説明

合成樹脂製多重容器とこの製造方法

【課題】外側容器部を成型する際に、内側容器部を確実に把持でき、成型品を金型から取り出せる。
【解決手段】射出成型された内側容器部(2)と、内側容器部(2)の外表面へ一体に射出成型された外側容器部(3)とを備え、内側容器部(2)に、外側容器部(3)を射出成型する際に、コア側金型に内側容器部(2)が係止される被係止部(13)を形成する。このため、コア側金型に内側容器部(2)が保持されるとともに、コア側金型(15)に被係止部(13)が係止されて、外側容器部(3)とキャビティ側金型との間に抵抗が生じても、内側容器部(2)がコア側金型から抜け落ちない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等を収容する合成樹脂製多重容器に関し、さらに詳しくは、外側容器部を成型する際に、内側容器部を確実に把持でき、成型品を金型から取り出せる合成樹脂製多重容器とこの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記化粧料等を収容する容器は、収容物が変質しないように優れた耐薬品性能が要求されるとともに、収容物の製品情報等を明確に且つ美的に表示する高いデザイン性能が要求される。このため、ガラス製容器が利用されていたが、近年では成型の容易さから、合成樹脂製容器が多く用いられている。この合成樹脂容器は、容器に重量感を得るため、射出成型により容器壁や底部を厚くすることが望まれる。しかし射出成型により容器壁等が厚く形成されると、長い冷却時間が必要となり、生産効率が悪くなるとの問題があった。
【0003】
従来、上記の問題を解消するため、射出成型により内側容器部を形成した後、この内側容器部の外表面へ一体に外側容器部を射出成型する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち特許文献1には、2台の射出成型機を用い、第1の射出成型機により内側容器部を射出成型した後、第2の射出成型機により内側容器部の外表面へ一体に外側容器部を射出成型し、合成樹脂製多重容器を形成することが開示されている。
【0004】
上記従来の技術では、例えば、内側容器部を射出成型した後、第2の射出成型機にて、内側容器部の一部をコア側の金型で把持する。そして、コア側の金型との間に外側容器部の形成材料が射出される空間を形成するキャビティ側の金型が、コア側の金型に密接される。次に前記空間へ外側容器部の形成材料が射出され、時間の経過とともにこれが冷却された後、コア側金型を離隔することにより、内側容器部と外側容器部とからなる成型品が前記キャビティ側金型から取り出されて、合成樹脂製多重容器が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3114093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の合成樹脂製多重容器の製造工程において、コア側金型を離隔することにより、内側容器部と外側容器部とからなる成型品をキャビティ側金型から取り出す際には、外側容器部とキャビティ側の金型との間に抵抗が生じる。この抵抗によりコア側の金型に把持される内側容器部が、コア側の金型から抜け落ち、その結果として成型品がキャビティ側の金型に残り、例えば、第2の射出成型機を停止した後、作業員によりこの成型品を取り出さなければならない問題があった。これは特に、熱による収縮率が小さいものを形成材料に用いた場合には、例えばPET樹脂を用いた場合には、成型品をキャビティ側の金型から取り出す際の抵抗が大きくなり、上記問題がより顕著に発生する恐れがあった。
【0007】
そこで本発明は、外側容器部を成型する際に、内側容器部を確実に把持でき、成型品を金型から取り出せる合成樹脂製多重容器とこの製造方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するために、例えば本発明の実施の形態を示す図1〜図5に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明1は合成樹脂製多重容器に関し、上面開口状に射出成型された内側容器部(2)と、前記内側容器部(2)の外表面へ一体に射出成型された外側容器部(3)とを備えた合成樹脂製多重容器であって、前記内側容器部(2)が、その外表面で前記外側容器部(3)の上方に被係止部(13)を有する、ことを特徴とする合成樹脂製多重容器。
【0009】
