説明

可撓性バッグのセンサー取付け装置

可撓性バッグと一体化するのに適した光センサー保持装置において、装置は、可撓性バッグに溶接できる材料から作られたバッグ取付け部材と、光センサースポットを取付けることができる材料から作られたセンサー取付け部材であって、センサー取付け部材は、センサー取付け部材が所定位置に保持され、漏れが最小限になるように、センサー取付け部材よりもわずかに小さなバッグ取付け部材の開口部内に圧入される、センサー取付け部材とを含む、光センサー保持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサー保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオリアクターは、バイオプロセス産業において、細胞の増殖(例えばバイオ医薬品の製造のため)に用いられてれる。使い捨てバイオリアクターの使用が増えており、本業界で増加する傾向にある。これらの使い捨てバイオリアクターは、例えば溶接ポリエチレンフィルムのようなプラスチック製の可撓性バッグである。細胞培養では、バイオリアクター内の培養液の幾つかの特性を計測することが重要である。かかる特性としては、例えば、温度、pH、溶存酸素(DO)などがある。可撓性バッグでは、GE Healthcare社製のCellbag(商標)50L/pHのように、バッグの上側からセンサーを設けるのが一般的である。これに付随する短所の一つは、センサーが常時培養液内部に存在しないおそれがあることである。例えばpH及びDOを測定するための光センサーは、PreSens社などから提供されている。センサースポットとも呼ばれるこのような光センサーは、典型的には2種類の異なる蛍光材料を含む色素材料のスポットである。センサースポットを照射すると、スポットの蛍光材料が発光する。適切な蛍光材料を用いれば、この発光は、pHやDOのような培養液の特性の指標となり得る。したがって、戻り光を分析すれば、pHやDOなどを求めることができる。最適な性能のためには、これらのセンサーは常時培養液中に置かれるべきである。支持構造体はバッグの下に設けられることが多いので、バッグの底部にセンサーを設けるのは、上側からセンサーを設ける場合ほど都合がよくないことが多い。さらに、これらの光センサーは、通例、化学的不適合性のため、バッグの材料に直接取付けることができない。もう一つの問題は、センサーアセンブリが常に液体表面下に留まるように、センサーアセンブリをできるだけ平坦とすべきであることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2008/0171383号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題を解決することのできる、光センサー保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1に記載された光センサー保持装置によって達成される。
【0006】
好適な実施形態については、従属項及び以下の発明の詳細な説明に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1a】本発明によって光センサーを設けた揺動支持構造体中のバイオリアクターの概略図である。
【図1b】図1aに示すシステムの分解図である。
【図2a】本発明の一実施形態に係るセンサー保持部材を一方から示す図である。
【図2b】図2aのセンサー保持部材を他方から示す図である。
【図3a】本発明の一実施形態に係るセンサー取付け装置の断面図である。
【図3b】組立前のセンサー取付け装置の別の実施形態の断面図である。
【図3c】組立時の図3bのセンサー取付け装置の断面図である。
【図4a】本発明の一実施形態に係るアダプター部材を非係止位置で示す図である。
【図4b】図4aのアダプター部材を係止位置で示す図である。
【図5a】本発明の一実施形態の係止機構の係止前の拡大図である。
【図5b】係止位置、つまりアダプター部材を係止位置へと回転させた点を除いて、図5aと同じ図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るアダプター部材と係止したセンサー保持部材を示す断面図である。
【図7a】センサー保持部材が内側センサー保持部材と外側センサー保持部材とに分離された別の実施形態のセンサー保持部材を示す図である。
【図7b】図7aの内側及び外側センサー保持部材の分解図である。
【図8a】本発明に係るアダプター部材の一実施形態を示す図である。
【図8b】本発明に係るアダプター部材の別の実施形態を示す図である。
【図8c】本発明に係るアダプター部材の別の実施形態を示す図である。
【図8d】本発明に係るアダプター部材の別の実施形態を示す図である。
