説明

合成セグメントの連結構造及びこれを備えた合成セグメント

【課題】軸方向壁を鋼管で構成することにより、構造が簡単で構成部品が少なく、製造が簡単でコストを低減することができ、施工性を向上することができる合成セグメントの連結構造及びこれを備えた合成セグメントを提供すること。
【解決手段】トンネルの軸方向に所定の間隔で設けられて軸方向壁を形成する一対の鋼管1a,1bと、この一対の鋼管1a,1bの外周側及び内周側の両者又はいずれか一方に接合されたスキンプレート10と、鋼管1a,1b及びスキンプレート10の両端部に接合されて周方向壁を形成する継手板15a,15bと、これらで囲まれた領域に打設されたコンクリート60とからなり、上記一対の鋼管1a,1bに、直接又は部材を介して周方向連結手段2a,2b及び軸方向連結手段を設け、合成セグメントをトンネル周方向及び軸方向に連結するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成セグメントの連結構造及びこれを備えた合成セグメントに係り、より詳しくは、軸方向壁を鋼管で構成した合成セグメントの連結構造及びこれを備えた合成セグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトンネル用セグメントとして、トンネル周方向で隣合うセグメントに対向すべくトンネル軸方向に沿った一対の軸方向壁と、トンネル周方向に沿うほぼ扇形で一対以上の周方向壁と、トンネル壁を構成するためにトンネル周方向に沿った周壁、周方向壁と同形の一対の縦リブとの壁からなる箱状を呈すると共に、周方向壁において、トンネル径方向に関して周壁が配置される部分とは反対側となる部分に、周方向壁のトンネル周方向長さの全域又はほぼ全域にわたってトンネル軸方向に突出するフランジ部を形成してダクタイル鋳鉄製のセグメントを構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−307100号公報(第3,4頁、図1−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトンネル用セグメントにおいては、鋼板をほぼ扇形状に切り出しして溶接するか、又はほぼ扇形状の鋳鉄を別途製作して設置することにより、セグメントの曲率を実現しているが、この方法では製作コストが嵩むばかりでなく、製作に時間がかかるという問題がある。
また、セグメント本体構造に加えて、別途、トンネル周方向及びトンネル軸方向に複数並べて互いに連結するためのセグメント継手及びリング継手を設置する必要があるため、製作コストがさらに嵩むことになる。
【0005】
さらに、セグメントの製作時に、コンクリートの打設荷重に耐えるため、トンネル周方向に沿った周壁を構成する背面板又はスキンプレートの面外変形を抑制する補剛材が多数必要となり、これに加えて、セグメントの施工時には、セグメントをジャッキ等で押し込むため、トンネル周方向に沿うほぼ扇形状の軸方向壁(セグメント側面)の強度が問題となる。特に、大深度対応のトンネル用セグメントの場合、セグメント1体当りの重量の増加に比例してジャッキ等の押し込み力も増加する。この押し込み力に対応するためにも補剛材を多数設置する必要があり、セグメント1体当りの重量がさらに増加し、その結果施工性が悪化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、軸方向壁を鋼管で構成することにより、構造が簡単で構成部品が少なく、製造が簡単でコストを低減することができ、施工性を向上することができる合成セグメントの連結構造及びこれを備えた合成セグメントを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る合成セグメントの連結構造は、トンネルの軸方向に所定の間隔で設けられて軸方向壁を形成する一対の鋼管と、該一対の鋼管の外周側及び内周側の両者又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記鋼管及びスキンプレートの両端部に接合されて周方向壁を形成する継手板と、これらで囲まれた領域に打設されたコンクリートからなり、前記一対の鋼管に、直接又は部材を介して周方向連結手段及び軸方向連結手段を設け、合成セグメントをトンネルの周方向及び軸方向に連結するように構成したものである。
【0008】
また、本発明に係る合成セグメントの連結構造は、上記の周方向連結手段を、前記一対の鋼管の両端部側の内周側フランジをそれぞれ切除して設けた開口部と、前記鋼管の端部に対応してそれぞれボルト挿通穴が設けられ前記一対の鋼管の両端部に接合された継手板とによって形成された継手ボックスを有し、隣接する合成セグメントの継手板を当接又は近接させて、前記継手ボックスの前記ボルト挿通穴にボルトを挿通してナットにより両者を一体に連結するようにしたものである。
【0009】
また、本発明に係る合成セグメントの連結構造は、周方向連結手段を、所定の間隔で設けられた断面四角形状の側壁の間に案内溝が形成された本体部と、該本体部の一方の端部側において前記案内溝と係合鋼板との間に形成された係合部と、前記本体部の他方の端部近傍において前記案内溝に取付けられ、前記側壁の上面から前記案内溝の深さとほぼ等しい高さで突出した係合突部とからなる周方向継手部材を有し、該周方向継手部材を係合突部が互いに軸方向の反対側に位置するように前記継手板に接合して、隣接する合成セグメントの周方向継手部材の係合突部相手方の案内溝にそれぞれ嵌合して該係合突部を前記係合部に係止させ、両者を一体に連結するようにしたものである。
【0010】
上記の周方向連結部材に、抜け止め手段を設けた。
【0011】
