説明

可燃性ガスの濃縮方法および可燃性ガスの濃縮システム

【課題】本発明の目的は、可燃性ガスを濃縮する際に、爆発範囲の濃度となることを回避しつつ高濃度な濃縮を実現することができる技術を提供する。
【解決手段】少なくとも一対の吸着ユニットU1,U2を備え、一方の吸着ユニットU1のガス流出口2を他方の吸着ユニットU2のガス流入口1に連通接続可能に構成され、一方の吸着ユニットU1の下流側に他の吸着ユニットU2を連通接続し、外部から一方の吸着ユニットU1のガス流入口1を介して原料ガスを流入させ、他方の吸着ユニットU2のガス流出口2から外部に残余のガスを流出させて、両吸着ユニットU1,U2内の吸着材aに可燃性ガスを吸着させる連通吸着工程を実行した後、一方の吸着ユニットU1を独立させた状態で、当該吸着ユニットU1の吸着材aから可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性ガスおよび空気を含有する原料ガスを吸着ユニット(可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が収納された吸着塔)に供給して、可燃性ガスを選択的に吸着させ、濃縮する可燃性ガスの濃縮方法、及びこの方法を実行する可燃性ガスの濃縮システムに関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性ガスを燃料などとして有効に利用する場合には、可燃性ガスが含まれる原料ガスから空気などのガスを分離して、適当な範囲にまで可燃性ガスを濃縮する必要がある。このような可燃性ガスを濃縮する装置や方法は種々提案されているが、例えば特許文献1では、可燃性ガスとしてのメタンガスを含有する炭鉱から発生するガス(いわゆる炭鉱ガス)を原料ガスとして、この原料ガスから吸着材を用いて空気(主に窒素、酸素、二酸化炭素が含まれる)を分離し、メタンガスを濃縮して利用する発明が提案されている。
【0003】
すなわち、上記特許文献1では、窒素に比べてメタンガスの吸着速度が非常に遅い天然ゼオライトを吸着材として用いて(換言すると、メタンガスに対して窒素、酸素、二酸化炭素を優先的に吸着する吸着材を用いて)、当該吸着材が充填された吸着塔に炭鉱ガスを圧縮機等により所定圧になるまで導入して、炭鉱ガスに含まれる酸素、窒素、二酸化炭素を先に吸着塔の手前部(下部)に吸着させ、吸着塔の奥部(上部)に吸着速度の遅いメタンガスを吸着させて、さらに当該メタンガスを吸着塔の上部から大気圧になるまで放出して、メタンガスを濃縮する装置および方法の発明が提案されている。
これにより、原料ガスとしての炭鉱ガスから、吸着材を用いて空気を分離し、メタンガスを濃縮して、当該濃縮されたメタンガスを燃料等として利用することができるものとされている。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−198591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、一般に可燃性ガスは爆発する可能性が存在し、原料ガス等に可燃性ガスが所定の濃度範囲で含まれている場合に爆発する可能性があるものとされている。この濃度範囲は、可燃性ガスの種類によって異なるが、一般的には、可燃性ガスが5〜20Vol%程度含まれる範囲とされている。そして、上述のメタンガスの場合でも、同様の濃度範囲で爆発の可能性があるものとされている。
また、可燃性ガスの爆発の可能性は、可燃性ガスの濃度に加え、原料ガス等に酸素ガスが所定の濃度で含まれる場合に爆発する可能性があるものとされている。この濃度範囲は、酸素ガスが10Vol%以上含まれる範囲とされている。
【0006】
したがって、可燃性ガスを含有するガスを取り扱う際には、上記可燃性ガスおよび酸素ガスの濃度範囲に充分な配慮をする必要がある。特に、可燃性ガス若しくは酸素ガスが爆発する可能性がある濃度範囲付近にあるガスである場合には、当該可燃性ガス若しくは酸素ガスの濃度を調整して、上記濃度範囲に入らないようにすることが重要である。
【0007】
ここで、この点について、上記特許文献1に記載の発明について検討すると、濃縮後のメタンガスは比較的高濃度(メタン濃度60Vol%程度)であり爆発濃度範囲外となっているものの、炭鉱ガス(メタン濃度44Vol%程度、酸素ガス濃度12Vol%程度)からメタンガスをある程度取り出した後の排ガスには、メタンガスが比較的低濃度(メタン濃度44Vol%以下)で含まれており、さらに酸素ガスも所定濃度(酸素ガス濃度12Vol%程度以上)含まれているため、メタンガス及び酸素ガスの何れもが爆発濃度範囲内に入る可能性があり、当該排ガスが爆発するおそれが生じ問題である。
【0008】
さて、可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が収納された吸着ユニットを適宜使用して濃縮を行う場合、通常、吸着工程では、吸着ユニットに設けられるガス流入口から原料ガスを流入させ、ガス流入口とは反対側に設けられているガス流出口から吸着後の残余のガスを流出させる。後述する、本願における吸着ユニット単独で吸着を行う独立吸着工程を実行するのであるが、この吸着工程における吸着管理は、先に説明した爆発限界との関係から、外部に放出されるベントにおける可燃性ガスの濃度に注目して管理することとなる。例えば、吸着ユニット内に収納される吸着材の量との関係から、ベントとして放出される可燃性ガスの濃度が爆発限界以下に収まる吸着時間を予め求めておき、この吸着時間を上限として吸着を行わせることで、良好な操業を維持することとなる。
【0009】
さて、この点をユニット内の吸着材の吸着状態との関係からみると、ガス流入口側の吸着材に関しては、爆発限界を越えて吸着材が吸着しうる限界に近い可燃性ガスが吸着されている。一方、ガス流出口側の吸着材に関しては、爆発限界を上限としてベントに含まれる可燃性ガスの濃度が管理されるため、実質的に吸着材に吸着できる可燃性ガスの濃度は、爆発限界未満或はその近傍に限られる。
したがって、このような運転手法を実行する場合は、単一の吸着ユニットで見た場合に、当該吸着ユニットに収納されている吸着材の全部を充分に活用しているとはいい難い。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可燃性ガスを濃縮する際に、爆発範囲の濃度となることを回避しつつ、各吸着ユニットに収納される吸着材の全部を充分に活用することができ、高濃度な濃縮を実現することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための可燃性ガスの濃縮方法は、それぞれガス流入口及びガス流出口を備えるとともに、内部に可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が充填された、少なくとも一対の吸着ユニットを備え、一方の吸着ユニットのガス流出口を他方の吸着ユニットのガス流入口に連通接続可能に構成されたシステムにおいて、
一方の吸着ユニットの下流側に他方の吸着ユニットを連通接続し、外部から前記一方の吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、前記他方の吸着ユニットのガス流出口から外部に残余のガスを流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着工程を実行した後、
前記一方の吸着ユニットを独立させた状態で、前記一方の吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着工程を実行することにある。
【0012】
この可燃性ガスの濃縮方法では、使用するシステムには、少なくとも一対の吸着ユニットが備えられる。これら一対の吸着ユニットは、それぞれガス流入口及びガス流出口が備えられる。従って、このガス流入口から原料ガスを流入させて、残余のガスをガス流出口から流出させる、本願にいう独立吸着を実行可能である。一方、一対の吸着ユニット間では、一方の吸着ユニットのガス流出口を他方の吸着ユニットのガス流入口に連通接続可能に構成されているため、一方の吸着ユニットの下流側に他方の吸着ユニットを連通接続し、外部から一方の吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、他方の吸着ユニットのガス流出口から外部に残余のガスを流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着も実行可能となっている。
