説明

合金メッキ層の形成方法及び構造部品

【課題】電気化学ポテンシャルが異なる複数の金属からなる合金メッキ層を製造することができる合金メッキ層の形成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る合金メッキ層の形成方法は、母材10上に、複数種類の金属メッキ層20,22,21を積層した金属メッキ積層体23を形成する工程と、金属メッキ積層体23を熱処理して複数種類の金属メッキ層20,22,21それぞれを拡散させることにより、母材10上に位置する合金メッキ層24,26を形成する工程とを具備する。金属メッキ層20,21は例えばコバルト層であり、金属メッキ層22は例えばクロム層である。この場合、合金メッキ層24,26はコバルトとクロムの合金メッキ層である。金属メッキ層21に炭化クロム粒子30が含まれていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金メッキ層の形成方法及び構造部品に関する。
【背景技術】
【0002】
高温で使用される部品又は部材に耐食性及び耐磨耗性を付与するコーティング材として、コバルト中に硬質粒子である炭化クロムを分散させた粒子分散メッキコーティングがある(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
図10の各図は、母材200の表面に炭化クロムを分散させたコバルトコーティングを行う従来の方法を説明するための断面図である。まず図10(A)に示すように、コバルトを電解メッキする為のメッキ液中に炭化クロム粒子を導入し、メッキ液を攪拌する。そしてメッキ液を攪拌した状態で、ステンレス鋼からなる母材200をメッキ液中に浸漬させ、コバルトの電解メッキを行う。これにより、母材200の表面にはコバルトメッキ層210が電解メッキされる。このとき、母材200の表面近傍を浮遊していた炭化クロム粒子212も取り込まれ、複数の炭化クロム粒子212がコバルトメッキ層210内に分散した状態になる。電解メッキ中にメッキ液を攪拌するのは、炭化クロムは比重が6.7と重い為、攪拌しないとメッキ液中で炭化クロム粒子が均一に浮上しない為である。
【0004】
しかし、電解メッキしたままでは、コバルトメッキ層210と母材200の密着強度が不足する。そこで、コバルトメッキ層210及び母材200を熱処理する。このときの熱処理温度は、例えば800℃〜1000℃であり、熱処理時間は5時間程度である。これにより、コバルトメッキ層210と母材200が相互拡散し、コバルトメッキ層210と母材200の密着強度が高まる。
【0005】
一方、図10(B)に示すように、コバルトメッキ層210と母材200の密着強度を上げる為の熱処理を行うと、炭化クロム粒子212に含まれるクロムがコバルトメッキ層210に溶解し、コバルトメッキ層210に対する炭化クロム粒子212の体積率が減少し、その結果、コバルトメッキ層210の耐磨耗性が、例えばHv500前後からHv400前後へと低下してしまう。この炭化クロム粒子212の減少量は、熱処理条件、コバルトメッキ層210中の炭化クロム粒子212の体積率等に依存して変動する。このため、コバルトメッキ層210の耐磨耗性にばらつきが生じてしまう。なお、炭化クロム粒子212に含まれていた炭素は、黒鉛214としてコバルトメッキ層210中に遊離した状態で存在する。
【0006】
図11は、熱処理後のコバルトメッキ層210の断面写真の一例である。本写真に示すように、コバルトメッキ層210には、遊離した黒鉛が含まれている。この黒鉛は、炭化クロムのクロムがコバルトメッキ層210に溶解した後、遊離した炭素が凝集することにより形成されたものである。
【0007】
図12は、熱処理後の母材200及びコバルトメッキ層210の断面写真の一例である。母材200としては、SUS304L鋼を使用した。本写真に示すように、母材200は、表面、すなわちコバルトメッキ層210との界面から炭素が浸透し、この炭素が母材200に含まれるクロムと結合して炭化クロムを形成する。この結果、母材200の表層におけるクロム濃度が低下し、母材200の表層の耐食性が低下する。母材200の表面全面がコバルトメッキ層210に覆われている場合、この耐食性の低下は問題にならないが、コバルトメッキ層210が母材200の表面の一部に形成されている場合、コバルトメッキ層210が形成されている領域と形成されていない領域の境界部分において、耐食性の低下が問題になる。
【非特許文献1】Transactions of the Institute of Metal Finishing,1976,Vol 54 P8-16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、炭化クロムの粒子を分散させたコバルトメッキ層において、母材とコバルトメッキ層の密着強度を上げる為の熱処理時に炭化クロムがコバルトメッキ層に溶解すると、その溶解量にばらつきが生じる為、耐磨耗性にばらつきが生じていた。また、母材がクロム含有鋼である場合に炭化クロムがコバルトメッキ層に溶解すると、炭化クロムから遊離した炭素が母材の表層に含まれるクロムと結合して炭化クロムを形成し、これにより母材の表層のクロム濃度が低下していた。
