説明

可逆性感熱記録媒体及び可逆性感熱記録部材

【課題】本発明は、耐光性に優れる可逆性感熱記録媒体及び該可逆性感熱記録媒体を有する可逆性感熱記録部材を提供することを目的とする。
【解決手段】可逆性感熱記録媒体10は、支持体11上に、可逆性感熱記録層12、ガスバリア層13及び保護層14が順次積層されており、可逆性感熱記録層12は、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含み、ガスバリア層13は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む、第一層13a、第二層13b及び第三層13cが順次積層されており、樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂であり、有機金属化合物は、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆性感熱記録媒体及び該可逆性感熱記録媒体を有する可逆性感熱記録部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した感熱記録媒体が知られている。感熱記録媒体は、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機等の出力用紙とし利用されていることに加え、交通機関の定期券、各種のプリペイドカード、ポイントカード等の磁気カード、ICカード、ICタグとしても利用されている。特に、最近では、環境問題、廃棄物問題等の視点から、書き換えが可能な可逆性感熱記録媒体を利用したカード、タグ、ラベル等の開発が注目されている。
【0003】
特許文献1には、支持体と、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含む可逆性感熱組成物による可逆性感熱記録層と、ポリビニルアルコール系重合体及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む樹脂、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物の少なくともいずれかを含む有機金属化合物、及び無機層状化合物を含むガスバリア層と、ガスバリア層を保護する保護層が順次積層された可逆性感熱記録媒体が開示されている。
【0004】
しかしながら、可逆性感熱記録媒体の耐光性をさらに向上させることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、耐光性に優れる可逆性感熱記録媒体及び該可逆性感熱記録媒体を有する可逆性感熱記録部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体上に、可逆性感熱記録層、ガスバリア層及び保護層が順次積層されており、前記可逆性感熱記録層は、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含み、前記ガスバリア層は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む層が複数層積層されており、前記樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂であり、前記有機金属化合物は、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物である。
【0007】
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部及び可逆表示部を有し、前記可逆表示部は、本発明の可逆性感熱記録媒体を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐光性に優れる可逆性感熱記録媒体及び該可逆性感熱記録媒体を有する可逆性感熱記録部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の第一の実施形態を示す部分断面図である。
【図2】本発明の可逆性感熱記録媒体の第二の実施形態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の可逆性感熱記録媒体の第三の実施形態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の可逆性感熱記録媒体の第四の実施形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明の可逆性感熱記録媒体の第五の実施形態を示す部分断面図である。
【図6】図1の可逆性感熱記録媒体に画像を形成する方法を示す部分断面図である。
【図7】図1の可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する方法を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0011】
図1に、本発明の可逆性感熱記録媒体の第一の実施形態を示す。可逆性感熱記録媒体10は、シート状の支持体11上に、可逆性感熱記録層12、ガスバリア層13及び保護層14が順次積層されている。
【0012】
ガスバリア層13は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む。このため、可逆性感熱記録層12に酸素が侵入することによる可逆性感熱記録層12の褪色及び変色を抑制することができる。
【0013】
このとき、ガスバリア層13は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む、第一層13a、第二層13b及び第三層13cが順次積層されている。このため、ガスバリア性を向上させることができる。その結果、可逆性感熱記録媒体10の耐光性が向上し、可逆性感熱記録層12の褪色及び変色を長期間抑制することができる。
【0014】
なお、ガスバリア層13の代わりに、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む層が二層又は四層以上積層されているガスバリア層を形成してもよい。
【0015】
ガスバリア層13の厚さは、通常、0.1〜10μmであり、0.3〜5μmが好ましい。ガスバリア層13の厚さが0.1μm未満であると、ガスバリア性が不十分となることがあり、10μmを超えると、可逆性感熱記記録層12の熱感度が低下することがある。
【0016】
樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂である。
【0017】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの誘導体、変性ポリビニルアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0018】
ポリビニルアルコールの誘導体としては、水酸基の40mol%程度までがアセタール化されているポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0019】
変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシル基、アミノ基等の変性基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0020】
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、100〜5000であり、500〜3000が好ましい。
【0021】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、60mol%以上であり、75mol%以上が好ましい。
【0022】
エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン、酢酸ビニル及びその他のビニルモノマーの共重合体をケン化して得られる樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0023】
エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂のエチレン由来の構成単位の含有量は、通常、20〜60mol%である。エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂のエチレン由来の構成単位の含有量が20mol%未満であると、高湿度下におけるガスバリア層13のガスバリア性が低下することがあり、60mol%を超えると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがある。
【0024】
エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂のケン化度は、通常、95mol%以上である。エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂のケン化度が95mol%未満であると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがある。
【0025】
エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂としては、溶解安定性の点で、過酸化物等により処理して低分子量化させた末端変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
【0026】
有機金属化合物は、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物である。これにより、ガスバリア層13の耐水性及び密着性を向上させることができる。
【0027】
有機ジルコニウム化合物としては、特に限定されないが、一般式
Zr(OR)(X)4−n
(式中、Rは、有機基であり、Xは、配位子であり、nは、0〜3の整数である。)
で表されるジルコニウムキレート、一般式
Zr(OR(OCOR4−n
(R及びRは、それぞれ独立に、有機基であり、nは、0〜3の整数である。)
で表されるジルコニウムアシレート、一般式
Zr(OR)
(式中、Rは、有機基である。)
で表されるジルコニウムアルコキシド等が挙げられる。
【0028】
ジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0029】
ジルコニウムアシレートとしては、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。
【0030】
ジルコニウムアルコキシドとしては、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0031】
有機チタン化合物としては、特に限定されないが、一般式
Ti(OR)(X)4−n
(式中、Rは、有機基であり、Xは、配位子であり、nは、0〜3の整数である。)
で表されるチタンキレート、一般式
Ti(OR(OCOR4−n
(式中、R及びRは、有機基であり、nは、0〜3の整数である。)
で表されるチタンアシレート、一般式
Ti(OR)
(式中、Rは、有機基である。)
で表されるチタンアルコキシド等が挙げられる。
【0032】
チタンキレートとしては、チタンアセチルアセテート、トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタンラクテート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等が挙げられる。
【0033】
チタンアシレートとしては、ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロポキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0034】
チタンアルコキシドとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート等が挙げられる。
【0035】
有機金属化合物は、耐水性及び密着性の点で、キレート化合物又はアシレート化合物であることが好ましい。
【0036】
ガスバリア層13の最外層以外の層、即ち、第二層13b中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量は、通常、0.10〜10質量%であり、0.20〜8.0質量%が好ましく、0.50〜5.0質量%がさらに好ましい。第二層13b中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量が0.10質量%未満であると、第一層13a、第二層13b及び第三層13cの層間の密着性、即ち、ガスバリア層13の層内の密着性が低下することがあり、10質量%を超えると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがある。
【0037】
この場合、ガスバリア層13の最外層、即ち、第一層13a(第三層13c)は、最外層以外の層、即ち、第二層13bよりも、有機金属化合物に含まれる金属の含有量が大きいことが好ましい。これにより、ガスバリア層13のガスバリア性及び隣接する可逆性感熱記録層12及び保護層14との間の密着性、即ち、層間の密着性を向上させることができる。
【0038】
このとき、第二層13b中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量に対する第一層13a(第三層13c)中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量の比は、通常、1.5〜5であり、2〜3が好ましい。第二層13b中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量に対する第一層13a(第三層13c)中の有機金属化合物に含まれる金属の含有量の比が1.5未満であると、ガスバリア層13の層間の密着性が低下することがあり、5を超えると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがある。
