説明

可視光通信装置

【課題】通信用の光を通信相手の受信部により簡単に入射させることができ、操作をより簡単にすることができる可視光通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】情報伝送に用いられる可視光を照射する可視光通信手段と、可視光により照射される照射領域の周辺領域の色を判定する判定手段と、判定手段により判定した周辺領域の色に基づいて、可視光通信手段から照射された可視光による照射領域の色が、当該周辺領域の色とは一定以上異なる色になるように可視光通信手段を制御する制御手段と、を備えることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光を変調して照射して通信を行う可視光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端末と端末との間で無線通信を行う方法としては、赤外線通信や、RFID(Radio Frequency Identification)用いた通信、Bluetoothを用いる通信等がある。しかしながら、これらの通信方法は、目視で確認できない出力(電波、光)を用いるため、通信に用いる出力がどこまで到達しているかを把握することができない。これに対して、特許文献1には、可視光を用いて情報通信を行う可視光通信装置であって、可視光を発光する発光手段と、発光手段により発光する前記可視光の発光状態を通信状態に応じて制御する発光制御手段と、を有することを可視光通信装置が記載されている。
【0003】
また、光を照射する携帯機器としては、特許文献2には、所定の形状パターンを含む画像を投射面に投射してその画像の投射像を生成する投射手段と、撮影した被写体の撮像画像を取得する撮像手段と、撮像手段により撮影して取得された投射像の撮像画像中に含まれている所定の形状パターンに基づいて、投射像の色合いを調節する色合い調節手段とを備えるプロジェクタ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180826号公報
【特許文献2】特開2006−93822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、通信に可視光を用いることで、通信を行う光がどこに照射されているかを把握しながら、通信を行うことができる。ここで、可視光通信では、可視光を用いおり、光の照射位置が目視できる、また、関係ない領域に光を照射しないようにするため、通信用の光として、指向性の高い光を用い、光の照射領域を小さくしている。そのため、光の照射位置が把握できない場合は、通信用の光を通信相手の受信部に入射させることが困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通信用の光を通信相手の受信部により簡単に入射させることができ、操作をより簡単にすることができる可視光通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報伝送に用いられる可視光を照射する可視光通信手段と、前記可視光により照射される照射領域の周辺領域の色を判定する判定手段と、前記判定手段により判定した周辺領域の色に基づいて、前記可視光通信手段から照射された可視光による照射領域の色が、当該周辺領域の色とは一定以上異なる色になるように前記可視光通信手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記判定手段は、前記周辺領域を含む領域を撮像する撮像手段を有し、前記制御部は、前記撮像手段によって撮像した領域から取得した色データを平均化した色情報を、前記周辺領域の色として取得することが好ましい。
【0009】
また、前記制御手段は、前記可視光による照射領域の面積に応じて、前記撮像手段によって撮像される周辺領域の面積を調整することが好ましい。
【0010】
また、前記可視光通信手段は、前記情報伝達に用いられる可視光となる第1光を射出する第1発光部を有し、前記制御手段は、前記第1発光部によって射出させる前記第1光の色を、前記周辺領域の色とは一定以上異なる色に変化させることが好ましい。
【0011】
また、前記可視光は、前記情報伝達に用いられる第1光と、前記情報伝送に用いられない第2光と、を含み、前記可視光通信手段は、前記第1光を射出する第1発光部と、前記第2光を前記第1光の照射領域に照射する第2発光部とを有し、前記制御手段は、前記判定手段によって判定した周辺領域の色情報に基づいて、前記第2光の色を変化させるよう前記第2発光部を制御することが好ましい。
【0012】
また、前記第2光は、前記第1光とは異なる波長帯域の光であることが好ましい。
【0013】
また、前記第1光及び前記第2光は、赤色、緑色、青色のいずれかの光であり、前記制御手段は、前記第2発光手段によって、前記第1光とは異なる色の光である前記第2光を照射させることが好ましい。
【0014】
また、前記制御手段は、前記第1光と前記第2光との光量の総和を一定に維持することが好ましい。
【0015】
