可変焦点レンズとこれを用いた焦点調節装置及び撮像装置
【課題】構造が簡単で小型化に対応可能な可変焦点レンズと、これを利用した焦点調節装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】
可変焦点レンズ10は、可変レンズ11と、板部12と、正電極13と、負電極14とを備える。可変レンズ11は、ポリ塩化ビニルに可塑剤が混入されたものから形成され、正電極13と負電極14との間に電圧が印加されると、正電極13に沿って変形する。これにより可変レンズ11の曲率が変化し、可変焦点レンズ10は、焦点距離を変えることができる。また、板部12は凹状の曲面に形成された凹部12aを備えるため、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面の曲率を一定に保つことができる。
【解決手段】
可変焦点レンズ10は、可変レンズ11と、板部12と、正電極13と、負電極14とを備える。可変レンズ11は、ポリ塩化ビニルに可塑剤が混入されたものから形成され、正電極13と負電極14との間に電圧が印加されると、正電極13に沿って変形する。これにより可変レンズ11の曲率が変化し、可変焦点レンズ10は、焦点距離を変えることができる。また、板部12は凹状の曲面に形成された凹部12aを備えるため、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面の曲率を一定に保つことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の印加によって曲率が変化し、焦点距離が変化する可変焦点レンズとこれを用いた焦点調節装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の小型の電子機器に撮像装置が搭載されるようになり、撮像装置の小型化が進んでいる。これらの撮像装置に用いられるレンズと撮像素子との間の焦点距離を調節する焦点調節装置において、従来、電磁モータを利用してレンズと撮像素子との距離を調節することが行われている。しかし、電磁モータを利用する場合、動力を伝達するための機構が必要となり、焦点調節装置の構成が複雑となり撮像装置の小型化に対応することが難しいという問題がある。
【0003】
そこで、印加された電圧に応じて変形する電歪材料から構成されたアクチュエータを用いて、レンズを保持するレンズホルダをレンズの光軸方向に移動させ、レンズと撮像素子との距離を調節することが行われている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−215429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、電磁モータ等を利用する場合と比較し構造が簡単になるものの、電歪材料の伸縮の制御にガイドやバネが必要であり、部品点数が多く、構造も複雑となる問題は解決されない。
【0005】
そこで、ガイド、バネ等を省略し簡単な構造を実現するため、レンズ自体の焦点距離を変化させることが可能な可変焦点レンズと、これを用いた焦点調節装置及び撮像装置が求められている。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で小型化に対応可能な可変焦点レンズと、これを利用した焦点調節装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る可変焦点レンズは、
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記板部上に、前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化する、ことを特徴とする。
【0008】
前記板部の前記レンズが設置される側の面が、凹状又は凸状の曲面に形成されてもよい。
【0009】
前記第2の電極は、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されてもよい。
【0010】
前記板部の一方の面に前記レンズが設置され、
前記板部の他方の面に、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面が形成されてもよい。
【0011】
前記レンズと前記第2の電極とは、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、該第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、該第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る焦点調節装置は、
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと前記板部とを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化し、焦点距離が変わることを特徴とする。
【0013】
前記レンズホルダが、開口部を有する平板部を備え、
前記レンズと前記板部とが、前記平板部に保持されてもよい。
【0014】
前記第1の電極が、前記平板部の一方の面上に環状に形成され、
前記板部が、前記平板部の他方の面上に形成され、
前記第2の電極が、前記板部と前記平板部の他方の面との間に形成されてもよい。
【0015】
前記板部の前記レンズの設置される側の面が、凸状又は凹状の曲面に形成されてもよい。
【0016】
前記第2の電極は、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されてもよい。
【0017】
前記レンズが、前記板部の一方の面に設置され、
前記板部の他方の面は、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面に形成されてもよい。
【0018】
前記レンズと前記第2の電極とは、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、前記第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、前記第2のレンズと接するように前記板部の他方の面に設置された第4の電極と、を備え、
前記レンズホルダが、開口部を備えるとともに前記平板部に対向し、前記第2のレンズと前記第3の電極とを保持する第2の平板部を備え、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化してもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る撮像装置は、
上記第2の観点に係る焦点調節装置と、
前記焦点調節装置が設置される基板と、
前記基板上に設置された撮像素子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印加された電圧に応じて変形し、曲率が変化する可変焦点レンズを用いることによって、構造が簡単で小型化に対応可能な焦点調節装置と、これを用いた撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る可変焦点レンズと、これを用いた焦点調節装置及び撮像装置について図を用いて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置91を図1〜図4に示す。図2は撮像装置91の平面図である。図1は、図2の一点鎖線A−Aにおける断面図である。また、図3は撮像装置91を構成する焦点調節装置81に設けられた可変焦点レンズ10に電圧が印加された状態を模式的に示す断面図である。図4(a)及び(b)は、可変焦点レンズ10の動作を説明するための図である。なお、図2では説明の便宜のため、特にレンズホルダ61の平板部61aと開口部61bと、レンズ62と、可変焦点レンズ10を構成する可変レンズ11と正電極13とを図示している。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置91は、図1に示すように焦点調節装置81と、撮像素子71と、基板72とを備える。
【0024】
撮像素子71は、被写体の光学像を電気信号に変換するものであり、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等から構成されており、例えば図1に示すように基板72上に設置される。
【0025】
