説明

吊り戸装置

【課題】簡単な構造で、出入口上部の圧迫感を排除することで、出入りする使用者に軽快感を与え、表面に木目シートを貼付して使用する場合であっても、扉表面の木目と、各パネル表面の木目の連続性を容易に得ることができ、デザイン性に優れた吊り戸装置を提供することを課題とする。
【解決手段】建物用鉄骨に固定される吊り戸枠にレール部材が設けられ、レール部材に開閉自在に吊り下げられた扉の閉鎖状態で、扉が位置する箇所を出入口とし、出入口は、少なくとも、戸先側縦枠と前後に所定間隔を有して配設された前後中縦枠と、前後中縦枠と戸先側縦枠の上端部間に着脱自在に配設されるランマパネルと点検パネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、扉の閉鎖状態で、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、ランマパネルと点検パネルの前後表面板は、扉の前後表面板とほぼ面一となるものである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に事務所の出入口等に使用されるデザイン性に優れた吊り戸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、建物内の床面は、完全なフラットには仕上げられていない。したがって、吊り戸装置の扉の開閉時に扉の下面が床面と接触せずに円滑に扉を開閉させるために、遮音性、保温性に影響しない範囲で、扉下面と床面との間に適宜な隙間を設ける必要があった。そして、その隙間を設ける作業は、扉を吊り下げた状態で扉を上下動させるので、ランマパネルと点検パネル(扉の上方に設けられたレール支持部材、吊り金具、自閉装置等の扉以外の部材を隠蔽、あるいは、点検するために設けられたもの)は、扉が上方に移動した時、扉の上端面がその下端面に衝突しないよう、扉の上下方向の移動量を見越して前後方向で外側にずらし、扉の上部を前後方向から挟み込むように配置する必要があった。(特許文献1参照)
【0003】
このため、出入り口枠内において、ほぼ出入口枠の厚みに相当する部材(ランマパネルと点検パネル)が扉の上方に配置される事となり、出入り口枠内を通過する使用者の頭上に、圧し掛かるような圧迫感が発生し、好ましくなかった。
又、出入口枠、扉、ランマパネル、点検パネル等の表面に木目シートを貼付して使用する場合、ランマパネルと点検パネルには扉の厚みに相当する下端面があるので、下端面から前面側にかけて一枚のシートが貼付されるが、このとき、扉の上端部のシートの木目と各パネルの下端面のシートの木目を合わせると、各パネルの正面側のシート木目と、扉の表面側上端部のシートの木目が連続しない。この場合、出入口を離れた位置から目視すると、各パネルの正面側と扉の表面側しか目視できないので、全体としてシートの木目に違和感が生じ好ましくなかった。一方、扉の表面側上端部のシートの木目と各パネルの正面側のシートの木目を合わせると、各パネルの下端面のシート木目と、扉の表面側上端部のシートの木目があわず、特に出入口に近づいた場合、違和感が明確となり、デザイン的に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3521365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単な構造で、出入口上部の圧迫感を排除することで、出入りする使用者に軽快感を与え、表面に木目シートを貼付して使用する場合であっても、扉表面の木目と、各パネル表面の木目の連続性を容易に得ることができるデザイン性に優れた吊り戸装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、建物用鉄骨に固定される吊り戸枠と、吊り戸枠に設けられるレール部材と、レール部材に開閉自在に吊り下げられる扉と、閉鎖状態の扉の上方に位置するランマパネルと点検パネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、着脱自在で、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、点検パネルの前表面板とランマパネルの後表面板は、閉鎖状態の扉の前後面板とほぼ面一となるものである。
【0007】
