説明

可融性触媒及びそれから製造されるポリウレタン製品

本発明は、可融性触媒、それらの製造方法及び低放出ポリウレタンの製造におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可融性触媒、それらの製造方法及びそれらの使用による低放出(emission)ポリウレタン製品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシド類の重合に基づくポリエーテルポリオール類、及び/又はポリエステルポリオール類は、イソシアネート類と共にポリウレタン系の主要な構成成分である。また、ポリオール類はG.Oertel,Hanser出版社による“Polyurethane Handbook”に記載されているように、SAN(スチレン/アクリロニトリル)ポリオール、PIPA(ポリイソシアネートポリ付加体)ポリオール又はPHD(ポリ尿素)ポリオールなどの充填ポリオール類とすることもできる。これらの系は、一般に、付加的な成分、例えば架橋剤、鎖延長剤、界面活性剤、気泡調整剤(cell regulator)、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、必要に応じて充填剤並びに、典型的には、第三級アミン及び/又は有機金属塩などの触媒を含んでいる。
【0003】
有機金属触媒、例えば鉛塩又は水銀塩などは、ポリウレタン製品の老化で溶出することによって、環境への問題が起こりうる。錫塩などのその他の触媒は、しばしばポリウレタンの老化に有害である。
【0004】
一般に用いられる、第三級アミン触媒もまた、特に軟質フォーム、半硬質フォーム及び硬質フォームの用途において、望ましくない問題を引き起こしうる。これらの触媒を用いて新たに製造された発泡体は、しばしば、典型的なアミン臭を発し、曇り(fogging)を伴なう(揮発生成物の放出)。
【0005】
ビニルフィルム又はポリカーボネートシートをその表面に有するポリウレタン製品中においては、第三級アミン触媒蒸気の痕跡量の存在又は生成でさえも、不都合なものとなりうる。具体的には、ポリウレタンフォーム中に存在する第三級アミン触媒は、ビニルフィルムの汚染やポリカーボネートシートの分解と関連付けられてきた。このPVC汚染やポリカーボネートシート分解の問題は、長時間高い温度となり得る、例えば自動車のインテリアなどの環境において、特に一般的である。
【0006】
上記欠点に対する様々な解決策が提案されてきた。その1つは、イソシアネート反応性水素基−即ちヒドロキシル又は、第一級もしくは第二級アミン−を含むアミン触媒の使用である。そのような化合物は、特許文献1に開示されている。反応性モノオール触媒のその他のタイプは、特許文献2〜4に記載されている。これらの化合物は一官能性であるため、これら反応性アミン類は反応停止剤として作用して、ポリマー構成に有害な影響を有するため、ポリウレタン製品の物理的な特性に影響する。アミン触媒のそのほかのタイプは、特許文献5〜7に開示されている。報告された反応性触媒組成物の利点は、それらがポリウレタン製品中に組み込まれることである。しかしながら、それらの触媒は、その反応中の可動性の不足を補うためにポリウレタン配合中に高水準で使用しなければならない。
【0007】
反応性アミンをポリオール中に組み込むため、様々なその他の手段が提案されている。慣用のポリオール類を部分的なアミノ化により変性することは、特許文献8に記載された。反応性アミン触媒のポリイソシアネート及びポリオールとの予備重合については、特許文献9に報告されている。特定のアミン開始ポリオール類の使用は特許文献10〜12に提案されている。これらの研究はこの系中に必要なアミン触媒の量を減らすことができるが、各工程に関連する不都合がある。
【0008】
エポキシ樹脂−ジアミン付加体又はエポキシ樹脂−アミノアルコール付加体によるポリエーテルポリオール類の変性に関しては、特許文献13〜15に記載されている。これらの変性は発泡体の性質の改良を報告している。これらの変性ポリオールを用いる時に、自己触媒効果又は触媒の減少が得られることは全く教えられていない。少なくとも1つの第三級窒素を含むポリエポキシド類は特許文献16に開示されており、生成ポリウレタン製品の熱安定性を改善することが報告されている。
【0009】
他のエポキシ系触媒は特許文献17〜19に記載されている第四級アミン系触媒である。これらの触媒は、軟質フォームでは望ましくない反応である、イソシアネートの三量体化に効果があるが、それは耐湿老化特性に乏しく、軟らかい発泡体を与えるためである。
【0010】
粉体コーティング用固形エポキシ組成物は特許文献20に記載されている。これらは、加熱によりそしてアミン触媒作用によって重合する熱硬化性樹脂である。
【0011】
酸及びポリオキシアルキレンアルカノールアミンから製造されるポリエステルの使用が特許文献21の請求の範囲に記載されている。これらのポリエステルポリオールは触媒作用を示すが、それらの製造には第一のアルカノールアミンのアルコキシル化、次に酸によるエステル化反応の2工程を必要とする。最終生成物は液状である。
【0012】
【特許文献1】欧州特許第747407号明細書
【特許文献2】米国特許第4,122,038号明細書
【特許文献3】米国特許第4,368,278号明細書
【特許文献4】米国特許第4,510,269号明細書
【特許文献5】米国特許第3,448,065号明細書
【特許文献6】欧州特許第677540号明細書
【特許文献7】欧州特許第1109847号明細書
【特許文献8】米国特許第3,838,076号明細書
【特許文献9】国際公開第94/02525号パンフレット
【特許文献10】欧州特許第539819号明細書
【特許文献11】米国特許第5,672,636号明細書
【特許文献12】国際公開第01/58976号パンフレット
【特許文献13】米国特許第4,518,720号明細書
【特許文献14】米国特許第4,535,133号明細書
【特許文献15】米国特許第4,609,685号明細書
【特許文献16】米国特許第4,775,558号明細書
【特許文献17】米国特許第3,010,963号明細書
【特許文献18】米国特許第4,404,120号明細書
【特許文献19】米国特許第4,040,992号明細書
【特許文献20】欧州特許第1302517号明細書
【特許文献21】国際公開第1999/62980号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
慣用のポリウレタン促進触媒の代替品を見出したという進歩にも拘らず、ポリウレタン生成物を製造する不安定及び/もしくは反応性アミン触媒並びに/又は有機金属塩の量の削除又は減少に対するニーズが引続きある。
本発明の目的は、室温で固体であり、35〜130℃の融点を有し、そして一旦溶融したら慣用の不安定又は反応性の第三級アミン触媒の使用に置き換えて又は使用を減らすことができる触媒に基づいてポリウレタン生成品を製造することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、低レベルの有機金属触媒を含むポリウレタン製品を製造すること、又は有機金属触媒の不在下でのそのような製品を製造することである。必要とされたアミン触媒及び/もしくは有機金属触媒の量を減らすこと、又はそのような触媒を排除することによって、上述のような触媒に付随した不都合を最小とすることができ、又は避けることができる。
【0015】
本発明の別の目的は、発泡及び/又はゲル化速度などの反応性を調節する工程を有することであり、室温では固体、従って非活性であり、そして一旦溶融すると触媒的に活性となる触媒を用いて、ポリウレタンシステムを処理することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、可融性触媒を提供して、これら可融性触媒を用いるポリウレタン製品の工業的製造方法、及びそれから製造されるポリウレタン製品の物理的特性、例えば発泡負荷保持性が、慣用の触媒、即ち反応性アミン触媒の量を削減することによって、及び/又は有機金属触媒を削減し、もしくは排除することによって、有害な影響を与えることがなく、むしろ改善されうることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ポリウレタン製品の製造方法であって、
