説明

向上した水熱安定性を有するポリマーコンパウンド用難燃剤

【課題】ポリマーマトリックスと難燃剤系よりなる難燃性ポリマーコンパウンドの提供。
【解決手段】難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として50〜95重量%のポリマーマトリックスおよび難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として5〜50重量%の難燃剤系を含有する難燃性ポリマーコンパウンド。難燃剤系が成分(A)としてのアンモニウム−ポリホスファート(NHPOと成分(B)としての、イソシアヌル酸のヒドロキシアルキル誘導体、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステル、およびアルコキシシランおよび/またはヒドロキシアルキル−アリールシロキサンを含むシリコーン化合物よりなるオリゴマー反応生成物のメラミン塩である特定のブロックドポリオールとの混合物よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーマトリックスと難燃剤系よりなる難燃性ポリマーコンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
N−ヘテロ原子含有環状化合物のアルコール基含有誘導体、例えばトリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレートはヨーロッパ特許出願公開(A1)第0,258,685号明細書に記載されている様なポリオレフィン化合物のアンモニウム−ポリホスファート含有難燃剤調製物において効果的な相乗剤として公知である。しかしながらこの相乗剤の低い溶融温度および低い粘度はコンパウンドの加工条件を制限している。
【0003】
上記相乗剤と米国特許第4,461,862号明細書に記載されている様な燐酸とのおよびヨーロッパ特許出願公開(A1)第0,584,567号明細書に記載されている様な芳香族ポリカルボン酸とのエステル誘導体は、低い粘度に起因するこの問題を排除している。上記相乗剤とアンモニウムポリホスファートを含有するコンパウンドの高温加工は、相乗剤とアンモニウムポリホスファートとの間で反応し、ブリードをもたらすことによって制限されている。“ブリード”は、水中にまたは気候調整室での促進されたエージングテストで保存した時に難燃剤の損失で説明される。
【発明の開示】
【0004】
本発明者は、ヒドロキシアルキルイソシアヌレート、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステルおよびシリコーン化合物、例えばアルコキシシランおよび/またはフェニルアルキルシロキサンから製造されるオリゴマーのメラミン塩が、アンモニウムポリホスファートを含むポリマーコンパウンドに適用した時に、難燃剤のブリードを示すことなく良好な難燃性をもたらすことを見出した。
【0005】
それ故に本発明は、難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として50〜95重量%のポリマーマトリックスおよび難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として5〜50重量%の難燃剤系を含有する難燃性ポリマーコンパウンドに関する。
【0006】
驚くべきことに本発明の難燃性ポリマーコンパウンドは、高い水熱安定性および長期間貯蔵安定性を示し、即ち難燃性ポリマーコンパウンドは高温で加工できそして添加剤のブリードも生ずることなく長期間貯蔵することができる。
【0007】
難燃性ポリマーコンパウンドは、該難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として60〜85重量%のポリマーマトリックスおよび難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として15〜40重量%の難燃剤系を含有するのが好ましい。
【0008】
難燃剤系は、成分(A)としてのアンモニウム−ポリホスファート(NH4 PO3 n と成分(B)としての、イソシアヌル酸のヒドロキシアルキル誘導体、五酸化リン、グリセロールの部分エステル、およびアルコキシシランおよび/またはヒドロキシアルキル−アリールシロキサンを含むシリコーン化合物よりなるオリゴマー反応生成物のメラミン塩である一般式(I)
【0009】
【化1】



[式中、nは4〜6であり、mは2〜5であり、RI は飽和または不飽和脂肪酸およびグ リセロールまたは他のポリオールから生成されそして少なくとも1つの遊離アルコール 基を有するエステルであり、RIIは炭素原子数1〜4のアルキル鎖であり、MELはメ ラミンである]
で表されるブロックドポリオールとの混合物よりなる。
【0010】
更に成分(B)はトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステルおよびメラミンを反応媒体としての種々の反応性溶剤中で反応させて得られる反応生成物であるのが好ましい。
【0011】
難燃剤系は90〜50重量%の成分(A)および10〜50重量%の成分(B)の混合物よりなるのが好ましい。
【0012】
更に難燃剤系が75〜60重量%の成分(A)および25〜40重量%の成分(B)の混合物よりなるのが特に好ましい。
【0013】
本発明はポリマーが熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン、酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド等またはそれらのブレンドである、難燃性ポリマーコンパウンドにも関する。
【0014】
本発明は更に、ポリマーが熱硬化性ポリマー、例えばエポキシ樹脂または不飽和ポリエステルである難燃性ポリマーコンパウンドにも関する。
【0015】
アンモニウムポリホスファートは、
(NH4 PO3 n
[式中、nは1と10,000以上との間、好ましくは200〜1000の値を有する]で表される化学構造を有している。
【0016】
成分(B)は以下の成分の付加−縮合生成物である:
・ トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、
・ 五酸化リン、
・ グリセロールの脂肪酸部分エステル、
・ メラミン、
・ シリコーン化合物、例えば
・ アルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン、または他のアルコキシシラン類、 および/または
・ ヒドロキシアルキル、またはアルキルアリールシロキサン、ただしアルキル基は炭素 原子数1〜6であり、アリール基は置換されていてもまたは置換されていなくともよ い。
【0017】
新規の難燃剤組合せ物が効果的に使用され得る熱可塑性ポリマーは国際特許出願公開WO97/01664号明細書に開示されている。
【0018】
