説明

可逆性感熱記録媒体及びそれを用いる画像処理方法並びに画像処理装置

【課題】 低温低湿環境での消去性に優れた可逆性感熱記録媒体、それを用いて画像の形成/及び消去を行なう画像処理方法、画像処理装置を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、発色消色制御剤として下記一般式(1)で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。


(式中、lは0から22の整数を、mは1から12の整数を、nは6から22の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用いた可逆性感熱記録層を有し、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録媒体を用いる画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。しかし、これら実用化されている従来の記録媒体は環境問題上、リサイクルや使用量の減量化などの見直しが迫られているが、不可逆的な発色であるため、一度記録した画像を消去して繰り返し使用することはできないし、新しい情報は画像が記録されていない部分に追記されるぐらいで記録可能な部分の面積は限られている。そのため、記録する情報量を減らしたり、記録エリアがなくなった時点でカードを作り直しているのが実状である。そこで、近年盛んに論じられているゴミ問題や森林破壊問題を背景に、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ところで、これらの要求から様々な可逆性感熱記録媒体が提案されてきた。例えば、透明・白濁という物理的変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録媒体が開示されている(特許文献1、2参照)。また、新たに化学的変化を利用した染料タイプの可逆性感熱記録媒体も提案されている。具体的には、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組み合わせを用いるもの(例えば、特許文献3参照)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(例えば、特許文献4参照)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(例えば、特許文献5、6、7参照)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの(例えば、特許文献8参照)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(例えば、特許文献9、10参照)などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特許文献11において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている(例えば、特許文献12、13参照)。
【0005】
しかし、このような材料を用いた記録媒体では、消色速度が遅く書き替えに時間がかかる、消色が不充分、あるいは発色画像の熱安定性が低いなどの問題を有していた。
そこで、さらに本発明者らは特許文献14に記載のフェノール化合物を用いることで、発色と消色のコントラストが高く、高速消去が可能であり、画像部の発色安定性に優れる記録媒体を提案した。このフェノール化合物を用いた記録媒体は、ホットスタンプやヒートローラ、セラミックヒータなどの加熱部材による消去が可能であり実用性に優れるものであった。
【0006】
さらに、これらのフェノール化合物を用いて可逆性感熱記録媒体を作製する際に、より実用性を高めるため消色性の向上と画像安定性の向上を狙いとした発色消色制御剤や、消色促進剤が検討されており、特許文献15、16、17などに記載の長鎖アルキル化合物を用いることで、消去性が向上して消し残りがほとんど発生しなくなったり、さらにはとくに特許文献17記載の長鎖アルキル化合物をもちいることで、消色性の向上と共に発色画像が安定なものとなった。
しかしながら、特許文献15、16および17に記載された長鎖アルキル化合物を用いた可逆性感熱記録媒体は、室温環境では良好な消去が可能であるものの、とくに低温低湿環境では消去性が低下するという問題があった。
【0007】
さらにまた、エーテル基とアミド基とを有する化合物を、発色消色制御剤や消色促進剤として使用することで、高速消去性などの消色性を改善したものも、特許文献18、19などに提案されている。
しかしながら、これら特許文献18、19に記載されたエーテル基とアミド基を有する化合物を用いた可逆性感熱記録媒体も、特に低温低湿環境での消去性が不十分であるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−107584号公報
【特許文献2】特開平4−78573号公報
【特許文献3】特開昭60−193691号公報
【特許文献4】特開昭61−237684号公報
【特許文献5】特開昭62−138556号公報
【特許文献6】特開昭62−138568号公報
【特許文献7】特開昭62−140881号公報
【特許文献8】特開昭63−173684号公報
【特許文献9】特開平2−188293号公報
【特許文献10】特開平2−188294号公報
【特許文献11】特開平5−124360号公報
【特許文献12】特開平6−210954号公報
【特許文献13】特開平10−95175号公報
【特許文献14】特開平10−67177号公報
【特許文献15】特開平9−48715号公報
【特許文献16】特開平9−290563号公報
【特許文献17】特開平11−70731号公報
【特許文献18】特許第3544429号公報
【特許文献19】特開2002−86921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低温低湿環境での消去性に優れた可逆性感熱記録媒体、及び該可逆性感熱記録媒体を用いて、画像の形成及び/又は消去を行なう画像処理方法と画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、このような発色剤と顕色剤の組成物の可逆的な発色消色現象の消色過程では、発色状態を形成する長鎖脂肪族基を有する顕色剤とロイコ染料および発色消色制御剤または消色促進剤の分子間凝集力のバランスが重要であり、分子間凝集力が強すぎる場合にはとくに低温低湿環境での消去性が低下すると考え、種々の化合物の検討を行なった。その結果、特定の構造を有するエーテル基含有アミド化合物を発色消色制御剤として用いることで上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、上記課題は本発明の下記(1)〜(14)によって解決される。
(1)「支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、発色消色制御剤として下記一般式(1)で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【0012】
【化1】