焦点調節装置81は、図1に示すように、可変焦点レンズ10と、レンズホルダ61と、レンズ62とを備える。可変焦点レンズ10は、図1〜図4に示すように、可変レンズ11と、板部12と、正電極13と、負電極14と、を備える。
【0026】
可変レンズ11は、電圧の印加に応じて変形する性質を備える高分子から形成され、本実施の形態ではポリ塩化ビニルに可塑剤を添加したものから形成される。可変レンズ11は、図2に示すように平面視円形に形成され、図1に示すように板部12の凹部12a上に形成された負電極14を覆い、更にレンズホルダ61の平板部61cであって平板部61aと対向する面(レンズ62と対向する面)に形成された正電極13の一部を覆うように設置される。また、可変レンズ11は、正電極13と負電極14との間に印加される電圧がゼロ、つまり初期状態で図2に示すように平面形状がほぼ円形に形成される。正電極13と負電極14との間に印加される電圧をゼロから上昇させると、可変レンズ11を構成する高分子が正電極13に引き寄せられるため、図3に示すように正電極13に沿って径方向外側に変形する。これにより、可変レンズ11の曲率が変化し、可変焦点レンズ10の焦点距離が変化する。なお、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面(板部12と対向する面)の曲率は、一定に保たれ、電圧の印加によって変化しない。
【0027】
また、可変レンズ11の屈折率をn1とし、板部12の屈折率をn2とし、大気の屈折率をn3としたとき、n2とn1との差が、n3とn2との差を下回ると、可変レンズ11と板部12との境界面での屈折を有効に得ることができない。このため、可変レンズ11と板部12との材質は、n2とn1との差がn3とn2との差を上回る性質を備えるものであることが好ましい。
【0028】
また、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルと可塑剤は、後述するようにそれぞれの層に要求される変位量、強度等から決定され、例えば1:9(ポリ塩化ビニル:可塑剤)の割合で混合される。また、可変レンズ11の硬さは、用いるポリ塩化ビニルの重合の程度、可塑剤の混入量、用いる可塑剤の性質によって決まるため、これらを適宜調節することによって硬さを決定し、変位量を定める。
【0029】
具体的に、例えばポリ塩化ビニルに関して、本実施の形態では、重合度1100のポリ塩化ビニルを用いることが好ましい。例えば、重合度3700のポリ塩化ビニルは、可塑剤を多く含むことができ、また強度が高く好ましいが、透明度が重合度1100のものに比べて低いため、本実施の形態のように可変焦点レンズ10として用いるのは適さない。
【0030】
次に、可塑剤は、フタル酸エステル系のものが好ましく、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP(DOP))、フタル酸ジノルマルオクチル(DnOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)がより好ましい。これらの可塑剤は、一般にポリ塩化ビニルに添加される量が増えるに従って、ポリ塩化ビニルのゲルが柔軟になり、電圧を印加した際の変位量が多くなる傾向にある。また、それぞれの可塑剤は、エステル基の直鎖が長いほどポリ塩化ビニルに電圧を印加した際の変位量が少ない傾向を示す。また、エステル基に分岐があると電圧を印加した際の変位量が少ない傾向を示す。
【0031】
また、可変レンズ11は、以下に記述するようにして形成する。まず、ポリ塩化ビニルに可塑剤として例えばフタル酸ジブチルを加え、これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。続いて、この溶液を予め可変レンズ11の形状に成型した型に流し込み、数日間放置する。放置することによって、テトラヒドロフランが蒸発し、可変レンズ11が形成される。
【0032】
なお、外部環境から保護するため、可変レンズ11の表面を例えばポリウレタン、ポリパラキシリレン樹脂(パリレン)等の伸縮性のある薄い膜で覆ってもよい。
【0033】
板部12は、光透過性を有する材質、例えばプラスチック、ガラスから構成され、平面視円形に形成される。板部12は、レンズホルダ61の平板部61cの下面(撮像素子71と対向する面)に、負電極14を介して設置される。板部12は、図1に示すようにレンズ62と対向する面に凹状の曲面に形成された凹部12aを備える。なお、板部12の撮像素子71と対向する面は凹部12aと異なり平面状に形成される。板部12に凹部12aを形成し、可変レンズ11が負電極14を介して凹部12aを充填するように形成されることによって、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面は、凸状の形状が保たれる。従って、可変レンズ11に電圧が印加された際も可変レンズ11の撮像素子71と対向する面の曲率を一定に保つことができる。
【0034】
正電極13は、例えばカーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料から構成され、図1及び図2に示すように、レンズホルダ61の平板部61c上に環状に形成される。上述したように、正電極13と負電極14との間に電圧が印加されると可変レンズ11は正電極13に沿うように変形する。本実施の形態では、可変レンズ11を径方向外側に良好に変形させるため、正電極13は、図4(a)に示すように可変レンズ11よりも径方向外側に広く形成される。
【0035】
負電極14は光透過性を備える導電材料、例えばITOから構成される。負電極14は、レンズホルダ61の平板部61cの下面と、板部12との間に、板部12全面を覆うように、平面視円形状に形成される。
また、正電極13と負電極14とは、電源(図示せず)及び制御部(図示せず)に接続されており、制御部(図示せず)からの入力に従い正電極13と負電極14との間に電圧が印加される。
【0036】
次に、可変焦点レンズ10に電圧が印加された場合を図4を用いて説明する。
図4(a)に示す初期状態の可変焦点レンズ10の正電極13と負電極14とに印加する電圧を0から上げていくと、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルが正電極13に引き寄せられるため、可変レンズ11は図4(b)に示すように正電極13を覆うように径方向外側に変形する。そして可変レンズ11の厚みはTaからTbへと変化し、可変レンズ11の曲率半径は大きくなる、換言すれば曲率は小さくなり、可変レンズ11の焦点距離は遠くなる。
【0037】
また、正電極13と負電極14とに印加する電圧をゼロに戻すと、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルが正電極13に引き寄せられなくなるため、可変レンズ11は図4(a)に示す初期状態に戻る。このようにして可変焦点レンズ10の焦点距離を変化させる。
【0038】
レンズホルダ61は、図1及び図2に示すように円筒状に形成され、その内側に可変焦点レンズ10及びレンズ62を保持する。また、レンズホルダ61は、平板部61a及び平板部61cを備える。平板部61aは、レンズ62の径に対応した開口部61bを有する。平板部61cは、可変焦点レンズ10に対応する開口部61dを備える。開口部61bと開口部61dとはほぼ同じ径に形成される。また、平板部61cの平板部61aに対向する面上には、正電極13が形成される。また、平板部61cの撮像素子71と対向する面には、負電極14が形成される。このようにレンズホルダ61の平板部61cには正電極13及び負電極14が形成されるため、両者を電気的に絶縁するため、レンズホルダ61の少なくとも平板部61cは絶縁材料から形成されるのが好ましく、具体的にPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成される。
【0039】
レンズ62は、プラスチックレンズ、ガラスレンズ等から構成され、可変焦点レンズ10とともに被写体の光学画像を集光する。可変焦点レンズ10は上述したように、正電極13と負電極14との間に印加された電圧に応じて曲率が変化するが、レンズ62の曲率は一定である。
【0040】
本実施の形態の可変焦点レンズ10は、印加された電圧に応じて可変レンズ11そのものが変形し、曲率が変化することによって、焦点距離が変化する。従って、レンズを保持するレンズホルダをアクチュエータ等によって光軸方向に移動させ、焦点距離を調節する従来の構成と異なり、アクチュエータ、動力伝達手段、ガイド等を省略することができる。結果として、焦点調節装置81を小型化することが可能となり、さらには撮像装置91の小型化に容易に対応することができる。