また、本発明2は合成樹脂製容器の製造方法に関し、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内側容器部(2)を有する合成樹脂製多重容器の製造方法であって、外側容器部(3)のコア側金型(15)に前記内側容器部(2)を保持するとともに、このコア側金型(15)に上記の被係止部(13)を係止し、前記コア側金型(15)にキャビティ側金型(16)を密接して、前記内側容器部(2)の外表面と前記キャビティ側金型(16)の内面との間に前記外側容器部(3)を射出成型した後、前記コア側金型(15)を離隔することにより、成型品を前記キャビティ側金型(16)から取り出す、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記の本発明では、外側容器部(3)が射出成型される際に、コア側金型(15)に内側容器部(2)が保持されるとともに被係止部(13)が係止される。このため、コア側金型(15)を離隔することにより、内側容器部(2)と外側容器部(3)とからなる成型品を前記キャビティ側金型(16)から取り出す際に、外側容器部(3)とキャビティ側金型(16)との間に抵抗が生じても、コア側金型(15)に係止された内側容器部(2)がコア側金型(15)から抜け落ちることがない。
【0011】
上記の内側容器部は、射出成型されたものであればよく、特定の形状に限定されない。例えば、蓋体が装着される内側容器部の外表面上部に形成された装着部を有する形状としてもよい。この際に上記の被係止部を例えば、外側容器部の上端と装着部との間で、内側容器部の外表面を水平方向に1周する凹溝状に形成されたアンダーカットにしてもよい。この場合には、外側容器部が射出成型される際に、コア側金型に内側容器部が保持されるとともにアンダーカットが係止される。すなわちコア側金型により内側容器部の全周に渡ってアンダーカットが係止される。このため、コア側金型を離隔することにより、成型品をキャビティ側金型から取り出す際に、外側容器部とキャビティ側金型との間に大きな抵抗が生じても、これがアンダーカット全体に分散され、内側容器部がコア側金型から抜け落ちないよう確実に保持でき、成型品をキャビティ側金型から取り出すことができる。
【0012】
上記の被係止部は、外側容器部のコア側金型に係止されるものであればよく、特定の形状に限定されない。例えば、被係止部が、外側容器部の上端と装着部との間で、内側容器部の外表面へ突起状に形成された少なくとも1つの突出部であってもよい。この場合には、本発明と同様の効果を奏する。また上記の突出部は、特定の形状に限定されず、例えば、内側容器部の外表面を水平方向に1周する突起状に形成された1つの突出部としても、水平方向に複数形成された突起状の突出部としてもよい。これらの場合であっても、本発明と同様の効果を奏するが、水平方向に1周する1つの突出部であれば、外側容器部とキャビティ側金型との間により大きな抵抗が生じても、これが突出部全体に分散され、内側容器部がコア側金型(15)から抜け落ちないよう確実に保持できる。
【0013】
上記の内側容器部および外側容器部は、特定の形成材料に限定されない。例えば、内側容器部を、シクロヘキサンジメタノール系ポリエステル樹脂にて形成し、外側容器部を、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂ともいう。)にて形成してもよい。この場合には、透明性に優れた容器のデザイン性能の高い内側容器部および外側容器部を形成することができる。ここでシクロヘキサンジメタノール系ポリエステル樹脂とは、例えば、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位およびシクロヘキサンジメタノール単位からなるポリエステルであって、かつエチレングリコール単位のモル比が、シクロヘキサンジメタノール単位のモル比よりも大きいPETG樹脂、テレフタル酸単位とエチレングレコール単位およびシクロヘキサンジメタノール単位からなるポリエステルであって、エチレングリコール単位のモル比が、シクロヘキサンジメタノール単位のモル比よりも小さいPCTG樹脂、テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位とシクロヘキサンジメタノール単位とからなるPCTA樹脂等が包含されるものである。
【0014】
