同軸コネクタ及び接続装置
【課題】パネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収すること。
【解決手段】中心導体3を保持するハウジング3を筒状の外部導体7に収容し、ハウジング3を外部導体7に外部導体7の中心軸SL7と直交する方向へ移動可能に保持させた。
【解決手段】中心導体3を保持するハウジング3を筒状の外部導体7に収容し、ハウジング3を外部導体7に外部導体7の中心軸SL7と直交する方向へ移動可能に保持させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は同軸コネクタ及びそれを備えた接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心導体及び外部導体の軸方向のずれを修正するためのフローティング機構付の同軸プラグコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この同軸プラグコネクタは中心コンタクトと外部コンタクトとインシュレータとシェルとフローティングフランジとコイルスプリングとを備えている。
【0004】
中心導体はほぼ軸状である。外部コンタクトは円筒状であり、中心導体を収容する。インシュレータは中心導体と外部コンタクトとの間に介在する。
【0005】
シェルはほぼ円筒状であり、外部コンタクトの先端部を収容する。シェルは外部コンタクトの中心軸方向へ移動できるように外部コンタクトに装着されている。シェルの先端部の内壁面には、相対的にレセプタクルコネクタをシェル内に導き入れるテーパ面が形成されている。
【0006】
フローティングフランジはほぼ円筒状であり、中心コンタクト、外部コンタクト及びインシュレータを収容するとともに、シェルの後端部を収容する。フローティングフランジはフランジ部を有する。フランジ部は固定ねじでパネルに緩く固定される。フランジ部に固定ねじを通す孔が設けられ、その孔の内径は固定ねじの軸部の外径よりも大きく、固定ねじの頭部の外径よりも小さい。したがって、フローティングフランジは中心コンタクトの径方向に沿って所定距離だけ移動可能である。
【0007】
フローティングフランジ内にはコイルスプリングが配置されている。コイルスプリングは外部コンタクトの外周面に装着されている。コイルスプリングはシェルをレセプタクルコネクタの方へ押圧する。
【0008】
上述のプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを接続する場合、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの間に軸ずれがあると、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させるとき、プラグコネクタのシェル先端部のテーパ面にレセプタクルコネクタの先端部が突き当たり、プラグコネクタが中心コンタクトの径方向へ移動し、プラグコネクタの中心コンタクトがレセプタクルコネクタの中心コンタクトの中心軸上に案内される。その結果、軸ずれが解消され、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとが正常に嵌合する。
【特許文献1】特開2003−123914号公報(段落0021、図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の同軸プラグコネクタは軸ずれを解消することができるが、そのために上述のフローティングフランジはフランジ部を有し、そのフランジ部の孔の内径を固定ねじの軸部の外径よりも大きくするという構成を採用したため、パネルに対するコネクタの装着スペースが大きくなる。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はパネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の同軸コネクタは、中心導体と、前記中心導体を保持するハウジングと、前記ハウジングを収容する筒状の外部導体とを備えている同軸コネクタにおいて、前記ハウジングが、前記外部導体に前記外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されていることを特徴とする。
【0012】
上述のようにハウジングが外部導体に外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されているので、外部導体を単にパネルに固定すれば、中心導体がハウジングとともに外部導体の中心軸と直交する方向へ移動できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の同軸コネクタにおいて、前記外部導体の中心軸に対して前記中心導体の中心軸が傾斜可能に前記ハウジングが前記外部導体に保持されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと、前記両同軸コネクタ同士を嵌合して前記両外部導体の先端面同士が接触したとき前記両パネル間に形成される空間部と、前記空間部を介して対向する前記両パネルを結合する結合手段とを備え、前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記プラグ側外部導体の中心軸に対して前記プラグ側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記レセプタクル側外部導体の中心軸に対して前記レセプタクル側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、導電性を有する材料で形成され、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、導電性を有する材料で形成され、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと前記両同軸コネクタ同士を嵌合したときの前記両外部導体の先端面間に形成される空間部とを備え、前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持され、前記両同軸コネクタ同士を嵌合したとき、前記プラグ側孔に前記レセプタクル側外部導体が嵌合、又は前記レセプタクル側孔に前記プラグ側外部導体が嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、パネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1はこの発明の第1実施形態に係る接続装置の斜視図、図2Aは図1に示す接続装置のプラグ側同軸コネクタの側面図、図2Bは同プラグ側同軸コネクタの正面図、図3Aは図2Aに示すプラグ側同軸コネクタのプラグ側中心導体の中心軸とプラグ側外部導体の中心軸とが一致している状態を示す断面図、図3Bは同プラグ側中心導体の中心軸と同プラグ側外部導体の中心軸とが同プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へずれている状態を示す断面図、図3Cは同プラグ側中心導体の中心軸が同プラグ側外部導体の中心軸に対して傾斜している状態を示す断面図、図4は図1に示す接続装置の接続前の状態を示す断面図、図5は図4に示す接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【0019】
図1、4に示すように、接続装置41はプラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを備える。
【0020】
図2A、2B、図3A、3B、3Cに示すように、プラグ側同軸コネクタ1はプラグ側中心導体3とインシュレータであるプラグ側ハウジング5とプラグ側外部導体7とを有する。
【0021】
プラグ側中心導体3は金属で形成され、ピン部31とフランジ部32と端子部33とを有する。ピン部31は大径部31aと小径部31bとを有する。大径部31aは円柱状であり、その半分はプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。小径部31bは大径部31aに結合され、小径部31bの先端部はほぼ半球状に形成されている。フランジ部32はピン部31に結合されている。フランジ部32の外径は大径部31aや端子部33の外径よりも大きい。フランジ部32はプラグ側中心導体3がプラグ側ハウジング5から抜けないようにプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。端子部33はフランジ部32に結合されている。端子部33は円柱状で、ケーブル(図示せず)の中心導体と接続するものであり、そのほぼ半分はプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。
【0022】
プラグ側ハウジング5はプラグ外部コンタクト3を保持している。プラグ側ハウジング5は絶縁材料でほぼ円柱状に形成され、大径部51と小径部52とを有する。大径部51の先端部の外周縁にはテーパ面51aが形成されている。小径部52は大径部51に結合されている。
【0023】
プラグ側外部導体7は金属で形成されている。プラグ側外部導体7は円筒状であり、ケーブルの外部導体に接続される。プラグ側外部導体7の内壁面71の後部には環状溝72が形成されている。環状溝72はプラグ側外部導体7の中心軸SL7を中心とする円に沿う溝である。プラグ側外部導体7の内径(環状溝72が形成されている部分以外の部分の内径)はプラグ側ハウジング5の大径部51の外径よりも小さく、プラグ側ハウジング5の小径部52の外径よりも少し大きい。プラグ側外部導体7の環状溝72が形成されている部分の内径はプラグ側ハウジング5の大径部51の外径よりも大きい。また、環状溝72の溝幅はプラグ側ハウジング5の大径部51の厚さ(高さ)よりも少し大きい。
【0024】
図3Aに示すように、プラグ側ハウジング5の大径部51はプラグ側外部導体7にこじ入れるようにして挿入され、環状溝72に収容される。このため、一旦プラグ側ハウジング5の大径部51がプラグ側外部導体7の環状溝72に収容されると、プラグ側ハウジング5はプラグ側外部導体7から容易に抜けない。
【0025】
上述のようにプラグ側外部導体7の環状溝72が形成されている部分以外の部分の内径73はプラグ側ハウジング5の小径部52の外径よりも少し大きいので、その分だけ、図3Bに示すように、プラグ側ハウジング5はプラグ側外部導体7の中心軸SL7に直交する方向へ移動可能である。したがって、プラグ側中心導体3はプラグ側ハウジング5とともに中心軸SL7に直交する方向へ移動可能である。
【0026】
また、上述のように環状溝72の溝幅はプラグ側ハウジング5の大径部51の厚さよりも少し大きいので、その分だけ、プラグ側ハウジング5は中心軸SL7方向へ移動可能である。したがって、プラグ側中心導体3はプラグ側ハウジング5とともに中心軸SL7方向へ移動可能である。
【0027】
以上のようにプラグ側ハウジング5は中心軸SL7と直交する方向と中心軸SL7方向へと移動可能であるので、図3Cに示すように、プラグ側コンタクト3の中心軸SL3をプラグ側外部導体7に中心軸SL7に対して傾斜させることができる。
【0028】
中心導体3の外径をd、外部導体7の内径をDとすると、特性インピーダンスZ0は次式で求められる。
【0029】
Z0=138/(εr)^0.5×log(D/d)・・・数式1
【0030】
但し、logは10log、εrはハウジング5の比誘電率である。
【0031】
数式1は中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致している状態の計算式である。
【0032】
上述のように中心導体3はハウジング5を介して外部導体7にフローティング状態に保持されているので、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致しないときがあるが、そのときの特性インピーダンスの変化量はごくわずかであり、問題ない。具体的な数値を挙げると、dが1mm、Dが2.3mmの場合、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致しているときの特性インピーダンスの値は49.95Ωであるが、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが0.05mmずれたときの特性インピーダンスの値は49.81Ωであった。
【0033】
図1、4に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とはほぼ同じ構成であるので、プラグ側同軸コネクタ1と同様な部分についてはプラグ側同軸コネクタ1の符号と同じ符号を付けてその説明を省略する。但し、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とを区別するために、レセプタクル側同軸コネクタ11の符号には´(ダッシュ)をつけた。
