説明

合成樹脂製の折り畳み箱

【課題】 多段に積み重ねた際にコーナ部分に荷重が集中してかかっても重なり代吸収用突部が存在しないコーナ部分においても撓んだり、側板連結ヒンジ部が損傷しない。
【解決手段】 略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に重なり代吸収用突部8を上下方向の全長にわたって突設する。略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうち一方の側板1の側端面部の上下方向の一部に嵌め込み部13を、他方の側板1の側端面部の上下方向の一部に被嵌め込み部14を形成する。箱状に組み立てた状態で嵌め込み部13と被嵌め込み部14とが凹凸嵌合して隣接する側板1のなすコーナ部分を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から段ボール製の折り畳み箱としてボトムロック式の段ボール箱が特許文献1により知られている。このものは、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を折り曲げ線を介して折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ折り曲げ線を介して各側板の内面に重なるように折り畳み自在に連出した4枚の底片よりなる底板構成部と、4枚の側板の各上辺からそれぞれ折り曲げ線を介して折り畳み自在に連出した4枚の蓋片とで構成された段ボール箱であって、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板から連出した底片の一側部に、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板の下辺に対して鋭角に傾斜した傾斜折り曲げ線を介して重複片を突出し、該重複片を上記隣接する他方の側板の下辺から底片連結ヒンジ部を介して連出した底片に重複した状態で接着剤や止め具により重複固定してあり、また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部おいて隣接する両底片同士を非連結として相互にフリーな状態としている。上記段ボール箱において折り曲げ線は段ボール箱を構成するための段ボールを山折り又は谷折りしたものである。
【0003】
このボトムロック式の段ボール箱は、折り畳み状態から箱状に組み立てる際、重複片を隣接する底片に重複した状態で接着剤や止め具により重複固定してあるので、折り畳み状態で各側板の内面側に重なるように折り畳まれて収納されていた各底片が次第に各側板の内面に対して底片連結ヒンジ部を中心に倒れるように自動的に回動して4つの側板を平面視で長方形又は正方形となるように組み立てた際に各底片が各側板に対して直角に倒れて箱の底部を自動的に形成するようになっている。この箱状に組み立てた状態で段ボール箱内に収納物を収納して4枚の蓋片を倒して閉じるようになっている。この場合、対向する一対の短辺側の蓋片を先に倒した後に、対向する一対の長辺側の蓋片を倒して先に倒した短辺側の蓋片の上に重ねて載せた状態で段ボール箱の上開口を閉じるようになっている。
【0004】
また、箱形状に組み立てた状態から4枚の側板よりなる角筒状側壁構成部が略平行四辺形となるように折り畳んでいくと、重複片を隣接する底片に重複した状態で接着剤や止め具により重複固定してあるので、折り畳んでいくにしたがって各底片が各側板の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部を中心に起立するように自動的に回動して各底片が各側板の内面に重なるようにして偏平に折り畳まれる。
【0005】
この折り畳み状態で2枚の側板間に2枚の底片が重なった状態となって重なり代が生じる。ここで、2枚の底片を介して重なる2枚の側板の側端同士を連結する折り曲げ線部分で単に折れ曲がるだけでは上記重なり代を吸収できないが、従来例にあっては素材が段ボールであるという特性により上記2枚の側板の側端同士を連結する折り曲げ線部分において段ボールが潰れると共に変形することで上記重なり代を吸収するようにしている。
【0006】
ところが、上記の従来例の段ボール箱は強度が弱くて破れ易く、また、汚れ易く、汚れたら汚れが落ち難く、洗浄もできず、これらの理由により通常の使用形態においては段ボール箱は1回だけの使い捨てという使用形態が取られており、省資源という観点から好ましくない。また、仮に段ボール箱を再使用するとしても、上記のように強度が弱く、汚れ易くて一旦汚れたら汚れが落ちにくく、洗浄もできないため、せいぜい3〜5回しか再使用できない。
【0007】
このため、上記のような構成の段ボール製の折り畳み箱の欠点を解決するためのものとして段ボール製に代えて合成樹脂製とすることが特許文献2により提案されている。
【0008】
しかしながら、折り畳み箱を合成樹脂で形成すると、2枚の側板の側端同士を連結する折り曲げ線部分が段ボール製のもののように潰れ且つ変形することで折り畳み状態における2枚の側板間に2枚の底片が介在して重なった重なり代を吸収するということができない。このため、特許文献2に示された従来例においては、図14に示すように、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士をV字状をした薄肉の側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結すると共に各側板1の下辺からV字状をした薄肉の底片連結ヒンジ部5を介して底片4を一体に連出し、更に、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1aの端部に4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部8を設けることで対応するようにしている。
【0009】