【図9a】本発明の別の実施形態に係るセンサー保持部材及びアダプター部材の概略図である。
【図9b】本発明の別の実施形態に係るセンサー保持部材及びアダプター部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1aは、揺動支持構造体3内のバイオリアクター1の概略図である。図1bは、同じバイオリアクターシステムを分解図で示したものである。本発明では、バイオリアクター1の底部にセンサー保持部材11が設けられる。センサー保持部材は、光センサーをバッグの内側に保持する。その詳細については、本明細書中で後述する。光ファイバー7が、光センサーの位置に近接した位置(ただし、バッグの外側)に、アダプター部材41(詳細については、後述する。)を介して設けられる。モニター9も示してあり、光センサーからの測定値を監視することができる。
【0009】
本発明では、センサー保持部材(光センサー保持装置ともいう。)はバッグの内側に設けられる。センサー保持部材は、溶接などによってバッグと一体化される。光ファイバーを保持するアダプター部材は、バッグの外側に設けられる。センサー保持部材は、光センサーと、バッグから外側に突出する第1の係止部材を含む。これらの第1の係止部材は、アダプター部材の第2の係止部材と対合して、アダプター部材内の光ファイバーが安全に配置されて、バッグ内のセンサーと通信できるように、構成される。好適には、これらの係止部材は、光ファイバーをセンサーに対して全方向に安定な位置に保持する係止機構を提供する。好適には、光ファイバーはバッグの底部に沿って平らに置かれ、換言すれば、光ファイバーは、バッグのセンサーの方向に向いていない。或いは、アダプター部材をセンサーの下に配置したときに光をセンサーへと導くことができるように、アダプター部材にミラーが設けられる。これが適しているのは、支持構造体をセンサー取付け装置に適合化させる必要がないからである。こうすると、このセンサー取付け装置は、既存のシステムを改造せずに使用することができる。さらに、センサー取付け装置のいかなる部分も支持構造体に固定されていないので、バッグはセンサー及びセンサー取付け装置と共に自由に動かすことができる。本発明の好適な実施形態の詳細については、以下でさらに説明する。
【0010】
図2aは、本発明の一実施形態に係るセンサー保持部材11(光センサー保持装置11ともいう。)である。一実施形態では、センサー保持部材11はバッグの内側に配置され、溶接などによってバッグの内側表面に固定される。別の実施形態では、センサー保持部材は、バッグ表面の外側に溶接され、センサーの周囲のバッグ表面に穴が設けられる。図2aには、バッグの内部に面した側を示す。この実施形態では、センサー保持部材11は円形である。これが適しているのは、円形は、鋭角を有する形状よりも、バッグとセンサー保持部材と接合部に生じる張力が小さいのからである。さらに、引張応力は、センサー保持部材のクリープ変形を生じるおそれがある。円形は、成形プロセスにおける収縮率の差に起因する寸法変化のリスクも低減する。ただし、センサー保持部材の他の形状も可能である。センサー保持部材11の中央に光センサー13が設けられる。光センサーは、技術的背景の部分で説明した通り、色素であり、センサースポットとも呼ばれる。センサー保持部材は、バッグの材料に溶接することのできる材料とすべきである。バッグはポリエチレン製であることが多いが、そうした実施形態では、センサー保持部材もポリエチレンで作られる。ただし、センサー13の材料はポリエチレンに直接取り付けることができないので、センサーは、センサーを取り付けることのできる透明な材料の小片に設けられる。この実施形態では、ポリカーボネートが用いられる。これについては、以下で図3に関して詳しく説明する。
【0011】
図2bは、図2aのセンサー保持部材11を、別の側、つまりバッグから外側に向かう側から示す。この実施形態では、フック17a,17b,17c,17dの形態の4個の係止手段が、センサー保持部材から外側に突出して設けられる。フックは、円の周囲に設けられる。フックの数は、2個、3個、5個又はそれ以上とすることもできる。センサー保持部材がバッグの内側に位置する場合、第1の係止手段17a,b,c,dは、バッグから外側に突出するように構成される。第1の係止手段17a,b,c,dを通すことができるように、少なくとも1つの穴をバッグ表面に設ける必要がある。一実施形態では、係止手段17a,b,c,dのすべてを収める大きさの円形穴23がバッグに設けられる。漏れを防ぐため、センサー保持部材はバッグに溶接される。別の実施形態では、同じ円形穴がバッグに設けられており、さらに、小さな円形のバッグフィルム片を、センサー保持部材の中心部(ただし、第1の係止手段17a,b,c,dの内側)に溶接する。こうして、この小さな円形のバッグフィルム片でセンサー保持部材の中央のセンサーを覆う。これは、センサー取付け装置からの漏れのおそれがある場合に適している。これについては、以下で図3に関して詳しく説明する。別の実施形態では、第1の係止手段の各々に対して穴を1個ずつバッグに設けてもよく、この実施形態では、4つの穴が設けられる。すると、漏れを防ぐため、センサー保持部材は、これらの4つの穴の周囲でバッグに溶接する必要がある。別法として、係止手段の内側の円及び係止手段の外側の円で、バッグ表面をセンサー保持部材に溶接することもできる。
