説明

合流・混合装置

【課題】 例えば急結剤の輸送が良好に行われるよう、即ち、逆流防止に効果的な技術を低廉なコストで提供でき、実施が簡単な技術を提供することである。
【解決手段】 第1の流体(空気)と該第1の流体の流動方向とは異なる方向から流動して来た第2の流体(急結剤)とが合流・混合するに際して用いられる合流・混合装置であって、
前記第1の流体が流動する第1の筒体部9aと、
前記第2の流体が流動する第2の筒体部9bと、
前記第1の流体と第2の流体との合流・混合流体が流動する第3の筒体部9cとを備え、
前記第3の筒体部と前記第1の筒体部と前記第2の筒体部とは所定位置で連結されてなり、
前記第3の筒体部、第1の筒体部、及び第2の筒体部に対して離間可能であって、前記第1の筒体部と第2の筒体部との連結部における第1の筒体部の内側に、第4の筒体11が配置されてなり、
前記第1の筒体部を流動して来た前記第1の流体は前記第4の筒体11を経由して前記第3の筒体部側に流動できるよう構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばモルタルの吹付けに用いられる急結剤の添加装置として採用できる逆流防止機能を備えた合流・混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビル等の建築物やトンネル等の構築物に、セメントモルタルやポリマーセメントモルタル等を吹付けることが行われている。尚、吹付けられたモルタル層が流れ落ちないものとする為、モルタルには急結剤などの薬剤が添加されていることが多い。この種の吹付け工法の中、湿式吹付け工法では、例えば掘削を行うトンネル坑外の現場敷地内に設けられたコンクリート製造用プラントでコンクリートを混練りし、混練されたコンクリートをアジテータ車などの運搬手段によってトンネル切羽の後方に設置された吹付けコンクリートシステムまで運搬し、コンクリートポンプ等の供給装置で配管内を圧送し、配管途中に設けられた合流管で他方から圧送された急結剤と混合し、急結性の吹付けコンクリートとしてノズル先端から所定の吹付け圧で吹付けコンクリートを地山面に吹付け、一次覆工としてのコンクリートライニングを形成している。
【0003】
このような場合に用いられる急結剤としては、例えばカルシウムアルミネートからなるものや、カルシウムアルミネートを主体としアルカリアルミン酸塩やアルカリ炭酸塩などを含有するものや、カルシウムナトリウムアルミネートからなるものや、カルシウムナトリウムアルミネートを主体としたアルカリアルミン酸塩やアルカリ炭酸塩などを含有するものや、カルシウムナトリウムアルミネート及びカルシウムアルミネートを含まず、アルカリアルミン酸塩、アルカリ炭酸塩等を成分とするもの等が知られている。尚、これらの成分は、セメントの凝結を促進させる働きがある為、空気により圧送され、吹付けコンクリート製造時にセメントモルタルと混合されている。
【0004】
又、防水施工においては、高濃度ポリマーエマルジョン(全固形分が65重量%以上)を含有するポリマーセメントスラリに塩化カルシウム等の多価金属塩を混合し、防水層を形成することも行われている。又、多価金属塩を使用せず、アルキルスルホン酸塩重合樹脂、アルキルベンゼンスルホン酸塩、又はこれらを乳化したエマルジョン等を有機系凝固剤として使用し、セメントなどの水和反応物、超速硬セメント、アルミナセメントを事前混合して吹付ける方法も知られている。又、セメントを380〜1000kg/m3含むセメントモルタルと、硫酸アルミニウム水和物を主成分とし、跳ね返り防止・増結剤としてセルロース、アクリル、SBR、クロロプレン又はスルフォネートメラミン化合物の高分子材料及び必要に応じコロイダルシリカ、シリカヒューム、シリカ微粉末、ベントナイト、被覆炭酸カルシウム又はメタカオリンの無機材料を含む、セメントに対して重量比率3〜15%の非アルカリ液体急結剤とを含むモルタル等も知られている。
【0005】