ところで、折り畳み箱は、内部に収納物を収納した状態で、上下に多段に積み重ねて搬送したり、保管したりするが、この場合、隣接する側板1a、1bの端部同士のなすコーナー部分に主として上方からの荷重がかかることになる。そして、上記特許文献1においては、折り畳み箱の4つのコーナ部分において、2つのコーナ部分では重なり代吸収用突部8が存在し、コーナ部からずれた位置に底片連結ヒンジ部5が存在することで、上方からかかる荷重は重なり代吸収用突部8部分に集中してかかってコーナ部からずれた位置にある側板連結ヒンジ部2にはあまりかからず、したがって、この部分において、コーナ部分が撓んだり、側板連結ヒンジ部2が損傷したりしないが、他の2つのコーナ部分では重なり代吸収用突部8が存在しないので、隣合う側板1a、1bの端部同士はV字状をした薄肉の側板連結ヒンジ部2がコーナに存在することになり、この部分に上方からの荷重が集中してかかり、該コーナ部分においては側板1a、1bの端部が上方から集中してかかる荷重により座屈して撓んだり、あるいはV字状をした薄肉の側板連結ヒンジ部2が損傷したりするという問題がある。
【特許文献1】特開平8−169436号公報
【特許文献2】特開平8−282648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、合成樹脂製の折り畳み箱において折り畳み状態で底片を側板の内面側に重ねて折り畳むことができるように重なり代吸収用突部を設けたものにおいて、箱状に組み立てた状態で上下多段に積み重ねて下段の折り畳み箱のコーナ部分に上方から荷重が集中してかかっても重なり代吸収用突部が存在しないコーナ部分においても撓んだり、側板連結ヒンジ部が損傷したりすることがなく、また、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができる合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6と、側板1の上端縁に蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出した蓋片15とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱7において、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に4枚の側板1が偏平に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部8を上下方向の全長にわたって突設し、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうち一方の側板1の側端面部の上下方向の一部に凸又は凹の嵌め込み部13を、他方の側板1の側端面部の上下方向の一部に凹または凸の被嵌め込み部14を形成し、箱状に組み立てた状態で嵌め込み部13と被嵌め込み部14とが凹凸嵌合して隣接する側板1のなすコーナ部分を構成していることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成とすることで、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形に折り畳むことを経て偏平となるように折り畳むことで、対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態で折り畳むことができ、しかも、この場合、折り畳み箱7が合成樹脂製であるにもかかわらず、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができるものであり、しかも、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱7を上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱7の4つのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達されていくのであるが、この場合、一対の対角部のコーナ部分においては側板1の端部内面の上下方向の全長にわたって突設した重なり代吸収用突部8が存在するため、該コーナ部分においては側板1の端部と重なり代吸収用突部8とが硬質合成樹脂でL形に一体化した状態で存在することになって、該コーナ部分における強度が向上し、コーナ部分に上方から集中してかかる荷重を確実に支持して下方に伝えることができ、該重なり代吸収用突部8が存在するコーナ部分の変形等を防止できるものであり、また、重なり代吸収用突部8が存在しない他の一対の対角部のコーナ部分においては、嵌め込み部13と被嵌め込み部14との凹凸嵌合により隣接する側板1のなすコーナ部分を構成するので、当該コーナ部分には上記のように重なり代吸収用突部8を設けていないにもかかわらず、当該コーナ部分に上方から集中してかかる荷重を両側板1の端部同士が凹凸嵌合する凹凸嵌合部分により両側板1で確実に支持して両側板1から確実に下方に伝達でき、上方からの荷重により側板1の端部が座屈で撓んだり、両側板1の端部同士を回動自在に連結している側板連結ヒンジ部2が破損したりするのを確実に防止することができる。更に、本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱7であるので、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができることになる。
【0013】