このため、コバルトメッキ層に炭化クロムを溶解させない技術が求められる。
【0009】
図13(A)は、コバルトメッキ層中に含まれる炭化クロムの体積率の熱処理温度依存性を示すグラフである。本グラフにおいて、熱処理時間は5時間である。熱処理温度が700℃以下の場合、炭化クロムの体積率の減少は見られないが、熱処理温度が800℃以上の場合は炭化クロムの体積率の減少が見られる。この傾向は、熱処理前の炭化クロムの体積率(以下、初期体積率と記載)が30%の場合、及び10%の場合のいずれも同じであった。また、炭化クロムの初期体積率が10%の試料の場合は、熱処理温度が1000℃になると略全ての炭化クロムがコバルトメッキ層中に溶解し、その結果、コバルトメッキ層中の炭化クロムの体積率が略0%になった。
【0010】
図13(B)は、コバルトメッキ層のクロム含有率の熱処理温度依存性を示すグラフである。グラフの基になった試料は、図13(A)と同じである。熱処理温度が700℃以下の場合、コバルトメッキ層からはクロムが検出されなかったが、熱処理温度が800℃以上になると、クロムが検出され、かつ温度が上昇するにつれてその量が増加した。ただし、熱処理温度が900℃の場合と1000℃の場合とでは、炭化クロムの初期体積率が30%の場合、及び10%の場合のいずれもコバルトメッキ層中のクロム量は大差が無かった。炭化クロムの初期体積率が10%の場合は、炭化クロムがコバルトメッキ層中に溶解しきったためと考えられるが、炭化クロムの初期体積率が30%の場合は、コバルトメッキ層中のクロムが飽和したためと考えられる。
【0011】
従って、コバルトメッキ層をクロムと合金化することにより、熱処理時における炭化クロムのコバルトメッキ層への溶解を抑制できると考えられる。しかし、コバルトとクロムの電気化学ポテンシャルは異なる為、母材上にコバルトとクロムの合金層を電解メッキ法により形成することは難しかった。
【0012】
以上をまとめると、電気化学ポテンシャルが異なる複数の金属からなる合金メッキ層を形成することは難しかった。このため、例えば炭化クロム粒子を分散したコバルトメッキ層と母材の密着強度を上げる為の熱処理時に、炭化クロムがコバルトメッキ層に溶解することを抑制できなかった。
【0013】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、電気化学ポテンシャルが異なる複数の金属からなる合金メッキ層を製造することができる合金メッキ層の形成方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、炭化クロム粒子を分散したコバルトメッキ層において、母材とメッキ層の密着強度を上げる為の熱処理時に炭化クロムがコバルトメッキ層に溶解することを抑制できる合金メッキ層の形成方法、及び構造部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る合金メッキ層の形成方法は、母材上に、複数種類の金属メッキ層を積層した金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記金属メッキ積層体を熱処理して前記複数種類の金属メッキ層それぞれを拡散させることにより、前記母材上に合金メッキ層を形成する工程とを具備する。
【0015】
前記複数種類の金属メッキ層は、例えばコバルトメッキ層及びクロムメッキ層である。この場合、前記合金メッキ層は、コバルトとクロムの合金メッキ層である。
【0016】
本発明に係る他の合金メッキ層の形成方法は、母材の上又は上方に、第1のクロムメッキ層、及び複数の炭化クロム粒子が導入された第1のコバルトメッキ層を積層した第1の金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記第1の金属メッキ積層体を熱処理して前記第1のコバルトメッキ層と前記第1のクロムメッキ層を拡散させることにより、前記母材の上又は上方に、クロムとコバルトの合金中に前記複数の炭化クロム粒子が導入された第1合金メッキ層を形成する工程とを具備する。
【0017】
前記第1の金属メッキ積層体を形成する工程の前に、前記母材上に、第2のコバルトメッキ層及び第2のクロムメッキ層を交互に積層した第2の金属メッキ積層体を形成する工程を具備してもよい。この場合、前記第1の金属メッキ積層体は、前記第2の金属メッキ積層体上に形成される。また、前記第1合金メッキ層を形成する工程において、前記第2のコバルトメッキ層及び前記第2のクロムメッキ層が拡散することにより、前記母材と前記第1合金メッキ層の間に位置していてクロムとコバルトの合金からなる第2合金メッキ層が形成される。
【0018】
前記第1の金属メッキ積層体を形成する工程の前に、前記母材上に、第3のコバルトメッキ層を形成する工程を具備してもよい。この場合、前記第1の金属メッキ積層体は、前記第3のコバルトメッキ層上に形成される。
【0019】