本発明に係る合成セグメントの連結構造は、上記の軸方向連結手段を、外側フランジの長手方向に所定の間隔でボルト挿通穴が設けられ、前記一対の鋼管の外側ウエブに開口部を内周側にしてそれぞれ接合された断面ほぼU字状の軸方向継手部材を有し、隣接する合成セグメントの軸方向継手部材を当接又は近接させて、前記ボルト挿通穴にボルトを挿通してナットにより両者を一体に連結するようにしたものである。
【0012】
また、本発明に係る合成セグメントの連結構造は、上記の軸方向連結手段を、鋼パイプ又は丸鋼棒からなり長手方向のほぼ2分の1が一方の鋼管の外側ウエブから突出して該鋼管に接合された第1の軸方向継手部材と、該第1の軸方向継手部材が嵌入される鋼パイプからなり、その端部が他方の鋼管の外側ウエブに開口して該鋼管に接合された第2の軸方向継手部材とを有し、隣接する合成セグメントの第2の軸方向継手部材に第1の軸方向継手部材を嵌入して両者を一体に連結するようにしたものである。
【0013】
上記の第1の軸方向継手部材と第2の軸方向継手部材に、抜け止め手段を設けた。
【0014】
本発明に係る合成セグメントは、トンネルの軸方向に所定の間隔で設けられて軸方向壁を形成する一対の鋼管と、該一対の鋼管の外周側及び内周側の両者又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記鋼管及びスキンプレートの両端部に接合されて周方向壁を形成する継手板と、これらで囲まれた領域に打接されたコンクリ−トからなり、前記一対の鋼管に、上記いずれかの周方向連結手段及び軸方向連結手段の両者又はいずれか一方を直接又は部材を介して設けたものである。
【0015】
本発明に係る合成セグメントは、上記の一対の鋼管内にコンクリートを充填したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トンネル軸方向壁を鋼管で構成したセグメントを、簡単な構造の連結手段により、隣接するセグメントをトンネル周方向及び又はトンネル軸方向に強固かつ確実に連結できるので、コストを低減できるばかりでなく、施工性が向上し、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る合成セグメント(以下、単にセグメントという)は、図7に示すように、地中に掘削されたトンネル内に、複数のセグメントSを周方向連結手段によりリング状に連結してトンネル周方向壁を構成し、このトンネル周方向壁を軸方向連結手段により順次トンネル軸方向に連結してトンネル周壁を構築するためのものである。
【0018】
このようなセグメントSのトンネル周方向及び軸方向の連結手順の一例を図8により説明する。トンネル周壁に設置されたセグメントS1の周方向には、周方向連結手段によりセグメントS2(以下、第1の既設セグメントという)が連結されており、また、セグメントS1の軸方向には、軸方向連結手段によりセグメントS3(以下、第2の既設セグメントという)が連結されている。
【0019】
このような状態において、次のセグメントS4(以下、連結セグメントという)を、セグメントS1及び/又は第1の既設セグメントS2と第2の既設セグメントS3に連結するにあたっては、連結セグメントS4の周方向壁を第2の既設セグメントS3の周方向壁に沿って矢印方向に押し込み、セグメントS1及び/又は第1の既設セグメントS2の軸方向壁に、軸方向連結手段により連結セグメントS4の軸方向壁を連結する。このとき、連結セグメントS4の手前側の軸方向壁は、破線で示すように、第2の既設セグメントS3の手前側の軸方向壁とほぼ同一平面上に位置する。
【0020】
また、連結セグメントS4を押し込むと同時に、又は連結セグメントS4をセグメントS1及び/又は第1の既設セグメントS2と連結したのち、第2の既設セグメントS3と連結セグメントS4の周方向壁を、周方向連結手段により連結する。なお、連結セグメントS4の押し込みにあたっては、トンネルの掘削に用いるシールドマシンに装備されているジャッキの推進力を利用することができる。
本発明は、上記のようなセグメントのトンネル周方向及び軸方向の連結構造及びこれを備えたセグメントに関するものである。
【0021】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1の鋼管の要部の説明図、図4は図1の鋼管に設けた継手ボックスの説明図、図5は図4の右側面図及びB−B断面図である。
【0022】
図1、図2において、1a,1bは合成セグメントSのトンネル軸方向壁を構成する一対の角形鋼管(以下、単に鋼管という)で、トンネルの周方向に沿って半径r(図7参照)でほぼ円弧状に曲げ加工されており、内部にはコンクリート60が充填されている。なお、鋼管1a,1bは一般に市販のものを使用できるが、大きさや板厚などに制限があるため軸方向壁に適用できない場合がある。このような場合は、4枚の鋼板の端縁部を溶接接合し、あるいは鋼板をL字状やコ字状に曲げ加工した鋼材を溶接接合し、さらには市販のアングルやチャンネル等の鋼材を溶接接合するなどして、鋼管状の軸方向壁を構成してもよく、また、多角形状の軸方向壁を構成する場合は、複数枚の鋼板の端縁部を溶接接合してもよい(他の実施の形態においても同様である)。
【0023】
この鋼管1a,1bはトンネル軸方向に所定の間隔Dで配設され、両鋼管1a,1bの外周側又はその間には、外周側スキンプレート10が溶接接合されて一体化されている。なお、図示してないが、両鋼管1a,1bの間において、長手方向に所定の間隔でダイヤフラムや丸棒などを接合して両者の間隔を保持するようにしてもよい。また、図示してないが、鋼管1a,1bの内周側又はその間にも内周側スキンプレートを接合してもよく、これら外周側スキンプレート10や内周側スキンプレートの内面側には、長手方向に所定の間隔で複数列のスタッド11、あるいは網鉄筋などのコンクリート定着部材が設けられている。
