説明

台紙レスラベル発行装置

【課題】台紙レスラベル用紙を切断するカッターへオイルを付着するオイル含浸体(スポンジ、フェルト等)を備えた台紙レスラベル発行装置において、前記オイル含浸体へのオイルの供給を手間なく行うことができる台紙レスラベル発行装置を提供する。
【解決手段】台紙レスラベル用紙9’を切断する切断手段5に、台紙レスラベル用紙の粘着剤や紙粉等が付着するのを防ぐオイルを塗布するオイル含浸体6を備え、前記切断手段による台紙レスラベル用紙の切断の際前記切断手段が前記オイル含浸体と当接する台紙レスラベル発行装置Aにおいて、前記装置に、前記オイル含浸体6にオイルを供給するオイル供給手段7を設け、前記切断手段5の作動に連係して前記オイル供給手段7からオイル含浸体6にオイルを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は台紙レスラベル用紙から所定長さの枚葉状の台紙レスラベルを切断発行する台紙レスラベル発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル用紙として台紙レスラベル用紙がロール状に巻かれたラベルロールを用い、そのラベルロールからラベル用紙を引き出して印字し、印字後、台紙レスラベル用紙をカッターで切断して台紙レスラベルを発行し、更に、オイルを含浸したスポンジを前記カッター近傍に設け、オイルを前記カッターに塗布して、台紙レスラベル用紙を切断した時、ラベル用紙の糊が前記カッターに付着しないようにした台紙レスラベル発行装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、前記スポンジに含浸されたオイルはカッターへの塗布によって含浸量が少なくなり、オイルの補給が必要となるが、オイルの補給は台紙レスラベル発行装置にセットされるラベルロールの交換サイクルに比べて補給サイクルは非常に短く、従って忙しい日々の作業(ラベル発行、ラベル貼付等)の中での前記オイルの補給作業は煩雑な作業である。
【0004】
また、オイルが直ぐに足りなくならないようにスポンジに多めに含浸することも考えられるが、その場合はカッターにオイルが多量に塗布され、その結果、切断された台紙レスラベル及びラベル用紙にオイルが付着し、台紙レスラベルをしっかり貼付できない、台紙レスラベルが剥がれやすいといった問題が生じる。
【0005】
また、一定の作動回数でメンテナンス時期を作業者に知らせて注油等の作業を行わせる技術もあるが、いずれにしても作業員が前記スポンジ等に注油する作業をしなければならず、適量のオイルをスポンジ等へ手間なく注油(供給)することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10−512219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、台紙レスラベル用紙を切断するカッターへオイルを付着するオイル含浸体(スポンジ、フェルト等)を備えた台紙レスラベル発行装置において、前記オイル含浸体へのオイルの供給を手間なく行うことができる台紙レスラベル発行装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明の台紙レスラベル発行装置は、台紙レスラベル用紙を切断する切断手段に、切断時、台紙レスラベル用紙の粘着剤や紙粉等が付着するのを防ぐオイルを塗布するオイル含浸体を備え、前記切断手段による台紙レスラベル用紙の切断の際前記切断手段が前記オイル含浸体と当接する台紙レスラベル発行装置において、前記装置に、前記オイル含浸体にオイルを供給するオイル供給手段を設け、前記切断手段の作動に連係して前記オイル供給手段からオイル含浸体にオイルを自動で供給することを特徴とする。
オイル含浸体としては、例えば、連続気泡発泡体のスポンジ、或いはフェルト、海綿等の多孔性で吸水性を有する弾性含浸体が挙げられる。
【0009】
