説明

吐水機構

【課題】管内に流入した水を分流させた後に管外へ吐出する際に、略均一に吐出することができる吐水機構を提供する。
【解決手段】水を流入させる流入口と、前記流入口から流入する水を管外へ流出させる第一流出口とを有する管状の主流部と、前記第一流出口よりも上流側で前記主流部の内部に連通する第二流出口を有し、前記主流部から下方へ分岐する流路を形成する管状の吐水部と、前記吐水部の内部の水を管外へ吐出する吐水口とを備え、前記吐水部の内部に、前記第二流出口から流入する水を前記吐水部の外側方向に拡散させた後に前記吐水口へ流出させる拡散部材を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内に流入した水を分流させた後に管外へ吐出する吐水機構に関する。
【背景技術】
【0002】
管内に流入した水を分流させた後に管外へ吐出する吐水機構として、例えば、水源から供給される水を便器洗浄用タンクの内部へ吐出するものが知られている(特許文献1)。図8に表すこの吐水機構100では、水源から供給される水を流入させる流入口101と、その水をさらに下流の流路へと流出させる第一流出口102とが形成された管状の主流部103を備えている。流入口101から流入して主流部103の内部を流れる水は、その下流で分流してその一部が第二流出口104から吐水部105の内部に流入し、吐水部105の下方に設けられた吐水口106から管外へ吐出される。吐水部105の下流側には、格子状を成し多数の微細通孔が形成された整流網107が配置されている。
【0003】
上記のように構成された吐水機構100によれば、吐水部105内に流入した水の流れは、整流網107の微細通孔を経て吐水口106から排出されることでその乱れが抑制され、吐水口106近傍における飛散が抑制された穏やかな流れとなって管外へ吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−338556号公報(第3頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された吐水機構100では、吐水部105の内部の片側で流速が大きくなり、吐水口106から水を均一に吐出できないといった問題があった。すなわち、図8の左方の流入口101より矢印W00のように流入した水は、主流部103の内部を右方に流れ、第一流出口102側の矢印W01、第二流出口104側の矢印W02のように分流するが、このとき矢印W02の水の流れには、矢印W01の方に流れようとする慣性力が働き、吐水部105の内部では図面視右側において流速が大きくなる。このように、吐水部105の内部の片側において水の流速が大きくなることにより、吐水口105から水が均一に吐出されず、吐出された水はW04に示すように一側に偏倚した縮流となってしまう。
【0006】
水が均一に吐出されず縮流となることにより、流れの断面積当たりの運動エネルギーが高まり、種々の問題が生じうる。例えば、吐出された水が、下方に配置された浮玉(図示せず)に衝突した際に激しく飛散したり、また、便器洗浄用タンク(図示せず)内に貯留された水の水面に強く打ちつけられ、騒音が発生するといった問題が生じていた。
【0007】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、管内に流入した水を分流させた後に管外へ吐出する際に、略均一に吐出することができる吐水機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る吐水機構は、水を流入させる流入口と、前記流入口から流入する水を管外へ流出させる第一流出口とを有する管状の主流部と、前記第一流出口よりも上流側で前記主流部の内部に連通する第二流出口と、前記第二流入口から流入する水を管外へ流出させる吐水口とを有し、前記主流部から下方へ分岐する流路を形成する管状の吐水部と、を備え、前記吐水部の内部に、前記第二流出口から流入する水を前記吐水部の内周方向に拡散させた後に前記吐水口へ流出させる拡散部材を配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、主流部から下方へ分岐する吐水部へ流入した水は、吐水部内に配置された拡散部材によって吐水部の内周方向へ拡散される。これにより、吐水口から吐出させる水は縮流となることがなく、吐水部の内周方向に略均一に吐出させることができる。
【0010】
請求項2に係る吐水機構では、前記拡散部材は、前記第二流出口から前記吐水部の内部に流入した水を受ける受け部と、前記受け部で受けた水を下流側へ流す通水部と、前記吐水部に対し固定される接続部とを有し、前記通水部は、上面視で前記第二流出口の内郭よりも外側に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、通水部は上面視で第二流出口の内郭よりも外側に設けられていることから、第二流出口から下方の吐水部の内部に流入した水が受け部で受けられずに直接通水部を経て下流へ流されてしまう事態を抑制することができる。これにより、吐水部の内部に流入した水を拡散部材によって確実に吐水部の内周方向へ拡散させ、更に略均一に吐水口から吐出させることができる。
