説明

同芯カセット式回転電機ステータ

【課題】同芯カセット式回転電機ステータにおいて、小型化を図ることである。
【解決手段】ステータ10は、ステータコア14と、ステータコア14に巻装された複数相のカセット環状部18,20,22とを含む。各相のカセット環状部18,20,22は、ステータコア14に巻装され、互いに環状に接続される複数の導体カセットコイル16を含む。各相のカセット環状部18,20,22において、複数の導体カセットコイル16に設けられた径方向導出部70,90は、外周部に設けられた複数の同相バスバー24u、24v、24wにより接続する。3相のカセット環状部18,20,22は、外周部に設けられた複数の中性点バスバーにより接続する。複数のバスバー24u、24v、24wが配置される周方向バスバー配置部38において、同相バスバー24u、24v、24w及び中性点バスバーは階段形状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、ステータコアに軸方向に装着され、各相同士で同芯に配置される複数相のカセット環状部とを備える同芯カセット式回転電機ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータまたは発電機として使用される回転電機のステータとして、スロットと呼ばれる径方向に伸びる溝を周方向に複数設けたステータコアを備え、互いに周方向に離れた2ずつのスロットに挿入するように、ステータコアにステータコイルを分布巻きで巻装する構造が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、それぞれ2組ずつのU相、V相、W相巻線と、ステータ鉄心とを備え、各相巻線がステータ鉄心に分布巻きにより巻かれて、複数の各相巻線が電気的に直列に接続された2列のコイル列を構成し、2列の各相コイル列はダブルスター型結線されているモータ用ステータが記載されている。このように各相コイルの結線をダブルスター結線とすることでモータを駆動する際の印加電圧を低くできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−12974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、ステータの1種として、ステータコアに軸方向に装着可能で、それぞれ複数のステータコイルを含み、各相同士で同芯に配置される略環状に形成された複数相のカセット環状部を備える同芯カセット式回転電機ステータが考えられる。ただし、この同芯カセット式回転電機ステータで、外周部にステータコイルとバスバーとの溶接等による接続部を設ける場合には、バスバーの配置部での径方向寸法(単に「径方向」という場合、ステータの径方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)が大きくなるため、バスバーを含むステータの小型化を図る面から改良の余地がある。すなわち、この構成では、ステータの外周部であって、ステータコイルとバスバーとの接続部の径方向内側に、周方向に伸びて複数のバスバーが配置される周方向バスバー配置部が設けられる。ただし、周方向バスバー配置部におけるバスバーが単に円弧形に形成されていると、周方向バスバー配置部でのバスバーの径方向の列が大きくなる可能性がある。さらに、バスバーでの絶縁被膜の熱的保護の面からは、ステータコイル及びバスバーの接続部と、周方向バスバー配置部との間の距離は大きくする必要がある。このため、ステータコイルとバスバーとの接続部のステータ中心からの距離が大きくなり、ステータが大型化する可能性がある。
【0006】
また、周方向バスバー配置部でのバスバーの軸方向(単に「軸方向」という場合、ステータの軸方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)の列を多くすることで、バスバーの径方向の列を少なくすることも考えられるが、この場合には、バスバーを含むステータの軸方向寸法が大きくなり、やはりステータが大型化する可能性がある。
【0007】
また、複数相のカセット環状部を2つのY結線で結線する、すなわちダブルスター結線する等、複数のY結線で結線する場合に周方向(単に「周方向」という場合、ステータの周方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)同位置に設けられるバスバーの数が多くなり、ステータがさらに大型化する可能性もある。このため、周方向に伸びて複数のバスバーが配置される周方向バスバー配置部で、バスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を少なくすることが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、同芯カセット式回転電機ステータにおいて、周方向に伸びて複数のバスバーが配置される周方向バスバー配置部の多くの部分または全部でバスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を少なくして、小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータは、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、ステータコアに軸方向に装着され、各相同士で同芯に配置される複数相のカセット環状部とを備え、各相のカセット環状部は、ステータコアに巻装され、互いに環状に接続される複数のステータコイルを含み、各相のカセット環状部において、複数のステータコイルの径方向外端部に径方向に伸びるように設けられた径方向導出部は、外周部に設けられた複数の同相バスバーにより接続されており、複数相のカセット環状部は、外周部に設けられた複数の中性点バスバーにより接続されており、外周部で周方向に伸びて複数の同相バスバー及び中性点バスバーが配置される周方向バスバー配置部において、同相バスバー及び中性点バスバーの少なくとも一部のバスバーは、階段形状に形成されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータである。
【0010】
本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータによれば、周方向に伸びて複数のバスバーが配置される周方向バスバー配置部において、同相バスバー及び中性点バスバーの少なくとも一部のバスバーが階段形状に形成されているので、周方向の多くの個所で、複数のバスバーの配置の自由度を大きくでき、周方向バスバー配置部の多くの部分または全部で、バスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を、例えば2列以内にできる等、少なくできる。このため、ステータの小型化を図れる。
【0011】
また、本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータにおいて、好ましくは、階段形状に形成されたバスバーは、ステータの軸方向である高さ方向または径方向にずれた第1部分及び第2部分と、第1部分及び第2部分を連結する段差部とを有する。
【0012】
また、本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータにおいて、好ましくは、複数相のカセット環状部は、複数のY結線で結線されている。
【0013】
上記構成によれば、周方向バスバー配置部で周方向同位置に設けられるバスバーの数が多くなりやすいのにもかかわらず、周方向バスバー配置部の多くの部分または全部で、バスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を、例えば2列以内にできる等、少なくできるので、ステータの小型化を図れる効果が顕著になる。しかも大電流化に容易に対応できる。
【0014】