本発明に係る他の合金メッキ層の形成方法は、母材の上に、クロムメッキ層及び複数の炭化クロム粒子が導入されたコバルトメッキ層を交互に複数積層した金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記金属メッキ積層体を熱処理して前記コバルトメッキ層及び前記クロムメッキ層を拡散させることにより、前記母材の上に、クロムとコバルトの合金中に前記複数の炭化クロム粒子が導入された合金メッキ層を形成する工程とを具備する。
【0020】
本発明に係る構造部品は、母材と、
前記母材上に形成された金属メッキ層と、
を具備し、
前記金属メッキ層は、複数の炭化クロム粒子が導入された、クロムとコバルトの第1合金層を有し、
前記第1合金層は、クロムの濃度が重量比率で10%以上である。
【0021】
前記第1合金層は、例えば前記金属メッキ層の表層に位置している。
【0022】
前記金属メッキ層は、前記第1合金層と前記母材の間に位置するクロムとコバルトの第2合金層を有していてもよく、また、前記第1合金層と前記母材の間に位置するクロムとコバルトの第2合金層とクロム層が交互に積層された金属積層体を有していてもよい。
【0023】
前記金属メッキ層の表面は摺動面であってもよい。
前記母材は、クロムを含有する鋼であり、前記金属メッキ層は、前記母材の一部上に形成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1の各図は、本発明の第1の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。本実施形態によって製造される合金層はクロムとコバルトの合金層であり、表層に炭化クロムの粒子を分散させている。
【0025】
まず、図1(A)に示すように、母材10の表面上にコバルト層20を、例えば電解メッキ法により形成する。本工程で使用されるメッキ液には炭化クロムの粒子が導入されておらず、このためコバルト層20には炭化クロムの粒子が含まれない。コバルト層20の厚さは、例えば20μm以上30μm以下である。母材10は、例えばSUS304L等のステンレス鋼であるが、他の鋼(例えばクロムが添加されている普通鋼)であってもよい。
【0026】
次いで、コバルト層20の表面を洗浄した後、コバルト層20上にクロム層22を、例えば電解メッキ法により形成する。クロム層22の厚さは、コバルト層20の厚さの20%〜30%であるのが好ましく、例えば4μm以上〜9μm以下である。
【0027】
その後、クロム層22の表面を洗浄する。次いで、クロム層22上に、コバルト層20及びクロム層22を、この順に必要な層数だけ繰り返し形成する。ここで、最上層にはクロム層22を位置させる。各層を形成する工程の間には、表面を洗浄する工程が設けられる。
【0028】
次いで、最上層のクロム層22の表面を洗浄した後、このクロム層22上に、コバルト層21を、例えば電解メッキ法により形成する。本工程で使用されるメッキ液には複数の炭化クロム粒子が導入され、かつメッキ液は攪拌されている。このため、コバルト層21には複数の炭化クロム粒子30が分散している。炭化クロム粒子30の粒径は、例えば1μm以上4μm以下であり、平均粒径は2.5μm以上3.0μm以下であるが、ここで例示した範囲に限定されず、粒径が4μm以上であってもよい。クロム層22の全体に対する炭化クロム粒子30の体積率は、上限が40%であるのが好ましく、下限が例えば5%であるのが好ましい。この体積率は、例えばメッキ液に含まれる炭化クロム粒子の量を変えることにより、調節できる。またこの体積率は、断面における面積率として測定することができる。
【0029】
このようにして、母材10の表面上に、金属積層体の一例であるメッキ層23が形成される。メッキ層23は、コバルト層20及びクロム層22を複数繰り返し積層し、さらにコバルト層21を積層した構造を有する。クロム層22の厚さの和は、コバルト層20,21の厚さの和の20%〜30%であるのが好ましい。なお、コバルト層20及びクロム層22を形成する工程を繰り返さなくても良い。この場合メッキ層23は、コバルト層20、クロム層22、及びコバルト層21をこの順に一層ずつ積層した構造になる。
【0030】
次いで、図1(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。この熱処理における処理温度は、例えば875℃以上1100℃以下であり、処理時間は、例えば4時間以上10時間以下である。この熱処理を行うことにより、母材10とメッキ層23が相互拡散し、これらの間の密着強度が向上する。また、メッキ層23の内部においてコバルト層20とクロム層22が拡散する。これにより、コバルトとクロムの合金層24が形成される。合金層24はメッキ層23の下層を構成しており、下面が母材10に接している。さらに、コバルト層21のコバルト母相とコバルト層21の下に位置するクロム層22が拡散して、コバルトとクロムの合金層26が形成される。合金層26は、メッキ層23の上層を構成している。合金層26の中には複数の炭化クロム粒子30が分散している。合金層26と合金層24の境界は、例えば母材10の表面に水平な面であって、複数の炭化クロム粒子30のうち最も母材10の表面に近い粒子の下端を通る面として定義される。熱処理後のメッキ層23の厚さは、例えば50μm以上200μm以下であり、メッキ層23のうち合金層26の厚さは、例えば20μm以上30μm以下である。