次に上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、建物用鉄骨に固定される吊り戸枠にレール部材が設けられ、レール部材に開閉自在に吊り下げられた扉の閉鎖状態で、扉が位置する側を出入口側とし、出入口側は、少なくとも、戸先側縦枠と、前後に所定間隔を有して配設された前後中縦枠と、前後中縦枠と戸先側縦枠の上端部間に配設されるランマパネルと点検パネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、着脱自在で、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、点検パネルの前表面板とランマパネルの後表面板は、閉鎖状態の扉の前後面板とほぼ面一となるものである。
【0008】
次ぎに上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは、上記第2の手段に加えて、ランマパネルと点検パネルは、開閉方向側の少なくともいずれか一方側の端部に、外方に突出するランマパネル連結用突片と点検パネル連結用突片を有し、前後中縦枠と戸先側縦枠の少なくともいずれか一方に、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片が連結される前後連結用凹部を上下方向にわたって有し、前後連結用凹部には上下方向に所定間隔を有して前後連結用螺孔が形成され、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片には前後連結用螺孔に対応して上下方向に長い前後連結用長孔が形成されているものである。
【0009】
次ぎに上記課題を解決する為、本発明が第4の手段として構成したところは、上記第3の手段に加えて、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片の反対側の前後表面板下端部裏面側に前後間隔保持金具が設けられ、前後間隔保持金具は、レール保持材に下方から連結された状態で、点検パネルとランマパネルが上下方向に移動可能で、かつ、適宜高さの点検パネル及びランマパネルと上下動不能に連結固定されるものである。
【発明の効果】
【0010】
第1手段として構成したところによると、ランマパネルと点検パネルの前後表面板は、扉前後表面板と面一で、吊り戸の上方で上下方向に取付け高さ変更可能に構成されているので、吊り戸装置の扉の開閉時に扉の下端面が床面と接触せずに円滑に扉を開閉させるために、遮音性、保温性に影響しない範囲で、扉下面と床面との間に適宜な隙間を構成するため、扉を吊り下げた状態で上下動させても、これに合わせて、ランマパネルと点検パネルの取付け高さを変更できるので、ランマパネルと点検パネルの下端面と扉の上端面間の隙間を目立たず、美麗な間隔で選択でき、しかも、ランマパネルと点検パネルと扉表面は面一に形成されているので、出入口の頭上側の圧迫感を排除することで、出入する使用者に軽快感を与え、表面に木目シートを貼付して使用する場合であっても、扉表面の木目と、各パネル表面の木目の連続性を容易に得ることができ、デザイン性に優れた吊り戸装置となる。
【0011】
第2手段として構成したところによると、上記第1の手段として構成したところによる効果に加え、ランマパネルと点検パネルは、前後中縦枠と戸先側縦枠の上端部間に配設されているから、出入口側以上の幅寸法を必要としないので、最小限の大きさですみ、必要以上に重くならず、作業性に優れている。
【0012】
第3手段として構成したところによると、上記第2の手段として構成したところによる効果に加え、ランマパネル連結用突片と点検パネル連結用突片を外方に突出してもうけ、前後中縦枠に前後連結用凹部をもうけ、前後連結用凹部には前後連結用螺孔を、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片には上下方向に長い前後連結用長孔が形成されているので、出入口側から前後中縦枠方向に向けての作業であるから、作業姿勢に無理がなく、又、目視も楽であるから、連結作業が非常に容易である。さらに、前後連結用凹部には前後連結用螺孔を点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片には上下方向に長い前後連結用長孔を設けるだけの簡単な構成であるから、安価に製作できる。
【0013】