(a)少なくとも1種の液状有機ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも1種の液状ポリオールと、
の混合物を、
(c)35℃と130℃との間の融点を有する少なくとも1種の可融性触媒の存在下に;
(d)必要に応じて、別のポリウレタン触媒の存在下に;
(e)必要に応じて、発泡剤の存在下;そして
(f)必要に応じて、ポリウレタンのフォーム、エラストマー及び/又は被覆剤の製造にそれ自体公知の添加剤又は助剤;
の存在下に反応させることによるポリウレタン製品の製造方法である。
【0018】
別の態様において、本発明は、可融性触媒(c)が室温で固形のアミン系化合物、好ましくは自己触媒特性を有する固形第三級アミンである方法である。
【0019】
別の態様において、本発明は、特定の可融性触媒(c)が、ポリウレタン生成物を製造する際の同一のプロセス条件を維持しながら、発泡性特性か又はゲル化特性のいずれかを有していてもよく、そして慣用の不安定及び/又は反応性の触媒の少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%を置き換えることができる方法である。
【0020】
別の態様において、本発明は、ポリイソシアネート(a)が過剰のポリイソシアネートの可融性触媒との反応生成物である少なくとも一種のポリイソシアネートを含む、上述の方法である。
【0021】
更なる態様において、本発明は、ポリオール(b)が、過剰量の可融性触媒と、ポリイソシアネートとの反応によって得られるポリオール末端プレポリマーを含む上記の方法である。
【0022】
本発明は、更に上記いずれかの方法によって製造されたポリウレタン製品をも提供する。
【0023】
本発明に従えば、減少レベルの慣用第三級アミン触媒を用いるポリウレタン生成物の製造プロセスを開示している。かかる生成物は、分散液としてポリオール(b)中に、水素反応性基を含むことができる可融性触媒(c)を含むか、又はSAN,PIPAもしくはPHDコポリマーポリオール(b2)の製造に追加の固体として前記可融性触媒(c)を含ませそしてポリオール混合物(b)にそれらを添加することによって又はプレポリマー中においてポリイソシアネート単独と又はイソシアネート及び第二ポリオールと共に可融性自己触媒ポリオールを用いることによって達成することができる。
【0024】
可融性触媒(c)は、一旦融けると、ポリオール又はイソシアネートのようなポリウレタン成分に溶解させることができる。好ましくは、室温ではポリオールに溶解しない。
【0025】
可融性触媒(c)は以下の利点を有する。
1)可融性触媒は室温で固体であるので、ポリウレタン生成物の外側への泳動が減少又は除去される。更に、可融性触媒がイソシアネートと反応することができる反応性水素基を含む時には、触媒はポリウレタンポリマーネットワークに組み入れることができる。
【0026】
2)これら可融性触媒はポリウレタン反応の後段階で触媒として作用、即ち一旦溶解すると遅延作用触媒として作用する。
【0027】
3)触媒が固形微粒子として添加されるので、ポリマーの剛性を増大させる補強材として作用することができる。これは、可融性触媒又は基本成分が結晶構造を有するのであれば/有する時には、特に効果的である。
【0028】
4)可融性触媒のポリウレタン反応混合物への付加により、成型発泡体の製造における金型滞留時間をも短縮することができ、ポリウレタン製品の或る種の特性、例えば発泡体硬度を改善する。
【0029】
5)可融性触媒は、冷却/硬化プロセス中にたわんだり、変形したりするおそれのある大きな軟質(flexible)フォームバン(bum)を安定化させる作用もする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明において使用するポリオール(b)と可融性触媒(c)との組合せは、例えば特許文献12(WO 01/58976)に記載されているアミン開始から製造されるような、慣用のポリオール(b1)、コポリマーポリオール(b2)及び/又は究極的にはポリオール(b3)の組合せである。本明細書において用いる「ポリオール」なる用語はイソシアネートとの反応を受けることが可能な、活性水素原子を含む少なくとも1つの基を有する物質である。それらの化合物のうち好ましいものは、分子当り、少なくとも2つの第一級もしくは第二級のヒドロキシル基又は少なくとも2つの第一級もしくは第二級のアミン基、カルボン酸基又はチオール基を有する物質である。分子当り、少なくとも2つのヒドロキシル基、又は少なくとも2つのアミン基を有する化合物は、それらとポリイソシアネートとの望ましい反応性のため特に好ましい。
【0031】
本発明の触媒組成物(c)と共に、ポリウレタン材料の製造に用いることができる適当なポリオール(b)は、この技術分野では周知であり、ここで記載されるもの並びに、その他いずれかの市販のポリオール、及び/又はSAN、PIPAもしくはPHDコポリマーポリオールを含んでいる。そのようなポリオール類は、G.Oertel,Hanser出版社の“Polyurethane Handbook”に記載されている。1種もしくはそれ以上のポリオール及び/又は1種もしくはそれ以上のコポリオールもまた、本発明に従うポリウレタン製品を製造するために使用できる。
【0032】
代表的なポリオール類には、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシル末端アミン類及びポリアミン類が含まれる。これら及びその他の適当なイソシアネート反応性物質の例は、米国特許第4,394,491号明細書に、より十分に記載されている。使用可能な、それに変わるポリオール類には、ポリアルキレン炭酸エステル系ポリオール類及びポリリン酸エステル系ポリオール類が含まれる。好ましくは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物を、活性水素原子2〜8、好ましくは2〜6を有する開始剤に加えることにより製造されるポリオール類がある。この重合のための触媒作用は、アニオン又はカチオンのいずれかであることができ、触媒、例えばKOH、CsOH、三フッ化ホウ素など、又は重シアニド錯体(double cyanide complex)(DMC)触媒、例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛もしくは第四級リンアゼニウム化合物などによることができる。アルカリ触媒の場合には、これらのアルカリ触媒は、好ましくは、製造の最後の適当な仕上げ工程で、例えば凝集、マグシル(珪酸マグネシウム)分離又は酸の中和などによって、ポリオールから取り除く。
【0033】
使用されるポリオール又はそれらのブレンドは、製造されるポリウレタン製品の最終用途によって決まる。ベースポリオールの分子量又はヒドロキシル価は、従って、そのベースポリオールから製造されるポリマー/ポリオールが、イソシアネートとの反応によりポリウレタン製品に転換されるとき、及び発泡剤の存在下での最終製品によって、軟質の、半軟質の、皮膜積層の又は硬質の、発泡体、エラストマー、被覆剤又は接着剤となるように選択することができる。使用されるポリオール類のヒドロキシル価及び分子量は、従って広範囲にわたって変えることができる。一般に、使用されるポリオール類のヒドロキシル価は15〜800の範囲であることができる。
【0034】
軟質ポリウレタンフォームの製造において、ポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールである。そのポリオールは、一般に平均官能価2〜5、好ましくは2〜4を有し、平均ヒドロキシル価20〜100mgKOH/g、好ましくは20〜70mgKOH/gを有している。さらなる詳細として、個々の発泡体の用途は、同様にベースポリオールの選択に影響することになる。一例として、成型発泡体については、ベースポリオールのヒドロキシル価は、エチレンオキシド(EO)でキャップしたものでは大体20〜60であることができ、スラブ材発泡体については、そのヒドロキシル価は大体25〜75であることができ、EO/PO(プロピレンオキシド)の混合供給であるか、EOで少しだけキャップされるか、又は100%POベースであるかのいずれかである。エラストマー用途では、一般に、比較的低ヒドロキシル価、例えば20〜50を有する、2,000〜8,000の比較的高分子系のポリオール類を使用することが好ましい。