また、特定の波長帯域の光のみを受光する受光手段をさらに備え、前記制御手段は、前記受光手段が受光した前記特定の波長帯域の光を復調して情報を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる可視光通信装置は、通信用の光を通信相手の受信部により簡単に入射させることができ、操作をより簡単にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図3】図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、携帯電子機器の動作を説明するためのフロー図である。
【図5−1】図5−1は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図5−2】図5−2は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、可視光通信装置の一例として可視光通信機能を備える携帯電子機器、具体的には、携帯電話機を取り上げるが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではない。本発明の可視光通信装置は、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等に対しても適用できる。つまり、可視光通信機能を備える種々の携帯電子機器に適用できる。また、携帯電子機器に限定されず、可視光通信機能を備える種々の固定型の電子機器に用いることもできる。
【0019】
図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。図1、図2に示す携帯電子機器1は、無線通信機能と、出力手段と、音声取得手段と、可視光通信手段と、撮像手段とを有する携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体1Cが複数の筐体で構成される。具体的には、筐体1Cは、第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成される。すなわち、携帯電子機器1は、折り畳み式の筐体を有する。なお、携帯電子機器1の筐体は、このような構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体と他方の筐体とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【0020】
第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、連結部であるヒンジ機構8で連結されている。ヒンジ機構8で第1筐体1CAと第2筐体1CBとを連結することにより、第1筐体1CA及び第2筐体1CBは、ヒンジ機構8を中心として、図2の矢印Rで示す方向に相対的に回動できる。第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、ヒンジ機構8を中心として、図2中実線で示す位置から、図2中点線で示す位置、折り畳まれた状態となる位置まで移動することができる。
【0021】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すディスプレイ2が設けられる。ディスプレイ2は、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、第1筐体1CAには、携帯電子機器1の通話時に音声を出力する出力手段であるレシーバ16が設けられる。
【0022】
第1筐体1CAのヒンジ機構8とは反対側の端部で、かつ、ディスプレイ2が配置されている面とは反対側の面には、可視光通信部36により照射(出力)される可視光を通過させる出力窓42と、出力窓42から射出された光が到達する(光が照射される領域)を含む画像を撮影(取得)するカメラ40とが設けられている。なお、カメラ40の撮影窓は、第1筐体1CAの外部に露出している。
【0023】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー13Aが複数設けられ、また、ディスプレイ2に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー13Bが設けられる。操作キー13A及び方向及び決定キー13Bは、携帯電子機器1の操作部13を構成する。また、第2筐体1CBには、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取る音声取得手段であるマイク15が設けられる。操作部13は、図2に示す、第2筐体1CBの操作面1PCに設けられる。操作面1PCとは反対側の面が、携帯電子機器1の背面1PBである。
【0024】
第2筐体1CBの内部には、アンテナが設けられている。アンテナは、無線通信に用いる送受信アンテナであり、携帯電子機器1と基地局との間で通話や電子メール等に係る電波(電磁波)の送受信に用いられる。また、第2筐体1CBには、マイク15が設けられる。マイク15は、図2に示す、携帯電子機器1の操作面1PC側に配置される。