第4の手段として構成したところによると、上記第3の手段として構成したところによる効果に加え、ランマパネルと点検パネルの前後表面板下端部裏面に、前後間隔保持金具を上下方向に移動可能に保持し、前後間隔保持金具は、レール保持材に下方から連結可能で、かつ、前後表面板下端部裏面に適宜位置で、上下動不能に連結固定されるものであるから、前後間隔保持金具をランマパネルと点検パネルの前後表面板下端部裏面で上下方向に移動可能に保持された状態で、前後間隔保持金具をレール保持材に固定し、次に、扉の高さを調節した後、ランマパネルと点検パネルの下端面と扉の上端面間の隙間を目立たず、美麗な間隔に選択し、前後間隔保持金具とランマパネルと点検パネルを上下動不能に連結固定するだけで、ランマパネルと点検パネルの一方側は、前後間隔保持金具とレール保持材で、他方側は、連結用突片とランマパネル連結用突片と前後連結用凹部とで連結されるので、ランマパネルと点検パネルの前後間隔も確実強固に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の扉の閉鎖状態の正面略図である。
【図2】図2は、図1のA―A線断面拡大図である。
【図3】図3は、図1のB―B線断面拡大図である。
【図4】図4は、図1のC―C線断面拡大図である。
【図5】図5は、図1のD―D線断面拡大図である。
【図6】図6は、前後中縦枠部分の要部拡大断面図である。
【図7】図7は、戸先側縦枠部分の要部拡大断面図である。
【図8】図8は、扉上部と点検パネル及びランマパネル下部部分の関係を示す要部拡 大断面図である。
【図9】図9は、扉下部とガイド装置の関係を示す要部拡大断面図である。
【図10】図10は、ガイド装置と全開ストッパーの関係図である。
【図11】図11は、前後中縦枠の上部部分の要部拡大断面図である。
【図12】図10は、戸先側縦枠の上部部分の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
建物用鉄骨に固定される吊り戸枠にレール部材が設けられ、レール部材に開閉自在に吊り下げられた扉の閉鎖状態で、扉が位置する箇所を出入口側とし、出入口側は、少なくとも、戸先側縦枠と、前後に所定間隔を有して配設された前後中縦枠と、前後中縦枠と戸先側縦枠の上端部間に着脱自在に配設される点検パネルとランマパネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、点検パネルの前表面板とランマパネルの後表面板は、閉鎖状態の扉の前後表面板とほぼ面一となるものであって、ランマパネルと点検パネルは、開閉方向側のいずれか一方側の端部に、外方に突出するランマパネル連結用突片と点検パネル連結用突片を有し、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片に対応して前後中縦枠と戸先側縦枠のいずれか一方に、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片が連結される前後連結用凹部を上下方向にわたって有し、前後連結用凹部には上下方向に所定間隔を有して前後連結用螺孔が形成され、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片には前後連結用螺孔に対応して上下方向に長い前後連結用長孔が形成され、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片の反対側の前後表面板下端部裏面側に前後間隔保持金具が設けられ、前後間隔保持金具は、レール保持材に下方から連結された状態で、点検パネルとランマパネルが上下方向に移動可能で、かつ、適宜高さの点検パネル及びランマパネルと上下動不能に連結固定されるものである。
【実施例】
【0016】
以下、第1実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1において、符号1は吊り戸枠を示している。
吊り戸枠1は、図1から図4に示すように、建物用鉄骨11・・・にブラケット12・・・を介して固定された戸尻側縦枠13および戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端間に配設され、建物用鉄骨11・・・に連結された上枠15等より構成されている。
【0017】
そして、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14間のほぼ中間位置で、上枠15の前側(実施例では室内側、)と後側(実施例では室外側)の両面に上端が連結され、下端部が床面に埋め込まれた前中縦枠3と後中縦枠30が、前後に所定間隔を有して配設されている。