【0034】
プラグ側コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは中心導体3,13の構造の点で異なる。
【0035】
レセプタクル側中心導体13はソケット部131とフランジ部32´と端子部33´とを有する。レセプタクル側中心導体13とプラグ側中心導体3との違いは、先端部がソケット部131かピン部31かの違いだけである。
【0036】
ソケット部131の外周面には一対のスリット131aが形成されている。スリット131aはレセプタクル側中心導体13の中心軸に沿って延びている。
【0037】
図4に示すように、プラグ側パネル21にはプラグ側孔21aが形成されている。図8に示すように、プラグ側孔21aは水平方向に沿って2つ並んでいる。2つのプラグ側同軸コネクタ1はそれぞれ単にプラグ側孔21aに圧入されることによってプラグ側パネル21に固定されている。
【0038】
また、レセプタクル側パネル25にはレセプタクル側孔25aが形成されている。図8に示すように、レセプタクル側孔25aは水平方向に沿って2つ並んでいる。2つのレセプタクル側同軸コネクタ11はそれぞれ単にレセプタクル側孔25aに圧入されることによってレセプタクル側パネル25に固定されている。
【0039】
図4はプラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11との間に軸ずれ(プラグ側外部導体7の中心軸SL7と直交する方向のずれ)がない状態を示しているが、この状態から矢印に沿ってプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを移動させれば、図5に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは正常に接続される。
【0040】
このとき、プラグ側外部導体7とレセプタクル側外部導体7´とは接触する。この接触状態を保つためプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とは結合手段(例えばボルト・ナット、クリップ)によって結合される。このようにプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とには互いに近づくように作用する結合力が与えられている。
【0041】
外部導体7,7´同士が接触する前に、パネル21,25同士が接触すると、外部導体7,7´が接触できなくなるので、プラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25との間には隙間(空間部)23が生じるように構成されている。
【0042】
図6は図4に示す接続装置が軸ずれを起こした状態を示す断面図、図7は図6に示す接続装置が接続された状態を示す断面図である。
【0043】
図6に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とが例えば上下方向へ軸ずれを起こしている場合でも、矢印に沿ってプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを移動させれば、レセプタクル側中心導体7のソケット部131がプラグ側中心導体3のピン部31を誘い入れるときに、プラグ側中心導体3とレセプタクル側中心導体13とがそれぞれ外部導体7、7´の中心軸SL7,7´に直交する方向へ移動することによって軸ずれが解消され、図7に示すように、中心導体3,13同士が嵌合できる。更に、プラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを互いに近づければ、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは正常に接続される。
【0044】
図8は図4に示す接続装置の同軸コネクタの嵌合高さが異なった状態で接続した状態を示す平面図、図9は図8に示す同軸コネクタの拡大図である。図8、図9の両コネクタ1,11の両外部導体7,7´の一部が切り欠いてある
【0045】
2つのプラグ側同軸コネクタ1,1はプラグ側パネル21に水平方向に沿って並べられ、2つのレセプタクル側同軸コネクタ11はレセプタクル側パネル25に水平方向に沿って並べられているが、製造誤差や取付誤差等により、同軸コネクタ1,11の嵌合高さ(中心軸SL7,7´方向でのパネル21,25から同軸コネクタ1,11の嵌合方向先端面までの距離)が異なる場合がある。一例として、図8ではプラグ側同軸コネクタ1,1が異なった場合を示している。
【0046】
この場合、図8に示すように、中心導体3,13が傾斜できるので、中心導体3,13が相対的にパネル21,25に対して傾斜することにより、嵌合高さが低い方へパネル21,25を近づける(図8に示すパネル21,25の間隔a,bをa>bとする)ことによって嵌合高さの違いを吸収することができる。その結果、高周波特性の劣化を防ぐことができる。
【0047】
このとき、図9に示すように、外部導体7,7´同士は全面で接触しないが、電気的な導通は得られる。
【0048】
第1実施形態によれば、パネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することができ、更に、コネクタ間の嵌合高さの違いも吸収することができる。
【0049】
図10Aはこの発明の第2実施形態に係る接続装置の接続前の状態を示す断面図、図10Bは同接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【0050】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0051】
第1実施形態では、パネル21,25は外部導体7,7´同士の導通には関与していないが、第2実施形態では、パネル221,225は外部導体7,7´同士の導通に関与している。
【0052】
プラグ側パネル221及びレセプタクル側パネル225は導電性を有する材料で形成されている。
【0053】