そして、上記モルタルを吹付ける装置として、例えば図6に示される如きの装置が提案(特開平10−216628号公報)されている。すなわち、硫酸アルミニウム水和物を主成分とし、跳ね返り防止・増結剤としてセルロース、アクリル、SBR、クロロプレン又はスルフォネートメラミン化合物の高分子材料及び必要に応じコロイダルシリカ、シリカヒューム、シリカ微粉末、ベントナイト、被覆炭酸カルシウム又はメタカオリンの無機材料を含む、セメントに対して重量比率10〜35%の非アルカリ液体急結剤を、ノズル51へ圧送するための急結剤ポンプ52と、セメント混和用高濃度ポリマーエマルジョンの固形分とセメントとの重量比率を150 〜230%の範囲にて混連したポリマーセメントスラリーをノズル51へ圧送するための主剤ポンプ53と、急結剤ポンプ52及び主剤ポンプ53に連結され、非アルカリ液体急結剤とポリマーセメントスラリーとを混合し、これらを目的物に吹付けるノズル51と、急結剤ポンプ52と主剤ポンプ53とノズル51とに連通するコンプレッサ54とよりなり、主剤ポンプ53とノズル51との間にフィルタ55が設けられているセメントスラリーの吹付け防水用装置が提案されている。
【0006】
又、図7及び図8に示される如く、圧送機61に投入された材料を混練りすると共に、圧送機61から延設されたコンクリート供給管62を介して混練りコンクリートをノズル63まで供給するコンクリート供給経路64と、投入された粉体急結剤に所定量の水を混合して攪拌して急結剤スラリーとし、該急結剤スラリーをコンクリート供給管経路64まで導く急結剤供給経路65と、急結剤供給経路65とコンクリート供給経路64との連結位置に設けられ、前記急結剤スラリーを前記混練りコンクリートと混合攪拌させる混合攪拌部66とを備えた吹付けシステムが提案(特開平10−317671号公報)されている。
【0007】
又、図9に示される如く、湾曲部81aを介して連続する導入部81bと放射部81cとを備えたL字状管81と、先端部82aが湾曲部81a内に突出し、その噴霧口が放射部81cの放射口と対向している薬剤噴霧管82とを備え、薬剤噴霧管82は圧縮空気口83と薬剤供給口84とに連通しているフレッシュコンクリートの吹付ノズル装置が提案(特開平11−22391号公報)されている。
【0008】
又、図10に示される如く、ノズル通路91の導入部92から圧入されるフレッシュコンクリート材料又はフレッシュモルタル材料に薬剤を混合せしめて放射部93の放射口から放出させるフレッシュコンクリートの吹付ノズル装置であって、ノズル通路91の内方に向かって浮上用気体を噴射する材料浮上手段と、ノズル通路91の放射部で前記材料の流れを湾曲させるノズル通路湾曲部94と、放射部93を通る前記材料内に薬剤を噴霧せしめる薬剤薬剤噴霧管95とを備えており、ノズル通路93は浮上用気体流路96を介して対向する外管93aと内管93bとからなり、外管93aの先端は内管93bの先端より突出しているフレッシュコンクリートの吹付ノズル装置が提案(特開平11−104528号公報)されている。
【0009】
又、流動性のあるコンクリートと該流動性のあるコンクリート用の薬液が含まれる圧縮空気との混合物を所定方向に供給する薬液ボアヘッドと、この薬液ボアヘッドの前記混合物を供給方向の反対側端部に着脱可能に取り付けられて前記混合物の混合室を形成すると共に、中心部に前記コンクリートの導入用開口部を有し、この導入用開口部の周囲に前記薬液含有圧縮空気を送るための複数個のノズルを形成したノズルプレートと、前記ノズルプレートの前記混合室の反対側であって前記導入用開口部に着脱可能に保持され、前記コンクリートを前記混合室に導入する導入管と、前記ノズルプレートの前記混合室の反対側であって前記導入管の外側の位置に固定され、前記ノズルプレートと前記導入管の周囲との間に、前記薬液含有圧縮空気が循環する循環室を形成すると共に、前記圧縮空気が導入されるエアボアヘッドとを有することを特徴とするコンクリート吐出装置が提案(特開2001−96205号公報)されている。
【特許文献1】特開平10−216628号公報
【特許文献2】特開平10−317671号公報
【特許文献3】特開平11−22391号公報
【特許文献4】特開平11−104528号公報
【特許文献5】特開2001−96205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記提案されている技術を応用した装置を用いて、急結剤をモルタルに添加し、モルタルの吹付けを試みた。
【0011】
しかしながら、急結剤と圧送空気との合流点において、圧送空気により急結剤が急結剤供給管側に押し戻され(逆流させられ)、急結剤をモルタルに上手く添加するのが困難であった。
【0012】
