説明

可搬型メモリ装置及びそのライセンス管理方法

【課題】複数のコンピュータに対するライセンス認証を行う際にもライセンス認証処理に要する時間を短くすることができるとともに、第三者のコンピュータへの不正なアクセスを防止する。
【解決手段】ネットワーク16を介して相互に通信可能に構成された複数の情報処理装置11〜15のうちのいずれかの情報処理装置11に、ライセンス管理プログラムとデータベースを含む可搬型メモリ40を接続し、接続された情報処理装置11は複数の情報処理装置11〜15に対して提供可能なソフトウェアのライセンス上限数及びライセンス使用数に基づいて、要求された情報処理装置にライセンスを付与するか否かを判定し、ライセンスを付与することを判定した場合、該情報処理装置にライセンスを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型メモリ装置及びそのライセンス管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにインストールしたソフトウェアの中には、ライセンス認証が行われた後使用可能になるものがある。このソフトウェアのライセンス認証は、例えば、ユーザがライセンスコードをコンピュータに入力することにより行われる。しかし、ライセンスコードは大文字,小文字等が混雑した長い文字列である場合が多く、ユーザがライセンスコードを入力する際にタイプミスを発生することも多い。タイプミスの発生は、当然、コンピュータの認証失敗を引き起こす。
【0003】
また、同一のソフトウェアを複数のコンピュータにインストールし、それぞれ同じライセンスコードでライセンス認証を行うことにより、ユーザがソフトウェアの不正使用をする場合も考えられる。しかし、このような不正使用に対する防御がなされていないソフトウェアも多く存在する。
【0004】
このような事態を防止するための技術として、外部メモリ装置を用いてソフトウェアのライセンス認証を行うものが知られている。より詳細には、ユーザがコンピュータに外部メモリ装置を接続し、外部メモリ装置内の専用プログラムを用いて接続しているコンピュータのソフトウェアのライセンス認証を行う。このライセンス認証処理が複数のコンピュータに対して順番に行われることにより、ユーザが購入したライセンスの使用数を外部メモリ装置で管理することが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ユーザの操作によってソフトウェアがインストールされたコンピュータと、該ソフトウェアを提供する側のライセンス管理サーバとが通信を行い、ソフトウェアのライセンス認証を行うことにより、ライセンス管理サーバでライセンス使用数を管理する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−259237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の技術では、ユーザがコンピュータ一台一台に外部メモリ装置を接続し、ライセンス認証処理を行う必要がある。このため多くのコンピュータについてライセンス認証処理を行う場合、ユーザが並行して作業を行うことができず、ライセンス認証処理に多くの時間を要する。
【0008】
また、上記従来技術では、ソフトウェアを使用するユーザコンピュータ、若しくはコンピュータ群を外部ネットワークに接続する必要がある。このため、例えば、悪意のある第三者がネットワーク経由でコンピュータ、若しくはコンピュータ群に不正アクセスする問題を考慮する必要がある。このような問題を考慮し、例えば、業務で用いるコンピュータを外部ネットワークへ接続してライセンス認証を行うという認証方法を断念せざるを得ない状況もあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のコンピュータに対するライセンス認証を行う際にもライセンス認証処理に要する時間を短くすることができる可搬型メモリ装置及びそのライセンス管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置であって、データベースは、複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、管理プログラムは、インタフェースを介して接続された情報処理装置に、複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信する機能と、取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードがデータベース内に保存されているか否かを判定する機能と、データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みか否かを判定する機能と、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードをデータベースに保存するとともに、データベースに保存されるライセンス使用数をインクリメントし、該情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信する機能と、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信する機能とを実現させるものである。
【0011】
また、他の本発明は、管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置のライセンス管理方法であって、データベースは、複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信するステップと、取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードがデータベース内に保存されているか否かを判定するステップと、データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みか否かを判定するステップと、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードをデータベースに保存するステップと、データベースに保存しているライセンス使用数をインクリメントするステップと、取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信するステップと、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、複数のコンピュータに対するライセンス認証を行う際にもライセンス認証処理に要する時間を短くすることができる可搬型メモリ装置及びそのライセンス管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るライセンス管理システムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係る外部メモリ装置の構成を示す図である。