プラグ側同軸コネクタ1のプラグ側外部導体7の先端部はレセプタクル側パネル225のレセプタクル側孔225aに挿入され、レセプタクル側パネル225と接触する。これにより、プラグ側外部導体7とレセプタクル側外部導体7´とはレセプタクル側パネル225を介して導通する。
【0054】
このため、第2実施形態では、外部導体7,7´同士を突き合わせる必要が無く、この特徴を利用して同軸コネクタ1、11の嵌合高さの違いを解消できるようにするために、パネル221,225同士が突き合わされた状態のときに、外部導体7,7´同士の間に隙間(空間部)9が生じるように構成されている。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0056】
上述のように第2実施形態では外部導体7,7´同士を接触させる必要が無いので、中心導体3,13は傾斜できなくても構わない。したがって、第2実施形態の変形例としては、ハウジング5,5´が中心軸SL7,7´の直交方向にだけ移動できるように外部導体7,7´に保持された同軸コネクタ1,13を用いることが考えられる。
【0057】
この変形例によれば、より簡素な構成の同軸コネクタを得られる。
【0058】
なお、上述の実施形態の接続装置は一般的な電気用の接続装置であるが、この発明の適用範囲はこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る接続装置の斜視図である。
【図2A】図2Aは図1に示す接続装置のプラグ側同軸コネクタの側面図である。
【図2B】図2Bは同プラグ側同軸コネクタの正面図である。
【図3A】図3Aは図2Aに示すプラグ側同軸コネクタのプラグ側中心導体の中心軸とプラグ側外部導体の中心軸とが一致している状態を示す断面図である。
【図3B】図3Bは同プラグ側中心導体の中心軸と同プラグ側外部導体の中心軸とが同プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へずれている状態を示す断面図である。
【図3C】図3Cは同プラグ側中心導体の中心軸が同プラグ側外部導体の中心軸に対して傾斜している状態を示す断面図である。
【図4】図4は図1に示す接続装置の接続前の状態を示す断面図である。
【図5】図5は図4に示す接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【図6】図6は図4に示す接続装置が軸ずれを起こした状態を示す断面図である。
【図7】図7は図6に示す接続装置が接続された状態を示す断面図である。
【図8】図8は図4に示す接続装置の同軸コネクタの嵌合高さが異なった状態で接続した状態を示す平面図である。
【図9】図9は図8に示す同軸コネクタの拡大図である。
【図10A】図10Aはこの発明の第2実施形態に係る接続装置の接続前の状態を示す断面図である。
【図10B】図10Bは同接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 プラグコネクタ
3 プラグ側中心導体
5 プラグ側ハウジング
7 プラグ側外部導体
11 レセプタクル側同軸コネクタ
13 レセプタクル側中心導体
5´ レセプタクル側ハウジング
7´ レセプタクル側外部導体
9 隙間(空間部)
21 プラグ側パネル
21a プラグ側孔
23 隙間(空間部)
25 レセプタクル側パネル
25a レセプタクル側孔
41 接続装置
221 プラグ側パネル
221a プラグ側孔
225 レセプタクル側パネル
225a レセプタクル側孔
241 接続装置
【技術分野】
【0001】
この発明は同軸コネクタ及びそれを備えた接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心導体及び外部導体の軸方向のずれを修正するためのフローティング機構付の同軸プラグコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この同軸プラグコネクタは中心コンタクトと外部コンタクトとインシュレータとシェルとフローティングフランジとコイルスプリングとを備えている。
【0004】
中心導体はほぼ軸状である。外部コンタクトは円筒状であり、中心導体を収容する。インシュレータは中心導体と外部コンタクトとの間に介在する。
【0005】
シェルはほぼ円筒状であり、外部コンタクトの先端部を収容する。シェルは外部コンタクトの中心軸方向へ移動できるように外部コンタクトに装着されている。シェルの先端部の内壁面には、相対的にレセプタクルコネクタをシェル内に導き入れるテーパ面が形成されている。
【0006】
フローティングフランジはほぼ円筒状であり、中心コンタクト、外部コンタクト及びインシュレータを収容するとともに、シェルの後端部を収容する。フローティングフランジはフランジ部を有する。フランジ部は固定ねじでパネルに緩く固定される。フランジ部に固定ねじを通す孔が設けられ、その孔の内径は固定ねじの軸部の外径よりも大きく、固定ねじの頭部の外径よりも小さい。したがって、フローティングフランジは中心コンタクトの径方向に沿って所定距離だけ移動可能である。
【0007】
フローティングフランジ内にはコイルスプリングが配置されている。コイルスプリングは外部コンタクトの外周面に装着されている。コイルスプリングはシェルをレセプタクルコネクタの方へ押圧する。
【0008】
上述のプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを接続する場合、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの間に軸ずれがあると、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させるとき、プラグコネクタのシェル先端部のテーパ面にレセプタクルコネクタの先端部が突き当たり、プラグコネクタが中心コンタクトの径方向へ移動し、プラグコネクタの中心コンタクトがレセプタクルコネクタの中心コンタクトの中心軸上に案内される。その結果、軸ずれが解消され、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとが正常に嵌合する。