【0012】
請求項3に係る吐水機構では、前記拡散部材の受け部と前記吐水部の内壁との隙間は、最も狭い位置で0.5乃至2.0ミリメートルとなるよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
拡散手段の受け部と吐水部の内壁との隙間を狭小とすることにより、第二流出口から吐水部内に流入する水を確実に受け部で受け、拡散させることができる。しかしながら、この隙間があまりにも狭小となると、非通水時に水の表面張力によってその隙間に水膜が形成される。寒冷地等で使用される場合には、この水膜が凍結し、その後の通水時に十分な性能を発揮できなくなるおそれがある。
【0014】
そこで本発明によれば、上記の隙間を、最も狭い位置でその間隔が0.5乃至2.0ミリメートルとなるように構成することで、非通水時の水膜形成を抑制するとともに、吐水部内に流入する水を確実に受け部で受け、吐水口から略均一に吐出させることができる。
【0015】
請求項4に係る吐水機構では、前記通水部は、前記拡散部材の外周に沿う方向に略等間隔に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、吐水部内に流入し部材の受け部で受けられた水は、通水部により部材の外周に沿った方向で略均一に下流へ導かれるため、更に均一に吐水口から水を吐出させることができる。
【0017】
請求項5に係る吐水機構では、前記拡散部材の下流側に、多数の微細通孔を有する整流網が配置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、拡散部材の通水部を経て下流に流された水は、整流網の多数の微細通孔を通過する際に泡沫が取り除かれるとともに、流速が低減するため、更に略均一に吐水口から水を吐出させることができる。
【0019】
請求項6に係る吐水機構では、前記整流網の中央部で、且つ上面視で前記通水部と重合しない位置に開口が開設されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、非通水時に整流網の微細通孔で水膜が形成されても、吐水部の内部の水は整流網の中央部に開設された開口から流出し残水が生じることがない。したがって、寒冷地等での使用においても、吐水部の内部の水の凍結による通水性能の低下を抑制することができる。また、上面視で通水部と重合しない位置に開口が開設されているため、通水部より下流に流された水はその大半が整流網の微細通孔を通過することになるため、水から泡沫を取り除き、より均一に吐水口から水を吐出させることができる。
【0021】
請求項7に係る吐水機構では、前記拡散部材と前記整流網との間に、前記通水部から下流側に流された水を一時的に滞留させる滞留空間が形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、拡散部材の通水部から下流側に流された水を滞留空間で滞留させることにより、流速を低減させ、より均一に吐水口から水を吐出させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、管内に流入した水を分流させた後に管外へ吐出する際に、略均一に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の吐水機構が搭載された給水装置を表す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る吐水機構の分解斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る吐水機構の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る吐水機構の分解斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る吐水機構の断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る吐水機構の分解斜視図及び拡散部材の上面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係る吐水機構の断面図である。
【図8】従来の吐水機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の第一の実施形態について説明する。
図1は、本発明の吐水機構が搭載された給水装置の斜視図である。
【0026】
給水装置1は、水を貯留する大便器の洗浄タンク(図示せず)内に配置され、洗浄タンク内及び大便器への水の供給に用いられる装置である。水源から供給され給水本管2から流入した水は、破線矢印W0のように流れ、まず給水本管2に連結された開閉弁3内に流入する。開閉弁3は、その内部に流路を開閉する弁体(図示せず)を備えており、洗浄タンク内の水面に浮遊するフロート4とアーム5を介して連動し、洗浄タンク内の水位により弁体が流路を開放または閉止するよう構成されている。