【図3】同実施の形態に係る外部メモリ装置と情報処理装置との接続処理を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態に係る閉じられたネットワークと接続する情報処理装置に外部メモリ装置を接続した状態を示す図である。
【図5】同実施の形態に係るライセンスの取得処理を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態に係るライセンスの提供処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態に係るライセンスの返却処理を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態に係るライセンス数の使用上限数を増加する処理を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態に係る開かれたネットワークと接続する情報処理装置に外部メモリ装置を接続した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明のライセンス管理システムが適用されたネットワークシステム1の構成を示す図である。同図に示すように、ネットワークシステム1においては、会社A内の情報処理装置21と、会社B内の情報処理装置17と、情報処理装置31とがネットワーク2を介して接続されている。ネットワーク2は、例えば、インターネットである。
【0016】
会社Aは、ライセンス対象物となるソフトウェアを提供する会社である。また、会社Bは、会社Aからソフトウェアの提供を受ける会社である。更に、情報処理装置31は、例えば、会社Bの情報処理装置に不正の目的を持ってアクセスする第三者が使用する情報処理装置である。
【0017】
会社B内には、情報処理装置11,12,13,14,15及び17が設けられている。情報処理装置17は、既述のようにネットワーク2に接続されている。また、情報処理装置11,12,13,14及び15は業務ネットワーク16を介して相互に通信可能に接続されている。業務ネットワーク16は、例えば、イントラネットであり、ネットワーク2と隔離された閉じられたネットワークになっており、ネットワーク2を介した通信ができないように構成されている。
【0018】
また、情報処理装置11,12,13,14及び15は、会社Aから提供されるソフトウェアがインストールされている。各情報処理装置11,12,13,14及び15は、詳細は後述するライセンスコードを取得することにより、当該ソフトウェアを動作できるように構成されている。
【0019】
会社A内の情報処理装置21は、ネットワーク2を介して情報処理装置17からソフトウェアのライセンス購入の追加要求があった場合、その追加要求に応じたライセンス数を情報処理装置17に付与する。この処理についての詳細は後述する。
【0020】
なお、既述の情報処理装置11,12,13,14,15,17,21及び31は、それぞれ表示部、入力部、制御部、メモリ、記憶装置、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等を備えている。これらの物理的な構成については、従来よりある情報処理装置と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0021】
また、情報処理装置11,12,13,14,15,及び17には、可搬型メモリ装置である外部メモリ装置40(詳細は後述する。)が接続可能になっている。外部メモリ装置は、例えば、USBメモリ装置である。
【0022】
図2は、外部メモリ装置40の構成を示す図である。なお、同図においては、情報処理装置11乃至15のうち情報処理装置11に外部メモリ装置40を接続する場合について説明する。
【0023】
外部メモリ装置40は、USBインタフェース41を有するとともに、ライセンス管理プログラム42及びデータベース43を記憶するメモリ領域を有している。
【0024】
情報処理装置11は、メモリ11a及びUSBインタフェース11bを有している。なお、情報処理装置11のメモリ11a及びUSBインタフェース11b以外の構成については説明の簡略化のため図示及び説明を省略する。
【0025】
データベース43は、会社Aから提供されるソフトウェアのライセンスの上限数と、ライセンスの使用を許可したライセンス許可数(ライセンス使用数)と、ライセンスコードとを関連づけて管理するデータベースである。ライセンスコードは、ライセンスを提供する際に、情報処理装置に固有の識別情報を元に生成されるコードである。情報処理装置に固有の識別情報は、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Media Access Control)アドレスである。
【0026】
ライセンス管理プログラム42は、ライセンス管理サーバプログラム42a及びライセンス管理クライアントプログラム42bを有している。ライセンス管理サーバプログラム42aは、会社Aから会社Bに提供されたソフトウェアのライセンスを管理するためのプログラムである。ライセンス管理クライアントプログラム42bは、会社Aから会社Bに提供されるライセンス数を追加購入するためのプログラムである。
【0027】