また、本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータにおいて、好ましくは、各相のカセット環状部は、周方向複数個所に配置されたステータコイルである複数の導体カセットコイルを含み、各導体カセットコイルは、両端部に設けられた径方向導出部と、各径方向導出部に連結され、互いに離れたスロットに挿入される複数のスロット挿入部とを有し、各相のカセット環状部において、複数の導体カセットコイルの径方向導出部は、別の導体カセットコイルの端部に設けられた径方向導出部に同相バスバーにより接続されている。
【0015】
また、本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータにおいて、好ましくは、各導体カセットコイルは、周方向片側に設けられた片側径方向導出部を有し、周方向に離れた2つのスロットに挿入されるように複数回ステータコアの周方向一部に巻回される第1要素と、周方向他側に設けられた他側径方向導出部を有し、周方向に離れた2つのスロットに挿入されるように複数回ステータコアの周方向一部に巻回される第2要素とを含み、第1要素の片側径方向導出部に対する反対側端部と、第2要素の他側径方向導出部に対する反対側端部とが接続されており、第1要素のスロット挿入部と第2要素のスロット挿入部とが周方向にずれたスロットに挿入されている。
【0016】
また、本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータにおいて、好ましくは、複数相のカセット環状部は、第1中性点及び第2中性点でそれぞれY結線されており、各相のカセット環状部において、周方向に配置された複数の導体カセットコイルのうち、周方向1つおきの複数の導体カセットコイルが直列接続され、第1中性点に接続される第1群が形成され、第1群と周方向に隣り合う複数の導体カセットコイルが直列接続され、第2中性点に接続される第2群が形成され、第1群において、周方向に隣り合う導体カセットコイルの径方向導出部同士が、複数の同相バスバーにより接続され、入力端側から第1中性点側に向かって複数の導体カセットコイルが周方向一方向に並んで配置されており、第2群において、周方向に隣り合う導体カセットコイルの径方向導出部同士が、複数の同相バスバーにより接続され、入力端側から第2中性点側に向かって複数の導体カセットコイルが周方向他方向に並んで配置されている。
【0017】
上記の構成によれば、複数相のカセット環状部は、2つのY結線で結線されるのにもかかわらず、周方向バスバー配置部の多くの部分または全部で、より有効に、バスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を、例えば2列以内にできる等、少なくできるので、より有効にステータの小型化を図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る同芯カセット式回転電機ステータによれば、周方向に伸びる複数のバスバーが配置される周方向バスバー配置部の多くの部分または全部でバスバーの軸方向の列を多くすることなく、バスバーの径方向の列を少なくして、小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の同芯カセット式回転電機ステータを示す概略斜視図である。
【図2】図1のステータの具体的構造を軸方向に見た図である。
【図3】図2のステータにおいて、U相分のカセット環状部の結線状態を示す図である。
【図4】図2のステータを構成する1の導体カセットコイルを径方向に見た図である。
【図5】図4の導体カセットコイルの斜視図である。
【図6】図4の導体カセットコイルを構成する第1要素を径方向に見た図である。
【図7】図6の第1要素を示す斜視図である。
【図8】図4の導体カセットコイルを構成する第2要素を径方向に見た図である。
【図9】図8の第2要素を示す斜視図である。
【図10】図5のA部において、導体カセットコイルの端部を径方向外側から径方向内側に見た拡大図である。
【図11】本発明の実施の形態の同芯カセット式回転電機ステータを含む回転電機において、U相分の複数の導体カセットコイルの接続構成を示す模式図である。
【図12】図2のステータにおいて、U相分のカセット環状部を取り出して、バスバー及び一部の要素を省略して示す図である。
【図13】図11の回転電機でロータが図11の左上に寄った場合に、第1群と第2群との導体カセットコイルでの電圧変化を説明するための単相分の複数の導体カセットコイルの回路図である。
【図14】複数相の導体カセットコイルをシングルスター結線で接続する場合の回転電機を示す、図11に対応する図である。
【図15】複数相の導体カセットコイルをダブルスター結線で接続する場合の回転電機の別例を示す、図11に対応する図である。
【図16】図15の回転電機でロータが図15の左上に寄った場合に、第1群と第2群とのステータコイルでの電圧変化を説明するための単相分の複数のステータコイルの回路図である。
【図17】図12のU相のカセット環状部でバスバーを結合して示す、図12の矢印B方向に見た斜視図である。
【図18】図12のU相のカセット環状部でバスバーを結合して示す、図12の矢印C方向に見た斜視図である。
【図19】図2のステータにおいて、図2のD部と径方向反対側の周方向一部を、径方向外側から見た図である。
【図20】図19のE−E断面図である。
【図21】図2のステータにおいて、図2のD部を含む周方向一部を、径方向外側から見た斜視図である。
【図22】図21の上方から見た斜視図である。
【図23】図21のバスバー配置部におけるバスバー配置構成と、各相の径方向導出部及び中性点バスバーの接続部とを示す模式図である。
【図24】図2のステータにおいて、図2のF部を含む周方向一部を、径方向外側から見た斜視図である。
【図25】図24の上方から見た斜視図である。
【図26】図24のバスバー配置部におけるバスバー配置構成と、各相の径方向導出部及び中性点バスバーの接続部とを示す模式図である。
【図27】複数相の導体カセットコイルをダブルスター結線で接続する場合の回転電機の別例を示す、図11に対応する図である。
【図28】図27の回転電機でロータが図27の左上に寄った場合に、第1群と第2群との導体カセットコイルでの電圧変化を説明するための単相分の複数の導体カセットコイルの回路図である。
【図29】本発明の実施の形態の別例のステータを示す、図2に対応する図である。
【図30】図29のステータにおいて、図29のG部を含む周方向一部を、径方向外側から見た図である。
【図31】図29のステータにおいて、図29のH部を含む周方向一部を、径方向外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、図1〜13,17〜26を用いて本発明に係る実施の形態を説明する。図1〜3に示すように、本実施の形態の同芯カセット式回転電機ステータ(以下、単に「ステータ」という。)は、例えば電動モータ、発電機等の回転電機を構成するために使用される。図1は、本実施の形態のステータを示す概略斜視図である。図2は、図1のステータの具体的構造を軸方向に見た図である。図3は、図2のステータにおいて、U相分のカセット環状部の結線状態を示す図である。
【0021】
ステータ10は、周方向複数個所に設けられたスロット12を有する環状の磁性材料製のステータコア14と、ステータコア14に分布巻きで巻装された複数のステータコイルである導体カセットコイル16をそれぞれ含む、複数相であるU相、V相、W相の3相のカセット環状部18,20,22とを備える。各相のカセット環状部18,20,22では、複数の導体カセットコイル(以下、単に「カセットコイル」という。)16が略環状に接続、すなわち連結されている。
【0022】
3相のカセット環状部18,20,22は、ステータコア14に軸方向に装着され、各相同士で同芯に配置されている。ステータ10の使用時には、ステータ10の径方向内側に、回転軸に固定されたロータ(図示せず)を配置し、ステータ10とロータとを径方向に対向させることでラジアル型の回転電機を構成する。
【0023】
