説明

吐出検知手段

【課題】実際の吐出検知の前に受発光部の調整を行い、吐出検知精度の低下を防ぐこと。
【解決手段】記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置のインク滴吐出状態を検知する吐出検知手段において、ビーム光を照射する発光手段と、前記ビーム光を受光する受光手段と、前記発光手段を駆動する駆動電流を供給する発光制御部と、前記受光手段からの出力レベルをピックアップする検出部を有し、前記インク滴の吐出を行う前に前記ビーム光を発光し、前記検出部の出力レベルが予め定められた基準値になるように前記駆動電流の調整動作を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びインク吐出状態検出方法に関し、特に、インクジェット方式に従ってインクを吐出する複数のインク吐出ノズルを有した記録ヘッドから記録媒体に記録を行う記録装置及びその記録装置に適用されるインク吐出状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いたプリンタでは、その記録ヘッドに備えられた微細なインク吐出ノズルから記録媒体にインクを直接吐出することにより画像を形成している。そのため、インク吐出ノズルに不純物(ゴミ)が混入する、記録ヘッドのインク吐出面にインクが固着する等してインク吐出ノズルが詰まり、或は、インクをヒータにより加熱して膜沸騰を生じさせその圧力によってインク吐出を行う場合には、そのヒータの断線等によりインクの吐出不良が発生し、記録画像にそのインク不吐出による白筋が発生し、記録画像の品位が低下することがあった。
【0003】
このような問題を解決するために従来より様々な改良が試みられている。例えば、記録ヘッドからのインク吐出が光学センサのビーム光を横切るような所定位置に停止させ、そのビーム光を横切るようにインク吐出を行い、その光学センサの出力から不良ノズルの検出を行うように構成した装置も提案されている。カラープリンタの場合はインクの色の数に対応して複数の記録ヘッドが搭載されているので、これら複数の記録ヘッドを順々にその所定位置に精度良く停止させてインク吐出を行わせることになる。
【0004】
例えば、特許文献1には、インクジェット記録ヘッドに配列された複数のノズルについて、ノズル毎について、インクの有無を検出する方法が提案されている。即ち、その方法の場合には、走査経路の一端にビーム光を照射する発光手段と、そのビーム光を受光する受光手段とを含み、複数の記録ヘッドから吐出されるインク液滴がそのビーム光を遮断して受光状態が変化する。その変化の大きさにより、インクの有無を検知する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−179884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような画像記録装置の発光源としては、安価であること、小型であること等の点から、一般的に、発光ダイオード(以下、LEDとする)や半導体レーザ(以下、LDとする)、LD励起固体レーザ等の発光素子が多く用いられている。そして、同様な理由として受光源にはフォトダイオードが多く用いられている。
【0007】
しかし、周囲状況の変化や経時変化によって受光部、発光部ともに必ずしも一定の状態で保たれるとは限らない。例えば先ず発光部において、発光源として用いられているものには一般的に温度依存性があり、特にLD励起固体レーザのように共振器で増幅してレーザ発振させるレーザ光源の発光量(出力レベル)は、僅かな温度変化でも大きく変動してしまうという特徴がある。
【0008】
又、LED、LD共に経時変化のために、駆動電流が一定であっても発光量が徐々に変化してしまう。受光部においても、インクの吐出動作によって発生するミストが発光面、若しくは受光面に付着していくことで、同じ発光量でも受光量は減少していく。このように発光源を同一の条件で駆動したとしても受光側の出力結果にバラツキが発生する。これはインク滴の吐出検知を行い際にも結果にバラツキが発生するということであり、検知精度の低下を招く。場合によっては誤検知をしてしまう恐れもある。
【0009】
