説明

台車、有軌道搬送車システム

【課題】搬送車を軌道外に運搬する台車に配設される電線の取り回し自由度の向上。
【解決手段】床面に固定される固定軌条101と、搬送対象物を搬送する搬送車102とを有する有軌道搬送車システムに備えられ、固定軌条101と連結可能な可動軌条104を備え、可動軌条104上に配置される搬送車102を可動軌条104と共に運搬することのできる台車105であって、台車105に配設される可動電線112と、可動軌条104の先端を越えて台車105から突出状に配置され、可動軌条104を越える位置にまで可動電線112を保持する可動保持具114とを備え、可動保持具114は、可動軌条104の先端を超えない範囲に、可動保持具114を屈曲可能とする関節部118を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、搬送車を運搬することのできる台車、及び、搬送車を運搬することのできる台車を備える有軌道搬送車システムに関し、特に、特定の軌条上に停止する搬送車を前記台車で運搬することのできる台車、及び、有軌道搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などの床面に軌条を設け、前記軌条の上で走行する搬送車に荷物を搬送させる有軌道搬送車システムがある。このような有軌道搬送車システムでは、軌道上を複数個の搬送車が走行し、荷物を任意の場所に自動的に送り届けるシステムとなっている。
【0003】
これらの搬送車は、無人の状態で自動的に走行しているため、搬送車と外部のコンピュータとは常に通信が行われている。従来は、複数の基地局を設置し、搬送車とそれに最も近い基地局とが通信するような無線通信方式が採用されていた。しかし、前記通信方式では通信可能な情報量に限界があるため、昨今では軌条全体に沿ってアンテナ線(信号線)を配設し、搬送車と近距離で無線通信を行うことで、通信品質を向上させ、大量の情報が通信できる通信方式が採用されるに至っている。
【0004】
一方、前記搬送車に不具合が生じた場合や、定期的なメンテナンスの時期に達した場合、搬送車をメンテナンスする必要が生じる。しかし、前記軌道上でメンテナンスをすると他の搬送車の邪魔になり、荷物の搬送などの操業に支障を来すため、メンテナンスが必要な搬送車だけを前記軌道上から退避させたうえで、通常の操業を行いつつメンテナンスの必要な搬送車のみメンテナンスすることが望ましい。
【0005】
そこで、床面に固定されている固定軌条の途中に台車に取り付けられた可動式の可動軌条を連結し、メンテナンスが必要な搬送車を台車の上に配置して可動軌条ごと当該搬送車を台車で引き出すことで、搬送車を操業のための軌道から退避させる方法が提案されている(例えば特許文献1)。そして、操業用の軌道とは別に設けられたメンテナンス用の軌条まで搬送車を運搬してメンテナンス用の軌条に載せ替えた後、空の台車を可動軌条ごと元の場所に戻して固定軌条と連結することで、他の搬送車にあまり影響を与えずに操業を続行させるとともに、搬送車のメンテナンスを行うことができるものとなっている。
【0006】
この場合、可動式の軌条に沿って配設されているアンテナ線と、固定軌条に沿って配設されているアンテナ線とは、所定の間隔を隔てて配設されており、これらのアンテナ線が形成する隙間は、固定軌条と可動軌条との連結部の位置に対応している。したがって、メンテナンスなどのために台車を移動させる際、台車に配設されるアンテナ線が軌条に干渉することなく台車を移動させることができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−127897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、台車は、人力で動かせる程度の小型、かつ、軽量である方が望ましい。特に、固定軌条と連結して軌道を形成するため、軌道において搬送車102を低い位置で走行させるためには、台車の高さはできる限り低くすることが要求される。
【0009】
一方、台車は、重量のある搬送車を可動軌条と共に移動させる必要があるため、台車の基礎となる構造体は大型となりがちである。したがって、台車に配設されるアンテナ線などの電線は、非常に狭い範囲で取り回すことが要求される。
【0010】
このような状況では、電線に無理な負担がかかって電線が構造的に破損したり、アンテナ線として機能する電線の取り回し状態によっては、搬送車との通信不良などが発生する可能性がある。
【0011】
