説明

可撓性セラミックスホース

【課題】摩耗、損傷していないセラミックス短管の再利用を容易に実現できる可撓性セラミックスホースを提供する。
【解決手段】複数のセラミックス短管3の全てが外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にあり、セラミックス短管3の外周に介在部材4がホース軸方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着され、該介在部材4が外側ゴムホース2の内面と一体化されている。外側ゴムホース2が劣化したり、セラミックス短管3群のうちの一部が摩耗、損傷したりした場合には、外側ゴムホース2をカットすることによりセラミックス短管3を外側ゴムホース2から容易に分離、分解させることができ、摩耗、損傷していないセラミックス短管3の再利用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として微粉炭、珪砂、鉄粉、食料品等の摩耗性流体を空気圧送するのに好適な可撓性セラミックスホースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の可撓性セラミックスホースとして、例えば、図7に示すように、外側ゴムホース20の内面に、複数のセラミックス短管21が相互に端部同士を相対屈曲自在に嵌合連結された状態で配備され、各セラミックス短管21と外側ゴムホース20の内面とは一体に加硫接着(接着部22)されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。この可撓性セラミックスホースによれば、外側ゴムホース20の内面に配備されるセラミックス短管21により耐摩耗性に優れ、またセラミックス短管21と外側ゴムホース20の内面とは一体に加硫接着しているため、摩耗性流体の空気圧送時の振動などによりセラミックス短管21が局部的に偏ってセラミックス短管21の端部同士間に隙間が生じ、この隙間に摩耗性流体が浸入して外側ゴムホース20が部分的に摩耗、損傷するという不具合を防止できる。
【0003】
【特許文献1】実開平01−122590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各セラミックス短管21と外側ゴムホース20の内面とが一体に加硫接着された上記可撓性セラミックスホースでは、外側ゴムホース20が劣化したり、複数のセラミックス短管21のうち一部のセラミックス短管21が摩耗、損傷したりした場合に、摩耗、損傷していないセラミックス短管21を再利用しようとしても、セラミックス短管21を外側ゴムホース20から分離、分解することが容易でないため、その再利用を実現することが困難であった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、外側ゴムホースが劣化したり、複数のセラミックス短管のうち一部のセラミックス短管が摩耗、損傷したりした場合、摩耗、損傷していないセラミックス短管の再利用を容易に実現できる可撓性セラミックスホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1に記載のように、その発明の内容を理解し易くするために図1に示した符号を参照して説明すると、外側ゴムホース2の内面に、複数のセラミックス短管3が相互に端部3a,3b同士を相対屈曲自在に嵌合連結された状態でホース軸方向に沿って配備されている可撓性セラミックスホースにおいて、各セラミックス短管3は外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にあり、複数のセラミックス短管3のうち全部もしくは一部のセラミックス短管3の外面に介在部材4がホース軸方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着され、該介在部材4が外側ゴムホース2の内面と一体化されていることに特徴を有するものである。
このように構成された可撓性セラミックスホースによれば、各セラミックス短管3は外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にあり、かつ介在部材4はセラミックス短管3の外面に脱着可能に装着されているので、外側ゴムホース2が劣化したり、複数のセラミックス短管3のうち一部のセラミックス短管3が摩耗、損傷したりした場合には、外側ゴムホース2をホース軸方向にカットすることによりセラミックス短管3を外側ゴムホース2及び介在部材4から容易に分離、分解させることができ、摩耗、損傷していないセラミックス短管3の再利用の実現を容易に図ることができる。
また、複数のセラミックス短管3のうち全部もしくは一部のセラミックス短管3の外面に介在部材4がホース軸方向に相対移動不能に装着され、該介在部材4が外側ゴムホース2の内面と一体化されているので、セラミックス短管3の全てが外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にあっても、ホース軸方向で隣り合うセラミックス短管3,3同士間に隙間が生じるのを防ぐことができ、それらセラミックス短管3,3同士間に摩耗性流体が浸入して外側ゴムホース20が部分的に摩耗、損傷するのを防止できることになる。
【0007】
請求項1記載の可撓性セラミックスホースは、請求項2に記載のように、介在部材4は、セラミックス短管3の外周に設けた凹溝12に嵌合する単数もしくは複数の円弧部材で構成することができる。これによれば、セラミックス短管3の外周の凹溝12に単数もしくは複数の円弧部材を嵌合するだけの簡単な手段で、セラミックス短管3の外面に介在部材4をホース軸方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着することができる。