また、嵌め込み部13と被嵌め込み部14との凹凸嵌合の上下方向に対向する嵌合界面が水平面となっていることが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、コーナ部分に上方から集中してかかる荷重が嵌め込み部13と被嵌め込み部14が噛合って強度が強くなっている部位を上から下に真っ直ぐに伝えることができて荷重を安定して支持できると共に、荷重が上から下に真っ直ぐ伝わるので、上方からかかる荷重が嵌め込み部13と被嵌め込み部14との嵌合を外すような力として作用せず、凹凸嵌合が外れず、安定して荷重を支持できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、重なり代吸収用突部を設けてあるので、折り畳んだ状態で対向する側板の各内面に沿って底片を重ねてコンパクトに折り畳むことができる合成樹脂製の折り畳み箱において、箱状に組み立てた状態で上下多段に積み重ねて下段の折り畳み箱のコーナ部分に上方から荷重が集中してかかっても、対向する一組のコーナ部分においては重なり代吸収部で上方からコーナ部分に集中してかかる荷重を確実に支持してコーナ部分の変形を防止し、重なり代吸収用突部が存在しない方の他の対向する一組のコーナ部分においては、当該コーナ部分に嵌め込み部と被嵌め込み部との凹凸嵌合部分が存在することで、両側板で確実に支持して両側板から確実に下方に伝達でき、上方からの荷重により側板の端部が座屈で撓んだり、両側板の端部同士を回動自在に連結している側板連結ヒンジ部が破損したりするのを確実に防止することができ、また、合成樹脂製であるため、段ボールに比べて強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0017】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱7は図2に示すように、少なくとも合成樹脂よりなる角筒状側壁構成部3と合成樹脂よりなる底板構成部6とを備えたものである。
【0018】
角筒状側壁構成部3は、図2乃至図6に示すように、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図10に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図9に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0019】
また、上記前後左右の4枚の側板1の下辺から図2、図6に示すようにそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して一体に底片4を連出してあり、この4枚の底片4により底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図9に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0020】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図4に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1aと一体に該側板1aに直角に重なり代吸収用突部8となる突片を該側板1の上下方向(高さ方向)の全長にわたって立設してある。
【0021】
上記重なり代吸収用突部8は、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。また、重なり代吸収用突部8を突設した側板1aの側端部の上端と重なり代吸収用突部8の突出先端の上端とが連結部37により一体に連結してある。
【0022】
一方、図1(b)、(c)に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部は前述のように側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結してあるのに加え、該鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの側端面部(上記鈍角となるように折り畳まれる方の隅部側の側端面部)の上下方向の一部に凸又は凹の嵌め込み部13が形成してある(添付図面においては上下方向に凸と凹とを交互に設けて嵌め込み部13が形成してある)と共に、他方の側板1の側端面部の上下方向の一部に凹または凸の被嵌め込み部14を形成してあり、(添付図面においては上下方向に凹と凸とを交互に設けて被嵌め込み部14が形成してあり)、嵌め込み部13と被嵌め込み部14とが回動自在に凹凸嵌合しており、したがって、角筒状側壁構成部3を角筒状とした状態(箱状に組み立てた状態)において隣接する側板1のなすコーナ部分は嵌め込み部13と被嵌め込み部14とが凹凸嵌合することで構成してある。上記凸又は凹の嵌め込み部13、凹又は凸の被嵌め込み部14は凸の上下横面、凹の上下横内面がいずれも水平面となっており、このため、嵌め込み部13と被嵌め込み部14との凹凸嵌合の上下方向に対向する嵌合界面が水平面となっている。
【0023】
また、側板1bの上端部には被止め部36が設けてある。
【0024】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部には、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。
【0025】
そして、図11に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。
【0026】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0027】
また、1乃至複数の側板1の上辺には蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が折り畳み自在に連出してある。
【0028】
添付図面に示す実施形態では4つの側板1の対向する二対の側板1のうち重なり代吸収用突部8を突設した方の一対の側板1a(図では長辺側の側板1a)の上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの上の蓋片15aを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出し、重なり代吸収用突部8を突設しない方の他の一対の側板1bの上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの下の蓋片15bを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出してある。