本発明は上記従来技術の問題に着目してなされたもので、実際の吐出検知の前に受発光部の調整を行い、吐出検知精度の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置のインク滴吐出状態を検知する吐出検知手段において、ビーム光を照射する発光手段と、前記ビーム光を受光する受光手段と、前記発光手段を駆動する駆動電流を供給する発光制御部と、前記受光手段からの出力レベルをピックアップする検出部を有し、前記インク滴の吐出を行う前に前記ビーム光を発光し、前記検出部の出力レベルが予め定められた基準値になるように前記駆動電流の調整動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実際の吐出検知の前に受発光部の調整を行うことで、受光部の温度変化や経時変化による発光量の変化や、ミスト等による異物が受光部、若しくは発光部に付着による受光レベルの低下によって発生する検出レベルのバラツキを吸収し、検知精度の低下を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の代表的な実施形態であるインクジェット方式に従って記録を行う記録ヘッドを備えたプリンタの詳細な構成を示す立体斜視図である。
【0014】
図1に示すように、記録ヘッド5は、ヘッド寿命時に記録ヘッドごと新品と交換し得るカートリッジ式の記録ヘッドである。
【0015】
図1において、キャリッジ15は記録ヘッド5を精度良く保持しながら、記録紙Pの搬送方向(副走査方向、矢印G方向)とは直交する方向(主走査方向、矢印H方向)に往復移動させる。又、キャリッジ15は、ガイド棒16と突き当て部15aにより摺動自在に保持されている。キャリッジ15の往復移動は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動されるプーリ17及びタイミングベルト18によって行われ、このときに記録ヘッド5に与えられる記録信号や電力は、フレキシブルケーブル19によって装置本体の電気回路より供給されている。記録ヘッド5とフレキシブルケーブル19とは互いの接点を圧接して接続している。
【0016】
又、キャリッジ15のホームポジションにはキャップ20が設けられインク受けとしても機能する。キャップ20は必要に応じて上下し、上昇時は記録ヘッド5に密着しそのノズル部を覆いインクの蒸発やゴミの付着を防止する。
【0017】
ところで、この装置では、記録ヘッド5とキャップ20とが相対的に対向した位置となるように位置決めするために、装置本体に設けられたキャリッジホームセンサ21とキャリッジ15に設けられた遮光板15bが用いられている。キャリッジホームセンサ21は透過型のフォトインタラプタが用いられ、キャリッジ15が移動して待機位置まで移動した時に、キャリッジホームセンサ21の一部から照射された光が遮光板15bによってその透過が遮られることを利用して、記録ヘッド5とキャップ20とが相対的に対向した位置にあることを検知する。
【0018】
記録紙Pは、図中下側より上方へ給紙され、給送ローラ2及び紙ガイド22によって水平方向に曲げられて、矢印G方向(副走査方向)に搬送される。給送ローラ2及び排紙ローラ6は、それぞれ記録モータ(不図示)によって駆動され、必要に応じてキャリッジ15の往復移動と連動して高精度に記録紙Pを副走査方向に搬送する。
【0019】
又、副走査方向には撥水性の高い材料で構成され、その刃状の円周部のみで記録紙Pに接触する拍車23が設けられる。拍車23は、排紙ローラ6に対向する位置で、軸受部材23aにより主走査方向に所定長離間して複数箇所に配設されており、記録直後の記録紙上の未定着画像に接触しても画像に影響を与えずに記録紙Pをガイドし搬送するようになっている。
【0020】
フォトセンサ8は、図2に示すように、キャップ20と記録紙Pの紙端との間に記録ヘッド5のノズル列5cに対向した位置に配置され、記録ヘッド5のノズルより吐出されるインク滴を直接光学的に検知する透過型フォトインタラプタである。
【0021】
図2は図1に示すプリンタのフォトセンサ付近の詳細な構成を示す拡大斜視図である。
【0022】
ここで用いているフォトセンサ8は発光素子81に赤外線LEDを用い、LED発光面にはレンズを一体成形し、受光素子82に向けておおよそ平行にビーム光83を投射できる。受光素子82にはフォトトランジスタが用いられる。