そして、本願に係る可燃性ガスの濃縮方法では、少なくとも上記の連通吸着を実行した後、脱着を行う。ここで脱着は、前記連通吸着において、原料ガスが流入される吸着ユニットを対象とするものとする。
先にも説明したように、吸着にあっては、残余のガスをガス流出口から流出させることとなるが、この流出ガスにおける可燃性ガスの濃度は、爆発限界未満に抑えることとなる。この場合、連通吸着を実行している上流側の吸着ユニットの吸着材は爆発限界を越えて、吸着材が吸着限界に近い状態まで可燃性ガスを吸着している。一方、下流側の吸着ユニットでは、ガス流出口の近傍にある吸着材では、充分な吸着が行われていない。
そこで、本願のように、連通吸着を行った後、上流側の吸着ユニットについて、脱着を行うことで、吸着ユニット内の全吸着材について、脱着を終えた非吸着状態から、完全に吸着限界近くまで吸着した状態の間で、吸着材を働かせることとなり、外部に放出されるガスに関して、可燃性ガスの濃度を爆発範囲の濃度となることを回避しつつ、各吸着ユニットに収納される吸着材の全部を充分に活用することができ、高濃度な濃縮を実現することができる。
【0013】
さて、前記連通吸着工程を実行する前に、前記一方の吸着ユニットに関して、外部から原料ガスを流入させ、当該一方の吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させるとともに、その吸着ユニットのガス流出口から残余のガスを外部に流出させる独立吸着工程を実行することが好ましい。
この方法にあっては、独立吸着工程を行った後に連通吸着工程を実行することとなるが、一方の吸着ユニットに関して、独立吸着工程において、そのガス流出口から流出される可燃性ガスの濃度を所定の範囲に制限した状態で、ある程度の可燃性ガスの吸着を行わせ、次に連通吸着工程において、なお吸着余力のあるガス流出口近くの吸着材に可燃性ガスを吸着させることができ、各吸着ユニットの有効利用を図ることができる。さらに、本願に係るような吸着システムでは、吸着ユニットの動作として、吸着以外に均圧、昇圧等の他の動作を行う時間があるが、他の吸着ユニットの所定の動作時を利用して、予備的な独立吸着工程を実行することで、時間的にも空間的にも効率的な運用を図ることができる。
【0014】
さて、これまで説明してきた可燃性ガスの濃縮方法において、
前記吸着ユニットとして、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
特定の吸着ユニットに関して、外部から原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させるとともに、残余のガスを外部に流出させる独立吸着工程と、
当該吸着ユニットの下流側に更なる吸着ユニットを連通接続し、外部から特定の吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、前記更なる吸着ユニットのガス流出口から残余のガスを外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着工程と、
前記特定の吸着ユニットを独立させた状態で、前記特定の吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着工程とを含み、
前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット、第3吸着ユニットとの間で、
前記独立吸着工程、連通吸着工程、脱着工程を繰り返すこととしておくことが好ましい。
この構成では、3つの吸着ユニットを一単位として、順次、独立吸着工程、連通吸着工程、脱着工程を実行させることで、各吸着ユニットで別々の動作を行わせながら、先に説明してきた作用効果を得ることができる。
【0015】
この構成において、さらに具体的には、
前記吸着ユニットとして、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成されるとともに、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
外部から前記第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第1吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第2吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第3吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第1状態で、外部から第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第2吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着動作と、前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作とを実行する第1工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第3吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第2吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第2状態で、第1吸着ユニットから第3吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作と、前記第2吸着ユニットに可燃性ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作とを実行する第2工程と、
各吸着ユニットがそれぞれ独立した状態に保たれ、
前記第1吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、
前記第2吸着ユニットに原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作と、
前記第3吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する第3工程とを含むこととすることができる。
【0016】
このように工程順をくむことで、3つの吸着ユニットを一単位として、連通吸着動作と脱着動作の組み合わせ(第1工程)、均圧動作と独立吸着動作の組み合わせ(第2工程)、脱着動作、独立吸着動作及び昇圧動作の組み合せ(第3工程)を順次実行して、最小限の吸着ユニットを備えたシステムで、効率的に可燃性ガスの濃縮を行える。
【0017】
上記の可燃性ガスの濃縮方法は、下記のシステムにおいて、制御手段がはたらくことで、実行できる。
即ち、可燃性ガスの濃縮システムは、それぞれガス流入口及びガス流出口を備えるとともに、内部に可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が充填された、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、さらに、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成されるとともに、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、さらに、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