ライセンス管理サーバプログラム42aは、例えば、USBインタフェース41を介して接続された情報処理装置11に、情報処理装置11乃至15のうちのいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信する機能と、その取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードがデータベース43内に保存されているか否かを判定する機能と、データベース43内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みか否かを判定する機能と、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、既述の取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードをデータベース43に保存するとともに、データベース43に保存しているライセンス使用数をインクリメントし、該情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信する機能と、ライセンス使用数がライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、既述の取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信する機能とを実現させるプログラムである。
【0028】
また、ライセンス管理サーバプログラム42aは、例えば、情報処理装置11に、情報処理装置11乃至15のうちのいずれかの情報処理装置からライセンスの返還要求を受信する機能と、その返還要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードがデータベース43内に保存されているか否かを判定する機能と、データベース43内に一致するライセンスコードが保存されていると判定した場合、ライセンス使用数をデクリメントし、データベース43に保存しているライセンスコードを削除し、既述の返還要求を受け付けた旨を、返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能と、データベース43内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、既述の返還要求は受付できない旨を、返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能とを実現させる。
【0029】
なお、ライセンス管理サーバプログラム42a及びライセンス管理クライアントプログラム42bについての詳細は、後述する。
【0030】
次に、ユーザが外部メモリ装置40を情報処理装置11に接続したときの処理について図3を参照して説明する。なお、本実施の形態では、情報処理装置11に外部メモリ装置40を接続する場合で説明するが、業務ネットワーク16に接続された情報処理装置11乃至15であれば、いずれの情報処理装置でも良い。
【0031】
ユーザは、外部メモリ装置40のUSBインタフェース41を情報処理装置11のUSBインタフェース11bに差し込む。これにより、情報処理装置11は、USBインタフェース11bに外部メモリ装置40が接続されたこと検出する(S101)。
【0032】
次に、ユーザは、情報処理装置11の操作部(図示を省略する。)を操作して、外部メモリ装置40のメモリ領域に格納されているライセンス管理サーバプログラム42aを起動する操作を行う。この操作によって、情報処理装置11は、ライセンス管理サーバプログラム42aの起動指示を受け付ける(S102)。
【0033】
情報処理装置11は、既述の起動指示を受け、外部メモリ装置40からライセンス管理サーバプログラム42aをロードし、ライセンス管理サーバプログラム42aを実行する(S103)。
【0034】
この結果、情報処理装置11が業務ネットワーク16上のライセンス管理サーバとして動作する(S104)。
【0035】
以上の処理により、情報処理装置11がライセンス管理サーバとしてソフトウェアのライセンスを管理する。なお、図4は、情報処理装置11が業務ネットワーク16に接続された情報処理装置11乃至15のライセンス管理サーバとして動作する様子を示している。
【0036】
次に、情報処理装置12がライセンス管理サーバとして動作する情報処理装置11(以下、ライセンス管理サーバと称する。)からライセンスを取得する処理について図5を参照して説明する。なお、本実施の形態では、情報処理装置12がライセンス管理サーバからライセンスコードを取得する場合で説明するが、ライセンスを取得する情報処理装置は、業務ネットワーク16に接続される情報処理装置であれば良い(従って、ライセンス管理サーバとして動作する情報処理装置11も含まれる)。
【0037】
ユーザは、情報処理装置12の操作部を操作して、情報処理装置12にインストールしてあるソフトウェアを動作させ、ライセンス管理サーバへアクセスする(S201)。
【0038】
次に、情報処理装置12は、ソフトウェアを使用するためのライセンスの取得要求に固有の識別情報を付加し、固有の識別情報を付加した取得要求をライセンス管理サーバへ送信する(S202)。
【0039】
次に、情報処理装置12は、ライセンス管理サーバからの応答情報が、ライセンスの取得要求を許可する許可情報であるか否かを判定する(S203)。
【0040】
ステップS203において、許可情報でない判定した場合(S203:NO)、情報処理装置12はライセンスが認証されなかったことを認識し、例えば、ライセンスの取得ができないためソフトウェアを使用することができない旨をユーザに対して表示する(S204)。
【0041】
一方、ステップS203において、許可情報であると判定した場合(S203:YES)、情報処理装置12はライセンスが認証されたことを認識し、応答情報に含まれるライセンスコードを登録する(S205)。この場合、情報処理装置12は、ソフトウェアプロラムの使用が可能になる。
【0042】
次に、情報処理装置12のユーザがソフトウェアを使用する際にライセンス管理サーバにライセンスの認証を行う場合について図6を参照して説明する。
【0043】
ライセンス管理サーバは、ライセンスの取得要求を情報処理装置12から受信した場合(S301)、当該情報処理装置12に対してライセンスを払い出し済みであるか否かを判定する(S302)。
【0044】
より詳細には、ライセンス管理サーバは、情報処理装置12からのライセンスの取得要求に付加された固有の識別情報に基づいて生成されるライセンスコードと、データベース43内に記憶されているライセンスコードとを比較し、一致するライセンスコードがあるか否かに基づいて、既にライセンスを払い出し済みの情報処理装置であるか否かを判定する。