【0023】
図2において、P1は記録紙Pに既に記録がなされた領域を、P2はこれから記録がなされる領域を、又、S1,S2,Snは記録ヘッドから吐出されたインク液滴の落下軌跡を、71は記録ヘッド5の移動方向に沿って平行に取り付けられたスケールを、72は記録ヘッド5に取り付けられたリニアエンコーダを示す。
【0024】
そして、記録ヘッド5の移動中にリニアエンコーダ72はスケール71の目盛りを読み取ることによって記録ヘッド5の位置を検出する。この位置は画像記録における基準になるとともに、後述する不良ノズル検知のための基準情報ともなる。
【0025】
又、部材84は、不良ノズル検出のために吐出されたインク滴を受ける部材で、支持台85に取り付けられていて、図示されていないが部材84には間欠的に少量の洗浄水が注がれ、吸引ポンプ(不図示)によってインクがその水と共に排出されるようになっている。
【0026】
図3は図1に示すプリンタ内部の、アナログ感知要素と共にプリンタ内のデジタル信号処理要素を用いるインク滴検出器の構造を示す。
【0027】
デジタル信号処理要素は、ピーク検出器32とプリンタプロセッサ36とメモリ35とを含む。アナログ感知要素は発光部81、受光部82、とバンドパスフィルタ(BPF)30、感度増幅器31とを含む。
【0028】
次に、以上の検知系において、実際のインク滴の検出動作が如何にして行われるかを以下に述べる。
【0029】
最初に吐出コントローラ37からの制御信号60(図4−a)によって記録ヘッド5から状態検知用の吐出が行われる。発光素子81から受光素子82に向けて照射されたビーム光83は、記録ヘッド5に備えられたノズルから順次吐出されるインク滴によって遮られる。この遮光は、受光素子82における受光出力の変化によって検知され、各ノズルのインク滴吐出状態が判断される。BPF30は、受光素子82の出力から得られる検知信号のS/N比を向上させるためのフィルタであり、ノイズが除去され整形される。
【0030】
しかし、整形された状態では電圧レベルが低い微弱信号であるため、このままではプリンタプロセッサ36での処理に適さない。従って、感度増幅器31で信号を増幅する。BPF30を通り、増幅された後の信号波形を図4−bに示す。増幅信号(図4−b)はピーク検出部32に供給される。ピーク検出器32は、増幅信号(図4−b)のピーク値を保持して出力する。そして、保持されたピーク波形(図4−c)は、A/D変換器33によってデジタル化した出力値(図4−e)に変換される。
【0031】
そして、吐出コントローラ37は、F/F(フリップフロップ)34にデジタル化した出力を一時保持するためラッチ信号(図4−g)を送る。プリントプロセッサ36は、ラッチされたデータ(図4−g)を読み取り、メモリ35に格納する。その後吐出制御部は、ピーク検出器32に対してクリア信号(図4−f)を送る。ピーク検出器32は、クリア信号(図4−f)が送られると、ピーク値を“0”に戻し、次の吐出のピーク値に備える。このとき、ピーク検出器32の出力は図4−eのようになる。又、プリンタプロセッサ36は、メモリ38から読み取った各インク種、インク色毎の補正値に応じて、吐出コントローラ37内部の遅延用レジスタ1と遅延用レジスタ2に値を書き込む。前記補正値は、既に実験によって明らかになっているとする。
【0032】
ここで、図5は吐出制御部の内部構成を示す。
【0033】
吐出制御部38によって吐出信号が記録ヘッド5に送信される。又、吐出制御信号のタイミングから、クリア信号作成部39でP/H部32のクリア信号が、又、ラッチ信号作成部40でラッチ部へのラッチ信号が作成される。そして、遅延用レジスタ41の値が大きいほどクリア信号作成部39からの出力は遅延される。同様に遅延レジスタ42においても値が大きいほどラッチ信号作成部40からの出力は遅延される。遅延用レジスタ41と遅延用レジスタ42の値はプリンタプロセッサ36から設定される。
【0034】
以上のような構成において、実際の検知動作の例を示す。
【0035】
検知動作の最初は、先ず、プリンタプロセッサ36は、メモリ38から補正値を読み込み、遅延用レジスタ41、遅延用レジスタ42に読み込んだ補正値を書き込む。この補正値は使用するインクの種類、インクの色等の検知条件ごとに予め定めておくことで、より正確な吐出検知を行うことができる。