外部から前記第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第1吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第2吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第3吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第1状態で、外部から第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第2吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着動作と、前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作とを実行する第1工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第3吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第2吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第2状態で、第1吸着ユニットから第3吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作と、前記第2吸着ユニットに可燃性ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作とを実行する第2工程と、
各吸着ユニットがそれぞれ独立した状態に保たれ、
前記第1吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、
前記第2吸着ユニットに原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作と、
前記第3吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する第3工程とを実行する制御手段を備えた構成とすればよい。
【0018】
さて、上記のように工程順を組む場合に、前記第1吸着ユニットが独立に可燃性ガスを吸着する前記独立吸着工程において、前記第3吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作が行われた後、
前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、前記第2吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行することが好ましい。
このようにすることで、第3吸着ユニット、第2吸着ユニットに対して、所定の動作を順次行わせることができる。
【0019】
この方法を実施する可燃性ガスの濃縮システムは、前記制御手段を、
前記第1吸着ユニットが独立に可燃性ガスを吸着する前記独立吸着工程において、前記第3吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作を行わせた後、
前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、前記第2吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行するように構成としておけばよい。
【0020】
さて、これまで説明してきた第1工程、第2工程を実行する可燃性ガスの濃縮方法において、前記第1工程から前記第2工程への切換え操作に関し、前記第1吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへ移流するガスにおける可燃性ガスの濃度が、爆発限界濃度より高い濃度である所定の設定濃度より高くなる状態で、前記切換え操作を実行することが好ましい。
第1吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへ移流するガスにおける可燃性ガスの濃度が、爆発限界濃度より高い濃度である所定の設定濃度より高くなる状態では、第1吸着ユニットのガス流出口側に備えられる吸着材は、飽和に近い状態で可燃性ガスを吸着しており、吸着材の全部を有効に使うという目的を達成できるためである。
【0021】
この方法に関しても、制御手段を、前記第1工程から前記第2工程への切換え操作に関し、前記第1吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへ移流するガスにおける可燃性ガスの濃度が、爆発限界濃度より高い濃度である所定の設定濃度より高くなる状態で、前記切換え操作を実行するように構成としておけばよい。
【0022】
このような条件のもと第1工程から第2工程への切換え操作を、当該第1工程の経過時間に従って実行することが好ましい。
吸着ユニット内の吸着材の量は予め判明しており、工程順の動作を決定した場合には、第1工程に入る前の吸着材の吸着量、第1工程の経過時間における吸着量の増加等は予め経験的に知ることができる。そこで、上記切換え条件を満たす経過時間に従って、工程の切換えを管理することで、安全にシステムを運転することができる。
【0023】
この方法を実施するに際しても、制御手段を、前記第1工程から前記第2工程への切換え操作を、当該第1工程の経過時間に従って実行するように構成しておけばよい。
【0024】
さて、前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを備えて可燃性ガスの濃縮システムを構築するに、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを、記載順に環状を成すように配置して構成することが好ましい。このようにすることで、制限された空間に収納されるシステムを使用して、可燃性ガスの濃縮を行える。従って、システムが占有できる空間が制限されやすい炭鉱等にあっても、炭鉱から発生する可燃性ガスを両方に捕集、濃縮できる。
【0025】
さらに、前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットそれぞれにおいて、各吸着ユニットのガス流入口及びガス流出口が同一方向に開口するとともに、開口面が一定位置に揃えられていることが好ましい。
このようにすることで、ユニット間に設けることが必要となる配管をユニットの一方側に集中でできるとともに、その配管長を必要最小限とすることができ、制限された空間に収納されるシステムを使用して、可燃性ガスの濃縮を行える。結果、上記と同様に、システムが占有できる空間が制限されやすい炭鉱等にあっても、炭鉱から発生する可燃性ガスを両方に捕集、濃縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る可燃性ガス濃縮システムS(以下、本システムSと略称する)の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本願にあっては、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態を紹介する。
全ての実施形態は、内部にメタン吸着材aが夫々充填された第1吸着ユニットU1、第2吸着ユニットU2及び第3吸着ユニットU3を備えて構成されている。これらの吸着ユニットUは、夫々、本願独特の配管dで、ユニット外部O、製品タンクTおよび他の吸着ユニットUと連通接続できるように、配管接続されている。ここで、第1、第2及び第3ユニットU1,U2,U3の順番付けは、システムを周回方向で見た順番付けであり、図1に示されている例では、時計方向周りに第1、第2、第3と順番付けを行っている。
【0027】
図1に示す第1実施形態は、本願に係る可燃性ガス濃縮装置の最も簡易な形態を示す例であり、各吸着ユニットUは円筒状に構成されており、3つの吸着ユニットUが三角を成すように環状に配置されている。
【0028】
図4に示す第2実施形態は、各吸着ユニットUはU字状に構成されており、各ユニットUの下方側がU字の開放側となる配置構成で、3つの吸着ユニットUが三角を成すように環状に配置されている。このように配置することで、各ユニットUの配管dを、下側に集中して配設することができる。
【0029】