まず、図4〜9を用いて、各相のカセット環状部18,20,22(図1)を構成するカセットコイル16を説明する。図4は、図2のステータを構成する1のカセットコイルを径方向に見た図である。図5は、図4のカセットコイルを示す斜視図である。各カセットコイル16は、絶縁被膜により被覆された断面矩形の平角線の導体線からなるコイル素線をコイル状に形成することにより構成される。各カセットコイル16は、ステータコア14(図2)の周方向に離れた複数のスロット12(図3)にそれぞれ挿入される複数のスロット挿入部である片側スロット挿入部60、片側中間スロット挿入部62、他側中間スロット挿入部64、及び他側スロット挿入部66を含んでいる。また、各カセットコイル16は、各スロット挿入部60,62,64,66の軸方向一端部(図5の下端部)に設けられる片側コイルエンド部68と、片側径方向導出部70と、他側径方向導出部90とを含んでいる。片側径方向導出部70は、1のスロット12から導出されるカセットコイル16の一端部に設けられ、周方向片側(図4、図5の左側)に伸びてから径方向外側(図4、図5の上側)に伸びてステータコア14(図2)の軸方向外側で別の相のカセットコイルをまたぐ。他側径方向導出部90は、カセットコイル16の別の1のスロット12から導出される他端部に設けられ、周方向他側(図4、図5の右側)に伸びてから径方向外側(図4、図5の上側)に伸びてステータコア14の軸方向外側で別の相のカセットコイルをまたぐ。
【0024】
また、各カセットコイル16は、図6、図7に示す第1要素72と、図8、図9に示す第2要素74とをTIG溶接等の溶接により接合して構成されている。まず、第1要素72について説明する。図6は、第1要素を径方向に見た図である。図7は、図6の第1要素を示す斜視図である。第1要素72は、周方向片側(図6、図7の右側)に設けられた片側径方向導出部70と、片側径方向導出部70に直接または他の部分を介して連結され、周方向片側のスロット12に整列して挿入される複数の片側スロット挿入部60とを有する。片側径方向導出部70は、第1要素72の周方向片側部分の径方向最外端の片側スロット挿入部60に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、周方向他側(図6、図7の左側)に伸びてから径方向外側(図6の上側)に伸びる。
【0025】
また、第1要素72は、周方向他側(図6、図7の左側)に設けられた他側中間径方向導出部78と、他側中間径方向導出部78に直接または他の部分を介して連結され、周方向他側のスロット12に整列して挿入される複数の他側中間スロット挿入部64とを有する。他側中間径方向導出部78は、第1要素72の周方向他側部分の径方向最外端の他側中間スロット挿入部64に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、周方向片側(図6、図7の右側)に伸びてから径方向外側(図6の上側)に伸びる。また、複数の他側中間スロット挿入部64は、複数の片側スロット挿入部60から単位コイル間隔D1分、周方向他側に離れている。
【0026】
さらに、第1要素72は、片側コイルエンド部68(図4、図5)を形成し、それぞれ片側スロット挿入部60及び他側中間スロット挿入部64を連結する複数の第1連結要素80を有する。各第1連結要素80は、両端部に設けられるスロット通過部82,84と、内側連結部86とを有する。スロット通過部82,84は、片側スロット挿入部60と他側中間スロット挿入部64とが配置される2のスロット12の径方向と一致する方向に伸びる。内側連結部86は、両スロット通過部82,84を連結する。第1要素72は、片側径方向導出部70、複数の片側スロット挿入部60、複数の第1連結要素80、複数の他側中間スロット挿入部64、及び他側中間径方向導出部78をコイル状に連結して形成されている。
【0027】
また、各スロット通過部82,84は、対応する複数のスロット12(図3)に各スロット挿入部60,64を挿入させつつ、ステータコア14(図2)の軸方向片側から軸方向に後述するカセット環状部18,20,22(図1)を組み付ける際に、対応する2のスロット12に軸方向に通過した後、スロット12から外側に導出される。内側連結部86は、ステータコア14にカセット環状部18,20,22が配置された状態でステータコア14の内周面よりも径方向に関して内側に配置される。このような第1要素72は、周方向に離れた2つのスロット12に挿入されるように、ステータコア14の周方向一部に複数回(複数ターン分)巻回される。
【0028】
次に、第2要素74を説明する。図8は、第2要素を径方向に見た図である。図9は、図8の第2要素を示す斜視図である。第2要素74は、周方向片側(図8、図9の右側)に設けられた片側中間径方向導出部88と、片側中間径方向導出部88に直接または他の部分を介して連結され、周方向片側のスロット12に整列して挿入される複数の片側中間スロット挿入部62とを有する。片側中間径方向導出部88は、第2要素74の周方向片側部分の径方向最外端の片側中間スロット挿入部62に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、周方向他側(図8、図9の左側)に伸びてから径方向外側(図8の上側)に伸びる。
【0029】
また、第2要素74は、周方向他側(図8、図9の左側)に設けられた他側径方向導出部90と、他側径方向導出部90に直接または他の部分を介して連結され、周方向他側のスロット12に整列して挿入される複数の他側スロット挿入部66とを有する。他側径方向導出部90は、第2要素74の周方向他側部分の径方向最外端の他側スロット挿入部66に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、径方向外側(図8の上側)に伸びる。また、複数の他側スロット挿入部66は、複数の片側中間スロット挿入部62から単位コイル間隔D1分、周方向他側に離れている。
【0030】
さらに、第2要素74は、片側コイルエンド部68(図4、図5)を形成し、それぞれ片側中間スロット挿入部62及び他側スロット挿入部66を連結する複数の第2連結要素122を有する。各第2連結要素122は、両端部に設けられる第2スロット通過部124,126と、第2内側連結部128とを有する。第2スロット通過部124,126は、片側中間スロット挿入部62と他側スロット挿入部66とが配置される2のスロット12の径方向と一致する方向に伸びる。第2内側連結部128は、両第2スロット通過部124,126を連結する。第2要素74は、片側中間径方向導出部88、複数の片側中間スロット挿入部62、複数の第2連結要素122、複数の他側スロット挿入部66、及び他側径方向導出部90をコイル状に連結して形成されている。
【0031】
また、各第2スロット通過部124,126は、対応する複数のスロット12に各スロット挿入部62,66を挿入させつつ、ステータコア14の軸方向片側から軸方向に後述するカセット環状部18,20,22を組み付ける際に、対応する2のスロット12に軸方向に通過した後、スロット12から外側に導出される。第2内側連結部128は、ステータコア14にカセット環状部18,20,22が配置された状態でステータコア14の内周面よりも径方向に関して内側に配置される。このような第2要素74は、周方向に離れた2つのスロット12に挿入されるように、ステータコア14の周方向一部に複数回(複数ターン分)巻回される。
【0032】
図10は、図5のA部において、カセットコイル16の端部を径方向外側から径方向内側に見た拡大図である。図10に示すように、第2要素74の片側中間径方向導出部88と、第1要素72の他側中間径方向導出部78との先端部が重ね合わされた状態でTIG溶接等の溶接等により接合されることで、第1要素72及び第2要素74が組み合わされ、一体のカセットコイル16が形成されている。すなわち、第1要素72の片側径方向導出部70に対する反対側端部と、第2要素74の他側径方向導出部90(図8、図9)に対する反対側端部とが接続されている。また、図4、図5に示す、第1要素72の片側スロット挿入部60及び他側中間スロット挿入部64と、第2要素74の片側中間スロット挿入部62及び他側スロット挿入部66とは、周方向にずれたスロット12(図3)に挿入される。また、第1要素72の片側径方向導出部70と第2要素74の他側径方向導出部90との軸方向(図5の上下方向)位置はずれている。後述する図19、図24等に示すように、カセットコイル16を、ステータコア14の周方向複数個所に配置した状態で片側径方向導出部70は、ステータコア14の軸方向端面から大きく離れて配置され、他側径方向導出部90は、ステータコア14の軸方向端面から近い位置に配置される。