前記切断手段は、2枚の刃体によるせん断作用でラベル用紙を切断するタイプ、或いは回転刃でラベル用紙を切断するタイプ等、切断刃の形状、切断の方法は問わない。
また、前記オイル供給手段がオイル含浸体にオイルを供給する「切断手段の作動に連係して」とは、例えば、切断手段の作動回数をカウントし、そのカウント数が予め設定した回数に達した時、オイル供給手段が作動するようにする。そして、その作動は制御部によって制御される。
それにより、切断手段の作動回数が所定回数に達すると、制御部がオイル供給手段を作動させて適量のオイルがオイル含浸体に自動的に供給される。
また、その他、切断手段であるカッターの動作をメカ的に、例えばオイルを収容するタンクへ伝える。そして、例えば、該タンクの直下にオイル含浸体が位置し、該タンクにオイル含浸体と連通可能な弁を有し、前記タンクへ伝えられた動作により、該弁を開放することでごく僅かな定量のオイルがオイル含浸体へ滴下され、オイル含浸体に染み込むようにしてもよい。つまり、この場合は切断手段が動作する毎にごく僅かな量のオイルが、オイル含浸体に供給されることになる。いずれの場合でも、カッターの動作に連係してオイル含浸体にオイルが供給されるようになるので、オペレータがオイル含浸体にオイルを手で注ぐ必要がないのでその手間がなく、また、ゴミや塵等も混入することがない。
【0010】
前記オイル供給手段として、オイルを収容したオイルタンクと、該オイルタンクからオイルを引き出し前記オイル含浸体にオイルを輸送する輸送パイプとを有する場合、前記タンクの設置場所は本装置の内部、外部の何れでもよい。本装置内に装備する場所としては、例えば、ラベルロールが収容配置される空間部が挙げられ、その場合、ラベルロールを交換セットする度にタンクのオイル量をチェックすることが出来る。
また、前記輸送パイプは途中にオイルタンク内のオイルを引き出すポンプを備えている。そのポンプとしては、例えば、チューブポンプが挙げられる。なお、前記のように、例えばオイル含浸体の直上にオイルタンクを備え、該タンクの弁が僅かに開くことでオイル含浸体へオイルが染み込むよう場合は、前記輸送パイプを設けなくてもよい。
【0011】
また、前記オイル供給手段からオイル含浸体へのオイルの供給を制御する制御部は、切断手段の作動回数(カウント数)に応じてオイルの供給を行う通常のモードの他に、前記オイル供給手段から前記オイル含浸体に一定量のオイルを連続的に供給するエージングモードを備えてもよい。このエージングモードの作動は、例えば、装置の使用開始時(納品時)の他に、一定期間使用後にオイル含浸体を交換する場合に有効である。
【0012】
また、前記オイル含浸体を箱状の収容体内に配置し、該収容体内で前記オイル含浸体の幅方向に沿ってオイルが通る管路を前記オイル含浸体と対向して配置し、該管路に前記輸送パイプを接続し、更に該管路の前記オイル含浸体と対向する位置に複数の給油孔を開設した構成としてもよい。その場合は、オイル含浸体の全体に亘ってオイルを短時間に略均一に浸み込ませることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の台紙レスラベル発行装置は、切断手段の作動回数に応じてオイル供給手段からオイル含浸体にオイルが適量、自動的に供給される。従って、オイル含浸体のオイル含浸量が不足して切断手段へのオイルの塗布が不十分になり、台紙レスラベル用紙の糊や、用紙切断による紙粉の付着防止の効果が低下するのを防止することができる。また、オイル含浸体へのオイルの供給は、作業員が時期をチェックしたりすることなく自動的に行なわれるため、手間が掛からず非常に便利である。また、オペレータがオイル含浸体にオイルを手で注ぐ必要がないのでその手間がなく、また、ゴミや塵等も混入することがない。
また、オイル供給手段からオイル含浸体へのオイルの供給を制御する制御部がエージングモードを備えているので、装置の使用開始時(納品)、及び一定期間使用後にオイル含浸体を交換する場合に、一定量(適量)のオイルをオイル含浸体に確実に供給することができる。
【0014】