図6に示す第3実施形態は、各吸着ユニットUは縦置き配置の二重管として構成されており、内管ui内の空間と内管uiと外管uoとの間の空間とがユニット上部で連通接続するように構成されている。この実施形態でも、3つの吸着ユニットUが三角を成すように環状に配置されている。このように配置することで、各ユニットUの配管dを、下側に集中して配設することができる。
【0030】
〔第1実施形態〕
先ず、各実施形態に共通の構成に関して、第1実施形態を例にとって、図1に基づいて説明する。
1 吸着ユニット
吸着ユニットUは、所定形状を有する吸着塔として構成されており、内部に吸着材aを充填して構成されている。
吸着材a
吸着材aは、可燃性ガスを選択的に吸着できれば、特に制限されないが、吸着材aとして、MP法による平均細孔直径が4.5〜15Åで、かつ大気圧および298K下におけるメタンガス吸着量が20Ncc/g以上である活性炭、ゼオライト、シリカゲルおよび有機金属錯体(フマル酸銅、テレフタル酸銅、シクロヘキサンジカルボン酸銅など)からなる群から選択される少なくとも一つであるメタン吸着材を用いるとよい。なお、上記平均細孔直径として好ましくは、4.5〜10Å、より好ましくは、5〜9.5Åがよく、また、上記メタン吸着量が好ましくは、25Ncc/g以上がよい。例えば、このような活性炭は、椰子殻または椰子殻炭を窒素ガス中において600℃で完全に炭化した炭化物を粒径1〜3mmの大きさに破砕したものを炭素質材料とし、内径50mmのバッチ式流動賦活炉を用いて、水蒸気10〜15Vol%、二酸化炭素15〜20Vol%および残余が窒素である雰囲気下において、860℃で賦活することにより得られる。
【0031】
このように、吸着材aとして大気圧及び298K下においてメタンガスを選択的に吸着できるメタン吸着材を用いることで、当該メタン吸着材に大気圧及び298K下でも充分にメタンガスを吸着することができる。
【0032】
すなわち、大気圧および298K下におけるメタン吸着量が20Ncc/gより低いと、低圧(特に大気圧程度)でのメタン吸着性能が低下して、濃縮後のメタンガスのメタン濃度が低下するとともに、吸着性能を維持するには、メタン吸着材の増量が必要となり装置が大型化する。なお、上記メタン吸着量の上限は特に制限されないが、現状で得られるメタン吸着材のメタン吸着量は40Ncc/g以下程度である。
また、MP法における平均細孔直径が4.5Åより小さいと、酸素ガス、窒素ガスの吸着量が増え、濃縮後におけるメタンガス中のメタン濃度が低下したり、平均細孔直径がメタン分子径に近くなり吸着速度が遅くなってメタン吸着性能が低下したり、吸着しなくなる。一方、MP法における平均細孔直径が15Åより大きいと、低圧(特に大気圧程度)でのメタン吸着性能が低下して、濃縮後のメタンガスのメタン濃度が低下するとともに、吸着性能を維持するには、メタン吸着材の増量が必要となり装置が大型化する。
したがって、MP法による平均細孔直径が4.5〜15Åで、かつ大気圧および298K下におけるメタンガス吸着量が20Ncc/g以上である活性炭、ゼオライト、シリカゲルおよび有機金属錯体からなる群から選択される少なくとも一つであるメタン吸着材が良い。
【0033】
さらに、上記メタン吸着材が、HK法における平均細孔直径の10Å以下の細孔容積が、全細孔容積の50%以上であるとよく、好ましくは、70%以上、より好ましくは、80%以上がよい。この場合、メタンガスを選択的に吸着することができる平均細孔直径が10Å以下である細孔容積が全細孔容積の50%以上を占めているため、大気圧下(0.1MPa程度)におけるメタンガスの吸着可能量を増大させて、大気圧下であっても充分にメタンガスを吸着することができる。すなわち、図2に示すように、上記平均細孔直径が10Å以下のメタン吸着材a1では、10Åよりも平均細孔直径が大きいメタン吸着材a2と比較して、大気圧下(0.1MPa程度)におけるメタン吸着量が多く、本システムSのように、基本的に大気圧下においてメタンガスを吸着させる場合に好適に用いることができる。なお、実質的には、計測できる範囲である平均細孔直径が4Å以上10Å以下の細孔容積が、全細孔容積の50%以上であればよい。また、より好ましくは、平均細孔直径が4.5Å以上10Å以下の細孔容積が、全細孔容積の50%以上であることがメタン吸着材として好ましい。
【0034】
一方、上記メタン吸着材が、77K下での窒素吸着量において、HK法による10Åの平均細孔直径に対応する相対圧0.013下での窒素吸着量が、全細孔容積に対応する相対圧0.99下での窒素吸着量の50%以上であるとよく、好ましくは、70%以上、より好ましくは、80%以上がよい。この場合、相対圧0.99における吸着量は全細孔容積を、相対圧0.013における吸着量は10Å以下の細孔容積を示し、それぞれの値の比は上記と同じように10Å以下の細孔の割合が多いことを示している。その結果として、メタンガスと空気との混合ガスを原料ガスとする場合も、大気圧付近でのメタンガスの濃縮を容易にかつ、効率よく行なうことができる。
【0035】
吸着ユニット
次に、各吸着ユニットUを構成する吸着塔の構成について説明する。
先に説明したように、本願に係る可燃性ガス濃縮システムSでは、吸着ユニットUの順番付けが行われているが、この順番付けの方向に従って、吸着ユニットUには、ガス流入口1、ガス流出口2が設定されている。図1に示す例で、右上がりに配置される第1吸着ユニットU1に関しては、左下端近傍部位がガス流入口1、右上端近傍部位がガス流出口2とされている。右下がりに配置される第2吸着ユニットU2に関しては、左上端近傍部位がガス流入口1、右下端近傍部位がガス流出口2とされる。下に配置される第3吸着ユニットU3に関しては、右端近傍部位がガス流入口1、左端近傍部位がガス流出口2とされる。
ここで、ガス流入口1、ガス流出口2の区分けは、吸着ユニットUに、本願にいう独立吸着状態で原料ガスが流入され、残余のガス(ベント)が吸着ユニットUから流出される状態で、原料ガスが流入する吸着ユニットUの入口側をガス流入口1と、ベントが流出する吸着ユニットUの出口側をガス流出口2と便宜上呼んでいる。即ち、吸着ユニットUの順番付けとの対応との関係で述べると、順番付けの昇番に従って、その低い側から順次、第1吸着ユニットU1のガス流入口1、ガス流出口2、第2吸着ユニットU2のガス流入口1、ガス流出口2、第3吸着ユニットU3のガス流入口1、ガス流出口2と呼ぶこととしている。
【0036】
本願における原料ガスは、可燃性ガスと空気とを含むガスであるが、例えばメタンガスと空気とを含む炭鉱ガスとすることもできる。また、可燃性ガスとしては、可燃性の気体であれば特に制限されないが、例えば炭鉱ガスに含まれるメタンガスとすることもできる。以下においては、原料ガスを炭鉱ガスとし、原料ガスには可燃性ガスとしてのメタンガスと空気とを含むものとして説明する。なお、炭鉱ガスとは炭鉱から発生するガスであり、条件により異なるが、炭鉱ガスG中には、メタンガス20〜40Vol%程度、空気(主として窒素ガス、酸素ガスが含まれる)60〜80Vol%程度が含まれている。
【0037】
さらに、先に説明した独立吸着状態とは、これまでも説明してきたように、本願にいう連通吸着状態に対する概念であり、単一の吸着ユニットUにおいて、そのガス流入口1から原料ガスが流入され、そのユニットUのガス流出口2からベントが流出される運転状態をいう。
【0038】
以下に、各吸着ユニットUにおけるユニット内部と外部、或いは他の吸着ユニットとの連通関係について説明する。
【0039】
原料ガスの流入・ベントの流出
吸着ユニットUには、そのガス流入口側に、原料ガスを吸着ユニット内に導入可能な原料ガス流入管d1が接続されている。この原料ガス流入管d1の上流側は、例えば、炭鉱から炭鉱ガスを捕集するための捕集用ブロアーの吐出口(図外)が接続されており、原料ガスの流入(送り込み、吸い込みを含む)が可能な構造とされている。一方、そのガス流出口側に、吸着を終えた残余のガスであるベントが流出可能なベント流出管d2が接続されている。このベント流出管d2の下流側は、外気に開放されており、ベントを外気に放出可能となっている。図示するように、このベント流出管d2には、メタン濃度サンプリング用のサンプリング部3が設けられている。単一の吸着ユニットUに関して、その原料ガス流入管d1から原料ガスが流入し、ユニットU内で吸着を行った後、残余のガスがベントとしてベント流出管d2から外部に放出される状態を、本願にあっては、「独立吸着」と呼んでいる。この独立吸着状態では、独立吸着操作を実行している吸着ユニットUは、他の吸着ユニットUとの関係において連通接続等されることはない。
