックを含んでいるが、外側リングがリングカムを有し、内側リングがシリンダを有することも可能であろう。この場合、取り外し可能なリングカムブロックは、リングカムの1つまたはそれ以上の平行なセグメントを含め、第一と第二の端板の間で取り外し可能に保持されるであろう。内側リングは、1つまたはいくつかのリングカムブロックを取り外し、半径方向のアクセス経路からメンテナンス、修理および交換を行うようにシリンダを露出させることによってアクセスできる。前述のように、シリンダは取り外し可能なブロックとして提供してもよく、リングカムブロックを取り外すことによってできる、第一と第二の端板の間の空間から、半径方向に取り外すことができる。
【0093】
また別の特徴が図8に示される。ポンプのドライブシャフト72は、1つまたはそれ以上の軸方向のボルト70によって、タービンシャフト74に好都合に取り付けられる。界面76は、表面キー溝、キーまたはその他の連結手段を有してもよく、または摩擦駆動であってもよい。これは、たとえば、シュリンクディスクまたはフランジプレートを使ってポンプドライブシャフトを入力シャフトに連結する一般的な装置より、実質的に現実的である。特に、ポンプはタービンシャフトから非常に小さな力で取り外せ、軸方向に引くための長い距離は不要であり、複雑な差動熱膨張方式や器具の使用も不要である。使用中、ポンプの重量の一部は一般に、ドライブシャフトおよび、それによってメインシャフト軸受78にかかるが、取付板もさらにこれを支えるため、メンテナンスのために必要となった時に軸方向のボルトを取り外すことができる。
【0094】
図の例は、ラジアルピストンポンプであるが、流体作動機械はあるいは、ラジアルピストンモータまたは、交互の動作モードで、または、もしかしたら同時に(いくつかの作動室がモータとなり、いくつかの作動室がポンプとなる)ポンプまたはモータとして動作可能な装置であってもよい。
【0095】
さまざまなタイプの可変容量型ラジアルピストン流体作動機械が知られており、本発明は、これらのタイプの機械の多くに応用できる。しかしながら、流体作動機械は、作動室の連続する各容量サイクルで、個々の容量サイクル中に作動室によって変位されるべき容量を選択するように動作できる流体作動機械であってもよい。図9は、適当な制御装置を概略的に示す。個々の作動室31は、シリンダ32の内側とピストン34によって画定される容量を有し、ピストンは、ローラ32によってリングカム26から駆動され、シリンダ内で往復運動して、作動室の容量を周期的に変化させる。作動室内の圧力、あるいはスプリング(図示せず)が、ローラをリングカムと接触した状態に保つ。シャフト位置と速度センサ60は、シャフトの瞬間的な回転角度位置と速度を測定し、電気接続64によってコントローラ62に知らせ、これによってコントローラは、個々の作動室の各々のサイクルの瞬間的な状態を判断できる。コントローラは一般に、使用時に、保存されていたプログラムを実行するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである。
【0096】
作動室は、電子的に作動可能な面シールポペット弁44の形態の低圧弁(LPV)を備え、これは、作動室に向かって内側に面し、作動室から低圧マニホルド46へと延びるチャネルを選択的に密閉するように動作でき、低圧マニホルドは一般に、(ポンプモードでは)使用中に流体の基本的な供給源として(または、モータモードの場合はシンクとして)機能する。LPVは、ノーマルオープン型のソレノイド閉止弁であり、これは、吸気行程中に作動室内の圧力が低圧マニホルド内の圧力より小さいときに、作動室を第一の低圧マニホルドと流体連通状態とするために受動的に開くが、作動室を低圧マニホルドと流体連通しなくなるようにするために、LPV制御ライン66を介したコントローラの能動的制御下で、選択的に閉じることができる。別の電気的に制御可能な弁も利用可能であり、たとえばノーマルクローズ型のソレノイド開放弁がある。
【0097】
作動室は、圧力作動送り出し弁の形態の高圧弁(HPV)54をさらに備える。HPVは作動室から外側に面し、作動室から高圧マニホルド52、56へと延びるチャネルを密閉するように動作可能であり、これは、使用中、流体の基本的な供給源またはシンクとして機能する。HPVは、ノーマルクローズ型の加圧開放逆止弁として機能し、作動室内の圧力が高圧マニホルド内の圧力を超えると、受動的に開く。HPVはまた、ノーマルクローズ型ソレノイド開放逆止弁として機能してもよく、HPVが作動室内の圧力によって開くと、コントローラがこれを、HPV制御ライン68を介して選択的に開放状態に保してもよい。HPVは、高圧マニホルド内に圧力があるが、作動室内に圧力がないときに、コントローラの制御下で開放可能であってもよく、または、部分的に開放可能であってもよい。
【0098】
重要な点として、たとえば、欧州特許第0361927号明細書、欧州特許第0494236号明細書および欧州特許第第1537333号明細書から知られている方法で、コントローラは、サイクルごとに、主要な低圧バルブを閉じるか否か、または開放状態のままにするか否かを判断するほか、それがLPVとHPVを閉止すべきであると判断したサイクル中の作動室容量の変化に関して、LPVとHPVの閉止の正確な位相合わせを変化させるように動作可能であり、これによって、高圧マニホルド52、56または低圧マニホルド46への、またはそこからの流体の時間平均正味変位を判断することができる。
【0099】
本願で開示される本発明の範囲内で、その他の変更や改良が行われてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側リングと、前記内側リングの周囲の外側リングを備え、