【0036】
そして、プリンタプロセッサ36は、発光制御部80に発光値(デジタル値)を書き込む。この発光値が大きいほど発光素子81からの発光量は大きくなる。次に、プリンタプロセッサ36は、吐出コントローラ37に吐出検知用の制御信号を発生させるように要求を出す。吐出コントローラ37は、要求を受けると記録ヘッド5にヘッド駆動信号を送信し、記録ヘッド5は、発光素子81と受光素子82の位置で、1ノズル毎のインク滴の吐出を行う。このときの吐出信号と、光学的検知で得られたインク滴のインク滴の出力波形を図6に示す。
【0037】
図6−aは吐出コントローラ37から記録ヘッド5に送られた、ヘッド駆動信号であり、“H”→“L”レベルの時に1 ノズルずつ吐出を行う。そして、図6−bに、受光素子82で得られた吐出波形を波形整形して増幅を行った後の感度増幅器31の出力を示す。図6−cはP/H部32の出力波形、図6−dは吐出コントローラ37からP/H部32に送られるピークホールドのクリア信号である。このとき、クリアのタイミング(図6−d)が“H”レベルになる時)は、図6−aのヘッド駆動信号が“L”になってから時間T1で規定される。
【0038】
時間T1はプリンタプロセッサ36がインクA用として遅延用レジスタ41に設定した値によって決まる。図6−eはA/D変換部33の出力である。図6−bの波形のピーク値をデジタル出力し、P/H部がクリアされると“0”を出力する。本実施の形態では、時刻t1からt5までに得られた各ピーク値をt1:30、t2:50、t3:30、t4:20とする。図6−fはA/D変換器33の出力をラッチする信号波形であり、“L”→“H”レベルになったときにF/F34にラッチされる。ラッチのタイミングは、図6−aのヘッド駆動信号が“H”→“L”になってから時間T2で規定される。時間T2はプリンタプロセッサ36が遅延用レジスタ42に設定した値によって決まる。そして、F/F34の出力は図6−gのようになり、プリントプロセッサ36がF/F34の出力を読み取ることで正常に検知は行われる。
【0039】
図7は発光制御部80の内部構成を示している。図7においてポートIC91は、プリントプロセッサ36から設定された発光値を保持する。保持された発光値はD/A変換器92によってデジタル/アナログ変換され、AMP93によって増幅される。AMP93のゲインは、D/A変換の出力と電圧電流変換器94の出力がリニアになるようにしている。AMP93の出力は電流電圧変換機94によって電流に変換され、発光素子81の駆動電流となる。
【0040】
以上のような構成でインク滴の吐出検知を行う吐出状態検知手段において、本発明の目的である受発光部の光量調整を行う。
【0041】
次に、本発明における受発光部の光量調整手順を以下に説明する。
【0042】
図8において、正常に受発光処理が行われる場合を示す。波形101は横軸を時間、縦軸を設定電圧とし、波形102は横軸を時間、縦軸を受光量としている。受光量は上にいくほど光量が多いとする。ここで、設定電圧とはプリンタプロセッサ36が吐出ポート部に設定する発光用の発光電圧を示す。受光量は受光素子82が受光した光量をP/H部32、A/D変換部33を経由してF/F34にラッチさせ、プリントプロセッサ36が読み取った値を示す。又、受光量Lxは基準となる受光量であり、プリントプロセッサ36は、受光量が基準値Lxの値になるように設定電圧を調整していく。又、プリントプロセッサ36は、各時間t1〜t5ごとに吐出コントローラ37に対してF/F34のラッチ信号を出力する。
【0043】
時間t0において、ポートIC91には‘0’が書き込まれているため、発光素子81は発光していない。次に、プリントプロセッサ36は、初期発光シーケンスとして時間t0からt1にかけて、徐々に設定電圧を‘0’からVaまで増加させていく。徐々に増加させるのは発光素子にダメージを与えないためであり、最初にVaを設定してもダメージが無い発光素子を使用する場合には‘0’の次にVaを設定しても良い。プリントプロセッサ36が設定電圧Vaを設定した後、受光量が安定した時間をt2とする。
【0044】