【0025】
図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯電子機器1は、処理部22と、記憶部24と、送受信部26と、操作部13と、音声処理部30と、表示部32と、可視光通信部36と、カメラ40と、を有する。
【0026】
処理部22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する機能を有する。すなわち、処理部22は、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部13の操作や携帯電子機器1の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、送受信部26や、音声処理部30や、表示部32等の動作を制御する。
【0027】
処理部22は、記憶部24に記憶されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。処理部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、処理部22は、記憶部24に記憶されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0028】
本実施形態において、処理部22は、可視光通信を制御する通信処理部22a、出力窓42から出力させる光を制御する発光処理部22b、色情報解析部22cを有する。通信処理部22a、発光処理部22b、色情報解析部22cがそれぞれ有する機能は、処理部22及び記憶部24で構成されるハードウェア資源が、処理部22の制御部が割り当てるタスクを実行することにより実現される。ここで、タスクとは、アプリケーションソフトウェアが行っている処理全体、又は同じアプリケーションソフトウェアが行っている処理のうち、同時に実行できない処理単位である。
【0029】
通信処理部22aは、可視光通信部36による通信動作を制御する。具体的には、通信処理部22aは、可視光通信部36の起動、停止、通信開始、通信終了等の動作の制御、出力する情報の生成処理、また、受信した情報の処理等を行う。発光処理部22bは、可視光通信部36の第1発光部36a及び/または第2発光部36eから出力させる光の強度や、波長を制御する。なお、発光処理部22bは、可視光通信部36による可視光通信に必須となる波長を固定し、その他の出力条件を調整する。また、発光処理部22bは第1発光部36aから出力される光の強度や波長に基づいて、第2発光部36eから出力される光の波長や強度を決定する。色情報解析部22cは、カメラ40で取得した情報に基づいて、測定対象の領域を特定し、特定した測定対象の領域の色情報を取得する。なお、各部の動作は、後ほど携帯電子機器1の動作とともに説明する。
【0030】
記憶部24には、処理部22での処理に利用されるソフトウェアやデータが記憶されており、可視光通信部36の駆動を制御するアプリケーションプログラムを作動させるタスクや、各種プログラムを作動させるタスクが記憶されている。また、記憶部24には、これらのタスク以外にも、例えば、通信、ダウンロードされた音声データ、あるいは記憶部24に対する制御に処理部22が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等が記述されて管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が記憶されている。
【0031】
送受信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。操作部13は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー等、各種の機能が割り当てられた操作キー13Aと、方向及び決定キー13Bとで構成される。そして、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。発生した信号は、ユーザの指示として処理部22へ入力される。
【0032】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16やスピーカ17から出力される音声信号の処理を実行する。
【0033】
表示部32は、上述したディスプレイ2を有しており、処理部22から供給される映像データに応じた映像や画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。ディスプレイ2は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルで構成される。なお、表示部32は、ディスプレイ2に加え、サブディスプレイを有していてもよい。
【0034】