この独立吸着状態にあっては、ベント流出管d2から外部に放出される場合のメタン濃度は、その爆発限界以下に制御される。すなわち、メタン濃度は、例えば5%未満に維持されるように、独立吸着を開始してから、その独立吸着状態を終了するまでの時間が管理される。
【0040】
脱着(真空引き)
図1からも判明するように、前記原料ガス流入管d1の中間部位には、3方弁v1が備えられており、吸着ユニットUのガス流入口1が、この3方弁v1を介して製品タンクTに接続される構成が採用されている。そして、製品タンクTの入口部位には、真空ポンプPが備えられ、吸着ユニットUのガス流入口1に製品タンクTが連通接続される状態(この時、原料ガスの流入は行わない)で、吸着材aに吸着されたメタンを真空引き可能な構成とされている。この真空引きに際しては、前記ベント流出管d2に設けられている開閉弁v2は、閉状態に維持される。このような真空引きを実行することで、吸着材aに吸着されたメタンを製品タンクT内に回収できる。この脱着状態では、脱着操作を受けている吸着ユニットUは、他の吸着ユニットUとの関係において連通接続等されることはない。
【0041】
昇圧
図1からも判明するように、各吸着ユニットUに関して、原料ガス流入管d1の中間部位には3方弁v1が備えられており、ベント流出管d2には開閉弁v2が備えられている。そして、先に説明した脱着操作である真空引きを行った場合、後述する均圧操作を行ったとしても、吸着ユニットU内の圧力が外気に対して負圧となる状態が発生する。従って、このように吸着ユニットU内が負圧となっている状態において、前記3方弁v1を全閉とし、開閉弁v2を開とする場合、外気が吸着ユニットU内に取り込まれることとなる。即ち、3方弁v1を全閉とし、開閉弁v2を開とすることで、外気(空気)を昇圧ガスとして吸着ユニットU内に取り込んで、吸着ユニットU内の圧力を外気圧とすることができる。この昇圧状態では、昇圧操作を受けている吸着ユニットUは、他の吸着ユニットUとの関係において連通接続等されることはない。
【0042】
連通吸着
図1からも判明するように、各吸着ユニットUは、ユニットの順番付けに従って、ユニットU間に開閉弁v3を備えた連通管d3を設けて互いに連通接続できるように構成されている。具体的には、図1において、時計回りに、第1吸着ユニットU1のガス流出口2は第2吸着ユニットU2のガス流入口1に、第2吸着ユニットU2のガス流出口2は第3吸着ユニットU3のガス流入口1に、さらに、第3吸着ユニットU3のガス流出口2は前記第1吸着ユニットU1のガス流入口1に、個別に連通接続可能に構成されている。
従って、例えば、第1吸着ユニットU1のガス流出口2と第2吸着ユニットU2のガス流入口1との間に介在される連通管d3の開閉弁v3のみを開とし、他の連通管d3の開閉弁v3を閉状態に保った状態で、第1吸着ユニットU1の原料ガス流入管d1から原料ガスを流入させ(製品タンクT側は閉とする)、第2吸着ユニットU2のベント流出管d2から、第1吸着ユニットU1、第2吸着ユニットU2内に配設される吸着材aにより吸着操作を受けた後の、残余のガスを放出することができる。この状態を本願にあっては、「連通吸着」と呼んでいる。この連通吸着状態にあっても、下流側の吸着ユニットUのベント流出管d2から外部に放出される場合のメタン濃度は、その爆発限界以下に制御される。すなわち、メタン濃度は、例えば5%未満に維持されるように、連通吸着を開始してから、その連通吸着状態を終了するまでの時間を管理する。
この連通吸着状態では、上流側の吸着ユニットUの吸着材aに爆発限界以上(例えば5%以上、原料ガス中のメタン濃度(例えば40%))のメタンが吸着された状態を実現できる。この連通吸着状態において、連通吸着に関与する一対の吸着ユニットUは、他の吸着ユニットUと連通接続されることはない。
【0043】
均圧
図1からも判明するように、各吸着ユニットUは、ユニットUの順番付けで、一つ飛ばしに、ユニットU間に開閉弁v4を備えた均圧管d4を設けて互いに均圧用に連通接続できるように構成されている。具体的には、第1吸着ユニットU1のガス流出口2を第3吸着ユニットU3のガス流入口1に、第2吸着ユニットU2のガス流出口2を第1吸着ユニットU1のガス流入口1に、第3吸着ユニットU3のガス流出口2を第2吸着ユニットU2のガス流入口1に、個別に連通接続可能に構成されている。
従って、例えば、第1吸着ユニットU1のガス流出口2と第3吸着ユニットU3のガス流入口1との間に介在される均圧管d4の開閉弁v4のみを開とし、他の均圧管d4のそれぞれの開閉弁v4を閉状態に保った状態で、さらに、均圧管d4以外を介する第1吸着ユニットU1及び第3吸着ユニットU3へのガスの流出、流入を止めることで、均圧管d4で連通接続された吸着ユニットU1,U3間の圧力を均衡させることができる。この状態を本願にあっては、「均圧」と呼んでおり、図3(a)に示す場合は、第1吸着ユニットU1、第2吸着ユニットU2間で、連通吸着を行い、第3ユニットU3が脱着(真空引き)されるため、図3(b)に示すように、第1吸着ユニットU1と第3吸着ユニットU3との間の均圧管d4の開閉弁v4を開、他の均圧管d4のそれv4を閉として、第1吸着ユニットU1と第3吸着ユニットU3との間で、均圧を行うことができる。この均圧も、均圧開始から終了までの時間で管理する。
【0044】
以上が、本願に係る可燃性ガスの濃縮システムSに採用される各吸着ユニットUの構成の説明であるが、本願システムSにあっては、この構成の吸着ユニットUが3個を単位として、所定のシーケンスで、作動操作されるように構成されている。この作動操作を制御するのが、図1に示す制御手段Cであり、この制御手段Cは、各原料ガス流入管d1に設けられる3方弁v1、各ベント流出管d2に設けられる開閉弁v2、各連通管d3に設けられる開閉弁v3、各均圧管d4に設けられる開閉弁v4及び真空ポンプPの運転制御をおこなう。さらに、先に説明した炭鉱ガス捕集用のブロワー(図外)は常時運転されており、3方弁v1において、原料ガス流入管d1が吸収ユニットUのガス流入口1に連通接続される状態(製品タンクTはガス流入口1に接続されない)で、原料ガスの吸着ユニットU内への導入が可能となっている。
【0045】
図3は、上記のシーケンスを模式的に示したものであり、同図に示すように、この可燃性ガスの濃縮システムSでは、ステップ(a)〜(i)の9ステップを1サイクルとして運転を繰り返す。図3の各ステップの説明では、各吸着ユニットUにおいて、各ステップで実行されている動作を簡略化して説明している。
図3において、中抜き実線矢印は原料ガス又は昇圧ガス(空気)の流入方向を示し、影付実線矢印はベントの流出方向を示している。さらに、中抜き一点鎖線矢印は製品ガスである濃縮ガスの流出方向を示し、中抜き破線矢印は均等動作におけるユニットの連通接続関係と、ガスの流れ方向を示している。
さらに、「連通吸着」「脱着」「均圧」「独立吸着」「脱着」は、それぞれ動作を示し、これら記載の下側に示されている実線矢印は、当該動作時のガスの流れ方向に対応している。さらに、「連通吸着」と記載している一対の吸着ユニット間に渡って示されている湾曲した実線矢印は、これら一対の吸着ユニットが連通接続され、矢印の方向にガスが流れることを示している。
【0046】
各ステップについて説明すると、以下の順に動作は進んでいる。
【0047】
ステップ(a)
第1吸着ユニットU1及び第2吸着ユニットU2:両吸着ユニットU1,U2を連通管d3で連通した状態で、原料ガスを第1吸着ユニットU1に流入させ、第2吸着ユニットU2からベントを放出する連通吸着状態とする。
第3吸着ユニットU3:脱着状態とする。
【0048】
ステップ(b)
第1吸着ユニットU1及び第3吸着ユニットU3:両吸着ユニットU1,U3を均圧管d4で連通した状態で、第1吸着ユニットU1と第3吸着ユニットU3とを均圧状態とする。
第2吸着ユニットU2:独立吸着状態とする。
【0049】
ステップ(c)
第1吸着ユニットU1:脱着状態とする。
第2吸着ユニットU2:独立吸着状態とする。
第3吸着ユニットU3:昇圧状態とする。