【0041】
更に本実施の形態の可変焦点レンズ10は、板部12に凹部12aを形成することによって、可変レンズ11の片面を容易に凸状の曲面とすることができる。従って、例えば板部12の両面を平面状に形成した場合に生じていた収差の影響による像の歪みを抑制し、良好な像を得ることができる。
【0042】
また、本実施の形態の可変焦点レンズ10は、可変レンズ11の片面は凹部12aに沿っていることから、容易に曲率を一定に保つことができる。従って、レンズ11の一方の面の曲率を変化させつつ、他方の面の曲率を容易に一定に保つことができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置92を図5及び図6に示す。図6は本実施の形態に係る撮像装置92の平面図であり、図5は図6のB−B線断面図である。図6では、説明の便宜のため、レンズホルダ61の平板部61aと、開口部61bと、可変焦点レンズ20を構成する可変レンズ21と、正電極23と、を図示し、その他は省略している。第2の実施の形態に係る可変焦点レンズ20が、第1の実施の形態の可変焦点レンズ10と異なるのは板部の形が異なることである。第1の実施の形態と共通する部分に関しては、第1の実施の形態と同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態の撮像装置92は、焦点調節装置82と、撮像素子71と、基板72と、を備える。焦点調節装置82は、可変焦点レンズ20と、レンズホルダ61と、レンズ62と、を備える。また、可変焦点レンズ20は、第1の実施の形態と同様に可変レンズ21と、板部22と、正電極23と、負電極24とから構成される。可変焦点レンズ20はレンズホルダ61内に保持される。
【0045】
可変レンズ21は、第1の実施の形態と同様にポリ塩化ビニルに可塑剤を混入したものから構成され、図6に示すように平面視円形に形成される。可変レンズ21は、板部22上に形成された負電極24を覆い、更にレンズホルダ61の平板部61c上に形成された正電極23の一部を覆うように設置される。正電極23と負電極24の間に電圧が印加されると、可変レンズ21は正電極23に沿って径方向に外側に変形し、可変レンズ21の曲率が変化する。
【0046】
板部22は、光透過性を備える材質、例えばプラスチック、ガラスから形成され、レンズホルダ61の平板部61cの下面(撮像素子71と対向する面)に、負電極24を介して設置される。板部22の負電極24が形成される面は平面状に形成されており、板部22の撮像素子71と対向する面は凸状の曲面に形成され、凸レンズとして機能する。
【0047】
正電極23は、例えばカーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料から構成され、図5に示すように平板部61c上に形成される。また、正電極23の一部は可変レンズ21によって覆われる。
【0048】
負電極24は光透過性を備える導電材料、例えばITOから構成される。負電極24は、図5に示すように板部22を覆うように形成される。
また、正電極23と負電極24とは、電源(図示せず)及び制御部(図示せず)に接続されており、制御部(図示せず)からの入力に従い正電極23と負電極24との間に電圧が印加される。
【0049】
本実施の形態の可変焦点レンズ20は、電圧を印加することによって可変レンズ21そのものが変形し、曲率が変化するため、第1の実施の形態と同様に焦点調節装置82及び撮像装置92を小型化することが可能となる。また、本実施の形態の可変焦点レンズ20では、板部22の撮像素子71に対向する面が凸レンズとして機能するように凸状の曲面に形成されるため、板部の両面を平面状に形成した場合に生ずる収差の影響による像の歪みを抑制することが可能となる。
【0050】
また、上述した第1の実施の形態では、板部12の屈折率n2と可変レンズ11の屈折率n1と大気の屈折率n3との関係が、n2とn1との差がn2とn3との差より大きくなるようレンズ11と板部12の材質を調節する必要があった。しかし、本実施の形態では、板部22の片面がレンズとして機能するため、例えば可変レンズ21の屈折率と板部22の屈折率とがほぼ同じである場合のように第1の実施の形態では用いることが難しい材質を用いることも可能となる。
【0051】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置93を図7及び8に示す。図8は、撮像装置93を示す平面図であり、図7は図8のC−C線断面図である。図8では説明の便宜のため、レンズホルダ61の平板部61aと、開口部61bと、可変レンズ31aと、正電極33aとを図示し、その他は省略する。本実施の形態に係る可変焦点レンズ30が上述した実施の形態の可変焦点レンズ10、20と異なるのは可変レンズが板部の両面に形成される点にある。上述した実施の形態と共通する部分については、同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
撮像装置93は、図7及び図8に示すように焦点調節装置83と、撮像素子71と、基板72と、を備える。焦点調節装置83は、可変焦点レンズ30と、レンズホルダ61と、レンズ62とを備える。
【0053】
可変焦点レンズ30は、可変レンズ31a、31bと、板部32と、正電極33a、33bと、負電極34a、34bと、から構成される。可変焦点レンズ30は、図7に示すようにレンズホルダ21内に設置される。
【0054】
可変レンズ31a及び31bは、それぞれ第1の実施の形態と同様にポリ塩化ビニルに可塑剤を混入したものから構成され、それぞれ平面視円形に形成される。可変レンズ31aは、板部32のレンズ62と対向する面(光の入射面)上に形成された負電極34a上に形成される。一方、可変レンズ31bは、板部32の撮像素子71と対向する面上に形成された負電極34b上に形成される。また、可変レンズ31aは正電極33aと接するように、可変レンズ31bは、正電極33bと接触するように形成される。
【0055】
なお、可変レンズ31aと可変レンズ31bとは、板部32によって電気的に絶縁されており、別々に電圧が印加され、それぞれ独立して曲率が変化する。例えば、正電極33aと負電極34aとの間に電圧が印加されると、可変レンズ31aは正電極33aに引かれるように、径方向外側に変形する。このようにして可変レンズ31aの曲率が変化する。一方、正電極33bと負電極34bとの間に電圧が印加されると、可変レンズ31bは正電極33bに引かれるように径方向外側に変形する。このようにして可変レンズ31bの曲率が変化する。
【0056】
なお、可変レンズ31aと可変レンズ31bとは、ほぼ同じ硬さに形成されても良いし、ポリ塩化ビニルの重合度、用いる可塑剤を変化させることによって、異なる硬さに形成しても良い。これらは可変焦点レンズ30に要求される性質に応じて適宜変化させることが可能である。
【0057】
板部32は、光透過性を有する材質、例えばプラスチック、ガラスから形成される。板部32は、平面視円形に形成され、レンズ62と対向する面と撮像素子71と対向する面とは、それぞれ凸状の曲面に形成される。板部32は、平板部61cと平板部61eとの間に設置され、レンズ62と対向する面、撮像素子71と対向する面それぞれに負電極34a、34bが形成されるため、絶縁性を備える材質から形成される。
【0058】
正電極33a、33bは、カーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料、例えばリン青銅板から構成され、平板部61c、61e上に環状に形成される。
【0059】
負電極34a、34bは、光透過性を備える導電材料、例えばITOから形成される。負電極34a、34bは、それぞれ板部32のレンズ62と対向する面、撮像素子71と対向する面を覆うように、平面視円形に形成される。
正電極33a、33b、負電極34a、34bは、それぞれ図示しない電源及び図示しない制御部に接続され、個別に電圧が印加される。
【0060】
本実施の形態の可変焦点レンズ30は、電圧を印加することによって可変レンズ31a、31bそのものが変形し、曲率が変化するため、第1の実施の形態と第2の実施の形態と同様に焦点調節装置83及び撮像装置93を小型化することが可能となる。また、本実施の形態の可変焦点レンズ30では、板部32の両面に可変レンズ31a、31bが形成されるため、例えば可変レンズを板部の一面に設け、板部の両面を平面状に形成した場合に生ずる収差の影響による像の歪みを抑制し、良好な像を得ることができる。