【特許文献1】特開2003−123914号公報(段落0021、図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の同軸プラグコネクタは軸ずれを解消することができるが、そのために上述のフローティングフランジはフランジ部を有し、そのフランジ部の孔の内径を固定ねじの軸部の外径よりも大きくするという構成を採用したため、パネルに対するコネクタの装着スペースが大きくなる。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はパネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の同軸コネクタは、中心導体と、前記中心導体を保持するハウジングと、前記ハウジングを収容する筒状の外部導体とを備えている同軸コネクタにおいて、前記ハウジングが、前記外部導体に前記外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されていることを特徴とする。
【0012】
上述のようにハウジングが外部導体に外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されているので、外部導体を単にパネルに固定すれば、中心導体がハウジングとともに外部導体の中心軸と直交する方向へ移動できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の同軸コネクタにおいて、前記外部導体の中心軸に対して前記中心導体の中心軸が傾斜可能に前記ハウジングが前記外部導体に保持されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと、前記両同軸コネクタ同士を嵌合して前記両外部導体の先端面同士が接触したとき前記両パネル間に形成される空間部と、前記空間部を介して対向する前記両パネルを結合する結合手段とを備え、前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記プラグ側外部導体の中心軸に対して前記プラグ側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記レセプタクル側外部導体の中心軸に対して前記レセプタクル側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、導電性を有する材料で形成され、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、導電性を有する材料で形成され、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと前記両同軸コネクタ同士を嵌合したときの前記両外部導体の先端面間に形成される空間部とを備え、前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持され、前記両同軸コネクタ同士を嵌合したとき、前記プラグ側孔に前記レセプタクル側外部導体が嵌合、又は前記レセプタクル側孔に前記プラグ側外部導体が嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、パネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1はこの発明の第1実施形態に係る接続装置の斜視図、図2Aは図1に示す接続装置のプラグ側同軸コネクタの側面図、図2Bは同プラグ側同軸コネクタの正面図、図3Aは図2Aに示すプラグ側同軸コネクタのプラグ側中心導体の中心軸とプラグ側外部導体の中心軸とが一致している状態を示す断面図、図3Bは同プラグ側中心導体の中心軸と同プラグ側外部導体の中心軸とが同プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へずれている状態を示す断面図、図3Cは同プラグ側中心導体の中心軸が同プラグ側外部導体の中心軸に対して傾斜している状態を示す断面図、図4は図1に示す接続装置の接続前の状態を示す断面図、図5は図4に示す接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【0019】
図1、4に示すように、接続装置41はプラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを備える。
【0020】
図2A、2B、図3A、3B、3Cに示すように、プラグ側同軸コネクタ1はプラグ側中心導体3とインシュレータであるプラグ側ハウジング5とプラグ側外部導体7とを有する。
【0021】
プラグ側中心導体3は金属で形成され、ピン部31とフランジ部32と端子部33とを有する。ピン部31は大径部31aと小径部31bとを有する。大径部31aは円柱状であり、その半分はプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。小径部31bは大径部31aに結合され、小径部31bの先端部はほぼ半球状に形成されている。フランジ部32はピン部31に結合されている。フランジ部32の外径は大径部31aや端子部33の外径よりも大きい。フランジ部32はプラグ側中心導体3がプラグ側ハウジング5から抜けないようにプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。端子部33はフランジ部32に結合されている。端子部33は円柱状で、ケーブル(図示せず)の中心導体と接続するものであり、そのほぼ半分はプラグ側ハウジング5に埋め込まれている。
【0022】
プラグ側ハウジング5はプラグ外部コンタクト3を保持している。プラグ側ハウジング5は絶縁材料でほぼ円柱状に形成され、大径部51と小径部52とを有する。大径部51の先端部の外周縁にはテーパ面51aが形成されている。小径部52は大径部51に結合されている。
【0023】
プラグ側外部導体7は金属で形成されている。プラグ側外部導体7は円筒状であり、ケーブルの外部導体に接続される。プラグ側外部導体7の内壁面71の後部には環状溝72が形成されている。環状溝72はプラグ側外部導体7の中心軸SL7を中心とする円に沿う溝である。プラグ側外部導体7の内径(環状溝72が形成されている部分以外の部分の内径)はプラグ側ハウジング5の大径部51の外径よりも小さく、プラグ側ハウジング5の小径部52の外径よりも少し大きい。プラグ側外部導体7の環状溝72が形成されている部分の内径はプラグ側ハウジング5の大径部51の外径よりも大きい。また、環状溝72の溝幅はプラグ側ハウジング5の大径部51の厚さ(高さ)よりも少し大きい。
【0024】
図3Aに示すように、プラグ側ハウジング5の大径部51はプラグ側外部導体7にこじ入れるようにして挿入され、環状溝72に収容される。このため、一旦プラグ側ハウジング5の大径部51がプラグ側外部導体7の環状溝72に収容されると、プラグ側ハウジング5はプラグ側外部導体7から容易に抜けない。