【0035】
硬質のポリウレタンを製造するのに適した典型的なポリオール類には、平均分子量100〜10,000、好ましくは200〜7,000を有するものが含まれる。そのようなポリオールはまた、有利には、活性水素原子が分子当たり少なくとも2、好ましくは少なくとも3で、8まで、好ましくは6までである官能価を有している。硬質のポリウレタンに用いるポリオールは、一般にヒドロキシル価200〜1,200、より好ましくは300〜800を有している。
【0036】
半硬質フォームの製造には、ヒドロキシル価30〜80を有する三官能性ポリオールを用いることが好ましい。
【0037】
ポリオール(b)を製造するための開始剤は、通常、アルキレンオキシドと反応する官能基2〜8を有している。適当な開始剤分子の例には、水;有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸及びテレフタル酸など;並びに、多価、特に2価から8価までのアルコール類又はジアルキレングリコール類、例えばエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びスクロース又はそれらのブレンドがある。その他の開始剤には、時には第三級アミンを含む直鎖及び環式アミン化合物、例えばエタノールジアミン、トリエタノールジアミン、トルエンジアミンの種々の異性体、エチレンジアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、アミノプロピルイミダゾールなどが含まれる。
【0038】
アミンに基づくポリオール(b3)はまた、例えばPO(プロピレンオキサイド)及びEO(エチレンオキサイド)とのコモノマーとしてアルキルアジリジンを用いることにより、鎖中に第三級窒素を含むことができ、また(b1)は、例えばN,N−ジアルキル−ジグリシジルアミンを用いることにより、この第三級アミンでキャップされることができる。
【0039】
可融性触媒は室温で固体であり、そして35〜130℃の間の融点を有する。好ましくは、可融性触媒は60〜100℃の間の融点を有する。驚くべきことには、ポリオール中に微細粒子で分散させると、加熱又はポリウレタン反応の発熱により、一旦溶融すると、強力な触媒となることを見出した。可融性触媒は、一旦溶融すると、有機イソシアネートとポリヒドロキシル又はポリアミノ化合物との付加反応を促進し、そしてイソシアネートと発泡剤、例えば水、カルボン酸又はその塩との間の反応を促進する。
【0040】
可融性触媒は種々の化学操作で製造することができ、そして好ましくはアミン系のものである。更に好ましくは可融性触媒は反応性水素を有するアミンとエポキシド又はラクトンのいずれかとの反応性生物である。
【0041】
可融性触媒を製造するための固形エポキシドは当業界において知られている。例えば特許文献20(EP 1302517)参照。かかるエポキシド物質はモノマー状又はポリマー状とすることができ、飽和又は不飽和とすることができ、脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環族とすることができ、そして所望なら、エポキシ基以外の他の置換基、例えばヒドロキシル、エーテルラジカル及び芳香族ハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましいエポキシドは脂肪族もしくは脂環族ポリエポキシド又はグリシジルエーテルであり、更に好ましくはジエポキシド又はトリエポキシドである。
【0042】
本発明の固形可融触媒を得るためには、出発エポキシ樹脂は一般には室温で液体であり、このエポキシは、アミンとの反応後に固形触媒を形成する室温で液体のものであってよい。特に本発明の実施に使用することができる有用なポリエポキシド化合物は以下の一般式に含まれるエポキシ樹脂である。
【0043】
【化1】

【0044】
(式中、Rは置換又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式又はヘテロ環式の多価の基であり、mは1からRの価数までの整数である。好ましくはmは3を超えず、好ましくはmは1又は2である。)上記式の中で固形であるエポキシを選定する能力は当業者に知られている。
【0045】
一般的には、固形エポキシ樹脂は90〜2500の平均当量(average equivalent weight)を有する。更に好ましくは、エポキシ樹脂は150〜1500の平均当量を有する。このようなエポキシ樹脂は一般に900より小さい分子量を有する。好ましくはエポキシ樹脂は700より小さい分子量を有する。更に好ましくはエポキシ樹脂は600より小さい分子量を有する。
【0046】
一般的なエポキシ樹脂の例には、例えばレゾールシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン]、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチル−トリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA、及びそれらいずれかの組合せの、ジグリシジルエーテルが含まれる。
【0047】
好ましいエポキシドの例はビスフェノールA、ビスフェノールF及びヒドロキノンジクリシジルエーテルである。本発明の実施には、いずれか2種又はそれ以上のポリエポキシド類の混合物を使用できる。
【0048】
ポリエポキシド類は、対応するアリルエーテルをエポキシ化することにより、又は過剰モルのエピクロルヒドリンと、芳香族ポリヒドロキシ化合物、例えばノボラック、イソプロピリジンビスフェノール、レゾールシノール等とを反応させることにより製造することができる。ポリエポキシド類はまた、エピクロルヒドリンを、多価フェノール又は多価アルコールと反応させることにより得ることができる。
【0049】
通常、エポキシ樹脂は、比較的多量の塩素を、クロロメチル基の形態で及び塩化物イオンとしての両方で含んでいる。本発明について特に有利なものは、合計塩素が5%より少ない、好ましくは1%より少ない低塩素エポキシ樹脂である。
前述のエポキシ樹脂と同様、本発明に使用するラクトン又はジラクトンは一般には室温で固体である。そのようなラクトン類は一般に環中に6〜20個の炭素原子を有する。好ましくは環中に6〜18個の炭素原子を有するラクトン類である。最も好ましくは環中に6〜15個の炭素原子を有するラクトンである。
【0050】
ラクトン環の炭素はアルキル、シクロアルキル、アルコキシ及び単環芳香族炭化水素ラジカルで置換されていてもよい。環の炭素原子がそのような置換基を含む場合には、ラクトン環上の置換基の合計炭素原子数が約12を超えないのが好ましい。適当なラクトンの例はイプシロンカプロラクトン、メチルカプロラクトン、ペンタデカラクトンなどを含む。適当なジラクトンの例はグリンライド及びラクチドである。
【0051】
可融性触媒(c)を製造するためのアミン化合物はエポキシド部分又はラクトンと反応して融点が35〜130℃の間の第三級アミン系固体化合物を生成するものである。そのような化合物は第三級アミン及び/又はエポキシド又はラクトンと反応することができる少なくとも一つの反応性水素を含む分子である。エポキシド及びラクトンと反応性の基は第一級又は第二級、脂肪族又は芳香族アミン;第一級、第二級及び/又は第三級アルコール;アミド;尿素及びウレタンである。アミンとエポキシ又はラクトンとの間の反応に基いて、最終可融性触媒は、室温で固形である他に、第三級アミンを含むであろう。
【0052】
一般に、第二級アミン類はHN(R12(式中、それぞれのR1は、独立して、炭素原子1〜20を有する化合物又は窒素原子と、必要に応じて、その他のヘテロ原子及びアルキル置換ヘテロ原子とが一緒になって、飽和もしくは不飽和のヘテロ環を形成してもよい)で表すことができる。
【0053】
少なくとも1つの第三級窒素及び、エポキシドと反応する少なくとも1つの水素分子を含む化合物は、式(H)x−A−R3−M−(R3y(式中、Aは窒素又は酸素のいずれかであり;
Aが酸素のときxは1、そしてAが窒素のときxは2であり;
それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を線状又は分枝状アルキルであり;
Mは、少なくとも1つの第三級アミン基を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアミン又はポリアミンであり;そして
yは0〜6の整数である)か又は
式(H)d−N−(R3−M−(R3yb
(式中、M,R3及びyは前に定義した通りであり、Nは窒素であり;そして
b及びdは1又は2であるが、bとdとの合計は3である)又は
式(R4e−Y−(R3−M)f−(R3y又は(R4e−Y−[(R3−M)−(R3yf
(式中、M,R3及びyは前に定義した通りであり;
4は水素又は炭素原子1〜20を有する部分、好ましくはR4はアルキル部分であり;
Yは水素、酸素又は窒素であり;
eは0、1又は2であり;
fは1又は2であり;
但し、Yが水素の時にはeは0であり、Yが酸素の時にはe及びfは1であり、Yが窒素の時にはe及びfは1又は2であるが、e及びfの合計は3である)
で表すことができる。
好ましくは、Mは分子量30〜300を有する。より好ましくは、Mは分子量50〜200を有する。
【0054】
市販されており、エポキシド、ジラクトン又はラクトンとの反応によって可融姓触媒(c)を製造するのに使用することができるアミンの例には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチレンジアミン、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、1−(3−アミノプロピル)−イミダゾール、3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−ピペラジン、1−メチルピペラジン、3−キヌクリジノール、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、3−アミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、2−フェニル−イミノ−3−(2−ヒドロキシエチル)−オキサザロジン(oxazalodine)、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−テトラヒドロピリミジン、N−(2−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、2,4−ビス(N−メチル−2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ−2−プロパノール、テトラメチルアミノ−ビス−プロピルアミン、2−(2−アミノエトキシ)−エタノール、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルエタノールアミン、2−(メチルアミノ)−エタノール、2−(2−メチルアミノエチル)−ピリジン、2−(メチルアミノ)−ピリジン、2−メチルアミノメチル−1,3−ジオキサン、及びジメチルアミノプロピル尿素並びにそれらのブレンドがある。
【0055】
本発明に用いられるアミン類はまた、アミンでキャップされたポリオール類又はポリアミン類などのポリマーであることができる。その場合には、モノマー状エポキシ化合物が好ましい。可融性ポリマー(c)は好ましくは3000より小さいMWを有し、更に好ましくは2000より小さく、そして最も好ましくは1000より小さいMWを有する。更に好ましくは、これらの可融性触媒(c)はそれらの触媒効果を最大にするため一つより多い第三級アミン基も含む。
【0056】
好ましい触媒組成物(c)は、上記のようにアミン系化合物と反応したエポキド類である。ポリエポキシ樹脂を用いるとき、これらのエポキシ基の少なくとも70%がアミンと反応したものであることが好ましく、より好ましくは90%、もっとも好ましくは100%が反応したものである。1種より多くのアミン又はアミノアルコール類がエポキシド樹脂と反応することができる。追加的に他の化合物、即ち触媒、溶媒などを、これらのアミンエポキシ付加体(adduct)、の生成を助けるために使用することができる。
【0057】
可融性触媒(c)の製造は、エポキシドと、少なくとも1種のアミン系分子との反応に基づくものとすることができ、最終分子中に第三級アミン機能が得られる。2種又はそれ以上の反応体を一緒に混合することができ、又は先ずエポキシドをアミンと部分的に予備反応させることができる。加熱又は冷却と適切な触媒作用が、これらの反応を制御するために用いることができる。これらのエポキシド反応性水素の反応によりヒドロキシル基が創り出されることが重要である。
【0058】
別法として、可融性触媒(c)はラクトン又はジラクトンの開環によって得ることができる。第一級及び第二級アミンと環状エステルとの反応によってヒドロキシル官能性を有するアミドが生成する。重要なアミンは第三級アミン官能性並びに第一級及び第二級アミン官能性を含む。第三級アミン官能性はラクトン又はジラクトンとの生成物を直接形成しないが、環状エステルのオリゴメリ化を触媒する。必要に応じて、ポリエステルは、ジオール、トリオール又はクアドロール(quadrol)で、更に延長及び/又は官能化することができる。
【0059】
可融性触媒(c)の特性は、広汎に変えることができる。これらの可融性触媒(c)は好ましくは少なくとも一つの反応性水素を有し、そして平均分子量、ヒドロキシル価、官能価等のパラメータは、通常、そのブレンドの最終用途、即ちどのようなタイプのポリウレタン製品に基づいて選択される。
【0060】
可融性触媒(c)はポリマー(c)がポリイソシアネートと反応してプレポリマーを形成し、そして次にポリオールが任意的に前記プレポリマーに添加する状態を含む。
【0061】
上記可融性触媒(c)の特徴に関して記載された限定は、非常に多くの組合せを単に詳説するものであり、それらの制限を意図するものではない。
【0062】
好ましい態様において、可融性触媒(c)のエポキシドはジエポキシドであり、少なくとも1つの反応性水素を含むアミン系分子は、第二級及び/もしくは第一級アミン、並びに/又は、第二級及び/もしくは第一級ヒドロキシルと組合せた、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アミジン、ピリジン、ピリミジン、キヌクリジン、アダマンタン、トリアジン、イミダゾール、又はピロリドンの構造を有している。
【0063】
別の好ましい態様において、可融性触媒(c)のラクトンはイプシロン−カプロラクトンであり、そして少なくとも一つの反応性水素を有するアミン系分子はメチル−アミノ又はジメチルアミノ又はアミジン又はピリジン又はピリミジン又はキヌクリジン又はアダマンタン又はトリアジン又はイミダゾール又はピロリジン構造(第二級及び/もしくは第一級アミン並びに/又は第二級及び/もしくは第一級ヒドロキシリルと組合せたもの)を有する。
【0064】
エポキシ又はラクトンとアミンとの間のモル比は少なくとも1、そして好ましくは0.5である。エポキシ又はラクトンは重合させることもできる。この場合に、エポキシ又はラクトンが過剰であり、その比は0.5より小さい。
【0065】
可融性触媒(c):ポリオール(b)の重量比は、個々の用途による所望の反応混合物及び反応プロファイルに対して添加することが求められうる、付加的な触媒の量に依存して変化する。一般に、基礎的レベルの可融性触媒を含む反応混合物が特定の硬化時間を有するならば、その反応混合物が少なくとも10重量%少ない触媒を含むときでも、同等の硬化時間となるような量で可融性触媒(c)を添加する。好ましくは、(c)の添加は基礎的なレベルよりも20%少ない触媒を含む反応混合物を与えるように添加される。より好ましくは(c)の添加は、必要な触媒を基礎的なレベルより30%以上減少させる。ある種の用途では、(c)添加の最も好ましいレベルは、慣用の、逃散性もしくは反応性第三級アミン触媒又は有機金属塩の必要が無くなるようなレベルである。
【0066】
例えばアミンの構造を、異なる第三級アミン類、官能価、当量等、及びその配合におけるそれぞれの量で変性すると共に、発泡及びゲル化反応を調節したい場合には、エポキシ型もしくはラクトン型又はこれらからの組合せの2種又はそれ以上の可融性触媒(c)の組合せもまた、単一のポリウレタン配合において、満足な結果で使用することができる。
