説明

可撓性容器を開口するための装置

容器の第1の部分に作用する第1の握持手段(3、4)と、この第1の部分に対向する容器の第2の部分に作用するとともに、第1の握持手段(3、4)と協働して第1の部分と第2の部分とを互いに引き離す第2の握持手段(5)と、を含む可撓性容器を開口するための装置が提供される。作動形態では、容器が第1の握持手段と第2の握持手段(3、4;5)との間に挟装される。新規で独創的な手法で、第2の握持手段(5)は、第2の握持手段(5)の移動の結果、容器が第1の握持手段と第2の握持手段(3、4;5)との間に挟装される少なくとも1つの作動形態と、容器が第1の握持手段と第2の握持手段(3、4;5)の間に挟装されない少なくとも1つの静止形態との間で移動可能である。特に、第1の握持手段および第2の握持手段は、吸着盤(3、4;5)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載されるタイプの可撓性容器を開口するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の消費のための飲料、特にフルーツジュースや補助食品は、かつてないほど頻繁に販売され、一般に「パウチ」と呼ばれる可撓性容器内に保存されることがよく知られている。
【0003】
特に、このような容器は、通常はポリエチレンから成る可撓性パウチと、容器内に保存された製品の流出を可能にする飲み口(spout)とから成る。
【0004】
製品の流出は、飲料に適切な圧力を与えてパウチを絞る可能性により特に好都合となる。
【0005】
可撓性容器またはパウチは、相互に周縁で密閉され、容器を所望の飲料で充填するように適合された入口を有する一対のポリエチレンシートから得られる。
【0006】
上記入口に対応して飲み口部分が挿入され、シーリングにより固定される。特に、このシーリング操作は、上記入口の端部に関与し、加熱手段により行われる。この加熱手段は、端部自体を部分的に溶融し、それらをパウチに挿入される飲み口部に接着させる。
【0007】
上記入口への飲み口の挿入は、容器が充填される前に行われる。
【0008】
パウチを充填する領域における特に重大な問題は、飲み口の挿入を可能にするためのパウチの開口に関する。
【0009】
低減された厚さおよび静電引力の効果によりポリエチレンシートは互いに付着しやすいので、可撓性容器の開口は特に困難である。
【0010】
この問題は、可撓性容器を開口するために複数の吸着盤が使用される特許文献1に開示される装置によって取り組まれ、部分的に解決された。
【0011】
具体的には、一対の吸着盤が支持面内に配置され埋め込まれる一方、3つの吸着盤が可動ヘッドに配置される。
【0012】
可撓性容器は、可動ヘッドに設けられた吸着盤と、支持面内に埋め込まれた吸着盤との間に挟装される(interposed)。
【0013】
可動ヘッドに存在する吸着盤は隣接して相互に整列されるので、2つの側方の吸着盤と中央の吸着盤とは識別可能である。特に、中央の吸着盤はベロー型(bellows type)であるため、その握持面(grip plane)は、残りの対の吸着盤によって規定される握持面に対して後方に移動することができる。これにより、容器内への空気の侵入を助ける容器の撓みを可能にし、その開口が容易になる。
【0014】
上に要約して説明した装置は連続的に動作しないという重大な欠点を有するが、扱われる容器が継続的な時間間隔で供給される装置である。さらに、上記装置に示される吸着盤の配置は、連続的に容器を供給する装置、特に扱われる容器が回転式円形コンベヤ(rotary carrousel)上に置かれる装置に必ずしも適応可能ではない。
【0015】
第2に、開口段階中のパウチの撓みは、ベロー吸着盤の効率によって大きく左右される。吸着盤がパウチに効率的に付着しなかった場合、パウチは、その開口に十分な量の空気の侵入を許容する程度まで撓むことができない。
【特許文献1】米国特許第4,182,094号明細書
【発明の開示】
【0016】
本発明の目的は、可撓性パウチを連続的に供給する回転式円形コンベヤ上に設置することができる、可撓性パウチを開口するための装置を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、パウチ自体の開口を保証することができる、可撓性容器を開口するための装置を提案することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、構築が簡単で信頼できる、可撓性容器を開口するための装置を提案することである。
【0019】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲の内容により特徴付けられる、本発明の可撓性容器を開口するための装置により完全に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
これらおよび他の特徴は、添付の図面において非限定的な例のみを用いて図解される好ましい実施形態の以下の説明によってさらに明らかになる。
【0021】
添付図面を参照すると、本発明による可撓性容器を開口するための装置は、全体的には参照番号1により示される。
【0022】
装置1は、支持構造体2により回転式円形コンベヤ(図示せず)上に設置される。
【0023】
装置1は、一対の吸着盤3、4を含む。この一対の吸着盤3,4は、支持構造体2に固締(fasten)され、可撓性容器の第1の外側面に、好ましくはその入口に対応して作用する。図示した例では、一対の吸着盤3、4は、装置1の第1の握持手段を成す。
【0024】
特に図5を参照すると、可撓性容器は、全体的には番号70により示され、外側面71(その1つだけが見える)と飲み口72とを含む。
【0025】