【0050】
ステップ(d)
第2吸着ユニットU2及び第3吸着ユニットU3:両吸着ユニットU2,U3を連通管d3で連通した状態で、原料ガスを第2吸着ユニットU2に流入させ、第3吸着ユニットU3からベントを放出する連通吸着状態とする。
第1吸着ユニットU1:脱着状態とする。
【0051】
ステップ(e)
第2吸着ユニットU2及び第1吸着ユニットU1:両吸着ユニットU2、U1を均圧管d4で連通した状態で、第2吸着ユニットU2と第1吸着ユニットU1とを均圧状態とする。
第3吸着ユニットU3:独立吸着状態とする。
【0052】
ステップ(f)
第1吸着ユニットU1:昇圧状態とする。
第2吸着ユニットU2:脱着状態とする。
第3吸着ユニットU3:独立吸着状態とする。
【0053】
ステップ(g)
第3吸着ユニットU3及び第1吸着ユニットU1:両吸着ユニットU3,U1を連通管d3で連通した状態で、原料ガスを第3吸着ユニットU3に流入させ、第1吸着ユニットU1からベントを放出する連通吸着状態とする。
第2吸着ユニットU2:脱着状態とする。
【0054】
ステップ(h)
第3吸着ユニットU3及び第2吸着ユニットU2:両吸着ユニットU3,U2を均圧管d4で連通した状態で、第3吸着ユニットU3と第2吸着ユニットU2とを均圧状態とする。
第1吸着ユニットU1:独立吸着状態とする。
【0055】
ステップ(i)
第1吸着ユニットU1:独立吸着状態とする。
第2吸着ユニットU2:昇圧状態とする。
第3吸着ユニットU3:脱着状態とする。
この後、上記の動作シーケンスを繰り返す。
【0056】
従って、このシステムにおいては、特定の吸着ユニットである第1吸着ユニットU1に注目して、動作シーケンスを追うと、以下の工程を経ることとなっている。
独立吸着工程
外部から第1吸着ユニットU1のガス流入口1を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを第1吸着ユニットU1のガス流出口2から外部に流出させて、当該吸着ユニットU1内の吸着材aに可燃性ガスを吸着させる(ステップh、ステップi)。
第1工程
第1吸着ユニットU1のガス流出口2が第2吸着ユニットU2のガス流入口1に連通接続されるとともに、第3吸着ユニットU3が他の吸着ユニットU1,U2から独立する第1状態で、外部から第1吸着ユニットUのガス流入口1を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第2吸着ユニットU2のガス流出口2から外部に流出させて、両吸着ユニットU1,U2内の吸着材aに可燃性ガスを吸着させる連通吸着動作(連通吸着)と、第3吸着ユニットU3の吸着材aから可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作(脱着)とを実行する(ステップa)。
第2工程
第1吸着ユニットU1のガス流出口2が第3吸着ユニットU3のガス流入口1に連通接続されるとともに、第2吸着ユニットU2が他の吸着ユニットU1,U2から独立する第2状態で、第1吸着ユニットU1から第3吸着ユニットU3へガスを流出させて、両吸着ユニットU1,U3内の圧力を均衡させる均圧動作(均圧)と、第2吸着ユニットU2に可燃性ガスを流入させ、当該吸着ユニットU2内の吸着材aに可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作(独立吸着)とを実行する(ステップb)。
第3工程
各吸着ユニットU1,U2,U3がそれぞれ独立した状態に保たれ、第1吸着ユニットU1の吸着材aから可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作(脱着)と、第2吸着ユニットU2に原料ガスを流入させ、当該吸着ユニットU2内の吸着材aに可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作(独立吸着)と、第3吸着ユニットU3に昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニットU3内を昇圧する昇圧動作とを実行する(ステップc)。
【0057】
さらに、第1吸着ユニットU1が独立に可燃性ガスを吸着する前記独立吸着工程(ステップh・ステップi)は、第3吸着ユニットU3から第2吸着ユニットへガスU2を流出させて、両吸着ユニットU3,U2内の圧力を均衡させる均圧動作(均圧)を行うステップhを実行した後、第3吸着ユニットU3の吸着材aから可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作(脱着)と、第2吸着ユニットU2に昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニットU2内を昇圧する昇圧動作(昇圧)とを行うステップiを実行するように構成されている。
【0058】
以上説明してきた第1実施形態では、第1吸着ユニットU1、第2吸着ユニットU2、及び第3吸着ユニットU3間で、ステップ(a)〜ステップ(i)を繰り返すことで、爆発限界濃度より高い濃度の製品ガスを得ることができる。即ち、本願に係る可燃性ガスの濃縮システムSでは、特定の吸着ユニットUに関して、脱着動作の前に連通吸着を実行し、その前に独立吸着を行っている。そして、脱着動作の前には、当該特定の吸着ユニットUは、連通吸着状態で原料ガスが流入する吸着ユニットUとされる。従って、この特定の吸着ユニットUでは、内部の吸着材aの全体が爆発限界を越えた濃度でメタンを吸着しており、脱着操作で得られる製品ガスの濃度を充分に高くすることができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
この実施形態に係る可燃性ガスの濃縮システムSの構成を示したのが、図4であり、その動作説明図が図5である。これら図面は、第1実施形態の図1及び図3にそれぞれ対応する。図5の記載形態は、図3のそれを踏襲したものである。
【0060】
この第2実施形態でも、3つの吸着ユニットU1,U2,U3がそれぞれ備えられている。第1実施形態では、各吸着ユニットUは円筒状に構成されていたのに対して、第2実施形態は、各吸着ユニットUはU字状に構成されている。そして、各吸着ユニットUのU字部位の全体に吸着材aが充填されている。従って、この例では、原料ガス流入管d1、ベント流出管d2、連通管d3、均圧管d4を全て、システムSの下部に集中することが可能となる。また、同図に示されるように、U字の下端面(開放側)は鉛直方向において同一高さとされている。この構成を採用する場合は、3角配置された各吸着ユニットU間において、下方向きに設けられるガス流入口1及びガス流出口2を極力近接することが可能となるため、特に連通管d3、均圧管d4の長さを短くすることが可能となり、爆発等が起こる可能性を極力低減することができる。
【0061】
一方、制御手段Cによる、各弁v1,v2,v3,v4、真空ポンプPの動作制御は、先に第1実施形態で説明したと同様な動作で、本願の目的を達成できる。
【0062】
〔第3実施形態〕
この実施形態に係る可燃性ガスの濃縮システムSの構成を示したのが、図6であり、第1実施形態の図1に対応する。
【0063】
この第3実施形態でも、3つの吸着ユニットUがそれぞれ備えられている。第1実施形態では、各吸着ユニットUは円筒状に構成されていたのに対して、第3実施形態は、各吸着ユニットUは二重筒状に構成されている。内筒ui内部の空間は、ユニット天井付近で、外筒uoと内筒uiとの間に形成されている空間と連通されている。そして、各吸着ユニットUの二重筒の全体に吸着材aが充填されている。従って、この例でも、原料ガス流入管d1、ベント流出管d2、連通管d3、均圧管d4を全て、システムSの下部に集中することが可能となる。さらに、この構成を採用する場合は、3角配置された各吸着ユニットU1,U2,U3間において、ガス流入口1及びガス流出口2を同方向(下方向)に向けることで、配管を短くすることが可能となるため、連通管d3、均圧管d4の長さを短くすることが可能となり、爆発等が起こる可能性を極力低減することができる。
【0064】
[別実施形態]