【0012】
図3aは、本発明の一実施形態に係るセンサー取付け装置の中心部分の断面図である。本発明では、センサー保持部材11(光センサー保持装置11ともいう。)は2つの部材を含む。バッグとの溶接に適したバッグ取付け部材31と、センサー13が設けられるセンサー取付け部材33である。センサー取付け部材33は、センサー13を取り付けることができる材料でできている。これは、例えばポリカーボネートとすることができる。センサー取付け部材33は、バッグ取付け部材31の開口部34内に圧入(プレスフィット)される。バッグ取付け部材31は、バッグに溶接することができる材料で作られる。多くのバッグはポリエチレン製であり、この実施例では、バッグ取付け部材31もポリエチレンから作られる。センサー13がバッグ取付け部材31に直接取り付けられていないのは、この実施例で使用されるセンサー13が、バッグにも溶接できる材料には取り付けることができないからである。バッグはポリエチレン製であり、センサー保持部材に適した材料はポリエチレンである。しかし、この実施例で使用されるセンサー13の材料は、ポリエチレンには取り付けることができない。図3aに関して開示した通り、バッグ取付け部材31の開口部34内にセンサー取付け部材33を圧入することは、この問題の一つの解決策である。センサー取付け部材33は、開口部34よりもわずかに大きくすべきである。さらに、センサー取付け部材33には、面取り部35が設けられる。これは、自由な圧入を通した漏れを防ぐため、センサー取付け部材33に半径方向の圧力を与える。こうすると、光学的読取りの際に光が通過するセンサー取付け部材33の下の開口部37に液体やゴミが入り込むリスクが最小限となる。
【0013】
さらに、バッグ取付け部材31の開口部34に係止ショルダー部38が設けられる。係止ショルダー部38は、センサー取付け部材33を開口部34に圧入する際に、係止ショルダー部38を通過させた後、センサー取付け部材33を所定位置に維持するべきである。
【0014】
この実施形態では、円形バッグフィルム片21も設けられる。このバッグフィルム片21は、センサー13が設けられるバッグ取付け部材31の中心部の周囲に溶接される。その目的は、圧入部を通してバッグの外側への漏れが起こるのを防ぐためである。しかし、圧入部に全く漏れがなく信頼できる場合は、この円形バッグフィルム片21は必要ないであろう。
【0015】
図3aには、センサー保持部材11に取り付けられたアダプター部材41も示してある。光ファイバー7がアダプター部材41内に配置される。一体型ミラー/レンズ39がアダプター部材41内に設けられ、光ファイバー7と接続される。センサー保持部材11とアダプター部材41を接続すると、一体型ミラー/レンズ39はセンサー保持部材11のセンサーの真下に配置される。一体型ミラー/レンズ39は、光ファイバー7からの光をセンサースポット13に向けて合焦させる。こうして、センサー13はファイバー7を介して照射され、励起された蛍光センサー13が発光し、ファイバー7でモニターされる。光路を矢印で示す。この構成では、光ファイバーは、バッグの底部表面に沿って設けられ、支持構造体を適合化させる必要がない。センサー保持部材及びアダプター部材を一緒に保持する第1及び第2の係止部材については、以下で説明する。
【0016】
図3bは、組立前の本発明の別の実施形態に係るセンサー取付け装置の中心部分の断面図である。図3cは、図3bに示す実施形態の組立て後の断面図である。本発明では、センサー保持部材11’(光センサー保持装置11’ともいう。)は2つの部材を含む。バッグとの溶接に適したバッグ取付け部材31’と、センサー13が設けられるセンサー取付け部材33’である。センサー取付け部材33’は、センサー13を取付けることができる材料でできている。これは、例えばポリカーボネートとすることができる。センサー取付け部材33’は、バッグ取付け部材31’の開口部34’内に圧入(プレスフィット)される。バッグ取付け部材31’は、バッグに溶接することができる材料で作られる。多くのバッグはポリエチレン製であり、この実施例では、バッグ取付け部材31’もポリエチレンから作られる。センサー13がバッグ取付け部材31’に直接取付けられていないのは、この実施例で使用されるセンサー13が、バッグにも溶接できる材料には取り付けることができないからである。