以下、戸尻側縦枠13と前後中縦枠3、30間を戸袋側、戸先側縦枠14と前後中縦枠3、30間を出入口側、前中縦枠3と後中縦枠30の方向を前後方向、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の方向を開閉方向と云う。
【0018】
図1、図2、図3、図4において、符号2は、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端内面に、開閉方向の両端部が高さ調節可能に連結されているレール保持材を示している。
レール保持材2の前面側にはレール部材5が取付けられ、レール部材5には扉6が吊り下げられている。符号16は、戸袋側の床面全幅にわたって固定されたベース材を示し、符号4は、ベース材16の出入口側端部に設けられたガイド装置を示している。
図3、図4において、符号17、17は、戸尻側縦枠13と前後中縦枠3、30間の前後面に配設された前後下地パネルを示している。
図7において符号18は、前中縦枠3と戸先側縦枠14の上端部間に配設された、前中縦枠3の前後方向の幅とほぼ同じ幅を有する、前化粧枠を示し、符号19は、後中縦枠30と戸先側縦枠14の上端部間に配設された、後中縦枠30の前後方向の幅とほぼ同じ幅を有する、後化粧枠を示し。符号180は前化粧枠18と後化粧枠19の上方を閉塞する笠木を示している。
【0019】
そして、上記戸尻側縦枠13、戸先側縦枠14、上枠15、レール部材5が取付られたレール保持材2、ベース材16、前中縦枠3、後中縦枠30、下地パネル17、ガイド装置4、前化粧枠18、後化粧枠19、笠木180が内装仕上げ(化粧ボード100、クロス等の張付け)の行われるまでに施工され、内装仕上げが終了した後、扉6がレール部材5に吊り込まれ、床面との調整、扉6の摺動確認、閉鎖スピードの調整作業、レール保持材2の連結固定等が行われる。そして、その後、点検パネル8、ランマパネル80が扉6の上方に扉6と表面が面一に取付けられる。
すなわち、本発明では、施工が完了した状態では、戸先側縦枠14、前中縦枠3、後中縦枠30、前化粧枠18、後化粧枠19、笠木180、点検パネル8、ランマパネル80、扉6以外は化粧ボード100で隠蔽された状態となる。
【0020】
以下、本件発明に関係する部材について詳述する。
戸尻側縦枠13は横断面略コ字形に形成され、建物用鉄骨11の出入口側面から所定寸法離間した位置に立設され、横向きL字形のブラケット12・・・と建物用鉄骨11が溶接されたあと、鉛直姿勢の状態でブラケット12と溶接され、床面仕上げ時に下端部が床面に埋め込まれる。符号138は、扉6が全開した時、扉6の戸尻側端面が当接する、出入口側面に取付られた緩衝部材を示している。
【0021】
戸先側縦枠14は、図7に示す如く、建物側鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して固定用部材141・・・が設けられ、前後方向で室内側と室外側(前後)に突出して室内側の化粧ボード100の出入り口側端面を隠蔽する室内側ボード閉塞突部147と、室外側の化粧ボード100の出入口側端面を隠蔽する室外側ボード閉塞突部部146と、室内側ボード閉塞突部147と室外側ボード閉塞突部146間に位置し、上部が室内側ボード閉塞突部147と室外側ボード閉塞突部146より上方に突出し、扉6の戸先側端部が位置する部分に上下方向に渡って設けられ閉鎖用凹部148を有し、閉鎖用凹部148の前後方向中央部に上下方向にわたって、弾性材から形成された戸当たり受け部材149が取付けられている。
【0022】
上枠15は、図2に示す如く、断面下向きコ字形に構成されている。
そして、前後方向略中央部の出入口側下面に、上枠15の前後下向き突片153、154と前後方向に所定間隔を有して下方に突出する点検パネル上保持突片155、ランマパネル上保持突片156が、開閉方向の両端部側に設けられている。
一方、前後方向略中央部の出入口側上面には上枠15より前後方向で突出する下向きコ字形の笠木180が取付けられている。
【0023】
戸先側縦枠14と上枠15は上記のように構成され、戸尻側縦枠13が立設された後、上枠15の戸先側を戸先側縦枠14にネジ止めして、上枠15と戸先側縦枠14を仮組みした状態で、上枠15と戸尻側縦枠13を同様にして仮組みする。
次に、上記の状態を維持しながら戸先側のブラケット12・・・を介して、戸先側縦枠14の固定用部材141・・・建物用鉄骨11と溶接連結し、次に上枠15と建物用鉄骨11を連結する。
【0024】