【0033】
このように形成される複数のカセットコイル16は、各相で環状に連結することで3相のカセット環状部18,20,22(図1)を形成する。すなわち、図1、図2に戻り、本実施の形態のステータ10は、「同芯カセット式」と呼ばれるもので、各相のカセット環状部18,20,22は、ステータコア14の周方向複数個所に配置された複数のカセットコイル16を含んでいる。また、3相のカセット環状部18,20,22は、各相の複数のカセットコイル16が直列接続された第1群がY結線される構成と、各相の複数のカセットコイル16が直列接続された第2群がY結線される構成とを含んでいる。これについて、図11を用いてU相分のカセット環状部18で代表して説明する。
【0034】
図11は、本実施の形態のステータを含む回転電機において、U相分の複数のカセットコイルの接続構成を示す模式図である。U相のカセット環状部18において、ステータコア14の周方向複数個所に配置された複数のカセットコイル16のうち、周方向1つおきの複数のカセットコイル16がそれぞれ直列接続され、第1群94と第2群96とが形成されている。
【0035】
図11では、A1,A2・・・が第1群94のカセットコイル16を構成する要素を表している。また、B1,B2・・・が第2群96のカセットコイル16を構成する要素を表している。また、A1、A3、A5、A7と、B2、B4,B6,B8とは、第1要素72(図6、図7)を示している。また、A2、A4,A6,A8と、B1、B3,B5,B7とは、第2要素74(図8、図9)を示している。A1とA2、A3とA4、A5とA6、A7とA8が、それぞれ第1群94の4つのカセットコイル16を示している。また、B1とB2、B3とB4、B5とB6、B7とB8が、それぞれ第2群96の4つのカセットコイル16を示している。以下、A1,A2・・・A8、B1,B2・・・B8の符号をカセットコイル16の要素として説明する場合がある。すなわち、図示しない電源及び駆動部であるインバータ側に接続された動力線側の入力端INからカセットコイル16の巻き始めの要素A1から、A2、A3・・・A8の順に電気的に直列接続され、巻き終わりの要素A8が第1中性点N1に接続されることで、第1群94が形成されている。
【0036】
また、入力端INからカセットコイル16の巻き始めの要素B1から、B2、B3・・・B8の順に電気的に直列接続され、巻き終わりの要素B8が第2中性点N2に接続されることで、第2群96が形成されている。したがって、U相のカセット環状部18において、ステータコア14の周方向複数個所に配置された複数のカセットコイル16のうち、周方向1つおきの複数のカセットコイル16がそれぞれ直列接続され、第1中性点N1に接続される第1群94が形成される。また、第1群94と周方向に隣り合う複数のカセットコイル16が直列接続され、第2中性点N2に接続される第2群96が形成される。第1群94と第2群96とは、動力線側の入力端IN及び第1中性点N1の間と、入力端IN及び第2中性点N2の間とにそれぞれ接続されている。以上は、U相カセット環状部18を説明したが、V相カセット環状部20(図1)、W相カセット環状部22(図1)の場合も同様である。このため、3相のカセット環状部18,20,22は、2つの中性点である第1中性点N1及び第2中性点N2で、それぞれY結線されている。
【0037】
このように構成するために、複数のカセットコイル16は、図12にU相カセット環状部18で代表して示すように、第1要素72と第2要素74との一部同士が軸方向に重なるように環状に組み合わされる。また、各相で、後述する複数の同相バスバー24u、24v、24w(図17〜19)で複数のカセットコイル16を連結することで、カセット環状部18,20,22(図17〜19)を形成している。具体的には、後述する図17、図18でU相のカセット環状部18で代表して説明するように、各カセットコイル16の径方向外端部に径方向に伸びるように設けられた片側径方向導出部70と、別のカセットコイル16の径方向外端部に径方向に伸びるように設けられた他側径方向導出部90とは、外周部に設けられた複数の同相バスバー24uにより接続されている。
【0038】
また、図11に戻って、U相のカセット環状部18で代表して示すように、第1群94において、周方向に隣り合うカセットコイル16の片側径方向導出部70(図17、図18)及び他側径方向導出部90(図17、図18)同士が、同相バスバー24uにより接続され、入力端IN側から第1中性点N1側に向かって複数のカセットコイル16が周方向一方向(図11の反時計方向)に並んで配置されている。また、同じく第2群96において、周方向に隣り合うカセットコイル16の片側径方向導出部70及び他側径方向導出部90同士が、同相バスバー24uにより接続され、入力端IN側から第2中性点N2側に向かって複数のカセットコイル16が周方向他方向(図11の時計方向)に並んで配置されている。
【0039】
上記ではU相のカセット環状部18を説明したが、V相、W相のカセット環状部20,22(図1)も同様に構成される。そして、3相のカセット環状部18,20,22は、第1中性点N1及び第2中性点N2のそれぞれに対応する、外周部に設けられた複数の中性点バスバー30(図2)により接続されている。なお、第1中性点N1及び第2中性点N2は、同一のすなわち単一の中性点とすることもできる。
【0040】
図3の結線図では、図11をより具体化して示している。図3は、U相分のカセット環状部18の結線状態を示す図である。図3のA1、A2・・・A8、B1、B2・・・B8の符号の意味は、図11の場合と同様である。図3では、ステータコア14の内周側の数字を付した部分がスロット番号を示している。また、「IN」は動力線側の入力端に接続されることを示しており、「N1,N2」は第1中性点、第2中性点をそれぞれ示している。また、C1A,C2A・・・、C1B、C2B・・・でそれぞれ第1群94、第2群96のカセットコイル16のコイル番号を示している。以下、カセットコイル16をコイル番号を付して説明する場合がある。カセット環状部18は、第1群94で入力端IN側である巻き始めのカセットコイルC1AにカセットコイルC2Aが接続され、以下、同様に、C3A,C4Aが順に接続され、巻き終わりのカセットコイルC4Aが第1中性点N1に接続されている。また、第2群96で入力端IN側である巻き始めのカセットコイルC1BにカセットコイルC2Bが接続され、以下、同様に、C3B,C4Bが順に接続され、巻き終わりのカセットコイルC4Bが第2中性点N2に接続されている。以上は、U相のカセット環状部18の場合を説明したが、V相、W相の場合も同様に構成されている。このように各相で周方向1つおきのカセットコイル16を直列接続する構成は、「隔極巻き」と呼ばれる。
【0041】
またU相カセット環状部18の各カセットコイル16において、第1要素A1,A3・・・、B2,B4・・・の周方向両側のスロット挿入部60,64(図5)は、第2要素A2,A4・・・、B1、B3・・・の周方向両側のスロット挿入部62,66(図5)と1つずつずれたスロット12に挿入されている。また、V相カセット環状部20(図1)の各カセットコイル16の4つのスロット挿入部は、U相カセット環状部18のスロット挿入部60,64,62,66が挿入されるスロット12の周方向片側に1つまたは2つずれたスロット12に挿入される。
【0042】
また、W相カセット環状部22(図1)の各カセットコイル16の4つのスロット挿入部は、U相カセット環状部18のスロット挿入部60,64,62,66が挿入されるスロット12の周方向片側にさらに1つまたは2つずれたスロット12に挿入される。
【0043】