【0031】
上記した熱処理において、合金層24及び合金層26の母相は、コバルトとクロムの合金になる。このため、熱処理によって炭化クロム粒子30が合金層26に溶解することが抑制される。特に合金層24及び合金層26の母相におけるクロムの含有率が10重量%以上である場合、この効果が顕著になる。また、このクロムの含有率が15重量%以上である場合、コバルトに対するクロムの固溶限に近くなる為、この効果が更に顕著になり、炭化クロム粒子30は合金層26の母相にほとんど溶解しない。なお、合金層24及び合金層26の母相におけるクロムの含有率の上限は、例えば20%である。
【0032】
以上、本実施形態によれば、母材10の表面上にコバルト層20とクロム層22を、最上層がクロム層22になるように交互に積層させ、これらを熱処理することにより、電気化学ポテンシャルが大きく異なるコバルトとクロムの合金である合金層24を形成することができる。この熱処理は、合金層24と母材10の密着強度を向上させるための熱処理も兼ねているため、工程数が増加することを抑制できる。
【0033】
また、熱処理の前において、最上層に位置するクロム層22の上には、複数の炭化クロム粒子30を分散させたコバルト層21が積層されている。このため、熱処理によって、複数の炭化クロム粒子30を分散させた合金層26を合金層24の上に形成することができる。合金層26の母相、及び合金層24は、いずれもコバルトとクロムの合金である。このため、熱処理によって炭化クロム粒子30が合金層26に溶解することを抑制できる。従って、熱処理によって合金層26の耐磨耗性が低下することを抑制できる。また、合金層26における炭化クロム粒子30の体積率がばらつくことを抑制でき、その結果、合金層26の耐磨耗性がばらつくことを抑制できる。
【0034】
また、炭化クロム粒子30が合金層26に溶解することを抑制できるため、合金層26中に遊離した炭素(具体的には遊離黒鉛)が生成することを抑制できる。このため、母材10の表層に炭素が拡散して、母材10の表層に含まれるクロムと結合し、母材10の表層の耐食性を低下させることを抑制できる。本実施形態では、合金層26と母材10の間に、炭化クロム粒子を含有していない合金層24が位置しているため、この効果は特に顕著になる。
【0035】
また、熱処理前のメッキ層23のうちコバルト層20及びクロム層22は、炭化クロム粒子を含有していない。このため、コバルト層20及びクロム層22を形成するときは、炭化クロム粒子を均一に浮上させることを目的としてメッキ液を攪拌する必要はなく、このため、メッキ層23を形成する工程の管理が容易になる。
【0036】
なお、例えば熱処理前のクロム層22がコバルト層20に対してある程度薄い場合等、熱処理時に合金層26に炭化クロム粒子30が少し溶解し、合金層26に黒鉛が生成することがある。この場合、生成した黒鉛が固体潤滑材として作用する為、母材10が摺動部材である場合、母材10の摩擦係数が低くなる。
【0037】
図2の各図は、第2の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0038】
まず図2(A)に示すように、母材10上に、コバルト層21及びクロム層22をこの順に交互に複数形成することにより、メッキ層23を形成する。本図に示すように最上層がコバルト層21となるようにしてもよいし、最上層がクロム層22となるようにしてもよい。また、コバルト層21を2層として、クロム層22を1層としてもよい。すべてのコバルト層21には、複数の炭化クロム粒子30が分散している。
【0039】
次いで、図2(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。熱処理の条件は、第1の実施形態と同様である。この熱処理を行うことにより、母材10とメッキ層23が相互拡散し、これらの間の密着強度が向上する。また、メッキ層23の内部において、コバルト層21のコバルト母相とクロム層22が相互拡散して、メッキ層23は、コバルトとクロムの合金層になる。この合金層の全体に、複数の炭化クロム粒子30が分散している。
【0040】
本実施形態によっても、コバルトとクロムの合金層(具体的にはメッキ層23)を形成することができる。また、熱処理によって炭化クロム粒子30がメッキ層23に溶解することを抑制できる。従って、熱処理によってメッキ層23の耐磨耗性が低下することを抑制できる。また、メッキ層23における炭化クロム粒子30の体積率がばらつくことを抑制でき、その結果、メッキ層23の耐磨耗性がばらつくことを抑制できる。
【0041】
また、メッキ層23中に遊離した炭素(具体的には遊離黒鉛)が生成することを抑制できる。このため、母材10の表層に炭素が拡散して、母材10の表層に含まれるクロムと結合し、母材10の表層の耐食性を低下させることを抑制できる。