【0025】
上述のようにプラグ側外部導体7の環状溝72が形成されている部分以外の部分の内径73はプラグ側ハウジング5の小径部52の外径よりも少し大きいので、その分だけ、図3Bに示すように、プラグ側ハウジング5はプラグ側外部導体7の中心軸SL7に直交する方向へ移動可能である。したがって、プラグ側中心導体3はプラグ側ハウジング5とともに中心軸SL7に直交する方向へ移動可能である。
【0026】
また、上述のように環状溝72の溝幅はプラグ側ハウジング5の大径部51の厚さよりも少し大きいので、その分だけ、プラグ側ハウジング5は中心軸SL7方向へ移動可能である。したがって、プラグ側中心導体3はプラグ側ハウジング5とともに中心軸SL7方向へ移動可能である。
【0027】
以上のようにプラグ側ハウジング5は中心軸SL7と直交する方向と中心軸SL7方向へと移動可能であるので、図3Cに示すように、プラグ側コンタクト3の中心軸SL3をプラグ側外部導体7に中心軸SL7に対して傾斜させることができる。
【0028】
中心導体3の外径をd、外部導体7の内径をDとすると、特性インピーダンスZ0は次式で求められる。
【0029】
Z0=138/(εr)^0.5×log(D/d)・・・数式1
【0030】
但し、logは10log、εrはハウジング5の比誘電率である。
【0031】
数式1は中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致している状態の計算式である。
【0032】
上述のように中心導体3はハウジング5を介して外部導体7にフローティング状態に保持されているので、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致しないときがあるが、そのときの特性インピーダンスの変化量はごくわずかであり、問題ない。具体的な数値を挙げると、dが1mm、Dが2.3mmの場合、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが一致しているときの特性インピーダンスの値は49.95Ωであるが、中心導体3の中心軸SL3と外部導体7の中心軸SL7とが0.05mmずれたときの特性インピーダンスの値は49.81Ωであった。
【0033】
図1、4に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とはほぼ同じ構成であるので、プラグ側同軸コネクタ1と同様な部分についてはプラグ側同軸コネクタ1の符号と同じ符号を付けてその説明を省略する。但し、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とを区別するために、レセプタクル側同軸コネクタ11の符号には´(ダッシュ)をつけた。
【0034】
プラグ側コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは中心導体3,13の構造の点で異なる。
【0035】
レセプタクル側中心導体13はソケット部131とフランジ部32´と端子部33´とを有する。レセプタクル側中心導体13とプラグ側中心導体3との違いは、先端部がソケット部131かピン部31かの違いだけである。
【0036】
ソケット部131の外周面には一対のスリット131aが形成されている。スリット131aはレセプタクル側中心導体13の中心軸に沿って延びている。
【0037】
図4に示すように、プラグ側パネル21にはプラグ側孔21aが形成されている。図8に示すように、プラグ側孔21aは水平方向に沿って2つ並んでいる。2つのプラグ側同軸コネクタ1はそれぞれ単にプラグ側孔21aに圧入されることによってプラグ側パネル21に固定されている。
【0038】
また、レセプタクル側パネル25にはレセプタクル側孔25aが形成されている。図8に示すように、レセプタクル側孔25aは水平方向に沿って2つ並んでいる。2つのレセプタクル側同軸コネクタ11はそれぞれ単にレセプタクル側孔25aに圧入されることによってレセプタクル側パネル25に固定されている。
【0039】
図4はプラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11との間に軸ずれ(プラグ側外部導体7の中心軸SL7と直交する方向のずれ)がない状態を示しているが、この状態から矢印に沿ってプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを移動させれば、図5に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは正常に接続される。
【0040】
このとき、プラグ側外部導体7とレセプタクル側外部導体7´とは接触する。この接触状態を保つためプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とは結合手段(例えばボルト・ナット、クリップ)によって結合される。このようにプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とには互いに近づくように作用する結合力が与えられている。
【0041】
外部導体7,7´同士が接触する前に、パネル21,25同士が接触すると、外部導体7,7´が接触できなくなるので、プラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25との間には隙間(空間部)23が生じるように構成されている。
【0042】
図6は図4に示す接続装置が軸ずれを起こした状態を示す断面図、図7は図6に示す接続装置が接続された状態を示す断面図である。
【0043】
図6に示すように、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とが例えば上下方向へ軸ずれを起こしている場合でも、矢印に沿ってプラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを移動させれば、レセプタクル側中心導体7のソケット部131がプラグ側中心導体3のピン部31を誘い入れるときに、プラグ側中心導体3とレセプタクル側中心導体13とがそれぞれ外部導体7、7´の中心軸SL7,7´に直交する方向へ移動することによって軸ずれが解消され、図7に示すように、中心導体3,13同士が嵌合できる。更に、プラグ側パネル21とレセプタクル側パネル25とを互いに近づければ、プラグ側同軸コネクタ1とレセプタクル側同軸コネクタ11とは正常に接続される。