【0039】
なお、金属の含有量は、エネルギー分散型X線分析装置を用いて測定することができる。
【0040】
無機層状化合物としては、ガスバリア層13中に配向してガスバリア性を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、フィロケイ酸塩の1:1構造をもつカオリナイト族、ジャモン石群に属するアンチゴライト族、スメクタイト族、含水ケイ酸塩鉱物であるバーミキュライト族、マイカ族等が挙げられる。
【0041】
無機層状化合物の具体例としては、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石、鱗片状シリカ等の天然物、合成雲母、物理的処理又は化学的処理されている雲母等の合成品が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ガスバリア層13のガスバリア性の点で、モンモリロナイト又は雲母が好ましい。
【0042】
無機層状化合物は、分散媒中で膨潤し、へき開することが好ましい。
【0043】
無機層状化合物の長さ及び幅は、それぞれ、通常、5nm〜5μmであり、10nm〜3μm好ましい。無機層状化合物の長さ又は幅が5nm未満であると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがあり、5μmを超えると、ガスバリア層13で混合むらが発生することがある。
【0044】
無機層状化合物の厚さに対する長さの比は、通常、10〜10000であり、50〜5000が好ましい。無機層状化合物の厚さに対する長さの比が10未満であると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがあり、10000を超えると、ガスバリア層13で混合むらが発生することがある。
【0045】
樹脂に対する無機層状化合物の質量比は、通常、5/95〜50/50であり、10/90〜35/65が好ましい。樹脂に対する無機層状化合物の質量比が5/95未満であると、ガスバリア層13のガスバリア性が低下することがあり、50/50を超えると、ガスバリア層13の層間の密着性が低下することがある。
【0046】
ガスバリア層13は、密着性向上剤をさらに含んでいてもよい。
【0047】
密着性向上剤としては、特に限定されないが、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0048】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基及び/又はイミノ基を有するアルコキシシラン;トリエトキシシリルプロピルイソシアネート等のイソシアネートアルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するアルコキシシラン等が挙げられる。中でも、ガスバリア層13に隣接する層の有機残基との反応速度の点で、アミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物又はメルカプト基を有するトリアルコキシシラン化合物が好ましく、ガスバリア層13の無機層状化合物との反応速度の点で、トリメトキシシランがさらに好ましい。
【0049】
アジリジン化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−アジリジニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス[3−(2−メチルアジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(2−アジリジニルブチレート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、ペンタエリスリトールトリス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、1,6−ビス(1−アジリジノカルバモイル)ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0050】
イソシアネート化合物としては、水添トルエンジイソシアネート(水添TDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水添4,4'−ジイソシアネートジフェニルメタン(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネート;これらの誘導体であるビュレット型、イソシアヌレート型、アダクト型等の3官能以上のポリイソシアネート;イソシアネート基を有する各種のオリゴマー、ポリマー等の脂肪族系イソシアネート化合物;フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4'−ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)等の芳香族ジイソシアネート;これらの誘導体であるビュレット型、イソシアヌレート型、アダクト型等の3官能以上のポリイソシアネート;イソシアネート基を有する各種のオリゴマー、ポリマー等の芳香族系イソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、水との反応を抑制する点で、イソシアネート化合物の骨格に親水性基を導入した自己乳化型のポリイソシアネート化合物が好ましく、疎水基をさらに導入した自己乳化型のポリイソシアネート化合物がさらに好ましい。
【0051】
カルボジイミド化合物としては、自己乳化型のカルボジイミド化合物が好ましい。中でも、安定性及び熱硬化性のバランスの点で、イソシアナート基を末端に有するカルボジイミド化合物とポリオール化合物を反応させた後、親水性オリゴマーで末端を変性して得られる化合物が好ましい。
【0052】
ガスバリア層13の第一層13a、第二層13b及び第三層13cは、可逆性感熱記録層12上に、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む組成物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を塗布することにより形成することができる。
【0053】
塗布液を塗布する方法としては、無機層状化合物を配向させることが可能であれば、特に限定されないが、グラビアシリンダー等を用いたロールコーティング法、ドクターナイフ法、エアーナイフ・ノズルコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0054】
塗布液を調製する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂と有機金属化合物を溶媒中に溶解させた液に、無機層状化合物を添加し、攪拌装置又は分散装置を用いて、無機層状化合物を分散させる方法(無機層状化合物は、水等の分散媒を用いて予め膨潤・へき開させてもよい)。
(2)無機層状化合物を、水等の分散媒を用いて膨潤・へき開させた後、攪拌装置又は分散装置を用いて分散させた液に、樹脂と有機金属化合物を溶媒中に溶解させた液を添加する方法。
【0055】
なお、密着性向上剤を添加する場合は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物の分散を調製した後に添加してもよい。
【0056】
また、無機層状化合物が天然物である場合には、不純物無機金属イオンによるガスバリア層13の酸化劣化を抑制するために、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属塩又はアルカリ金属塩を添加することが好ましい。
【0057】
溶媒としては、樹脂と有機金属化合物を溶解させることが可能であれば、特に限定されないが、水、水と炭素数が2〜4のアルコールの混合溶媒等が挙げられる。
【0058】
炭素数が2〜4のアルコールとしては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールが好ましい。
【0059】
攪拌装置又は分散装置としては、無機層状化合物を分散させることが可能であれば、特に限定されないが、高圧分散機、超音波分散機等が挙げられる。
【0060】
高圧分散機としては、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、マイクロフルイタイザー(マイクロフライデックス社製)、アルチマイザー(スギノマシン社製)、DeBee(Bee社製)、ニロ・ソアビホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)等が挙げられる。
【0061】
高圧分散機の圧力条件は、通常、1〜100MPaである。高圧分散機の圧力条件が1MPa未満であると、無機層状化合物の分散が不十分になることがあり、100MPaを超えると、無機層状化合物が破砕することがある。
【0062】
なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂を用いる場合、過酸化物等により処理して低分子量化させた末端変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を、水と炭素数が2〜4のアルコールの混合溶媒中に溶解させて塗布液を調製することが好ましい。
【0063】
この場合、混合溶媒中の炭素数が2〜4のアルコールの含有量は、通常、15〜50質量%である。混合溶媒中の炭素数が2〜4のアルコールの含有量が15質量%未満であると、末端変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体の溶解性が低下することがあり、50質量%を超えると、無機層状化合物のへき開が不十分になることがある。
【0064】
支持体11としては、特に限定されないが、紙、PETフィルム等の樹脂製のフィルム、樹脂製のシート、合成紙、金属箔、ガラス板等が挙げられる。
【0065】
なお、支持体11は、複数の支持体が貼り合わされている複合体であってもよい。
【0066】
支持体11の厚さは、通常、数μm程度〜数mm程度である。例えば、PETフィルムの厚さは、通常、10μm以上であり、30μm以上が好ましく、50μm以上がさらに好ましい。
【0067】
支持体11は、ガスバリア性を有することが好ましい。ここで、支持体11のガスバリア性が不十分である場合は、支持体11の可逆性感熱記録層12が形成されていない側の面に、ガスバリア層13を形成してもよい。
【0068】
支持体11は、可逆性感熱記録層12が形成されている側の面、可逆性感熱記録層12が形成されている側とは反対側の面、内部等に、磁気記録層、ICチップを有していてもよい。
【0069】
なお、可逆性感熱記録層12が自己支持性である場合は、可逆性感熱記録層12が支持体11を兼ねる。
【0070】
可逆性感熱記録層12は、バインダ樹脂、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含み、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより、発色状態が変化する。このとき、可逆性感熱記録媒体12は、発色及び消色が可逆的である。
【0071】
なお、可逆性感熱記録層12は、バインダ樹脂の溶融又は固化により、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を発色又は消色させる。
【0072】
電子供与性呈色性化合物としては、特に限定されないが、無色又は淡色の染料前駆体、フルオラン系化合物、トリフェニルメタンフタリド系化合物、アザフタリド系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物等が挙げられる。
【0073】
フルオラン系化合物としては、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン等が挙げられる。
【0074】
アザフタリド系化合物としては、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド等が挙げられる。
【0075】
無色又は淡色の染料前駆体としては、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0076】
電子供与性呈色性化合物の平均粒子径は、通常、0.05〜0.7μmであり、0.1〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.3μmがさらに好ましい。これにより、可逆性感熱記録層12の発色性を向上させることができる。
【0077】
なお、電子供与性呈色性化合物の平均粒子径は、レーザ解析・散乱法を用いて測定することができる。
【0078】
電子供与性呈色性化合物は、必要に応じて、分散剤及び/又は界面活性剤を添加することにより、分散させることができる。
【0079】
分散剤及び/又は界面活性剤の添加量は、電子供与性呈色性化合物に対して、通常、5〜20質量%である。
【0080】
電子供与性呈色性化合物を分散させる分散装置としては、特に限定されないが、ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ジェットミル等が挙げられる。中でも、ボール等のメディアを用いる方式が好ましく、直径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いる方式、又は、直径が0.5〜1.0mmのジルコニアメディアを用いて粗粉砕した後、直径が0.5mm以下のジルコニアメディアを用いる方式がさらに好ましい。
【0081】
電子受容性化合物としては、電子供与性呈色性化合物を発色させることが可能であれば、特に限定されないが、有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、フェノール化合物、メルカプト酢酸の金属塩、リン酸エステル等が挙げられる。
【0082】
電子受容性化合物は、発色濃度及び消去特性の点で、一般式
【0083】
【化1】