【0029】
一対の蓋片15aの先端縁の片側半分は上面が段落した載置用凹部32が設けてあると共に先端縁の他の片側半分は下面が段落した載置用突片部33が設けてあり、一方の蓋片15aに設けた載置用凹部32が他方の蓋片15aに設けた載置用突片部33に対向すると共に一方の蓋片15aに設けた載置用突片部33が他方の蓋片15aに設けた載置用凹部32に対向するような位置関係となっていて、一対の蓋片15aを横に倒して上開口を閉じた際に対向する蓋片15同士が互いに載置用凹部32に載置用突片部33が重複載置する関係となっている。一対の蓋片15aの一側部から軟質合成樹脂よりなる帯材34が一体に突設してあり、該帯材34の先端部に硬質合成樹脂よりなる止め具35を一体に形成することで構成してある。
【0030】
添付図面に示す実施形態においては、上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は合成樹脂の一体成形により形成した図12、図13に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0031】
箱半体12は、図12、図13の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結すると共に、該一対の側板1a、1bの側端面部に形成した凸又は凹の嵌め込み部13と凹又は凸の被嵌め込み部14とを回動可能に嵌め込み、一方の側板1aの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収用突部8を側板1aの側端に沿って突設し、更に、他方の側板1bの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に接続部18を設け、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4aの隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。添付図面では更に側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。上記構成の箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により一体に形成されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、重なり代吸収用突部8、止め具35が、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部または全部、帯材34が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0032】
上記のように合成樹脂により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収用突部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収用突部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結する。これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0033】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底片4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0034】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱7を形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。
【0035】
重なり代吸収用突部8と側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収用突部8に重複して連結される接続部18としては、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bと同様に軟質合成樹脂製であってもよいが、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端部に硬質合成樹脂の接続部18を設けてもよい(添付図面に示す実施形態では硬質合成樹脂の接続部18を設けたもので、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端の軟質部分内面又は外面に硬質合成樹脂製の接続部18を重複一体化した例が示してある)。
【0036】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図12、図13に示すように重なり代吸収用突部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(接続部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。
【0037】
また、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図11に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0038】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0039】
このように箱形状に組み立てた状態で合成樹脂製の折り畳み箱7内に種々の収納物を収納し、次に、一対の対向する下の蓋片15bを上開口に対して横向きとなるように倒し、次に一対の上の蓋片15aを倒してそれぞれ下の蓋片15bの上に載せた状態で両一対の蓋片15aにより折り畳み箱7の上開口を図2のように閉じる。
【0040】
