説明

吐出容器

【課題】キャップとしてのカバー筒の紛失のおそれがなく、また外観性の向上が図れる吐出容器を提供する。
【解決手段】 容器体の口部へ装着させたポンプ内から起立するステム20へ装着させたノズルヘッド30の押下げで容器体内容物を吐出可能に設けた吐出容器であって、前記ノズルヘッド本体からノズル筒32を突設し、容器体の胴部外面へカバー筒40を上下動自在に嵌合させると共に、該カバー筒に前記ノズル筒下端へ係合可能なポンプ作動規制部45を設け、該カバー筒は、不使用時に前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒32下端へ係合して前記ノズルヘッドの押下げを規制する上限位置と、前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒下端から離間して前記ノズルヘッドの押下げを可能にする下限位置とを取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルヘッドの押下げで容器体内容物を吐出可能な吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
不使用時にノズルヘッドの不用意な押下げによる吐出を防止すべくノズルヘッドへキャップを嵌合可能にしたもの、あるいはノズルヘッドを容器体へ固定させることで押下げを防止可能にした吐出容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−11921号公報
【特許文献2】特開平08−169462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の前者では使用時にキャップを容器体から取外すため、キャップを紛失するおそれがあり、また後者ではノズルヘッドは露出状態にあるため外観向上の観点から好ましいものではなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、キャップとしてのカバー筒の紛失のおそれがなく、また外観性の向上が図れる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体の口部へ装着させたポンプ内から起立するステム20へ装着させたノズルヘッド30の押下げで容器体内容物を吐出可能に設けた吐出容器であって、
前記ノズルヘッド本体からノズル筒32を突設し、
容器体の胴部外面へカバー筒40を上下動自在に嵌合させると共に、該カバー筒に前記ノズル筒下端へ係合可能なポンプ作動規制部45を設け、
該カバー筒は、不使用時に前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒32下端へ係合して前記ノズルヘッドの押下げを規制する上限位置と、前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒下端から離間して前記ノズルヘッドの押下げを許容する下限位置とを取ることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記カバー筒頂壁43に、前記ノズルヘッドの上端部が嵌合可能な嵌合孔44を形成すると共に、該嵌合孔の周縁前部から前記ポンプ作動規制部45を構成する係合片を垂下したことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記嵌合孔44の周縁後部から垂下壁46を垂設して、該垂下壁に、前記カバー筒の上限位置で前記ノズルヘッド下端へ係合可能な係合突部47を形成したことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記ノズルヘッドを前記ステムへ回動自在に嵌合させると共に、ノズルヘッド本体に係合板33を設けて、該係合板を前記嵌合孔44内面へ上下動自在に係合させ、前記カバー筒の上下動時に、該カバー筒の回動力が前記係合板44を介して前記ノズルヘッドへ伝達されることで該ノズルヘッドが前記カバー筒と同調して回動可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記ノズルヘッド本体の後部上面から後方へ突設する下向きL字状板で前記係合板33を構成して、該係合板の後面を前記垂下壁46へ上下動自在に係合させると共に、該係合板の左右両側面を前記嵌合孔44後部の左右両部へ上下動自在に係合させたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記係合板33下端に切欠部34を設けて、該切欠部へ前記係合突部47を係合可能に設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記容器体の胴部外面と前記カバー筒内面とのいずれか一方に溝部8を、かつ他方に突部41を設けて、該突部を前記溝部へ摺動自在に嵌合させると共に、該溝部の上下両端部内面に前記突部が強制乗越え可能な該突部固定用のリブ8c、8cを設けたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記溝部8を螺旋状に形成して、前記カバー筒40の回動で該カバー筒が上下動可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、容器体の胴部へカバー筒を嵌合させるため、カバー筒を紛失するおそれがない。