(式中、lは、0〜2の整数であり、mは、0又は1であり、nは、1〜3の整数であり、X及びYは、それぞれ独立に、N又はOを含む二価基であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数が2以上のアルキレン基であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数が1以上のアルキル基である。)
で表される化合物が好ましい。
【0084】
一般式(1)において、R及びRにおける脂肪族炭化水素基は、直鎖及び分枝鎖のいずれであってもよく、不飽和結合を有していてもよい。
【0085】
脂肪族炭化水素基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0086】
及びRの炭素数の和は、8以上であることが好ましく、11以上がさらに好ましい。R及びRの炭素数の和が7以下であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
【0087】
における脂肪族炭化水素基としては、以下の一般式で表される基が挙げられる。
【0088】
【化2】

(式中、q、q'、q''及びq'''は、それぞれ、脂肪族炭化水素基の炭素数を満たす整数である。)
中でも、一般式
−(CH)q−
で表される基が好ましい。
【0089】
における脂肪族炭化水素基としては、以下の一般式で表される基が挙げられる。
【0090】
【化3】

(式中、q、q'及びq''は、それぞれ、脂肪族炭化水素基の炭素数を満たす整数である。)
中でも、一般式
−(CH)q−CH
で表される基が好ましい。
【0091】
X及びYは、それぞれ独立に、以下の化学式で表される基を1個以上有することが好ましい。
【0092】
【化4】

