説明

吐出器

【課題】ストッパ部材を吐出器本体に容易に着脱させることができる吐出器を提供すること。
【解決手段】ヘッド筒部の下端縁と天壁部11との間に位置する案内筒部13には、上端縁がヘッド筒部の下端縁に下側から近接または当接すると共に下端縁が天壁部11上に位置するストッパ部材8が装着され、ストッパ部材8が、径方向に開口する側方開口部41Aを有し、上面視C字状に形成されると共に案内筒部13に着脱自在に取り付けられる本体筒部41と、本体筒部41から径方向外方に向けて突設された操作部42と、を有し、本体筒部41における操作部42との接続部分には、上下方向に延在する溝部43が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば販売前の流通、保管時または販売陳列時において他人により意図的にまたは不意に加えられた外力によって内容物が吐出されることを防止するために、ストッパ部材を備える吐出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この吐出器は、内容物を収容した容器本体の口部に装着され、天壁部を有する有頂筒状の装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、ステムの上端に装着されると共に吐出口が形成され、下方に向けて延設された筒体部を有する押下ヘッドと、を有する吐出器本体を備え、筒体部の下端縁と天壁部との間に位置する中間部分には、ストッパ部材が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−240638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような吐出器では、例えば吐出器の製造段階や吐出器の使用段階におけるストッパ部材の着脱を容易にすることに対して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ストッパ部材を吐出器本体に容易に着脱させることができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、内容物を収容した容器本体の口部に装着され、天壁部を有する有頂筒状の装着キャップと、前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されると共に吐出口が形成され、下方に向けて延設された筒体部を有する押下ヘッドと、を有する吐出器本体を備える吐出器であって、前記筒体部の下端縁と前記天壁部との間に位置する中間部分には、上端縁が前記筒体部の下端縁に下側から近接または当接すると共に下端縁が前記天壁部上に位置するストッパ部材が装着され、前記ストッパ部材が、径方向に開口する側方開口部を有し、上面視C字状に形成されると共に前記中間部分に着脱自在に取り付けられる本体筒部と、前記本体筒部から径方向外方に向けて突設された操作部と、を有し、前記本体筒部における前記操作部との接続部分には、該本体筒部の軸方向に延在する溝部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作部を例えば摘んだ状態で本体筒部の両周端部を中間部分の外周面に摺接させながら、ストッパ部材を中間部分に対して径方向に接近、離間させると、本体筒部が、溝部を起点として側方開口部が周方向に拡縮するように、弾性変形しやすくなる。これにより、ストッパ部材を中間部分に対して容易に着脱させることが可能となる。
【0008】
また、本発明の吐出器では、前記本体筒部の両周端縁間の間隔が、径方向内方から外方に向かうにしたがって漸次大きくてもよい。
この場合では、ストッパ部材を中間部分に装着する際、本体筒部の両周端部間に中間部分を引っ掛かりが少ない状態で導入できるので、ストッパ部材の装着がより容易になる。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる吐出器によれば、溝部を起点として側方開口部が周方向に拡縮するように本体筒部が弾性変形しやすくなるので、ストッパ部材を中間部分に対して容易に着脱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態における吐出器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1のストッパ部材を示す上面図である。
【図4】図3のストッパ部材を示す軸方向断面図である。
【図5】図3のストッパ部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における吐出器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態における吐出器1は、図1及び図2に示すように、内容物を収容する有底筒状の容器本体2の口部3に装着される有頂筒状の装着キャップ4と、後述する円筒状のステム21を有するポンプ5と、上記ステム21の上方に装着される押下ヘッド6と、を備える吐出器本体7、並びに、押下ヘッド6の後述するヘッド筒部(筒体部)33の下端縁と装着キャップ4の後述する天壁部11との間に位置する後述する案内筒部(中間部分)13に装着されるストッパ部材8、を備えている。
ここで、容器本体2、装着キャップ4及び上記ステム21それぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を中心軸Oとし、中心軸Oに沿って押下ヘッド6側を上側、容器本体2側を下側と称し、中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸O回りの方向を周方向と称する。