(1)上記第1〜第3実施形態において、供給される原料ガス中の水分を除去して、吸着材3に可燃性ガスを適切に吸着できるようにするため、除湿機を設置することができる。具体的には、原料ガス流入管d1上に除湿機を設置することで、原料ガス中の水分を除去することができる。また、吸着ユニットU内に水分を選択的に吸着可能な水分用吸着材を充填して、水分による可燃性ガスの吸着性能の低下を防止することもできる。
(2)上記第1〜第3実施形態においては、吸着ユニットUに吸着材aが充填されているが、この吸着材aは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(3)上記第1〜第3実施形態においては、3つの吸着ユニットUを用いた場合を説明したが、本願にあっては、一対の吸着ユニットが連通連結された状態で、吸着を行う連通吸着を実行し、その後、原料ガス供給側の吸着ユニットを独立させ、その吸着ユニットのみから吸着済みの可燃性ガスを脱着させれば、当該吸着ユニットを、十二分に使用できる。当然、実施形態で示したように、3つの吸着ユニットを単位としてもよいし、さらに多くの吸着ユニットを単位してもよい。
(4)上記第1〜第3実施形態においては、原料ガスとして炭鉱ガスを用い、可燃性ガスとしてメタンガスを用いたが、原料ガスとしては可燃性ガスと空気とを含むガスであれば特に制限されず、また、可燃性ガスとしては可燃性の気体であれば特に制限されない。そして、可燃性ガスの種類に応じて、吸着材の物性を適宜変更することができ、例えば、このような吸着材の平均細孔直径としては可燃性ガスの平均分子径の1.2倍〜2倍程度のものを選択すると、可燃性ガスを選択的に吸着することができる。
(5)上記第1〜第3実施形態においては、各ステップの管理を経験的に判明している各ステップの運転時間として管理することができる。さらに、吸着動作に関しては、放出されてくるベントにおける可燃性ガスの濃度に応じて、吸着を含むステップに時間管理を行うこともできる。
(6)上記可燃性ガス脱着工程が終了した後、均圧工程を実行し、その後、昇圧に空気を供給したが、これに限らず、例えば、炭鉱内採掘時に坑内への通気によって大気中に放出される通気メタン(ベンチレーションエアメタン、通常メタン濃度0.5%)を使用してもよい。これにより、ベンチレーションエアメタン中に含まれるメタンガスを回収でき、従来放出していた通気メタンを有効に回収できる。
(7)一方、原料ガスとしては、その一部又は全部に製品ガスを含むものとしてもよい。
(8)上記の第1〜第3の実施形態にあっては、原料ガス流入管d1、ベント流出管d2、連通管d3、均圧管d4を別個に設け、原料ガス流入管d1を利用して製品ガスを製品タンクT側に流出させる機能(製品ガス回収用に用いる)を持たせ、ベント流出管d2を利用して昇圧ガスを吸着ユニットU内に流入させる機能(昇圧する)を持たせるものとしたが、製品回収用の管、昇圧用の管を別途設けてよいし、ガス流入口、ガス流出口に対して別個に設けられる単一の管に、複数の3方弁を設けて、ガス流入口側の管に、原料ガス流入、製品ガス流出、連通時のガス流入或は均圧時のガス流入の機能を持たせ、ガス流出口側の管に、ベント流出、昇圧ガス流入、連通時のガス流出或は均圧時のガス流出の機能を持たせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る可燃性ガス濃縮装置および可燃性ガス濃縮方法は、可燃性ガスを濃縮する際に、爆発範囲の濃度となることを回避しつつ、各吸着ユニットに収納される吸着材の全部を充分に活用することができ、高濃度な濃縮を実現することができる技術として有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の可燃性ガス濃縮システムの構成を示す概略構成図
【図2】本願におけるメタン吸着材の吸着特性を示す図
【図3】第1実施形態における可燃性ガス濃縮システムの動作説明図
【図4】第2実施形態の可燃性ガス濃縮システムの構成を示す概略構成図
【図5】第2実施形態における可燃性ガス濃縮システムの動作説明図
【図6】第3実施形態の可燃性ガス濃縮システムの構成を示す概略構成図
【符号の説明】
【0067】
C:制御手段(制御装置)
P:真空ポンプ
S:可燃性ガス濃縮システム
T:製品タンク
U:吸着ユニット
U1:第1吸着ユニット
U2:第2吸着ユニット
U3:第3吸着ユニット
a:吸着材
d1:原料ガス流入管
d2:ベント流出管
d3:連通管
d4:均圧管
v1:3方弁
v2:開閉弁
v3:開閉弁
v4:開閉弁
1:ガス流入口
2:ガス流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれガス流入口及びガス流出口を備えるとともに、内部に可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が充填された、少なくとも一対の吸着ユニットを備え、
一方の吸着ユニットのガス流出口を他方の吸着ユニットのガス流入口に連通接続可能に構成され、
一方の吸着ユニットの下流側に他方の吸着ユニットを連通接続し、外部から前記一方の吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、前記他方の吸着ユニットのガス流出口から外部に残余のガスを流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着工程を実行した後、
前記一方の吸着ユニットを独立させた状態で、前記一方の吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着工程を実行する可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項2】
前記連通吸着工程を実行する前に、前記一方の吸着ユニットに関して、外部から原料ガスを流入させ、当該一方の吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させるとともに、当該吸着ユニットの流出口から残余のガスを外部に流出させる独立吸着工程を実行する請求項1記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項3】
前記吸着ユニットとして、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
特定の吸着ユニットに関して、外部から原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させるとともに、残余のガスを外部に流出させる独立吸着工程と、
当該吸着ユニットの下流側に更なる吸着ユニットを連通接続し、外部から特定の吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、前記更なる吸着ユニットのガス流出口から残余のガスを外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着工程と、
前記特定の吸着ユニットを独立させた状態で、前記特定の吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着工程とを含み、
前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット、第3吸着ユニットとの間で、
前記独立吸着工程、連通吸着工程、脱着工程を順に繰り返す請求項1又は2記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項4】
前記吸着ユニットとして、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成されるとともに、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