【0044】
図8は図4に示す接続装置の同軸コネクタの嵌合高さが異なった状態で接続した状態を示す平面図、図9は図8に示す同軸コネクタの拡大図である。図8、図9の両コネクタ1,11の両外部導体7,7´の一部が切り欠いてある
【0045】
2つのプラグ側同軸コネクタ1,1はプラグ側パネル21に水平方向に沿って並べられ、2つのレセプタクル側同軸コネクタ11はレセプタクル側パネル25に水平方向に沿って並べられているが、製造誤差や取付誤差等により、同軸コネクタ1,11の嵌合高さ(中心軸SL7,7´方向でのパネル21,25から同軸コネクタ1,11の嵌合方向先端面までの距離)が異なる場合がある。一例として、図8ではプラグ側同軸コネクタ1,1が異なった場合を示している。
【0046】
この場合、図8に示すように、中心導体3,13が傾斜できるので、中心導体3,13が相対的にパネル21,25に対して傾斜することにより、嵌合高さが低い方へパネル21,25を近づける(図8に示すパネル21,25の間隔a,bをa>bとする)ことによって嵌合高さの違いを吸収することができる。その結果、高周波特性の劣化を防ぐことができる。
【0047】
このとき、図9に示すように、外部導体7,7´同士は全面で接触しないが、電気的な導通は得られる。
【0048】
第1実施形態によれば、パネルに対するコネクタの装着スペースを大きくせずに、嵌合されるコネクタ間の軸ずれを吸収することができ、更に、コネクタ間の嵌合高さの違いも吸収することができる。
【0049】
図10Aはこの発明の第2実施形態に係る接続装置の接続前の状態を示す断面図、図10Bは同接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【0050】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0051】
第1実施形態では、パネル21,25は外部導体7,7´同士の導通には関与していないが、第2実施形態では、パネル221,225は外部導体7,7´同士の導通に関与している。
【0052】
プラグ側パネル221及びレセプタクル側パネル225は導電性を有する材料で形成されている。
【0053】
プラグ側同軸コネクタ1のプラグ側外部導体7の先端部はレセプタクル側パネル225のレセプタクル側孔225aに挿入され、レセプタクル側パネル225と接触する。これにより、プラグ側外部導体7とレセプタクル側外部導体7´とはレセプタクル側パネル225を介して導通する。
【0054】
このため、第2実施形態では、外部導体7,7´同士を突き合わせる必要が無く、この特徴を利用して同軸コネクタ1、11の嵌合高さの違いを解消できるようにするために、パネル221,225同士が突き合わされた状態のときに、外部導体7,7´同士の間に隙間(空間部)9が生じるように構成されている。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0056】
上述のように第2実施形態では外部導体7,7´同士を接触させる必要が無いので、中心導体3,13は傾斜できなくても構わない。したがって、第2実施形態の変形例としては、ハウジング5,5´が中心軸SL7,7´の直交方向にだけ移動できるように外部導体7,7´に保持された同軸コネクタ1,13を用いることが考えられる。
【0057】
この変形例によれば、より簡素な構成の同軸コネクタを得られる。
【0058】
なお、上述の実施形態の接続装置は一般的な電気用の接続装置であるが、この発明の適用範囲はこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る接続装置の斜視図である。
【図2A】図2Aは図1に示す接続装置のプラグ側同軸コネクタの側面図である。
【図2B】図2Bは同プラグ側同軸コネクタの正面図である。
【図3A】図3Aは図2Aに示すプラグ側同軸コネクタのプラグ側中心導体の中心軸とプラグ側外部導体の中心軸とが一致している状態を示す断面図である。
【図3B】図3Bは同プラグ側中心導体の中心軸と同プラグ側外部導体の中心軸とが同プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へずれている状態を示す断面図である。
【図3C】図3Cは同プラグ側中心導体の中心軸が同プラグ側外部導体の中心軸に対して傾斜している状態を示す断面図である。
【図4】図4は図1に示す接続装置の接続前の状態を示す断面図である。
【図5】図5は図4に示す接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【図6】図6は図4に示す接続装置が軸ずれを起こした状態を示す断面図である。
【図7】図7は図6に示す接続装置が接続された状態を示す断面図である。
【図8】図8は図4に示す接続装置の同軸コネクタの嵌合高さが異なった状態で接続した状態を示す平面図である。
【図9】図9は図8に示す同軸コネクタの拡大図である。
【図10A】図10Aはこの発明の第2実施形態に係る接続装置の接続前の状態を示す断面図である。
【図10B】図10Bは同接続装置の接続後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 プラグコネクタ
3 プラグ側中心導体
5 プラグ側ハウジング
7 プラグ側外部導体
11 レセプタクル側同軸コネクタ
13 レセプタクル側中心導体
5´ レセプタクル側ハウジング
7´ レセプタクル側外部導体
9 隙間(空間部)
21 プラグ側パネル
21a プラグ側孔
23 隙間(空間部)
25 レセプタクル側パネル
25a レセプタクル側孔
41 接続装置
221 プラグ側パネル
221a プラグ側孔
225 レセプタクル側パネル
225a レセプタクル側孔
241 接続装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体と、
前記中心導体を保持するハウジングと、
前記ハウジングを収容する筒状の外部導体とを備えている同軸コネクタにおいて、