(式中、lは0から22の整数を、mは1から12の整数を、nは6から22の整数を示す。)」;
(2)「前記可逆性感熱記録層中に、架橋状態にある樹脂を含むことを特徴とする前記(1)に記載の可逆性感熱記録媒体」;
(3)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする前記(2)に記載の可逆性感熱記録媒体」;
(4)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、アクリルポリオール樹脂であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の可逆性感熱記録媒体」;
(5)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、イソシアネート化合物によって架橋されていることを特徴とする前記(2)乃至(4)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(6)「前記可逆性感熱記録層上に保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(7)「前記可逆性感熱記録層上に保護層を設け、該保護層が紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(8)「前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収能を有する無機微粒子を含有することを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(9)「情報記憶部を設けたことを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(10)「前記支持体の可逆性感熱記録層を設けた面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(11)「前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を用いて、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより、画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法」;
(12)「サーマルヘッドを用いて前記可逆性感熱記録層に画像を形成することを特徴とする前記(11)に記載の画像処理方法」;
(13)「サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする前記(11)に記載の画像処理方法」;
(14)「前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備することを特徴とする画像処理装置」。
【発明の効果】
【0013】
本発明の可逆性感熱記録媒体は発色濃度が良好であって、かつ低温低湿での消去性に優れた実用性の高い書き替え記録を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の可逆的感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この基本的な発色・消色現象を説明する。
【0015】
図1は本発明の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度(T1)でロイコ染料と顕色剤が溶融混合し、発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度(T2)で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0016】
本発明の可逆性感熱記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0017】
本発明の可逆性感熱記録媒体では、発色状態の凝集構造が安定であるほど画像濃度の安定性は高まり、消色過程では発色時の凝集構造から顕色剤の結晶化がより高速に起きることで良好な消去性が得られると考えられる。そのため、発色消色制御剤としては長鎖アルキルをもった分子構造中に水素結合性の会合基を導入することによって、発色状態の安定化と消去性の向上を検討してきた。しかしながら、こうした凝集力を高める検討では室温環境程度での消去性は向上するものの、低温低湿環境では消色性の向上は見られず、むしろ消去性が悪くなる場合もあった。
【0018】
本発明においては、発色消色制御剤の分子構造中に長鎖アルキルをもったアミド基とエーテル基を有することで、低温低湿の消去が良好となることがわかった。
ここで、本発明において発色消色制御剤として用いられるエーテル基含有アミド化合物は下記一般式(1)で示されるものである。
【0019】
【化2】


(式中、lは0から22の整数を、mは1から12の整数を、nは6から22の整数を示す。)
これらのエーテル基含有アミド化合物の合成方法としては、エーテル基含有アルキルアミンと脂肪酸クロライドとの反応など、従来公知の方法によって合成することができる。
以下に、本発明で用いられるエーテル基含有アミド化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限られるわけではない。
【0020】
【化3】