これらには以下のものが包含される:
1. モノオレフィンもしくはジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブチレン、ポリ-1- ブテン、ポリイソプレンおよびポリブタジエン、ならびにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー;ならびに場合によっては架橋されていてもよいポリエチレン;例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW) 、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE) または低密度分枝状ポリエチレン(VLDPE) 。
2. 上記のポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE 、PP/LDPE)、および様々な等級のポリエチレンの混合物、例えばLDPE/HDPE 。
3. モノ- またはジオレフィン相互のコポリマー、またはモノ- またはジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン- プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE) 、およびこれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン-1- ブテンコポリマー、プロピレン- イソブチレンコポリマー、エチレン-1- ブテンコポリマーなど;ならびにエチレン- アルキルアクリレートコポリマー、エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、およびこれらと一酸化炭素とのコポリマー、およびエチレン- アクリル酸コポリマー、およびこれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレンおよびジエン(例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネン)とのターポリマー;およびこの種のコポリマー相互の混合物、またはこの種のコポリマーと他のポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン- プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、LDPE/エチレン- アクリル酸コポリマー、LLDPE /エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、LLDPE /エチレン- アクリル酸コポリマー、および交互配列またはランダム配列構造のポリアルキレン- 一酸化炭素コポリマー、およびこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
4. ポリスチレン、ポリ(p- メチルスチレン) 、ポリ( α- メチルスチレン) 。
5. スチレンまたはα- メチルスチレンとジエンまたはアクリル類とのコポリマー、例えばスチレン- ブタジエン、スチレン- アクリロニトリル、スチレン- アルキルメタクリレート、スチレン- ブタジエン- アルキルアクリレート、スチレン- ブタジエン- アルキルメタクリレート、スチレン- 無水マレイン酸、スチレン- アクリロニトリル- メタクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン- プロピレン- ジエンターポリマーから作製される耐衝撃性混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン、スチレン- エチレン/ブチレン- スチレンまたはスチレン- エチレン/プロピレン- スチレン。
6. スチレンまたはα- メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、スチレンがポリブタジエンにグラフトした、スチレンがポリブタジエン- スチレンコポリマーまたはポリブタジエン- アクリロニトリルコポリマーにグラフトした、スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)がポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレートがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよび無水マレイン酸がポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸もしくはマレイン酸イミドがポリブタジエンにグラフトした、スチレンおよびマレイミドがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがエチレン- プロピレン- ジエンターポリマーにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがアクリレート- ブタジエンコポリマーにグラフトしたコポリマー、ならびにこれらと他のポリマー、例えばABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマーまたはAESポリマーとの混合物。
7. ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン;塩素化したゴム;イソブチレン- イソプレンから作製されるコポリマーを塩素化または臭素化したもの(ハロゲン化ブチルゴム);塩素化またはクロロスルホン化したポリエチレン;エチレンと塩素化したエチレンとのコポリマー;エピクロロヒドリン−ホモ- およびコポリマー;特にハロゲン含有ビニル化合物、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンから作製されるポリマー;ならびにこれらのコポリマー、例えば塩化ビニル- 塩化ビニリデン、塩化ビニル- 酢酸ビニル、および塩化ビニリデン- 酢酸ビニル。
8. α, β- 不飽和酸またはこれの誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ブチル- アクリレート- 耐衝撃性改質(impact-modified) ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル。
9. 上記のモノマー相互のコポリマーまたはこれらのモノマーと他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル- ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル- アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル- アルコキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル- ハロゲン化ビニルコポリマー、およびアクリロニトリル- アルキルメタクリレート- ブタジエンターポリマー。
