各弦のオクターブチューニングが可能なテレキャスタータイプのギター用ブリッジコマ

【課題】テレキャスタータイプのギターのもつブリッジコマ１つに対して垂直に弦が２本乗っているからこそ得られる音色を損なうことなく、かつ弦ごとにチューニングが可能となるギターの弦調節ブリッジコマの構造を提供する。
【解決手段】２本の弦を１つのブリッジコマ本体に垂直に乗せるタイプのブリッジコマの左右に、その上に乗る弦のオクターブポイントに合う段差を設け、すなわち１つのブリッジコマを２段にずらすことによって、弦ごとのオクターブ調整が可能となる。更に、ブリッジコマ本体の左右に設けられた段差は予めオクターブポイントに調整されてあるので、片方の弦をオクターブ調整するともう一方の弦もオクターブポイントに配置される構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、テレキャスタータイプのギターに使われる２本の弦を１つのブリッジコマ本体に垂直に乗せるタイプのブリッジコマについて、各弦のオクターブチューニングが可能となるブリッジコマの構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、テレキャスタータイプのギターに使われるブリッジコマは、１つの真っ直ぐな円柱型のブリッジコマ本体の上に弦が垂直に２本乗っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
そのために、次のような問題点があった。
（イ）音程をより正確に合わせる為に各弦のブリッジコマ位置を変えてオクターブ調整をしなければならないところ、真っ直ぐな円柱型をしているブリッジコマ１つの上に２本の弦が垂直に乗っているため、弦ごとにブリッジコマの位置を変えることができない。よって弦ごとにオクターブ調整をすることができず、音程を正確に合わせることができなかった。
（ロ）真っ直ぐな円柱型のブリッジコマを斜めにずらすことによってその上に乗っている各弦のオクターブ調整をする場合もあるが、ブリッジコマを斜めにすることによって弦の接点が左右非対称になり、弦の振幅を妨げてしまう。
（ハ）各弦にブリッジコマ６つのそれぞれが独立したタイプのブリッジコマにプレートごと交換をすればオクターブチューニングを合わせる事が可能になるが、そうすると、弦２本が１つのブリッジコマに乗っているからこそ得られるテレキャスター独特の音色が失われてしまう。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
弦２本に対してブリッジコマが１つであることは従来と同様であるが、円柱型のブリッジコマ本体の中心を軸として、その左右に予めその弦のオクターブポイントに合う段をつけ、ブリッジコマを２段にずらすことによって各弦のオクターブ調整をする。
以上を特徴とする。
【発明の効果】
【０００５】
２本の弦が１つのブリッジコマに垂直に乗っているからこそ得られるテレキャスタータイプのギターの独特の音色を失う事なく、オクターブチューニングを弦ごとに正確に合わせる事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
（イ）ブリッジコマの左右に、その上に乗る弦のオクターブポイントに予め調整された段差を設ける。
テレキャスタータイプのギターには６弦に対してブリッジコマが２弦に１つずつ、計３つのブリッジコマが使用されるので、ブリッジコマごとに具体的に述べると、１・２弦用のブリッジコマについては、ブリッジコマ本体の片方に１弦、もう片方に２弦のオクターブポイントに調節されてある段差を設けると、２段にずれた形のブリッジコマとなる。
３・４弦用のブリッジコマ、５・６弦用のブリッジコマも同様に、それぞれの弦のオクターブポイントに調整されてある段差を設けると、２段にずれた形のブリッジコマとなる。
尚、１弦から６弦までの３つのブリッジコマを並列したとき、１・２弦用及び５・６弦用のブリッジコマの段差の向きと、３・４弦用のブリッジコマは段差の向きが逆となるのは、各弦にコマ６つのそれぞれが独立したタイプのブリッジコマと段差の構造が同じになるようにするためである。
（ロ）１・２弦用、３・４弦用、５・６弦用のブリッジコマをテレキャスタータイプのギターのブリッジプレートに装着する。
尚、弦高調整ビスによって、ブリッジプレートに装着されたブリッジコマ本体を支え、弦高低を調整する。
（ハ）ブリッジコマ本体に嵌入されてあるオクターブ調整ビスを前後して片方の弦のオクターブ調整をする。するとブリッジコマの左右に設けられたオクターブポイントに予め調整されてある段差に従い、もう一方の弦もオクターブポイントに配置される。
ブリッジコマ本体を片方の弦のオクターブポイントに調整すれば、もう片方の弦も自然とオクターブポイントに調整されているということである。
すなわち、１・２弦用のブリッジコマは、１弦のオクターブを調整するとブリッジコマの左右に設けられた段差に従い、２弦もオクターブポイントに調整される。同じく２・３弦用のブリッジコマは、３弦のオクターブを調整すると４弦もオクターブポイントにあり、５・６弦のブリッジコマは、５弦のオクターブを調整すると６弦もオクターブポイントにある。
本発明は、以上の構成よりなっている。
事前にブリッジコマ本体をオクターブポイントに合わせてあるので、弦ごとのチューニングが容易にでき、また、２本の弦が１つのブリッジコマに乗っているからこそ得られるテレキャスタータイプのギター独特の音色を失うことがない。
本発明の実施の形態では、ステンレス・スチール・サドルなど、従来どおりのどの素材のブリッジコマであっても、以上のような形状・構造であれば、音色が失われることなく、音程を正確に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】本発明の本体一部の拡大図
【図２】本発明の実施例を示す平面図
【図３】本発明の本体一部の側面図
【符号の説明】
【０００８】
１ブリッジコマ（見本）
２１・２弦用ブリッジコマ
３３・４弦用ブリッジコマ
４５・６弦用ブリッジコマ
５オクターブ調整ビス
６ブリッジプレート
７弦高調整ビス

【特許請求の範囲】
【請求項１】
２本の弦を１つのブリッジコマ本体に垂直に乗せるタイプのブリッジコマに、その上に乗る各弦のオクターブポイントに予め調整された段差を設け、１つのブリッジコマを２段にずらすことによって、そのブリッジコマをブリッジプレートに装着させたとき、弦ごとのオクターブ調整が可能となることを特徴とするギター用ブリッジコマ。

【図１】