また、オイル供給手段のオイルタンクを、ラベルロールがセットされる空間に設置したことで、ラベルロールを交換する度に、オイルタンク内のオイル残量を確認することができ、それにより、オイルタンクへのオイル補充を忘れずに間違いなくできる。
また、オイル含浸体へのオイル供給を、オイル含浸体に沿わせた管路の複数個所から注油するようにしたので、オイル含浸体の全体に亘ってオイルを短時間に略均一に浸み込ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る台紙レスラベル発行装置の概略を示す側面図。
【図2】切断手段を示し、(a)は一部切欠正面図、(b)は同縦断側面図。
【図3】オイル供給手段を示し、(a)は平面図、(b)はチューブポンプ部分を示す拡大平面図、(c)は同正面図。
【図4】同装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る台紙レスラベル発行装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は台紙レスラベル発行装置Aの概略を示し、ケース1内にロール装填部2が設けられ、そのロール装填部2にセットされる台紙レスラベルロールのラベル用紙の繰り出し方向前方位置に、ラベル用紙の送出手段3と、印字部4と、印字された台紙レスラベル用紙を所定長さに切断する切断手段5が配置され、該切断手段5にはオイル含浸体6が設けられ、更に、前記オイル含浸体6にオイルを供給するオイル供給手段7と、前記切断手段5より前方には切断送出された台紙レスラベルLを一時的に保持するラベル保持部8が設けられている。そして、前記ロール装填部2には台紙レスラベルロール9が回転可能に支持されている。
【0017】
台紙レスラベルロール9からラベル用紙9’を送出する送出手段3は、ケース1の周壁に開設したラベル送出口10の上流側近傍に配置した上下一対のローラからなる下流側の用紙送出手段3bと、その用紙送出手段3bより上流側に所定間隔をおいて配置した印字部4を兼ねた上流側の用紙送出手段3aとからなる。
【0018】
印字部4を兼ねた上流側の用紙送出手段3aは、ラベル用紙9’の下方(貼付面側)に位置するプラテンローラ4aと、ラベル用紙9’の上方(印字面側)に位置するサーマルヘッド4bとで構成され、前記プラテンローラ4aと下流側の用紙送出手段3bにおける下側のローラはモータによって駆動回転するように構成されている。そして、ラベル用紙9’の上方に位置するサーマルヘッド4bと下流側の用紙送出手段3bにおける上側のローラはそれぞれラベル用紙9’を下側のローラ(用紙送出手段3bにおける下側のローラ、プラテンローラ4a)とで挾着するように下方に付勢され、それにより前記ラベル用紙9’を安定して送出し得るように構成されている。
【0019】
また、前記印字部4のプラテンローラ4aと下流側の用紙送出手段3bにおける下側のローラは、それぞれの表面に剥離剤がコーティングされており、ラベル用紙9’の印字面とは反対側面に塗着されている粘着剤が付着しないようにしてあり、それによってラベル用紙9’の送出が円滑に行われるようになっている。尚、ラベル用紙9’の粘着層が前記ローラに付着しにくくする構成は、上記構成に限らず、前記ローラ自体又はローラの最外周部分を易剥離性の部材で構成してもよい。
【0020】
前記印字部4で商品情報が印字され、ラベル送出口10に向けて送出されるラベル用紙9’を所定長さの枚葉状に切断する切断手段5は、ラベル送出口10より水平状に送出されるラベル用紙9’を挟むように配置した上下一対の片刃の可動刃5aと固定刃5bとで構成されている。
【0021】
ラベル用紙9’の印字面側(上方)に配置される可動刃5aは刃部が正面視略V字形に形成され、ラベル用紙9’の貼付面側(下方)に配置される固定刃5bは刃部が同一幅で直線状に形成された帯刃で形成され、前記可動刃5aが前記固定刃5bに対して進退することによりラベル用紙9’がせん断作用によって切断されるようになっている。前記可動刃5aはモータ22によって進退動作するように構成されている。