【0042】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。本実施形態は、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理するときの熱処理条件を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0043】
本実施形態において、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの熱処理量は、第1の実施形態と比較して少ない。具体的には、処理温度を、例えば800℃以上875℃未満にして、処理時間を、例えば4時間以上10時間以下にする。また他の例としては、処理温度を、例えば875℃以上1100℃未満にして、処理時間を、例えば2時間以上4時間未満にする。このようにすると、メッキ層23の一部であるクロム層22が合金層24,26に溶解しきらずに残留する。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0044】
図4の各図は、本発明の第4の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0045】
まず図4(A)に示すように、母材10上にコバルト層20を一層形成する。コバルト層20の厚さは、例えば60μm以上100μm以下である。次いで、コバルト層20上にクロム層22及びコバルト層21をこの順に形成する。クロム層22の厚さ及びコバルト層21の厚さは、それぞれ第1の実施形態と同様である。このようにしてメッキ層23が形成される。
【0046】
次いで図4(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。このときの熱処理条件は、第1の実施形態と同様である。これにより、クロム層22がコバルト層20及びコバルト層21のコバルト母相に拡散して、メッキ層23が、合金層24,26をこの順に積層した構造になる。なお、合金層24は、母材10に近づくにつれてクロム含有率が低下している。
【0047】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの条件は、第3の実施形態と同様であっても良い。このようにすると、クロム層22が合金層24,26に溶解しきらずにメッキ層23中に残留する。
【0048】
図5の各図は、本発明の第5の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0049】
まず図5(A)に示すように、母材10上にコバルト層20を一層形成する。コバルト層20の厚さは、例えば30μm以上70μm以下である。次いで、コバルト層20上にコバルト層21、クロム層22及びコバルト層21をこの順に形成する。クロム層22の厚さ及びコバルト層21の厚さは、それぞれ第1の実施形態と同様である。このようにしてメッキ層23が形成される。
【0050】
次いで図5(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。このときの熱処理条件は、第1の実施形態と同様である。これにより、2つのコバルト層21のコバルト母相にクロム層22のクロムが拡散して、メッキ層23が、コバルト層20及び合金層26をこの順に積層した構造になる。なお、コバルト層20にもクロムが拡散することもあるが、この場合において、コバルト層20のクロム含有率は、母材10に近づくにつれて低下している。
【0051】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの条件は、第3の実施形態と同様であっても良い。このようにすると、クロム層22が合金層26に溶解しきらずにメッキ層23中に残留する。
【0052】
図6の各図は、本発明の第6の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0053】
まず図6(A)に示すように、母材10の表面にコバルト層20とクロム層22を、最上層がクロム層22になるように交互に積層させる。これら各層の厚さは、第1の実施形態と同様である。次いで、最上層のクロム層22上にコバルト層21を形成し、さらにコバルト層21上にクロム層22を形成する。コバルト層21上に位置するクロム層22の厚さは、他のクロム層22の厚さと等しくても良いが、これより薄くても良い(例えば1/3以上2/3以下)。このようにしてメッキ層23が形成される。
【0054】
次いで図6(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。このときの熱処理条件は、第1の実施形態と同様である。これにより、合金層24,26が形成される。
【0055】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの条件は、第3の実施形態と同様であっても良い。このようにすると、クロム層22が合金層24,26に溶解しきらずにメッキ層23中に残留する。このとき、最上層に位置するクロム層22が合金層26に溶解しきらずに残留することもあるが、このクロム層22が磨耗により除去されても、特に問題はない。