本願発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、台車の基本的な大きさを変更することなく、電線の取り回しの自由度を向上させることのできる台車、及び、当該台車を備える有軌道搬送車システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる台車は、床面に固定される固定軌条と、前記固定軌条に沿って走行し搬送対象物を搬送する搬送車とを有する有軌道搬送車システムに備えられ、前記固定軌条と連結可能な可動軌条を備え、前記可動軌条上に配置される前記搬送車を前記可動軌条と共に運搬することのできる台車であって、当該台車に配設され当該台車と共に移動する電線と、前記可動軌条の先端を越えて当該台車から突出状に配置され、前記可動軌条を越える位置にまで前記電線を保持する可動保持具とを備え、前記可動保持具は、前記可動軌条の先端を超えない範囲に、当該可動保持具を屈曲可能とする関節部を備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、台車の本体から離れた位置まで電線が配設されるため、電線の取り回しの自由度を向上させることができる。さらに、電線を保持する可動保持具が関節部で折れ曲がるため、台車を移動させて固定軌条と可動軌条とを分離したり連結したりする場合も、可動保持具や電線と固定軌条とが干渉しないように、可動保持具とともに電線を回避させることが可能となる。
【0014】
また、前記電線は、水平方向に並んだ複数の導線を備え、前記搬送車と無線通信を行うためのアンテナ線であり、前記可動保持具は、前記アンテナ線を当該可動保持具の上部で保持する上端保持部と、前記アンテナ線を当該可動保持具の先端において下方に向かって湾曲するように保持する先端保持部とを備えることが好ましい。
【0015】
これにより、アンテナ線を上下方向に湾曲させて、すなわち、アンテナ線を垂直面内で緩やかに曲げた状態で保持することができるため、固定軌条に対応して配設されたアンテナ線と可動軌条に対応して配設されたアンテナ線とのつなぎ目対応部分を走行する搬送車に対しても安定した状態で通信することが可能となる。特に、アンテナ線が指向性を有する場合、本効果が顕著に表れる。
【0016】
また、前記関節部は、前記可動保持具の当該関節部よりも先の部分である先端部を跳ね上げる方向に屈曲することが好ましい。
【0017】
これにより、台車上方の空間を有効に利用して、固定軌条などと干渉しない位置に電線と可動保持具とを退避させることが可能となる。特に、可動保持具が保持する電線が扁平な断面を備えたアンテナ線である場合、アンテナ線の肉厚の薄い方向が上下方向に向いて配置されるため、可動保持具を屈曲させる場合も、肉厚の薄い方向にアンテナ線が曲げられるため、アンテナ線に対する構造的な負担が少ない状態でアンテナ線を折り曲げることが可能となり、アンテナ線の寿命を向上させることが可能となる。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本願発明に係る有軌道搬送車システムは、床面に固定される固定軌条と、前記固定軌条に沿って走行し搬送対象物を搬送する搬送車と、前記固定軌条と連結可能な可動軌条と、前記可動軌条上に配置される前記搬送車を前記可動軌条と共に運搬することのできる台車と、当該台車から外方に向かって伸びる電線と、前記可動軌条に沿い、前記可動軌条の先端を越えて突出状に配置され、前記電線を保持する可動保持具とを備え、前記可動保持具は、前記可動軌条の先端を超えない範囲に、当該可動保持具を屈曲可能とする関節部を備えることを特徴とする。
【0019】
これによれば、台車の本体から離れた位置まで電線が配設されるため、電線の取り回しの自由度を向上させることができる。さらに、電線を保持する可動保持具が関節部で折れ曲がるため、台車を移動させて固定軌条と可動軌条とを分離したり連結したりする場合も、可動保持具や電線と固定軌条とが干渉しないように、可動保持具と共に電線を回避させることが可能となる。
【0020】
さらに、前記可動保持具の当該関節部よりも先の部分である先端部が、可動軌条の先端よりも突出する所定の状態であることを検出するセンサと、前記センサの検出状態に基づき前記搬送車の移動を規制する規制手段を備えることが好ましい。
【0021】
これにより、軌道を走行する搬送車と可動保持具とが干渉する事故を未然に防止することができ、操業に不具合が発生することを回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、台車の基本的なサイズを変更することなく台車に配設される電線の取り回しの自由度を向上させることが可能となり、かつ、搬送車をメンテナンスする場合などにおいて、台車を安全に移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】有軌道搬送車システムのメンテナンス部分を示す平面図である。
【図2】固定軌条上の搬送車を模式的に示す斜視図である。
【図3】操業状態の台車近傍を軌道側から模式的に示す斜視図である。
【図4】台車を一部切り欠いて示す正面図であり、同図(a)は、操業状態における可動保持具を示し、同図(b)は可動保持具の先端部を跳ね上げた状態を示している。