その後、止め具35を被止め部36に係止する。この場合、帯材34が軟質合成樹脂により形成してあるため、帯材34は可撓性とある程度の弾性(伸縮性)を有しており、したがって、帯材34を曲げて下方に引っ張って伸ばした状態で止め具35を被止め部36に係止することで容易に蓋片15a側に設けた止め具35を側板1b側に設けた被止め部36に係止することができると共に帯材34の弾性を利用して伸ばした状態で止めているので係止状態が確実に保持されることになる。係止を解除するには止め具35を指で摘んで更に下方に引くことで更に帯材34が伸ばされて止め具35が被止め部36から解除されるので、係止を解除することができる。
【0041】
上記のように箱形状に組み立てて内部に収納物を収納し、上開口を蓋片15により塞いだ状態で折り畳み箱7を搬送したり、保管したりするのである。上記のように箱状に組み立てて搬送や保管に当たっては折り畳み箱7を上下多段に積み重ねる。ここで、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱7を上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱7の4つのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達されていくのであるが、本発明においては、一対の対角部のコーナ部分においては側板1の端部内面の上下方向の全長にわたって突設した重なり代吸収用突部8が存在するため、該コーナ部分においては側板1の端部と重なり代吸収用突部8とが硬質合成樹脂でL形に一体化した状態で存在することになって、該コーナ部分における強度が向上し、コーナ部分に上方から集中してかかる荷重を確実に支持して下方に伝えることができて、重なり代吸収用突部8が存在するコーナ部分の変形等を防止できるものである。この場合、重なり代吸収用突部8を突設した側板1aの側端部の上端と重なり代吸収用突部8の突出先端の上端とが連結部37により一体に連結してあるので、重なり代吸収用突部8と側板1aとが強固に一体化してよりいっそう当該コーナ部分の変形を防止できるものであり、また、連結部37上に蓋片15の基部が載置されるので、上方からの荷重をコーナ部で確実に支持できる。
【0042】
また、重なり代吸収用突部8が存在しない他の一対の対角部のコーナ部分においては、図1(b)、(c)に示すように、嵌め込み部13と被嵌め込み部14とが井桁のコーナのように平面視で直角に噛合うよう凹凸嵌合して隣接する側板1のなすコーナ部分を構成することになり、当該コーナ部分には上記のように重なり代吸収用突部8を設けていないにもかかわらず、当該コーナ部分に上方から集中してかかる荷重を両側板1の端部同士が凹凸嵌合する凹凸嵌合部分により両側板1で確実に支持して両側板1から確実に下方に伝達でき、上方からの荷重により側板1の端部が座屈で撓んだり、両側板1の端部同士を回動自在に連結している側板連結ヒンジ部2が破損したりするのを確実に防止することができる。
【0043】
したがって、合成樹脂製の折り畳み箱7の4つのコーナ部分のいずれもが座屈で撓み難い構造となっており、これにより折り畳み箱7を上下に多段に積み重ねても荷崩れすることなく安定して積み重ねることができる。
【0044】
収納物を入れない非使用時には、図2、図3、図5、図6のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図10に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図9に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。この場合、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【0045】
更に、本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱7であるので、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができることになる。
【0046】
また、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように組み立てたり、あるいは、略平行四辺形に折り畳んだりする際、本発明においては、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1aから連出した底片4aの一側部に、箱形状に組み立てた状態で上記両側板1に対して鋭角に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出し、該重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4bに重複状態でスライド自在に結合してあるので、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにしたり、略平行四辺形状に折り畳んだりする際、重複片11が底片4bに対して重複状態を保ちながらスライドすることで、底片4aが底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに対して回動し且つ該側板1aに対して重複片11が傾斜ヒンジ部9を介して回動し、同時に、底片4bが重複片11に対して重複状態でスライドしながら底片連結ヒンジ部5を介して側板1bに対して回動し、これにより4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにするだけで4つの底片4を自動的に回動しながら該4つの底片4よりなる底板構成部6により箱の底を自動的に且つスムーズに形成したり、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形になるように折り畳むことで、自動的に各底片4をそれぞれ各側板1の内面に沿うようにスムーズに折り畳むことができる。
【0047】