可視光通信部36は、第1発光部36aと、変調部36bと、受光素子36cと、受光部(受信部)36dと、第2発光部36eと、を有する。第1発光部36aは、可視光のレーザー光を照射する発光機構である。ここで、可視光領域の光とは、短波長側が360nmから400nm、長波長側が760nmから830nmの光である。なお、第1発光部36aとしては、一定波長幅の光を射出する発光機構、例えば発光ダイオード、レーザーダイオード等を用いることができる。また、第1発光部36aが、発光する光の色(波長帯)は、特に限定されず、例えば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)のうちいずれかの光を照射すればよい。
【0035】
変調部36bは、通信処理部22aにおいて生成された情報に応じて、第1発光部36aから射出される光を変調する。変調部36bは、第1発光部36aから変調した光を射出させる。
【0036】
受光素子36cは、出力窓42に照射される光を検出する素子である。受光素子36cは、検出結果を受光部36dに送る。受光部36dは、受光素子36cの検出結果から、可視光通信として送信された光の成分を抽出し、他の機器から可視光通信で送信された情報を受信する。なお、受光部36dまたは、受光素子36cは、可視光通信に用いる波長帯以外の波長は、フィルタ(例えばバンドパスフィルタ)により除去する。これにより、可視光通信に用いられる波長域の成分のみを検出することができる。
【0037】
可視光通信部36は、以上のようにして、変調部36bにより第1発光部36aから射出される光を変調させることで、通信処理部22aにおいて生成された情報を付加した光を出力窓42から照射する。つまり、可視光通信部36は、可視光を変調させて照射することで情報を送信する。また、可視光通信部36は、受光素子36cと受光部36dで、出力窓42に照射された光のうち、可視光通信に用いられる波長の光を検出し、検出した光を復調することでその光に付加された情報を読み取ることで、可視光通信で送信された情報を受信する。
【0038】
第2発光部36eは、第1発光部36aと同様に、可視光領域の光を射出する発光機構である。第2発光部36eは、発光処理部22bから送信される、射出する光に関する情報に基づき、光を射出させる。なお、第2発光部36eは、発光処理部22bによる制御により、第1発光部36aから射出される光に対して一定以上のコントラストのある光を射出させることができる。第2発光部36eによって射出された光は、可視光通信部36から射出された光と合波し、合波した光が出力窓42から照射される。なお、第2発光部36eは、第1発光部36aが出力する光とは、異なる色(異なる波長域)の可視光を照射できれば、照射する光の波長に限定はない。なお、第2発光部36eとしては、一定波長幅の光を射出する発光機構、例えば発光ダイオード、レーザーダイオード等を用いることができる。また、第2発光部36eが、発光する光の色(波長帯)は、例えば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)のうち、第1発光部36aから照射する色とは異なる色を照射すればよい。
【0039】
カメラ40は、上述したように出力窓42の近くの同一面上に設けられ、照射領域を含む領域の画像を取得する撮像機構である。つまり、カメラ40は、可視光通信部36が出力窓42から光を射出(照射)する方向の画像を取得する。また、カメラ40は、可視光通信部36により光が照射される領域よりも広い領域の画像を撮影する撮影機構である。すなわちカメラ40は、可視光通信部36から照射される光が到達する領域よりも広い領域の画像を撮影することができる。携帯電子機器1は、基本的に以上のような構成である。
【0040】
次に、図4、図5−1及び図5−2を用いて携帯電子機器の可視光通信動作を説明する。ここで、図5は、携帯電子機器の動作を説明するためのフロー図である。また、図5−1及び図5−2は、それぞれ、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。また、図5−1及び図5−2は、携帯電子機器1が他の可視光通信装置100と通信を行う場合の一例を示しており、色を特定するための色相環70も示す。
【0041】
まず、携帯電子機器1の処理部22は、操作部13に可視光通信を開始する指示が入力されると、通信処理部22aにより送出する情報を生成し、可視光通信部36の変調部36bで変調した光を射出できる準備を行う。つまり、可視光通信を開始可能な状態とする。なお、情報を変調した光の出力成分に変換する処理は、情報の通信を開始して行ってもよい。
【0042】
次に、図4に示すように、携帯電子機器1の処理部22は、ステップS12としてカメラ40を起動させ、ステップS14として色情報解析部22cにより色の取り込みを開始する。具体的には、図5−1に示すように、カメラ40は、筐体1Cのカメラ40及び出力窓42が配置されている面に対面している領域のうち、カメラ40の撮影領域62の画像を取得する。なお、本実施形態では、対面した位置に他の可視光通信装置100が配置されており、可視光通信装置100の出力窓104が配置された面102のうち、撮影領域62に含まれる領域106の画像を取得する。なお、この領域106には、携帯電子機器1の可視光通信部36及びまたは発光手段38から射出され、出力窓42から外部に射出される送信光60が照射(到達)する照射領域64も含まれている。なお、図5−1では、送信光60が照射された状態を示しているが、起動時のステップS14では、送信光60は、出力されていない。