【0045】
具体的には、ライセンス管理サーバは、一致するライセンスコードがあると判定した場合は、既にライセンスを払い出し済みの情報処理装置であると判定し、一致するライセンスコードがないと判定した場合は、ライセンスは払い出し済みでない情報処理装置であると判定する。
【0046】
情報処理装置12がライセンスを払い出し済みの情報処理装置であると判定した場合(S302:YES)、データベース43を参照し、前回払い出されたライセンスコードを情報処理装置12に返却する(S303)。
【0047】
一方、情報処理装置12がライセンスを払い出し済みの情報処理装置でないと判定した場合(S302:NO)、ライセンス管理サーバは、データベース43を参照し、ソフトウェアのライセンスの使用数が上限数に到達済みか否かを判定する(S304)。
【0048】
ライセンス使用数が上限数に到達済みであると判定した場合(S304:YES)、ライセンス管理サーバは、ライセンスの払い出し不許可を示す不許可情報を情報処理装置12に送信する(S305)。
【0049】
一方、ライセンス使用数が上限数に達していないと判定した場合(S304:NO)、ライセンス管理サーバは、情報処理装置12の固有の識別情報を元にライセンスコードを生成し(S306)、データベース43内に記憶されているライセンス使用数をインクリメントし(S307)、ライセンス払い出し許可を示す許可情報及びステップS306で生成したライセンスコードを応答情報として情報処理装置12に送信する(S308)。
【0050】
このようにして、ライセンス管理サーバは、情報処理装置12からのライセンスの取得要求に基づく認証処理を行う。
【0051】
次に、情報処理装置12のユーザがソフトウェアのライセンスをライセンス管理サーバに返却する場合の処理について図7を参照して説明する。つまり、ライセンス管理サーバが情報処理装置12からライセンスの返却要求を受信した場合である。
【0052】
ライセンス管理サーバは、情報処理装置12から固有の識別情報が付加されたライセンスの返却要求を受信した場合(S401)、この返却要求が正しい返却要求であるか否かを判定する(S402)。
【0053】
より詳細には、ライセンス管理サーバは、返却要求に含まれる情報処理装置12の固有の識別情報を元に生成したライセンスコードと、データベース43内に記憶されているライセンスコードを比較し、一致するライセンスコードがあるか否かに基づいて、正しいライセンスコードの返却であるか否かを判定する。
【0054】
具体的には、ライセンス管理サーバは、一致するライセンスコードがある場合は正しいライセンスコードの返却であると判定し、一致するライセンスコードがない場合は正しいライセンスコードの返却でないと判定する。
【0055】
正しいライセンスコードの返却でないと判定した場合(S402:NO)、ライセンス管理サーバは、ライセンス返却要求を受け付けない旨を情報処理装置12へ送信する(S403)。
【0056】
一方、正しいライセンスコードの返却であると判定した場合(S402:YES)、ライセンス管理サーバは、データベース43内に記憶されているライセンス使用数をデクリメントし(S404)、データベース43に登録されているライセンスコードを削除し(S405)、ライセンスの返却要求を受け付けた旨を情報処理装置12へ送信する(S406)。
【0057】
このようにして、情報処理装置12は、一度取得したライセンスをライセンス管理サーバへ返却することができる。よって、ライセンス管理サーバは、返却されたライセンスを業務ネットワーク16に接続された他の情報処理装置に付与することが可能になる。
【0058】
次に、外部メモリ装置40のデータベース43に登録されているライセンス上限数を増加させる処理について図7を参照して説明する。
【0059】
ユーザは、外部メモリ装置40を情報処理装置17に接続する。これにより、情報処理装置17は、USBインタフェースに外部メモリ装置40が接続されたことを検出する(S501)。
【0060】
次に、ユーザが情報処理装置17の操作部を操作して、外部メモリ装置40のメモリ領域に格納されているライセンス管理クライアントプログラム42bを起動する起動指示を行う。この操作によって、情報処理装置17は、ライセンス管理クライアントプログラム42bの起動指示を受け付ける(S502)。
【0061】
情報処理装置17は、既述の起動指示を受け、外部メモリ装置40からライセンス管理クライアントプログラム42bをロードし、ライセンス管理クライアントプログラム42bを実行する(S503)。
【0062】
この結果、情報処理装置17がソフトウェアを提供する会社Aの情報処理装置21にアクセス可能なライセンス管理クライアントとして動作する(S504)。
【0063】
このように、情報処理装置17がライセンス管理クライアントとして動作した場合、ユーザの操作に基づいて、ソフトウェアを使用するためのライセンス数の追加購入を行う処理が可能になる。
【0064】
例えば、ユーザが情報処理装置17を操作して、ソフトウェアのライセンスを所定数購入する手続きをすることにより、外部メモリ装置40のデータベース43に記憶されているライセンス上限数が購入した所定数分だけ増加する。
【0065】
図9は、外部メモリ装置40を情報処理装置17に接続した状態を示す図である。同図において、矢印51が示すように、ライセンス管理クライアントとして動作する情報処理装置17と会社Aの情報処理装置21がネットワーク2を介して通信可能に接続されている。よって既述のように、情報処理装置17のユーザが会社Aからソフトウェアのライセンスを購入可能になっている。
【0066】
この場合、ネットワーク2と業務ネットワーク16とは通信ができないようになっているため、ライセンス管理クライアントは、業務ネットワーク16を介して情報処理装置11乃至15にアクセスできないようになっている。
【0067】
よって、第三者の情報処理装置31が不正の目的を持って情報処理装置11乃至15にアクセスしたくても、破線の矢印52が示すように通信できない。
【0068】
以上のように構成されたライセンス管理システム1によると、ユーザは外部メモリ装置40を情報処理装置11乃至15のいずれかに差し込み、ライセンス管理サーバプログラム42aを起動するという簡単な操作によって、情報処理装置11乃至15に対するライセンス使用数の管理を行うことができる。このため、ライセンス使用数を管理する特別なサーバを設ける必要がなく、ライセンスの認証処理に要する時間も短くできる。