前記ハウジングが、前記外部導体に前記外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されていることを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記外部導体の中心軸に対して前記中心導体の中心軸が傾斜可能に前記ハウジングが前記外部導体に保持されていることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、
レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、
前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、
前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと、
前記両同軸コネクタ同士を嵌合して前記両外部導体の先端面同士が接触したとき前記両パネル間に形成される空間部と、
前記空間部を介して対向する前記両パネルを結合する結合手段とを備え、
前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記プラグ側外部導体の中心軸に対して前記プラグ側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、
前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記レセプタクル側外部導体の中心軸に対して前記レセプタクル側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持されている
ことを特徴とする接続装置。
【請求項4】
プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、
レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、
導電性を有する材料で形成され、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、
導電性を有する材料で形成され、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと
前記両同軸コネクタ同士を嵌合したときの前記両外部導体の先端面間に形成される空間部とを備え、
前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、
前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持され、
前記両同軸コネクタ同士を嵌合したとき、前記プラグ側孔に前記レセプタクル側外部導体が嵌合、又は前記レセプタクル側孔に前記プラグ側外部導体が嵌合する
ことを特徴とする接続装置。
【請求項1】
中心導体と、
前記中心導体を保持するハウジングと、
前記ハウジングを収容する筒状の外部導体とを備えている同軸コネクタにおいて、
前記ハウジングが、前記外部導体に前記外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に保持されていることを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記外部導体の中心軸に対して前記中心導体の中心軸が傾斜可能に前記ハウジングが前記外部導体に保持されていることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、
レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、
前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、
前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと、
前記両同軸コネクタ同士を嵌合して前記両外部導体の先端面同士が接触したとき前記両パネル間に形成される空間部と、
前記空間部を介して対向する前記両パネルを結合する結合手段とを備え、
前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記プラグ側外部導体の中心軸に対して前記プラグ側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、
前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能かつ前記レセプタクル側外部導体の中心軸に対して前記レセプタクル側中心導体の中心軸が傾斜可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持されている
ことを特徴とする接続装置。
【請求項4】
プラグ側中心導体と、前記プラグ側中心導体を保持するプラグ側ハウジングと、前記プラグ側ハウジングを収容する筒状のプラグ側外部導体とを有するプラグ側同軸コネクタと、
レセプタクル側中心導体と、前記レセプタクル側中心導体を保持するレセプタクル側ハウジングと、前記レセプタクル側ハウジングを保持する筒状のレセプタクル側外部導体とを有するレセプタクル側同軸コネクタとを備えている接続装置において、
導電性を有する材料で形成され、前記プラグ側同軸コネクタを収容するプラグ側孔を有するプラグ側パネルと、
導電性を有する材料で形成され、前記レセプタクル側同軸コネクタを収容するレセプタクル側孔を有するレセプタクル側パネルと
前記両同軸コネクタ同士を嵌合したときの前記両外部導体の先端面間に形成される空間部とを備え、
前記プラグ側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記プラグ側ハウジングが前記プラグ側外部導体に保持され、
前記レセプタクル側外部導体の中心軸と直交する方向へ移動可能に前記レセプタクル側ハウジングが前記レセプタクル側外部導体に保持され、
前記両同軸コネクタ同士を嵌合したとき、前記プラグ側孔に前記レセプタクル側外部導体が嵌合、又は前記レセプタクル側孔に前記プラグ側外部導体が嵌合する
ことを特徴とする接続装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2009−76382(P2009−76382A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245828(P2007−245828)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]