バッグはポリエチレン製であり、センサー保持部材に適した材料はポリエチレンである。しかし、この実施例で使用されるセンサー13の材料は、ポリエチレンに取付けることができない。図3b及び図3cに関して開示した通り、バッグ取付け部材31’の開口部34’内にセンサー取付け部材33’を圧入することは、この問題の一つの解決策である。センサー取付け部材33’は、開口部34’よりもわずかに大きくすべきである。図3b及び図3cに記載した実施形態では、好適には、センサー取付け部材33’をバッグ取付け部材31’に押し込む際に、図3bの力の矢印で示す通り、開口部34’の周囲に、保持装置40が結合した側と反対側から力を加える。こうすると、開口部34’の入口が広がり(変形の矢印も参照されたい)、センサー取付け部材33’の挿入が容易になる。センサー取付け部材33’が所定位置に収まると、力が解放され、センサー取付け部材33’は開口部34’内に安定的に配置される。さらに、センサー取付け部材33’には、面取り部35’が設けられる。これは、自由な圧入を通した漏れを防ぐため、センサー取付け部材33’に半径方向の圧力を与える。
【0017】
さらに、フック36がセンサー取付け部材33’に設けられ、る。フック36は、挿入後にバッグ取付け部材31’の開口部34’の壁に押し込まれ、バッグ取付け部材31’におけるセンサー取付け部材33’の安定的位置を確保する。
【0018】
図3cは、図3bのセンサー取付け装置の組立時の断面図である。図3cでは、センサー保持部材11’に取付けられたアダプター部材41も示してある。光ファイバー7がアダプター部材41内に配置される。一体型ミラー/レンズ39がアダプター部材41内に設けられ、光ファイバー7と接続される。センサー保持部材11とアダプター部材41を接続すると、一体型ミラー/レンズ39はセンサー保持部材11のセンサーの真下に配置される。一体型ミラー/レンズ39は、光ファイバー7からの光をセンサースポット13に向けて合焦させる。こうして、センサー13はファイバー7を介して照射され、励起された蛍光センサー13が発光し、ファイバー7でモニターされる。光路を矢印で示す。この構成では、光ファイバーは、バッグの底部表面に沿って設けられ、支持構造体を適合化させる必要がない。センサー保持部材及びアダプター部材を一緒に保持する第1及び第2の係止部材については、以下で説明する。この実施形態では、円形バッグフィルム片21も設けられる。このバッグフィルム片21は、センサー13が設けられるバッグ取付け部材31’の中心部の周囲に溶接される。その目的は、圧入部を通してバッグの外側への漏れが起こるのを防ぐためである。しかし、圧入部に全く漏れがなく信頼できる場合は、この円形バッグフィルム片21は必要ないであろう。
【0019】
図4aは、本発明の一実施形態に係るアダプター部材41を示す。好適には、アダプター部材は、センサー保持部材11の材料よりも剛性の高い材料で用意される。アダプター部材の適切な材料の一例は、POM(ポリアセタール樹脂又はデルリン樹脂)又はPeek(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)である。図4aに、センサー保持部材11の第1の係止手段17a,b,c,dを、アダプター部材41の第2の係止手段43a,b,c,dの非係止位置にどのように嵌合させるかについて示す。ただし、明瞭化のためセンサー保持部材11の残りの部分は図示していない。この実施形態では、第2の係止手段43a,b,c,dは、円の周囲の4つのトラックとして設けられる。その寸法は、センサー保持部材11の第1の係止手段17a,b,c,dを受け入れるように適合化される。この実施形態では、各トラック43a,b,c,dは、フックを係止位置へと導く案内表面を含む。すなわち、(図4bに示す通り)センサー保持部材11に対してアダプター部材41を回転させると、第1の係止手段17a,b,c,dは、トラック内の第2の位置つまり係止位置へと案内される。これらの詳細について、図5a及び図5bに関して説明する。
【0020】
図4bは、図4aのアダプター部材を係止位置で示す。
【0021】
図5aは、本発明の一実施形態の係止機構の係止前の拡大図である。フックの形態の第1の係止手段17aを、トラックの形の1つの第2の係止手段43aに挿入した状態を示してある。トラック43aの内側表面の半径方向案内表面44は、フック17aの対応するフック案内表面46を半径方向係止位置へと案内するために設けられる。おそらくは、フック17aは、案内表面44によって若干外側に押されている。さらに、係止隆起部45を、トラック43a内に示す。フック17aの把持部48は、係止隆起部45まで導くトラックの傾斜表面42によって捕捉され、フック17aは、アダプター部材41をセンサー保持部材11に対して回転させたときに係止隆起部45を通り越す。係止隆起部45の目的は、フック17aが回転して戻ることを防止することである。