【0008】
請求項2記載の可撓性セラミックスホースは、請求項3に記載のように、介在部材4は単一のCリングもしくは一対のCリングで構成することができる。この構成によると、単一のCリングもしくは一対のCリングをセラミックス短管3の外周の凹溝12に嵌め込むだけの簡単な手段で、セラミックス短管3の外面に介在部材4をホース軸方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着することができる。
【0009】
請求項2又は3記載の可撓性セラミックスホースは、請求項4に記載のように、外側ゴムホース2の外面にマーカー13を介在部材4の有する開離部14に対応するように設けるという構成を採用することができる。この構成によれば、外側ゴムホース2をマーカー13に沿って効率よくカットすることができ、これによりセラミックス短管3を外側ゴムホース2及び介在部材4から容易に分離、分解させることができる。
【0010】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホースは、請求項5に記載のように、介在部材4は外側ゴムホース2の内面と接着手段により一体化するという構成を採用することができる。この構成によると、介在部材4を外側ゴムホース2の内面に容易に一体化することができる。
【0011】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホースは、請求項6に記載のように、介在部材4は、外側ゴムホース2と加硫接着可能な材料で形成するという構成を採用することができる。この構成によると、介在部材4は接着剤を用いなくとも外側ゴムホース2と加硫接着することで外側ゴムホース2の内面に容易に一体化することができる。
【0012】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホースは、請求項7に記載のように、外側ゴムホース2がセラミックス短管3群ごとホース軸方向に曲げられており、セラミックス短管3群の曲げ外周側のみに介在部材4を設けるという構成を採用することができる。この構成によると、介在部材4をセラミックス短管3群の曲げ内周側には設けず、曲げ外周側のみに設けるだけの簡単な手段で、可撓性セラミックスホースをホース軸方向に曲げて使用するとき、セラミックス短管3群の曲げ外周部において隣り合うセラミックス短管3,3同士間に隙間が生じるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホース軸方向で隣り合うセラミックス短管同士間に隙間が生じることがないようになし得ながら、セラミックス短管の再利用を容易に実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る可撓性セラミックスホースの好適な実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明に係る可撓性セラミックスホース1は、外側ゴムホース2と、相互に端部3a,3b同士を相対屈曲自在に嵌合連結されて外側ゴムホース2の内面にホース軸P方向に沿って配備された複数の耐摩耗性に優れるセラミックス短管3群、およびセラミックス短管3群のうち全部もしくは一部のセラミックス短管3の外面にホース軸P方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着された介在部材4とを備える。
【0016】
外側ゴムホース2は天然ゴム等からなる内面ゴム層5と、この内面ゴム層5と同一材料からなる外面ゴム層6と、これら内外面ゴム層5,6間に介装されるアラミド繊維等強力繊維からなる補強材7とからなる。各セラミックス短管3は外側ゴムホース2の内面ゴム層5の内面と非接着状態になしている。
【0017】
各セラミックス短管3は一端部3aに凹球面9を、他端部3bに凹球面9に嵌合可能な凸球面10をそれぞれ形成する。そして、隣り合うセラミックス短管3,3同士は相互に一端部3aの凹球面9と他端部3bの凸球面10とを球面対偶することによって相対屈曲自在に嵌合連結される。
【0018】
介在部材4は、上述のとおり、セラミックス短管3群のうち全部もしくは一部のセラミックス短管3の外面にホース軸P方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着するが、具体的は、例えば、図1、図2に示すように、介在部材4を一対のCリング(2つ割リング)11a,11b、あるいは単一のCリング11a又は11b等よりなる円弧部材で構成し、これをセラミックス短管3の外周に設けた凹溝12に脱着可能に嵌合する。この場合、凹溝12に嵌合する介在部材4は単数に限らず、複数であってもよい。介在部材4は金属、合成樹脂、あるいは硬質ゴム等の材料で形成することができる。
【0019】
そして、介在部材4は外側ゴムホース2の内面ゴム層5の内面と一体化するが、この一体化手段としては接着手段や加硫接着などを採用する。図1において、8は接着部を示す。
介在部材4は外側ゴムホース2と加硫接着可能な高分子ポリエチレンや高硬度ゴム等の材料で形成すると、介在部材4は接着剤を用いなくとも外側ゴムホース2と加硫接着することで外側ゴムホース2の内面に容易に一体化することができる。
【0020】
一対のCリング11a,11b、あるいは単一のCリング11a又は11bからなる介在部材4を採用する場合、図2のように外側ゴムホース2の外面にマーカー13をそれら介在部材4の有する開離部14に対応するようにホース軸P方向に設けておく。
【0021】
