説明

可撓壁を備える容器の配置

可撓壁を備える容器、とりわけ使い捨て可能な容器の容器側壁を支持する支持容器に挿入することができる、容器の配置であって、容器側壁を取り囲む支持容器の内側支持面が、容器側壁を形成する少なくとも1つのバッフル’を備え、該少なくとも1つのバッフルが温度調整システムを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓壁を備えた容器、特に使い捨て可能で、容器側部を支持する支持容器に挿入可能な容器の配置に関し、支持容器の内側支持壁、すなわち容器側壁を取り囲む支持面が、容器側壁を整形する少なくとも1つのバッフル(baffle)を持つ。
可撓壁を備える容器は、薬剤/バイオテクノロジー産業において、特に可撓体使い捨て可能容器または混合袋としての利用が増加しており、非常に様々な応用において滅菌液が温度管理下でデキャンティング、運搬、保管されなければならないだけでなく、温度管理下で操作れなければならない。
【背景技術】
【0002】
可撓壁を備える容器の配置は、DE102006020813B3に開示されている。容器の配置では、カップ形状の支持容器に、可撓壁を備える容器が挿入可能であり、容器側壁が支持コンテナに支持される。この場合、容器側壁を支持する、支持容器の内側支持面は、容器側壁を形成するバッフルを備え、混合処理を促進する。
既知の容器配置の欠点は、それはそれで基本的には有用であると判明しているが、容器に入れられた液状媒質の温度が周囲または部屋の温度を介して調整されることである。
【0003】
さらに、US6837610B2には、支持壁が、温度調整液を備えた熱交換器として設計された、可撓壁を備える容器が開示されている。
この場合は、バッフル無しならば、一定で、急速の、完全な混合に問題があり、バッフル有りならば、一定で、急速の、温度調整に関して、特にバッフルの領域において問題があった。US6837610B2に提案されている拍動バッフル手法は、完全な混合には資するが、一定、急速な温度調整ではない。
したがって、本発明の目的は、バッフルを利用して、一定で、急速な温度調整を行うことにある。
【0004】
本発明の目的は、請求項1の前文のものにおいて、少なくとも1つのバッフルが温度調整システムを備えることによって達成される。
バッフル内の温度調整システムの配置は、第一に、表面積を増やし、第二に、バッフルを取り囲む可撓体容器の領域に、小さな渦を生成することにより熱移動を改善する。温度調整システムは、可撓体容器に入れられた液状媒質の加熱、冷却の両方を可能にする。この点において、温度調整システムは、特に可撓体容器に入れられた液状媒質の設定温度を保持するのに適している。液状媒質内における“代謝過程”は、急速冷却により停止、または少なくとも遅らせることができる。温度調整媒質の”流動温度”の調整は過熱を防ぎ、正確で、一貫性のある調整が得られる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の好ましい態様によれば、温度調整システムを備える複数のバッフルが、内側支持面上に配置される。原理上はバッフルを多数設けることが可能であるが、特に一定の温度調整のためには4個のバッフルがあれば足りると判明している。
本発明のもうひとつの好ましい態様によれば、バッフルによる温度調整システムは、あらかじめ設定された温度の温度調整液が中を導通可能である、個々に並列なチューブを備え、を介して可能である。
好ましくはバッフルは、容器側壁方向よりも、支持容器方向にさらに多くのチューブを備えている。例えば、バッフルは、支持容器方向の第一列に3つのチューブを備え、容器側壁方向の第二列に2つのチューブを備え、第三列に1つのチューブを備える。結果としてバッフルは、水平方向にほぼ三角形の断面を形成し、媒質が混合されるように渦流させる効果、および、一定で、急速な温度調整に関して、所望の効果が得られる。温度調整液を側壁および液状媒質方向に伝えるチューブに接するチューブは省略できるか、安定性のために必要な場合は、接続することなく配置することができる。チューブを垂直方向に並列に配置し、直列接続する場合に、垂直方向の上端において流入および流出の両方が行われるようにするためには、偶数本のチューブが必要になる。
【0006】
温度調整液の利用は、容器内の液状媒質を、比較的簡単、急速に、加熱、冷却、または一定に保つことを可能にする。
しかしながら、原理上は、“ペルチェ素子”すなわち、温度調整システムのための加熱および冷却の両方を行うことができるペルチェ効果を基にした電熱変換器を利用することも可能である。
本発明のもうひとつの好ましい態様によれば、温度調整システムまたは、チューブネストを形成するバッフルの並列チューブにおいて、これらチューブは、好ましくは、互いに接続され直列接続される。直列接続は、温度調整液の一定な供給を保証する。具体的には、上端において流入部および流出部の両方が適切に配置される場合は、例えば、上方から支持容器へ、温度調整システムを備えたバッフルを挿入できるようにするために、直列接続はさらに単純に構成されるべきである。同様に、個々のチューブまたはチューブネストは並列に接続されるようにしても良いであろう。チューブをネストのように設計することは、上方から支持容器へ挿入することができる比較的安定したバッフルを提供することにつながる。