そこで、本発明者によって、急結剤と圧送空気との合流点において、圧送空気により急結剤が元に押し戻されないようにする為、図4や図5に示される如くの逆流防止装置(合流・混合装置)を考えた。
【0013】
図4に示されるものは、急結剤輸送管31と圧送空気輸送管32との交差角αを鋭角(例えば、30°)で構成し、圧送空気が急結剤輸送管31の側には回り込み難いものとなるようにしたのである。又、急結剤輸送管と圧送空気輸送管との交差点における圧送空気輸送管をS字状に曲げたりすることも試みた。
【0014】
しかしながら、この種の手法によっては、圧送空気によりる急結剤の逆流防止効果は満足できるものでなかった。
【0015】
又、図5に示される如く、急結剤輸送管41と圧送空気輸送管42との交差部において、案内板(逆流防止板)43を設けたものを試作した。この案内板43を設けたものは、逆流防止には効果的であったものの、その製作が大変で、コストが高く付くものであった。又、案内板43が損傷した場合、その交換作業は大変で、コストが高く付くものであった。
【0016】
従って、本発明が解決しようとする第1の課題は、例えば急結剤の輸送が良好に行われるよう、即ち、逆流防止に効果的な技術を提供することである。
【0017】
本発明が解決しようとする第2の課題は、逆流防止に効果的な技術を低廉なコストで提供でき、実施が簡単な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の課題は、第1の流体と該第1の流体の流動方向とは異なる方向から流動して来た第2の流体とが合流・混合するに際して用いられる合流・混合装置であって、
前記第1の流体が流動する第1の筒体部と、
前記第2の流体が流動する第2の筒体部と、
前記第1の流体と第2の流体との合流・混合流体が流動する第3の筒体部とを備え、
前記第3の筒体部と前記第1の筒体部と前記第2の筒体部とは所定位置で連結されてなり、
前記第3の筒体部、第1の筒体部、及び第2の筒体部に対して離間可能であって、前記第1の筒体部と第2の筒体部との連結部における第1の筒体部の内側に、第4の筒体が配置されてなり、
前記第1の筒体部を流動して来た前記第1の流体は前記第4の筒体を経由して前記第3の筒体部側に流動できるよう構成されてなる
ことを特徴とする合流・混合装置によって解決される。
【0019】
本発明において、第3の筒体部と第1の筒体部と第2の筒体部とは、特に、略T字状に構成されたものであり、この略T字状の筒体の交差部における内部に第4の筒体が離間可能に配置されたものである。更には、前記第2の筒体部を流動して来た第2の流体は前記第4の筒体の外壁に衝突するよう構成されたものである。
【0020】
又、特に、第2の流体が流動する時に、第3の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間には隙間があるように構成されている。
【0021】
又、第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とが密着するよう構成されている。
【0022】
そして、本発明における第4の筒体は、特に、弾性体で構成されている。
【発明の効果】
【0023】
第3の筒体部、第1の筒体部、及び第2の筒体部に対して離間可能であって、前記第1の筒体部と第2の筒体部との連結部における第1の筒体部の内側に、第4の筒体を配置したので、第1の筒体部内を流動して来た第1の流体は第4の筒体内を経由して第3の筒体部側に流動し、又、第2の流体は第4の筒体の外壁に衝突して第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間の隙間を介して第3の筒体部側に流動し、そして第1の流体と第2の流体とは混ざり、第3の筒体部内を流動して行く。この時、第1の筒体部内を流動して来た第1の流体の殆どは、第4の筒体内を経由して第3の筒体部側に流動して行くことから、第1の流体が第2の筒体部内に進入し、第2の流体を押し戻す(逆流させる)ような事態は起きない。
【0024】