【0043】
ここで、処理部22は、色情報解析部22cにより、画像取得時の焦点距離情報や、取得した画像に基づいて解析を行うことで、画像における撮影領域62に含まれる照射領域64の位置、及び、その周りの位置を特定することができる。さらに、処理部22は、特定した照射領域64や、その周りの色情報を取得する。
【0044】
処理部22は、ステップS14で色の取り込みを行ったら、ステップS16として、送信光色の変更が必要かを判定する。つまり、処理部22は、ステップS14で取得した照射領域64の色の情報及びその周りの色情報と、出力窓42から照射される送信光60の色とを比較する。また、処理部22は、色の差が予め設定された範囲から外れている場合は、変更なしと判定し、予め設定された範囲以内である場合は変更が必要と判定する。
【0045】
処理部22は、ステップS16で変更が必要あり(Yes)と判定したら、ステップS20として、コントラストを考慮した送信光色を設定(変更)する。つまり、ステップS16で、色の差が予め設定された範囲以内である場合は、送信光60の色を、照射領域64の色またはその周りの色との色の差(コントラスト)がより明確になるように送信光色を変更する。具体的には、処理部22は、第2発光部36eからも光を射出させ、出力窓42から照射される光を、第1発光部36aから射出される光と第2発光部36eから射出させた光とを合波した光とする。そのように、出力窓42から射出される光を第1発光部36a単体から射出される光の色と異ならせる。そのようにして、送信光60の色を変更することができる。
【0046】
処理部22は、ステップS16で変更が必要ない(No)と判定したら、ステップS22として、送信光色にデフォルト色を使用する。つまり、処理部22は、現在設定されている送信光60の色をそのまま使用する。なお、本実施形態では、初期設定は、第2発光部36eから光を射出させないで、可視光通信部36の第1発光部36aのみから光を射出させる設定となっている。
【0047】
処理部22は、ステップS20、または、ステップS22で送信光60の色を設定したら、ステップS24として送信を開始する。つまり、処理部22は、ステップS20またはステップS22で設定した色の光の照射を開始する。これにより、処理部22は、情報の送信を開始する。なお、処理部22は、ステップS24の段階では、送信相手を特定するための情報を変調した光を可視光通信部36から照射させている。
【0048】
処理部22は、ステップS24で送信を開始したら、ステップS26として、受光部104との通信は確立したかを判定する。ここで、処理部22は、受信側の可視光通信装置100から射出された、可視光通信部36から出力された情報を受信した旨の通知を受信すると、通信を確立したと判定する。例えば、処理部22は、受信側の可視光通信装置100から照射された可視光を受光素子36c及び受光部36dで受信し、その可視光に付加された情報から、通信を確立した情報を検出するようにすればよい。
【0049】
処理部22は、ステップS26で通信を確立していない(No)と判定したら、つまり、通信を確定したことを示す情報を受信していない場合は、ステップS28として、所定時間が経過したかを判定する。処理部22は、ステップS28で所定時間が経過していない(経過時間が所定時間未満である)と判定したら、ステップS26に進む。これにより、処理部22は、通信が確立されるか、所定時間が経過するまで、ステップS26とステップS28の処理を繰り返す。
【0050】
また、処理部22は、ステップS28で所定時間が経過した(Yes)と判定したら、ステップS14に進み、送信光色を設定する上記処理を繰り返す。
【0051】
また、処理部22は、ステップS26で通信を確立した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。なお、処理部22は、送信光の色を設定する本処理は、終了するが、可視光通信は、情報の送信が終了するまで行う。なお、処理部22は、本処理の終了時にカメラ40による画像取得は終了してもよい。
【0052】
例えば、図5−1に示すように、送信光60の色と、領域106の、照射領域64の色または既に送信光を照射している場合は照射領域64の回りの色が色相環70において、同一または類似する色(色相)72となる場合がある。この場合も、携帯電子機器1は、送信光60の色を設定することで、図5−2に示すように、送信光60aの色を、色(色相)72とは色相が反対となる、つまり、補色となる色(色相)74とすることができる。
【0053】