【0021】
本発明で用いられるエーテル基含有アミド化合物は顕色剤に対し、好ましくは0.5〜100重量%の割合で用いられる。0.5重量%よりも少ないときには充分な効果が得られなく、また100重量%より多い場合には発色濃度の低下があり好ましくない。さらに好ましくは1〜30重量%が特に好ましく用いられる。
【0022】
本発明において可逆性感熱記録層に用いられるロイコ染料としては、この種の可逆性感熱記録媒体に一般的に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。これらの化合物の例としては、特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−230680号公報などに記載のロイコ染料である。なかでも特に好ましい例としては、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリドなどが挙げられる。
【0023】
また、本発明において可逆性感熱記録層中に用いられるは顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載の顕色剤である。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていてもよい。このような可逆性顕色剤の具体例は前記の公開公報のほか、たとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報、特開平11−99749号公報など示されている。これらの顕色剤のうち特に好ましくい例としては、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ−N’−n−デカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N’−n−ドコサノヒドラジドなどが用いられる。
【0024】
本発明において可逆性感熱記録層に用いられる架橋状態にある樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0025】
更に、本発明において好ましくは、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が含有される(当初用いられる)が、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂としては、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂などが用いられるが、特に発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が好ましく用いられる。水酸基価としては70(KOHmg/g)以上であり、特に好ましくは90(KOHmg/g)以上である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。本発明者らは、水酸基価が70(KOHmg/g)以上で耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することを見い出した。水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録材料であるか否かは、残存水酸基の量やエーテル結合の量を分析すること等により確認することができる。
【0026】
また、アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられるが、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性がよいことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0027】
本発明に用いられる架橋剤としては、従来公知のイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。その中でもイソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。ここで用いられるイソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネートTDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネートNDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4 −シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0028】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、架橋剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。
【0029】
すなわち、未反応架橋剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の架橋剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の架橋剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。
【0030】
さらに、本発明によれば、上記の顕色剤、ロイコ染料とともに、前記一般式(1)で表わされるエーテル基含有アミド化合物と、直鎖の炭化水素基やアミド基や尿素基などの水素結合基などをもった慣用の発色消色制御剤を併用して可逆性感熱記録層中に含有させることができる。発色消色制御剤を用いることにより、発色画像の保存安定性が良好であるとともに、消色時の消色性も向上して良好な消去性を得ることができる。
【0031】
また、本発明によれば、可逆性感熱記録層上に架橋状態にある樹脂を含有する保護層を設けることができる。該保護層に用いられる樹脂としては、前述の記録層と同様の熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂が用いられる。
該保護層中に用いる樹脂として、特に好ましくは、紫外線吸収基を分子構造中に有した紫外線吸収性ポリマーが用いられる。
【0032】
紫外線吸収性ポリマーとしては紫外線吸収基を有した単量体と、架橋可能な官能基を有した単量体をもつポリマーが好ましく用いられ、紫外線吸収基を有した単量体としては、(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ω−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール骨格を有した単量体が特に好ましく用いられる。
【0033】
また、官能基を含む単量体としては、例えば2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、なかでもヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレートなどが特に好ましく用いられる。
【0034】
更に塗膜強度アップや耐熱性向上のために、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体に下記に示す単量体を共重合させてもよい。例えば、スチレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソブチレン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、メタクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのモノマー群;アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチルステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステル群;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど1分子中に2個以上の重合性2重結合を有するモノマー群などから挙げられ、特に限定されるものではないが、なかでもスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが特に好ましく用いられる。また、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0035】
以上より、本発明で用いられる紫外線吸収構造を有するポリマーの具体的な好ましい例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールとメタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルとメタクリル酸メチルからなる共重合体などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0036】
さらに、本発明によれば、該保護層中に紫外線吸収能を有する無機微粒子を含有することができる。
本発明に用いられる無機顔料は0.1μm以下の平均粒径を有する顔料ならば任意である。このような無機顔料としては酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物及びこれらの複合酸化物、硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物あるいは硫酸化合物、チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物等が挙げられる。
この中でも特に好ましいのは400nm以下の波長領域に吸収端を有する顔料である。
【0037】
このような顔料は、紫外線UV−A領域、即ち波長320〜400nmの紫外線UV−A領域に吸収端を有する顔料(A)および紫外線UV−A領域より短波長側に吸収端を有する無機顔料(B)の2群に分類できる。本発明では無機顔料(A)あるいは無機顔料(B)を単独で用いることもできるが、無機顔料(A)と無機顔料(B)を併用することにより本発明の効果がより顕著になる。無機顔料(A)あるいは無機顔料(B)を単独で用いる場合にはこれらの顔料を中間層あるいは保護層のいずれかに含有させることができる。また無機顔料(A)と無機顔料(B)を併用する場合にはこれらの顔料を同時に中間層あるいは保護層に含有させることができるが、無機顔料(A)と無機顔料(B)を中間層と保護層に別々に含有させることもできる。この場合無機顔料(A)を中間層に含有させ、無機顔料(B)を保護層に含有させることにより、本発明の効果が一層顕著に発揮される。
無機顔料(A)の具体例としては硫化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化亜鉛、窒化ガリウム等が挙げられる。
【0038】
また無機顔料(B)の具体例としてはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム等が挙げられる。
さらに、本発明においては保護層中にこの種の記録媒体に使用される無機/有機のフィラー、滑剤などを用いてもよい。
【0039】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、可逆性感熱記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、好ましくは60〜150μmで、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。
【0040】
また、これら支持体上にアンダー層を設ける場合、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生が改善される。
該接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。
【0041】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、該可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設け、ラベルの形態である可逆性感熱記録ラベルとすることができる。
この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0042】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。
例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、該可逆性感熱記録媒体を構成する少なくとも感熱記録層を可逆表示部として機能し、それと情報記憶機能のある部材(情報記憶部)と合わせて作製される情報表示記憶部材として用いることができる。
【0044】
次に、該情報表示記憶部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記憶機能のある部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として用い、そこに感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記憶機能のある部材に、別途形成された、支持体上に感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記憶機能のある部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
【0045】
これら(1)、(2)、(3)場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうでありさえすれば情報記憶部の設定位置は目的に応じて任意に選定でき、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱記録層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱記録層との間でも、あるいは感熱記録層上の一部に設けることもできる。
この情報記憶機能のある部材としては、特に限定されないが、一般的なカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットを用いることができる。
【0046】
これらの例としては、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等を挙げることができる。図2乃至図4にその例を示す。
この可逆表示機能と情報記憶機能の双方を有する情報表示記憶部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0047】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。
磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
【0048】
また、前記(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる。
こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0049】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。
さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0050】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
【0051】
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0052】
本発明は、さらに、上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法を提供する。本発明の画像処理方法・装置の1例の概略図を図5に示す。
【0053】
画像の形成は、サーマルヘッド、レーザ等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等やサーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。
この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。
セラミックヒータの設定温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましい。
【0054】
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。
一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。
オーバーライト方式では、画像の形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【実施例】
【0055】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中、部又は%とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
【0056】
実施例1
[感熱記録層の作成]
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア 4部
下記の構造式で表わされるエーテル基含有アミド化合物 0.2部
【0057】
【化4】