【0061】
更に、本実施の形態の可変レンズ30は、絶縁性を備える板部32の上面及び下面に可変レンズ31a、31b、正電極33a、33b、負電極34a、34bが形成されており、可変レンズ31a、31bにそれぞれ独立して電圧を印加することができるため、可変レンズ31a又は31b、もしくは両方の曲率を自由に変化させることができる。従って、可変焦点レンズ30の曲率の変化、換言すれば焦点距離の変化の幅を広げることが可能となる。
【0062】
本発明は上述した実施の形態に限られず、様々な修正及び応用が可能である。
例えば、上述した第1の実施の形態では、板部12が凹部12aを備える場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように板部12に凸状の曲面である凸部12bを形成することも可能である。この場合、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面は凹状となり、この面を凹レンズとして機能させることが可能となる。
【0063】
同様に、上述した第2の実施の形態では板部22の撮像素子71と対向する面が凸状に形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、例えば図10に示すように凹状の曲面に形成することも可能である。
【0064】
また、上述したそれぞれの実施の形態では、可変レンズ11が凸レンズである場合を例に挙げて説明したが、これに限られず凹レンズとすることも可能である。この場合、例えば図11に示すように可変焦点レンズ40は、撮像装置94を構成する焦点調節装置84に設置される。
【0065】
可変焦点レンズ40は、可変レンズ41と、板部42と、正電極43と、負電極44と、を備える。可変レンズ41は、図11に示すように凹状の球面に形成される。また、可変レンズ41は、正電極43と負電極44とに接するように設置される。板部42は、凹状の曲面に形成された凹部42aを備える。正電極43は、上述した実施の形態と異なり、レンズホルダ61の平板部61cに形成された開口部61dの内周面に形成される。負電極44は、板部42の凹部42aを覆うように形成される。
【0066】
この可変焦点レンズ40に電圧が印加されると、図12に示すように、可変レンズ41は正電極43に沿って上側に変形し、可変レンズ41の曲率が変化する。この場合、可変レンズ41の曲率半径は小さくなる、換言すれば可変レンズ41の曲率が大きくなり、焦点距離が短くなる。
【0067】
また、上述したそれぞれの実施の形態では、負電極は板部の一方の面全体を覆うように形成される場合を例に挙げて説明したが、可変レンズに必要とされる変位量が得られるのであれば、例えば、図13に示す負電極15のように平板部61cの下面に、板部12の一部を覆うように形成することも可能である。
【0068】
また、上述した各実施の形態では、可変焦点レンズに印加される電圧が一段階に変化する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、可変焦点レンズに印加する電圧を多段階に変化させ、可変焦点レンズの曲率を多段階に変化させることも可能である。
【0069】
上述した各実施の形態では、レンズホルダ61の平板部61cは、レンズホルダ61と一体に形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、平板部61c上に可変レンズ11、正電極13等を形成した後、レンズホルダ61内に設置する構成を採ることも可能である。
【0070】
上述した各実施の形態では、ポリ塩化ビニルを用いた場合を例に挙げて説明したが、正電極と負電極との間に印加された電圧に応じて変形する性質を備えれば、ポリ塩化ビニル以外を用いることも可能である。
【0071】
また、上述した各実施の形態では、2枚のレンズで被写体の光学画像を集光する構成を例に挙げて説明したがこれに限られず、例えば3枚のレンズを用いる構成を採ることが可能である。また、可変焦点レンズの位置も、任意であり、可変焦点レンズと撮像素子との間にレンズを設置する構成を採ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る撮像装置に設置された可変焦点レンズに電圧が印加された場合の撮像装置の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る可変焦点レンズの動作を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図12】図11に示す可変焦点レンズに電圧が印加された状態を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10,20,30 可変焦点レンズ
11,21,31a,31b 可変レンズ
12,22,32 板部
13,23,33a,33b 正電極
14,24,34a,34b 負電極
61 レンズホルダ
62 レンズ
71 撮像素子
72 基板
81,82,83 焦点調節装置
91,92,93 撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の印加によって曲率が変化し、焦点距離が変化する可変焦点レンズとこれを用いた焦点調節装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の小型の電子機器に撮像装置が搭載されるようになり、撮像装置の小型化が進んでいる。これらの撮像装置に用いられるレンズと撮像素子との間の焦点距離を調節する焦点調節装置において、従来、電磁モータを利用してレンズと撮像素子との距離を調節することが行われている。しかし、電磁モータを利用する場合、動力を伝達するための機構が必要となり、焦点調節装置の構成が複雑となり撮像装置の小型化に対応することが難しいという問題がある。
【0003】
そこで、印加された電圧に応じて変形する電歪材料から構成されたアクチュエータを用いて、レンズを保持するレンズホルダをレンズの光軸方向に移動させ、レンズと撮像素子との距離を調節することが行われている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−215429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、電磁モータ等を利用する場合と比較し構造が簡単になるものの、電歪材料の伸縮の制御にガイドやバネが必要であり、部品点数が多く、構造も複雑となる問題は解決されない。
【0005】
そこで、ガイド、バネ等を省略し簡単な構造を実現するため、レンズ自体の焦点距離を変化させることが可能な可変焦点レンズと、これを用いた焦点調節装置及び撮像装置が求められている。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で小型化に対応可能な可変焦点レンズと、これを利用した焦点調節装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る可変焦点レンズは、
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記板部上に、前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化する、ことを特徴とする。
【0008】
前記板部の前記レンズが設置される側の面が、凹状又は凸状の曲面に形成されてもよい。
【0009】
前記第2の電極は、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されてもよい。
【0010】
前記板部の一方の面に前記レンズが設置され、
前記板部の他方の面に、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面が形成されてもよい。
【0011】
前記レンズと前記第2の電極とは、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、該第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、該第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る焦点調節装置は、