これにより、携帯電子機器1は、照射領域64に照射された送信光60の色と、その周りの色とのコントラストの差を大きくすることができ(つまり一定以上異なる色とすることができ)、図5−2に示すように、送信光60aがどの位置に照射されているかを明確に把握することができる。つまり、携帯電子機器1は、可視光通信に用いる光の色と、受信側の受光部104(出力窓)が設けられている領域の色とが、同一色相(同系色)である場合も、送信光(送信光で照射する領域)と、照射領域64の回りとの色の違いを明確にすることができ、照射領域64の位置を簡単に特定することができる。
【0054】
ここで、携帯電子機器1は、上記実施形態のように、送信光60の色を、照射領域64の周りの色とは、異なる系統の色、具体的には、色相環を基準として角度が60°以上離れた色とすることが好ましく、補色の関係とすることがより好ましい。このように、互いの色相を一定以上異なる色にすることで、照射領域64の位置をより特定しやすくすることができる。
【0055】
例えば、照射領域60の周りの色が紫で、第1発光部36aから射出する光の色が赤の場合、第2発光部36bから緑を出力させ、送信光の色及び照射領域64の色を黄色とすることが好ましい。ここで、赤と紫の色相の角度差は60度であり、黄色と紫の色相の角度差は150度である。このように、紫の領域に黄色の光を照射させることで、紫の領域に赤い光を照射する場合よりも照射領域64を容易に見つけることができる。
【0056】
また、携帯電子機器1は、照射された照射領域64の送信光60の色と、照射領域64の周りの色との色相が、色相環を基準として角度が60°以内にある場合に送信光60の色を変更することが好ましい。このように基準値を設けることで、必要以上、送信光60を変更することを抑制することができる。また、送信光60として初期値の光(可視光通信に必要な最小限の光)を用いることで、通信に使用する光をより少なくすることができる。これにより、消費エネルギーをより少なくすることができる。
【0057】
また、送信光60は、種々の方法で調整することができる。例えば、上記実施形態のように第2発光部36eを用いる場合は、第2発光部36eから照射させる光の色を調整すればよい。なお、この場合は、LED光源を複数備える場合は、使用する光源の種類、数を調整することで、送信光の色を種々の色にすることができる。また、さらに、第1発光部36aと第2発光部36eの出力(光の強度)を調整することでも色相を変更することができる。なお、第1発光部36aから出力する光は、可視光通信に必要な最小限の出力以上の出力とする。
【0058】
なお、第1発光部36aと第2発光部36eとを用いる場合は、上述したように、第1発光部36aと第2発光部36eとでR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の光を射出できるよう光源を組み合わせることが好ましい。つまり、第1発光部36aが、R(赤)、G(緑)、B(青)のうち1色の光を照射する場合は、第2発光部36eは、R(赤)、G(緑)、B(青)のうち第1発光部36aによって射出された光の色を除く残りの2色の光を照射可能とすることが好ましい。なお、第1発光部は、R(赤)の光を用いることが好ましい。つまり、可視光通信には、R(赤)の光を用いることが好ましい。
【0059】
また、第2発光部36eを用いることに限定されず、第1発光部36aの出力のみを調整して送信光60の色を変更するようにしてもよい。例えば、第1発光部36aを異なる2つの色(波長域)で可視光通信ができる構成とし、照射領域64の周りの色に応じて、第1発光部36aから出力させる光の色を制御(変更)して、可視光通信に用いる光の色を切り替えるようにしてもよい。
【0060】
また、携帯電子機器1は、ステップS14の色解析では、色情報として、検出対象となる領域から取得した色データを平均化した色情報を取得することが好ましい。つまり、照射領域64の色を平均化した色、または、照射領域64の周りの領域の色を平均化した色を夫々の領域の色とすることが好ましい。これにより、より正確に照射された送信光60の色を把握することができ、送信光60の照射領域62と照射領域64の周りの領域との間に適切にコントラストを発生させることができる。
【0061】
また、携帯電子機器1は、ステップS14でカメラ40により撮影する領域62は、照射領域64の大きさによって調整することが好ましい。なお、カメラ40は、照射領域64とその周囲の一定領域の画像を取得できればよい。このように、撮影する領域62を調整し、より小さくすることで、処理の負荷を少なくすることができる。
【0062】
また、携帯電子機器1は、カメラ40により画像を撮影することで、照射された状態の光とその周辺色との差を検出することができる。これにより、照射された光とその周辺色とのコントラストを適切に発生させることができる。また、携帯電子機器1は、送信光60を照射させた状態で色情報を取得し、照射領域64の色と、照射領域64の周りの領域の色とに基づいて、送信光60の色を設定することが好ましい。つまり、送信光60を照射させた状態の照射領域64の色と、照射領域64の周りの領域の色とが一定以上の色となるように、送信光を設定することが好ましい。これにより、見た目の色でのコントラストを適切に発生させることができ、照射領域64の位置をより的確に把握することができる。
【0063】