ベース材16は、図3、図4、に示す如く、戸袋側の床面全幅に位置する固定面161と、固定面161の前側(点検側)及び後側(固定側)の端部に形成された前後立ち上がり面162、162より上向きコ字形に形成され、固定面161の出入り口側端部に、扉6の下端面に形成された嵌合溝60と連係するガイド装置4が出入り口側に突出して設けられている。
【0025】
前後下地パネル17、17は対向した同形に構成されているので一方側についてのみ説明する。
前下地パネルは、図4に示すように上下に分割された前下方下地パネル171と、前下方下地パネル171の上方に位置する前上方下地パネル172よりなり、前下方下地パネル171の下端部はベース材16の前立ち上がり面162に係合し、出入口側端部は前中縦枠3に係合して取付けられ、戸尻側縦枠13側端部は戸尻側縦枠13の前面側にネジ止めされている。
前上方下地パネル172の下端部は前下方下地パネル171の上端部に係合し、出入口側端部は前中縦枠3に係合して取付けられ、戸尻側縦枠13側端部は戸尻側縦枠13の前面側にネジ止めされ、上方端部は、上枠15にネジ止めされている。
【0026】
ガイド装置4は、図6、図9、図10に示すように、嵌合溝60に嵌合するガイドローラー41と、ガイドローラー41を、その上面で回転自在に保持するガイドローラー取付部材42と、ガイドローラー取付部材42に連結された全開時保持ローラー取付座430と、全開時保持ローラー取付座430の戸先側縦枠14側にガイドローラー41と所定間隔を有し、前後方向の水平軸をもって回転自在に保持された全開時保持ローラー43より構成されている。
そして、ガイドローラー取付部材42の出入り口側端部がアンカーボルトにて床面に固定されると共に、ベース材16の出入口側端部の前後立ち上がり面162、162は室内側中縦枠3、室外側中縦枠30の内面と連結され、さらに、戸尻側端部が戸尻側縦枠13と連結され床面に固定される。
【0027】
前後中縦枠3、30は前後方向で対称形に形成されている。すなわち、前中縦枠3は、図6、図11に示す如く、上端部が上枠15の前側にネジ止め連結され、内面側に位置する補強枠31と、補強枠31の出入り口側の端部から室内側に位置する室内側外側枠32より構成され、出入口側内面角部(閉鎖状態の扉側)に上下方向全幅にわたって、点検パネル8の開閉方向の開放側端部、及び、後記する前カバー体7を連結するための前連結用凹部33が形成され、前連結用凹部33には、点検パネル8を取付ける部分には点検パネル連結用螺孔35が形成された前連結座34が設けられ、それ以外の箇所には上下方向に前カバー体7を連結するための前カバー体連結螺孔36・・・が形成されている。そして、下端部内面がベース材16と連結され、床面仕上げ時に下端が床面に埋め込まれて立設される。
【0028】
後中縦枠30は、図6、図11に示す如く、上端部が上枠15の後側とネジ止め連結され、内面側に位置する室外側補強枠301と、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に位置する室外側外側枠302より構成され、出入口側内面角部(閉鎖状態の扉側)に上下方向にわたって、ランマパネル80の開閉方向の開放側端部、及び、後記する後カバー体70を連結するための後連結用凹部330が形成され、後連結用凹部330には、ランマパネル80を取付ける部分にはランマパネル連結用螺孔305が形成された後連結座304が設けられ、それ以外の箇所には上下方向に後カバー体70を連結するための後カバー体連結306・・・が形成されている。そして、下端部内面がベース材16と連結され、床面仕上げ時に下端が床面に埋め込まれて立設される。
【0029】
前後化粧枠18、19は図2に示すように、前後方向で対称形に形成されている。すなわち、前化粧枠18は、開閉方向の左右端部が前中縦枠3の上端部内面と戸先側縦枠14の上端部前内面間に配設され、後端面181と前記点検パネル上保持突片155間に、点検パネル上嵌入用間隙182が形成される。
一方、後化粧枠19は、開閉方向の左右端部が後中縦枠30の上端部内面と戸先側縦枠14の上端部後側内面間に配設さて、前端面191と前記ランマパネル上保持突片156間に、ランマパネル上嵌入用間隙192が形成される。
【0030】
点検パネル8とランマパネル80は、図8、図11、図12、前後方向で対称形に形成されている。すなわち、点検パネル8は、取付け状態で扉6の前面板62と面一に上方に配設される前表面板81と、前表面板81の上部に形成された、前記点検パネル上嵌入用間隙72に下方から嵌入する点検パネル上嵌入部82と、前表面板81の戸先側端部に形成された点検パネル戸先側嵌入部83と、前記前中縦枠3の前連結用凹部33に位置するよう、外方(前側方向)に突出する点検パネル連結用突片84を有し、点検パネル連結用突片84には前記点検パネル連結用螺孔35に対応して、上下方向に長い前連結用長孔(図示せず。)が形成されている。