【図5】(a)は、可動電線(固定電線)の断面を示す正面図、(b)は可動電線(固定電線)の湾曲させた部分を示す側面図である。なお、説明のため、同図(a)と同図(b)とのスケールは異なっている。
【図6】メンテナンス状態の台車近傍を軌道側から模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本願発明の実施の形態である有軌道搬送車システムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、有軌道搬送車システムのメンテナンス部分を示す平面図である。
同図に示すように、有軌道搬送車システム100は、工場内に保管される搬送対象物である荷物201を受け取り、所定の搬出箇所まで荷物201を搬送するシステムである。また、有軌道搬送車システム100は、所定の搬入箇所から荷物201を受け取り、保管すべきラック近傍まで荷物を搬送するシステムである。有軌道搬送車システム100は、固定軌条101と、搬送車102と、可動軌条104と、台車105と、固定電線111と、固定保持具131とを備えている。
【0026】
固定軌条101は、搬送車102が走行する軌道を形成するレールであり、工場等の床面に2本のレールが平行に固定されるものである。
【0027】
固定電線111は、固定軌条101に沿って配設される電線である。本実施の形態の場合、固定電線111は、搬送車102と無線通信を行うためのアンテナ線である。
【0028】
固定保持具131は、固定電線111を固定軌条101に沿って配設するための装備であり、工場等の床面に固定されるものである。
【0029】
図2は、固定軌条上の搬送車を模式的に示す斜視図である。
同図に示すように、搬送車102は、固定軌条101上に載置され固定軌条101に沿って走行する台車であり、搬送車102の上面に荷物が載置される載置部を備え、載置部に載置される荷物を搬送することのできる台車である。搬送車102は、荷物を移載することのできる移載装置121と、固定軌条101に沿って配設された電力供給用の電線から電力の供給を受ける電力供給ユニット122と、固定軌条101上を走行するための駆動力を発生させるモータなどの駆動源123と、他の搬送車102と接触した場合に、衝撃力を緩和するとともに、当該接触を検知して駆動源123を強制的に停止することのできるバンパユニット124と、搬送車102相互間で情報の授受を行ったり、制御システムとの間で情報の授受を行ったりするための受発光ユニット125とを備える自走式の台車である。また、搬送車102の下部には、固定電線111(可動電線112も含む)と通信を行うための通信ユニット113が取り付けられている。
【0030】
図3は、固定軌条と可動軌条とが連結された状態の台車近傍を軌道側から模式的に示す斜視図である。
【0031】
同図に示すように、台車105は、可動軌条104上に配置される搬送車102を可動軌条104と共に運搬することのできる台車であり、可動保持具114と、可動電線112と、可動軌条104と、把持部107とを備えている。台車105は、固定軌条101に対し交差方向に伸びる運搬軌条141の上を走行することができるものとなっている。台車105は、可動軌条104を軌道から引き出し、搬送車102をメンテナンスするためのメンテナンスレール142と可動軌条104とを連結することができる位置まで可動軌条104を移動させることができるものとなっている。したがって、台車105は、可動軌条104の上に載置した搬送車102を、軌道とメンテナンスレール142との間で運搬することが可能となる。
【0032】
可動軌条104は、固定軌条101と連結可能な軌条であり、固定軌条101と連結状態にある場合は、固定軌条101と共に搬送車102が走行する軌道を形成するものである。また、可動軌条104は、台車105に固定状態で取り付けられており、台車105が固定軌条101と交差する方向に移動した場合、固定軌条101との連結が解除され、台車105と共に移動するものである。
【0033】
把持部107は、人間が掴みやすい太さの丸棒状の部材であり、台車105を人力で移動させる際に用いられる。
【0034】
図4は、台車を一部切り欠いて示す正面図であり、同図(a)は、可動保持具が操業状態における台車を示し、同図(b)は可動保持具の先端部が跳ね上げられた台車を示している。
【0035】
同図に示すように可動保持具114は、可動軌条104を長さ方向(同図中左右方向)に越えて台車105から突出状に配置される装備であり、可動軌条104の先端を越える位置にまで可動電線112が配設されるように可動電線112を保持することができる装備である。本実施の形態の場合、可動保持具114は、可動電線112としてのアンテナ線を可動保持具114の上部で保持する上端保持部116と、可動電線112を可動保持具114の先端において下方に向かって湾曲するように保持する先端保持部117とを備えている。また、可動保持具114は、可動保持具を屈曲させるための関節部118を備えている。本実施の形態の場合、関節部118は、可動保持具114の本体部115に対し関節部118よりも先の部分である先端部120を跳ね上げる方向(同図(b)中の矢印方向)に屈曲することができるものとなっている。