【0024】
15a,15bは鋼管1a,1bと外周側スキンプレート10の両端部に溶接接合された周方向壁を構成する継手板で、鋼管1a,1bの端部に対応してそれぞれボルト挿通穴16が設けられている。そして、これら鋼管1a,1b、外周側スキンプレート10及び継手板15a,15bで囲まれ、内周側が開放された箱状の領域17には、コンクリート60が打設されている。なお、内周側にも内周側スキンプレートが接合されている場合は、箱状の領域は閉鎖断面となるので、この場合は、先ず一方の継手板(例えば、15b)を接合し、他方の開放された端部から箱状の領域17内にコンクリート60を充填し、コンクリート60が固化したのち他方の継手板15aを接合してもよく、あるいは、継手板15a,又は15bにコンクリート注入用穴を設けておき、両端部を継手板15a,15bで閉塞したのちコンクリート注入用穴からコンクリート60を注入し充填してもよい。
【0025】
ところで、本実施の形態においては、鋼管1a,1bの両端部に周方向の連結手段を形成する継手ボックス2a,2bが設けられている。この継手ボックス2a,2bは、図3に示すように(図3、図4は外周側が図の上側に位置している)、鋼管1a,1b(以下、符号1で示すことがある)の両端部側の内周側壁(以下、内周側フランジという)を切除して開口し(開口部3a,3b)、開口部3a,3bの両端部から反対側(鋼管1の長手方向の中央部側)に、穴5を有する仕切板4a,4bを溶接接合し、両開口部3a,3bの間を閉塞する。
【0026】
そして、仕切板4a(又は4b)に設けた穴5にホース(図示せず)を挿入し、他方の仕切板4b(又は4a)の穴5を塞いで、ホースを介して両仕切板4a,4bの間、したがって鋼管1内にコンクリート60(図2参照)を充填する。このように、両開口部3a,3bの間を仕切板4a,4bで閉塞し、鋼管1内にコンクリート60を充填することにより、鋼管1とコンクリート60が一体化され、鋼管1の曲げ耐力、曲げ剛性を向上することができる。
【0027】
鋼管1内に充填したコンクリート60が固化したのち、図1に示すように、両鋼管1a,1bの外周側に外周側スキンプレート10を接合し、ついで、その両端部に継手板15a,15bを接合する。これにより、図4、図5に示すように、鋼管1の両端部において、外周側フランジと両ウエブ、仕切板4a,4b及び継手板15a,15bで囲まれ、内周側が開口(3a,3b)した継手ボックス2a,2bが形成される。このとき、継手板15a,15bに設けたボルト挿通穴16は、継手ボックス2a,2b内に開口する。なお、鋼管1内へのコンクリート60の充填は、鋼管1にスキンプレート10や継手板15a,15bを接合したのちに行ってもよい。
【0028】
この場合、継手板15a,15bの内面側(箱状の領域17側)に、外形が鋼管1a,1bとほぼ等しいかこれより小さく、長さが鋼管1a,1bの間隔Dとほぼ等しい短管を溶接接合し、この短管を両鋼管1a,1bの端部の間に挿入して、鋼管1a,1b及び外周側スキンプレート10の両端部に継手板15a,15b(短管を含む)を接合してもよい。
このように構成することにより、継手板15a,15bの剛性を高めると共に、両鋼管1a,1bの間隔Dを保持することができる。
【0029】
ところで、鋼管1a,1b内及び箱状の領域17に充填するコンクリート60は、セグメントSの曲げ耐力や曲げ剛性を確保するために、隅々まで確実に充填されることが必要である。そこで、本実施の形態においては、最大骨材寸法:20mm、スランプフロー:60cm±10cm、空気量:2%±1%の高流動コンクリート(以下、単にコンクリートと記すことがある)を使用した。これにより、鋼管1a,1b内及び箱状の領域17の隅々まで確実にコンクリート60を充填することができた(他の実施の形態においても同様である)。
【0030】
次に、上記のように構成したセグメントSのトンネル周方向の連結手順の一例を、図6により説明する。前述の図8において、第1の既設セグメントS2のトンネル軸方向に連結セグメントS4が連結されると、図6(a)に示すように、その継手板15bが第2の既設セグメントS3の継手板15aに当接又は近接して位置し、両者に設けたボルト挿通穴16が整合する。
【0031】
この状態で、図6(b)に示すように、一方の継手ボックス(例えば2b)の開口部3bからボルト8を挿入し、両継手板15b,15aに設けたボルト挿通穴16に挿通する。そして、他方の継手ボックス2aの開口部3aから挿入したナット9をボルト8に螺合して締め付けることにより、連結セグメントS4は第2の既設セグメントS3のトンネル周方向に強固に固定され、連結される。
この場合、継手板15a,15bに設けたボルト挿通穴16の径を、ボルト8の径より若干大きくしておけば、第2の既設セグメントS3と連結セグメントS4との間に軸方向又は周方向の僅かなずれがある場合でも、ボルト8を容易に挿通することができる。なお、継手板15a,15bのいずれか一方のボルト挿通穴16の継手ボックス2a,2b側に、あらかじめナット9を溶接接合しておいてもよい。
【0032】
このように、複数のボルト8とナット9により、第2の既設セグメントS3の周方向に連結セグメントS4を連結したのち、図6(c)に示すように、継手ボックス2a,2b内にコンクリート60を充填すれば、両者の連結が完了する。
【0033】
本実施の形態によれば、トンネル軸方向壁を鋼管1a,1bで構成したセグメントSにおいて、鋼管1a,1bの両端部側とこれに接合された継手板15a,15bとの間に、内周側に開口する継手ボックス2a,2bを設け、隣接するセグメントSの当接又は近接して位置する継手板15aと15bを、これに設けたボルト挿通穴16に挿通したボルト8とナット9により、一体に固定して連結するようにしたので、簡単な構造の連結手段により、隣接するセグメントSをトンネル周方向に強固かつ確実に連結することができる。このため、連結手段のコストを低減できるばかりでなく、施工性が向上し信頼性を高めることができる。