上記のように構成された可撓性セラミックスホース1は、各セラミックス短管3を外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にしてあり、介在部材4をセラミックス短管3の外面に脱着可能に装着してある。したがって、外側ゴムホース2が劣化したり、複数のセラミックス短管3のうち一部のセラミックス短管3が摩耗、損傷したりした場合、外側ゴムホース2をマーカー13に沿ってホース軸P方向にカットc(図3(a)参照)することにより効率よく切り開くことができ、これにより図3(b)のようにセラミックス短管3を外側ゴムホース2及び介在部材4から容易に分離、分解させることができ、摩耗、損傷していないセラミックス短管3の再利用の実現を容易に図ることができる。
【0022】
また、介在部材4は複数のセラミックス短管3のうち全部又は一部のセラミックス短管3の外面にホース軸P方向に相対移動不能に装着されるとともに、外側ゴムホース2の内面と一体化されているので、セラミックス短管3の全てが外側ゴムホース2の内面に対し非接着状態にあっても、ホース軸P方向で隣り合うセラミックス短管3,3同士間に隙間が生じるのを防ぐことができ、それらセラミックス短管3,3同士間への摩耗性流体の浸入を防止できる。
【0023】
上記実施例のようにセラミックス短管3の外面に介在部材4をホース軸P方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着する手段として、セラミックス短管3の外周に凹溝12を設け、これに介在部材4を脱着可能に嵌合する以外に、例えば、図4のようにセラミックス短管3の外周に突部15を設け、この突部15に介在部材4の内周に設けた凹溝16を脱着可能に嵌合する手段を採用することもできる。
【0024】
介在部材4は、多数並べられるセラミックス短管3の全ての外面に設けることに限られず、セラミックス短管3群のうち一部のセラミックス短管3、すなわち図5のように多数並べられるセラミックス短管3群のうち一つ置き、又は二つ置きのセラミックス短管3のみに介在部材4を設け、その介在部材4を外側ゴムホース2の内面に一体化しても、隣り合うセラミックス短管3,3同士間に隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0025】
介在部材4は、セラミックス短管3の外周全体にわたって設けることに限られない。図6に示すように、可撓性セラミックスホース1がホース軸P方向に曲げられて使用される場合は、引張りを受けて伸びる側(曲げ外周側)のみに介在部材4を設け、圧縮を受けて縮む側(曲げ内周側)には介在部材4を設けない構造を採用することもできる。これにおいても、セラミックス短管3群の曲げ外周部において隣り合うセラミックス短管3,3同士間に隙間が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例を示す可撓性セラミックスホースの縦断面図である。
【図2】図1の可撓性セラミックスホースの横断面図である。
【図3】(a)は図1の可撓性セラミックスホースの外側ゴムホースをカットした状態を示す横断面図、(b)は図1の可撓性セラミックスホースの外側ゴムホースとセラミックス短管とを分離した状態を示す横断面図である。
【図4】他の実施例の可撓性セラミックスホースの半欠截断面図である。
【図5】更に他の実施例を示す可撓性セラミックスホースの縦断面図である。
【図6】更に又、他の実施例を示す可撓性セラミックスホースの縦断面図である。
【図7】従来例の可撓性セラミックスホースの縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 可撓性セラミックスホース
2 外側ゴムホース
3 セラミックス短管
4 介在部材
11a,11b Cリング
12 凹溝
13 マーカー
14 開離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ゴムホースの内面に、複数のセラミックス短管が相互に端部同士を相対屈曲自在に嵌合連結された状態でホース軸方向に沿って配備されている可撓性セラミックスホースにおいて、各セラミックス短管は外側ゴムホースの内面に対し非接着状態にあり、複数のセラミックス短管のうち全部もしくは一部のセラミックス短管の外面に介在部材がホース軸方向に相対移動不能に且つ脱着可能に装着され、該介在部材が前記外側ゴムホースの内面と一体化されていることを特徴とする、可撓性セラミックスホース。
【請求項2】
前記介在部材は、前記セラミックス短管の外周に設けた凹溝に嵌合する単数もしくは複数の円弧部材からなる、請求項1記載の可撓性セラミックスホース。
【請求項3】
前記介在部材が単一のCリングもしくは一対のCリングからなる、請求項2記載の可撓性セラミックスホース。
【請求項4】
前記外側ゴムホースの外面にマーカーを前記介在部材の有する開離部に対応するように設けている、請求項2又は3記載の可撓性セラミックスホース。
【請求項5】
前記介在部材が前記外側ゴムホースの内面と接着手段により一体化されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホース。
【請求項6】
前記介在部材は、外側ゴムホースと加硫接着可能な材料で形成している、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホース。
【請求項7】
前記外側ゴムホースが前記セラミックス短管群ごとホース軸方向に曲げられており、前記セラミックス短管群の曲げ外周側に前記介在部材を設けている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の可撓性セラミックスホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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