アクリルポリオール樹脂(三菱レイヨン社製LR503
固形分濃度50%溶液) 9部
メチルエチルケトン 70部
【0058】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン1.5部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、よく攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の感熱記録層塗布液を、厚さ188μmの白PETにワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約11.0μmの感熱記録層を設けた。
【0059】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマーの40%溶液(日本触媒社製UV−G300) 10部
イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートHX) 1.4部
シリコン系アクリル樹脂(東亞合成社製GS−1015) 0.5部
メチルエチルケトン 10部
以上の組成物をよく撹拌し、保護層塗布液を調整した。
上記組成の保護層塗布液を上記感熱記録層上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、厚さ約3.5μmの保護層を設け本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0060】
実施例2
実施例1で用いたエーテル基含有アミド化合物の代わりに、下記の構造式で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いた他は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0061】
【化5】

【0062】
実施例3
実施例1で用いたエーテル基含有アミド化合物の代わりに、下記の構造式で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いた他は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0063】
【化6】

【0064】
実施例4
実施例1で用いたエーテル基含有アミド化合物の代わりに、下記の構造式で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いた他は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0065】
【化7】

【0066】
比較例1
実施例1で用いたエーテル基含有アミド化合物を用いなかった他は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0067】
比較例2
実施例1で用いたエーテル基含有アミド化合物の代わりに、下記の構造式で表わされる化合物を用いた他は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0068】
【化8】

【0069】
以上のように作製した可逆性感熱記録媒体について、以下のように試験を実施した。
ビーコム社製印字シミュレーターを用い、パルス幅2.0msec、電圧16Vの条件で画像の印字を行ない、印字部の発色濃度および非印字部の地肌濃度をマクベス濃度計RD914を用いて測定した。つぎに得られた発色画像上に7.0V〜15.0Vまで0.5V刻みで電圧を変えて消去を行ない、最も消えた部分を消色濃度として同様に濃度測定し、下記式より消去率を算出した。以上の測定を23℃50%RHと5℃30%RHの環境で行なった。結果を表1に示す。
【0070】
【数1】

【0071】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す図である。
【図2】本発明のラベル形態の可逆性感熱記録媒体をMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す図である。
【図3】本発明のラベル形態の可逆性感熱記録媒体をCD−RW上に貼った例を示す図である。
【図4】本発明のラベル形態の可逆性感熱記録媒体をビデオテープカセットの表示ラベルとして用いた例を示す図である。
【図5】本発明の画像処理方法・装置の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0073】
34 磁気ヘッド
38 セラミックヒータ
40 搬送ローラ
47 搬送ローラ
53 サーマルヘッド




【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、発色消色制御剤として下記一般式(1)で表わされるエーテル基含有アミド化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】


(式中、lは0から22の整数を、mは1から12の整数を、nは6から22の整数を示す。)
【請求項2】
前記可逆性感熱記録層中に、架橋状態にある樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、アクリルポリオール樹脂であることを特徴とする請求項2又は3に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項5】
前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、イソシアネート化合物によって架橋されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
前記可逆性感熱記録層上に保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
前記可逆性感熱記録層上に保護層を設け、該保護層が紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項8】
前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収能を有する無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
情報記憶部を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項10】
前記支持体の可逆性感熱記録層を設けた面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体を用いて、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより、画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
サーマルヘッドを用いて前記可逆性感熱記録層に画像を形成することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備することを特徴とする画像処理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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