装置1は、好ましくはその入口に対応して、可撓性容器の第2の外側面に作用する第3の吸着盤5を含む。特に、この第2の側面は、容器の第1の側面に実質的に対向する。
【0026】
図示した例では、第3の吸着盤5は、装置1の第2の握持手段を成し、作動形態(図1、2)では、一対の吸着盤3、4に実質的に対向する。
【0027】
特に図1、2を参照すると、装置1が作動形態にあるとき、容器は、一対の吸着盤3、4と第3の吸着盤5との間に挟装される。
【0028】
吸着盤3、4は、第3の吸着盤5と協働して、容器の側面を互いに引き離してその開口を可能にする。
【0029】
全く新規かつ独創的な手法で、第3の吸着盤5から成る第2の握持手段は、容器が第1の握持手段と第2の握持手段との間に挟装される作動形態と、容器が第1の握持手段と第2の握持手段との間に挟装されない静止形態との間で移動可能である。具体的には、第2の握持手段は、作動形態と静止形態との間で回転することができるように、支持構造体2に枢動可能に連結される。
【0030】
図示した例では、装置1は、支持構造体2にヒンジで連結されたガイド6と、このガイド内で摺動自在に移動可能なカーソル7とを含む。特に、カーソル7は、ガイド6を、第1の室(chamber)27と第2の室37とに分割する。これらの室のそれぞれは、ガイド内のカーソル7によりとられる位置に従って変更可能な体積を有する。
【0031】
カーソル7には、その一端8aが第3の吸着盤5に固締される棒状の要素8が一体的に連結される。
【0032】
ガイド6の室27内には、カーソル7を初期の静止位置に保持するために、カーソル7を操作可能に作用するバネ30が収容されている。
【0033】
装置1はまた、ヒンジ軸100を中心としてガイド6を回転させる手段を含む。
【0034】
図面を参照すると、このガイド6を回転させるための手段は、ガイド6に一体的に連結された第1の端部9aと、第2の端部9bとを有する棒9を含む。この棒9上には、ここでは図示しないが、固定されたカム上を摺動するローラ10が取り付けられている。上記手段は、さらに、ガイド6に連結された第1の端部11aと、支持構造体に連結された第2の端部11bとを有するバネ11を含む。
【0035】
装置1は、ガイド内のカーソル7の摺動運動を作動させるため、ガイド6内に規定された室27、37において予め設定された真空度を作り出すための手段を含む。好ましい実施形態では、この真空を作り出すための手段は、少なくとも1つのポンプ40を含む。
【0036】
本発明の動作は以下の通りである。
【0037】
予め設定された数の本発明による開口装置がその上に設置された回転式円形コンベヤは、可撓性容器を供給するためのステーションに対応して、これらの各装置を運ぶ。
【0038】
装置1は、図1、2に示す作動形態から図3に示す静止形態へ第3の吸着盤5を移動させることにより、容器を受け取る準備をする。
【0039】
第3の吸着盤5の移動は、ローラ10により作動される棒9によって、ヒンジ軸100を中心とするガイド6の回転により行われる。
【0040】
後者は、円形コンベヤの回転中に、適切に形作られ固定されたカム(図示せず)と接触して、第3の吸着盤5の運動を円形コンベヤの回転に同期させる。
【0041】
第3の吸着盤5は、円形コンベヤの前進、およびローラ10と固定カムとの間の相互作用の効果によって、一対の吸着盤3、4の前に再配置される。一方、可撓性容器は、第4の握持吸着盤12による吸引によって受け取られ、保持される。
【0042】
図示した例では、吸着盤3、4の握持面を、吸着盤12の握持面に対して傾斜させると有利である。
【0043】
次に、真空を作り出すための手段は、開いた空気圧回路(図4)内の空気を吸引し始める。空気圧回路は、使用する装置、すなわち一対の吸着盤3、4、第3の吸着盤5、第4の握持吸着盤12、およびガイド6内に存在する室27、37に達するように分岐している。
【0044】
特に、ガイド6の室27から空気を吸引することによりバネ30の力が打ち負かされ、それによりカーソル7はガイド内を移動して棒状の要素8を引き込み、したがって第3の吸着盤5を容器の第2の外側壁に近づけることができる。この吸引はまた第3の吸着盤5に関与するので、後者は、容器の第2の外側面に付着する。
【0045】
第3の吸着盤5は、容器の第2の外側面に付着した後、容器を吸着盤3、4に押し付ける。
【0046】
したがって、容器は、押し付けられて撓み、上記空気圧回路内で行われる吸引の効果により第1の外側面に付着する吸着盤3、4の握持面の傾きに比例して湾曲する。
【0047】
吸引を続けることにより、予め設定された真空度が、ガイド6の第2の室37内に同様に作り出される。このようにして、2つの室内における空気圧は等しくされ、したがってバネ30は、第3の吸着盤5を初期の位置に戻すことにより容器を開口することができる。
【0048】
空気圧回路は、優先吸引経路(preferential aspiration paths)が存在するように設計される。
【0049】
特に、この結果は、各利用者装置に対応して得られる適切に調整された孔によって得られる。
【0050】
特に図4を参照すると、ポンプ40の吸引の効果は、ガイド6の第1の室27、第3の吸着盤5、およびガイド6の第2の室37における縦列式の手法(cascade fashion)で明らかとなる。
【0051】
このようにして、第3の吸着盤5が、吸着盤3、4からの分離中に、容器の外面から引き離されると、空気は、第2の室37によらず、吸着盤5自身を介して吸引される。ガイド6の第1の室27内の吸引は中断されないので、これにより第3の吸着盤5を吸着盤3、4に再度近付け、そして容器の開口を自動的に再度試みることが可能になる。
【0052】
本発明は重要な利点をもたらす。
【0053】