このような構成では、図11に示す回転電機で、ステータ10に対し内側のロータ32が偏心する場合でも、循環電流の発生を防止でき、高調波ノイズである8次ノイズの発生を防止できる。図13は、図11の回転電機でロータが図11の左上に寄った場合に、第1群94と第2群96とのカセットコイル16での電圧変化を説明するための単相分の複数のカセットコイル16の回路図である。図13のA1、A2・・・A8、B1、B2・・・B8の符号の意味は、図11の場合と同様である。例えば、図11に示すように、ステータ10の内側に永久磁石34付きのロータ32を対向配置している場合に、ロータ32の中心軸Oが図11の左上(図11の矢印α方向)に寄って、ステータ10に対し偏心した場合を考える。この場合、図13に示すように、第1群94の要素A1,A2でロータ32(図11)が近づくため、電圧(誘起電圧)が上昇し、逆に要素A5,A6でロータ32が離れるため、電圧が低下する。一方、第2群96の要素B3,B4でロータ32が離れるため、電圧が低下し、逆に要素B7,B8で電圧が上昇する。このため、第1群94と第2群96とでの合計の電圧が同じとなるため、第1群94と第2群96との間で大きな電圧差が生じることがなく、第1群94と第2群96との間で電流が循環する循環電流が発生することがない。このため、回転電機の性能向上を図れる。また、図11に示す構成では、複数相のカセットコイル16を2つのY結線で結線するダブルスター結線型としているため、大電流を流す場合でも容易に対応できる。
【0044】
これに対して、図14のように、本実施の形態と同様の構成において、各相で周方向に隣り合うカセットコイル16を直列接続して、単一の中性点Nで単一のY結線で結線するシングルスター結線型とする場合には、本実施の形態と同様に循環電流が発生することはない。ただし、本実施の形態と異なり、大電流を流す場合に巻線断面を変える等、特別な対応をしないと、大電流に対する対応が困難になる。
【0045】
また、図15のように、本実施の形態と同様の構成において、各相でそれぞれ周方向に隣り合うカセットコイル16を約半周分のみ直列接続した第1群94と第2群96とを形成し、2つの中性点N1,N2で2つのY結線で結線するダブルスター結線型とすることも考えられる。ただし、この構成では、ロータ32の中心軸Oが図15の左上(図15の矢印α方向)に寄って、ステータ10に対し偏心した場合に、図16に示すように、第1群94の要素A1〜A4でロータ32(図15)が近づくため、電圧が上昇する。一方、第2群96の要素B5〜B8でロータ32が離れるため、電圧が低下する。このため、第1群94と第2群96との間で大きな電圧差が生じて、図16に矢印βで示すような、第1群94と第2群96との間で電流が循環する循環電流が発生する可能性がある。これに対して、上記の実施形態によれば、このような不都合をいずれも解消でき、性能向上を有効に図れる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、外周部に設けられる周方向バスバー配置部に配置される複数のバスバーにおいて、少なくとも一部のバスバーが略階段形状に形成されている。すなわち、図17〜18に示すように、各相のカセット環状部18,20,22において、外周部に設けられた各同相バスバー24u、24v、24wの長さ方向中間部に、周方向に対し傾斜する段差部である連結部36が設けられている。これについて、図17〜20を用いて詳しく説明する。図17は、図12のU相のカセット環状部18でバスバー24uを結合して示す、図12の矢印B方向に見た斜視図である。図18は、図12のU相のカセット環状部18でバスバー24uを結合して示す、図12の矢印C方向に見た斜視図である。図19は、図2のステータ10において、図2のD部と径方向反対側の周方向一部を、径方向外側から見た図である。図20は、図19のE−E断面図である。
【0047】
図17、図18に示すように、U相カセット環状部18では、外周部に、周方向に1つおきで離れた2つのカセットコイル16の他側径方向導出部90と片側径方向導出部70とを接続する同相バスバー24uが設けられている。また、複数の同相バスバー24uは、第1群94のカセットコイルを連結するために設けられる、図17,18でPで示す径方向内側の同相バスバー24uと、第2群96のカセットコイルを連結するために設けられる、図17,18でQで示す径方向外側の同相バスバー24uとを含む。上記の図11を参照して理解されるように、第1群94の同相バスバー24uと第2群96の同相バスバー24uとは、少なくともU相カセット環状部18の周方向一部で周方向同位置に配置される。このため、本実施形態では、第1群94の同相バスバー24uの両端部である、カセットコイル16との接続部を除く中間部は、外周部で周方向に伸びて複数の同相バスバー24u、24v、24w(図19)が配置される周方向バスバー配置部38の径方向内側である内側列に周方向に配置されている。
【0048】
また、第2群96の同相バスバー24uの両端部である、カセットコイル16との接続部を除く中間部は、周方向バスバー配置部38のうち、第1群94の同相バスバー24uよりも径方向外側である外側列に周方向に配置されている。また、各同相バスバー24uは、両端部に径方向に伸びるように曲げ形成され、カセットコイル16の両端部に重ね合わされて接合される接続部40,42を有する。また、各同相バスバー24uは、中間部に設けられ、互いにステータの軸方向である高さ方向(図17、図18の上下方向)にずれた第1部分44及び第2部分46と、第1部分44及び第2部分46を連結する段差部である連結部36とを有する。各第1部分44及び第2部分46は、周方向バスバー配置部38内で周方向に伸び、連結部36は、周方向に対し傾斜している。また、図19に示すように、V相カセット環状部20及びW相カセット環状部22の同相バスバー24v、24wも、U相カセット環状部18の同相バスバー24uと同様に形成されている。
【0049】
そして、図19、図20に示すように、各相の同相バスバー24u、24v、24wが、周方向バスバー配置部38の内側列48と外側列50とでそれぞれ互いに干渉しないように、すなわち、傾斜部36(図19)により別の相の同相バスバー24u、24v、24wを避けるように配置されている。例えば、図19において、U相の第2群96の同相バスバー24uにおいて、ステータコア14から遠い第2部分46が外側列50の上側(「上側」とは、ステータコア14から軸方向に遠い側をいい、図19の上側をいう。逆に、「下側」とは、ステータコア14に軸方向に近い側をいい、図19の下側をいう。以下同じである。)に配置されている。また、U相の第2群96の同相バスバー24uにおいて、ステータコア14に近い第1部分44が外側列50の下側に配置されている。V相及びW相の場合も同様である。
【0050】
また、U相の第2群96の同相バスバー24uの第1部分44の上側に、W相の第2群96の同相バスバー24wの第2部分46が軸方向に重なるように配置され、V相の第2群96の同相バスバー24vの第1部分44の上側に、U相の第2群96の同相バスバー24uの第2部分46が軸方向に重なるように配置されている。また、W相の第2群96の同相バスバー24wの第1部分44の上側に、V相の第2群96の同相バスバー24vの第2部分46が軸方向に重なるように配置されている。
【0051】
また、各相の第1群94の同相バスバー24u、24v、24wは、内側列48(図20)で、外側列50の第2群96の同相バスバー24u、24v、24wの場合と周方向位置がずれるだけで同様に配置されている。このため、各同相バスバー24u、24v、24wにおいて、図20に示す周方向バスバー配置部38に配置される中間部は、内側列48及び外側列50の径方向の2列において、上側及び下側の高さ方向の2列の合計4列内に配置される。また、周方向バスバー配置部38は、ステータ10の外周部において、カセットコイル16の両端部である片側径方向導出部70(図19)及び他側径方向導出部90の先端部よりも径方向に関して内側(図20の左側)に配置されている。また、周方向バスバー配置部38は、周方向に伸びて複数の同相バスバー24u、24v、24w及び後述する中性点バスバー30(図21,22,24,25)が配置される。