しかも、このような逆流防止機能は、第1の筒体部と第2の筒体部との連結部における第1の筒体部の内側に第4の筒体を配置するのみであるから、面倒な作業は不要であり、極めて簡単に実施できる。すなわち、第3の筒体部、第1の筒体部、及び第2の筒体部の交差部における系を、例えば略T字状に構成し、この略T字状の筒体の交差部における内部に第4の筒体を挿入するのみの簡単な作業で実施できる。この時、挿入する第4の筒体を弾性体(例えば、ゴム)で構成しておけば、第4の筒体の外径が第3の筒体部の入口部での内径や第1の筒体部の出口部での内径より大きくても、第4の筒体が変形は可能であり、よって第4の筒体の挿入作業は容易である。しかも、第4の筒体の外径を第3の筒体部の入口部での内径や第1の筒体部の出口部での内径より大きくしていると、第4の筒体はその範囲内で位置規制を受け、第4の筒体が第1の流体の圧送力で押し流されると言った事態は起きない。尚、第4の筒体を、単に、ゴムの如きの弾性体で構成と言うだけではなく、シリコンゴムのように剥離性に富む弾性体で構成しておけば、第1の筒体部や第2の筒体部を流動する剤が付着し難いものとなる。
【0025】
第4の筒体を金属のような硬質材で構成することも考えられる。但し、このような場合には、開口部における第3の筒体部の内径や第1の筒体部の内径より第4の筒体の外径を大きくすることは出来ない。そこで、第4の筒体が押し流されると言った事態を起こさないようにする為、即ち、第4の筒体に対するストッパ機能を奏させる為、例えば第1の筒体部や第3の筒体部を径の異なる複数パーツで構成するような必要が有り、これでは複雑化してしまう欠点が有る。従って、第4の筒体は弾性体で構成されていることが好ましい。
【0026】
第3の筒体部と第1の筒体部と第2の筒体部との結合関係を、略T字状に構成しておけば、第4の筒体を略T字状の筒体の交差部における内部に挿入するのみで構成できる。従って、極めて簡単に実施できる。
【0027】
そして、第2の流体が流動する時に、第3の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間には隙間があるように構成しているので、第2の筒体部内を流動して来た第2の流体がこの隙間から第3の筒体部内に流入し、第1の筒体部内および第4の筒体内を流動して来た第1の流体と第3の筒体部内で合流・混合するが、第1の流体の圧力により第2の流体は第2の筒体部内に押し戻されない。従って、第2の流体は正常に流動して行く。
【0028】
尚、この場合における隙間とは、第2の流体が流動する場合に出来るものであれば良い。すなわち、流体が流動していない場合には、隙間が無くても良い。例えば、第4の筒体をゴムのような弾性体で構成していると、非流動時には密着していて隙間が無くとも、第2の流体の流動時における圧力によって、第4の筒体は多少の変形をし、これによって隙間が出来るようであっても差し支えない。
【0029】
第4の筒体をゴムのような弾性体で構成していると、第2の流体が流動する時に、第2の流体の圧力により第3の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間に隙間が容易に構成され、第4の筒体を金属のような硬質材で構成する場合のように該隙間を構成する為の複雑な機構を要さないので好ましい。
【0030】
又、第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とが密着するよう構成していると、第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間の隙間を第1の流体の一部が流動することにより、第2の流体が第2の筒体部内に押し戻される恐れが無いので好ましい。第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とが密着するよう構成するには、例えば第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とを略同じ形状・大きさにすることにより密着させる、第1の筒体部の内径よりやや大きな外径の弾性体で構成している第4の筒体を第1の筒体部内に挿入することにより密着させる、又は第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間に弾性体のリングを一つ又は二つ以上設ける等の方法が有る。
【0031】