X及びYの具体例としては、以下の化学式で表される基が挙げられる。
【0093】
【化5】

中でも、以下の化学式で表される基が好ましい。
【0094】
【化6】

一般式(1)で表される化合物としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【化7】

(式中、rは、2以上の整数であり、sは、1以上の整数である。)
電子受容性化合物の平均粒子径は、通常、0.1〜2.5μmであり、0.5〜2.0μmが好ましい。これにより、可逆性感熱記録層12の発色性を向上させることができる。
【0096】
なお、電子受容性化合物の平均粒子径は、レーザ解析・散乱法を用いて測定することができる。
【0097】
電子受容性化合物は、必要に応じて、電子供与性呈色性化合物と共に、分散剤及び/又は界面活性剤を添加することにより、分散させることができる。
【0098】
電子供与性呈色性化合物に対する電子受容性化合物のモル比は、通常、0.1〜20であり、0.2〜10が好ましい。電子供与性呈色性化合物に対する電子受容性化合物のモル比が0.1未満である場合又は20を超える場合は、可逆性感熱記録層12の発色濃度が低下することがある。
【0099】
なお、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物は、マイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0100】
可逆性感熱記録層12中の電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物に対するバインダ樹脂のモル比が0.1〜10であることが好ましい。可逆性感熱記録層12中の電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物に対するバインダ樹脂のモル比が0.1未満であると、可逆性感熱記録層12の熱強度が低下することがあり、10を超えると、可逆性感熱記録層12の発色濃度が低下することがある。
【0101】
バインダ樹脂としては、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を分散させることが可能であれば、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類等が挙げられる。中でも、耐熱性の点で、硬化剤により硬化している熱硬化性樹脂が好ましい。
【0102】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
【0103】
アクリルポリオール樹脂を構成する水酸基を有するモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1−ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)等が挙げられる。中でも、塗膜のワレ抵抗性や耐久性の点で、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0104】
硬化剤としては、特に限定されないが、イソシアネート類等が挙げられる。
【0105】
イソシアネート類としては、イソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックイソシアネート等が挙げられる。
【0106】
変性体を構成するイソシアネート単量体としては、特に限定されないが、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
【0107】
可逆性感熱記録層12は、硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化を促進することができる。
【0108】
硬化促進剤としては、特に限定されないが、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、有機スズ化合物等の金属化合物等が挙げられる。
【0109】
可逆性感熱記録層12は、消色促進剤をさらに含んでいてもよい。
【0110】
消色促進剤としては、特に限定されないが、発色濃度及び消去特性の点から、アミド基、ウレタン基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等を有する化合物が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アミド基、2級アミド基、ウレタン基を有する化合物が好ましい。具体例としては、以下の一般式又は化学式で表される化合物が挙げられる。
【0111】
【化8】

(式中、n、n'、n''、n'''及びn''''は、それぞれ独立に、0〜21の整数である。ただし、化合物に含まれるn、n'、n''、n'''及びn''''の全てが5以下であることはない。)
【0112】
【化9】

(式中、n、n'、n''、n'''及びn''''は、それぞれ独立に、0〜21の整数である。ただし、化合物に含まれるn、n'、n''、n'''及びn''''の全てが5以下であることはない。Xとしては、化学式
【0113】
【化10】

で表される基が挙げられる。)
【0114】
【化11】

1123CONHC1225、C1531CONHC1633、C1735CONHC1837、C1735CONHC1835、C2141CONHC1837、C1531CONHC1837、C1735CONHCHNHCOC1735、C1123CONHCHNHCOC1123、C15CONHCNHCOC1735、C19CONHCNHCOC19、C1123CONHCNHCOC1123、C1735CONHCNHCOC1735、(CHCHC1435CONHCNHCOC1435(CH、C2143CONHCNHCOC2143、C1735CONHC12NHCOC1735、C2143CONHC12NHCOC2143、C1733CONHCHNHCOC1733、C1733CONHCNHCOC1733、C2141CONHCNHCOC2141、C1733CONHC12NHCOC1733、C17NHCOCCONHC1837、C1021NHCOCCONHC1021、C1225NHCOCCONHC1225、C1837NHCOCCONHC1837、C2143NHCOCCONHC2143、C1837NHCOC12CONHC1837、C1835NHCOCCONHC1835、C1835NHCOC16CONHC1835、C1225OCONHC1837、C1327OCONHC1837、C1633OCONHC1837、C1837OCONHC1837、C2143OCONHC1837、C1225OCONHC1633、C1327OCONHC1633、C1633OCONHC1633、C1837OCONHC1633、C2143OCONHC1633、C1225OCONHC1429、C1327OCONHC1429、C1633OCONHC1429、C1837OCONHC1429、C2245OCONHC1429、C1225OCONHC1237、C1327OCONHC1237、C1633OCONHC1237、C1837OCONHC1237、C2143OCONHC1237、C2245OCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOC12OCONHC1837、C1837NHCOOC16OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOC1224OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOC12OCONHC1633、C1633NHCOOC16OCONHC1633、C1837OCONHC12NHCOOC1837、C1633OCONHC12NHCOOC1633、C1429OCONHC12NHCOOC1429、C1225OCONHC12NHCOOC1225、C1021OCONHC12NHCOOC1021、C17OCONHC12NHCOOC17
【0115】
【化12】