【0067】
例えば更なる遅延作用が必要な場合に、可融性触媒(c)の酸中和も考えられる。使用する酸はギ酸、酢酸、サリチル酸、クロロ酢酸、シュウ酸、アクリル酸などのカルボン酸、アミノ酸、又は硫酸もしくはリノ酸のような非有機酸とすることができる。
【0068】
ポリイソシアネートと予じめ反応されたポリオール及び遊離のイソシアネート作用を有しない可融性ポリマー触媒(c3)もポリウレタン配合中に使用することができる。可融性触媒(c)に基づくイソシアネートプレポリマーは、標準装置で、慣用方法を用いて、例えば反応器中でポリオール(c)を加熱し、そして撹拌下にイソシアネートをゆっくり添加し、そして次に第二のポリオールを最後に添加するか、又は第一のポリオールをジイソシアネートと予備反応させ、そして次にポリマー(c)を添加することによって製造することができる。
【0069】
可融性触媒(c)は微粉体状としてポリウレタン反応体に添加するか、又はポリオール(b)中に分散させるかのいずれかであり、それに他の添加剤を続いてブレンドするか、又は水、界面活性剤及び任意的な他の触媒と一緒にポリオールプレミックス中に分散させる。別の代替法では、溶融状態の可融性触媒(c)を直接発泡配合又は発泡機の混合ヘッド(mix−head)に注入する。好ましくは、可融性触媒(c)は、触媒を、その融点より上に加熱し、そしてそれを熱又は冷ポリオールに撹拌下分散液が可融性触媒(c)の融点より低い温度に到達するまで添加する。
【0070】
本発明の自己触媒ポリマーと共に使用することができるイソシアネート類には、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族(arylaliphatic)及び芳香族のイソシアネート類が含まれる。芳香族イソシアネート類、特に芳香族ポリイソシアネート類が好ましい。
【0071】
適当な芳香族イソシアネート類の例は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’−及び2,2’−異性体、それらのブレンド、ポリマー状及びモノマー状MDIブレンドトルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、並びに2,4,4’−トリイソシアネートジフェニルエーテルを含む。
【0072】
イソシアネートの混合物、例えば市販のトルエンジイソシアネートの2,4−及び2,6−異性体の混合物が使用できる。粗ポリイソシアネート、例えばトルエンジアミン混合物のホスゲン化により得られる粗トルエンジイソシアネート、又は粗メチレンジフェニルアミンのホスゲン化により得られる粗ジフェニルメタンジイソシアネートなどもまた、本発明の実施に使用することができる。TDI/MDIのブレンドもまた使用できる。前述のポリオール(b1)又はその他の任意のポリオールのいずれかとで作製される、MDI又はTDIに基づくプレポリマーもまた使用することができる。イソシアネート末端プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートを、アミノ化ポリオール類もしくはそれらのイミン/エナミン、又はポリアミン類を含むポリオール類と反応させることにより製造される。
【0073】
脂肪族ポリイソシアネートの例は、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上記芳香族イソシアネートの飽和された類似物、及びそれらの混合物を含む。
【0074】
硬質又は半硬質フォームの製造に好ましいポリイソシアネート類は、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネートの2,2’−、2,4’−、4,4’−異性体、及びそれらの混合物である。軟質フォームの製造については、好ましいポリイソシアネート類は、トルエン−2,4−及び−2,6−ジイソシアネート、MDI、TDI/MDIの組合せ、又はそれらから作製されるプレポリマーである。
【0075】
ポリマー(b2)に基づくイソシアネートチップ(tipped)プレポリマーもポリウレタン配合に使用することができる。
【0076】
硬質フォームに関しては、NCO基の数即ち当量をイソシアネート反応性水素原子の合計数で除して100倍したものとして定義される、イソシアネート指数が80〜500未満、好ましくは、ポリウレタンフォームの場合には90〜100、ポリウレタン−ポリイソシアヌラート組合せフォームの場合には100〜300の範囲となるような量で、有機ポリイソシアネート類とイソシアネート反応性化合物を反応させる。軟質フォームについては、このイソシアネート指数は、通常、50〜125の間、好ましくは75〜110の間である。
【0077】
エラストマー、被覆剤及び接着剤については、イソシアネート指数は、通常、80〜125の間、好ましくは100〜110の間である。
【0078】
ポリウレタン系フォームの製造には、通常、発泡剤が必要である。軟質ポリウレタンフォームの製造においては、発泡剤として水が好ましい。水の量は、ポリオール100重量部に基づいて、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部の範囲である。カルボン酸類又はその塩類もまた、反応性発泡剤として使用される。その他の発泡剤は、液体もしくは気体の二酸化炭素、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、メチラール、ジメトキシメタン又は炭酸ジメチルであることができる。人為的に減少された大気圧を使用することもまた、本発明で意図するところである。
【0079】
硬質ポリウレタンフォームの製造において、発泡剤には、水及び水と炭化水素の混合物、又は完全もしくは部分ハロゲン化脂肪族炭化水素が含まれる。水の量は、ポリオール100重量部に基づいて、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部の範囲である。過剰の水の使用により、硬化速度が低下し、発泡工程の幅が狭くなり、発泡体密度が低くなり、又は成型性が悪くなる。水と組合される炭化水素、クロロフルオロ炭化水素、又はフルオロ炭化水素の量は、その発泡体の所望の密度によって適宜選択され、ポリオール100重量部に基づいて、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。付加的な発泡剤として水が存在するとき、ポリオール組成物の全重量について、通常、水は0.5〜10重量部、好ましくは0.8〜6重量部、より好ましくは1〜4重量部、最も好ましくは1〜3重量部存在する。
【0080】
炭化水素発泡剤は揮発性C1〜C5炭化水素である。炭化水素の使用は、欧州特許第421269号明細書及び欧州特許第695322号明細書に記載されているように、この技術分野では公知である。好ましい炭化水素発泡剤はブタンとその異性体、ペンタンとその異性体(シクロペンタンを含む)、及びそれらの組合せである。
【0081】
フルオロカーボン類の例は、フッ化メチル、ペルフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン(“HFC−143a”)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(“HFC−134a”)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペルフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタン、ペンタフルオロブタン(“HFC−365mfc”)、ヘプタフルオロプロパン及びペンタフルオロプロパンを含む。
【0082】
本発明での使用のための部分ハロゲン化クロロカーボン類及びクロロフルオロカーボン類は、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(“FCFC−141b”)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(“HCFC−142b”)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(“HCHC−123”)及び1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(“HCFC−124”)を含む。