第4の筒体の挿入位置は、第2の筒体部内を流動して来た第2の流体が第4の筒体の外壁に衝突する位置であるのが好ましい。すなわち、第2の筒体部内を流動して来た第2の流体が第4の筒体の外壁に衝突し、二つに分岐しようとするものの、第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間の隙間を流れて来た分岐の第1の流体によって、又は、第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とが密着している部位にせき止められることによって、簡単に、下流側に押し流され、第2の流体は第3の筒体部の側に正常に流れて行く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は本発明になる逆流防止機能を奏する合流・混合装置を備えたモルタル吹付装置の全体概略図、図2は本発明の逆流防止機能を備えた合流・混合装置の要部の概略図、図3は本発明の逆流防止機能を備えた合流・混合装置の要部の断面図である。
【0033】
各図中、1は、セメントや水などの所望の材が混練され、この混練モルタルを吹付ノズル2に供給するモルタル供給装置である。3は、急結剤などの薬剤を吹付ノズル2に供給する薬剤供給装置である。4は、薬剤供給装置3からの薬剤を吹付ノズル2に圧送する為のコンプレッサである。5,6,7,8は、各々、輸送用のパイプである。尚、これ等の部分は、従来からのモルタル吹付装置に採用されている技術を用いることも出来るので、詳細な説明を省略する。
【0034】
9はT字パイプである。このT字パイプ9の各端部9a,9b,9cの内面にはネジが形成されている。そして、T字パイプ9の端部9aはパイプ5と螺合によって連結されており、T字パイプ9の端部9bはパイプ6と螺合によって連結されており、T字パイプ9の端部9cはパイプ7と螺合によって連結されている。従って、コンプレッサ4からのエアは、パイプ5→T字パイプ9の端部9a→T字パイプ9→T字パイプ9の端部9c→パイプ7の経路を通り、吹付ノズル2の側に流れて行く。又、薬剤供給装置3からの薬剤は、パイプ6→T字パイプ9の端部9b→T字パイプ9→T字パイプ9の端部9c→パイプ7の経路を通り、吹付ノズル2の側に流れて行く。尚、薬剤供給装置3からの薬剤とコンプレッサ4からのエアとは、T字パイプ9の端部9c、即ち、T字パイプ9とパイプ7との螺合部近傍にて合流・混合されることになる。
【0035】
T字パイプ9の端部9aや端部9cにおける内径は、図3からも明瞭な通り、中央部9dにおける内径よりも小さい。すなわち、T字パイプ9の端部9aや端部9cには段部10a,10cが設けられている。
【0036】
11は、耐薬品性、特に耐アルカリ性に富み、かつ、剤が付着し難い剥離性に富み、更には弾性を持つシリコンゴム製の円筒状の筒である。この筒11の外径は、T字パイプ9の端部9aの段部10aとT字パイプ9の端部9cの段部10cとの間における中央部9dの内径と略同一である。そして、筒11は、T字パイプ9の端部9aの段部10aとT字パイプ9の端部9cの段部10cとの間における中央部9dに内挿されている。特に、筒11の外周壁がT字パイプ9の端部9bの開口部を閉鎖するが如くに内挿されている。従って、筒11はT字パイプ9の内壁に密着した構造となっている。かつ、筒11は、段部10a,10cによって規制を受け、位置ずれが起きないようになっている。すなわち、筒11は段部10aと段部10cとの間の中央部9dに在るように位置規制を受けている。
【0037】
さて、上記した如くに構成させた装置を用いて、モルタルの吹付作業が行われる。
すなわち、モルタル供給装置1からモルタルがパイプ8を経由して吹付ノズル2に供給される。
【0038】
又、薬剤供給装置3から液状の急結剤が供給される。かつ、コンプレッサ4から空気が圧送される。すなわち、空気は、パイプ5→T字パイプ9の端部9a→T字パイプ9(筒11内側)→T字パイプ9の端部9c→パイプ7の経路を通り、吹付ノズル2の側に送られる。薬剤供給装置3からの急結剤は、パイプ6→T字パイプ9の端部9b→T字パイプ9(筒11外側)→T字パイプ9の端部9c→パイプ7の経路を通り、吹付ノズル2の側に送られる。この時、T字パイプ9の端部9bから流動して来た急結剤は、筒11の外周壁に衝突している。この衝突圧力によって筒11は少し内側に凹む。この凹みによって、筒11の外壁とT字パイプ9の内壁との間には隙間が出来る。そして、この隙間を介して、急結剤はT字パイプ9の端部9cの側に流動して行く。一方、T字パイプ9の端部9aから送り込まれて来た空気は、筒11の内側を通り抜けて行く。そして、空気と急結剤とは、T字パイプ9の端部9bに在る開口部を通り過ぎた後の位置で、合流し、混ざるようになる。従って、T字パイプ9の端部9aから送り込まれて来た空気がT字パイプ9の端部9bに在る開口部の側に流動して行き、急結剤を逆流させるような事態が引き起こされることは無いものとなる。