なお、上記の内側容器部と外側容器部は、色彩や透明度等を任意に設定することができる。またこれら内側容器部と外側容器部の少なくとも一方を、有色または無色の透明性を有するものとするとともにこれに拡散材を配合すると、容器壁等を透過する光が拡散されるので、マット加工やブラスト加工などを容器表面に施すことなく、磨りガラス調の容器にすることができ、高級感のある容器を安価に得ることができて好ましい。なおこの拡散材は、例えば炭酸カルシウムや、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などのポリマー微粒子等をあげることができるが、光を散乱させることができればよく、特定の材料に限定されない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の合成樹脂製多重容器は、上記のように構成され作用することから、外側容器部が射出成型される際に、コア側金型に内側容器部が保持されるとともに被係止部が係止される。この結果、コア側金型を離隔することにより、内側容器部と外側容器部とからなる成型品をキャビティ側金型から取り出す際に、外側容器部とキャビティ側金型との間に抵抗が生じても、内側容器部がコア側金型から抜け落ちないよう確実に保持でき、例えば、PET系樹脂など、熱収縮率の小さな樹脂で成型する場合であっても、成型品をキャビティ側金型から確実に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における合成樹脂製多重容器の一部破断正面図である。
【図2】図1のA部の拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の蓋を示し、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図4】本発明の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【図5】本発明の変形例における合成樹脂製多重容器の、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、この合成樹脂製多重容器(1)は、化粧料等が収容される収容部(5)を形成してあり、その周囲に厚く形成された容器壁(6)と底部(7)とを備え、上面に広い開口部(8)が開口された広口容器状に形成されている。この開口部(8)の周囲には外表面に雄ネジ(9)を備えた装着部(10)を形成してあり、この装着部(10)には後述する蓋(11)が螺着される。なお、蓋(11)は本発明における蓋体の一例である。
【0018】
上記の合成樹脂製多重容器(1)は、上面開口状に射出成型された内側容器部(2)と、この内側容器部(2)の外表面へ一体に射出成型された外側容器部(3)とを備えている。この内側容器部(2)は、上記の収容部(5)を取り囲むように容器壁部(2a)と底部(2b)とから形成され、この容器壁部(2a)上方の外表面に上記の装着部(10)が形成されている。この内側容器部(2)は、例えばPET樹脂やシクロヘキサンジメタノール系ポリエステル樹脂等を成形材料とし、無色透明にされている。
【0019】
図1または図2に示すように、内側容器部(2)は、その外表面で外側容器部(3)の上方に被係止部(13)を有している。この被係止部(13)は、外側容器部(3)の上端と装着部(10)との間で、内側容器部(2)の外表面を水平方向に1周する凹溝状に形成されたアンダーカット(20)である。このアンダーカット(20)は、外側容器部(3)が射出成型される際に、後述する外側容器部(3)のコア側金型(15)により内側容器部(2)が保持されるとともに、前記のコア側金型(15)により係止される。
【0020】
一方、上記の外側容器部(3)は、上記の内側容器部(2)の外表面のうち、上記の装着部(10)とアンダーカット(20)の一部とを除いた部分、即ち内側容器部(2)の容器壁部(2a)と底部(2b)と上記のアンダーカット(20)の一部とに融着し、内側容器部(2)と一体化する状態に射出成型されている。この外側容器部(3)は、例えばPET樹脂やシクロヘキサンジメタノール系ポリエステル樹脂等を成形材料とし、無色透明にされている。
【0021】
図3(a)または(b)に示すように、上記の蓋(11)はその内側周面に、上記の装着部(10)の雄ネジ(9)に螺着可能な雌ネジ(12)を備えて形成される。また蓋(11)の内側上面には、この内側上面に沿ってパッキン(18)が装着されている。このパッキン(18)は、例えば接着剤等により蓋(11)に固定され、図3(c)に示すように、蓋(11)が容器(1)に螺着された際に、内側容器部(2)の上端と密接され、収容部(5)から収容物がこぼれ出ることを防止している。
【0022】
また図3(c)に示すように、外側容器部(3)の上部には、その外側端面から内側に、蓋(11)の下端面と同等の幅を設けて、小径部(22)が形成されている。このため、装着部(10)に蓋(11)が螺着された際に、蓋(11)の内側周面の下端部と前記の小径部(22)とが合致される。この結果、例えば雄ネジ(9)と雌ネジ(12)との間に嵌合用の隙間が形成され、蓋(11)と内側容器部(2)との間にガタ付が生じる場合であっても、蓋(11)の内側周面の下端部が前記の小径部(22)の外周面に内側から支持され、蓋(11)の外表面と外側容器部(3)の外表面とを段差のない連続した面の状態に維持することができる。