また、本発明の合成樹脂製の折り畳み箱7は、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により形成してあることで、箱形状に組み立てた状態で積み重ねたり、略平行四辺形状に折り畳んだ状態で積み重ねたり、コンベアに載せて搬送したり、あるいは箱形状に組み立てた状態で床やコンベアやトラックの荷台やあるいは他の合成樹脂製の折り畳み箱7等の載置部に載置した場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部が載置部に接触することになってヒンジ部が滑り止め機能を発揮して、折り畳み箱7が滑ったり、ずれたりするのを防止することができるものであり、また、衝撃が加わった際に軟質樹脂よりなるヒンジ部が衝撃の緩衝作用をするものである。この場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部の外面が側板1や底片4や重複片11、蓋片15の外面より少し外に突出するように構成しておくとよりいっそう滑り止め効果が発揮できる。
【0048】
ところで、添付図面に示す実施形態においては、箱形状に組み立てた状態で、折り畳み箱7の底は図5に示すように、折り畳み箱7の上開口から見て2つの底片4aのみが見えるように構成してある。
【0049】
すなわち、折り畳みに当たって鈍角となるように折り畳まれる隅部の両側の側板1a、1bのうち一方の側板1aの下辺に底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4aは、図12、図13に示すように、底片連結ヒンジ部5に沿って連続する直角台形状をした直角台形片部21と略平行四辺形状をした段落ち重複片部22とで構成してある。
【0050】
直角台形片部21は直角台形状をしており、その下底(つまり直角台形の下底)が底片連結ヒンジ部5に沿っており、また、直角台形片部21はその下底の一端が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置して上記直角台形片部21の垂直辺が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置すると共に該垂直辺の長さを上記隅部の両側の側板1a、1bのうち他方の側板1bの下辺の長さに等しくし設定してある。直角台形片部21の下底の他端(つまり直角台形の下底と斜辺とが交わる点)は側板1aの他端(実施形態では重なり代吸収用突部8側の端部)から側板1aの一端側に所定寸法ずれて位置している。また、直角台形片部21の斜辺は下底に対して45°の傾斜となっている。
【0051】
直角台形片部21の斜辺から段落ち重複片部22が一体に連設してあり、この段落ち重複片部22は略平行四辺形状をしていて略平行四辺形の鈍角を挟んだ一辺が直角台形片部21の斜辺の底片連結ヒンジ部5側の端部から全長さの1/2の部分までの範囲で一体に連出してあり、略平行四辺形状をした段落ち重複片部22も略平行四辺形の鈍角を挟んだ他辺が底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに折りたたみ自在に連結してある。段落ち重複片部22の上面は直角台形片部21の上面よりも下方に段落ちしている。
【0052】
段落ち重複片部22の直角台形片部21の斜辺と対向する斜辺から傾斜ヒンジ部9を介して直角二等辺三角形状をした重複片11が連出してある。
【0053】
直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち一辺は図12、図13に示すように展開状態で略平行四辺形状をした段落ち重複片部22の底片連結ヒンジ部5と対向する辺と一直線となるように設定してあり、また、直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち他の1辺は展開状態で重なり代吸収用突部8の内面と平面視で略一直線状となるように設定してある。
【0054】
直角台形片部21の下面側は図13のように溝部25となっており、該溝部25の一部が深さの深い深溝部26となっており、溝部25の残りの部分が深さの浅い浅溝部27となっており、実施形態では直角台形片部21の下面の溝部25の上底部分から底リブ28を突設することで底リブ28の先端が底となる深さの浅い浅溝部27を構成しており、深溝部26の下開口は浅溝部27の下開口と連続している。
【0055】
浅溝部27の深さは底片4bの厚みと同一又は略等しくなっており、深溝部26の深さは底片4bの厚みと重複片11の厚みとの合計と同一又は略等しくなっている。また、深溝部26の深さは段落ち重複片部22の厚みと同一又は略等しくなっている。
【0056】
そして、折り畳み箱7を箱形状に組み立てて上記のように2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて箱の上開口から見た場合の底面を形成した状態で、図7、図8、図13に示すように、一方の直角台形片部21の下面の深溝部26に、この底片4aと対向する別の底片4aの段落ち重複片部22と傾斜ヒンジ部9と重複片11が嵌り込んでそれぞれ直角台形片部21の下面側に重複すると共に浅溝部27と深溝部26の重複片11を嵌め込んだ部分の重複片11の下面側に嵌り込んで直角台形片部21の下面側と重複片11の下面側とに重複する。箱の底の上面及び下面はいずれも段差のない面一状態となり、特に、箱の底の上面は2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて形成してあるので、箱の内面を見た場合の底が綺麗で、収納物を入れた場合に引っ掛かったりしない。
【0057】
そして、折り畳み箱7を箱形状に組み立てた状態では、一対の対角部の隅部に重なり代吸収用突部8となる柱状突出部が設けてあるので、この重なり代吸収用突部8となる柱状突出部の存在により角筒状にした角筒状側壁構成部3の角筒状の形状が崩れ難くなり、同時に、一方の底片4aから傾斜ヒンジ部9を介して連出した重複片11と他方の底片4bとがスライド自在に重複状態で連結してあるので、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3が四角筒状である限り、底片4a、4bがそれぞれ側板1a、1bに対して直角状態を維持し、底片4a、4bが開いて箱の底が抜けることがない。