電子受容性化合物に対する消色促進剤の質量比は、通常、0.001〜3であり、0.03〜1が好ましい。
【0116】
可逆性感熱記録層12は、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤等をさらに含んでいてもよい。
【0117】
可逆性感熱記録層12の厚さは、通常、1〜20μmであり、3〜15μmが好ましい。可逆性感熱記録層12の厚さが1μm未満であると、発色の際のコントラストが不十分となることがあり、20μmを超えると、可逆性感熱記録層12の熱感度が低下することがある。
【0118】
可逆性感熱記録層12は、支持体11上に、バインダ樹脂としての非硬化性樹脂及び/又はバインダ樹脂の前駆体としての熱硬化性樹脂と、電子供与性呈色性化合物と、電子受容性化合物を含む組成物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を塗布することにより形成することができる。
【0119】
溶媒としては、特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類等が挙げられる。
【0120】
塗布液を調製する装置としては、特に限定されないが、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等が挙げられる。
【0121】
塗布液を調製する方法としては、特に限定されないが、組成物に含まれる各成分をそれぞれ溶媒中で分散又は溶解させた後、混合する方法、組成物を溶媒中で分散又は溶解させる方法、組成物を溶媒中で加熱して溶解させた後、冷却して析出させる方法等が挙げられる。
【0122】
塗布液を塗布する方法としては、特に限定されないが、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、エアナイフ塗布法、ビード塗布法、カーテン塗布法、グラビア塗布法、キス塗布法、リバースロール塗布法、ディップ塗布法、ダイ塗布法等が挙げられる。
【0123】
塗布液が熱硬化性樹脂を含む場合、塗布液を塗布した後、恒温槽等を用いて、加熱することが好ましい。加熱条件は、通常、30〜130℃程度で1分間〜150時間程度であり、40〜100℃で2分間〜120時間程度が好ましい。
【0124】
保護層14は、紫外線硬化している紫外線硬化性樹脂、電子線硬化している電子線硬化性樹脂又は硬化剤により熱硬化している熱硬化性樹脂を含む。
【0125】
紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマー、アクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等の単官能又は多官能のモノマーが挙げられる。
【0126】
なお、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤を併用してもよい。
【0127】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
【0128】
硬化剤としては、特に限定されないが、イソシアネート系化合物等が挙げられる。
【0129】
イソシアネート系化合物としては、特に限定されないが、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
【0130】
保護層14は、有機フィラー、無機フィラー、紫外線吸収剤、滑剤、着色顔料等をさらに含んでもよい。
【0131】
有機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0132】
無機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物等が挙げられる。
【0133】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
【0134】
滑剤としては、特に限定されないが、合成ワックス類、植物性ワックス類、動物性ワックス類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類、アミド類等が挙げられる。
【0135】
保護層14の厚さは、通常、0.1〜10μmである。
【0136】
図2に、本発明の可逆性感熱記録媒体の第二の実施形態を示す。可逆性感熱記録媒体20は、ガスバリア層13と保護層14の間に、プライマー層21がさらに形成されている以外は、可逆性感熱記録媒体10と同一の構成である。
【0137】
プライマー層21は、硬化剤により熱硬化している熱硬化性樹脂を含む。
【0138】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、ポリビニルブチラール、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリオール樹脂が好ましい。
【0139】
硬化剤としては、特に限定されないが、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0140】
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
【0141】
プライマー層21の厚さは、通常、0.1〜3μmであり、0.2〜2μmが好ましい。プライマー層21の厚さが0.1μm未満であると、ガスバリア層13と保護層14との密着性が低下することがあり、3μmを超えると、可逆性感熱記録媒体10の厚さが大きくなることがある。
【0142】
プライマー層21は、ガスバリア層13上に、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む組成物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を塗布した後、硬化することにより形成することができる。
【0143】
図3に、本発明の可逆性感熱記録媒体の第三の実施形態を示す。可逆性感熱記録媒体30は、可逆性感熱記録層12とガスバリア層13の間に、アンカー層31がさらに形成されている以外は、可逆性感熱記録媒体20と同一の構成である。
【0144】
アンカー層31は、硬化剤により熱硬化している熱硬化性樹脂を含む。
【0145】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、ポリビニルブチラール、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリオール樹脂が好ましい。
【0146】
硬化剤としては、特に限定されないが、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0147】
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
【0148】
アンカー層31の厚さは、通常、0.1〜3μmであり、0.2〜2μmが好ましい。アンカー層31の厚さが0.1μm未満であると、可逆性感熱記録層12とガスバリア層13との密着性が低下することがあり、3μmを超えると、可逆性感熱記録媒体10の厚さが大きくなることがある。
【0149】
アンカー層31は、可逆性感熱記録層12上に、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む組成物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を塗布した後、硬化することにより形成することができる。
【0150】
図4に、本発明の可逆性感熱記録媒体の第四の実施形態を示す。可逆性感熱記録媒体40は、支持体11と可逆性感熱記録層12の間に、アンダーコート層41がさらに形成されている以外は、可逆性感熱記録媒体30と同一の構成である。
【0151】
アンダーコート層41は、バインダ樹脂及び中空粒子を含む。これにより、可逆性感熱記録層12を加熱する際に、支持体11への熱の伝達を抑制することができる。
【0152】
バインダ樹脂としては、支持体11と可逆性感熱記録層12の間の密着性を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリルエステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリルエステル共重合体、アクリルエステル樹脂、ポリウレタン、完全けん化ポリビニルアルコール、カルボキシル変成ポリビニルアルコール、部分けん価ポリビニルアルコール、スルホン酸変成ポリビニルアルコール、シリル変成ポリビニルアルコール、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0153】
中空粒子としては、アンダーコート層41の断熱性を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、アクリロニトリル樹脂、メタアクリロニトリル樹脂等の熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気等の気体を含む微小中空粒子が挙げられる。
【0154】
中空粒子の平均粒子径は、通常、0.4〜10μmである。中空粒子の平均粒子径が0.4μm未満であると、中空粒子の中空率を制御することが困難になることがあり、10μmを超えると、可逆性感熱記録媒体30の表面の平滑性が低下することがある。
【0155】
なお、中空粒子の平均粒子径は、レーザ解析・散乱法を用いて測定することができる。
【0156】
中空粒子の中空率は、通常、30〜98%であり、70〜98%が好ましく、90〜98%がさらに好ましい。
【0157】
なお、中空率とは、外径に対する内径の比であり、顕微鏡写真で観察される中空粒子毎に、同じ方向の内径と外径を測定することにより算出することができる。このとき、中空率は、100μm四方以上の面積上に敷きつめたように分散している中空粒子の中空率の平均値である。
【0158】
中空粒子の具体例は、特開2005−199704号公報に記載されている。
【0159】
アンダーコート層41は、着色されていてもよい。これにより、支持体11の可逆性感熱記録層12が形成されている側の色に対する制限が無くなる。
【0160】
アンダーコート層41は、支持体11上に、バインダ樹脂及び中空粒子を含む塗布液を塗布することにより形成することができる。
【0161】
なお、アンダーコート層41は、支持体11上に、ウレタン系の材料等の前駆体を含む塗布液を塗布した後、発泡させることにより形成してもよい。
【0162】
図5に、本発明の可逆性感熱記録媒体の第五の実施形態を示す。可逆性感熱記録媒体50は、可逆性感熱記録層12とアンカー層31の間に、紫外線吸収層51がさらに形成されている以外は、可逆性感熱記録媒体40と同一の構成である。
【0163】
紫外線吸収層51は、アンカー層31に含まれる硬化剤により熱硬化している熱硬化性樹脂及びフィラーを含む。
【0164】
フィラーとしては、特に限定されないが、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0165】
無機フィラーを構成する材料としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ等が挙げられる。
【0166】
有機フィラーを構成する材料としては、シリコーン樹脂、セルロース、エポキシ樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニリデン/アクリル共重合体、アクリルウレタン樹脂、エチレン/アクリル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド縮合物、メラミン/ホルムアルデヒド縮合物等のホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0167】
フィラーの形状としては、特に限定されないが、球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
【0168】
紫外線吸収層51中のフィラーの含有量は、通常、5〜50体積%である。
【0169】
紫外線吸収層51の厚さは、通常、0.1〜20μmである。紫外線吸収層51の厚さが0.1μm未満であると、紫外線の吸収が不十分になることがあり、20μmを超えると、可逆性感熱記録媒体40の熱伝導性が低下することがある。
【0170】
紫外線吸収層51は、可逆性感熱記録層12上に、熱硬化性樹脂、硬化剤及びフィラーを含む組成物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を塗布した後、硬化することにより形成することができる。
【0171】
可逆性感熱記録層12、ガスバリア層13、プライマー層21、アンカー層31は、紫外線吸収層51と同様のフィラーをさらに含んでいてもよい。
【0172】
各層中のフィラーの含有量は、通常、5〜50体積%である。
【0173】
可逆性感熱記録層12、ガスバリア層13、プライマー層21、アンカー層31は、滑剤をさらに含んでいてもよい。
【0174】
滑剤としては、特に限定されないが、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類;硬化ひまし油等の植物性ワックス類;牛脂硬化油等の動物性ワックス類;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類;ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類等が挙げられる。
【0175】
各層中の滑剤の含有量は、通常、0.1〜95体積%であり、1〜75体積%が好ましい。
【0176】
なお、本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体上に、可逆性感熱記録層、ガスバリア層及び保護層が順次積層されており、プライマー層、アンカー層、アンダーコート層、紫外線吸収層等がさらに形成されていてもよい。
【0177】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体の可逆性感熱記録層が形成されていない側の面に粘着層が形成されていてもよい。これにより、本発明の可逆性感熱記録媒体を他の媒体に貼り付けることができる。
【0178】
さらに、本発明の可逆性感熱記録媒体は、裏面に、バックコート層が形成されており、表面に、剥離層、保護層、ガスバリア層、可逆性感熱記録層及びアンダーコート層が順次積層されているPETフィルム等から、熱転写プリンタを用いて、支持体に転写させることにより、製造してもよい。
【0179】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、シート状又はカード状に加工されていてもよい。
【0180】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体の表面又は裏面に、印刷加工を施すことができる。
【0181】
さらに、本発明の可逆性感熱記録媒体は、両面に可逆性感熱記録層、ガスバリア層及び保護層が順次積層されていてもよいし、非可逆の感熱記録層を併用してもよい。このとき、それぞれの感熱記録層の発色の色調は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0182】
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部を有し、可逆表示部は、本発明の可逆性感熱記録媒体を有する。例えば、可逆表示部と、磁気記録層、ICメモリ等の情報記憶部が設けられている磁気カード、ICカード等のカードは、情報記憶部の記憶情報の一部を可逆表示部に表示することができる。これにより、カードの所有者は、カードを見るだけで情報を確認することができる。また、情報記憶部の内容を書き換える時に、可逆表示部の表示を書き換えることにより、カードを繰り返し使用することができる。
【0183】
本発明の可逆性感熱記録部材としては、情報記録部を有する部材の一部が可逆性感熱記録媒体の支持体を兼ねるもの、情報記録部を有する部材に、可逆性感熱記録媒体が接着されているものが挙げられる。
【0184】
このとき、情報記憶部は、可逆性感熱記録層が形成されている側と反対側の面に設けてもよいし、支持体と可逆性感熱記録層の間に設けてもよいし、可逆性感熱記録層上の一部に設けてもよい。
【0185】
情報記憶部としては、特に限定されないが、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等が挙げられる。特に、カードサイズよりも大きなサイズのシート媒体では、ICメモリ、RF−IDタグが好ましい。
【0186】
なお、RF−IDタグは、ICチップと、ICチップに接続したアンテナから構成されている。
【実施例】
【0187】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例により制限されない。なお、部は、質量部を意味する。
【0188】
(実施例1)
[アンダーコート層用塗布液の調製]
スチレン−ブタジエン系共重合体PA−9159(日本エイアンドエル社製)30部、ポリビニルアルコールのポバールPVA103(クラレ社製)12部、中空粒子のマイクロスフェアーR−300(松本油脂社製)20部及び水40部を均一状態になるまで約1時間撹拌して、アンダーコート層用塗布液を得た。
【0189】
[可逆性感熱記録層用塗布液の調製]
化学式
【0190】
【化13】