【0027】
洗浄タンク内の水位が低下すると、洗浄タンク内に水を供給するために開閉弁3内で弁体が流路を開放し、開閉弁3の下流側に接続された吐水機構6へと水が供給される。吐水機構6は開閉弁3から供給された水を分流させ、その一部を矢印W1で表すように大便器へ水を供給する大便器給水管7側へ導くとともに、他の一部を矢印W2で表すように吐水口8からフロート4へ向けて吐出する。
【0028】
次に、図2及び図3を参照しつつ吐水機構6について詳述する。
図2は本実施形態に係る吐水機構6の分解斜視図であり、図3は吐水機構6の断面図である。
【0029】
吐水機構6は、分岐流路を形成する分岐管9と、下方に分岐した流路に配置される拡散部材10及び整流網11と、拡散部材10及び整流網11を覆って分岐管9に対し固定されるキャップ13aを備えている。
【0030】
分岐管9はT字形状を成しており、円管状の主流部12及び分流部13から成る。主流部12は、開閉弁3から供給される水を流入させる流入口14と、流入口14と対向し水を流出させる第一流出口15とを有し、それらの間に直線状の流路を形成している。分流部13は、主流部12の内部に連通する第二流出口16を有し、下方に分岐する流路を形成するとともに、拡散部材10、整流網11、キャップ13aを介して管外へ水を吐出させる吐水部13bを構成している。また、分流部13は第二流出口16から下流側にかけて、その内径が段階的に拡大するよう構成されている。
【0031】
吐水部13bの内部に配置される拡散部材10は、上方に隆起した受け部17がその中央部に形成されている。図3に表すように、この受け部17は分流部13の内部に位置するよう配置され、その表面は下方に凸となる湾曲面とされている。また、図3のB部拡大図に表す受け部17と分流部13の内壁との隙間は、最も狭い位置でその間隔Lが0.5乃至2.0ミリメートルとなるよう構成されている。さらに、拡散部材10の受け部17の下方には、拡散部材10の外周に沿う方向で略等間隔に、通水部18が複数穿設されている。通水部18は上下方向に拡径した長孔であり、上面視で第二流出口15の内郭よりも外側に設けられており、第二流出口15から分流部13の内部に流入してきた水を、さらに拡散部材10の下流側へと流す機能を有する。更に、拡散部材10の外方端には、鍔状の接続部19が突設されている。
【0032】
拡散部材10の下流側には、同形の整流網11が上下に2つ重ねて配置される。図2のA部拡大図に表すように、整流網11は、環状の外枠20の内部に格子状の網部21が設けられており、格子間には上下に貫通する微細通孔22が多数形成されている。また、その中央部には網部21が設けられない円形の開口23が開設されている。同じく図2のA部拡大図に、上方の拡散部材10の通水部18を破線で表すように、この開口23は上面視で通水部18と重合しない位置に開設されている。図3に表すように、この整流網11が拡散部材10の下流側に配置されることにより、隆起した拡散部材10の受け部10との間に滞留空間24が形成される。
【0033】
キャップ13aは、その内部に拡散部材10及び整流網11を収容し、分流部13の側面に螺着してそれぞれを分流部13に対し固定する。具体的には、図3に表すように、拡散部材10の接続部19及び整流網11の外枠20を、分流部13の下端との間に挟むようにして固定する。キャップ13aの下端には吐水口8が穿設されている。
【0034】
次に、図3を参照しつつ、吐水機構6の水の流れについて詳述する。
【0035】
開閉弁3から供給されて矢印W3のように流入口14から流入する水は、主流部12の内部を流れ、その下流で第一流出口15側の矢印W4、第二流出口16側の矢印W5のように分流する。このうち、矢印W5のように第二流出口16から分流部13の内部に流入する水は、矢印W4の方に流れようとする慣性力が働き、第二流出口16近傍では図面視右側において流速が大きくなる。
【0036】
ここで、B部拡大図に表すように、拡散部材10の受け部17は吐水部の内部に向け隆起し、受け部17と分流部13の内壁との隙間が狭小となっているため、第二流出口16からの水の流入によりB部における水圧が高まる。したがって、第二流出口16から分流部13の内部に流入して受け部17で受けられた水は、その一部は矢印W6のように受け部17に沿ってB部を通過するものの、残りの一部は水圧が高いB部を避けて矢印W7のように受け部17に沿って旋回し、拡散部材10の下部に流れる。このように、水は分流部13の内部の片側において流速が大きくなっても、拡散部材10によって吐水部13bの内周方向に拡散され、通水部18を通過して拡散部材10の下流側へ流される。これにより、水は縮流となることなく、吐水口8からW8のように略均一に吐出される。
【0037】
更に、拡散部材10の下流側へ流された水は、整流網11の微細通孔22を通過して吐水口8から吐出される。この際、水中の泡沫が取り除かれるとともに流速が低下するため、この整流網11も吐水口8から吐出される水の均一化に寄与している。整流網11の中央に開設された開口23は、上面視で拡散部材10の通水部18と重合しない位置に開設されているため、通水部18から下流側に流された水は、その大半が整流網11の微細通孔22を通過することとなり、より確実に水から泡沫を取り除くことができる。