【0056】
図7の各図は、本発明の第7の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0057】
まず図7(A)に示すように、母材10の表面にコバルト層20を形成する。コバルト層20の厚さは、例えば30μm以上70μm以下である。次いで、コバルト層20上にコバルト層21、及びクロム層22をこの順に形成する。コバルト層21及びクロム層22の厚さは、例えば第1の実施形態と同様である。このようにしてメッキ層23が形成される。
【0058】
次いで図7(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。このときの熱処理条件は、第1の実施形態と同様である。これにより、コバルト層20上に位置する合金層26が形成される。
【0059】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの条件は、第3の実施形態と同様であっても良い。このようにすると、クロム層22が合金層24,26に溶解しきらずに残留するが、このクロム層22が磨耗により除去されても、特に問題はない。
【0060】
図8の各図は、本発明の第8の実施形態に係る金属層の形成方法を説明するための断面図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0061】
まず図8(A)に示すように、母材19の表面にコバルト層21を形成し、さらにコバルト層21上にクロム層22を形成する。このようにして、コバルト層21及びクロム層22からなるメッキ層23が形成される。コバルト層21の厚さは、例えば50μm以上200μm以下である。
【0062】
次いで図8(B)に示すように、母材10及びメッキ層23を真空中で熱処理する。このときの熱処理条件は、第1の実施形態と同様である。これにより、母材10上に位置するメッキ層23は、コバルトとクロムの合金層になる。この合金層の全体に、複数の炭化クロム粒子30が分散している。
【0063】
本実施形態によっても、コバルトとクロムの合金層(具体的にはメッキ層23)を形成することができる。また、熱処理によって炭化クロム粒子30がメッキ層23に溶解することを抑制できる。従って、熱処理によってメッキ層23の耐磨耗性が低下することを抑制できる。また、メッキ層23における炭化クロム粒子30の体積率がばらつくことを抑制でき、その結果、メッキ層23の耐磨耗性がばらつくことを抑制できる。
【0064】
なお、母材10及びメッキ層23を熱処理するときの条件は、第3の実施形態と同様であっても良い。このようにすると、クロム層22が溶解しきらずにメッキ層23の表層に残留するが、このクロム層22が磨耗により除去されても、特に問題はない。
【0065】
図9は、本発明の第9の実施形態に係る過吸機の構成を説明するための断面図である。この過吸機において、タービン101はタービンハウジング106内に収容されており、コンプレッサ102はコンプレッサハウジング104内に収容されている。タービン101及びコンプレッサ102を連結するタービンシャフト103は、センターハウジング105内に配置されたベアリング103aによって支持されている。センターハウジング105には、留具107,108によってコンプレッサハウジング104及びタービンハウジング106が固定されている。タービンハウジング106とセンターハウジング105の境界部分には、排気ガスの流路140が設けられている。
【0066】
タービン101を回転させるための排気ガスの流量は、ノズルリング110によって調節される。ノズルリング110は、例えばSUS304L等のステンレス鋼により形成されている。ノズルリング110は、タービンシャフト103と同心に配置されており、側面110cが排気ガスの流路140に面している。側面110cはタービンシャフト103に対して略垂直になっている。側面110c上には複数の羽114が設けられている。羽114相互間には流路140の一部となる隙間が設けられている。
【0067】
ノズルリング110は、センターハウジング105のうちタービンハウジング106に面する部分に設けられたリング状の凹部120内に収容されており、羽114は、タービンハウジング106のうちセンターハウジング105に面する部分に設けられたリング状の凹部130内に収容されている。凹部120,130はタービンシャフト103と同心であり、タービンシャフト103が延伸する方向に窪んでいる。凹部120の深さはノズルリング110の厚さより深く、このため、ノズルリング110は凹部120内をタービンシャフト103に沿う方向に摺動することができる。この摺動において、ノズルリング110の外周面110aは凹部120の側面120aと摺動し、ノズルリング110の内周面110bは凹部120の側面120bと摺動する。
【0068】
ノズルリング110がセンターハウジング105から離れる方向に摺動すると、流路140がノズルリング110によって塞がれ、流路140を流れる排気ガスの流量が減少する。逆にノズルリング110がセンターハウジング105に近づく方向に摺動すると、流路140が広がり、流路140を流れる排気ガスの流量が増加する。