【0034】
[実施の形態2]
図9は本発明の実施の形態2に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、トンネル周方向に沿ってほぼ円弧状に形成され、両端部側に内周側に開口する継手ボックス2a,2bを有し、継手ボックス2a,2bの間にコンクリート60が充填された一対の鋼管1a,1bの間に、内部にコンクリート60が充填された複数本(図には2本の場合が示してある)の鋼管1c,1dを配設し、隣接する鋼管1a〜1dどうしを溶接接合して一体化して、両端部にボルト挿通穴16を有する継手板15a,15bを接合して、セグメントSを構成したものである。
【0035】
本実施の形態による隣接するセグメントのトンネル周方向の連結手順及びその効果は実施の形態1の場合とほぼ同様である。なお、本実施の形態に係るセグメントSによれば、構成部品が少なく製造が容易でコストを低減することができ、その上施工時のジャッキの押し込み力に抵抗することができる。
【0036】
[実施の形態3]
図10は本発明の実施の形態3に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態においては、軸方向壁を構成する鋼管1a,1b内にはコンクリートが充填されており、その外周側にはスキンプレート10(図示せず)が接合され、鋼管1a,1bとスキンプレート10の両端部には継手板15a,15bが接合されている。そして、これらで形成された箱状の領域17には、コンクリート60が打設されている。
【0037】
図10において、20はセグメントSのトンネル周方向の両端部に設けられた周方向継手部材で、その一例を図11に示す。
この周方向継手部材20を構成する本体部21は、長方形の鋼板の幅方向の両側を互いに内側に折曲げて、長手方向に断面四角形状の側壁22a,22bを形成すると共に、両側壁22a,22bの間の長手方向に案内溝23を形成したものである。なお、本体部21は、例えば短冊状の幅方向の両側の長手方向に、角形鋼管、チャンネル状の鋼材あるいは断面四角形の鋼棒を接合して、その間に継手板を接合して案内溝23を設けてもよい。
本体部21の長さLは、セグメントSの幅とほぼ等しいか又はこれより若干短かく、また、幅WはセグメントSの厚み、したがって鋼管1の一辺の幅とほぼ等しく選ばれている。
【0038】
25は本体部21の一方の端部において、案内溝23を覆って両側壁22a,22bに溶接接合された係合鋼板で、その上面は側壁22a,22bの上面(以下、フランジという)と同一平面又はこれより若干低くなっており、案内溝23と係合鋼板25とにより後述の係合突部26の係合部24が形成されている。なお、係合部24は、例えば鋼板をコ字状に折曲げて案内溝23に挿入し、その両側板を側壁22a,22bの内壁面に溶接接合して形成してもよい。
【0039】
26は本体部21の他方の端部側において案内溝23に取付けられた係合突部で、図12に示すように、鋼板を折曲げて、天板27と側板28a,28bとによりほぼコ字状に形成し、天板27の幅W2を案内溝23の幅W1とほぼ等しく、側板28a,28bの高さhを案内溝23の深さtのほぼ2倍の高さとする。そして、側板28a,28bの一端(以下、先端部という)から長手方向のほぼ中央部付近まで、下端部から側板28a,28bのほぼ2分の1より若干高い位置から、後部になるにしたがって下方に傾斜して段部30につながる係止部29を設け、天板27の先端部側及び係止部29の上方の側板28a,28bをそれぞれ斜め内側に折曲げて、先端部がやや細い嵌入部31を形成したものである。
【0040】
この係合突部26は、本体部21の他端(係合部24の反対側)から若干係合部24側に寄った位置(係合鋼板25の長さより内側の位置)において案内溝23内に挿入され、両側板28a,28bが両側壁22a,22bに溶接接合されて一体に取付けられる。このとき、係合突部26の両側壁22a,22bのフランジ面からの突出長h1は、案内溝23の深さtとほぼ等しくなっている。
このように、本体部21に係合部24が設けられ係合突部26が取付けられた周方向継手部材20は、幅方向が左右対称構造となっている。
【0041】
上記のように構成した周方向継手部材20は、図10に示すように、セグメントSの一方の継手板(例えば、15a)に、これと平行に係合部26を手前にして溶接接合し、取付ける。そして、セグメントSの他方の継手板15bには、上記の周方向継手部材20と同じ構造の周方向継手部材20を、係合部26を奥側にして、したがって、継手板15aに接合した周方向継手部材20の係合部26と反対側になるように、上記と同様の要領で接合する。
【0042】
次に、上記のように周方向継手部材20が両端部に取付けられたセグメントSのトンネル周方向への連結手順の一例について、図13により説明する。なお、S3は図8で説明したトンネル周方向に既に設置された第2の既設セグメント(以下、単に既設セグメントという)、S4はこの既設セグメントS3に連結する連結セグメントである。
【0043】
先ず、図13(a)に示すように、連結セグメントS4を矢印a方向に移動させ、両者の係合突部26a,26bを相手方の案内溝23b,23aにそれぞれ嵌入する。このとき、両セグメントS3,S4の周方向継手部材20a,20bの側壁22a,22bのフランジ面が当接し、また、係合突部26a,26bの天板27が相手方の案内溝23b,23aの底部にほぼ接触する。
【0044】