10. 不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアセチル誘導体もしくはアセタールから誘導されるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン;ならびに1.で挙げたオレフィンとこれらとのコポリマー。
11. ポリアセタール類、例えばポリオキシメチレン、ならびにコモノマー(例えばエチレンオキシド)を含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBS で変性されたポリアセタール。
12. ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、およびこれらのオキシドまたはスルフィドとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物。
13. ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸もしくは対応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド、例えばナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン-6,6、-6,10 、-6,9、-6,12 、-4,6、-12,12、ナイロン-11 、ナイロン-12 ;m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸をベースとする芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソ- および/またはテレフタル酸および必要に応じて変性剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えばポリ-2,4,4- トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。上記のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合したもしくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;または上記のポリアミドとポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー: EPDMまたはABSで変性したポリアミドまたはコポリアミド; ならびに加工処理中に縮合したポリアミド(“IMポリアミド系”) 。
14. ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾール。
15. ジカルボン酸およびジアルコールおよび/またはヒドロキシカルボン酸もしくは対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4- ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;ポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステル。
16. ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネート。
17. ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン。
18. 上記のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PU、PC/熱可塑性PU、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/ナイロン−6,6 およびコポリマー類。
【0019】
成分Bの製造:
付加−縮合反応の実施は攪拌機、加熱冷却器および減圧システムを備えた反応器中に各成分を導入することによって進める。この反応は好ましくは不活性の高沸点溶剤、例えば石油エーテルの存在下に実施する。温度は80℃〜140℃で変動する。溶剤および未消費の揮発性反応成分は減圧状態で排除するのが好ましい。
【0020】
典型的な難燃性コンパウンドは慣用の方法によって、密閉式ミキサー中でポリマーマトリックスの可塑化温度において、溶融したポリマーに添加物を供給することによって製造される。成分(B)は熱可塑性であり、均一化プロセスが高温で起きる場合には、密閉式ミキサー中に供給する前に追加的な粉砕処理を必要としない。
【0021】
コンパウンドの難燃特性は、プレス成形された板から製造される10×2×100mmの大きさの試験体を使用して測定する。難燃性は、ISO 4589−2に記載されている制限された酸素指数(LOI)を測定することによっておよび“垂直燃焼試験”UL−94によって示す。ブリードは44×44×2mmの大きさの板を用いて100cm3 −抽出水の導電性を測定することによって試験する。
【0022】
本発明を以下の実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【実施例1】
【0023】
(B1)成分の製造は以下の通り行う:10g(0.028モル)のグリセロールモノステアレートを150cm3 の石油エーテル(120)の入った容器中に秤量添加する。80℃の保持温度に加熱し、50g(0.19モル)のトリス−ヒドロキシ−エチル−イソシアヌレート(THEIC)および43g(0.3モル)の五酸化リンの少量を交互に容器中に供給し、その後に反応混合物を粘性懸濁状態にする。80℃で1時間攪拌した後に反応混合物を72g(0.57モル)のメラミンで中和する。更に1時間攪拌した後に250g(1.2モル)のテトラエトキシシランおよび0.1gの触媒(ジブチル錫ジラウレート溶液)を添加する。シリル化反応の間に放出されるエタノールを反応混合物の沸点で連続的に留去する。エタノールがもはや放出されなくなった時にシリル化が完了する。溶剤および未反応のテトラエトキシシランは低減圧を用いて回転式蒸発器で除く。
【0024】
難燃性コンパウンドはブラベンダーのPlastograph 2000の混合室中で190℃で10%の成分B1および24%の Exolit AP 422、および予めに190℃で可塑化された66%のPPホモポリマー(MFI=4、230℃、2.16kp)を均一化することによって製造する。
【実施例2】
【0025】
第二のサンプルを実施例1と同じ組成で製造するが、この場合には均一化温度が220℃である。コンパウンドの性質を表1に示す。
【実施例3】
【0026】