【0022】
そして、前記固定刃5bにおける可動刃5aの摺接面側(刃先のフラット側)で、且つ前記可動刃5aの移動領域内に、オイル含浸体6が取り付けられ、前記可動刃5aの進行によるオイル含浸体6との接触により、該可動刃5aの刃部にオイルが塗布され、それにより、可動刃5aにラベル用紙9’の粘着剤やラベル用紙9’の切断によって生じる紙粉等が付着しないようにしてある。
【0023】
前記オイル含浸体6は、連続気泡発泡体のスポンジ等の弾性体6aに、人体に触れるなどしても人体に悪影響を及ぼさない食品添加物であるシリコーン100%のオイル6bを含浸させたもので、前記弾性体6aは図2(a)に示すように、可動刃5aの刃部と対応する面が略V字形の刃形状と噛み合う略V字形(山形)に形成されている。
オイル6bを含浸したスポンジ等の弾性体6aを固定刃5bに取り付ける方法は、接着剤による固定、或いは固定刃5bを収容体に取り付け、その収容体内に弾性体を収容する等、何れでもよい。尚、弾性体6aを固定刃5bに接着によって固定する場合、可動刃5aが弾性体6aに進入する領域は非接着とし、弾性体6aと固定刃5bとの接合部分に可動刃5aがスムーズに侵入するようにする。また、固定刃5bに段差を付けて弾性体6aを接着する場合は、弾性体6aの厚さ内に可動刃5aが進入するため、前記弾性体6aは固定刃5bに全面接着してもよい。
【0024】
また、オイル含浸体6を構成するオイル6bを含浸するスポンジ等の弾性体6aは、可動刃5aが正面視略V字形の刃部からなる刃体である場合、せん断作用により切断されるラベル用紙9’の粘着剤は略V字形の刃部のV部最深部(谷部分)に寄せられる。その為、ラベル用紙9’の粘着剤は可動刃5aの正面視略V字形のV部最深部近傍に付着し易くなる為、前記オイル含浸体6の弾性体6aは可動刃5aの刃幅と略同幅(図2(a)参照)とすることなく、例えば、可動刃5aの正面視略V字形の刃部のV部最深部近傍部分と対応する小幅の弾性体としてもよい。
【0025】
前記オイル含浸体6にオイル6bを供給するオイル供給手段7は、図1及び図3(a)に示すように、補給用のオイルを収容したオイルタンク7aと、そのオイルタンク7aからオイルを引き出して前記オイル含浸体6に輸送供給するチューブポンプ11と、輸送パイプ7bとで構成されている。
【0026】
オイルタンク7aは、前記オイル含浸体6に補給するオイルを十分に収容し得る容量(例えば、100ml)を有した蓋付のガラス瓶で構成され、そのオイルタンク7aは前記台紙レスラベルロール9がセットされるロール装填部2が設けられた空間部Sに収容配置されている。それにより、台紙レスラベルロール9を交換する度に、オイルタンク7aが目にとまり、該タンク内のオイル残量を確認することができる。尚、オイル残量の確認を容易に行うことができるように、該オイルタンク7aは透明又は視認し易い有色とし、更に目盛を付してもよい。
【0027】
前記オイルタンク7a内には蓋体を貫通して輸送パイプ7bの一方端が挿入接続され、その輸送パイプ7bのオイルタンク7aとオイル含浸体6とを結ぶ途中には、前記オイルタンク7aからオイルを吸い上げて前記オイル含浸体6に供給するチューブポンプ11が取り付けられている。
前記チューブポンプ11は、図3(b)、(c)に示すように、弾力性のあるチューブ11aが平面視略U字型の凹部が形成されたベース11bに収容され、その略U字型のチューブ11a内に偏心ロータ11cが配置され、該偏心ロータ11cがDCモータ11dで駆動することで、前記チューブ11aが偏心ロータ11cで圧迫され、その圧迫箇所が偏心ロータ11cの回転で順次周方向に移動することで液体(オイル)が押し出され、同時に圧迫されていない部分が広がり、液体がタンクから吸引される仕組みになっている。
そして、前記偏心ロータ11cの1回転で押し出される液体の容量は一定なので、決まった量を吐出(供給)することができる。