そして、連結セグメントS4を矢印b方向(トンネルの軸方向)に押圧し、図13(b)に示すように、既設セグメントS3の係合突部26aを連結セグメントS4の係合部24aに、連結セグメントS4の係合突部26bを既設セグメントS3の係合部24aにそれぞれ嵌入し、連結セグメントS4の軸方向壁1bが既設セグメントS3の軸方向壁1bとほぼ同一平面上に位置するまで押込む。このとき、両セグメントS3,S4の係合突部26a,26bの係止部29a,29bが相手方の係合鋼板25b,25aに係止する。
これにより、既設セグメントS3への連結セグメントS4の連結が終了する。以下同様にして、既設セグメントに連結セグメントを順次連結して、トンネル周方向壁を構築する。
【0045】
上記のように両端部に周方向継手部材20が取付けられたセグメントSは、既設セグメントS3の係合突部26aが連結セグメントS4の案内溝23bに沿って係合部24b内に嵌入されて、その天板27が案内溝23bの底面に接触し、また、係止部29aが係合部24bの係合鋼板25bに係止する。同様に、連結セグメントS4の係合突部26bが既設セグメントS3の係合部24aに嵌入され、係止部29bが係合鋼板25aに係止するので、係合突部26a,26bの天板27と案内溝23b,23aの底部とが接触し、また、両者の係止部29a,29bとこれが係止する係合鋼板25b,25aとの楔作用により、連結セグメントS4は既設セグメントS3に強固に連結される。
【0046】
図14は本実施の形態の他の例を示す説明図である。本例においては、図14(a)に示すように、一方のセグメントS3(以下の説明では、既設セグメントS3と連結セグメントS4について記す)に設けた周方向継手部材20aの係合突部26aの天板27に、先端部から後端部に向って高くなる傾斜面を有する側面三角形状の係止突起32を設けると共に、連結セグメントS4の周方向継手部材20bの案内溝23bの底部の、両セグメントS3,S4を連結したときに係合突部26aに設けた係止突起32が係止する位置に、係合突部26b側から係止部24bに向って高くなる傾斜面を有する側面三角形状の係止突起33を設けて抜け止め手段を形成したものである。なお、図示してないが、連結セグメントS4に設けた周方向継手部材20bの係合突部26bの天板27、及び既設セグメントS3に設けた周方向継手部材20aの案内溝23aの底部にも同様にして係止突起32,33が設けられている。
【0047】
このように周方向継手部材20a,20bに抜け止め手段を設けたので、既設セグメントS3に連結セグメントS4を連結すると、図14(b)に示すように、両者の周方向継手部材20a,20bの係合突部26a,26bの天板27に設けた係合突起32が、相手方の案内溝23b,23aの底部に設けた係止突起33に係止するので、連結セグメントS4がトンネル軸方向に抜け出すのを確実に防止することができる。
【0048】
本実施の形態によれば、周方向継手部材20は幅方向が左右対称構造となっているため、セグメントSの周方向の両端部に、同じ構造の周方向継手部材20を係合突部26の位置を変えるだけで取付ければよいので、一種類の周方向継手部材20を準備すればよく、このため、周方向継手部材20の製造、在庫管理、セグメントSへの取付けなどがきわめて容易であり、コストを低減することができる。
【0049】
また、セグメントSのトンネル周方向の連結にあたっては、既設セグメントS3の周方向継手部材20aの係合部24aと係合突部26aとの間の適宜位置に、連結セグメントS3の周方向継手部材20bの係合突部26bを位置させ、両係合突部26a,26bを案内溝23b,23aに嵌入して押し込めばよいので、連結セグメントS4の位置合わせの自由度を大幅に拡大することができ、このため施工がきわめて容易である。
【0050】
さらに、既設セグメントS3と連結セグメントS4は、両者の周方向継手部材20a,20bの係合突部26a,26bが相手方の案内溝23b,23aに嵌入されて、その係止部29a,29bに相手方の係合部24b,24aの係合鋼板25b,25aが楔状に係止するので、係合突部26a,26bや係合鋼板25a,25bの変形が防止されるばかりでなく、連結セグメントS4が押込み方向や押込み方向と直角方向に抜け出すことがない。
【0051】
[実施の形態4]
図15は本発明の実施の形態4に係るトンネル軸方向の連結構造を備えた説明図、図16は図15のC−C断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態に係るセグメントSは、実施の形態1に係るセグメントSとほぼ同じ構造であるが、鋼管1a,1bの両端部には継手ボックス2a,2bが設けられておらず、鋼管1a,1bのトンネル軸方向の外壁(以下、外側ウエブという)に、軸方向継手部材40a,40bを設けたものである。
【0052】
軸方向継手部材40a,40bは、例えば、断面ほぼU字状の溝形鋼からなり、鋼管1a,1bとほぼ同じ長さで、高さは鋼管1a,1bのウエブ高さと同じかこれより若干低く形成され、鋼管1a,1bの形状に対応して、開口部42を内周側にしてほぼ円弧状に曲げ加工したものである。
そして、その一方の片(以下、外側フランジという)の長手方向には、所定の間隔で、それぞれ1個又は複数個のボルト挿通穴41が設けられている。
【0053】
このように構成した軸方向継手部材40a,40bは、鋼管1a,1bの外側ウエブに、開口部42を内周側にして他方の片(以下、内側フランジという)を当接し、溶接により一体に接合する。そして、鋼管1a,1bの両端部又は鋼管1a,1bと軸方向継手部材40a,40bの両端部に、周方向壁である継手板15a,15bを接合し、鋼管1a,1b、外周側スキンプレート10及び継手板15a,15bで形成された箱状の領域17にコンクリート60を打設して軸方向継手部材40a,40bを有するセグメントSを構成する。なお、セグメントSを構成したのち、その鋼管1a,1bの外側ウエブに軸方向継手部材40a,40bを接合してもよい。