【0022】
図5bは、係止位置、つまりアダプター部材を係止位置へと回転させた点を除いて、図5aと同じ図である。円に設けられた4つのすべての係止部材が係止され、係止機構がアダプター部材41をセンサー保持部材11に対してすべての方向に固定しているので、アダプター部材41の一体型ミラー/レンズ39は、センサー13に対して安定的に維持される。さらに、この係止機構は、ごく小さな引張応力しかセンサー保持部材に与えない。センサー保持部材はポリエチレンから作られており、この材料はクリープ/緩和を起こしやすい傾向があるので、このことは重要である。こうして、センサー保持部材のクリープ/緩和のおそれは、上述の係止機構によって最小限に低減される。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態に係るアダプター部材41にセンサー保持部材11が係止されている状態を示す断面図である。この図では、(場合によりバッグフィルム21の片を通して)センサー保持部材とアダプター部材41との接触表面49が見られる。フック17a,b,c,dの把持部48がトラック43a,b,c,dによって係止位置へと押されると、センサー保持部材とアダプター部材は接触表面49で(場合によりバッグフィルム片21を介して)接触する。センサーと一体型ミラー/レンズとの間の距離が一定に保たれ、接触表面が互いに押し付けられる必要があるので、この接触は重要である。これは、引張応力が最小限のレベルに維持されればうまく行き、センサー部のクリープの危険性は低減する。
【0024】
図7aは、センサー保持部材が内側センサー保持部材53と外側係止部材55とに分けられた別の実施形態のセンサー保持部材51を示す。図7bは、図7aのセンサー保持部材の分解図である。この実施形態では、バッグ65を第1の係止手段で貫通する必要がない。バイオリアクターバッグ表面は、無傷のままに保つことができる。これは、細胞増殖プロセスの際の汚染の危険性を防ぐのに良い。第1の係止手段57が外側係止部材55上に設けられる。内側センサー保持部材53は、バッグ表面に溶接され、バッグ内部に面するセンサー59を中央に含む。センサー取付け装置は、好適には、図3に関連して説明したものと同じである。外側センサー保持部材55は、バッグの外側に溶接される。内側センサー保持部材53と外側係止部材55は、図7aに示すようにバッグ65を屈曲させて溶接され、次に、内側バッグ支持リング61及び外側バッグ支持リング63を上部及び底部で溶接して、アセンブリを固定する。アダプター部材は、好適には、図4a及び図4bに関連して説明したものと同じである。
【0025】
図8a〜図8dは、本発明に係るアダプター部材の4つの異なる実施形態を示す。無論、本発明の第1及び第2の係止手段は共に、異なる形態で設計することができる。達成すべき結果は、2つの部材を一緒に保持し全方向に係止する係止位置である。さらに、センサー保持部材でのクリープを防ぐことができるような係止の形状が重要である。アダプター部材の4通りの異なる実施形態を、図8a〜図8dに示す。ここで、図8aは、図4及び図5に関連して既に説明したアダプター部材を示す。この実施形態では、係合は軸方向になされる。図8b、図8c、図8dに示す実施形態は、半径方向の係止をもたらす。
【0026】
上述のセンサーは光センサーである。これらは、例えば、pH、DO、二酸化炭素(CO2)、バイオマス、紫外線検出及び赤外線検出用のセンサーである。
【0027】
図9a及び図9bは、第1及び第2の係止部材の設計が異なる、本発明の別の実施形態の概略図である。センサー保持部材91は、大きな頭部95a,b,c,dを備えたプラグの形態の4つの第1の係止手段93a,b,c,dを有する。アダプター部材97は、受け穴の形態の4つの第2の係止手段99a,b,c,dを有する。図9bでは、第2の係止手段99aの一つを断面図で示す。第2の係止手段99aは、受け穴の残りの部分よりも直径の小さい受け穴の一部の形態の係留手段101と、上方向から力を加えたときに第1の係止手段93aの大きな頭部95aを係留手段101へと通すのに適した縁部とを含む。さらに、係留手段101の縁部は、頭部95aが係留手段101の下方に押されたとき、頭部95aを係留手段101の下方に係留するのに適している。例えば図2a及び図2bに関連して説明したのと同様に、センサー保持部材の中央にセンサーが設けられる。そして、図3に関連して説明したのと同様に、アダプター部材に光ファイバーが設けられる。もちろん、第1及び第2の係止手段の他の多くの設計方法があり得る。
【0028】