【0031】
そして、前表面板81の下端部裏面に一体化された点検パネル下補強材86には、前間隔保持金具85が設けられている。
前間隔保持金具85は、図8に示すごとく、レール保持材2と連結される前上連結突片851と、点検パネル8の点検パネル下補強材86の前嵌入保持孔87の上方から嵌入する前下連結突片852より逆L字形に形成されている。そして、前表面板81の点検パネル戸先側嵌入部83側で、下補強材86の裏面側に前嵌入保持孔87に対応して上下方向に長い前間隔保持金具連結用長孔88が設けられ、前下連結突片852に前間隔保持金具連結用長孔88に臨む点検パネル連結用螺孔89が設けられている。
すなわち、点検パネル8は、レール保持材2の下面に前間隔保持金具85が連結された状態で、前嵌入保持孔87を介して所定範囲で上下動可能で、かつ所望位置で、前間隔保持金具連結用長孔88を介して、点検パネル連結用螺孔89と点検パネル下補強材86をネジ止めすることで、上下動不能に前間隔保持金具85を介してレール保持材2に連結される。
【0032】
一方、ランマパネル80は、取付け状態で扉6の後面板63と面一に上方に配設される後表面板801と、後表面板801の上部に形成された、前記ランマパネル上嵌入用間隙702に下方から嵌入するランマパネル上嵌入部802と、後表面板801の戸先側端部に形成されたランマパネル戸先側嵌入部803と、前記後中縦枠30の後連結用凹部303に位置する、外方(後側方向)に突出するランマパネル連結用突片804を有し、ランマパネル連結用突片804には前記ランマパネル連結用螺孔305に対応して、上下方向に長い後連結用長孔(図示せず。)が形成されている。
【0033】
そして、後表面板801の下端部裏面に一体化されたランマパネル下補強材806には、ランマパネル戸先側嵌入部803側に後間隔保持金具860が設けられている。
後間隔保持金具860は、図8に示すように、レール保持材2と連結される後上連結突片861と、ランマパネル下補強材806の後嵌入保持孔807の上方から嵌入する後下連結突片862より逆L字形に形成されている。
後表面板801のランマパネル戸先側嵌入部803側で、下補強材806の裏面側に後嵌入保持孔807に対応して上下方向に長い後間隔保持金具連結用長孔808が設けられ、
後下連結突片862に後間隔保持金具連結用長孔808に臨むランマパネル連結用螺孔809が設けられている。すなわち、ランマパネル80は、レール保持材2の下面に後間隔保持金具860が連結された状態で、後嵌入保持孔807を介して所定範囲で上下動可能で、かつ所望位置で、後間隔保持金具連結用長孔808を介して、ランマパネル連結用螺孔809とランマパネル下補強材806をネジ止めすることで、上下動不能に後間隔保持金具860を介してレール保持材2に連結される。
【0034】
レール保持材2は、図2に示すように、レール部材5が前側に連結されるレール部材連結壁を有し、戸先側縦枠14と戸尻側縦枠13の上端部間に、高さ調節可能で、水平状態に配設される。
【0035】
レール部材5は、レール保持材2のほぼ全幅に渡って配設され、図2に示すように、断面略C字形で、レール保持材2よりやや短目のレール補強部材と、レール補強部材の室内側にネジ止め連結される断面略C字形で、レール補強部材とほぼ同長の外側メンバーと、外側メンバーの略3分の2程度の長さのボールリテーナに回転自在に保持されたボールを介して、外側メンバーに摺動自在に保持される、外側メンバーの略3分の1程度の長さの移動側メンバーより構成され、移動側メンバーの前面側には、移動側メンバーと同程度の長さの吊り下げ用金具51が固着されている。
【0036】
吊り下げ用金具51は、図2に示すように、移動側メンバーの前面側に固着される連結固着部52と、連結固着部52の下端部に連設された前面側が開口するコ字形の吊り下げ支持部53より構成されている。
そして、吊り下げ支持部53の開閉方向側両端部には、前面側が開口する吊り下げボルト挿通孔が形成されている。
【0037】
吊り下げ用金具51に吊り下げられる扉6は、前記吊り下げボルト挿通孔に対応する位置で、上端面に吊り下げボルト61、61が設けられた、前後面板62、63よりパネル形状をなし、下端面の開閉方向に前記ガイドローラー41が嵌合する嵌合溝60と、下部隙間閉塞部材601が取付けられる閉塞部材取付溝602が形成され(図9に示す。)、