【0052】
次に、図21〜26を用いて中性点バスバー30について説明する。3相のカセット環状部18,20,22は、周方向に離れた第1中性点N1及び第2中性点N2の2個所でそれぞれ複数の中性点バスバー30によりY結線で結線されている。まず、第2群96の同相バスバー24u、24v、24w(24wは図19参照)で形成される第2群96の第2中性点N2について、図21〜23により説明する。図21は、図2のステータにおいて、図2のD部を含む周方向一部を、径方向外側から見た斜視図である。図22は、図21の上方から見た斜視図である。
【0053】
第2群96の第2中性点N2を形成するために、2つの中性点バスバー30である、第2UVバスバーBuvと第2UWバスバーBuwとが設けられている。以下、中性点バスバー30をBuv、Buwの符号を付して説明する場合がある。図21、図22に示すように、第2UVバスバーBuv及び第2UWバスバーBuwの中間部は、周方向バスバー配置部38のうち、外側列50と内側列48との周方向一部で同相バスバー24u、24v、24wが配置されない部分に設けられている。第2UVバスバーBuvは、両端部に設けられ径方向に伸びる接続部52と、中間部に設けられ、周方向に伸びる第1部分54及び第2部分56と、第1部分54及び第2部分56同士を連結する段差部である連結部58とを含んでいる。第1部分54及び第2部分56は、互いにステータ10の径方向にずれている。第1部分54は、周方向バスバー配置部38の上側の内側列48に配置され、第2部分46は、周方向バスバー配置部38の上側の外側列50に配置されている。第2UVバスバーBuvの片側(図21,22の左側)の接続部52は、第2群96のU相の最終コイルであるカセットコイル16の片側径方向導出部70に下側から重ね合わされ接合されている。第2UVバスバーBuvの他側(図21,22の右側)の接続部52は、第2群96のV相の最終コイルであるカセットコイル16の片側径方向導出部70に下側から重ね合わされ接合されている。
【0054】
第2UWバスバーBuwは、両端部に設けられ径方向に伸びる接続部98と、中間部に設けられ、周方向に伸びる第1部分100及び第2部分102と、第1部分100及び第2部分102同士を連結する段差部である連結部104とを含んでいる。第1部分100及び第2部分102は、互いにステータ10の軸方向である高さ方向にずれている。第1部分100は、周方向バスバー配置部38の下側の外側列50に配置され、第2部分102は、周方向バスバー配置部38の上側の外側列50に配置されている。第2UWバスバーBuwの第1部分100の一部は第2UVバスバーBuvの第2部分56と高さ方向に重なっている。
【0055】
第2UWバスバーBuwの連結部104は、周方向に対し傾斜し、第2群96のU相の同相バスバー24uの第1部分44を避けて、この第1部分44の上側に配置される。第2UWバスバーBuwの片側(図21,22の左側)の接続部98は、第2UVバスバーBuvの片側の接続部52に下側から重ね合わされ接合されている。第2UWバスバーBuwの他側(図21,22の右側)の接続部98は、第2群96のW相の最終コイルであるカセットコイル16の片側径方向導出部70に下側から重ね合わされ接合されている。第2UVバスバーBuv、第2UWバスバーBuw、及び第2群96のU相の最終コイルであるカセットコイル16の接続部は、第2中性点N2を形成する。
【0056】
図23は、図21のバスバー配置部におけるバスバー配置構成と、各相の径方向導出部及び中性点バスバーの接続部とを示す模式図である。図23では、上側のブロックにより第2群96の中性点N2の結線部を示しており、下側のブロックにより周方向バスバー配置部38での上下の内側列48及び外側列50を示している。上記のように第2群96の中性点N2の結線部は、2つのバスバーBuv、Buwにより形成されており、「U−V相(中)」は、第2UVバスバーBuvを示している。「U−W相(中)」は、第2UWバスバーBuwを示している。また、第2UVバスバーBuvでは、中間部で内側列48及び外側列50でずれる内外オフセットがされている。また、第2UWバスバーBuwでは、中間部で上側列及び下側列にずれる上下オフセットがされている。この結果、中性点バスバーである第2UVバスバーBuv及び第2UWバスバーBuwの周方向バスバー配置部38に配置される中間部は、内側列48及び外側列50の径方向の2列において、上側及び下側の高さ方向の2列の合計4列内に配置される。
【0057】
次に、図24〜26を用いて、第1群94の同相バスバー24u、24v、24wで形成される第1群94の第1中性点N1について説明する。図24は、図2のステータにおいて、図2のF部を含む周方向一部を、径方向外側から見た斜視図である。図25は、図24の上方から見た斜視図である。
【0058】
第1群94の第1中性点N1を形成するために、2つの中性点バスバー30である、第1UWバスバーCuwと第1VWバスバーCvwとが設けられている。以下、中性点バスバー30をCuw、Cvwの符号を付して説明する場合がある。図24、図25に示すように、第1UWバスバーCuw及び第1VWバスバーCvwの中間部は、周方向バスバー配置部38のうち、外側列50と内側列48との周方向一部で同相バスバー24u、24v、24wが配置されない部分に設けられている。第1UWバスバーCuwは、両端部に設けられ径方向に伸びる接続部106と、中間部に設けられ、周方向に伸びる第1部分(図示せず)及び第2部分110と、第1UWバスバーCuwの第1部分及び第2部分110同士を連結する段差部である連結部112とを含んでいる。第1UWバスバーCuwの第1部分及び第2部分110は、互いにステータ10の上下方向である高さ方向にずれている。第1部分は、周方向バスバー配置部38の下側の内側列48に配置され、第2部分110は、周方向バスバー配置部38の上側の内側列48に配置されている。第1UWバスバーCuwの連結部112は、周方向に対し傾斜し、第1群94の他の同相バスバーを避けて配置される。第1UWバスバーCuwの片側(図24,25の左側)の接続部106は、第1群94のU相の最終コイルであるカセットコイル16の他側径方向導出部90に上側から重ね合わされ接合されている。第1UWバスバーCuwの他側(図24,25の右側)の接続部106は、第1群94のW相の最終コイルであるカセットコイル16の他側径方向導出部90に上側から重ね合わされ接合されている。
【0059】
第1VWバスバーCvwは、両端部に設けられ径方向に伸びる接続部114と、中間部に設けられ、周方向に伸びる第1部分116及び第2部分118と、第1部分116及び第2部分118同士を連結する段差部である連結部120とを含んでいる。第1部分116及び第2部分118は、互いにステータ10の径方向にずれている。第1部分116は、周方向バスバー配置部38の下側の内側列48に配置され、第2部分118は、周方向バスバー配置部38の下側の外側列50に配置されている。第1UWバスバーCuwの第1部分116の一部は第1VWバスバーCvwの第1部分116と高さ方向に重なっている。第1VWバスバーCvwの片側(図24,25の左側)の接続部114は、第1群94のV相の最終コイルであるカセットコイル16の他側径方向導出部90に上側から重ね合わされ接合されている。第1VWバスバーCvwの他側(図24,25の右側)の接続部114は、第1UWバスバーCuwの他側の接続部106に上側から重ね合わされ接合されている。第1UWバスバーCuw、第1VWバスバーCvw、及び第1群94のW相の最終コイルであるカセットコイル16の接続部は、第1中性点N1を形成する。
【0060】