【0083】
完全ハロゲン化クロロフルオロカーボン類は、トリクロロモノフルオロメタン(“CFC−11”)、ジクロロジフルオロメタン(“CFC−12”)、トリクロロトリフルオロエタン(“CFC−113”)、1,1,1−トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(“CFC−114”)、クロロヘプタフルオロプロパン及びジクロロヘキサフルオロプロパンを含む。ハロカーボン発泡剤は、低沸点炭化水素、例えばブタン、ペンタン(その異性体を含む)、ヘキサンもしくはシクロヘキサンと共に、又は水と共に使用してもよい。
【0084】
以上の必須の成分に加えて、ポリウレタンポリマーの製造における、ある種のその他の添加剤を使用することがしばしば望ましい。これら付加的な添加剤としては、界面活性剤、防腐剤、難燃剤、着色料、酸化防止剤、強化剤、安定剤及び充填剤がある。
【0085】
ポリウレタンフォームの作製においては、硬化するまで発泡反応混合物を安定化するための量の界面活性剤を使用することが、通常、好ましい。そのような界面活性剤は、有利には、液体又は固体の有機シリコーン界面活性剤を含む。その他の界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル類、長鎖アルキル硫酸エステルの第三級アミン塩又はアルカノールアミン塩類、アルキルスルホン酸エステル類、及びアルキルアリールスルホン酸類が含まれる。そのような界面活性剤は、発泡反応混合物を崩壊や、大きな不均一の細泡の形成に対して安定化するのに十分な量で使用する。典型的には、ポリオール(b)の合計100重量部当たり、界面活性剤0.2〜3重量部がこの目的には十分である。
【0086】
ポリオール(及び存在するなら水)とポリイソシアネートとの反応のため、1種又はそれ以上の触媒を用いることができる。第三級アミン化合物、イソシアネート反応性基を有するアミン類及び有機金属化合物を含む、いずれか適当なウレタン触媒を使用してもよい。好ましくは、その反応は、逃散性アミンもしくは有機金属化合物の不在下、又は前記のように、その削減された量の存在下で実施される。第三級アミン化合物の具体例には、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン(cocomorpholine)、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミン、及びジメチルベンジルアミンが含まれる。有機金属触媒の具体例には、有機水銀、有機鉛、有機鉄及び有機錫の触媒が含まれ、これらのうちでは有機錫触媒が好ましい。適当な錫触媒には、塩化第一錫、ジブチル錫ジラウレートなどのカルボン酸の錫塩と共に、その他の有機金属化合物、例えば米国特許第2,846,408号明細書に開示されたものが含まれる。ポリイソシアネートを三量化してポリイソシアヌレートをもたらすための触媒、例えばアルカリ金属アルコキシドなども、必要に応じて使用することができる。アミン触媒の量は、その配合物中に0.02〜5%の間で変動することができ、また有機金属化合物は、配合物中に0.001〜1%で使用することができる。
【0087】
必要なら、架橋剤又は鎖延長剤を添加してもよい。架橋剤又は鎖延長剤には、低分子量の多価アルコール類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及びグリセリンなど;低分子量のアミンポリオール類、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなど;ポリアミン類、例えばエチレンジアミン、キシレンジアミン及びメチレン−ビス(o−クロロアニリン)など;が含まれる。そのような架橋剤又は鎖延長剤の使用は、米国特許第4,863,979号明細書及び米国特許第4,963,399号明細書、並びに欧州特許第549120号明細書に開示されているように、この技術分野では公知である。
【0088】
建設物に使用する硬質フォームを製造するときには、一般に添加剤として難燃剤が含まれる。いずれかの液体又は固体の難燃剤を、本発明の自己触媒性ポリオールと共に使用することができる。一般に、そのような難燃剤は、ハロゲン置換ホスフェート類及び無機防炎加工剤である。一般的なハロゲン置換リン酸エステル類には、リン酸トリクレシル、リン酸トリス(1,3−ジクロロプロピル)、リン酸トリス(2,3−ジブロモプロピル)及び二リン酸テトラキス(2−クロロエチル)エチレンがある。無機難燃剤には、赤燐、水和酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸アンモニウム、膨張性黒鉛、尿素もしくはシアヌール酸メラミン、又は少なくとも2種の難燃剤の混合物が含まれる。一般に、存在するときには、難燃剤は、存在するポリオールの合計100重量部当たり、5〜50重量部、好ましくは5〜25重量部のレベルで添加する。
【0089】
本発明により製造された発泡体の用途は、その産業において公知のものである。例えば、硬質フォームは建設産業において使用され、また電気器具や冷蔵庫の断熱材として使用される。軟質フォーム及びエラストマーは、家具、靴底、自動車のシート、サンバイザー、ハンドル、肘掛、ドアパネル、騒音遮断部材、及びダッシュボードなどの用途に需要を見出している。
【0090】
ポリウレタン製品を製造するための加工は、この技術分野では周知である。通常、ポリウレタン生成反応混合物の成分は、いずれかの便宜的なやり方、例えば、その目的の先行文献、例えばG.Oertel,Hanser出版社による“Polyurethane Handbook”などに記載されている、いずれかの混合装置を用いることにより、一緒に混合することができる。
【0091】
ポリウレタン製品は、射出、流し込み、噴霧、注型、圧延等により、連続的に又は非連続的に製造されるが;これらは自由上昇(free rise)又は成型条件下で、離型剤を用いて又は用いずに、金型内被覆(in-mold coating)、任意の挿入又は金型内への皮膜載置(skin put)により製造される。軟質フォームの場合、それらは単一の硬度(mono-hardnes)であることができ、又は2つの硬度の組合せ(dual-hardness)とすることができる。
【0092】
硬質フォームを製造するために、公知のワンショットプレポリマー又は半プレポリマー技法を、衝突混合(impingement mixing)を含む慣用の混合法と共に、使用することができる。硬質フォームはまた、スラブ材、成型物、キャビティー充填、噴霧発泡(sprayed foam)、泡立て発泡(frothed foam)又は、その他の材料、例えば紙、金属、プラスチック、もしくは木板との積層体の形態で製造することもできる。軟質フォームは自由上昇及び成型のいずれかであり、一方、微細細泡のエラストマーは、通常、成型される。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、本発明を詳説するために提供されたものであり、決して限定するものとして解釈されるべきではない。別段の記述がなければ、部及び百分率の全ては重量により与えられる。
【0094】
実施例で用いられる原材料の記述は次のとおりである:
DEOA 85%:純ジエタノールアミン85%及び水15%である。
DMAPA:3−ジメチルアミノ−1−プロピルアミン
2−メチルイミダゾール:Aldrichから入手可能な、反応性水素を有する第三級アミンである。
1−MP:Aldrichから入手可能な1−メチルピペラジンである。
E−cap:Aldrichから入手可能なイプシロンカプロラクトン又は6−ヘキサノラクトンである。
HQDGDE:EEW(エポキシド当量)112.7のヒドロキノンジクリシジルエーテルである。
【0095】
Dabco DC 5169:Air Products and Chemicals Inc.から入手可能なシリコーン系界面活性剤である。
TEGOSTAB:Goldschmidtから入手可能なシリコン系界面活性剤である。
【0096】