本発明の重要な1つの利点は、可撓性バッグの下に設けられた支持構造体を、センサー取付け装置に適合化させる必要が全くないことである。バッグは、センサー取付け装置と共に自由に移動させられることができ、任意のシステムで使用することができる。このセンサー取付け装置の他の特徴は、非常に平坦で、高さが低いことである。バイオリアクターバッグ内に突出させるとバッグ内での培養液の混合作用が制限されることは重要であるので、これは有利である。同時に、バッグ内の培養液がセンサーを覆う体積も小さい。上述の異なる係止機構、及びアダプター部材に設けられたミラーの両方が、センサー取付け装置をできるだけ平坦にする際に重要な要素である。
【符号の説明】
【0029】
1 バイオリアクター
3 揺動支持構造体
7 光ファイバー
9 モニター
11 センサー保持部材
13 光センサー、センサースポット、蛍光センサー
17a,b,c,d 第1の係止手段、フック
21 バッグフィルム
23 穴
31 バッグ取付け部材
33 センサー取付け部材
34 開口部
35 面取り部
37 開口部
38 係止ショルダー部
39 一体型ミラー/レンズ
41 アダプター部材
42 傾斜表面
43a,b,c,d 第2の係止手段、トラック
44 半径方向案内表面
45 係止隆起部
46 フック案内表面
48 把持部
49 接触表面
51 センサー保持部材
53 内側センサー保持部材
55 外側センサー保持部材、外側係止部材
57 第1の係止手段
59 センサー
61 内側バッグ支持リング
63 外側バッグ支持リング
65 バッグ
91 センサー保持部材
93a,b,c,d 第1の係止手段
95a,b,c,d 頭部
97 アダプター部材
99a,b,c,d 第2の係止手段
101 係留手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性バッグ(1)と一体化するのに適した光センサー保持装置(11;11’)であって、
可撓性バッグ(1)に溶接できる材料から作られたバッグ取付け部材(31;31’)と、
光センサースポット(13)を取付けることができる材料から作られたセンサー取付け部材(33;33’)であって、センサー取付け部材が所定位置に保持されて漏れが最小限になるように、センサー取付け部材(33;33’)よりもわずかに小さなバッグ取付け部材(31;31’)の開口部(34;34’)内に圧入される、センサー取付け部材(33;33’)と
を備える、光センサー保持装置。
【請求項2】
前記センサー取付け部材(33;33’)が、光センサーを、可撓性バッグの内側にバッグ内部の培養液体と直接連絡して設けるのに適している、請求項1記載の光センサー保持装置。
【請求項3】
前記バッグ取付け部材(31;31’)がポリエチレンで作られており、前記センサー取付け部材(33;33’)がポリカーボネートから作られている、請求項1又は請求項2記載の光センサー保持装置。
【請求項4】
前記センサー取付け部材(33;33’)に面取り部(35;35’)が設けられていて、自由な圧入部を通しての漏れを防ぐためセンサー取付け部材(33;33’)に半径方向の圧力を与える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の光センサー保持装置。
【請求項5】
前記バッグ取付け部材(31)の開口部(34)に係止ショルダー部(38)が設けられていて、係止ショルダー部(38)は、センサー取付け部材(33)を開口部(34)に圧入する際に係止ショルダー部(38)を通過した後でセンサー取付け部材(33)を所定位置に保持する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の光センサー保持装置。
【請求項6】
当該光センサー保持装置(11;11’)が、バッグの底部で可撓性バッグと一体化される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の光センサー保持装置。
【請求項7】
前記可撓性バッグ(1)が、支持構造体(3)に設けられるバイオリアクターである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の光センサー保持装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2013−514083(P2013−514083A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544430(P2012−544430)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050668
【国際公開番号】WO2011/075036
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(597064713)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ (109)
【Fターム(参考)】