図26は、図24のバスバー配置部におけるバスバー配置構成と、各相の径方向導出部及び中性点バスバーの接続部とを示す模式図である。図26では、下側のブロックにより第1群94の中性点N1の結線部を示しており、上側のブロックにより周方向バスバー配置部38での上下の内側列48及び外側列50を示している。上記のように第1群94の中性点N1の結線部は、2つのバスバーCuw、Cvwにより形成されており、「U−W相(中)」は、第1UWバスバーCuwを示している。「V−W相(中)」は、第1VWバスバーCvwを示している。また、第1UWバスバーCuwでは、中間部で上側列及び下側列でずれる上下オフセットがされ、第1VWバスバーCvwでは、中間部で内側列48及び外側列50にずれる内外オフセットがされている。この結果、中性点バスバーである第1UWバスバーCuw及び第1VWバスバーCvwの周方向バスバー配置部38に配置される中間部は、内側列48及び外側列50の径方向の2列において、上側及び下側の高さ方向の2列の合計4列内に配置される。
【0061】
このようなステータ10では、上記のようなカセットコイル16を複数連結した環状構成としているため、ステータコア14に各相のカセット環状部18,20,22を軸方向に装着可能である。すなわち、各相分を周方向にずらして組み合わせた状態で、片側コイルエンド部68(図4、図5)を先にして、図1に示すステータコア14の複数のスロット12に各スロット挿入部60,62,64,66を挿入しつつ、ステータコア14の軸方向片側(図1の下側)から軸方向に挿入することで、ステータコア14に組み付けられる。片側コイルエンド部68に設けられたスロット通過部82,84(図4,5)及び第2スロット通過部124,126(図4,5)は、カセット環状部18,20,22のステータコア14への組み付け時に、対応するスロット12を軸方向に通過し、片側コイルエンド部68に設けられた内側連結部86(図4,5)及び第2内側連結部128(図4,5)は、ステータコア14の径方向に関して内周面よりも内側に配置されるので、組み付けの妨げとなることはない。
【0062】
さらに、このようなステータ10によれば、周方向に伸びて複数のバスバー24u、24v、24w、30が配置される周方向バスバー配置部38において、各同相バスバー24u、24v、24w及び各中性点バスバー30が階段形状に形成されている。このため、周方向の多くの個所で、複数のバスバー24u、24v、24w、30の配置の自由度を大きくでき、周方向バスバー配置部38の全部で、バスバー24u、24v、24w、30の軸方向、すなわち高さ方向の列を2列よりも多くすることなく、バスバー24u、24v、24w、30の径方向の列を2列に少なくできる。このため、上記の図20に示すように、周方向バスバー配置部38の径方向寸法を小さくでき、周方向バスバー配置部38から各カセットコイル16の両端部の先端部の溶接による接合部までの距離を確保できるので、ステータ10の小型化を図れる。
【0063】
また、3相のカセット環状部18,20,22は、複数のY結線で結線され、ダブルスター結線とされている。このため、周方向バスバー配置部38で周方向同位置に設けられるバスバー24u、24v、24w、30の数が多くなりやすいのにもかかわらず、周方向バスバー配置部38の全部で、バスバー24u、24v、24w、30の軸方向の列を多くすることなく、バスバー24u、24v、24w、30の径方向の列を2列以内に少なくできる。このため、ステータ10の小型化を図れる効果が顕著になる。しかも大電流化に容易に対応できる。また、渦損低減とカセットコイル16の加工性の向上とを図れる。
【0064】
また、3相のカセット環状部18,20,22は、第1中性点N1及び第2中性点N2でそれぞれY結線されており、各相のカセット環状部18,20,22において、周方向に配置された複数のカセットコイル16のうち、周方向1つおきの複数のカセットコイル16が直列接続され、第1中性点N1に接続される第1群94が形成され、第1群94と周方向に隣り合う複数のカセットコイル16が直列接続され、第2中性点N2に接続される第2群96が形成されている。また、第1群94において、周方向に隣り合うカセットコイル16の径方向導出部70,90同士が、複数の同相バスバー24u、24v、24wにより接続され、入力端IN側から第1中性点N1側に向かって複数のカセットコイル16が周方向一方向に並んで配置されている。また、第2群96において、周方向に隣り合うカセットコイル16の径方向導出部70,90同士が、複数の同相バスバー24u、24v、24wにより接続され、入力端IN側から第2中性点N2側に向かって複数のカセットコイル16が周方向他方向に並んで配置されている。このため、3相のカセット環状部18,20,22は、2つのY結線で結線されるのにもかかわらず、各同相バスバー24u、24v、24wを短くできるので、周方向バスバー配置部38の全部で、より有効に、バスバー24u、24v、24w、30の軸方向の列を多くすることなく、バスバー24u、24v、24w、30の径方向の列を2列以内に少なくできる。このため、より有効にステータ10の小型化を図れる。さらに、各カセットコイル16が隔極巻きで連結されているため、高調波ノイズの発生を低減でき、低騒音化及び低振動化を図れる。また、各カセットコイル16は、第1要素72と第2要素74とが接合された同形状で構成できるので、低コスト化を図れる。
【0065】
なお、本実施形態では、第1群94の同相バスバー24u、24v、24wの中間部が周方向バスバー配置部38の内側列48に配置され、第2群96の同相バスバー24u、24v、24wの中間部が周方向バスバー配置部38の外側列50に配置される場合を説明したが、内側列48及び外側列50に配置される要素は互いに逆にすることもできる。また、本実施形態では、すべての同相バスバー24u、24v、24w及び中性点バスバー30が階段形状に形成された場合を説明したが、一部のバスバーのみ階段形状に形成することもできる。ただし、同相バスバー24u、24v、24w及び中性点バスバー30の両方を階段形状に形成することが、周方向バスバー配置部38でのバスバー24u、24v、24w、30の列を少なくする面から好ましい。また、複数のバスバー24u、24v、24w、30は、径方向にずれる階段形状のバスバーと、軸方向にずれる階段形状のバスバーとを含むように構成することが、周方向バスバー配置部38でのバスバー24u、24v、24w、30の列を有効に少なくする面から好ましい。
【0066】
次に、図27は、複数相のカセットコイルをダブルスター結線で接続する場合の回転電機の別例を示す、図11に対応する図である。図28は、図27の回転電機でロータが図27の左上に寄った場合に、第1群94と第2群96とのカセットコイル16での電圧変化を説明するための単相分の複数のカセットコイル16の回路図である。図27に示すように、上記の実施形態において、各相のカセットコイル16をダブルスター結線で接続する場合に、1/4周分で分けて、第1群94及び第2群96のそれぞれで半分のカセットコイル16同士を径方向に対向配置することも考えられる。この場合、第1群94の要素A4が径方向反対側の第1群94の要素A5に同相バスバー24uで接続され、第2群96の要素B4が径方向反対側の第2群96の要素B5に同相バスバー24uで接続される。
【0067】
このような構成では、例えば、図27に示すように、ステータ10の内側に永久磁石34付きのロータ32を対向配置している場合に、ロータ32の中心軸Oが図27の左上(図27の矢印α方向)に寄って、ステータ10に対し偏心した場合に、図28に示すように、第1群94の要素1A〜4Aでロータ32が近づくため、電圧(誘起電圧)が上昇し、逆に要素5A〜8Aでロータ32が離れるため、電圧が低下する。ただし、第1群94の合計の電圧が第2群96と同じとなるため、第1群94と第2群96との間で大きな電圧差が生じることがなく、第1群94と第2群96との間で循環電流が発生しない。一方、この構成では、一部の同相バスバー24uがかなり長くなり、周方向バスバー配置部38での複数のバスバー24uが一部で径方向に3列となり、径方向寸法が大きくなる可能性がある。このため、ステータ10の小型化を図る面では上記の本実施の形態の場合よりも劣る。ただし、バスバー24uの少なくとも一部を階段形状に形成することで、周方向一部で周方向バスバー配置部38の径方向の列を少なくできる可能性はある。その他の構成及び作用は、上記の実施形態と同様である。
【0068】