で表される電子受容性化合物3部、ジアルキル尿素のハクリーンSB(日本化成社製)1部、アクリルポリオールの50質量%メチルエチルケトン溶液LR327(三菱レイヨン社製)9部及びメチルエチルケトン70部を、ボールミルを用いて、平均粒径が1μmになるように粉砕した。次に、電子供与性呈色体化合物の2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン1部及びポリイソシアネートのコロネートHL(日本ポリウレタン社製)3部を加えた後、撹拌して、可逆性感熱記録層用塗布液を得た。
【0191】
[紫外線吸収層用塗布液の調製]
水酸基価が39mgKOH/gの紫外線吸収性ポリマーの40質量%溶液UV−A11(日本触媒社製)20部、イソシアネート化合物D−110N(三井武田ポリウレタン社製)2部及びメチルエチルケトン18部を、ボールミルを用いて撹拌して、紫外線吸収層用塗布液を得た。
【0192】
[アンカー層用塗布液の調製]
酢酸エチル125部、ポリエステルポリオールのタケラックA−3210(三井化学ポリウレタン社製)15部及びイソシアネート化合物のタケネートA−3070(三井化学ポリウレタン社製)10部を混合し、アンカー層用塗布液を得た。
【0193】
[ガスバリア層用塗布液の調製]
精製水30部、イソプロピルアルコール30部及びエチレン−ビニルアルコール共重合体のソアノールD−2908(日本合成化学工業社製)30部を混合した後、30質量%の過酸化水素水10部を加え、攪拌しながら、80℃に昇温し、約2時間反応させた。次に、冷却した後、カタラーゼを3000ppmになるように添加して、過酸化水素を除去し、30質量%のエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を得た。
【0194】
水95部に、モンモリロナイトのクニピアF(クニミネ工業社製)5部を攪拌しながら加え、高速攪拌機を用いて分散させた後、40℃で1日間保温し、5質量%の無機層状化合物分散液を得た。
【0195】
水30.35部、n−プロピルアルコール30.35部、エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液15.7部を混合した後、無機層状化合物分散液23.6部を攪拌しながら加えた。次に、陽イオン交換樹脂粒子3部を加え、1時間攪拌して、陽イオンを除去した後、陽イオン交換樹脂粒子のみをストレーナで濾別した。さらに、水酸化マグネシウム0.06部を加え、高圧分散装置を用いて、圧力を50MPaに設定して分散させた後、300メッシュのフィルターを用いて濾過し、5.9質量%の濾液を得た。得られた濾液10部に、チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)0.008部を攪拌しながら添加し、ガスバリア層用塗布液を得た。
【0196】
[プライマー層用塗布液の調製]
メチルエチルケトン15部、イソプロピルアルコール10部、酢酸エチル25部及びポリビニルブチラールのエスレックBL−1(積水化学社製)50部を混合した後、イソシアネート化合物のラミオールR硬化剤(サカタインクス社製)3部を加えて混合し、プライマー層用塗布液を得た。
【0197】
[保護層用塗布液の調製]
ペンタエリスルトールヘキサアクリレートKAYARAD DPHA(日本化薬社製)3部、ウレタンアクリレートオリゴマーのアートレジンUN−3320HA(根上工業社製)3部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステルKAYARAD DPCA−120(日本化薬社製)3部、シリカP−526(水澤化学工業社製)1部、光重合開始剤イルガキュア184(日本チバガイギー社製)0.5部、滑剤ST102PA(東レダウ社製)0.001部及びイソプロピルアルコール11部を、ボールミルを用いて、平均粒径が3μmになるように分散させ、保護層用塗布液を得た。
【0198】
[可逆性感熱記録媒体の作製]
ワイヤーバーを用いて、厚さが100μmの白濁ポリエステルフィルムのテトロンフィルムU2L98W(帝人デュポン社製)上に、アンダーコート層用塗布液を塗布した後、80℃で2分間乾燥させ、厚さが20μmのアンダーコート層を形成した。
【0199】
次に、ワイヤーバーを用いて、アンダーコート層上に、可逆性感熱記録層用塗布液を塗布した後、100℃で2分間乾燥させ、60℃で24時間硬化させ、厚さが11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0200】
次に、ワイヤーバーを用いて、可逆性感熱記録層上に、紫外線吸収層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが2μmの紫外線吸収層を形成した。
【0201】
次に、ワイヤーバーを用いて、紫外線吸収層上に、アンカー層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが0.7μmのアンカー層を形成した。
【0202】
次に、ワイヤーバーを用いて、アンカー層上に、ガスバリア層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが0.2μmのガスバリア層(第一層)を形成した。ガスバリア層(第一層)は、Tiの含有量が0.10質量%であった。
【0203】
次に、ワイヤーバーを用いて、ガスバリア層(第一層)上に、ガスバリア層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが0.8μmのガスバリア層(第二層)を形成した。ガスバリア層(第二層)は、Tiの含有量が0.10質量%であった。
【0204】
次に、ワイヤーバーを用いて、ガスバリア層(第二層)上に、ガスバリア層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが0.2μmのガスバリア層(第三層)を形成した。ガスバリア層(第三層)は、Tiの含有量が0.10質量%であった。
【0205】
なお、走査型電子顕微鏡ULTRA55(Carl Zeiss製)を用いて、ガスバリア層を同定し、Tiの含有量は、エネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY(堀場製作所社製)を用いて測定した。
【0206】
次に、ワイヤーバーを用いて、ガスバリア層上に、プライマー層用塗布液を塗布した後、80℃で1分間乾燥させ、厚さが0.8μmのプライマー層を形成した。
【0207】
ワイヤーバーを用いて、プライマー層上に、保護層用塗布液を塗布した後、90℃で1分間乾燥させた。次に、80W/cmの紫外線ランプを用いて、光を照射して硬化させ、60℃で24時間硬化させ、厚さが4μmの保護層を形成し、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0208】
(実施例2)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.012部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層)用塗布液を得た。
【0209】
ガスバリア層(第一層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0210】
なお、ガスバリア層(第一層)は、Tiの含有量が0.15質量%であった。
【0211】
(実施例3)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.012部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0212】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0213】
なお、ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)は、Tiの含有量が0.15質量%であった。
【0214】
(実施例4)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.042部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0215】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0216】
なお、ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)は、Tiの含有量が0.50質量%であった。
【0217】
(実施例5)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.129部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0218】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.084部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0219】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0220】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が1.5質量%、1.0質量%及び1.5質量%であった。
【0221】
(実施例6)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.442部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0222】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.084部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0223】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0224】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が5.0質量%、1.0質量%及び5.0質量%であった。
【0225】
(実施例7)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.26部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0226】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.172部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0227】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0228】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が3.0質量%、2.0質量%及び3.0質量%であった。
【0229】
(実施例8)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.94部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0230】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.172部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0231】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0232】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が10質量%、2.0質量%及び10質量%であった。
【0233】
(実施例9)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を1.49部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0234】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.94部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0235】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0236】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が15質量%、10質量%及び15質量%であった。
【0237】
(実施例10)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を8.4部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0238】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.94部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0239】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0240】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が50質量%、10質量%及び50質量%であった。
【0241】
(実施例11)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を8.4部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第二層、第三層)用塗布液を得た。
【0242】
ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第二層、第三層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0243】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、Tiの含有量が50質量%であった。
【0244】
(実施例12)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を12.65部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を得た。
【0245】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を8.4部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0246】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第三層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第三層)用塗布液を用いると共に、ガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0247】
なお、ガスバリア層(第一層)、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)は、それぞれTiの含有量が60質量%、50質量%及び60質量%であった。
【0248】
(実施例13)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.26部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層)用塗布液を得た。
【0249】
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.172部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第二層)用塗布液を得た。
【0250】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第二層)を形成する際に、それぞれガスバリア層(第一層)用塗布液及びガスバリア層(第二層)用塗布液を用い、ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第二層)の厚さを0.6μmとし、ガスバリア層(第三層)を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0251】
なお、ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第二層)は、それぞれTiの含有量が3.0質量%及び2.0質量%であった。
【0252】
(比較例1)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)の添加量を0.172部に変更した以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層)用塗布液を得た。
【0253】
ガスバリア層(第一層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層)用塗布液を用い、ガスバリア層(第一層)の厚さを1.2μmとし、ガスバリア層(第二層)及びガスバリア層(第三層)を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0254】
なお、ガスバリア層(第一層)は、Tiの含有量が2.0質量%であった。
【0255】
(比較例2)
ガスバリア層用塗布液を調製する際に、チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0256】
(比較例3)
チタンテトラアセチルアセトナートの65質量%溶液TC−401(松本ファインケミカル社製)を添加しなかった以外は、ガスバリア層用塗布液と同様にして、ガスバリア層(第一層、第二層)用塗布液を得た。
【0257】
ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第二層)を形成する際に、ガスバリア層(第一層、第二層)用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0258】
表1に、実施例1〜13及び比較例1〜3の可逆性感熱記録媒体のガスバリア層の特性を示す。
【0259】
【表1】