扉6の戸先側端面には、扉6の閉鎖状態で戸先側縦枠14の戸当たり受け部材149に当接する戸当たり部材600(図4に示す。)が設けられている。
符号300は(図1に示す。)、扉6の戸先側端部(引き残し部)で、前後面板62、63に設けられた取手を示している。
【0038】
吊り下げボルト61は、螺軸部とボルト頭部よりなり、点検パネル8が取外された状態の出入口の前側より、吊り下げボルト61、61の螺軸部が、吊り下げ支持部53の吊り下げボルト挿通孔を挿通して、ボルト頭部が吊り下げ用支持部53に保持され、必要に応じて頭部をスパナで回動して扉6を所定の高さに位置させた後、ボルト保持体65、65が吊り下げ用支持部53に前側より連結されて、レール部材5に吊り下げ用金具51を介して吊り下げられる。
【0039】
さらに、扉6を吊り下げた状態で、吊り下げ用金具51の戸先側端部とレール保持材2の戸先側端部間にゼンマイ式の自閉装置(図示せず。)を配設し、レール保持材2と吊り下げ用金具51間にブレーキ装置(図示せず。)を配設し、扉6の所望の自閉スピードを得る。尚、実施例のゼンマイ式の自閉装置、ブレーキ装置は公知(市販)のものを使用しているので説明は省略する。
一方、本実施例の扉6を全開状態で維持する全開ストッパー装置は、開放側端部を下向きへの字形にした板バネからなる全開時保持用バネ45とガイド装置4に設けられた全開時保持ローラー43より構成されている。
すなわち、全開時保持用バネ45は、扉6の嵌合溝60の閉鎖側端部に臨み、バネ取付金具451を介して開放側に突出し、取付位置が適宜な高さとなるよう上下動調節可能に取付られる。
そして、扉6が全開されたときに、全開時保持用バネ45の開放側端部が、全開時保持ローラー43を乗り越して、弾性力にて扉6の閉鎖運動を阻止するする。
【0040】
符号9は、ランマパネル80の下端縁の内面側と扉6の上面間に配設された上部閉塞装置を示している。
上部閉塞装置9は、ランマパネル80の下端縁の内面側に、開閉方向で、出入口全幅にわたって戸先側を低く、戸尻側をやや高くなるようやや傾斜した状態に取付けられる、弾性材料からなるパッキン91と、扉6の閉鎖時にパッキンの下面に密着するよう、パッキン91の傾きに対応し、戸先側が低く、戸尻側がやや高く形成されたパッキン受け材92より構成されている。
【0041】
本発明は、上記のように構成され、点検パネル8、ランマパネル80が取り外された状態で扉6が吊り下げられ、すべての調整を終了した後、点検パネル8とランマパネル80が取付けられる。
そして、点検パネル8の点検パネル連結用突片84、ランマパネル80のランマパネル連結用突片804を隠蔽すると共に、前後中縦枠3、30の前後連結用凹部33、330を閉塞する前後カバー体7、70が最後に取付けられる。
【0042】
前後カバー体7、70は前後に対称形に形成されている。すなわち、前カバー体7は取付状態で前中縦枠3の出入口側面と面一となる前正面板71と、前連結用凹部33の前側面に当接する前正面板71に連設された前当接面板72と、点検パネル8が位置する部分を除いて、前正面板71の後端に連設された前閉塞面板73より、横断面コ字形で、前連結用凹部33の高さに一致する高さに構成されている。
そして、前中縦枠3に設けられた前カバー体連結螺孔36・・・に対応して前正面板71の上下方向に、皿ネジにて連結するための前カバー取付孔711・・・が形成されている。
【0043】
後カバー体70は取付状態で後中縦枠30の出入口側面と面一となる後正面板701と、後連結用凹部303の後側面に当接する後正面板701に連設された後当接面板702と、ランマパネル80が位置する部分を除いて、後正面板701の前端に連設された後閉塞面板703より、横断面コ字形で、前連結用凹部303の高さに一致する高さに構成されている。
そして、後中縦枠3に設けられた後カバー体連結螺孔306・・・に対応して後正面板701の上下方向に、皿ネジにて連結するための後カバー取付孔700・・・が形成されて
いる。
【0044】
すなわち、扉6の高さ位置等を調節下のち、点検パネル8は、点検パネル上嵌入部82が点検パネル上嵌入用間隙182に下方から嵌入された状態で、点検パネル戸先側嵌入部83を戸先側縦枠13の閉鎖用凹部148の前端部側に嵌入させ、その後、点検パネル連結用突片84が前連結用凹部33内に位置するまで開放方向に移動する。
そして、点検パネル8を上下動させて、点検パネル8の下面と扉6の上面の隙間が美麗な状態となった位置で、前連結用凹部33の点検パネル連結用螺孔35に点検パネル8の前連結用長孔を介してネジ止固定する。
【0045】
次に、扉6を開放した状態で、点検パネル戸先側嵌入部83側の点検パネル下補強材86の前嵌入保持孔87に嵌入保持された前間隔保持金具85を、レール保持材2の下面に下方からネジ止め連結し、さらに、前間隔保持金具連結用長孔88を介して連結ネジを点検パネル連結用螺孔89にネジ止め固定する。
この状態で、点検パネル8の前表面板81は扉6の前面板62と上下方向で面一となり、戸先側縦枠14側端部が不用意に前後方向に撓むことがない。
【0046】
さらに、前カバー体7を前連結凹部33内に位置させ、前カバー取付孔711・・・
を介して、皿ネジにて前中縦枠3に設けられた前カバー体連結螺孔36・・・に連結する。
この状態で、点検パネル8の点検パネル連結用突片84及び、連結ネジ、前連結座34が隠蔽され、前正面板71と前中縦枠3の出入口側面と面一となる。
さらに、同様にして、ランマパネル80、後カバー体70が取付けられる。
【符号の説明】
【0047】
1 吊り戸枠
11 建物用鉄骨
13 戸尻側縦枠
14 戸先側縦枠
15 上枠
2 レール保持材

3、30 前後中縦枠
33、303 前後連結用凹部
35、305 点検パネル連結用螺孔
6 扉
62 前面板
63 後面板
8 点検パネル
81 前表面板
82 点検パネル上嵌入部
83 点検パネル戸先側嵌入部
84 点検パネル連結用突片
80 ランマパネル
801 後表面板
802 ランマパネル上嵌入部
803 ランマパネル戸先側嵌入部
804 ランマパネル連結用突片
85 前間隔保持間具
860 後間隔保持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物用鉄骨に固定される吊り戸枠と、吊り戸枠に設けられるレール部材と、レール部材に開閉自在に吊り下げられる扉と、閉鎖状態の扉の上方に位置するランマパネルと点検パネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、着脱自在で、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、点検パネルの前表面板とランマパネルの後表面板は、閉鎖状態の扉の前後面板とほぼ面一となることを特徴とする吊り戸装置。
【請求項2】
建物用鉄骨に固定される吊り戸枠にレール部材が設けられ、レール部材に開閉自在に吊り下げられた扉の閉鎖状態で、扉が位置する側を出入口側とし、出入口側は、少なくとも、戸先側縦枠と、前後に所定間隔を有して配設された前後中縦枠と、前後中縦枠と戸先側縦枠の上端部間に配設されるランマパネルと点検パネルより構成され、ランマパネルと点検パネルは、着脱自在で、上下方向に取付け高さ変更可能に構成されると共に、点検パネルの前表面板とランマパネルの後表面板は、閉鎖状態の扉の前後面板とほぼ面一となることを特徴とする吊り戸装置。
【請求項3】
ランマパネルと点検パネルは、開閉方向側の少なくともいずれか一方側の端部に、外方に突出するランマパネル連結用突片と点検パネル連結用突片を有し、前後中縦枠と戸先側縦枠の少なくともいずれか一方に、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片が連結される前後連結用凹部を上下方向にわたって有し、前後連結用凹部には上下方向に所定間隔を有して前後連結用螺孔が形成され、点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片には前後連結用螺孔に対応して上下方向に長い前後連結用長孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の吊り戸装置。
【請求項4】
点検パネル連結用突片とランマパネル連結用突片の反対側の前後表面板下端部裏面側に前後間隔保持金具が設けられ、前後間隔保持金具は、レール保持材に下方から連結された状態で、点検パネルとランマパネルが上下方向に移動可能で、かつ、適宜高さの点検パネル及びランマパネルと上下動不能に連結固定されることを特徴とする請求項3に記載の吊り戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−96199(P2013−96199A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242854(P2011−242854)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】