【0038】
また、整流網11の微細通孔22をスムーズに通過できない水は、滞留空間24内で一時滞留した後に吐水口8から吐出される。すなわち、水が滞留空間24内で滞留して流速が低下することで、さらに均一に吐水口8から吐出されるよう構成されている。
【0039】
また、拡散部材10の受け部17と分流部13の内壁との隙間を、最も狭い位置でその間隔Lが0.5乃至2.0ミリメートルとなるよう構成することで、非通水時においてもその隙間内に水膜が形成されることがない。これにより、分流部13の内部に流入する水を確実に拡散部材10の受け部で受けながらも、寒冷地等で使用される場合にも凍結による性能低下を抑制することができる。
【0040】
更に、整流網11の中央部に開口23を開設することで、非通水時に水の表面張力により微細通孔22内に水膜が形成されても、分流部13の内部の水は開口23から流出し残水が生じることがない。したがって、やはり寒冷地等で使用される場合にも、凍結による性能低下を抑制することができる。
【0041】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第二の実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同一の要素については符号も同一のものを付し、説明も適宜省略する。
図4は本実施形態に係る吐水機構6’の分解斜視図であり、図5は吐水機構6’の断面図である。
【0042】
図4に表すように、本実施形態の吐水機構6’で用いられる拡散部材10’は、上部に頂点を有する円錐形状の受け部17’と、受け部17’の下部より斜め下方に延びる3本の棒状の脚部25とを有し、脚部25の間が水を拡散部材10’の下流側へ流す通水部18’となるよう構成されている。また、脚部25のそれぞれの下端には、上方に向け接続部19’が突設されている。更に、拡散部材10’の下流側には、同形の整流網11が上下に3つ重ねて配置されている。
【0043】
次に、図5を参照しつつ、吐水機構6’の水の流れについて説明する。
【0044】
開閉弁3から供給され、矢印W3のように流入口14から流入する水は、分流部13の内部を流れ、その下流で第一流出口15側の矢印W4、第二流出口16側の矢印W5のように分流する。本実施形態によれば、通水部18’が大きく形成されているため、第二流出口16から分流部13の内部に流入する水は、拡散部材10’の受け部17’で受けられた後、その大半は矢印W6’のように受け部17’に沿って下方へ流れた後、更に直下の通水部18’を通過して拡散部材10’の下流側へ流される。しかしながら、一部の水は受け部17’に沿って旋回した後に拡散部材10’の下流側へ流されるため、やはり分流部13の内部の片側において水の流速が大きくなっても、水は拡散部材10’によって吐水部13bの内周方向に拡散され、吐水口8からW8のように略均一に吐出させることができる。
【0045】
本実施形態の拡散部材10’は、主流部12の内部における水の流速が小さく、分流部13の内部における流速の偏りが小さい場合に特に有効に機能する。すなわち、大きく形成された通水部18’により、水の流れの圧力損失を小さなものとしながら、第二流出口16から流入する水の大半を真下方向に流す一方、微量ながらも一部の水を受け部17’で旋回させて分流部13の外側方向に拡散して吐水口8から略均一に吐出させることができるものである。通水部18’を通過して拡散部材10’の下流側へ流される水の流速は大きなものとなるが、拡散部材10’の下流側に配置した3つの整流網11により水の流速をより低下させることで、吐水口8近傍での飛散を抑制し、略均一に吐出させることができる。
【0046】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第三の実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同一の要素については符号も同一のものを付し、説明も適宜省略する。
図6(a)は本実施形態に係る吐水機構6”の分解斜視図、図6(b)は本実施形態の拡散部材の上面図であり、図7は吐水機構6”の断面図である。
【0047】
図6(a)に表すように、本実施形態の吐水機構6”で用いられる拡散部材10”は、上方に隆起した受け部17”がその中央部に形成されている。さらに、拡散部材10”の受け部17”の下方には、拡散部材10”の外周に沿う方向で略等間隔に、通水部18”が穿設されている。図6(b)に表すように、通水部18”は上下方向に拡径した複数の長孔18”aとそれらを上方で連通した横孔18”bで構成されている。また、通水部18”のそれぞれの下端には、接続部19”が突設されている。更に、拡散部材10”の下流側には、同形の整流網11が上下に2つ重ねて配置されている。
【0048】
次に、図7を参照しつつ、吐水機構6”の水の流れについて説明する。