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと前記板部とを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化し、焦点距離が変わることを特徴とする。
【0013】
前記レンズホルダが、開口部を有する平板部を備え、
前記レンズと前記板部とが、前記平板部に保持されてもよい。
【0014】
前記第1の電極が、前記平板部の一方の面上に環状に形成され、
前記板部が、前記平板部の他方の面上に形成され、
前記第2の電極が、前記板部と前記平板部の他方の面との間に形成されてもよい。
【0015】
前記板部の前記レンズの設置される側の面が、凸状又は凹状の曲面に形成されてもよい。
【0016】
前記第2の電極は、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されてもよい。
【0017】
前記レンズが、前記板部の一方の面に設置され、
前記板部の他方の面は、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面に形成されてもよい。
【0018】
前記レンズと前記第2の電極とは、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、前記第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、前記第2のレンズと接するように前記板部の他方の面に設置された第4の電極と、を備え、
前記レンズホルダが、開口部を備えるとともに前記平板部に対向し、前記第2のレンズと前記第3の電極とを保持する第2の平板部を備え、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化してもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る撮像装置は、
上記第2の観点に係る焦点調節装置と、
前記焦点調節装置が設置される基板と、
前記基板上に設置された撮像素子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印加された電圧に応じて変形し、曲率が変化する可変焦点レンズを用いることによって、構造が簡単で小型化に対応可能な焦点調節装置と、これを用いた撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る可変焦点レンズと、これを用いた焦点調節装置及び撮像装置について図を用いて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置91を図1〜図4に示す。図2は撮像装置91の平面図である。図1は、図2の一点鎖線A−Aにおける断面図である。また、図3は撮像装置91を構成する焦点調節装置81に設けられた可変焦点レンズ10に電圧が印加された状態を模式的に示す断面図である。図4(a)及び(b)は、可変焦点レンズ10の動作を説明するための図である。なお、図2では説明の便宜のため、特にレンズホルダ61の平板部61aと開口部61bと、レンズ62と、可変焦点レンズ10を構成する可変レンズ11と正電極13とを図示している。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置91は、図1に示すように焦点調節装置81と、撮像素子71と、基板72とを備える。
【0024】
撮像素子71は、被写体の光学像を電気信号に変換するものであり、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等から構成されており、例えば図1に示すように基板72上に設置される。
【0025】
焦点調節装置81は、図1に示すように、可変焦点レンズ10と、レンズホルダ61と、レンズ62とを備える。可変焦点レンズ10は、図1〜図4に示すように、可変レンズ11と、板部12と、正電極13と、負電極14と、を備える。
【0026】
可変レンズ11は、電圧の印加に応じて変形する性質を備える高分子から形成され、本実施の形態ではポリ塩化ビニルに可塑剤を添加したものから形成される。可変レンズ11は、図2に示すように平面視円形に形成され、図1に示すように板部12の凹部12a上に形成された負電極14を覆い、更にレンズホルダ61の平板部61cであって平板部61aと対向する面(レンズ62と対向する面)に形成された正電極13の一部を覆うように設置される。また、可変レンズ11は、正電極13と負電極14との間に印加される電圧がゼロ、つまり初期状態で図2に示すように平面形状がほぼ円形に形成される。正電極13と負電極14との間に印加される電圧をゼロから上昇させると、可変レンズ11を構成する高分子が正電極13に引き寄せられるため、図3に示すように正電極13に沿って径方向外側に変形する。これにより、可変レンズ11の曲率が変化し、可変焦点レンズ10の焦点距離が変化する。なお、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面(板部12と対向する面)の曲率は、一定に保たれ、電圧の印加によって変化しない。
【0027】
また、可変レンズ11の屈折率をn1とし、板部12の屈折率をn2とし、大気の屈折率をn3としたとき、n2とn1との差が、n3とn2との差を下回ると、可変レンズ11と板部12との境界面での屈折を有効に得ることができない。このため、可変レンズ11と板部12との材質は、n2とn1との差がn3とn2との差を上回る性質を備えるものであることが好ましい。
【0028】
また、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルと可塑剤は、後述するようにそれぞれの層に要求される変位量、強度等から決定され、例えば1:9(ポリ塩化ビニル:可塑剤)の割合で混合される。また、可変レンズ11の硬さは、用いるポリ塩化ビニルの重合の程度、可塑剤の混入量、用いる可塑剤の性質によって決まるため、これらを適宜調節することによって硬さを決定し、変位量を定める。
【0029】
具体的に、例えばポリ塩化ビニルに関して、本実施の形態では、重合度1100のポリ塩化ビニルを用いることが好ましい。例えば、重合度3700のポリ塩化ビニルは、可塑剤を多く含むことができ、また強度が高く好ましいが、透明度が重合度1100のものに比べて低いため、本実施の形態のように可変焦点レンズ10として用いるのは適さない。
【0030】
次に、可塑剤は、フタル酸エステル系のものが好ましく、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP(DOP))、フタル酸ジノルマルオクチル(DnOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)がより好ましい。これらの可塑剤は、一般にポリ塩化ビニルに添加される量が増えるに従って、ポリ塩化ビニルのゲルが柔軟になり、電圧を印加した際の変位量が多くなる傾向にある。また、それぞれの可塑剤は、エステル基の直鎖が長いほどポリ塩化ビニルに電圧を印加した際の変位量が少ない傾向を示す。また、エステル基に分岐があると電圧を印加した際の変位量が少ない傾向を示す。
【0031】
また、可変レンズ11は、以下に記述するようにして形成する。まず、ポリ塩化ビニルに可塑剤として例えばフタル酸ジブチルを加え、これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。続いて、この溶液を予め可変レンズ11の形状に成型した型に流し込み、数日間放置する。放置することによって、テトラヒドロフランが蒸発し、可変レンズ11が形成される。
【0032】
なお、外部環境から保護するため、可変レンズ11の表面を例えばポリウレタン、ポリパラキシリレン樹脂(パリレン)等の伸縮性のある薄い膜で覆ってもよい。
【0033】
板部12は、光透過性を有する材質、例えばプラスチック、ガラスから構成され、平面視円形に形成される。板部12は、レンズホルダ61の平板部61cの下面(撮像素子71と対向する面)に、負電極14を介して設置される。板部12は、図1に示すようにレンズ62と対向する面に凹状の曲面に形成された凹部12aを備える。なお、板部12の撮像素子71と対向する面は凹部12aと異なり平面状に形成される。板部12に凹部12aを形成し、可変レンズ11が負電極14を介して凹部12aを充填するように形成されることによって、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面は、凸状の形状が保たれる。従って、可変レンズ11に電圧が印加された際も可変レンズ11の撮像素子71と対向する面の曲率を一定に保つことができる。