(B2)成分を実施例1に記載したのと同じ反応成分および成分比を用いて製造するが、以下の点を変更する:1.2モルのテトラエトキシシランの代わりに0.028モルを使用し、石油エーテルの量を反応成分の凝集に必要な7.5cm3 に減らし、3gのヒドロキシ−アルキル−アリールシロキサンも含有する処方とする。製造はブラベンダーのPlastograph の温度および攪拌の制御可能な混合室において行う。テトラエトキシシランおよびメラミンを除いて全ての成分を混合室中に供給する。混合は50回転/分のローター速度で開始する。温度を徐々に80℃に高めそしてこの温度に1.5時間維持する。テトラエトキシシランおよびメラミン成分を反応混合物に供給した後に、温度を徐々に150℃に高め、この温度に1時間維持する。最後に温度を250℃に高め、その温度に10分間維持する。熱可塑性生成物を該混合室から取り出し、固化後に粉砕し、そして難燃性コンパウンドの製造に使用する。
【0027】
難燃性コンパウンドはブラベンダーのPlastograph 2000の混合室中で190℃で10%の成分Bおよび24%の Exolit AP 422、および予めに190℃で可塑化された66%のPPホモポリマー(MFI=4、230℃、2.16kp)を均一化することによって製造する。
【実施例4】
【0028】
コンパウンドを実施例3と同じ組成で製造するが、この場合には均一化温度が220℃である。コンパウンドの性質は表1に示す。
【0029】
参考例1:
コンパウンドを、ブラベンダーのPlastograph 2000の混合室中で190℃で10%のトリス−ヒドロキシ−エチル−イソシアヌレート(THEIC)、24%の Exolit AP 422、および66%のPPホモポリマー(MFI=4、230℃、2.16kp)を均一化することによって製造する。
【0030】
参考例2:
コンパウンドを、ブラベンダーのPlastograph 2000の混合室中で220℃で10%のトリス−ヒドロキシ−エチル−イソシアヌレート(THEIC)、24%の Exolit AP 422、および66%のPPホモポリマー(MFI=4、230℃、2.16kp)を均一化することによって製造する。
【0031】
【表1】



表Iからは、参考のコンパウンド(参考例1および2)が高い酸素指数および優れたUL 94 難燃性を示すが、ブリード(抽出水の導電性の測定によって表される)について高い感度を示すことがわかる。実施例1〜4で製造されたサンプルは、参考例に比較して加工温度において低いブリード感度(低い抽出水導電性)を示す。これらのコンパウンドは比較的に高い酸素指数であることから、向上した難燃性も示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として50〜95重量%のポリマーマトリックスおよび難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として5〜50重量%の難燃剤系を含有する難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項2】
難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として60〜85重量%のポリマーマトリックスおよび難燃性ポリマーコンパウンドの全量を基準として15〜40重量%の難燃剤系を含有する請求項1に記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項3】
難燃剤系が成分(A)としてのアンモニウム−ポリホスファート(NH4 PO3 n と成分(B )としての、イソシアヌル酸のヒドロキシアルキル誘導体、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステル、およびアルコキシシランおよび/またはヒドロキシアルキル- アリールシロキサンを含むシリコーン化合物よりなるオリゴマー反応生成物のメラミン塩である一般式(I)
【化1】



[ 式中、n は4 〜6 であり、m は2 〜5 であり、R1 は飽和または不飽和脂肪酸およびグ リセロールまたは他のポリオールから生成されそして少なくとも1つの遊離アルコール 基を有するエステルであり、RIIは炭素原子数1〜4のアルキル鎖またはフェニル基で あり、MELはメラミンである。]
で表されるブロックドポリオールとの混合物よりなる、請求項1または2に記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項4】
難燃剤系が90〜40重量%の成分(A)と10〜40重量%の成分(B)との混合物よりなる請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項5】
難燃剤系が75〜60重量%の成分(A)と25〜40重量%の成分(B)との混合物よりなる請求項1〜4のいずれか一つに記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項6】
ポリマーが熱可塑性ポリマー、例えばHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルボナート、またはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカルボナート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン)のブレンドまたはポリマーブレンド、またはポリアミド、ポリエステルまたはPPE/HIPSのブレンドである請求項1〜5のいずれか一つに記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項7】
ポリマーが熱硬化性ポリマー、例えばエポキシ樹脂または不飽和ポリエステルである請求項1〜6のいずれか一つに記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項8】
(B)がトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステルおよびメラミンを反応媒体としての種々の溶媒中において反応させて得られる反応生成物である、請求項1に記載の難燃性ポリマーコンパウンド。
【請求項9】
(B)がトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、五酸化リン、グリセロールの脂肪酸部分エステル、メラミンおよびアルコキシシランおよび/またはヒドロキシアルキル- アリールシロキサンを含むシリコーン化合物よりなる反応生成物である、請求項1に記載の難燃性ポリマーコンパウンド。

【公開番号】特開2004−339513(P2004−339513A)
【公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−142631(P2004−142631)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【出願人】(597109656)クラリアント・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】