Dabco 33 LV:Air Products and Chemicals Inc.から入手可能な第三級アミン触媒である。
Niax A−1:Crompton Corporationから入手可能な第三級アミン触媒である。
【0097】
ポリオールA:3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン開始の1,700当量(EW)プロポキシル化テトロールであり、エチレンオキシド15%でキャップされている。
【0098】
SPECFLEX NC 632:The Dow Chemicalから入手可能な、グリセロール及びソルビトールのブレンドで開始された1,700当量(EW)ポリオキシプロピレン ポリオキシエチレン ポリオールである。
VORANOL CP 6001:The Dow Chemicalから入手可能な、グリセロールで開始され、そしてEDでキャップされた2000当量のプロポキシル化トリオールである。
VORANOL CP 1421:The Dow Chemical Companyから入手可能なセルオープナー(cell opener)として使用される高EO含有トリオールである。
SPECFLEX NC−700:The Dow Chemicalから入手可能な、平均ヒドロキシル価20を有する40%SANに基づくコポリマーポリオールである。
【0099】
VORANATE T−80:The Dow Chemicalから入手可能な、TDI 80/20イソシアネートである。
Specflex NE−50:The Dow Chemical Companyから入手可能なMDIプレポリマーである。
【0100】
発泡体は、全て、実験室で、ポリオール、界面活性剤、架橋剤、触媒及び水を予備配合し、次に25℃でコンディショニングすることによりベンチスケールで製造した。これも25℃でコンディショニングしたイソシアネートを加え、3000RPMで5秒間の撹拌下に添加する。反応体は30×30×10cmの60℃に加熱されたアルミニウムモールドに注ぎ込み、次いでその型を閉じた。その型は、反応体の添加前に、予め、Klueber Chemieより入手可能な離型剤“Klueber 41−2013”で噴霧されている。4分での発泡硬化は、パーツを手動での脱型し、内部及び外部の欠陥の検査によって査定する。もし欠陥がなければ、そのパーツはOKと判定する。反応活性はモールド排出時間、即ち発泡体がモールドの排気口に表わられ始まる時間、から測定する。
【0101】
実施例1
可融性触媒の製造
窒素雰囲気下の乾燥した1リットル樹脂ケトル中にHQDGDE(90g、エポキシ0.7986モル)及び1−MP(83.98g、0.8383モル)を装入する。固定ブレードを有するカラス撹拌シャフトをケトル中に挿入し、ケトルをシールし、そして装置を陽圧窒素下に置いた。サーモカップルを、温度コントローラ、加熱用マントル及びオーバーヘッド撹拌モータを有するケトルに押入して装置を完成させる。蒸留したN−メチル−ピロリドン(200mL)をケトル中に注入する。最初の反応を45℃にセットし、反応発熱を、水浴で反応容器を冷却することによって、最大約88℃にコントロールする。発熱が静まった後、反応の設定点を85℃とし、反応を85℃で一夜維持する。生成物は反応混合物をアセトン630mL中に注ぐことによって単離し、次いでドライアイスで急冷する。得られた結晶生成物は窒素下で浄過によって集める。粗生成物を真空オーブン中で60℃で乾燥し、127.5gを得る。この生成物を窒素パッド下に約1200mLのアセトン及び10mLの水から再結晶し、真空オーブン中で60℃で乾燥し、100gより少し多い収量である。融点ピーク最大は10℃/分の加熱速度でDSC(差動走査熱量計)で測定して110℃である。GC(ガスクロマトグラフィー)分析から、残存1−メチルピヘラジンは約0.05重量%である。
【0102】
実施例2及び3
ポリオール中の可融性触媒1の分散液
183gのSpecflex NC−632を、実施例1の可融性触媒7.9gと一緒に、オーブン中で120℃に加熱する。可融性触媒が溶融するときに、両生成物をブレンドし、200RPMでの撹拌下に冷却する。これにより白色分散液が生成する。
実施例3のためには、186gのSpecflex NC−632及び2.7gの実施例1の可融性触媒を用いて同一の手順に従う。
【0103】
実施例4
可融性ポリマー触媒の製造
磁気撹拌バー及びガス入口を頂部に有するエアー冷却コンデンサーを備えたオーブン乾燥した250mL一口丸底フラスコ中に、16.8g(164ミリモル)のDMAPA及び131.3g(1.15モル)のE−capを装入した。この反応装置を真空にし(40mmHg)、そして窒素中にベントした。真空/窒素サイクルを5回繰返し、窒素で終了した。次にフラスコは90℃の油浴に浸漬し、そしてこの反応混合物を、動的窒素雰囲気下に、この温度で64時間撹拌した。油浴温度を150℃に上げ、そして次に反応混合物をこの温度で18時間撹拌した。次に反応混合物を180℃の油浴で8時間加熱し、そして190℃で17時間加熱した。生成物は、高温で穏やかな粘性で、透明、淡黄色油状であったが、室温ではクリームカラーの固体である。収量は146.2gであった。プロトンNMR分析は、生成物がジメチルアミノ末端基を有しかつ重合度(n)5.84のオリゴマーポリエステルであることを示した。生成物質の計算数平均分子量Mnは約883g/モルで、測定融点は55〜60℃である。
【0104】
実施例5,6,7,8
実施例1の可融性触媒を用いる発泡体の製造
実施例5及び6については、実施例1の可融性触媒を微粉状でポリオールマスターバッチに添加し、そして生成混合物を、Voranate T−80の注入前に、2000RPMで10秒間撹拌する。実施例7及び8については、実施例2及び3に記載したようにして調製した分散液を用いた。このポリオールマスターバッチはポリオール並びに可融性触媒及びイソシアネート以外の他の追加成分を含むものである。
【0105】
【表1】

【0106】
発泡反応性の比較(モールド取出時間)は触媒が発泡体生成前にポリオール中に分散させた場合に重量基準で著るしく効果的であることを示している。
実施例7及び8は可融触媒は、非常に強力な発泡触媒100%に置き換えることができることを示している。
【0107】
実施例9,10
実施例4の可融性ポリマーを用いる発泡体の製造
実施例4のポリマー触媒を120℃に加熱し、そしてポリオールマスターバッチに液状で添加し、3000RPMで10秒間撹拌し、そしてSpecflex NE−150を添加した。
【0108】
【表2】

【0109】
実施例9及び10は実施例4の可融性ポリマーが強力なゲル化触媒であるDabco 33LV100%に置き換え得ることを示しており、依然として良好な発泡体を生成することを示している。
【0110】
実施例11
次の配合でモールド発泡体を作製する:
Polyol A 30
Specflex NC−632 40
Specflex NC−700 30
可融性触媒 例1 1.0
Dabco 33 LV 0.20
Dabco DC−5169 0.60
DEOA 85% 0.80
水 3.50
Voranate T−80(インデックス) 100
【0111】
本発明のその他の態様は、この明細書をよく考慮することにより、又はここで開示された発明を実施することにより、当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は具体例としてのみ考慮されるべきであり、本発明の真の範囲及び精神は請求項によって示されることはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の液状有機ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも1種の液状ポリオールと、
の混合物を、
(c)35℃と130℃との間の融点を有する少なくとも1種の可融性触媒の存在下に;
(d)必要に応じて、別のポリウレタン触媒の存在下に;
(e)必要に応じて、発泡剤の存在下;そして
(f)必要に応じて、ポリウレタンのフォーム、エラストマー及び/又は被覆剤の製造にそれ自体公知の添加剤又は助剤;
の存在下に反応させることによるポリウレタン製品の製造方法。
【請求項2】