【0054】
上記のように構成した本実施の形態においては、図8で説明した連結手順によって、セグメントS1及び第1の既設セグメントS2に向って連結セグメントS4を矢印方向に押し込む。そして、図17に示すように、第1の既設セグメントS2の鋼管1aに接合した軸方向継手部材40aに、連結セグメントS4の鋼管1bに接合した軸方向継手部材40bを当接又は近接して位置させ、それぞれの外側フランジに設けたボルト挿通穴41を整合させる。
【0055】
ついで、軸方向継手部材40a又は40bの開口部42からボルト8を挿入し、実施の形態1の場合と同様に、両者のボルト挿通穴41にボルト8を挿通し、他方の開口部42から挿入したナット9を螺入して両軸方向継手部材40a,40bを一体に固定する。これにより、連結セグメントS4は第1の既設セグメントS2の軸方向に連結される。なお、連結後に、軸方向継手部材40a,40bに開口部42からコンクリート60を充填してもよい。
本実施の形態によれば、簡単な構造でトンネル軸方向に隣接するセグメントSを、容易かつ確実に連結できるので、連結手段のコストを低減できるばかりでなく、施工性を向上することができる。
【0056】
[実施の形態5]
図18は本発明の実施の形態5に係る一部を省略して示したトンネル軸方向の連結構造を備えた合成セグメントの斜視図、図19はそのD−D断面図である。なお、以下の説明では、実施の形態1に係るセグメントにトンネルの軸方向の連結構造を設けた場合を示してあるが、さらに内周側に内周側スキンプレート10aを接合した場合が示してあり、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0057】
両図において、セグメントSの一方の鋼管(例えば、1a)の軸方向には、所定の間隔で内径d1の複数の第1の取付穴45が設けられており、他方の鋼管1bには、この第1の取付穴45と対向して、その内径d2が第1の取付穴45の内径より大きい第2の取付穴46が設けられている。この第1、第2の取付穴45,46の数は特に限定しないが、それぞれ4個以上の偶数個であることが望ましい。
【0058】
47は鋼管1aに設けた第1の取付穴45に、長手方向の中央部近傍まで挿入して鋼管1aの外側ウエブに溶接接合された軸方向連結手段を構成する第1の軸方向継手部材、48は鋼管1bに設けた第2の取付穴46に、その端部が鋼管1bの外側ウエブの外面とほぼ同一平面になるまで挿入されて、外側ウエブに溶接接合された軸方向連結手段を構成する第2の軸方向継手部材である。
【0059】
第1、第2の軸方向継手部材47,48の一例を図20に示す。第1の軸方向継手部材47は外径d3が鋼管1aに設けた第1の取付穴45の内径d1とほぼ等しい鋼パイプ(鋼管)からなり、その先端部の外周は面取りされている。また、第2の軸方向継手部材48はその長さが第1の軸方向継手部材47より短かく(例えば、2分の1程度)、外径d4が鋼管1bに設けた第2の取付穴46の内径d2とほぼ等しく、内径d5が第1の軸方向継手部材47の外径d3とほぼ等しい鋼パイプ(鋼管)からなっている。なお、第1の軸方向継手部材47は丸鋼棒で形成してもよい。
【0060】
このような第1、第2の軸方向継手部材47,48を有するセグメントSの製造にあたっては、実施の形態1の場合と同様に、第1の取付穴45と第2の取付穴46を有し、所定の半径rで円弧状に曲げ加工された鋼管1a,1bを所定の間隔Dで配置し、その外周側に外周側スキンプレート10を、必要に応じて内周側に内周側スキンプレート10aを溶接接合して、一方の周方向の端部の開口部を継手板15aで閉塞する。
【0061】
そして、鋼管1a,1bにコンクリート60を充填する前に、鋼管1aに設けた第1の取付穴45に、それぞれ第1の軸方向継手部材47を長手方向の中央部近傍まで挿入し、鋼管1aに溶接接合する。また、鋼管1bに設けた第2の取付穴46に、それぞれ第2の軸方向継手部材48をその端部が鋼管1bの外側ウエブの面とほぼ同一平面になるまで挿入し、鋼管1bに溶接接合して、鋼管1a,1b内にコンクリート60を充填する。これにより、第1、第2の軸方向継手部材47,48は、図19(b)に示すように、鋼管1a,1bへの溶接と内部に充填されたコンクリート60とにより、強固に固定される。
【0062】
ついで、開口された周方向の他方の端部の開口部から箱状の領域17内にコンクリート60を充填し、コンクリート60が固化したのち他方の継手板15bにより開口部を閉塞する。なお、第1、第2の軸方向継手部材47,48が設けられた鋼管1a,1b内に、先ずコンクリート60を充填し、ついで両鋼管1a,1bの外周側又は外周側と内周側にスキンプレート10(又は10と10a)を接合してその両端部(又は一方の端部)に継手板15a(又は15b)を接合し、これらによって形成された箱状の領域17にコンクリート60を打設してもよい。
【0063】
次に、上記のような軸方向継手部材47,48を備えたセグメントSの軸方向の連結手順の一例について、図21により説明する。
図21(a)において、S2は図8で説明したトンネル内に設置された既設セグメント、S4はこの既設セグメントS2のトンネル軸方向に連結する連結セグメントで、既設セグメントS2は第2の軸方向継手部材48が設けられた鋼管1bが手前側に位置しており、第1の軸方向継手部材47が設けられた鋼管1aを既設セグメントS2と対向させて連結セグメントS4を搬入する。そして、連結セグメントS4を矢印方向に移動させて第1の軸方向継手部材47と第2の軸方向継手部材48を整合させ、引続き連結セグメントS4を矢印方向に押し込んで第1の軸方向継手部材47を第2の軸方向継手部材48に嵌入すれば、図21(b)に示すように、両者は一体に連結される。