(可逆性感熱記録媒体の評価)
実施例1〜13及び比較例1〜3の可逆性感熱記録媒体の耐久性、耐湿性及び耐光性を評価した。
【0260】
[耐久性]
カードプリンタR−28000(パナソニックコミュニケーションズ社製)を用いて、可逆性感熱記録媒体に印字及び印字の消去を300回繰り返した。なお、印字条件及び印字の消去条件は、印字エネルギーを0.57mJ/dot、消去温度を130℃、搬送速度を56mm/secとした。1回、100回及び300回繰り返した時に、可逆性感熱記録媒体の表面の印字状態を目視で観察し、耐久性を評価した。なお、印字部の発色状態及び消去部の消色状態が良好であり、ガスバリア層の剥離が観察されないレベルを◎、印字部の発色状態及び消去部の消色状態は良好であるが、ガスバリア層の剥離がわずかに観察されるレベルを○、印字部が隠蔽されてわずかに白化し、ガスバリア層の剥離が観察されるレベルを△、ガスバリア層の剥離が激しく観察されるレベルを×として、判定した。
【0261】
なお、ガスバリア層の剥離とは、ガスバリア層の層内剥離及び/又は層間剥離を意味する。
【0262】
[耐湿性]
カードプリンタR−28000(パナソニックコミュニケーションズ社製)を用いて、可逆性感熱記録媒体に印字した後、40℃、90%RHの環境で1日、1週間及び1ヵ月で保存した。次に、可逆性感熱記録媒体の印字を消去した後、上記と同様にして、可逆性感熱記録媒体に印字した。なお、印字条件及び印字の消去条件は、印字エネルギーを0.57mJ/dot、消去温度を130℃、搬送速度を56mm/secとした。可逆性感熱記録媒体の表面の印字状態を目視で観察し、耐湿性を評価した。なお、印字部の発色状態及び消去部の消色状態が良好であり、ガスバリア層の剥離が観察されないレベルを◎、印字部の発色状態及び消去部の消色状態は良好であるが、ガスバリア層の剥離がわずかに観察されるレベルを○、印字が隠蔽されてわずかに白化し、ガスバリア層の剥離が観察されるレベルを△、ガスバリア層の剥離が激しく観察されるレベルを×として、判定した。
【0263】
[耐光性]
カードプリンタR−28000(パナソニックコミュニケーションズ社製)を用いて、可逆性感熱記録媒体に印字した後、人工太陽光装置(セリック社製)を用いて、35℃、80%RHの環境下、20000Lxで200時間、可逆性感熱記録媒体に光を照射し、曝露試験を実施した。次に、可逆性感熱記録媒体の印字を消去した。なお、印字条件及び印字の消去条件は、印字エネルギーを0.57mJ/dot、消去温度を130℃、搬送速度を56mm/secとした。可逆性感熱記録媒体の地肌部及び消去部の濃度を、X−RITE918を用いて測定し、耐光性を評価した。なお、式
(消去部の濃度)−(地肌部の濃度)
で表される濃度差が0.05未満である場合を◎、0.05以上0.20未満である場合を○、0.20以上0.50未満である場合を△、0.50以上である場合を×として、判定した。
【0264】
【表2】