【0069】
そして、ノズルリング110の外周面110a及び内周面110bには、第1〜第7の実施形態のいずれかに係るメッキ層23(図1等に図示)が形成されている。メッキ層23の形成方法は、第1〜第7の実施形態のいずれかと同様である。このため、外周面110a及び内周面110bの耐磨耗性は高く、また耐磨耗性のばらつきは小さい。また、メッキ層23からノズルリング110に遊離黒鉛が拡散することが抑制される為、ノズルリング110の表層のうち、外周面110aと側面110cの境界に位置する部分及び内周面110bと側面110cの境界に位置する部分においてクロム量が低下することが抑制される。従って、これら境界に位置する部分において耐食性が低下することが抑制される。
【0070】
なお、上記した各実施形態において、合金層24,26のクロム含有率は、厚さ方向に分布を有していても良い。具体的には、コバルト層20,21が厚い場合、クロム層22が存在していた部分が最もクロム含有率が高く、クロム層22が存在していた部分から離れるに従ってクロム含有率が低くなっても良い。このとき、合金層24,26のうち厚さ方向においてコバルト層20,21の中央に位置していた部分を中心に、クロムをほとんど有さずにほぼコバルト単相となっている領域が存在する場合もある。これらの場合においても、合金層26のうちクロム含有率が高い部分では、炭化クロム粒子30の溶解を抑制でき、耐磨耗性がばらつくことを抑制できる。
【0071】
また、母材10上にクロム層22及びコバルト層21をこの順に積層し、母材10、クロム層22、及びコバルト層21を熱処理することにより、クロムとコバルトの合金からなり炭化クロム粒子30が分散しているメッキ層23を形成しても良い。
【実施例】
【0072】
第1の実施形態と同様の方法により、SUS304Lからなる母材上にメッキ層23を作製した。母材は直径が25mm、厚さが4mmの略円板形状である。コバルト層20,21の厚さは20μmであり、クロム層22の厚さは5μmである。コバルト層20及びクロム層22の積層数は、それぞれ3層である。
【0073】
本実施例において、コバルト層20を形成するためのメッキ液として、硫酸コバルト(CoSO・6HO)を250g/L、塩化ナトリウム(NaCl)を16g/L、ホウ酸(HBO)を30g/Lほど導入したものを使用した。このメッキ液のPHは4.7であった。またメッキ処理中のメッキ液の温度を50℃とした。またコバルト層21を形成するためのメッキ液は、コバルト層20を形成するためのメッキ液に、粒子径が1〜4μmの炭化クロム粒子を250g/Lほど導入したものを使用した。このメッキ液のPHは4.7であった。またメッキ処理中のメッキ液の温度を50℃とした。またコバルト層20,21を形成するための電解メッキにおける電流密度を5(A/dm)とした。
【0074】
またクロム層22を形成するためのメッキ液として、無水クロム酸(CrO)を250g/L、硫酸(HSO)を250g/Lほど導入したものを使用した。メッキ処理中のメッキ液の温度を50℃とした。クロム層22を形成するときの電解メッキにおける電流密度を20(A/dm)とした。
【0075】
また比較例として、実施例と同様の母材に対して、コバルト層21を形成するときのメッキ液を用いた電解メッキを行い、厚さが100μmのコバルトメッキ層を形成した。電解メッキの条件は、コバルト層21を形成するときの条件と同様である。このコバルトメッキ層には、全体に複数の炭化クロム粒子が分散している。
【0076】
その後、実施例に係る試料及び比較例に係る試料をそれぞれ2分割し、それぞれ片方の試料を900℃で5時間ほど熱処理した。
【0077】
比較例に係る試料は、熱処理を行わなかった試料片のコバルト層の硬度がHv515であったのに対して、熱処理を行った試料片のコバルト層の硬度はHv386であった。このように、比較例では熱処理によってコバルト層の硬度が低下したが、これは熱処理によって炭化クロム粒子がコバルト層に溶解した為である。
【0078】
これに対して実施例に係る試料は、熱処理を行わなかった試料片、及び熱処理を行った試料片の双方とも、メッキ層23の表層の硬度がHv524であった。これは、熱処理によってメッキ層23に炭化クロム粒子がほとんど溶解しなかった為である。
【0079】
以上から、実施例に係る試料は、熱処理によってメッキ層23の表層の硬度が低下することを抑制できることが示された。
【0080】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えばコバルト層20,21及びクロム層22の代わりに、他の複数種類の金属メッキ層(例えばニッケル及びクロム、ニッケル及びコバルト、若しくはニッケル、コバルト、クロム、及び鉄の中から選ばれた少なくとも2種類以上の金属成分)を積層し、この金属メッキ積層体を母材10とともに加熱することにより、母材10上に合金メッキを形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図7】本発明の第7の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図8】本発明の第8の実施形態に係る合金層の形成方法を説明するための断面図。