第一に、本発明による開口装置は、連続的にパウチを供給する回転式円形コンベヤ上に設置することができる。一対の吸着盤3、4から第3の吸着盤5を離す可能性により、装置1は、供給ステーションから直接パウチを受け取り、それらを開口し、そしてそれらを後処理ステーションまたは収集ステーションに搬送することができる。
【0054】
第二に、第3の吸着盤5が容器の第2の外側面から引き離されると、空気圧回路の構成により自動的に開口操作を再試行することができるので、本発明による開口装置は、容器の開口を保証することができる。
【0055】
別の利点は、容器を押し付けて撓ませるとともに吸着盤の握持面の傾きに比例して湾曲させる吸着盤3、4の傾きにより与えられる。これは、容器への空気の侵入を助けて容器を構成するシートの分離を容易にするので、容器の開口を飛躍的に容易にする。
【0056】
可撓性容器を開口するためのこのような装置が極めて信頼できるということは有利である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の作動形態における本発明による可撓性容器を開口するための装置の部分的な断面平面図
【図2】第2の作動形態における図1に示す装置の部分的な断面平面図
【図3】静止形態における図1に示す装置の部分的な断面平面図
【図4】図1、2、3に示す装置の動作概念図
【図5】可撓性容器の正面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の第1の部分に作用する第1の握持手段(3、4)と、
前記第1の部分に対向する前記容器の第2の部分に作用するとともに、前記第1の握持手段(3、4)と協働して、前記第1の握持手段との間に操作可能に挟装される前記容器の前記第1の部分と前記第2の部分とを互いに引き離す第2の握持手段(5)と、を含み、
前記第2の握持手段(5)は、前記第2の握持手段(5)の移動の結果、前記容器が前記第1の握持手段と前記第2の握持手段(3、4;5)との間に挟装される少なくとも1つの作動形態と、前記容器が前記第1の握持手段と前記第2の握持手段(3、4;5)との間に挟装されない少なくとも1つの静止形態との間で移動可能である、
ことを特徴とする可撓性容器を開口するための装置。
【請求項2】
前記第1の握持手段(3、4)は、前記第2の握持手段(5)に実質的に対向する、
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の握持手段および前記第2の握持手段(3、4;5)のための支持構造体(2)を含み、
前記第2の握持手段は、前記作動形態と前記静止形態との間で回転するために、前記支持構造体(2)に枢動可能に連結される、
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記支持構造体(2)に回転自在に連結されるガイド(6)と、
前記ガイド(6)内で摺動自在に移動可能であるとともに、前記ガイド(6)内でそれぞれ変更可能な体積を有する2つの室(27、37)を規定するカーソル(7)と、
前記カーソル(7)に一体的に連結され、前記第2の握持手段(5)がその一端に対応して配置される棒状の要素(8)と、
前記室(27、37)の1つに収容されるとともに、前記カーソル(7)に操作可能に作用してそれを初期の静止位置に保持する弾性要素(30)と、を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記ガイド(6)を回転させるための手段を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記ガイド(6)を回転させるための前記手段は、
前記ガイド(6)に一体的に連結される第1の端部(9a)と、前記ガイドの輪郭線上を摺動することができるローラ(10)がその上に取り付けられる第2の端部(9b)とを有する少なくとも1つの棒(9)と、
前記ガイド(6)に連結される第1の端部(11a)と、前記支持構造体(2)に連結される第2の端部(11b)とを有する少なくとも1つの弾性要素(11)と、を含む、
ことを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記ガイド(6)内の前記カーソル(7)の摺動運動を作動させるため、前記ガイド(6)内に存在する前記室(27、37)のそれぞれにおいて予め設定された真空度を作り出すための手段(40)を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項8】
前記第1の握持手段は、一対の吸着盤(3、4)を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記第2の握持手段は、第3の吸着盤(5)を含む、
ことを特徴とする請求項1または請求項3記載の装置。
【請求項10】
前記一対の吸着盤(3、4)に操作可能に関連する吸引手段(40)を含む、
ことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記第3の吸着盤と操作可能に関連する吸引手段を含む、
ことを特徴とする請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−532431(P2007−532431A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507933(P2007−507933)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000210
【国際公開番号】WO2005/100164
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506321805)インダグ ゲゼルシャフト フィア インダストリーベダルフ エムベーハー ウント カンパニー ベトリープス カーゲー (10)
【Fターム(参考)】