また、ベース11bと偏心ロータ11cとの間に装着されるチューブ11aは、輸送パイプ7bと連続した一体物であっても、或いは輸送パイプ7bと別体構造とし、継手などを介して接続一体化し、オイルタンク7aとオイル含浸体6とを連結してもよい。また、前記チューブポンプ11は、前記ケース1内部を隔壁1’で仕切ったロール装填部2が配置された空間部Sとは反対側の空間部S’側に、本装置の駆動を制御する基板や電装品等と一緒に収容されている。
【0028】
前記チューブポンプ11の吐出側に接続された輸送パイプ7bの端部には分配管(管路)12が取り付けられ、その分配管(管路)12からオイル含浸体6にオイルが供給されるようになっている。
前記分配管(管路)12は、図2(a)に示すように、オイル含浸体6の横幅と略同じ長さを有した管体で、長さ方向の一方端は閉鎖され、他方端が開口されて前記輸送パイプ7bの開放端が接続されている。また、前記管体の周面には長さ方向に沿って給油孔12aが複数個開設され、オイル含浸体6の略全長に亘ってオイルを一度に供給し得るようになっている。そして、前記分配管(管路)12はオイル含浸体6における可動刃5aの当接側とは反対側の面(図面では下側)に、前記給油孔12aを対向接触させて取り付けられている。また、固定刃5bとオイル含浸体6と分配管(管路)12は上面が開放された箱状の収容体24に収容されている。
【0029】
前記切断手段5で切断された台紙レスラベルLを一時的に待機保持するラベル保持部8は、ソロバン玉状の接触部材8aを備えた枠体8bが、ケース1の外側面に固定枠13を介して設置されている。このラベル保持部8に送出された台紙レスラベルLは、貼付手段(アプリケータ)による自動貼り、或いはオペレータによる手貼りで商品に貼付される。
【0030】
図4は、図1に示した台紙レスラベル発行装置の電気的構成を示すブロック図である。
その構成は、CPU14、フラッシュメモリ15、RAM16、操作部17、表示部18、通信部19、印字制御部20、印字発行部21、カッター駆動モータ22、オイル供給モータ(DCモータ11d)23を備える。
【0031】
前記CPU14は、フラッシュメモリ15に記憶されたプログラムを実行して本台紙レスラベル発行装置Aの動作を統括する中央演算処理装置である。
フラッシュメモリ15は、本台紙レスラベル発行装置Aの制御プログラムや、制御用データ等を記憶する読み出し専用メモリである。
RAM16は、一時的にデータを呼び出して処理する為のワークエリアがあり、その中には、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データを呼び出して記憶する呼出商品エリア等がある。
【0032】
また、このRAM16には、ラベル印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル、ラベル印字用の各種商品データが設定された商品ファイル等の他に、前記オイル供給手段7の作動を決定する切断手段5の作動回数を設定したファイル等が記憶されており、電源オフ時も商品ファイルやフォーマットファイルを保持するようにバッテリでバックアップされている。
前記オイル供給手段7の作動を制御する切断手段の作動回数設定ファイルは、可動刃5aの作動回数(カット回数)に応じて供給されるオイル量が設定されている。例えば、作動回数が1000回であればオイルの供給量は1ml、作動回数が5000回であればオイル供給量は5ml等と設定されている。なお、この所定回数により供給されるオイルの供給量はオイル含浸体6の大きさや、使用するオイルの粘性にもよるので必ずしも上記の量には限らず一例に過ぎない。
【0033】
操作部17は、本台紙レスラベル発行装置Aの操作を行うための入力装置であり、表示部18と一体に構成されたタッチパネルになっている。
表示部18は、各種のメニュー画面やデータを表示する液晶ディスプレイである。
通信部19は、ホストコンピュータと通信を行い、データの授受を行う。
【0034】
印字制御部20は、CPU14の指令に基づいて印字発行部21の動作を制御する。