【0069】
また、ライセンス管理システム1は、ネットワーク2を介した通信が不可能な業務ネットワーク16内でライセンスの認証処理を行うことができる。このため、ライセンス管理サーバがネットワーク2を介した通信ができず、第三者による情報処理装置11乃至15への不正なアクセスを防止することができる。
【0070】
更に、ライセンス管理システム1は、ユーザがライセンスを追加購入する際、外部メモリ装置40を業務ネットワーク16とは隔離された情報処理装置17に接続してライセンス管理クライアントとして動作する。このように構成することで、業務ネットワーク16のセキュリティを保持したまま、ソフトウェアを提供する会社Aの情報処理装置21と通信を行い、ライセンスの追加購入の処理を行うことができる。
【0071】
また、上記実施の形態では、ライセンスを管理する対象となるソフトウェアが1種類の場合で説明したが、ライセンスを管理する対象を複数のソフトウェアとしても勿論良い。この場合、例えば、ライセンス管理サーバは、データベース43を用いて、ソフトウェア毎にライセンス上限数、ライセンス使用数及びライセンスコードを管理する。
【0072】
また、上記実施の形態では、外部メモリ装置40をUSBメモリに適用した場合で説明したがこれに限るものではない。外部メモリ装置40は、例えば、SDカードのように、ユーザが持ち運び可能で、かつ、データの書き換えが可能である媒体であれば良い。
【0073】
更に、上記実施の形態では、ライセンス管理サーバとして動作する情報処理装置11は、データベース43を用いてライセンスの使用数、ライセンス上限数及びライセンスコードを管理する構成で説明したが、これに限るものではない。例えば、ライセンス管理サーバは、情報処理装置11乃至15のシステム構成情報を、データベース43を利用して管理するように構成しても良い。
【0074】
この場合、ライセンス管理クライアントとして動作する情報処理装置17は、データベース43で管理されるシステム構成情報を会社Aの情報処理装置21に提供可能に構成する。このように構成することにより、例えば、情報処理装置21は、情報処理装置11乃至15のシステム構成情報を取得することができる。よって、ソフトウェアを使用する情報処理装置に障害が発生した場合に、会社Aのソフトウェアの開発者は、システム構成情報を参考にして、ソフトウェアの障害を解決するための時間を短縮することが可能になる。
【0075】
なお、上記実施の形態では、ソフトウェアのライセンスを購入する処理を行う際、ライセンスのみを購入する場合で説明したが、これに限るものではない。例えば、ソフトウェアの保守サービスなどソフトウェアに付随するサービスを同時に購入するようにすることも可能である。
【0076】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その実施に際して様々な変形が可能である。
【0077】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0078】
(付記1)
管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置であって、
前記データベースは、
前記複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、
前記管理プログラムは、前記インタフェースを介して接続された情報処理装置に、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信する機能と、
前記取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定する機能と、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みか否かを判定する機能と、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードを前記データベースに保存するとともに、前記データベースに保存されるライセンス使用数をインクリメントし、該情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信する機能と、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信する機能とを実現させる、
可搬型メモリ装置。
【0079】
(付記2)
前記管理プログラムは、前記インタフェースを介して接続された情報処理装置に、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置からライセンスの返還要求を受信する機能と、
前記返還要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定する機能と、
前記データベース内に一致するセンスコードが保存されていると判定した場合、前記データベースに保存しているライセンス使用数をデクリメントし、前記データベースに保存しているライセンスコードを削除し、前記返還要求を受け付けた旨を、前記返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能と、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されてないと判定した場合、前記返還要求は受け付けできない旨を、前記返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能と、を実現させる付記1記載の可搬型メモリ装置。
【0080】
(付記3)
前記複数の情報処理装置が接続されるネットワークは、閉じたネットワークである、
付記1又は2記載の可搬型メモリ装置。
【0081】
(付記4)
管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置のライセンス管理方法であって、
前記データベースは、
前記複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信するステップと、