時間t2において、の受光量La(波形102)は基準値Lxに満たないため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVb(波形101)に上げる。プリントプロセッサ36が設定電圧Vbを設定した後、受光量が安定した時間をt3とする。
【0045】
時間t3において、受光量Lbは基準値Lxに満たないため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVcに上げる。ここで、設定電圧の増加分(Vc−Vb)を、前回の増加分(Vb−Va)の2倍にすると調整処理が簡素化される。プリントプロセッサ36が設定電圧Vcを設定した後、受光量が安定した時間をt4とする。
【0046】
時間t4において、受光量Lcは基準値Lxを超えてしまったため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVdに上げる。ここで、設定電圧の減少分(Vc−Vd)を、前回の増加分(Vc−Vb)の1/2倍にすると調整処理が簡素化される。プリントプロセッサ36が設定電圧Vdを設定した後、受光量が安定した時間をt5とする。
【0047】
時間t5において、受光量Ldは基準値Lxと等しくなったため、プリントプロセッサ36は、現在の設定電圧値をメモリ38に記録し、次回の吐出検知動作において、記録した設定電圧値で発光制御を行う。又、次回の受発光量調整において、記録した設定値を初期設定電圧Vaにすることで、調整時間の短縮を図ることができる。
【0048】
受発光量調整処理を終了させる。ここで、設定電圧の減少分(Vc−Vd)を、前回の増加分(Vc−Vb)の1/2倍にすると調整処理が簡素化される。プリントプロセッサ36が設定電圧Vdを設定した後、受光量が安定した時間をt4とする。
【0049】
次に、図9において、発光部若しくは受光部に異常があり、正常に受発光処理が行われない場合を示す。
【0050】
波形103は横軸を時間、縦軸を設定電圧とし、波形104は横軸を時間、縦軸を受光量としている。又、プリントプロセッサ36は、各時間t1〜t5ごとに吐出コントローラ37に対してF/F34のラッチ信号を出力する。
【0051】
時間t0において、図8と同様にプリントプロセッサ36が設定電圧Veを設定した後、受光量が安定した時間をt2とする。
【0052】
時間t2において、受光量Le(波形102)は基準値Lxに満たないため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVf(波形101)に上げる。プリントプロセッサ36が設定電圧Vfを設定した後、受光量が安定した時間をt3とする。
【0053】
時間t3において、受光量Lfは基準値Lxに満たないため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVgに上げる。ここで、設定電圧の増加分(Vg−Vf)を、前回の増加分(Vf−Ve)の2倍にすると調整処理が簡素化される。プリントプロセッサ36が設定電圧Vgを設定した後、受光量が安定した時間をt4とする。
【0054】
時間t4においても、受光量Lgは基準値Lxに満たないため、プリントプロセッサ36は設定電圧をVhに上げる。ここで、本実施の形態における発光素子の最大駆動電流が設定電圧Vzのときであるとする。又、Vz<Vg+(Vg−Vf)*2とすると、単純に前回までと同じように設定電圧を増加させると設定電圧Vzを超えてしまう。よって、時間t4における新たな設定電圧はVzとする。プリントプロセッサ36が設定電圧Vzを設定した後、受光量が安定した時間をt5とする。
【0055】
時間t5において、受光量Le(波形102)は基準値Lxに満たないが、既に最大の設定電圧Vzであるので、プリントプロセッサ36は受発光部に異常があると判断する。ここで、記録装置における表示部(不図示)にエラーメッセージを発行し、ユーザーに受発光部の異常を知らせることもできる。
【0056】
本実施の形態では、1ノズル毎にインク滴検出動作を行う検知方式であったが、他の検知方式として、前記記録ヘッドによる有効記録領域外にインクの吐出状況を検知するための記録媒体を設け、前期記録媒体に所定のパターンを記録し、光学的読み取り装置によって前記パターンを読み取ることでインク滴の検知を行うことを特徴とする機器にも同様の効果が得られる。