【0023】
以下、上記の合成樹脂製多重容器(1)の製造手順について説明する。
上記の合成樹脂製多重容器(1)は、例えば、2台の射出成型機を用いて製造される。
最初に、一方の射出成型機により、内側容器部(2)が例えば270℃程の温度で射出成型され、この射出成型機の金型が開かれ内側容器部(2)が取り出される。このとき内側容器部(2)には、金型に応じて装着部(10)やアンダーカット(20)等が形成される。次に、図4(a)に示すように、取り出された内側容器部(2)が外側容器部(3)のコア側金型(15)に保持されるとともに、アンダーカット(20)がコア側金型(15)に係止される。そして、コア型金型(16)が、コア側金型(15)および内側容器部(2)の外表面に対し空間を形成するキャビティ側金型(16)に密接される。この後、内側容器部(2)の外表面へ一体に、外側容器部(3)が例えば270℃程の温度で射出成型される。
【0024】
また次に、図4(b)に示すように、コア側金型(15)をキャビティ側金型(16)に対して上方へ離隔することにより、内側容器部(2)と外側容器部(3)とから成型された成型品を、すなわち合成樹脂製多重容器(1)を、キャビティ側金型(16)から取り出す。このとき、コア側金型(15)にアンダーカット(20)が係止されているので、外側容器部(3)とキャビティ側金型(16)との間に抵抗が生じても、内側容器部(2)はコア側金型(15)から抜け落ちることがない。そして図4(c)に示すように、コア側金型(15)が水平方向へ別れて後退され、内側容器部(2)が解放され、合成樹脂製多重容器(1)が取り出される。
【0025】
以上のように上記の実施の形態によれば、外側容器部(3)が射出成型される際に、コア側金型(15)に内側容器部(2)が保持されるとともにアンダーカット(20)が係止される。このため、内側容器部(2)と外側容器部(3)とからなる成型品をキャビティ側金型(16)から取り出す際に、コア側金型(15)を離隔することにより外側容器部(3)とキャビティ側金型(16)との間に抵抗が生じても、内側容器部(2)がコア側金型(15)から抜け落ちないよう確実に保持でき、合成樹脂製多重容器(1)をキャビティ側金型(16)から取り出すことができる。
【0026】
なお、上記の実施の形態では、内側容器部(2)に形成された被係止部(13)をアンダーカット(20)としているが、本発明の被係止部(13)は、外側容器部(3)のコア側金型(15)に係止されるものであればよく、特定の形状に限定されない。例えば、被係止部(13)が、外側容器部(3)の上端と装着部(10)との間で、内側容器部(2)の外表面へ突起状に形成された少なくとも1つの突出部(25)であってもよい。この変形例によれば、外側容器部(3)が射出成型される際に、コア側金型(15)に内側容器部(2)が保持されるとともに突起部(25)が係止される。このため上記の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0027】
また上記の突出部(25)は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、外側容器部(3)の上端と装着部(10)との間で、内側容器部(2)の外表面を水平方向に1周する突起状に形成された1つの突出部(25)としてもよい。またこの突出部(25)は、例えば、外側容器部(3)の上端と装着部(10)との間で、内側容器部(2)の外表面へ水平方向に揃えて複数形成した突起状の突出部(25)であってもよい。これらの場合であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏するが、突出部(25)を水平方向に1周する突起状に形成した場合であれば、外側容器部(3)とキャビティ側金型(16)との間により大きな抵抗が生じても、これが突出部(25)全体に渡って分散されるため、内側容器部(2)がコア側金型(15)から抜け落ちないよう確実に保持できる。
【0028】
上記の実施の形態で説明した合成樹脂製多重容器は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の形状や寸法、構造などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0029】