【図9】本発明の第9の実施形態に係る過吸機を説明するための断面図。
【図10】各図は母材200の表面に炭化クロムを分散させたコバルトコーティングを行う従来の方法を説明するための断面図。
【図11】熱処理後のコバルトメッキ層210の断面写真の一例。
【図12】熱処理後の母材200及びコバルトメッキ層210の断面写真の一例。
【図13】(A)はコバルト層中に含まれる炭化クロムの体積率の熱処理温度依存性を示すグラフ、(B)はコバルト層のクロム含有率の熱処理温度依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0082】
10,200…母材、20,21,210…コバルト層、22…クロム層、23…メッキ層、24,26…合金層、30,212…炭化クロム粒子、101…タービン、102…コンプレッサ、103…タービンシャフト、103a…ベアリング、104…コンプレッサハウジング、105…センターハウジング、106…タービンハウジング、107,108…留具、110…コバルトメッキ層、110a…外周面、110b…内周面、110c…側面、114…羽、120,130…凹部、120a,120b…側面、140…流路、214…黒鉛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材上に、複数種類の金属メッキ層を積層した金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記金属メッキ積層体を熱処理して前記複数種類の金属メッキ層それぞれを拡散させることにより、前記母材上に合金メッキ層を形成する工程と、
を具備する合金メッキ層の形成方法。
【請求項2】
前記複数種類の金属メッキ層は、コバルトメッキ層及びクロムメッキ層であり、
前記合金メッキ層は、コバルトとクロムの合金メッキ層である請求項1に記載の合金メッキ層の形成方法。
【請求項3】
母材の上又は上方に、第1のクロムメッキ層、及び複数の炭化クロム粒子が導入された第1のコバルトメッキ層を積層した第1の金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記第1の金属メッキ積層体を熱処理して前記第1のコバルトメッキ層と前記第1のクロムメッキ層を拡散させることにより、前記母材の上又は上方に、クロムとコバルトの合金中に前記複数の炭化クロム粒子が導入された第1合金メッキ層を形成する工程と、
を具備する合金メッキ層の形成方法。
【請求項4】
前記第1の金属メッキ積層体を形成する工程の前に、前記母材上に、第2のコバルトメッキ層及び第2のクロムメッキ層を交互に積層した第2の金属メッキ積層体を形成する工程を具備し、
前記第1の金属メッキ積層体は、前記第2の金属メッキ積層体上に形成され、
前記第1合金メッキ層を形成する工程において、前記第2のコバルトメッキ層及び前記第2のクロムメッキ層が拡散することにより、前記母材と前記第1合金メッキ層の間に位置していてクロムとコバルトの合金からなる第2合金メッキ層が形成される、請求項3に記載の合金メッキ層の形成方法。
【請求項5】
前記第1の金属メッキ積層体を形成する工程の前に、前記母材上に、第3のコバルトメッキ層を形成する工程を具備し、
前記第1の金属メッキ積層体は、前記第3のコバルトメッキ層上に形成される請求項3に記載の合金メッキ層の形成方法。
【請求項6】
母材の上に、クロムメッキ層及び複数の炭化クロム粒子が導入されたコバルトメッキ層を交互に複数積層した金属メッキ積層体を形成する工程と、
前記金属メッキ積層体を熱処理して前記コバルトメッキ層及び前記クロムメッキ層を拡散させることにより、前記母材の上に、クロムとコバルトの合金中に前記複数の炭化クロム粒子が導入された合金メッキ層を形成する工程と、
を具備する合金メッキ層の形成方法。
【請求項7】
母材と、
前記母材上に形成された金属メッキ層と、
を具備し、
前記金属メッキ層は、複数の炭化クロム粒子が導入された、クロムとコバルトの第1合金層を有し、
前記第1合金層は、クロムの濃度が重量比率で10%以上である構造部品。
【請求項8】
前記第1合金層は前記金属メッキ層の表層に位置している請求項7に記載の構造部品。
【請求項9】
前記金属メッキ層は、前記第1合金層と前記母材の間に位置するクロムとコバルトの第2合金層を有している請求項7又は8に記載の構造部品。
【請求項10】
前記金属メッキ層は、前記第1合金層と前記母材の間に位置するクロムとコバルトの第2合金層とクロム層が積層された金属積層体を有している請求項7又は8に記載の構造部品。
【請求項11】
前記金属メッキ層の表面は摺動面である請求項7〜10のいずれか一項に記載の構造部品。
【請求項12】
前記母材は、クロムを含有する鋼であり、
前記金属メッキ層は、前記母材の一部上に形成されている請求項7〜11のいずれか一項に記載の構造部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate