説明

吊下げ装置

【課題】吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを判断することができる吊下げ装置を提供する。
【解決手段】複数のピンP1,P2により天井板Cに固定するベース1と、ベース1に対して上端部を上下動可能に挿設し且つ下端部にフック2を有するフック部材3と、ベース1内部でフック部材3を上昇限に保持するスプリング4と、スプリング4に抗してフック部材3が下降するのに伴って機能する警告表示部5を備えた吊下げ装置H1としたことにより、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを目視で至極簡単に判断することができると共に、天井から脱落するような事態を未然に防止することができ、信頼性や安全性を大幅に高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とくに、石膏ボード等の天井板に好適な吊下げ装置であって、ボードやシート等の広告媒体や比較的軽量の観葉植物などの物品を天井から吊下げておくのに用いられる吊下げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吊下げ装置としては、例えば、天井の下面に固定する一対の支持アームと、両支持アームにより水平に保持される吊枠と、吊枠の下面に吸着する複数の磁石を備え、シート状の広告媒体の上端部を吊枠と各磁石との間で挟持して、同広告媒体を吊下げておくものがあった(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、店舗等の天井板に石膏ボードが多用されている。このような天井に用いる吊下げ装置としては、フック本体と天井板に突き刺す複数のピンを備え、これらのピンによりフック本体を固定して物品を吊下げるものがある。この固定用のピンを用いることにより、物品の吊下げ位置を自由に選択してフック本体を容易に固定することができると共に、フック本体の取外しも容易であって、ピンの跡が目立つような心配も無い。
【特許文献1】実開昭63−144671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したような従来の吊下げ装置にあっては、天井板への固定強度に基づいて、吊下げ可能な物品の許容重量が設定してあるものの、実際の作業においては、作業の度に物品の重量を測るようなことはあまり行われていない。
【0005】
このため、従来の吊下げ装置は、物品の許容重量が設定してあっても、物品の重量超過によって当該装置が天井から脱落するような事態をまねく恐れが無いとは言えず、このような問題点を解決することが課題であった。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを目視で至極簡単に判断することができ、天井から脱落するような事態を未然に防止することができる吊下げ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吊下げ装置は、請求項1として、複数のピンにより天井板に固定するベースと、ベースに対して上端部を上下動可能に挿設し且つ下端部にフックを有するフック部材と、ベース内部でフック部材を上昇限に保持するスプリングと、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って機能する警告表示部を備えた構成とし、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
なお、本発明の吊下げ装置は、とくに、手作業でピンを突き刺すことが可能な天井板、すなわち石膏ボード等から成る天井板により好適である。また、本発明の吊下げ装置は、天井板に対する固定強度に基づいて、吊下げ可能な物品の許容荷重が設定され、この許容重量に対応したばね定数を有するスプリングを使用する。
【0009】
また、本発明の吊下げ装置は、請求項2として、警告表示部が、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って露出する色彩(例えば赤色や黄色等の色彩)を施したものであることを特徴とし、請求項3として、ベースの内面に沿って移動可能な表示板を備え、この表示板に警告表示部を設けると共に、ベースの壁部に、表示板の移動に伴って警告表示部を露出させる開口部を設け、フック部材と表示板との間に、フック部材の下降を表示板の移動に変換する運動伝達手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の吊下げ装置は、請求項4として、運動伝達手段が、フック部材側に設けた第一ラックと、表示板側に設けた第2ラックと、第1及び第2のラックに係合するピニオンを備えていることを特徴とし、請求項5として、運動伝達手段が、フック部材側と表示板側を連結する可撓性プレートであることを特徴とし、請求項6として、ベースの壁部の開口部に、凸レンズを設けたことを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明の吊下げ装置は、請求項7として、警告表示部が、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って点灯する発光体であって、フック部材の下降に伴って発光体に通電するスイッチを備えたことを特徴とし、請求項8として、スイッチが、発光体の電源である電池を備えていることを特徴とし、請求項9として、フック部材に警告表示部が設けてあることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の吊下げ装置は、請求項10として、フックを突出状態にしてベースの外側に被着され且つ機能した警告表示部が視認可能なカバーを備えたことを特徴とし、請求項11として、フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーが、機能した警告表示部を視認するための窓部を有していることを特徴とし、請求項12として、フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーに、発光体を設けたことを特徴とし、請求項13として、フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーが、少なくとも発光体に対応する部分に半透光性を有するものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る吊下げ装置は、物品の重量が許容範囲内である場合には、フック部材が下降しないので警告表示部が機能せず、物品の重量が許容範囲を超過した場合には、フック部材が下降して警告表示部が機能することとなり、これにより、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを目視で至極簡単に判断することができると共に、当該装置が天井から脱落するような事態を未然に防止することができ、信頼性や安全性を大幅に高めることができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る吊下げ装置は、請求項1と同様の効果が得られるうえに、色彩を施した警告表示部により、物品の重量が許容範囲を超過したことを一層認識し易くすることができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る吊下げ装置は、請求項2と同様の効果が得られるうえに、警告表示部を有する表示板、ベースの壁部の開口部、及び運動伝達手段により、フック部材及び表示板の動作が確実なものとなる。
【0016】
本発明の請求項4に係る吊下げ装置は、請求項3と同様の効果が得られるうえに、第一ラック、第2ラック及びピニオンから成る運動伝達手段により、フック部材及び表示板の動作が一層確実で且つ円滑なものとなる。
【0017】
本発明の請求項5に係る吊下げ装置は、請求項3と同様の効果が得られるうえに、可撓性プレートから成る運動伝達手段により、より簡単な構造でフック部材及び表示板の動作を円滑に行うことができる。
【0018】
本発明の請求項6に係る吊下げ装置は、請求項3〜5と同様の効果が得られるうえに、ベースの開口部に凸レンズを設けたことから、物品の重量が許容範囲を超過した場合には、警告表示部の色彩がレンズ全体に拡大され、天井が高い場合であっても、警告表示部を極めて容易に認識することができる。
【0019】
本発明の請求項7に係る吊下げ装置は、請求項1と同様の効果が得られるうえに、警告表示部である発光体及びスイッチを採用したことから、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを発光体の消灯又は点灯によって至極簡単に判断することができ、とくに、発光体の点灯により、遠方からであっても物品の重量が許容範囲を超過したことを一層認識し易くすることができる。
【0020】
本発明の請求項8に係る吊下げ装置は、請求項7と同様の効果が得られるうえに、電池を含むスイッチを採用したことから、外部電源を不要にして構造をよりコンパクトにすることができると共に、吊下げる物品の重量が許容範囲内である場合には発光体が点灯しないので、小型の電池だけで長期間にわたって使用することができる。
【0021】
本発明の請求項9に係る吊下げ装置は、請求項1〜8と同様の効果が得られるうえに、フック部材に警告表示部を設けたことから、構造の大幅な簡略化を実現できる。
【0022】
本発明の請求項10に係る吊下げ装置は、請求項1〜9と同様の効果が得られるうえに、カバーにより、外観体裁を大幅に高めることができると共に、装着場所に応じた様々なバリエーションの設定が容易である。
【0023】
本発明の請求項11に係る吊下げ装置は、請求項1〜8と同様の効果が得られるうえに、とくに、色彩を施した警告表示部や発光体である警告表示部を備えたものにより有用なものとなる。
【0024】
本発明の請求項12に係る吊下げ装置は、請求項7及び8と同様の効果が得られるうえに、カバーに発光体を設けたことにより、物品の重量超過の視認性をより高めることができるうえに、外観体裁も良好なものとなる。
【0025】
本発明の請求項13に係る吊下げ装置は、請求項7及び8と同様の効果が得られるうえに、発光体に対応する部分に半透光性を有するカバーにより、外観体裁のさらなる向上を実現することができるうえに、点灯した発光体の光をカバーに乱反射させて視認性のさらなる向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の吊下げ装置の実施形態を詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の吊下げ装置の一実施形態を説明する図である。
【0027】
図示の吊下げ装置H1は、概略として、複数のピンP1,P2により天井板Cに固定されるベース1と、ベース1に対して上端部を上下動可能に挿設し且つ下端部にフック2を有するフック部材3と、ベース1内部でフック部材3を上昇限に保持するスプリング4と、スプリング4に抗してフック部材3が下降するのに伴って機能する警告表示部5を備えている。なお、吊下げ装置H1では、金属製のピンP1,P2以外の部材は、主にプラスチック製である。
【0028】
また、この実施形態の吊下げ装置H1は、上記構成に加えて、フック部材3の上部に固定するばね座部材6、各構成部材を保持するためのホルダ部材7、及びホルダ部材7の上部に嵌合するキャップ部材8を備えている。なお、図1(b)に示す天井板Cは、例えば石膏ボードであって、手作業でピンP1,P2を突き刺すことができる。
【0029】
ベース1は、上側を開放した円形カップ状の部材であって、中央に、フック部材3の取付け穴9が設けてある。ベース1の内部には、取付け穴9と同心状に配置した段部付のフランジ10と、90度間隔で配置した四枚のリブ11が設けてあり、各リブ11には、ベース1の外周面から斜め上方に向けてピン通し孔12が設けてある。
【0030】
ピンには、位置決め用ピンP1と、固定用ピンP2がある。位置決め用ピンP1は、コ字形に曲成したものであって、ホルダ部材7の上面に設けた凹部13に中間部分を係合させると共に、ホルダ部材7の上側から嵌合するキャップ部材8を貫通して、垂直に突出している。固定用ピンP2は、位置決め用ピンP1を天井板Cに突き刺した後に、各ピン通し孔12を通して天井板Cに斜めに突き刺す。この実施形態では、四本の固定用ピンP2を使用する。これらのピンP1,P2により、当該吊下げ装置H1を天井板Cに簡単に固定することができる。
【0031】
フック部材3は、下端部にフック2を有すると共に、上端部に中空の軸部14を有しており、軸部14をベース1の取付け穴9の下側から挿設して、軸部14の外周にスプリング(圧縮コイルスプリング)4を設け、その後、上端部にばね座部材6をねじ15で固定する。これにより、ベース1のフランジ10の段部とばね座部材6との間にスプリング4が介装され、このスプリング4によりフック部材3を上昇限に保持する。
【0032】
さらに、吊下げ装置H1は、ベース1の内面に沿って上下方向に移動可能な表示板16を備え、この表示板16に先の警告表示部5を設けると共に、ベース1の壁部に、表示板16の移動に伴って警告表示部5を露出させる開口部17が設けてある。開口部17の両側には、移動する表示板16を案内するガイド26が形成してある。そして、吊下げ装置H1は、フック部材3と表示板16との間に、フック部材3の下降を表示板16の移動に変換する運動伝達手段Dを設けると共に、ベース1の開口部17に、凸レンズ18が嵌合固定してある。
【0033】
表示板16は、薄い短尺のプレートであって、上部の外側面(ベース側の面)に、色彩を施した警告表示部5が設けてある。警告表示部5の色彩は、ベース1と明確に区別し得るものが良く、ベース1が白等の淡色である場合には一例として赤色である。
【0034】
この実施形態の運動伝達手段Dは、フック部材3側に設けた第一ラック19と、表示板16側に設けた第2ラック20と、第1及び第2のラック19,20に係合するピニオン21を備えている。
【0035】
第一ラック19は、歯列を竪にしてばね座部材6に一体化してあり、これによりフック部材3とともに上下動可能である。第二ラック20は、表示板16の内側面(反ベース側の面)に一体成形してある。ピニオン21は、ホルダ部材7に設けた一対の突片22,22により回動自在に保持してある。
【0036】
上記構成を備えた吊下げ装置H1は、先述した如く、位置決め用ピンP1を天井板Cに突き刺して位置決めした後、四本の固定用ピンP2を個々のピン通し孔12を通して天井板Cに突き刺すことにより固定し、物品をフック2に係止して、同物品を天井から吊り下げる。このとき、一つの吊下げ装置H1で物品を吊下げるだけでなく、複数の吊下げ装置H1で一つの物品を吊下げることもある。なお、物品としては、ボードやシート等の広告媒体や、比較的軽量の観葉植物等の家庭用品といった各種物品が対象となる。
【0037】
ここで、吊下げ装置H1は、天井板Cに対する固定強度すなわち各ピンP1,P2による固定強度に基づいて、吊下げ可能な物品の許容重量が設定してあり、この許容重量であれば実質的に圧縮が生じないばね定数を有するスプリング4を使用する。
【0038】
したがって、吊下げ装置H1は、吊下げた物品の重量が許容範囲内であれば、フック部材3が下降することがなく、図3(b)に示すように、警告表示部5が開口部17の下側に隠れている状態になっている。
【0039】
そして、吊下げ装置H1は、吊下げた物品の重量が許容範囲を超過していると、スプリング4を圧縮しつつフック部材3が下降し、フック部材3とともに第一ラック19が下降することで、ピニオン21が図1中で反時計回りに回転し、これに伴って第二ラック20を有する表示板16が上方に移動する。これにより、図3(c)に示すように、警告表示部5が開口部17に達して露出し、この際、開口部17には凸レンズ18が設けてあるので、警告表示部5の色彩(赤色)がレンズ全体に拡大され、天井が高い場合でも、遠くから警告表示部5を極めて容易に認識することができ、物品の重量が許容範囲を超過したことを目視で至極簡単に判断することができる。
【0040】
このように、上記実施形態の吊下げ装置H1は、物品の重量が許容範囲内であるか否かを目視で容易に判断することが可能であり、当該装置が天井から脱落するような事態を未然に防止することができ、信頼性や安全性に優れたものとなる。
【0041】
また、上記実施形態の吊下げ装置H1は、色彩を施した警告表示部5により、物品の重量超過が一層認識し易くなり、しかも、第一ラック19、第2ラック20及びピニオン21から成る運動伝達手段Dを採用したことで、フック部材3及び表示板16の動作を一層確実で且つ円滑にすることができる。
【0042】
図4は、本発明の吊下げ装置の他の実施形態を説明する図である。図示の吊下げ装置H2は、先の実施形態とほぼ同様の基本構成を有するもので、フック部材3の下降を表示板16の移動に変換する運動伝達手段が、フック部材3側と表示板16側を連結する可撓性プレート23であり、ホルダ部材7の突片22,22の間には、プレート23を摺動自在に案内するガイド部24が設けてある。
【0043】
可撓性プレート23は、薄いプラスチック製の部材であって、フック部材3側においては、ばね座部材6に固定してあり、ガイド部24の下側を経て、屈曲した状態で表示板16に連結してある。この可撓性プレート23は、表示板16と一体化することもできる。
【0044】
上記構成を備えた吊下げ装置H2は、吊下げた物品の重量が許容重量を超過していると、スプリング4を圧縮しつつフック部材3が下降し、フック部材3とともに可撓性プレート23が下降するのと同時に、同可撓性プレート23の摺動とともに表示板16が上方に移動し、図3(c)に示すように、警告表示部5が開口部17から露出する。
【0045】
この実施形態の吊下げ装置H2によれば、先の実施形態と同等の効果を得らことができるうえに、より簡単な構造でフック部材3及び表示板16の動作を円滑に行うことができる。
【0046】
図5は、本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する図である。図示の吊下げ装置H3は、フック部材3の下降を表示板16の移動に変換する運動伝達手段を備えていないものであって、フック部材3の外周部に色彩による警告表示部25が設けてある。この警告表示部25は、スプリング4によりフック部材3が上昇限に保持されている状態において、ベース1の取付け穴9内に隠れる位置に設けてある。
【0047】
上記構成を備えた吊下げ装置H3は、吊下げた物品の重量が許容重量を超過していると、スプリング4を圧縮しつつフック部材3が下降し、これにより同フック部材3に設けた警告表示部25がベース1の下側に出て露出する。
【0048】
この実施形態の吊下げ装置H3によれば、先の実施形態と同等の効果を得らことができるうえに、構造の大幅な簡略化を実現することができる。
【0049】
図6は、本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
図示の吊下げ装置H4は、複数のピンP1,P2により天井板Cに固定するベース1と、フック2を有するフック部材3と、スプリング4に抗してフック部材3が下降するのに伴って機能する警告表示部(35)を備えている。また、吊下げ装置H4は、フック部材3の上部に固定するばね座部材6、各構成部材を保持するホルダ部材7、及びホルダ部材7の上部に嵌合するキャップ部材8を備えている。
【0051】
そして、吊下げ装置H4は、警告表示部が、スプリング4に抗してフック部材3が下降するのに伴って点灯する発光体35であって、ベース1の内部に、フック部材3の下降に伴って発光体35に通電するスイッチ36を備えている。
【0052】
発光体35は、例えば赤色の発光ダイオードであって、ベース1に形成した開口部17に嵌合固定してある。スイッチ36は、発光体35の電源である小型の電池(例えばボタン電池)や周知の切換え機構を内蔵していると共に、上下方向に操作される入力部37を備えている。スイッチ36は、入力部37を押し下げると発光体35に通電するようになっている。これに対して、フック部材3とともに下降するばね座部材6には、入力部37の上側に延出する押圧部6aが一体的に設けてある。
【0053】
上記構成を備えた吊下げ装置H4は、吊下げた物品の重量が許容重量を超過していると、スプリング4を圧縮しつつフック部材3が下降し、これと同時にばね座部材6の押圧部6aがスイッチ36の入力部37を押し下げ、その結果、発光体35が点灯する。
【0054】
このように、上記の吊下げ装置H4は、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを発光体35の消灯又は点灯によって至極簡単に判断することができ、とくに、発光体35の点灯により、遠方からであっても物品の重量が許容範囲を超過したことを非常に容易に認識することができる。
【0055】
また、上記の吊下げ装置H4は、電池を含むスイッチ36を採用しているので、外部電源が不要であって、構造がよりコンパクトなものになり、しかも、吊下げる物品の重量が許容範囲内である場合には発光体35が点灯しないので、ボタン電池等の小型電池だけで長期間にわたる使用が充分可能である。
【0056】
図7は、本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
図示の吊下げ装置H5は、図6に示す実施形態と同等の構成を有するのに加えて、フック2を突出状態にしてベース1の外側に被着され且つ機能した警告表示部が視認可能なカバー41を備えている。
【0058】
カバー41は、例えばプラスチック製であって、概略半球状を成しており、中心部に、フック部材3の通し穴41aを有すると共に、通し穴41aの周縁部に、ベース1側に係脱可能な複数の係止爪41bを有し、ベース1に対してワンタッチで着脱することができる。また、カバー41は、機能した警告表示部を外部から視認するための窓部40を有している。
【0059】
つまり、上記のカバー41を備えた吊下げ装置H5は、図4に示す如く色彩を施した警告表示部5や、図6に示す如く発光体35による警告表示部を備えた吊下げ装置に好適であって、吊下げる物品の重量が許容範囲内であるか否かを目視で至極簡単に判断し得る機能を充分に確保し、しかも、カバー41でベース1を被うことにより外観体裁を大幅に高めることができる。
【0060】
なお、本発明の吊下げ装置を構成するカバーは、図5に示す如くフック部材に警告表示部を設けた吊下げ装置に適用する場合には、窓部の無い構成にしても良い。
【0061】
図8は、本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0062】
図示の吊下げ装置H6は、図6に示す実施形態とほぼ同等の構成を有するのに加えて、フック2を突出状態にしてベース1の外側に被着するカバー41を備え、カバー41の窓部40に、警告表示部である発光体35を嵌合固定した構成になっている。
【0063】
上記の吊下げ装置H6では、ベース1に設けた開口部17が発光体35のリード線の通し穴として用いられ、発光体35とスイッチ36とを直接的に結線しても良いし、双方の間に図示しないコネクタを設けて組立性を高めることも良い。
【0064】
上記の吊下げ装置H6は、先の各実施形態と同様の効果が得られるうえに、カバー41に発光体35を設けたことで、物品の重量超過の視認性をより高めることができるうえに、外観体裁もさらに良好なものとなる。
【0065】
図9は、本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
図示の吊下げ装置H7は、図6に示す実施形態と同等の構成を有するのに加えて、フック2を突出状態にしてベース1の外側に被着するカバー41を備え、カバー41が、少なくとも発光体35に対応する部分に半透光性を有する構成になっている。なお、カバー41は、全体を半透光性を有するものにして製造性を高めることも良い。
【0067】
上記の吊下げ装置H7は、少なくとも発光体35に対応する部分に半透光性を有するカバー41より、外観体裁のさらなる向上を実現するうえに、点灯した発光体35の光がカバー41に乱反射して拡散状態となり、点灯時の視認性のさらなる向上を実現することができる。
【0068】
図10は本発明の吊下げ装置Hの使用例を説明する図である。図10(a)は、当該吊下げ装置HをPOP用品として使用した場合を示しており、天井板Cに2個の吊下げ装置H,Hを固定して、これらの吊下げ装置H,Hでボード状の広告媒体A1を吊下げた使用例である。
【0069】
図10(b)は、当該吊下げ装置Hをペンダントライトのコードハンガーとして使用する場合を示しており、天井板Cに吊下げ装置Hを固定して、この吊下げ装置HでペンダントライトA2のコードAcの中間部を掛止した使用例である。
【0070】
図10(c)は、当該吊下げ装置HをモビールA3等の装飾品の吊下げに使用した例であると共に、図10(d)は、当該吊下げ装置Hを観葉植物A4の吊下げに使用した例である。
【0071】
このように、本発明の吊下げ装置H,H1〜H7は、石膏ボード等の天井板に対して非常に簡単に着脱することが可能であり、しかも、取り外し後にピンの跡が殆ど判らなくなるので、什器の配置などに応じて天井板に対する取り付け場所を自由に選択することができ、POP用品や家庭用品として非常に便利である。
【0072】
本発明の吊下げ装置は、その構成が上記の各実施形態に限定されるものではなく、吊下げ対象となる物品に応じて、各部材の数、形態、大きさ及び材料等を適宜変更し得るうえに、各実施形態の運動伝達手段や警告表示部を組み合わせることも可能である。
【0073】
警告表示部は、単色だけでなく、複数の色彩(例えば黄色と赤色)を設けて段階的に露出する構成にしたり、複数の色彩の発光体を組み合わせて使用することもできる。また、カバーは、それ自体の形状を変更したり、外面に適宜の意匠・装飾を施したりすることができ、装着場所に応じた様々なバリエーションの設定が容易であり、しかも、プラスチック類を材料にして比較的安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の吊下げ装置の一実施形態を説明する平面図(a)及び断面図(b)である。
【図2】図1に示す吊下げ装置の下方から見た斜視図(a)、警告表示部が隠れている状態を示す正面図(b)及び警告表示部が露出した状態を示す正面図(c)である。
【図3】図1に吊下げ装置を分解状態にした斜視図(a)及び組立て後の斜視図(b)である。
【図4】本発明の吊下げ装置の他の実施形態を説明する断面図である。
【図5】本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する断面図である。
【図6】本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する断面図である。
【図7】本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する断面図である。
【図8】本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する断面図である。
【図9】本発明の吊下げ装置のさらに他の実施形態を説明する断面図である。
【図10】本発明の吊下げ装置の使用例を示す各々側面図(a)〜(d)である。
【符号の説明】
【0075】
C 天井板
D 運動伝達手段
H 吊下げ装置
H1〜H7 吊下げ装置
P1 位置決め用ピン
P2 固定用ピン
1 ベース
2 フック
3 フック部材
4 スプリング
5 25 警告表示部
16 表示板
17 開口部
18 凸レンズ
19 第一ラック(運動伝達手段)
20 第2ラック(運動伝達手段)
21 ピニオン(運動伝達手段)
23 可撓性プレート(運動伝達手段)
35 発光体(警告表示部)
36 スイッチ
40 カバーの窓部
41 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピンにより天井板に固定するベースと、ベースに対して上端部を上下動可能に挿設し且つ下端部にフックを有するフック部材と、ベース内部でフック部材を上昇限に保持するスプリングと、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って機能する警告表示部を備えたことを特徴とする吊下げ装置。
【請求項2】
警告表示部が、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って露出する色彩を施したものであることを特徴とする請求項1に記載の吊下げ装置。
【請求項3】
ベースの内面に沿って移動可能な表示板を備え、この表示板に警告表示部を設けると共に、ベースの壁部に、表示板の移動に伴って警告表示部を露出させる開口部を設け、フック部材と表示板との間に、フック部材の下降を表示板の移動に変換する運動伝達手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の吊下げ装置。
【請求項4】
運動伝達手段が、フック部材側に設けた第一ラックと、表示板側に設けた第2ラックと、第1及び第2のラックに係合するピニオンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の吊下げ装置。
【請求項5】
運動伝達手段が、フック部材側と表示板側を連結する可撓性プレートであることを特徴とする請求項3に記載の吊下げ装置。
【請求項6】
ベースの壁部の開口部に、凸レンズを設けたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項7】
警告表示部が、スプリングに抗してフック部材が下降するのに伴って点灯する発光体であって、フック部材の下降に伴って発光体に通電するスイッチを備えたことを特徴とする請求項1に記載の吊下げ装置。
【請求項8】
スイッチが、発光体の電源である電池を備えていることを特徴とする請求項7に記載の吊下げ装置。
【請求項9】
フック部材に警告表示部が設けてあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項10】
フックを突出状態にしてベースの外側に被着され且つ機能した警告表示部が視認可能なカバーを備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項11】
フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーが、機能した警告表示部を視認するための窓部を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項12】
フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーに、発光体を設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載の吊下げ装置。
【請求項13】
フックを突出状態にしてベースの外側に被着するカバーを備え、カバーが、少なくとも発光体に対応する部分に半透光性を有するものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の吊下げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−101484(P2010−101484A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321820(P2008−321820)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(591135657)ワヨー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】