また上記の実施の形態では、内側容器部および外側容器部を無色透明のものとしている。しかし本発明では、内側容器部と外側容器部を、互いに同じ色彩に着色されたものや互いに異なる任意の色彩に着色されたものとしてもよく、或いはいずれか一方または両方を有色半透明なものまたは有色不透明なものとしてもよい。また、内側容器部および外側容器部のいずれか一方または両方に拡散剤を配合してもよい。
【0030】
また上記の実施の形態では、2台の射出成型機を用い、一方の射出成型機にて内側容器部を成形し、他方の射出成型機にて外側容器部を形成し、合成樹脂製多重容器を製造しており、生産効率において特に好ましい。しかし本発明は、例えば1台の射出成型機にて内側容器部を形成したのち、この射出成型機の金型を外側容器部の金型へ交換するとともに、この同じ射出成型機に内側容器部を装着して外側容器部を射出成型してもよい。
【0031】
また上記の実施の形態では、内側容器部を取り囲む状態に外側容器部を形成したので、この外側容器部と内側容器部とを良好に一体化できて好ましい。しかし本発明は、上記の実施の形態のものに限定されず、内側容器部と外側容器部とを任意の形状に形成することができる。例えば、上記の内側容器部は周方向に略均一な厚さを備えると、成型時の歪が抑制されて好ましいが、外周面を多角形状などの任意の形状に形成して、周方向に付均一な厚さであってもよい。また上記の装着部は、外側容器部に形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の合成樹脂製多重容器は、外側容器部を成型する際に、内側容器部を確実に把持でき、成型品を金型から取り出せるため、例えばPET系樹脂など、熱収縮率の小さな樹脂で成型した容器に特に好適であるが、他の樹脂で成型した容器にも好適である。
【符号の説明】
【0033】
1…合成樹脂製多重容器
2…内側容器部
3…外側容器部
10…装着部
11…蓋(蓋体の一例)
13…被係止部
15…コア側金型
16…キャビティ側金型
20…アンダーカット
25…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口状に射出成型された内側容器部(2)と、前記内側容器部(2)の外表面へ一体に射出成型された外側容器部(3)とを備えた合成樹脂製多重容器であって、
前記内側容器部(2)が、その外表面で前記外側容器部(3)の上方に被係止部(13)を有する、
ことを特徴とする合成樹脂製多重容器。
【請求項2】
前記内側容器部(2)が、蓋体(11)が装着される前記内側容器部(2)の外表面上部に形成された装着部(10)を有し、
前記被係止部(13)が、前記外側容器部(3)の上端と前記装着部(10)との間で、前記内側容器部(2)の外表面を水平方向に1周する凹溝状に形成されたアンダーカット(20)である、
請求項1に記載の合成樹脂製多重容器。
【請求項3】
前記内側容器部(2)が、蓋体(11)が装着される前記内側容器部(2)の外表面上部に形成された装着部(10)を有し、
前記被係止部(13)が、前記外側容器部(3)の上端と前記装着部(10)との間で、前記内側容器部(2)の外表面へ突起状に形成された少なくとも1つの突出部(25)である、
請求項1に記載の合成樹脂製多重容器。
【請求項4】
前記外側容器部(3)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂とシクロヘキサンジメタノール系ポリエステル樹脂のいずれかにて形成される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成樹脂製多重容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の内側容器部(2)を有する合成樹脂製多重容器の製造方法であって、
外側容器部(3)のコア側金型(15)に前記内側容器部(2)を保持するとともに、このコア側金型(15)に上記の被係止部(13)を係止し、前記コア側金型(15)にキャビティ側金型(16)を密接して、前記内側容器部(2)の外表面と前記キャビティ側金型(16)の内面との間に前記外側容器部(3)を射出成型した後、前記コア側金型(15)を離隔することにより、成型品を前記キャビティ側金型(16)から取り出す、
ことを特徴とする合成樹脂製多重容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−25401(P2012−25401A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162899(P2010−162899)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(505430975)株式会社ヤシマ精工 (9)
【Fターム(参考)】