【0039】
特に、筒11は、ゴムで出来ていることから、恰も、弁のような作用を奏する。すなわち、筒11内を通り過ぎた空気が逆流(筒11の外側とT字パイプ9の内側との間の隙間を通って逆流)しようとしても、この逆流しようとする空気の量は筒11内を通って来た空気の量よりも少なく、そうすると筒体11が大きく凹まされることは無い。従って、筒11が凹む量は少ないから、筒11内を通り過ぎた空気が逆流する量は少ない。よって、液状の急結剤が逆流させられることも無い。
【0040】
そして、T字パイプ9の端部9cの部分で合流・混合された後、この合流・混合された急結剤は吹付ノズル2の部分にてモルタルに添加され、急結剤添加モルタルは所望の箇所に吹き付けられるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明になる合流・混合装置を備えたモルタル吹付装置の全体概略図
【図2】本発明になる合流・混合装置の要部の概略図
【図3】本発明になる合流・混合装置の要部の断面図
【図4】合流・混合装置の概略図
【図5】合流・混合装置の概略図
【図6】従来のモルタル吹付装置の概略図
【図7】従来のモルタル吹付装置の概略図
【図8】従来のモルタル吹付装置の概略図
【図9】従来のモルタル吹付装置の概略図
【図10】従来のモルタル吹付装置の概略図
【符号の説明】
【0042】
1 モルタル供給装置
2 吹付ノズル
3 薬剤供給装置
4 コンプレッサ
5,6,7,8 輸送用のパイプ
9 T字パイプ
9a,9b,9c T字パイプの端部
10a,10c 段部
11 筒(第4の筒体)

特許出願人 太平洋マテリアル株式会社
代 理 人 宇 高 克 己


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体と該第1の流体の流動方向とは異なる方向から流動して来た第2の流体とが合流・混合するに際して用いられる合流・混合装置であって、
前記第1の流体が流動する第1の筒体部と、
前記第2の流体が流動する第2の筒体部と、
前記第1の流体と第2の流体との合流・混合流体が流動する第3の筒体部とを備え、
前記第3の筒体部と前記第1の筒体部と前記第2の筒体部とは所定位置で連結されてなり、
前記第3の筒体部、第1の筒体部、及び第2の筒体部に対して離間可能であって、前記第1の筒体部と第2の筒体部との連結部における第1の筒体部の内側に、第4の筒体が配置されてなり、
前記第1の筒体部を流動して来た前記第1の流体は前記第4の筒体を経由して前記第3の筒体部側に流動できるよう構成されてなる
ことを特徴とする合流・混合装置。
【請求項2】
第3の筒体部と第1の筒体部と第2の筒体部とは略T字状に構成されたものであり、この略T字状の筒体の交差部における内部に第4の筒体が離間可能に配置されたものであることを特徴とする請求項1の合流・混合装置。
【請求項3】
第2の流体が流動する時に、第3の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁との間に隙間があるように構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2の合流・混合装置。
【請求項4】
第1の筒体部の内壁と第4の筒体の外壁とが密着するよう構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの合流・混合装置。
【請求項5】
第4の筒体は弾性体で構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの合流・混合装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−142151(P2006−142151A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332803(P2004−332803)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】