【0034】
正電極13は、例えばカーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料から構成され、図1及び図2に示すように、レンズホルダ61の平板部61c上に環状に形成される。上述したように、正電極13と負電極14との間に電圧が印加されると可変レンズ11は正電極13に沿うように変形する。本実施の形態では、可変レンズ11を径方向外側に良好に変形させるため、正電極13は、図4(a)に示すように可変レンズ11よりも径方向外側に広く形成される。
【0035】
負電極14は光透過性を備える導電材料、例えばITOから構成される。負電極14は、レンズホルダ61の平板部61cの下面と、板部12との間に、板部12全面を覆うように、平面視円形状に形成される。
また、正電極13と負電極14とは、電源(図示せず)及び制御部(図示せず)に接続されており、制御部(図示せず)からの入力に従い正電極13と負電極14との間に電圧が印加される。
【0036】
次に、可変焦点レンズ10に電圧が印加された場合を図4を用いて説明する。
図4(a)に示す初期状態の可変焦点レンズ10の正電極13と負電極14とに印加する電圧を0から上げていくと、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルが正電極13に引き寄せられるため、可変レンズ11は図4(b)に示すように正電極13を覆うように径方向外側に変形する。そして可変レンズ11の厚みはTaからTbへと変化し、可変レンズ11の曲率半径は大きくなる、換言すれば曲率は小さくなり、可変レンズ11の焦点距離は遠くなる。
【0037】
また、正電極13と負電極14とに印加する電圧をゼロに戻すと、可変レンズ11を構成するポリ塩化ビニルが正電極13に引き寄せられなくなるため、可変レンズ11は図4(a)に示す初期状態に戻る。このようにして可変焦点レンズ10の焦点距離を変化させる。
【0038】
レンズホルダ61は、図1及び図2に示すように円筒状に形成され、その内側に可変焦点レンズ10及びレンズ62を保持する。また、レンズホルダ61は、平板部61a及び平板部61cを備える。平板部61aは、レンズ62の径に対応した開口部61bを有する。平板部61cは、可変焦点レンズ10に対応する開口部61dを備える。開口部61bと開口部61dとはほぼ同じ径に形成される。また、平板部61cの平板部61aに対向する面上には、正電極13が形成される。また、平板部61cの撮像素子71と対向する面には、負電極14が形成される。このようにレンズホルダ61の平板部61cには正電極13及び負電極14が形成されるため、両者を電気的に絶縁するため、レンズホルダ61の少なくとも平板部61cは絶縁材料から形成されるのが好ましく、具体的にPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成される。
【0039】
レンズ62は、プラスチックレンズ、ガラスレンズ等から構成され、可変焦点レンズ10とともに被写体の光学画像を集光する。可変焦点レンズ10は上述したように、正電極13と負電極14との間に印加された電圧に応じて曲率が変化するが、レンズ62の曲率は一定である。
【0040】
本実施の形態の可変焦点レンズ10は、印加された電圧に応じて可変レンズ11そのものが変形し、曲率が変化することによって、焦点距離が変化する。従って、レンズを保持するレンズホルダをアクチュエータ等によって光軸方向に移動させ、焦点距離を調節する従来の構成と異なり、アクチュエータ、動力伝達手段、ガイド等を省略することができる。結果として、焦点調節装置81を小型化することが可能となり、さらには撮像装置91の小型化に容易に対応することができる。
【0041】
更に本実施の形態の可変焦点レンズ10は、板部12に凹部12aを形成することによって、可変レンズ11の片面を容易に凸状の曲面とすることができる。従って、例えば板部12の両面を平面状に形成した場合に生じていた収差の影響による像の歪みを抑制し、良好な像を得ることができる。
【0042】
また、本実施の形態の可変焦点レンズ10は、可変レンズ11の片面は凹部12aに沿っていることから、容易に曲率を一定に保つことができる。従って、レンズ11の一方の面の曲率を変化させつつ、他方の面の曲率を容易に一定に保つことができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置92を図5及び図6に示す。図6は本実施の形態に係る撮像装置92の平面図であり、図5は図6のB−B線断面図である。図6では、説明の便宜のため、レンズホルダ61の平板部61aと、開口部61bと、可変焦点レンズ20を構成する可変レンズ21と、正電極23と、を図示し、その他は省略している。第2の実施の形態に係る可変焦点レンズ20が、第1の実施の形態の可変焦点レンズ10と異なるのは板部の形が異なることである。第1の実施の形態と共通する部分に関しては、第1の実施の形態と同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態の撮像装置92は、焦点調節装置82と、撮像素子71と、基板72と、を備える。焦点調節装置82は、可変焦点レンズ20と、レンズホルダ61と、レンズ62と、を備える。また、可変焦点レンズ20は、第1の実施の形態と同様に可変レンズ21と、板部22と、正電極23と、負電極24とから構成される。可変焦点レンズ20はレンズホルダ61内に保持される。
【0045】
可変レンズ21は、第1の実施の形態と同様にポリ塩化ビニルに可塑剤を混入したものから構成され、図6に示すように平面視円形に形成される。可変レンズ21は、板部22上に形成された負電極24を覆い、更にレンズホルダ61の平板部61c上に形成された正電極23の一部を覆うように設置される。正電極23と負電極24の間に電圧が印加されると、可変レンズ21は正電極23に沿って径方向に外側に変形し、可変レンズ21の曲率が変化する。
【0046】
板部22は、光透過性を備える材質、例えばプラスチック、ガラスから形成され、レンズホルダ61の平板部61cの下面(撮像素子71と対向する面)に、負電極24を介して設置される。板部22の負電極24が形成される面は平面状に形成されており、板部22の撮像素子71と対向する面は凸状の曲面に形成され、凸レンズとして機能する。
【0047】
正電極23は、例えばカーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料から構成され、図5に示すように平板部61c上に形成される。また、正電極23の一部は可変レンズ21によって覆われる。
【0048】
負電極24は光透過性を備える導電材料、例えばITOから構成される。負電極24は、図5に示すように板部22を覆うように形成される。
また、正電極23と負電極24とは、電源(図示せず)及び制御部(図示せず)に接続されており、制御部(図示せず)からの入力に従い正電極23と負電極24との間に電圧が印加される。
【0049】
本実施の形態の可変焦点レンズ20は、電圧を印加することによって可変レンズ21そのものが変形し、曲率が変化するため、第1の実施の形態と同様に焦点調節装置82及び撮像装置92を小型化することが可能となる。また、本実施の形態の可変焦点レンズ20では、板部22の撮像素子71に対向する面が凸レンズとして機能するように凸状の曲面に形成されるため、板部の両面を平面状に形成した場合に生ずる収差の影響による像の歪みを抑制することが可能となる。
【0050】
また、上述した第1の実施の形態では、板部12の屈折率n2と可変レンズ11の屈折率n1と大気の屈折率n3との関係が、n2とn1との差がn2とn3との差より大きくなるようレンズ11と板部12の材質を調節する必要があった。しかし、本実施の形態では、板部22の片面がレンズとして機能するため、例えば可変レンズ21の屈折率と板部22の屈折率とがほぼ同じである場合のように第1の実施の形態では用いることが難しい材質を用いることも可能となる。
【0051】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置93を図7及び8に示す。図8は、撮像装置93を示す平面図であり、図7は図8のC−C線断面図である。図8では説明の便宜のため、レンズホルダ61の平板部61aと、開口部61bと、可変レンズ31aと、正電極33aとを図示し、その他は省略する。本実施の形態に係る可変焦点レンズ30が上述した実施の形態の可変焦点レンズ10、20と異なるのは可変レンズが板部の両面に形成される点にある。上述した実施の形態と共通する部分については、同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