前記内側リングと前記外側リングの一方は回転可能なリングカムを備え、もう一方はそれぞれの前記リングの周囲に円周方向に離間された、半径方向に延びる複数のシリンダを備え、各シリンダはその中に往復運動可能に取り付けられたピストンを有し、
前記リングカムに連結されたドライブシャフトを備え、
前記外側リングは、軸方向に離間された第一と第二の構造要素と、その間に取り外し可能に保持される複数の取り外し可能なブロックを備え、前記複数の取り外し可能なブロックの各々は、それぞれ、前記複数のシリンダの少なくともいくつかまたは前記リングカムの1つのセグメントのいずれかを備え、前記ブロックの各々は、前記シリンダの1つまたはそれ以上を前記リングカムの一部と対向する関係に位置付けて、前記ピストンが前記リングカムによって駆動されるように取り付け可能であり、また前記内側リングを露出させてアクセスできるように取り外し可能である、
可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項2】
前記取り外し可能なブロックは個別に取り外し可能である、請求項1に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項3】
前記取り外し可能なブロックは半径方向に外側への移動によって取り外すことができる、請求項1または請求項2に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項4】
取り外し可能なブロックの少なくともいくつかのシリンダまたは前記リングカムの前記セグメントは、前記取り外し可能なブロックの本体に取り付けられ、前記軸方向に離間された第一または第二の構造要素には取り付けられていない、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項5】
前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の中に取り外し可能に保持される取り外し可能なブロックは、前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間の力に抵抗する、請求項1に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項6】
前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の一方は、前記流体作動機械を、前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の前記一方を通じて支持手段に連結するための連結手段を備えるか、これに取り付けられる、請求項1または請求項5に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項7】
前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素は個別に軸受上に取り付けられる、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項8】
前記ドライブシャフトは前記軸方向に離間された構造要素の少なくとも一方を通って延びる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項9】
前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素と前記取り外し可能なブロックは、前記取り外し可能なブロックを、前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の各々に、軸方向と半径方向の両方にボルトで固定するための協働的形成部を備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項10】
前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の各々は、前記取り外し可能なブロックと係合するための、半径方向に外側の面を有する1つまたはそれ以上の肩部を有し、前記取り外し可能なブロックは、それと協働する半径方向に内側の面を有する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項11】
前記取り外し可能なブロックは1つまたはそれ以上の前記シリンダを備えるシリンダブロックであり、前記内側リングはリングカムを備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項12】
前記リングカムは、本来は前記それぞれのリングカムセグメントを覆っている前記または各シリンダブロックが取り外されると、前記軸方向に離間された第一と第二の構造要素の間で軸方向に外側方向に個別に取り外される複数のリングカムセグメントを備える、請求項11に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項13】
前記リングカムは、その片側または両側に側板を備え、前記側板の各々は前記カム面に隣接する内面を有し、前記リングカムは、前記側板の各々の前記内面の一部を横切って延びる当接部を備える、請求項12に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項14】
前記当接部の各々は、弾性または低摩擦材料を含む、または弾性または低摩擦材料から構成される、請求項13に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項15】