【0015】
また、本発明は、不使用時に、ノズルヘッドを覆うカバー筒を備えているため、外観性の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明は、カバー筒は、不使用時にポンプ作動規制部がノズル筒下端へ係合してノズルヘッドの押下げを規制するため、ノズルヘッドの不用意な押下げを防止することができる。
【0017】
さらに、本発明は、カバー筒の回動力がノズルヘッドへ伝達されることで該ノズルヘッドがカバー筒と同調して回動可能であるから、使用時にカバー筒を把持する手の位置を変える必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る吐出容器の要部の分解斜視図である。
【図2】ノズルヘッドの斜視図である。
【図3】カバー筒の上限位置における平面図である。
【図4】カバー筒の下限位置における吐出容器の前面図である。
【図5】作用を説明する断面図である。
【図6】カバー筒の下限位置における吐出容器の後面を示す略示図である。
【図7】溝部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
1は容器体で、周壁2上端から肩部を介して口頸部3を起立すると共に、周壁2上部外面の上半部を上向き段部4を介して小外径部に形成し、小外径部下部外面に係合突条5を周設し、かつ該小外径部外面へ補助筒6を嵌合させている。
【0021】
補助筒6は周壁2の肩部へ係合させた内向きフランジ7から内外二重筒を垂下して、内筒を係合突条5へ係合させると共に、外筒外面に螺旋状の溝部8を形成している。溝部8は螺旋部8aと、螺旋部の上下両端に連設された周方向への水平部8b、8bとから形成され、かつ水平部と螺旋部との境界部にはリブ8c、8cが形成されている。溝部8は平面視約90度の角度、すなわち四分の一円周角度に設定するのが好ましい。周壁2と補助筒6は容器体の胴部9を構成する。
【0022】
10はポンプで、容器体内へ垂下するシリンダ11上端を容器体口頸部上端へ係合させると共に、シリンダ11内へ環状ピストン12を上方付勢状態で上下動自在に嵌合させている。
【0023】
20は環状ピストン12から起立するステムで、容器体口頸部へ螺合させた装着筒14上壁の透孔へ上下動自在に挿通させている。
【0024】
30はノズルヘッドで、ステム20上端部へ回動自在に嵌合させた嵌合筒31の前部からステムへ連通させてノズル筒32を前方へ突設させると共に、嵌合筒31の上壁後部から係合板33としての側方視下向きL字状板を後方へ突設させている。
【0025】
係合板33は嵌合筒31上壁から後方へ突出する連結板33aと、連結板後端から垂下する垂下板33bとから形成されていて、連結板は平面視扇形状に、また垂下板の断面形状は後方へ凸の円弧状に形成され、かつその下端はノズルヘッドの嵌合筒31下端より下方へ延設し、さらに垂下板下端の左右中間部には切欠部34が形成されている。
【0026】
40はカバー筒で、その下部を補助筒6外面へ回動自在かつ上下動自在に嵌合させると共に、内面に突設した突部41を補助筒6の溝部8へ摺動自在に嵌合させており、カバー筒40の上限位置では突部41は上方に位置する水平部8bに、また下限位置では下方に位置する水平部8bに、それぞれ嵌合すると共に、カバー筒40を回動させるとリブ8c、8cを強制的に乗越えて螺旋部8aへ移行する。
【0027】
カバー筒40頂壁43に、ノズルヘッド30の上端部が嵌合可能な嵌合孔44を設けて、その後部を連結板33aが嵌合可能な平面視扇形状に形成することで、この扇形状部の左右両端の角部へ係合板33の左右両側面が上下動自在に係合可能に設ける。
【0028】
さらに、嵌合孔44の周縁前部からポンプ作動規制部45を構成するL字状の係合片を垂下すると共に、嵌合孔44の周縁後部から垂下壁46を垂設して、垂下壁46を係合板33の垂下板33bへ摺接させ、さらに垂下壁46に、カバー筒40の上限位置で垂下板33bの切欠部34の上端へ係合可能な係合突部47を形成する。
【0029】
次に本実施形態の作用について説明する。
ノズル筒32から容器体内容物を吐出させるには、カバー筒40を下降させた状態で、ノズルヘッド30を押下げればよく、すると環状ピストンが下降して容器体内容物がステムを介してノズル筒から吐出する。
【0030】
不使用時には、カバー筒40を反時計方向へ回動させればよく、すると下方の水平部に位置する突部41がリブを乗越えて螺旋部へ移行して上方へ移動するため、これと共にカバー筒40が上昇してポンプ作動規制部45がノズル筒下端へ当接すると共に、係合突部47が垂下板33bの切欠部34の上端へ当接し、同時に突部41はリブを乗越えて上方の水平部へ嵌合する。このようにポンプ作動規制部45がノズル筒下端へ当接すると共に、係合突部47が垂下板33bの切欠部34の上端へ当接するため、ノズルヘッドの押下げを防止することが可能である。
【0031】
カバー筒40は下限位置において嵌合孔44が係合板33下端へ係合しているため、カバー筒の回動時にノズルヘッドはカバー筒と共に回動する。
【0032】
使用時には、上記のようにカバー筒40を下降させるのであるが、そのためにカバー筒を回動させると、上方の水平部に位置する突部41がリブを乗越えて螺旋部へ移行し、これと共にカバー筒が下降するが、その際ノズルヘッド30の係合板33は嵌合孔44へ係合しているため、ノズルヘッド30はカバー筒40の回動と共に回動することとなり、したがって、吐出方向を定めるためにカバー筒の下限位置においてカバー筒の握り位置を変えることを要しない。