【0036】
また、台車105は、先端部120が、可動軌条104の先端よりも突出する所定の状態であることを検出するセンサ132を備えている。このセンサ132は、先端部120が搬送車102の軌道上の運行に影響を及ぼさない位置(本実施の形態では、同図(a)の状態)にある場合にのみ稼働する。なお、有軌道搬送車システム100は、センサ132の検出状態に基づき搬送車102の移動を規制する規制手段(図示せず)を備えている。本実施の形態の場合、規制手段は、センサ132が稼働している場合のみ搬送車102に移動用の電力を供給するように制御する機能を備えている。
【0037】
図5(a)は、可動電線(固定電線)の断面を示す正面図、図5(b)は可動電線(固定電線)の湾曲させた部分を示す側面図である。なお、説明のため、同図(a)と同図(b)とのスケールは異なっている。
【0038】
同図(a)に示すように、本実施の形態で説明する可動電線112(固定電線111も同様)は、断面が扁平した線であり、内部に平行な2本の金属線(導線)が挿通される電線である。当該可動電線112は、搬送車102と無線によって情報を通信するための電線であり同図(a)、(b)に矢印で示す方向に指向性を備えている。
【0039】
次に、搬送車102をメンテナンス等するために台車を移動させる際の挙動について説明する。
【0040】
まず、通常の操業状態(図3に示す状態)においては、固定軌条101と可動軌条104とが連結状態となる位置に台車105が配置されている。この状態で台車105は、先端部120がおろされた状態(図4(a)に示す状態)となっている。この場合、固定軌条101と可動軌条104とは一つの軌条となって軌道を形成し、搬送車102が自在に走行可能となっている。
【0041】
この状態において、可動保持具114と固定保持具131とは一直線上に配置された状態となり、固定電線111と可動電線112とも一直線上に配設されることとなる。この状態では、センサ132は稼働しており、規制手段は、走行用の電力を搬送車102に給電して、規制を解除するように有軌道搬送車システムを制御する。
【0042】
ここで、固定電線111と可動電線112との隙間において、可動電線112は、図4(a)に示すように上方から下方に向かって湾曲するように可動保持具114によって保持されている。これは、可動軌条104の先端よりも突出する可動保持具114の先端部120で可動電線112を保持するため、全体形状として薄い形状としなければならない台車105において、可動電線112を湾曲させて取り回すスペースを確保することができるためである。
【0043】
また、当該湾曲部分で示す可動電線112の指向性は、図5(b)に示すように垂直面内に放射状に広がる。一方、固定電線111も同様に湾曲しており、指向性も同様の広がりとなる。したがって、固定電線111と可動電線112との隙間においても、通信状態を強く確保することができる指向方向が常に搬送車102に向くことになり、通信状態が悪化することなく搬送車102と無線通信を行うことが可能となる。
【0044】
次に、搬送車102をメンテナンスする際は、図4(b)に示すように可動保持具114の先端部120を跳ね上げる。この状態では、センサ132は稼働を停止するため、規制手段は、走行用の電力を搬送車102に給電することを停止するように制御する。これにより、台車105がメンテナンスレール142側にある場合(図6参照)などに搬送車102が走行し、搬送車102が固定軌条101から脱輪するなどの事故を回避することが可能となる。また、先端部120を跳ね上げることで、可動保持具114と固定軌条101とが干渉することを回避でき、台車105を移動させることにより可動保持具114や固定軌条101が欠損することもなくなる。
【0045】
次に、搬送車102が載置された台車105をメンテナンスレール142と可動軌条104とが連結するまで引き出す(図6参照)。台車105を引き出すには、把持部107を把持して引き出せばよい。
【0046】
次に、メンテナンスに供される搬送車102は、メンテナンスレール142上に移載され、空になった台車105は、再び固定軌条101と可動軌条104とが連結される位置に移動し、可動保持具114の先端部120をおろし、センサ132を稼働させる。この状態では、全ての軌道が開通しているため、再び操業可能となる。
【0047】