また、携帯電子機器1は、第1発光部36aから射出される光と第2発光部36eから射出される光との光量の総和を一定に維持することが好ましい。このように、送信光の色に係らず、光量の総和を一定にすることで、つまり、必要以上に光量の大きな光を照射しないように調整することで、消費する電力を一定にすることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、カメラ40により撮影して画像を取得することで、照射領域64及び照射領域64の周辺の色を判定したが、本発明はこれに限定されない。携帯電子機器1は、照射領域64及び照射領域64の周辺の色を判定することができる種々の手段を用いることができる。例えば、色センサ(RGBの色センサ)を用いて、色を判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明に係る可視光通信装置は、情報の送受信に用いることに有用であり、特に近距離から中距離通信を行う通信装置として用いることに適している。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯電子機器
1C 筐体
2 ディスプレイ
13 操作部
13A 操作キー
13B 方向及び決定キー
22 処理部
22a 通信処理部
22b 発光処理部
22c 色情報解析部
24 記憶部
30 音声処理部
32 表示部
36 可視光通信部
36a 第1発光部
36b 変調部
36c 受光素子
36d 受光部
36e 第2発光部
40 カメラ
42 出力窓
100 可視光通信装置
104 出力窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報伝送に用いられる可視光を照射する可視光通信手段と、
前記可視光により照射される照射領域の周辺領域の色を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定した周辺領域の色に基づいて、前記可視光通信手段から照射された可視光による照射領域の色が、当該周辺領域の色とは一定以上異なる色になるように前記可視光通信手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする可視光通信装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記周辺領域を含む領域を撮像する撮像手段を有し、
前記制御部は、前記撮像手段によって撮像した領域から取得した色データを平均化した色情報を、前記周辺領域の色として取得することを特徴とする請求項1に記載の可視光通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記可視光による照射領域の面積に応じて、前記撮像手段によって撮像される周辺領域の面積を調整することを特徴とする請求項2に記載の可視光通信装置。
【請求項4】
前記可視光通信手段は、前記情報伝達に用いられる可視光となる第1光を射出する第1発光部を有し、
前記制御手段は、前記第1発光部によって射出させる前記第1光の色を、前記周辺領域の色とは一定以上異なる色に変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項5】
前記可視光は、前記情報伝達に用いられる第1光と、前記情報伝送に用いられない第2光と、を含み、
前記可視光通信手段は、前記第1光を射出する第1発光部と、前記第2光を前記第1光の照射領域に照射する第2発光部とを有し、
前記制御手段は、前記判定手段によって判定した周辺領域の色情報に基づいて、前記第2光の色を変化させるよう前記第2発光部を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項6】
前記第2光は、前記第1光とは異なる波長帯域の光であることを特徴とする請求項5に記載の可視光通信装置。
【請求項7】
前記第1光及び前記第2光は、赤色、緑色、青色のいずれかの光であり、
前記制御手段は、前記第2発光手段によって、前記第1光とは異なる色の光である前記第2光を照射させることを特徴とする請求項5又は6に記載の可視光通信装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1光と前記第2光との光量の総和を一定に維持することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の可視光通信装置。
【請求項9】
特定の波長帯域の光のみを受光する受光手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記受光手段が受光した前記特定の波長帯域の光を復調して情報を検出することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に可視光通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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