【0033】
なお、上記では係合板33はノズルヘッド30の後部に設けたが、これに限定されることなく、例えば、係合板33をノズルヘッド本体の左右両側に設けると共に、嵌合孔44の左右両部に切欠部を設けて、該切欠部へ係合板33を上下動自在に係合させても同一の作用効果が得られる。
【0034】
ポンプ作動規制部45は、上記ではカバー筒40の頂壁から垂下したが、これに限らず、例えば、カバー筒の周面から突設することも可能である。また、溝部8は螺旋状に設けたが、上下方向への直線状に形成することも可能である。さらには、係合板33を省略することも可能である。
【0035】
なお、使用時においてはカバー筒40の頂壁43とノズル筒32との間隔は、容器体内容物を取り易くすると共に、頂壁43への内容物の付着防止の観点からできるだけ大であることが好ましい。このようにするためにはカバー筒40の下降ストロークをできるだけ大にする必要があるが、係合板33を省略した場合にはノズルヘッド30がカバー筒40の回動と共に回動しないこととなって容器体を握り変える必要が生じることから係合板の省略は好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ノズルヘッドの押下げで容器体内容物を吐出可能な吐出容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
8 溝部
8c、8c リブ
20 ステム
30 ノズルヘッド
32 ノズル
33 係合板
34 切欠部
40 カバー筒
41 突部
43 頂壁
44 嵌合孔
45 ポンプ作動規制部
46 垂下壁
47 係合突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口部へ装着させたポンプ内から起立するステム20へ装着させたノズルヘッド30の押下げで容器体内容物を吐出可能に設けた吐出容器であって、
前記ノズルヘッド本体からノズル筒32を突設し、
容器体の胴部外面へカバー筒40を上下動自在に嵌合させると共に、該カバー筒に前記ノズル筒下端へ係合可能なポンプ作動規制部45を設け、
該カバー筒は、不使用時に前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒32下端へ係合して前記ノズルヘッドの押下げを規制する上限位置と、前記ポンプ作動規制部が前記ノズル筒下端から離間して前記ノズルヘッドの押下げを許容する下限位置とを取ることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記カバー筒頂壁43に、前記ノズルヘッドの上端部が嵌合可能な嵌合孔44を形成すると共に、該嵌合孔の周縁前部から前記ポンプ作動規制部45を構成する係合片を垂下したことを特徴とする請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
前記嵌合孔44の周縁後部から垂下壁46を垂設して、該垂下壁に、前記カバー筒の上限位置で前記ノズルヘッド下端へ係合可能な係合突部47を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の吐出容器。
【請求項4】
前記ノズルヘッドを前記ステムへ回動自在に嵌合させると共に、ノズルヘッド本体に係合板33を設けて、該係合板を前記嵌合孔44内面へ上下動自在に係合させ、前記カバー筒の上下動時に、該カバー筒の回動力が前記係合板44を介して前記ノズルヘッドへ伝達されることで該ノズルヘッドが前記カバー筒と同調して回動可能に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の吐出容器。
【請求項5】
前記ノズルヘッド本体の後部上面から後方へ突設する下向きL字状板で前記係合板33を構成して、該係合板の後面を前記垂下壁46へ上下動自在に係合させると共に、該係合板の左右両側面を前記嵌合孔44後部の左右両部へ上下動自在に係合させたことを特徴とする請求項3又は4記載の吐出容器。
【請求項6】
前記係合板33下端に切欠部34を設けて、該切欠部へ前記係合突部47を係合可能に設けたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項記載の吐出容器。
【請求項7】
前記容器体の胴部外面と前記カバー筒内面とのいずれか一方に溝部8を、かつ他方に突部41を設けて、該突部を前記溝部へ摺動自在に嵌合させると共に、該溝部の上下両端部内面に前記突部が強制乗越え可能な該突部固定用のリブ8c、8cを設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の吐出容器。
【請求項8】
前記溝部8を螺旋状に形成して、前記カバー筒40の回動で該カバー筒が上下動可能に設けたことを特徴とする請求項7記載の吐出容器。
































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136723(P2011−136723A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297237(P2009−297237)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】