【0013】
装着キャップ4は、中央部に円形の開口部が形成された円板状の天壁部11と、天壁部11の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の周壁部12と、天壁部11の内縁部から上方に向けて延設された案内筒部13と、を有する。
周壁部12の内周面には、容器本体2の口部3に形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。
【0014】
ポンプ5は、装着キャップ4に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム21と、内部にステム21の下端部が上下動自在に配設された円筒状のシリンダ22と、シリンダ22の内部に上下摺動自在に配設されたピストン部材(図示略)と、ステム21を上方付勢する付勢部材(図示略)と、を有する。
ステム21の上部は、シリンダ22の上端から上方に突出し、かつ装着キャップ4の案内筒部13内に配設されている。また、ステム21の上端部は、案内筒部13の上端から上方に突出している。
シリンダ22の上端には、全周にわたってフランジ部22Aが径方向外方に向けて突設されており、このフランジ部22Aは、装着キャップ4の天壁部11の下面と容器本体2の口部3の開口端縁上にあるパッキン23とによって上下方向で挟み込まれている。シリンダ22の下端部内には、パイプ24の上端部が嵌合されており、このパイプ24の下端開口部が容器本体2内の底部に位置している。
【0015】
押下ヘッド6は、頂壁部31と、頂壁部31の中央部から下方に向けて延設された円筒状の装着筒部32と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延設されたヘッド筒部33と、ヘッド筒部33から径方向外方に向けて突設された吐出筒部34と、を有する。
装着筒部32内には、ステム21の上端部が嵌合されており、装着筒部32内とステム21内とは、連通している。吐出筒部34の先端には、容器本体2内の内容物を吐出する吐出口34Aが形成されており、吐出筒部34の内部と装着筒部32の内部とは、連通している。
【0016】
ヘッド筒部33は、装着筒部32を径方向外側から囲繞しており、その下端縁は、装着キャップ4の天壁部11と上下方向で向かい合っている。また、ヘッド筒部33の内径は、案内筒部13の外径よりも大きくなっており、ヘッド筒部33の下端部は、案内筒部13の上端部を径方向外側から囲繞している。そのため、案内筒部13は、押下ヘッド6の上下動に伴ってヘッド筒部33の内側に下側から進退移動する。
【0017】
ストッパ部材8は、案内筒部13に着脱自在に取り付けられる本体筒部41と、本体筒部41から径方向外方に突設された操作部42と、を有しており、一体的に形成されている。
本体筒部41は、径方向に開口する側方開口部41Aが形成された平面視C字状の円筒状をなしている。本体筒部41の上端は、ヘッド筒部33の下端縁にヘッド筒部33の下側から近接または当接し、本体筒部41の下端は、天壁部11上に位置している。そのため、本体筒部41は、押下ヘッド6の下方への移動を規制している。
また、本体筒部41のうち中心軸Oを径方向で挟んで上記開口部分とは反対側の部分(以下、接続部分と称する)には、操作部42が配設されており、この接続部分の外周面において操作部42を周方向に挟む両側に位置する部分には、本体筒部41の上下方向の全長にわたって上下方向に延在する溝部43が形成されている。
【0018】
本体筒部41の両周端縁間の間隔Xは、案内筒部13の外径より小さくなっていると共に、図3に示すように、径方向内方から外方に向かうにしたがって漸次大きくなっている。また、本体筒部41の両周端縁には、径方向外方に向けて突出する突出部41Bが上下方向の全長にわたって突設されている。さらに、本体筒部41の内周面には、上下方向に延在するリブ部44が周方向で等間隔に配設されている。
操作部42の径方向外側の端部には、ストッパ部材8の操作時に指などを掛ける指掛部45が周方向両側に向けて突設されている。
【0019】
次に、以上のような構成の吐出器1の使用方法について説明する。
まず、例えば吐出器1の製造時などにおいてストッパ部材8を案内筒部13に取り付ける場合には、本体筒部41の両周端縁を案内筒部13の外周面に当接させた状態で、操作部42を摘みながら操作部42を径方向内方に押し込む。このとき、まず本体筒部41の両周端縁に形成された突出部41Bが案内筒部13に当接する。そして、この状態で本体筒部41を径方向内方に押し込むと、本体筒部41の両周端縁間の間隔Xが径方向内方から外方に向かうにしたがって漸次大きくなっているので、本体筒部41は、側方開口部41Aが周方向に拡大するように弾性変形しながら、両周端部間に案内筒部13を引っ掛かりが少ない状態で導入する。
【0020】
そして、本体筒部41を径方向内方にさらに押し込むと、本体筒部41の両周端部は、側方開口部41Aをさらに拡大させるように弾性変形しながら、案内筒部13の外周面に摺接しつつ外周面に沿って案内される。このとき、本体筒部41のうち上記接続部分の外周面において操作部42を周方向に挟む両側に位置する部分に溝部43が形成されているので、本体筒部41は、これら溝部43を起点として側方開口部41Aを拡大させるように弾性変形しやすくなっている。
【0021】
その後、本体筒部41を径方向内方にさらに押し込むと、本体筒部41の両周端部は、側方開口部41Aを縮小させるように復元変形しながら、案内筒部13の外周面に摺接しつつ外周面に沿って案内される。このとき、本体筒部41は、上述と同様に、これら溝部43を起点として側方開口部41Aを縮小させるように復元変形しやすくなっている。