撮像装置93は、図7及び図8に示すように焦点調節装置83と、撮像素子71と、基板72と、を備える。焦点調節装置83は、可変焦点レンズ30と、レンズホルダ61と、レンズ62とを備える。
【0053】
可変焦点レンズ30は、可変レンズ31a、31bと、板部32と、正電極33a、33bと、負電極34a、34bと、から構成される。可変焦点レンズ30は、図7に示すようにレンズホルダ21内に設置される。
【0054】
可変レンズ31a及び31bは、それぞれ第1の実施の形態と同様にポリ塩化ビニルに可塑剤を混入したものから構成され、それぞれ平面視円形に形成される。可変レンズ31aは、板部32のレンズ62と対向する面(光の入射面)上に形成された負電極34a上に形成される。一方、可変レンズ31bは、板部32の撮像素子71と対向する面上に形成された負電極34b上に形成される。また、可変レンズ31aは正電極33aと接するように、可変レンズ31bは、正電極33bと接触するように形成される。
【0055】
なお、可変レンズ31aと可変レンズ31bとは、板部32によって電気的に絶縁されており、別々に電圧が印加され、それぞれ独立して曲率が変化する。例えば、正電極33aと負電極34aとの間に電圧が印加されると、可変レンズ31aは正電極33aに引かれるように、径方向外側に変形する。このようにして可変レンズ31aの曲率が変化する。一方、正電極33bと負電極34bとの間に電圧が印加されると、可変レンズ31bは正電極33bに引かれるように径方向外側に変形する。このようにして可変レンズ31bの曲率が変化する。
【0056】
なお、可変レンズ31aと可変レンズ31bとは、ほぼ同じ硬さに形成されても良いし、ポリ塩化ビニルの重合度、用いる可塑剤を変化させることによって、異なる硬さに形成しても良い。これらは可変焦点レンズ30に要求される性質に応じて適宜変化させることが可能である。
【0057】
板部32は、光透過性を有する材質、例えばプラスチック、ガラスから形成される。板部32は、平面視円形に形成され、レンズ62と対向する面と撮像素子71と対向する面とは、それぞれ凸状の曲面に形成される。板部32は、平板部61cと平板部61eとの間に設置され、レンズ62と対向する面、撮像素子71と対向する面それぞれに負電極34a、34bが形成されるため、絶縁性を備える材質から形成される。
【0058】
正電極33a、33bは、カーボンブラック、金、銀、アルミニウム、リン青銅等の無機導電性材料又は有機導電性高分子等の有機導電性材料、例えばリン青銅板から構成され、平板部61c、61e上に環状に形成される。
【0059】
負電極34a、34bは、光透過性を備える導電材料、例えばITOから形成される。負電極34a、34bは、それぞれ板部32のレンズ62と対向する面、撮像素子71と対向する面を覆うように、平面視円形に形成される。
正電極33a、33b、負電極34a、34bは、それぞれ図示しない電源及び図示しない制御部に接続され、個別に電圧が印加される。
【0060】
本実施の形態の可変焦点レンズ30は、電圧を印加することによって可変レンズ31a、31bそのものが変形し、曲率が変化するため、第1の実施の形態と第2の実施の形態と同様に焦点調節装置83及び撮像装置93を小型化することが可能となる。また、本実施の形態の可変焦点レンズ30では、板部32の両面に可変レンズ31a、31bが形成されるため、例えば可変レンズを板部の一面に設け、板部の両面を平面状に形成した場合に生ずる収差の影響による像の歪みを抑制し、良好な像を得ることができる。
【0061】
更に、本実施の形態の可変レンズ30は、絶縁性を備える板部32の上面及び下面に可変レンズ31a、31b、正電極33a、33b、負電極34a、34bが形成されており、可変レンズ31a、31bにそれぞれ独立して電圧を印加することができるため、可変レンズ31a又は31b、もしくは両方の曲率を自由に変化させることができる。従って、可変焦点レンズ30の曲率の変化、換言すれば焦点距離の変化の幅を広げることが可能となる。
【0062】
本発明は上述した実施の形態に限られず、様々な修正及び応用が可能である。
例えば、上述した第1の実施の形態では、板部12が凹部12aを備える場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように板部12に凸状の曲面である凸部12bを形成することも可能である。この場合、可変レンズ11の撮像素子71と対向する面は凹状となり、この面を凹レンズとして機能させることが可能となる。
【0063】
同様に、上述した第2の実施の形態では板部22の撮像素子71と対向する面が凸状に形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、例えば図10に示すように凹状の曲面に形成することも可能である。
【0064】
また、上述したそれぞれの実施の形態では、可変レンズ11が凸レンズである場合を例に挙げて説明したが、これに限られず凹レンズとすることも可能である。この場合、例えば図11に示すように可変焦点レンズ40は、撮像装置94を構成する焦点調節装置84に設置される。
【0065】
可変焦点レンズ40は、可変レンズ41と、板部42と、正電極43と、負電極44と、を備える。可変レンズ41は、図11に示すように凹状の球面に形成される。また、可変レンズ41は、正電極43と負電極44とに接するように設置される。板部42は、凹状の曲面に形成された凹部42aを備える。正電極43は、上述した実施の形態と異なり、レンズホルダ61の平板部61cに形成された開口部61dの内周面に形成される。負電極44は、板部42の凹部42aを覆うように形成される。
【0066】
この可変焦点レンズ40に電圧が印加されると、図12に示すように、可変レンズ41は正電極43に沿って上側に変形し、可変レンズ41の曲率が変化する。この場合、可変レンズ41の曲率半径は小さくなる、換言すれば可変レンズ41の曲率が大きくなり、焦点距離が短くなる。
【0067】
また、上述したそれぞれの実施の形態では、負電極は板部の一方の面全体を覆うように形成される場合を例に挙げて説明したが、可変レンズに必要とされる変位量が得られるのであれば、例えば、図13に示す負電極15のように平板部61cの下面に、板部12の一部を覆うように形成することも可能である。
【0068】
また、上述した各実施の形態では、可変焦点レンズに印加される電圧が一段階に変化する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、可変焦点レンズに印加する電圧を多段階に変化させ、可変焦点レンズの曲率を多段階に変化させることも可能である。
【0069】
上述した各実施の形態では、レンズホルダ61の平板部61cは、レンズホルダ61と一体に形成される場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、平板部61c上に可変レンズ11、正電極13等を形成した後、レンズホルダ61内に設置する構成を採ることも可能である。
【0070】
上述した各実施の形態では、ポリ塩化ビニルを用いた場合を例に挙げて説明したが、正電極と負電極との間に印加された電圧に応じて変形する性質を備えれば、ポリ塩化ビニル以外を用いることも可能である。
【0071】
また、上述した各実施の形態では、2枚のレンズで被写体の光学画像を集光する構成を例に挙げて説明したがこれに限られず、例えば3枚のレンズを用いる構成を採ることが可能である。また、可変焦点レンズの位置も、任意であり、可変焦点レンズと撮像素子との間にレンズを設置する構成を採ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る撮像装置に設置された可変焦点レンズに電圧が印加された場合の撮像装置の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る可変焦点レンズの動作を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図12】図11に示す可変焦点レンズに電圧が印加された状態を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10,20,30 可変焦点レンズ
11,21,31a,31b 可変レンズ
12,22,32 板部
13,23,33a,33b 正電極