【0057】
又、前記光量調整手順は、機器の電源投入直後ごと、又はインク滴吐出状態を検出する吐出検知シーケンスの直前に行っても良い。
【0058】
更に加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体又は別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであっても良い。尚、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器から成る装置(例えば、複写機、ファクシミリ機器等)に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の代表的な実施形態であるインクジェット方式に従って記録を行う記録ヘッドを備えたプリンタの詳細な構成を示す立体斜視図である。
【図2】図1に示すプリンタのフォトセンサ付近の詳細な構成を示す拡大斜視図である。
【図3】アナログ感知要素と共にプリンタ内の既存するデジタル信号処理を用いるインク検出器の構成を示すブロック図である。
【図4】フォトセンサから得られた検知信号がインク滴検出器で処理される時の各信号のタイムチャートである。
【図5】吐出コントローラの内部ブロック図である。
【図6】インク滴吐出検知を行ったときのの各信号のタイムチャートである。
【図7】吐出制御部の内部構成図である。
【図8】受発光部の光量調整を行ったときのタイムチャートである。
【図9】受発光部の光量調整を行ったときのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0060】
5 記録ヘッド
5c ノズル列
8 フォトセンサ
15 キャリッジ
16 ガイド棒
17 キャリッジモータ
18 タイミングベルト
19 フレキシブルケーブル
20 キャップ
21 キャリッジホームポジションセンサ
22 紙ガイド
23 拍車
23−a 軸受部材
30 BFP
31 感度増幅器
32 ピーク検出器
33 A/D変換器
34 F/F
35 メモリ
36 プリンタプロセッサ
37 吐出コントローラ
38 吐出制御部
39 クリア信号作成部
40 ラッチ信号作成部
41,42 遅延用レジスタ
71 スケール
72 リニアエンコーダ
80 発光制御部
81 発光素子
82 受光素子
91 ポートIC
92 D/A変換器
93 AMP
94 電圧電流変換器
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置のインク滴吐出状態を検知する吐出検知手段において、
ビーム光を照射する発光手段と、前記ビーム光を受光する受光手段と、前記発光手段を駆動する駆動電流を供給する発光制御部と、前記受光手段からの出力レベルをピックアップする検出部を有し、前記インク滴の吐出を行う前に前記ビーム光を発光し、前記検出部の出力レベルが予め定められた基準値になるように前記駆動電流の調整動作を行うことを特徴とする吐出検知手段。
【請求項2】
前記発光制御部において、駆動可能な最大電流を供給しても前記検出された値が基準値に達しない場合は、受発光部が異常であると判断して、前記検出部が表示手段に表示するように制御する請求項1記載の吐出検知手段。
【請求項3】
前記記録ヘッドから吐出されるインク液滴が前記ビーム光を遮断するように設けられることを特徴とする請求項1記載の吐出検知手段。
【請求項4】
前記記録ヘッドによる有効記録領域外にインクの吐出状況を検知するための記録媒体を設け、前記記録媒体に所定のパターンを記録し、光学的読み取り装置によって前記パターンを読み取ることでインク滴の検知を行うことを特徴とする請求項1記載の吐出検知手段。
【請求項5】
前記調整動作は、記録装置の電源投入直後のシーケンスにて実行されることを特徴とする請求項1記載の吐出検知手段。
【請求項6】
前記調整動作は、インク滴吐出状態を検出する吐出検知シーケンスの直前に実行されることを特徴とする請求項1記載の吐出検知手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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