【0007】
チューブが金属から形成される場合は、チューブは、例えば、互いにはんだ付けまたは溶接され、チューブネストを形成する。チューブがプラスチックから形成される場合は、チューブは、互いに接着によって接合されるか、鋳型に組み込まれることにより、チューブネストを形成する。
本発明のもうひとつの好ましい態様によれば、温度調整システムは、互いに鋭角に配置され、温度調整液を流すことができる、2つの垂直板により形成される。この場合、温度調整液は、垂直方向上端における流入部を介して第一プレートに供給され、垂直方向下端に配置された接続部を介して第二プレートに供給され、垂直方向上端における流出部を介して第二プレートから除去される。
【0008】
本発明のもうひとつの好ましい態様によれば、バッフルは、支持容器の内側支持面上において、交換可能に配置される。この場合は、バッフルはそれぞれに交換可能である。また一方、これらは互いに接続され、交換可能な挿入部を形成する。温度調整システムを備えるバッフルは、垂直方向上方から支持容器に挿入可能である。流入部および流出部が上方に配置される場合は、支持容器の壁の開口は省略される。
しかしながら、対応する開口または側壁内の開口を介して、垂直方向上端に流入部を、垂直方向下端に流出部を、またはこれらを逆に配置することも可能である。
本発明のもうひとつの好ましい態様によれば、温度調整システムのバッフルは、温度調整液の温度が調整される、温度調整装置の回路の少なくとも一つの供給管および戻り配管を介して接続される。言うまでもなく、温度調整装置はまた、可撓体容器上に配置された温度センサーからの測定信号の関数として制御されてもよい。
本発明の詳細は、下記の詳細な説明および図において、本発明の好ましい態様の例示により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、可撓壁を備える容器、およびバッフル(断面で示される)を備える支持容器から成る容器配置の側面図および一部断面を示す。
【図2】図2は、温度調整システムを備えた4つのバッフルおよび温度調整装置から成る支持容器の上面図を示す。
【図3】図3は、図1のバッフルの側面図を示す。
【図4】図4は、図3の線IV-IVに沿って横断されるバッフルの上面図を示す。
【図5】図5は、図3のV方向から見た、バッフルの上面図を示す。
【図6】図6は、図3のVI方向から見た、バッフルの下面図を示す。
【図7】図7は、鋭角に配置された2つのプレートを含む、温度調整システムを備えたバッフルの側面図を示す。
【図8】図8は、点線で示された流入部、流出部、および接続管を備える、図7のバッフルの上面図を示す。
【図9】図9は、チューブを介して接続されたバッフルを含む、挿入部の断面の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
容器配置1は、基本的に可撓容器壁3を備える容器2、およびバッフル5を備える支持容器4から成る。
可撓容器壁3を備える容器2は、混合器7が配置される内部容器6を持つ。さらに、混合される液状媒質8は、内部容器6内に配置される。媒質の供給、媒質の排出、または可能性のあるセンサーの接続は、図示されていない。混合器7のための駆動部9は、容器2の外側に配置される。
容器2は、少なくとも混合プロセスのために、支持容器4に挿入される。この場合、容器2は、支持容器側壁12の内側支持面11にもたれかかる、容器側壁10を備える。容器2の容器基部13は、支持容器4の支持容器基部14の上に置かれる。図2に示される態様によれば、容器側壁10を整形する4つのバッフル5が、内側支持面11上に配置される。
【0011】
バッフル5は、温度調整システム15を備える。図3に示される説明的態様によるバッフル5は、温度調整システム15として、チューブネスト17を形成するために互いに接続される並列チューブ16を有する。チューブネスト17は6つのチューブ18、19、20、21、22、23を有する。第一チューブ18は、垂直方向上端において流入部24に接続され、垂直方向下端において下部接続チューブ25を介して第二チューブ19に接続される。第二チューブ19は、垂直方向上端において、上部接続チューブ26を介して第三チューブ20に接続される。第三チューブ20は、下部において、下部接続チューブ27を介して第四チューブ21に接続される。第四チューブ21は、上部において、上部接続チューブ28を介して、第五チューブ22に接続される。第五チューブ22は、下部において、下部接続チューブ29を介して第六チューブ23に接続され、第六チューブ23は、上部において、流出部30に接続される。温度調整システム15およびチューブネスト17のチューブ16は、したがって並列に接続されている。チューブネスト17は、支持容器4または支持容器側壁12に向かって第一列目にチューブ18、22および23、容器側壁10に向かって第二列目に2つのチューブ19および21、第三列目にチューブ20を備える。チューブネスト17は、したがって、基部において凸状で、支持容器側壁12の内径に適合される略三角形の断面を形成する。