以上のような構成を採用すれば、搬送車102を低い位置で走行させることが可能となり、操業の安定性や安全性を確保することが可能となる。一方、搬送車102を軌道から移動させるための台車105は、台車105が有する固定軌条101の先端よりも突出した部分でアンテナ線などの可動電線112を湾曲させるなどの取り回しを行うことができるため、台車105の全体的な厚みを薄く維持しながら可動電線112の配設の自由度を向上させることが可能となる。しかも、可動電線112を可動軌条104の先端を越えて保持する可動保持具114が関節部118で折り曲げることができるため、台車105を移動させる際に固定軌条101と干渉することを回避できる。
【0048】
特に、可動電線112が指向性を備えたアンテナ線であった場合、指向方向を常に搬送車102に向かうように可動電線112を取り回すことで、高い通信性能を確保することができる。また、可動電線112の肉厚の薄い方向に可動電線112を湾曲させることができ、かつ、可動保持具114の先端部120を跳ね上げる方向も可動電線112の肉厚の薄い方向であるため、可動電線112に無理な負担をかけることなく、可動電線112の寿命を向上させることが可能となる。
【0049】
なお、可動保持具114は複数の関節部118を備えても良く、その関節部118の少なくとも一つが可動軌条104の先端よりも内側にあれば、本願発明の技術的範囲に含まれる。また、可動保持具114の折れ曲がる方向は、垂直面ばかりでなく、水平面など任意の面で折れ曲がっても良く、自在継ぎ手により任意の方向に折れ曲がるものでも良い。
【0050】
また、可動保持具114は、台車105の幅方向の両方向に突出するばかりでなく、片方向に突出するものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明は、物流倉庫や製造工場等に設置される有軌道搬送車システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 有軌道搬送車システム
101 固定軌条
102 搬送車
104 可動軌条
105 台車
107 把持部
111 固定電線
112 可動電線
113 通信ユニット
114 可動保持具
115 本体部
116 上端保持部
117 先端保持部
118 関節部
120 先端部
121 移載装置
122 電力供給ユニット
123 駆動源
124 バンパユニット
125 受発光ユニット
131 固定保持具
132 センサ
141 運搬軌条
142 メンテナンスレール
201 荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に固定される固定軌条と、前記固定軌条に沿って走行し搬送対象物を搬送する搬送車とを有する有軌道搬送車システムに備えられ、前記固定軌条と連結可能な可動軌条とを備え、前記可動軌条上に配置される前記搬送車を前記可動軌条と共に運搬することのできる台車であって、
当該台車に配設され当該台車と共に移動する電線と、
前記可動軌条の先端を越えて当該台車から突出状に配置され、前記可動軌条を越える位置にまで前記電線を保持する可動保持具とを備え、
前記可動保持具は、前記可動軌条の先端を超えない範囲に、当該可動保持具を屈曲可能とする関節部を備える
台車。
【請求項2】
前記電線は、水平方向に並んだ複数の導線を備え、前記搬送車と無線通信を行うためのアンテナ線であり、
前記可動保持具は、
前記アンテナ線を当該可動保持具の上部で保持する上端保持部と、
前記アンテナ線を当該可動保持具の先端において下方に向かって湾曲するように保持する先端保持部とを備える
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記関節部は、前記可動保持具の当該関節部よりも先の部分である先端部を跳ね上げる方向に屈曲する請求項1、または、請求項2に記載の台車。
【請求項4】
床面に固定される固定軌条と、
前記固定軌条に沿って走行し搬送対象物を搬送する搬送車と、
前記固定軌条と連結可能な可動軌条と、
前記可動軌条上に配置される前記搬送車を前記可動軌条と共に運搬することのできる台車と、
当該台車から外方に向かって伸びる電線と、
前記可動軌条に沿い、前記可動軌条の先端を越えて突出状に配置され、前記電線を保持する可動保持具とを備え、
前記可動保持具は、前記可動軌条の先端を超えない範囲に、当該可動保持具を屈曲可能とする関節部を備える有軌道搬送車システム。
【請求項5】
さらに、
前記可動保持具の当該関節部よりも先の部分である先端部が、可動軌条の先端よりも突出する所定の状態であることを検出するセンサと、
前記センサの検出状態に基づき前記搬送車の移動を規制する規制手段を備える
請求項4に記載の有軌道搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−285008(P2010−285008A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138687(P2009−138687)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】