印字発行部21は、本実施例ではロール装填部2にセットされたラベルロール9から台紙レスラベル用紙9’を引き出し、選択指定した商品の情報を印字部4で印字するようになっている。
カッター駆動モータ22は、CPU14の指令に基づいて、切断手段5の可動刃5aを駆動させて印字後の台紙レスラベル用紙9’を切断し、台紙レスラベルLを発行する。
オイル供給モータ(DCモータ11d)23は、前記オイル供給手段7のチューブポンプ11を作動させるモータで、CPU14から出力される切断手段5の可動刃5aを駆動させる信号の出力回数をカウントし、その出力回数が予め設定された作動回数に達するとオイル供給モータ(DCモータ11d)23が駆動され、チューブポンプ11の作動で定量のオイルがオイル含浸体6に供給される。尚、オイル供給モータ(DCモータ11d)23が駆動した場合は、記憶している前記可動刃5aを駆動させる信号の出力回数(カウント数)がリセットされてゼロになる。
【0035】
また、前記オイル供給モータ(DCモータ11d)23の駆動は、前記可動刃5aの作動回数に応じて駆動される通常モード(ラベル発行モード)の他に、該オイル供給モータ(DCモータ11d)23を一定時間(例えば、5分間等)駆動させるエージングモードが設定されている。尚、このエージングモードの時間(例えば、5分間)は使用するオイル含浸体6の大きさやオイルの粘性にもよるので、前記5分間に限られるものではない。
前記エージングモードのモータが駆動される一定時間は、オイル含浸体6を構成する弾性体6aの大きさやオイルの粘性にもよるが、弾性体全体にオイルを浸み込ませるのに要する時間が予め設定される。これにより、装置の使用開始時(納品時や、製造工場での製品の駆動確認時、或いは、一定期間使用後にオイル含浸体6の交換時)に、使用開始に必要な一定量(弾性体全体にオイルが浸み込む量)のオイルがオイルタンク7aからオイル含浸体6に自動的に供給されるので、ラベル発行において可動刃5aに過剰にオイルが付着されることがなく、従って、切断発行される台紙レスラベルにオイルが付着しすぎることはない。尚、エージングモードで一定量のオイルを供給した後は、前記通常モードに切替える。また、前記通常モード、エージングモードの切り替えは、表示部18のタッチパネルによって選択する。
【0036】
上記の如く構成した台紙レスラベル発行装置は、使用開始時、表示部18よりエージングモードを選択してオイル供給手段7のチューブポンプ11を一定時間駆動し、一定量のオイルをオイルタンク7aからオイル含浸体6に供給する。これにより、オイル含浸体6の弾性体6a全体にオイルが浸み込み、切断手段5の作動時に可動刃5aへのオイル塗布が可能な状態となる。次に、表示部18で通常モード(ラベル発行モード)に切り替え、ラベル発行操作を行う。通常モードでは、CPU14はRAM16に記憶する可動刃5aを駆動させるカッター駆動モータ22の駆動信号の出力回数を記憶(カウント)し、そのカウントした回数が予め設定した回数に達すると、オイル供給手段7のチューブポンプ11がオイル供給モータ(DCモータ11d)23によって駆動され、前記回数に応じたオイル量がオイル含浸体6に自動的に供給される。それにより、オイル含浸体6のオイル含浸量も十分に保持され、切断手段5へのオイル塗布は安定して行われる。従って、可動刃5a,固定刃5bに台紙レスラベル用紙の糊や、切断によって生じる紙粉等が付着するのを防止でき、安定したラベル発行を維持することができる。
【0037】
本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、切断手段として2枚の刃体(可動刃と固定刃)よりなるせん断作用でラベル用紙を切断する構成を示したがこれに限らず、例えば、回転刃による切断機構でもよい。また、せん断作用を行う2枚の刃体として、正面視略V字形の刃体と直線帯刃の例を示したがこれに限らず、例えば2枚の刃体を正面視略V字形の刃体で構成する、或いは2枚の刃体を直線帯刃で構成する等、何れでもよい。即ち、刃体の形状、切断方式は問わない。