前記取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定するステップと、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みか否かを判定するステップと、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードを前記データベースに保存するステップと、
前記データベースに保存しているライセンス使用数をインクリメントするステップと、
前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信するステップと、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信するステップと、
を有するライセンス管理方法。
【産業上の利用可能性】
【0082】
ライセンス対象物のライセンス数を管理するライセンス管理プログラム、ライセンス管理方法及びライセンス管理システムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1・・・ライセンス管理システム
2・・・ネットワーク
11〜15,17,21,31・・・情報処理装置
16・・・業務ネットワーク
40・・・外部メモリ装置
41・・・USBインタフェース
42・・・ライセンス管理プログラム
42a・・・ライセンス管理サーバプログラム
42b・・・ライセンス管理クライアントプログラム
43・・・データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置であって、
前記データベースは、
前記複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、
前記管理プログラムは、前記インタフェースを介して接続された情報処理装置に、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信する機能と、
前記取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定する機能と、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みか否かを判定する機能と、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードを前記データベースに保存するとともに、前記データベースに保存されるライセンス使用数をインクリメントし、該情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信する機能と、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信する機能とを実現させる、
可搬型メモリ装置。
【請求項2】
前記管理プログラムは、前記インタフェースを介して接続された情報処理装置に、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置からライセンスの返還要求を受信する機能と、
前記返還要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定する機能と、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されていると判定した場合、前記データベースに保存しているライセンス使用数をデクリメントし、前記データベースに保存しているライセンスコードを削除し、前記返還要求を受け付けた旨を、前記返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能と、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されてないと判定した場合、前記返還要求は受け付けできない旨を、前記返還要求を受信した情報処理装置へ送信する機能と、を実現させる請求項1記載の可搬型メモリ装置。
【請求項3】
前記複数の情報処理装置が接続されるネットワークは、閉じたネットワークである、
請求項1又は2記載の可搬型メモリ装置。
【請求項4】
管理プログラムとデータベースとを保存するメモリと、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置のいずれかの情報処理装置に接続するインタフェースとを有する可搬型メモリ装置のライセンス管理方法であって、
前記データベースは、
前記複数の情報処理装置に提供するソフトウェアのライセンス上限数と、ライセンスの使用を許可した数を示すライセンス使用数と、ライセンスの使用が許可された情報処理装置の固有の識別情報から生成されるライセンスコードとを含み、
前記複数の情報処理装置のいずれかの情報装置からソフトウェアのライセンスの取得要求を受信するステップと、
前記取得要求を受信した情報処理装置の固有の識別情報からライセンスコードを生成し、該ライセンスコードと一致するライセンスコードが前記データベース内に保存されているか否かを判定するステップと、
前記データベース内に一致するライセンスコードが保存されていないと判定した場合、前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みか否かを判定するステップと、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みでないと判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置のライセンスコードを前記データベースに保存するステップと、
前記データベースに保存しているライセンス使用数をインクリメントするステップと、
前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用を許可する許可情報を送信するステップと、
前記ライセンス使用数が前記ライセンス上限数に到達済みであると判定した場合、前記取得要求を受信した情報処理装置へライセンスの使用が許可できない不許可情報を送信するステップと、
を有するライセンス管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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