【0064】
図22は第1の軸方向継手部材47と第2の軸方向継手部材48の他の例を示す説明図である。第1の軸方向継手部材47の長手方向のほぼ中央部から先端部側(鋼管1a又は1bから突出する部分)には、円周上にほぼ等間隔でスリット49が設けられて、それぞれ弾性が付与された弾性片50が形成されており、弾性片50の先端部外周には先端部側に傾斜面を有する係止突部51がそれぞれ設けられている。また、第2の軸方向継手部材48の先端部側の内周面は拡径(拡径部52)されて、係止突部51に対応して係止段部53が設けられており、これらにより抜け止め手段を構成している。
【0065】
既設セグメントS2に連結セグメントS4を連結するために、第1の軸方向継手部材47を第2の軸方向継手部材48に挿入すると、係止突部51が第2の軸方向継手部材48の内壁に当るが、弾性片50が撓んで縮径されるため、容易に挿入することができる。さらに挿入されて係止突部51が第2の軸方向継手部材48の拡径部52に達すると、各弾性片50が元の状態に戻って拡径され、図23に示すように、係止突部51が係止段部53に係止する。
これにより、第1の軸方向継手部材47が第2の軸方向継手部材48から抜け出すことがないので、連結セグメントS4は既設セグメントS2に強固に連結される。なお、係止突部51は、各弾性片50に設けた突起で形成してもよい。
【0066】
本実施の形態によれば、セグメントSをトンネルの軸方向に連結するために、一方の鋼管(例えば、1a)に第1の軸方向継手部材47を設け、他方の鋼管1bに第2の軸方向継手部材48を設けたので、連結セグメントS4の第1の軸方向継手部材47を、既設セグメントS2の第2の軸方向継手部材48に挿入することにより連結セグメントS4を既設セグメントS2にワンタッチで連結することができる。この場合、第1の軸方向継手部材47と第2の軸方向継手部材48との間に、例えば、図22、図23で説明したような抜け止め手段を設ければ、連結セグメントS4を既設セグメントS2により強固に連結することができる。なお、図22、図23は抜け出し防止手段の一例を示すもので、これに限定するものではなく、他の手段によってもよい。
【0067】
本実施の形態によれば、軸方向連結手段を鋼管1a,1bに設けたので、製造が容易で既設セグメントS2のトンネル軸方向に、連結セグメントS4をワンタッチで連結することができる。このためセグメントの製造が容易であるばかりでなく、トンネル軸方向への連結作業性を大幅に向上することができる。
【0068】
上記の各実施の形態においては、セグメントSを構成する鋼管1a,1bを、円形断面のトンネルの半径rに対応して円弧状に曲げ加工して形成した場合を示したが、例えば、直線状の鋼管を複数に分割し、これらを溶接接合して円弧状に近似した軸方向壁である鋼管1a,1bを構成してもよい。
また、本発明は、例えば楕円形断面のトンネルのトンネル壁の構築するセグメントSにも実施することができる。この場合は、セグメントSのトンネル周方向への設置位置に応じて、円弧状の曲げ半径rを変えればよい。
【0069】
さらに、本発明に係るセグメントSは、四角形断面のトンネルにも実施することができる。この場合は、鋼管1a,1b等を曲げ加工することなくセグメントSを平版状に形成すればよい。
なお、上記の実施の形態では、鋼管1a,1b又は1a〜1d内にコンクリート60を充填する場合を示したが、一部の鋼管又はすべての鋼管内へのコンクリート60の充填を省略してもよい。
【0070】
また、上記の説明では、実施の形態1〜3ではトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントSを、実施の形態4,5ではトンネル軸方向の連結構造を備えたセグメントSについて示したが、これらを適宜組合わせてセグメントSを構成することができる。
また、トンネル周方向の連結構造に実施の形態1〜3のいずれかの周方向連結構造を適用し、トンネル軸方向の連結構造には、公知の連結構造を適宜採用してもよく、あるいは、トンネル軸方向の連結構造に実施の形態4又は5の軸方向連結構造を適用し、トンネル周方向の連結構造には公知の連結構造を適宜採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の鋼管の要部の説明図である。
【図4】図1の鋼管に設けた継手ボックスの説明図である。
【図5】図4の右側面図及びB−B断面図である。
【図6】図1のセグメントの周方向の連結手順を示す説明図である。
【図7】図1のセグメントをトンネル周方向に連結した状態を示す説明図である。
【図8】セグメントをトンネル軸方向及び周方向に連結する手順の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るトンネル周方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。
【図11】図10の周方向継手部材の斜視図である。
【図12】図11の係合突部の斜視図である。
【図13】図10のセグメントの周方向の連結手順を示す説明図である。
【図14】抜け出し防止手段を備えた周方向継手部材の作用説明図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係るトンネル軸方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。
【図16】図15のC−C断面図である。