【0058】
したがって、折り畳み箱7を箱形状に組み立てた状態で内部に収納物の出し入れが容易にできることになる。
【0059】
なお、添付図面に示す実施形態では4つの側板1のうち対向する一対の側板1a、1aの各上端縁に上の蓋片15a、15aをそれぞれ折り畳み自在に連設し、他の一対の側板1b、1bの各上端縁に下の蓋片15b、15bをそれぞれ折り畳み自在に連設し、上の蓋片15aを下の蓋片15b上に重ねて支持する例を示したが、4つの側板1のうち対向する一対の側板1a、1aの各上端縁にのみ蓋片15を折り畳み自在に連設したものであってもよい。
【0060】
添付図面に示す実施形態においては、合成樹脂製の2つのパーツ(すなわち2つの箱半体12)を組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱7を形成した例を示したが、合成樹脂製の3つ以上のパーツを組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱7を形成してもよい。また、折り畳み箱7全体を合成樹脂製の1パーツで形成し、これを組み立ててもよい。
【0061】
ところで、添付図面に示す実施形態では、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により形成した例を示したが、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10を側板1や底片4、重複片11等と同じ硬質合成樹脂製の薄肉ヒンジ部として側板1や底片4等と一体に形成してもよい。
【0062】
また、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10等を側板1、底片4、重複片11、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10等を一体に形成することなく別々に形成し、上記別体の各ヒンジ部を介して連結手段により側板1同士、側板1と底片4、底片4と重複片11をそれぞれ折り畳み自在に連結してもよい。この場合は上記各ヒンジ部が合成樹脂製であっても金属製であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)は本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の重なり代吸収用突部が存在するコーナ部分の斜視図であり、(b)は重なり代吸収用突部が存在しないコーナ部分における凹凸嵌合部分の斜視図であり、(c)は(b)のZ−Z線の断面図である。
【図2】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図3】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図4】同上の折り畳んだ状態の斜視図である。
【図5】(a)は同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図であり、(b)は(a)のA部分の拡大断面図である。
【図6】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図7】同上の図5のX−X線の断面図である。
【図8】同上の図5のY−Y線の断面図である。
【図9】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図10】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図11】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図12】同上の箱半体の展開状態を示す上から見た斜視図である。
【図13】同上の箱半体の展開状態を示す下から見た斜視図である。
【図14】従来例を示し、(a)は展開図であり、(b)は折り畳み状態の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
3 角筒状側壁構成部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7 折り畳み箱
8 重なり代吸収用突部
10 蓋片連結ヒンジ部
15 蓋片
13 嵌め込み部
14 被嵌め込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部と、側板の上端縁に蓋片連結ヒンジ部を介して折り畳み自在に連出した蓋片とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱において、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部を上下方向の全長にわたって突設し、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうち一方の側板の側端面部の上下方向の一部に凸又は凹の嵌め込み部を、他方の側板の側端面部の上下方向の一部に凹または凸の被嵌め込み部を形成し、箱状に組み立てた状態で嵌め込み部と被嵌め込み部とが凹凸嵌合して隣接する側板のなすコーナ部分を構成していることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
上記嵌め込み部と被嵌め込み部との凹凸嵌合の上下方向に対向する嵌合界面が水平面となっていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の折り畳み箱。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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