可融性触媒が反応性水素を有するアミンとエポキシド、ラクトン又はジラクトンとの反応生成物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エポキシドが脂肪族又は脂環式のポリエポキシド又はグリシジルエーテルである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリエポキシドがジエポキシド又はトリエポキシドである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エポキシドが式
【化1】

(式中、Rは置換又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式又はヘテロ環式の多価の基であり、nは1から8未満までの平均値を有し、mは1からRの価数までの整数である)
の1つで表される請求項2に記載の方法。
【請求項6】
エポキシが5重量%未満の塩素を含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
ラクトンが環中に6〜20個の炭素原子を有する請求項2に記載の方法。
【請求項8】
ラクトンがイプシロン−カプロラクトン、メチルカプロラクトン、ペンタデカラクトンから選ばれ、そしてジラクトンがグリコライド又はラクチドから選ばれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アミンが式HN(R12
(式中、それぞれのR1は、独立して、炭素原子1〜20の化合物であるか、又は窒素原子と、必要に応じて、その他のヘテロ原子及びアルキル置換ヘテロ原子とが一緒になって、飽和もしくは不飽和のヘテロ環を形成していてもよい)
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アミンが、式(H)x−A−R3−M−(R3y
(式中、Aは窒素又は酸素であり;
Aが窒素のときxは2、そしてAが酸素のときxは1であり;
それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を有する線状又は分枝状アルキルであり;
Mは少なくとも1つの第三級アミン基を有する線状又は環状のアミン又はポリアミンであり;そして
yは0〜6の整数である)
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アミンが式(H)d−N−(R3−M−(R3yb
(式中、Nは窒素であり;
それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を有する線状又は分枝状アルキルであり;
Mは、少なくとも1つの第三級アミン基を有する線状又は環状のアミン又はポリアミンであり;
yは0〜6の整数であり;そして
b及びdは1又は2であるが、bとdとの合計は3である)
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アミンが式(R4e−Y−(R3−M)f−(R3y又は(R4e−Y−[(R3−M)−(R3yf
(式中、Mは少なくとも1つの第三級アミン基を有する線状又は環状のアミン又はポリアミンであり;
それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を有する線状又は分枝状アルキルであり;
4は水素又は炭素原子1〜20を有する部分、好ましくはR4はアルキル部分であり;
Yは水素、酸素又は窒素であり;
yは0〜6の整数であり;
eは0、1又は2であり;
fは1又は2であり;
但し、Yが水素の時にはeは0であり、Yが酸素の時にはe及びfは1であり、Yが窒素の時にはe及びfは1又は2であるが、e及びfの合計は3である)
によって表わされる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項の方法により製造されたポリウレタン製品。
【請求項14】
反応性水素を有するアミンのエポキシドとの反応生成物を含むポリウレタン触媒であって、そのエポキシドが式:
【化2】

(式中、Rは置換又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式又はヘテロ環式の多価の基であり、nは1から8未満までの平均値を有し、mは1からRの価数までの整数である)
の1つ又はそれ以上の化合物から選ばれ、且つ
アミンが式HN(R12
(式中、それぞれのR1は、独立して、炭素原子1〜20の化合物であるか、又は、窒素原子と、必要に応じて、その他のヘテロ原子及びアルキル置換ヘテロ原子と一緒になって、飽和もしくは不飽和のヘテロ環を形成していてもよい)
(H)x−A−R3−M−(R3y
(式中、Aは窒素又は酸素のいずれかであり;Aが窒素のときxは2、Aが酸素のときxは1であり;それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を有する線状又は分枝状アルキルであり;Mは、少なくとも1つの第三級アミン基を有する線状又は環状のアミン又はポリアミンであり;そしてyは0〜6の整数であり;
(H)d−N−(R3−M−(R3yb
(式中、R3、M及びyは上に定義した通りであり、Nは窒素であり、b及びdは1又は2であってb及びdの合計は3である);
(R4e−Y−(R3−M)f−(R3y又は(R4e−Y−[(R3−M)−(R3yf
(式中、M、R3及びyは上に定義した通りであり;
4は水素又は炭素原子1〜20を有する部分、好ましくはR4はアルキル部分であり;
Yは水素、酸素又は窒素であり;
eは0、1又は2であり;
fは1又は2であり;
但し、Yが水素の時にはeは0であり、Yが酸素の時にはe及びfは1であり、そしてYが窒素の時にはe及びfは1又は2であることができるがeとfとの合計は3である)
の1つ又はそれ以上の化合物から選ばれるポリウレタン触媒。
【請求項15】
反応性水素を有するアミンのラクトン又はジラクトンとの反応生成物を含むポリウレタン触媒であって、そのラクトン又はジラクトンが環中に炭素原子6〜20を有し、そしてアミンが式HN(R12
(式中、それぞれのR1は、独立して、炭素原子1〜20の化合物であるか、又は窒素原子と、必要に応じて、その他のヘテロ原子及びアルキル置換ヘテロ原子とが一緒になって、飽和もしくは不飽和のヘテロ環を形成していてもよい)
式(H)x−A−R3−M−(R3y
(式中、Aは窒素又は酸素であり;
Aが窒素のときxは2、そしてAが酸素のときxは1であり;
それぞれのR3は、独立して、炭素原子1〜20を有する線状又は分枝状アルキルであり;
Mは少なくとも1つの第三級アミン基を有する線状又は環状のアミン又はポリアミンであり;そして
yは0〜6の整数である);
式(H)d−N−(R3−M−(R3yb
(式中、R3、M及びyは上に定義した通りであり、Nは窒素であり、b及びdは1又は2のいずれかであるがb及びdの合計は3である)又は
式(R4e−Y−(R3−M)f−(R3y又は(R4e−Y−[(R3−M)−(R3yf
(式中、M、R3及びyは上に定義した通りであり);
4は水素又は炭素原子1〜20を有する部分、好ましくはR4はアルキル部分であり;
Yは水素、酸素又は窒素であり;
eは0、1又は2であり;fは1又は2であり;但し、Yが水素の時にはeは0であり、Yが酸素の時にはe及びfは1であり、Yが窒素の時にはe及びfは1又は2であるがe及びfの合計は3である)
の1つ又はそれ以上の化合物から選ばれるポリウレタン触媒。
【請求項16】
モル過剰のポリイソシアネートを請求項14又は15の触媒と混合することによって製造されたポリイソシアネート末端ポリマー。
【請求項17】
モル過剰の請求項14又は15の触媒をポリイソシアネートと混合することによって得られるポリオール末端プレポリマー。

【公表番号】特表2007−500779(P2007−500779A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533743(P2006−533743)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018661
【国際公開番号】WO2005/000932
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】