【図17】図15のセグメントの軸方向への連結状態を示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態5に係るトンネル軸方向の連結構造を備えたセグメントの説明図である。
【図19】図18のD−D断面図である。
【図20】図19の第1、第2の軸方向継手部材の一例の説明図である。
【図21】図18のセグメントのトンネル軸方向への連結手順を示す説明図である。
【図22】図19の第1、第2の軸方向継手部材の他の例の説明図である。
【図23】図22の第1、第2の軸方向継手部材の作用説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1a,1b 鋼管、2a,2b 継手ボックス、4a,4b 仕切板、8 ボルト、10 外周側スキンプレート、15a,15b 継手板、16,41 ボルト挿通穴、17 箱状の領域、20 周方向継手部材、23 案内溝、24 係合部、26 係合突部、32,33 係止突起、40a,40b 軸方向継手部材、47 第1の軸方向継手部材、48 第2の軸方向継手部材、51 係止突部、53 係止段部、60 コンクリート、S セグメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの周方向及び軸方向に連結してトンネル壁を構築する合成セグメントの連結構造であって、
トンネルの軸方向に所定の間隔で設けられて軸方向壁を形成する一対の鋼管と、該一対の鋼管の外周側及び内周側の両者又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記鋼管及びスキンプレートの両端部に接合されて周方向壁を形成する継手板と、これらで囲まれた領域に打設されたコンクリートからなり、
前記一対の鋼管に、直接又は部材を介して周方向連結手段及び軸方向連結手段を設け、合成セグメントをトンネルの周方向及び軸方向に連結するように構成したことを特徴とする合成セグメントの連結構造。
【請求項2】
前記周方向連結手段を、前記一対の鋼管の両端部側の内周側フランジをそれぞれ切除して設けた開口部と、前記鋼管の端部に対応してそれぞれボルト挿通穴が設けられ前記一対の鋼管の両端部に接合された継手板とによって形成された継手ボックスを有し、隣接する合成セグメントの継手板を当接又は近接させて、前記継手ボックスの前記ボルト挿通穴にボルトを挿通してナットにより両者を一体に連結するように構成したことを特徴とする請求項1記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項3】
前記周方向連結手段を、所定の間隔で設けられた断面四角形状の側壁の間に案内溝が形成された本体部と、該本体部の一方の端部側において前記案内溝と係合鋼板との間に形成された係合部と、前記本体部の他方の端部近傍において前記案内溝に取付けられ、前記側壁の上面から前記案内溝の深さとほぼ等しい高さで突出した係合突部とからなる周方向継手部材を有し、該周方向継手部材を係合突部が互いに軸方向の反対側に位置するように前記継手板に接合して、隣接する合成セグメントの周方向継手部材の係合突部を相手方の案内溝にそれぞれ嵌合して該係合突部を前記係合部に係止させ、両者を一体に連結するように構成したことを特徴とする請求項1記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項4】
前記周方向連結部材に、抜け止め手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項5】
前記軸方向連結手段を、外側フランジの長手方向に所定の間隔でボルト挿通穴が設けられ、前記一対の鋼管の外側ウエブに開口部を内周側にしてそれぞれ接合された断面ほぼU字状の軸方向継手部材を有し、隣接する合成セグメントの軸方向継手部材を当接又は近接させて、前記ボルト挿通穴にボルトを挿通してナットにより両者を一体に連結するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項6】
前記軸方向連結手段を、鋼パイプ又は丸鋼棒からなり長手方向のほぼ2分の1が一方の鋼管の外側ウエブから突出して該鋼管に接合された第1の軸方向継手部材と、該第1の軸方向継手部材が嵌入される鋼パイプからなり、その端部が他方の鋼管の外側ウエブに開口して該鋼管に接合された第2の軸方向継手部材とを有し、隣接する合成セグメントの第2の軸方向継手部材に第1の軸方向継手部材を嵌入して両者を一体に連結するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項7】
前記第1の軸方向継手部材と第2の軸方向継手部材に、抜け止め手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の合成セグメントの連結構造。
【請求項8】
トンネルの周方向及び軸方向に連結してトンネル壁を構築する合成セグメントであって、
トンネルの軸方向に所定の間隔で設けられて軸方向壁を形成する一対の鋼管と、該一対の鋼管の外周側及び内周側の両者又はいずれか一方に接合されたスキンプレートと、前記鋼管及びスキンプレートの両端部に接合されて周方向壁を形成する継手板と、これらで囲まれた領域に打接されたコンクリ−トからなり、
前記一対の鋼管に、請求項2〜7のいずれかの周方向連結手段及び軸方向連結手段の両者又はいずれか一方を直接又は部材を介して設けたことを特徴とする合成セグメント。
【請求項9】
前記一対の鋼管内にコンクリートを充填したことを特徴とする請求項8記載の合成セグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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