以上のようにして、ストッパ部材8を案内筒部13に取り付ける。
このようにストッパ部材8が案内筒部13に取り付けられた状態では、本体筒部41の上端縁がヘッド筒部33の下端縁に近接または当接し、本体筒部41の下端縁が天壁部11上に位置しているので、押下ヘッド6の下方への移動が規制されている。
【0022】
続いて、例えば吐出器1の使用時などにおいてストッパ部材8を案内筒部13から取り外す場合には、例えば指などを指掛部45に掛けた状態で操作部42を径方向外方に向けて引っ張る。操作部42を引っ張ると、本体筒部41の両周端部は、側方開口部41Aを拡大させるように溝部43を起点として弾性変形しながら、案内筒部13の外周面に摺接しつつ外周面に沿って案内される。そして、本体筒部41を径方向外方にさらに引っ張ると、本体筒部41の両周端部は、側方開口部41Aを縮小させるように溝部43を起点として復元変形しながら、案内筒部13の外周面に摺接しつつ外周面に沿って案内される。
以上のようにして、ストッパ部材8を案内筒部13から取り外す。
【0023】
このようにストッパ部材8を取り外した状態では、押下ヘッド6を押し下げると、ステム21が下方に向けて移動させられる。そして、ステム21の移動に追従して上記ピストン部材がシリンダ22の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ22内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ22内の内容物は、ステム21内に進入してステム21内を上方に向けて移動する。
その後、押下ヘッド6の押し下げを解除すると、上記ピストン部材が上記付勢部材の上方付勢力によってシリンダ22の内周面に摺接しつつ上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ22内が減圧され、容器本体2内に収容されている内容物がパイプ24を通じてシリンダ22内に吸い上げられる。
【0024】
以上のような構成の吐出器1によれば、溝部43を起点として側方開口部41Aが周方向に拡縮するように本体筒部41が弾性変形しやすくなるので、ストッパ部材8を案内筒部13に対して容易に着脱させることが可能となる。
また、ストッパ部材8を案内筒部13に装着する際、本体筒部41の両周端部間に案内筒部13を引っ掛かりが少ない状態で導入できるので、ストッパ部材8の装着がより容易になる。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、ストッパ部材は、案内筒部に着脱自在に装着されているが、中間部分をステムとしてステムに着脱自在に装着されてもよい。
溝部は、本体筒部のうち上記接続部分の外周面において操作部を周方向に挟む両側に位置する部分に形成されているが、少なくとも一方に形成されていればよい。
本体筒部の両周端縁間の間隔は、径方向内方から外方に向かうにしたがって漸次大きくなっていなくてもよい。
溝部は、本体筒部の上下方向全長にわたって連続的に形成されているが、間欠的に形成してもよく、接続部分の内周面における操作部を周方向に挟む両側に位置する部分の少なくとも一方に形成されていてもよい。
さらに、前記溝部は、接続部分の外周面および内周面の両方に形成されていてもよい。
操作部は、本体筒部から径方向外方に向けて突設されていれば、指掛部を有さない構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明によれば、ストッパ部材を吐出器本体に容易に着脱させることができる吐出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0027】
1 吐出器、2 容器本体、3 口部、4 装着キャップ、5 ポンプ、6 押下ヘッド、7 吐出器本体、8 ストッパ部材、11 天壁部、13 案内筒部(中間部分)、21 ステム、33 ヘッド筒部(筒体部)、34A 吐出口、41 本体筒部、41A 側方開口部、42 操作部、43 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した容器本体の口部に装着され、天壁部を有する有頂筒状の装着キャップと、
前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端に装着されると共に吐出口が形成され、下方に向けて延設された筒体部を有する押下ヘッドと、を有する吐出器本体を備える吐出器であって、
前記筒体部の下端縁と前記天壁部との間に位置する中間部分には、上端縁が前記筒体部の下端縁に下側から近接または当接すると共に下端縁が前記天壁部上に位置するストッパ部材が装着され、
前記ストッパ部材が、径方向に開口する側方開口部を有し、上面視C字状に形成されると共に前記中間部分に着脱自在に取り付けられる本体筒部と、前記本体筒部から径方向外方に向けて突設された操作部と、を有し、
前記本体筒部における前記操作部との接続部分には、該本体筒部の軸方向に延在する溝部が形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
前記本体筒部の両周端縁間の間隔が、径方向内方から外方に向かうにしたがって漸次大きくなることを特徴とする請求項1に記載の吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229051(P2012−229051A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99906(P2011−99906)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】