前記リングカムは、その片側または両側に側板を備え、前記または各々の側板は複数の側板セグメントを備える、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項16】
前記側板セグメントの各々は、前記リングカムセグメントと角度的にずらされ、前記側板の各々は、組み立てられた前記リングカムの2つまたはそれ以上のセグメントと重なる、請求項15に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項17】
前記リングカムセグメントの各々は、1つまたはそれ以上の側面セグメントに固定される、請求項15または請求項16に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項18】
前記リングカムセグメントの各々とそれに固定された1つまたは複数の側板セグメントは、単体として半径方向に外側に取り外し可能である、請求項17に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項19】
前記軸方向に離間された構造要素の少なくとも一方は、作動流体を受けるための1つまたはそれ以上のポートを備え、前記シリンダブロックの各々は、作動流体を排出するための少なくとも1つの協働的ポートを含み、前記ポートのいずれかまたは両方はシール材を含み、前記ポートと前記または各シール材は、半径方向に内側または外側に面する表面上に位置付けられる、請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項20】
複数のマニホルドと複数の弁をさらに備え、その各々は作動室とマニホルドの間の流体の流れを調整するように動作可能である、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項21】
コントローラを備え、各作動室に関連付けられる少なくとも1つの弁は能動的に制御可能な弁であってもよく、作動室容量のサイクルと位相関係において前記コントローラによって制御可能であり、サイクルごとに、各作動室による作動流体の正味変位を選択する、請求項20に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械を形成するように組み立て可能なパーツキット。
【請求項23】
内側リングと、前記内側リングの周囲の外側リングを備え、
前記内側リングと前記外側リングの一方は、回転可能なリングカム保持形成部を備え、もう一方は、それぞれの前記リングの周囲で円周方向に離間された、半径方向に延びるシリンダを保持するための複数の取付手段を備え、
前記リングカム保持形成部をドライブシャフトに連結する連結手段を備え、
前記外側リングは、それぞれ、前記複数のシリンダの少なくともいくつかまたは前記リングカムの1つのセグメントのいずれかを備える複数の取り外し可能なブロックを取り外し可能に保持して、前記シリンダの1つまたはそれ以上を前記リングカムの一部と対向する関係に位置付けて、前記シリンダ内にスライド可能に取り付けられたピストンが前記リングカムによって駆動されるようにするための、軸方向に離間された第一と第二の構造部材を備える、
可変容量型ラジアルピストン流体作動機械用シャーシ。
【請求項24】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の可変容量型ラジアルピストン流体作動機械と、前記ドライブシャフトに取り付けられた複数のブレードを備え、前記ブレードが回転するときにトルクを前記リングカムに伝達するタービンと、を備えるタービンアセンブリ。
【請求項25】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の可変容量型機械または請求項24に記載のタービンアセンブリのメンテナンス方法であって、
取り外し可能なブロックを取り外すステップと、
(a)前記取り外し可能なブロックのメンテナンスを行って、メンテナンスの完了した前記取り外し可能なブロックを再び取り付けるステップ、(b)前記取り外し可能なブロックの代わりに交換用の取り外し可能なブロックを取り付けるステップ、および(c)前記取り外されたブロックによってできた空間から、前記内側リングの一部のメンテナンスを行うステップの、1つまたはそれ以上を実行するステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記取り外されたブロックによってできた空間から前記内側リングの一部のメンテナンスを行うステップは、前記内側リングの一部を取り外すステップを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2012−522175(P2012−522175A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502813(P2012−502813)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050355
【国際公開番号】WO2011/104544
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(509066031)アルテミス インテリジェント パワー リミティド (25)
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
【Fターム(参考)】