表2から、実施例1〜13の可逆性感熱記録媒体は、耐久性、耐湿性及び耐光性に優れることがわかる。
【0265】
一方、比較例1の可逆性感熱記録媒体は、ガスバリア層が単層で形成されているため、耐光性が低下する。
【0266】
比較例2の可逆性感熱記録媒体は、ガスバリア層にチタンテトラアセチルアセトナートが含まれていないため、耐久性及び耐湿性が低下する。
【0267】
比較例3の可逆性感熱記録媒体は、ガスバリア層(第一層)及びガスバリア層(第二層)にチタンテトラアセチルアセトナートが含まれていないため、耐久性及び耐湿性が低下する。
【符号の説明】
【0268】
10、20、30、40、50 可逆性感熱記録媒体
11 支持体
12 可逆性感熱記録層
13 ガスバリア層
14 保護層
21 プライマー層
31 アンカー層
41 アンダーコート層
51 紫外線吸収層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0269】
【特許文献1】特開2011−136557号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、可逆性感熱記録層、ガスバリア層及び保護層が順次積層されており、
前記可逆性感熱記録層は、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含み、
前記ガスバリア層は、樹脂、有機金属化合物及び無機層状化合物を含む層が複数層積層されており、
前記樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂であり、
前記有機金属化合物は、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【請求項2】
前記複数層が三層以上であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
前記複数層積層されている層のうち、最外層は、最外層以外の層よりも、前記金属の含有量が大きいことを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
前記最外層以外の層は、前記金属の含有量が0.10質量%以上10質量%以下であり、
前記最外層以外の層の前記金属の含有量に対する前記最外層の前記金属の含有量の比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項3に記載の可逆感熱記録媒体。
【請求項5】
前記ガスバリア層は、厚さが0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
前記可逆性感熱記録層及び前記ガスバリア層の間に、アンカー層が形成されており、
前記ガスバリア層及び保護層の間に、プライマー層が形成されており、
前記アンカー層及び前記プライマー層は、それぞれ独立に、硬化剤により熱硬化している熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、ポリオール樹脂であり、
前記硬化剤は、ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項6に記載の可逆感熱記録媒体。
【請求項8】
前記支持体及び前記可逆性感熱記録層の間に、アンダーコート層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
情報記憶部及び可逆表示部を有し、
前記可逆表示部は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を有することを特徴とする可逆性感熱記録部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103354(P2013−103354A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246868(P2011−246868)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】