【0012】
図7および8に示される説明的態様によれば、バッフル5’の温度調整システム15’は、互いに鋭角に配置され、その中を通って温度調整液を流すことができる、2つの垂直板31、32を含む。この目的のために、第一板31は上端において流入部24’に接続され、下端において下部接続チューブ25’を介して、第二板32に接続され、第二板32の一部は上部において流出部30’に接続される。バッフル5および5’は、個々に交換可能である。
図9に示される説明的態様によれば、バッフル5’’およびそのチューブ16’’は、さらなるチューブ34を介して互いに接続されている。この場合、チューブ34はチューブ16’’に直列に接続される。交換可能な挿入部33は、上方から支持容器4’’に挿入することができる。
図2に示される説明的態様において、バッフル5の温度調整システム15は、温度調整液の温度がその中において調整される、温度調整装置38の回路37の供給管35および戻り配管36を介して接続される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓壁を備える容器(2)、特に容器側壁(10)を支持する支持容器に挿入することができる使い捨て可能な容器を有する、容器の配置(1)であって、支持容器(4)の内側支持面(11)、容器側壁(10)を取り囲む該支持面が、容器側壁(10)を整形する少なくとも1つのバッフル(5、5’、5’’)を備え、該少なくとも1つのバッフル(5、5’、5’’)が温度調整システム(15、15’)を備える、前記容器の配置。
【請求項2】
温度調整システム(15、15’)を有する複数のバッフルが、内側支持面(11)上に配置される、請求項1に記載の容器の配置。
【請求項3】
バッフル(5、5’、5’’)の温度調整システムが、互いに平行で温度設定可能な温度調整液が導かれるチューブ(16、16’’)を有する、請求項1または2に記載の容器の配置。
【請求項4】
バッフル(5、5’、5’’)の並列チューブ(16、16’’)が、それぞれにチューブネストを形成する、請求項3に記載の容器の配置。
【請求項5】
バッフル(5、5’、5’’)が、容器側壁(10)方向よりも、支持容器(4、4’’)方向により多くのチューブ(16、16’’)を有する、請求項3または4に記載の容器の配置。
【請求項6】
3つのチューブ(18、22、23)が、外側から支持容器(10)へ向かって第一列目に配置され、2つのチューブ(19、21)が、容器側壁(10)方向の第二列目に配置され、1つのチューブ(20)が第三列目に配置される、請求項(5)に記載の容器の配置。
【請求項7】
少なくとも1つのバッフル(5、5’、5’’)の中のチューブ(16、16’’)は、流入部(24、24’)および流出部(30、30’)との直列接続を形成するように接続される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器の配置。
【請求項8】
バッフル(5、5’、5’’)の温度調整システム(15)が、互いに鋭角に配置されその中を通って温度調整液を流すことができる、2つの垂直板(31、32)により形成される、請求項1または2に記載の容器の配置。
【請求項9】
温度調整システム(15、15’)を有するバッフル(5、5’、5’’)が、支持容器(4)の内側支持面(11’)上に交換可能に配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器の配置。
【請求項10】
バッフル(5、5’、5’’)が、それぞれ交換可能である、請求項9に記載の容器の配置。
【請求項11】
バッフル(5、5’、5’’)が互いに接続され、交換可能な挿入部を形成する、請求項9に記載の組み合わせ。
【請求項12】
温度調整システム(15)を有するバッフル(5、5’、5’’)が、上方から支持容器(4)に挿入可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の容器の配置。
【請求項13】
バッフル(5、5’、5’’)の温度調整システムが、温度調整液の温度が調整される温度調整装置(38)の回路(37)内の、少なくとも1つの供給管(35)および戻り配管(36)を介して接続される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の容器の配置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−506216(P2011−506216A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537273(P2010−537273)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009808
【国際公開番号】WO2009/074213
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(507266912)ザトーリウス ステディム ビオテーク ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】