次に、図29は、本発明の実施の形態の別例のステータを示す、図2に対応する図である。図30は、図29のステータにおいて、図29のG部を含む周方向一部を、径方向外側から見た図である。図31は、図29のステータにおいて、図29のH部を含む周方向一部を、径方向外側から見た図である。
【0069】
本実施の形態のステータ10では、上記の図1〜13,17〜26に示した実施形態において、一部の中性点バスバー30の周方向バスバー配置部38に配置される中間部が階段形状に形成されていない。例えば、図30に示すように、第1中性点N1を形成するための第1VWバスバーCvwの中間部は、単に周方向に伸びる形状であり、図24,25に示した実施形態と異なり、径方向にずれた両側部分が段差部で連結される形状ではない。このため、第1VWバスバーCvwは周方向バスバー配置部38の径方向の3列目の外側に配置され、径方向の列が多くなってしまう。
【0070】
また、図31に示すように、第2中性点N2を形成するための上側の外側列50に配置される第2UWバスバーBuwのさらに径方向外側に第2UVバスバーBuvが配置されている。この構成では、第2UWバスバーBuwも第2UVバスバーBuvのいずれも周方向バスバー配置部38に配置される中間部は単なる周方向に伸びる形状であり、図21,22に示した実施形態と異なり、径方向または軸方向にずれた部分が段差部で連結される形状ではない。このため、第2UVバスバーBuv及び第2UWバスバーBuwが径方向に重なる部分で周方向バスバー配置部38の径方向の列は3列となっている。このような構成では、周方向バスバー配置部38の一部で径方向の列が3列となり、上記の図1〜13,17〜26に示した実施形態の場合に比べて、ステータ10の小型化を図る面では劣る。ただし、各同相バスバー24u、24v、24wは階段形状に形成されており、周方向バスバー配置部38の多くの部分で、バスバー24u、24v、24w、30の軸方向の列を多くすることなく、バスバー24u、24v、24w、30の径方向の列を2列以内に少なくできる。その他の構成及び作用は、上記の実施形態と同様である。
【0071】
なお、上記の図14に示したシングルスター結線の構成、または上記の図15、図16に示したダブルスター結線の構成で、少なくとも一部のバスバーを階段形状に形成することもできる。また、図示は省略するが、上記の図1〜13,17〜26に示した実施形態において、第1群94及び第2群96を、いずれも各相で入力端IN側から中性点N1,N2側に向かって複数のカセットコイル16が周方向一方向に並んで配置され、入力端IN及び中性点N1,N2の位置が第1群94及び第2群96で互いに周方向にずれる構成とする場合に、少なくとも一部のバスバーを階段形状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0072】
10 ステータ、12 スロット、14 ステータコア、16 導体カセットコイル、18,20,22 カセット環状部、24u、24v、24w 同相バスバー、30 中性点バスバー、32 ロータ、34 永久磁石、36 連結部、38 周方向バスバー配置部、40,42 接続部、44 第1部分、46 第2部分、48 内側列、50 外側列、52 接続部、54 第1部分、56 第2部分、58 連結部,60 片側スロット挿入部、62 片側中間スロット挿入部、64 他側中間スロット挿入部、66 他側スロット挿入部、68 片側コイルエンド部、70 片側径方向導出部、72 第1要素、74 第2要素、78 他側中間径方向導出部、80 第1連結要素、82,84 スロット通過部、86 内側連結部、88 片側中間径方向導出部、90 他側径方向導出部、92 第2連結要素、94 第1群、96 第2群、98 接続部、100 第1部分、102 第2部分、104 連結部、106 接続部、110 第2部分、112 連結部、114 接続部、116 第1部分、118 第2部分、120 連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコアと、
ステータコアに軸方向に装着され、各相同士で同芯に配置される複数相のカセット環状部とを備え、
各相のカセット環状部は、ステータコアに巻装され、互いに環状に接続される複数のステータコイルを含み、
各相のカセット環状部において、複数のステータコイルの径方向外端部に径方向に伸びるように設けられた径方向導出部は、外周部に設けられた複数の同相バスバーにより接続されており、
複数相のカセット環状部は、外周部に設けられた複数の中性点バスバーにより接続されており、
外周部で周方向に伸びて複数の同相バスバー及び中性点バスバーが配置される周方向バスバー配置部において、同相バスバー及び中性点バスバーの少なくとも一部のバスバーは、階段形状に形成されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1に記載の同芯カセット式回転電機ステータにおいて、
階段状に形成されたバスバーは、ステータの軸方向である高さ方向または径方向にずれた第1部分及び第2部分と、第1部分及び第2部分を連結する段差部とを有することを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の同芯カセット式回転電機ステータにおいて、
複数相のカセット環状部は、複数のY結線で結線されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の同芯カセット式回転電機ステータにおいて、
各相のカセット環状部は、周方向複数個所に配置されたステータコイルである複数の導体カセットコイルを含み、
各導体カセットコイルは、両端部に設けられた径方向導出部と、各径方向導出部に連結され、互いに離れたスロットに挿入される複数のスロット挿入部とを有し、
各相のカセット環状部において、複数の導体カセットコイルの径方向導出部は、別の導体カセットコイルの端部に設けられた径方向導出部に同相バスバーにより接続されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。
【請求項5】
請求項4に記載の同芯カセット式回転電機ステータにおいて、
各導体カセットコイルは、周方向片側に設けられた片側径方向導出部を有し、周方向に離れた2つのスロットに挿入されるように複数回ステータコアの周方向一部に巻回される第1要素と、周方向他側に設けられた他側径方向導出部を有し、周方向に離れた2つのスロットに挿入されるように複数回ステータコアの周方向一部に巻回される第2要素とを含み、第1要素の片側径方向導出部に対する反対側端部と、第2要素の他側径方向導出部に対する反対側端部とが接続されており、
第1要素のスロット挿入部と第2要素のスロット挿入部とが周方向にずれたスロットに挿入されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。
【請求項6】
請求項5に記載の同芯カセット式回転電機ステータにおいて、
複数相のカセット環状部は、第1中性点及び第2中性点でそれぞれY結線されており、
各相のカセット環状部において、
周方向に配置された複数の導体カセットコイルのうち、周方向1つおきの複数の導体カセットコイルが直列接続され、第1中性点に接続される第1群が形成され、第1群と周方向に隣り合う複数の導体カセットコイルが直列接続され、第2中性点に接続される第2群が形成され、
第1群において、周方向に隣り合う導体カセットコイルの径方向導出部同士が、複数の同相バスバーにより接続され、入力端側から第1中性点側に向かって複数の導体カセットコイルが周方向一方向に並んで配置されており、
第2群において、周方向に隣り合う導体カセットコイルの径方向導出部同士が、複数の同相バスバーにより接続され、入力端側から第2中性点側に向かって複数の導体カセットコイルが周方向他方向に並んで配置されていることを特徴とする同芯カセット式回転電機ステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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