14,24,34a,34b 負電極
61 レンズホルダ
62 レンズ
71 撮像素子
72 基板
81,82,83 焦点調節装置
91,92,93 撮像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記板部上に、前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化することを特徴とする可変焦点レンズ。
【請求項2】
前記板部の前記レンズが設置される側の面が、凹状又は凸状の曲面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項3】
前記第2の電極が、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように設置されることを特徴とする請求項2に記載の可変焦点レンズ。
【請求項4】
前記板部の一方の面に前記レンズが設置され、
前記板部の他方の面に、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項5】
前記レンズと前記第2の電極とが、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、該第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、該第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項6】
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと前記板部とを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化し、焦点距離が変わることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項7】
前記レンズホルダが、開口部を有する平板部を備え、
前記レンズと前記板部とが、前記平板部に保持されることを特徴とする請求項6に記載の焦点調節装置。
【請求項8】
前記第1の電極が、前記平板部の一方の面上に環状に形成され、
前記板部が、前記平板部の他方の面上に形成され、
前記第2の電極が、前記板部と前記平板部の他方の面との間に形成されることを特徴とする請求項7に記載の焦点調節装置。
【請求項9】
前記板部の前記レンズの設置される側の面が、凸状又は凹状の曲面に形成されることを特徴とする請求項8に記載の焦点調節装置。
【請求項10】
前記第2の電極が、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されることを特徴とする請求項9に記載の焦点調節装置。
【請求項11】
前記レンズが、前記板部の一方の面に設置され、
前記板部の他方の面は、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面に形成されることを特徴とする請求項6又は7に記載の焦点調節装置。
【請求項12】
前記レンズと前記第2の電極とが、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、前記第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、前記第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え、
前記レンズホルダが、開口部を備えるとともに前記平板部に対向し、前記第2のレンズと前記第3の電極とを保持する第2の平板部を備え、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化することを特徴とする請求項7に記載の焦点調節装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれか1項に記載の焦点調節装置と、
前記焦点調節装置が設置される基板と、
前記基板上に設置された撮像素子と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記板部上に、前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化することを特徴とする可変焦点レンズ。
【請求項2】
前記板部の前記レンズが設置される側の面が、凹状又は凸状の曲面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項3】
前記第2の電極が、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように設置されることを特徴とする請求項2に記載の可変焦点レンズ。
【請求項4】
前記板部の一方の面に前記レンズが設置され、
前記板部の他方の面に、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項5】
前記レンズと前記第2の電極とが、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、該第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、該第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
【請求項6】
高分子から形成されたレンズと、
前記レンズが設置され、光透過性を有する板部と、
前記レンズと前記板部とを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第1の電極と、
前記レンズホルダに前記レンズと接するように設置された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記レンズが前記第1の電極に沿って変形し、前記レンズの曲率が変化し、焦点距離が変わることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項7】
前記レンズホルダが、開口部を有する平板部を備え、
前記レンズと前記板部とが、前記平板部に保持されることを特徴とする請求項6に記載の焦点調節装置。
【請求項8】
前記第1の電極が、前記平板部の一方の面上に環状に形成され、
前記板部が、前記平板部の他方の面上に形成され、
前記第2の電極が、前記板部と前記平板部の他方の面との間に形成されることを特徴とする請求項7に記載の焦点調節装置。
【請求項9】
前記板部の前記レンズの設置される側の面が、凸状又は凹状の曲面に形成されることを特徴とする請求項8に記載の焦点調節装置。
【請求項10】
前記第2の電極が、光透過性を備え、前記板部の前記曲面を覆うように形成されることを特徴とする請求項9に記載の焦点調節装置。
【請求項11】
前記レンズが、前記板部の一方の面に設置され、
前記板部の他方の面は、レンズとして機能する凸状又は凹状の曲面に形成されることを特徴とする請求項6又は7に記載の焦点調節装置。
【請求項12】
前記レンズと前記第2の電極とが、前記板部の一方の面上に設置され、
更に、高分子からなり前記板部の他方の面上に設置された第2のレンズと、前記第2のレンズと接するように設置された第3の電極と、前記第2のレンズと接するように前記板部の他方の面上に設置された第4の電極と、を備え、
前記レンズホルダが、開口部を備えるとともに前記平板部に対向し、前記第2のレンズと前記第3の電極とを保持する第2の平板部を備え、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が印加されると、前記第2のレンズが前記第3の電極に沿って変形し、前記第2のレンズの曲率が変化することを特徴とする請求項7に記載の焦点調節装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれか1項に記載の焦点調節装置と、
前記焦点調節装置が設置される基板と、
前記基板上に設置された撮像素子と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−114608(P2007−114608A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307604(P2005−307604)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】
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