外部から前記第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第1吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第2吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第3吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第1状態で、外部から第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第2吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着動作と、前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作とを実行する第1工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第3吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第2吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第2状態で、第1吸着ユニットから第3吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作と、前記第2吸着ユニットに可燃性ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作とを実行する第2工程と、
各吸着ユニットがそれぞれ独立した状態に保たれ、
前記第1吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、
前記第2吸着ユニットに原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作と、
前記第3吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する第3工程とを含む
請求項1又は2記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項5】
前記第1吸着ユニットが独立に可燃性ガスを吸着する前記独立吸着工程において、前記第3吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作が行われた後、
前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、前記第2吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する請求項4記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項6】
前記第1工程から前記第2工程への切換え操作に関し、前記第1吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへ移流するガスにおける可燃性ガスの濃度が、爆発限界濃度より高い濃度である所定の設定濃度より高くなる状態で、前記切換え操作を実行する請求項4又は5記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項7】
前記第1工程から前記第2工程への切換え操作を、当該第1工程の経過時間に従って実行する請求項6記載の可燃性ガスの濃縮方法。
【請求項8】
それぞれガス流入口及びガス流出口を備えるとともに、内部に可燃性ガスを選択的に吸着する吸着材が充填された、第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットを少なくとも備え、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、さらに、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成されるとともに、
前記第1吸着ユニットのガス流出口を前記第3吸着ユニットのガス流入口に、前記第2吸着ユニットのガス流出口を前記第1吸着ユニットのガス流入口に、さらに、前記第3吸着ユニットのガス流出口を前記第2吸着ユニットのガス流入口に、個別に連通接続可能に構成され、
外部から前記第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第1吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第2吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第3吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第1状態で、外部から第1吸着ユニットのガス流入口を介して原料ガスを流入させ、残余のガスを前記第2吸着ユニットのガス流出口から外部に流出させて、両吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる連通吸着動作と、前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作とを実行する第1工程と、
前記第1吸着ユニットのガス流出口が前記第3吸着ユニットのガス流入口に連通接続されるとともに、前記第2吸着ユニットが他の吸着ユニットから独立する第2状態で、第1吸着ユニットから第3吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作と、前記第2吸着ユニットに可燃性ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作とを実行する第2工程と、
各吸着ユニットがそれぞれ独立した状態に保たれ、
前記第1吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、
前記第2吸着ユニットに原料ガスを流入させ、当該吸着ユニット内の吸着材に可燃性ガスを吸着させる独立吸着動作と、
前記第3吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する第3工程とを実行する制御手段を備えた可燃性ガスの濃縮システム。
【請求項9】
前記制御手段が、
前記第1吸着ユニットが独立に可燃性ガスを吸着する前記独立吸着工程において、前記第3吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへガスを流出させて、両吸着ユニット内の圧力を均衡させる均圧動作を行わせた後、
前記第3吸着ユニットの吸着材から可燃性ガスを脱着させて外部へ取り出す脱着動作と、前記第2吸着ユニットに昇圧ガスを流入させ、当該吸着ユニット内を昇圧する昇圧動作とを実行する請求項8記載の可燃性ガスの濃縮システム。
【請求項10】
前記制御手段が、
前記第1工程から前記第2工程への切換え操作に関し、前記第1吸着ユニットから前記第2吸着ユニットへ移流するガスにおける可燃性ガスの濃度が、爆発限界濃度より高い濃度である所定の設定濃度より高くなる状態で、前記切換え操作を実行する請求項8又は9記載の可燃性ガスの濃縮システム。
【請求項11】
前記制御手段が、
前記第1工程から前記第2工程への切換え操作を、当該第1工程の経過時間に従って実行する請求項10記載の可燃性ガスの濃縮システム。
【請求項12】
前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットが、記載順に環状を成すように配置されている請求項8〜11の何れか一項記載の可燃性ガスの濃縮システム。
【請求項13】
前記第1吸着ユニット、第2吸着ユニット及び第3吸着ユニットそれぞれにおいて、各吸着ユニットのガス流入口及びガス流出口が同一方向に開口するとともに、開口面が一定位置に揃えられている請求項8〜12の何れか一項記載の可燃性ガスの濃縮システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−220003(P2009−220003A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66452(P2008−66452)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(502003334)株式会社ガスアンドパワーインベストメント (3)
【Fターム(参考)】