(2)実施の形態では、オイル供給手段のオイルタンクからオイルを供給する手段としてチューブポンプの例を示したがこれに限らず、今日周知の機構を採用することができる。
(3)実施の形態では、台紙レスラベル用紙の上側に可動刃、下側に固定刃が位置する例を示したが、可動刃と固定刃の天地が逆であってもよい。また、この場合、固定刃と共にオイル含浸体が台紙レスラベル用紙の上側に配置されるが、その場合はオイル含浸体に含浸されたオイルは下方に垂れる為、オイル及び弾性体の選択には注意を要する。
(4)実施の形態では、オイル供給手段からオイル含浸体へのオイルの供給方式として吸い上げ方式を示したがこれに限定されず、例えば、圧送方式等でもよい。
(5)実施の形態では、オイル含浸体に含浸させるオイルとしてシリコーンオイルを挙げたがこれに限定されず、オイルの種類は問わないが、特に食品に貼付するラベルや、食品をトレイに詰め包装した包装体に貼付するラベルを発行する場合には、食品添加物であるオイルが食の安全の面からも好ましい。
(6)実施の形態では、オイルタンクから輸送パイプを通じてオイルをオイル含浸体6へ
供給する例で示したが、オイル輸送パイプは用いず、例えばオイル含浸体の直上にオイルタンクを備え、該タンクの弁が僅かに開き、その開いている時間により所定量のオイルがオイル含浸体へ染み込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
A…台紙レスラベル発行装置 5…切断手段
6…オイル含浸体 7…オイル供給手段
7a…オイルタンク 7b…輸送パイプ
9…台紙レスラベルロール 9’…台紙レスラベル用紙
S…空間部 12…分配管(管路)
12a…給油孔 24…収容体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙レスラベル用紙を切断する切断手段に、台紙レスラベル用紙の粘着剤や紙粉等が付着するのを防ぐオイルを塗布するオイル含浸体を備え、前記切断手段による台紙レスラベル用紙の切断の際前記切断手段が前記オイル含浸体と当接する台紙レスラベル発行装置において、
前記装置に、前記オイル含浸体にオイルを供給するオイル供給手段を設け、前記切断手段の作動に連係して前記オイル供給手段からオイル含浸体にオイルを供給することを特徴とする台紙レスラベル発行装置。
【請求項2】
前記切断手段の駆動回数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段のカウント数に応じて、前記オイル供給手段から前記オイル含浸体にオイルを所定量供給するよう制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の台紙レスラベル発行装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記オイル供給手段から前記オイル含浸体に一定量のオイルを連続的に供給するエージングモードを備えていることを特徴とする請求項2記載の台紙レスラベル発行装置。
【請求項4】
前記オイル供給手段は、オイルを収容したタンクと、該タンクからオイルを引き出し前記オイル含浸体にオイルを輸送する輸送パイプとを有し、
前記オイル供給手段のタンクは、台紙レスラベル用紙のラベルロールが収容配置される空間部に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の台紙レスラベル発行装置。
【請求項5】
前記オイル含浸体を箱状の収容体内に配置し、該収容体内で前記オイル含浸体の幅方向に沿ってオイルが通る管路を前記オイル含浸体と対向して配置し、該管路に前記輸送パイプを接続し、更に該管路の前記オイル含浸体と対向する位置に複数の給油孔を開設したことを特徴とする請求項4記載の台紙レスラベル発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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