【0049】
開閉弁3から供給され、矢印W3のように流入口14から流入する水は、分流部13の内部を流れ、その下流で第一流出口15側の矢印W4、第二流出口16側の矢印W5のように分流する。本実施形態によれば、通水部18”が大きく形成されているため、第二流出口16から分流部13の内部に流入する水は、拡散部材10”の受け部17”で受けられた後、その大半は矢印W6”のように受け部17”に沿って下方へ流れた後、更に直下の通水部18”を通過して拡散部材10”の下流側へ流される。しかしながら、一部の水は受け部17”に沿って旋回した後に拡散部材10”の下流側へ流されるため、やはり分流部13の内部の片側において水の流速が大きくなっても、水は拡散部材10”によって吐水部13bの内周方向に拡散され、吐水口8からW8のように略均一に吐出させることができる。
【0050】
本実施形態の拡散部材10”は、第二流出口16から流入する水の大半を受け部17”で旋回させて分流部13の外側方向に拡散し、その一部の水を、通水部18”の比較的大きな開口である横孔18”bにより、水の流れの圧力損失を小さなものとし真下方向に流す一方、大半の水を、長孔18”aで整流するものとし真下方向に流すことにより、吐水口8から略均一に吐出させることができるものである。通水部18”を通過して拡散部材10”の下流側へ流される水の流速は比較的大きなものとなるが、拡散部材10”の下流側に配置した2つの整流網11により水の流速をより低下させることで、吐水口8近傍での飛散を抑制し、略均一に吐出させることができる。
さらに、非通水時に水の表面張力により通水部18”内に水膜が形成されても、横孔18”bが比較的大きな開口となっているので、そこから残水が流出して表面張力が破壊される。したがって、寒冷地等で使用される場合にも、凍結による性能低下を確実に抑制することができる。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。すなわち、本発明の吐水機構に含まれる各要素については、当業者が適宜設計変更することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
6、6’、6” 吐水機構
10、10’、10” 拡散部材
11 整流網
12 主流部
13 分流部
13b 吐水部
14 流入口
15 第一流出口
16 第二流出口
17、17’、17” 受け部
18、18’、18” 通水部
19、19’、19” 接続部
22 微細通孔
23 開口
24、24’、24” 滞留空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流入させる流入口と、前記流入口から流入する水を管外へ流出させる第一流出口とを有する管状の主流部と、
前記第一流出口よりも上流側で前記主流部の内部に連通する第二流出口と、前記第二流入口から流入する水を管外へ流出させる吐水口とを有し、前記主流部から下方へ分岐する流路を形成する管状の吐水部と、を備え、
前記吐水部の内部に、前記第二流出口から流入する水を前記吐水部の内周方向に拡散させた後に前記吐水口へ流出させる拡散部材を配置したことを特徴とする吐水機構。
【請求項2】
前記拡散部材は、前記第二流出口から前記吐水部の内部に流入した水を受ける受け部と、前記受け部で受けた水を下流側へ流す通水部と、前記吐水部に対し固定される接続部とを有し、
前記通水部は、上面視で前記第二流出口の内郭よりも外側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の吐水機構。
【請求項3】
前記拡散部材の受け部と前記吐水部の内壁との隙間は、最も狭い位置で0.5乃至2.0ミリメートルとなるよう構成されていることを特徴とする請求項2記載の吐水機構。
【請求項4】
前記通水部は、前記拡散部材の外周に沿う方向に略等間隔に設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の吐水機構。
【請求項5】
前記拡散部材の下流側に、多数の微細通孔を有する整流網が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の吐水機構。
【請求項6】
前記整流網の中央部で、且つ上面視で前記通水部と重合しない位置に開口が開設されていることを特徴とする請求項5記載の吐水機構。
【請求項7】
前記拡散部材と前記整流網との間に、前記通水部から下流側に流された水を一時的に滞留させる滞留空間が形成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の吐水機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−222909(P2010−222909A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73399(P2009−73399)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】