向流クロマトグラフ装置
【課題】フローチューブの捩れを解消しやすくする。有機溶媒―水系二相溶媒と水性二相溶媒とを用いることができる汎用性の高い向流クロマトグラフ装置を提供する。
【解決手段】向流クロマトグラフ装置はコイル状カラム4と保持体6とを備える。コイル状カラムはフローチューブ8とホルダ10とを備え、フローチューブ8はホルダ10の一端から他端に螺旋状に形成されている。保持体はホルダ12とフローチューブ8とを備え、フローチューブはホルダ12の一端から他端に直線上に保持されている。コイル状カラム4と保持体6とはフローチューブ8の中継部8cによって連通接続される。コイル状カラム4と保持体6とはそれぞれの自転軸が公転軸と略平行をなすように配置されている。コイル状カラム4および保持体6は公転軸を中心に公転しながら、コイル状カラム4は公転方向と反対方向に自転し、保持体6は公転方向と同方向に自転する。
【解決手段】向流クロマトグラフ装置はコイル状カラム4と保持体6とを備える。コイル状カラムはフローチューブ8とホルダ10とを備え、フローチューブ8はホルダ10の一端から他端に螺旋状に形成されている。保持体はホルダ12とフローチューブ8とを備え、フローチューブはホルダ12の一端から他端に直線上に保持されている。コイル状カラム4と保持体6とはフローチューブ8の中継部8cによって連通接続される。コイル状カラム4と保持体6とはそれぞれの自転軸が公転軸と略平行をなすように配置されている。コイル状カラム4および保持体6は公転軸を中心に公転しながら、コイル状カラム4は公転方向と反対方向に自転し、保持体6は公転方向と同方向に自転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公転軸を中心に公転するとともにこの公転軸と略平行な自転軸を中心に自転するコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料溶液から効率良くその目的物質を分離するため、固定相となる溶媒と移動相となる溶媒との間の分配係数の差を利用して試料溶液から目的物質を分離する向流クロマトグラフ装置が発展しつつある。向流クロマトグラフ装置は、固定相となる溶媒及び移動相となる溶媒とが導入されるフローチューブが螺旋状に形成されたカラム(コイル状カラム)を有し、カラム外部の公転軸のまわりを公転しながらカラム内の自転軸を中心に自転する。コイル状カラムの保持形態として、自転軸が公転軸に対して略垂直をなすようにコイル状カラムを配置したタイプの向流クロマトグラフ装置(特許文献1参照)や、自転軸が公転軸に対して略平行をなすタイプの向流クロマトグラフ装置(特許文献2参照)などがある。このようにコイル状カラムを駆動することにより、固定相としてコイル状カラム内に導入された溶媒がカラム内に保持され、コイル状カラム内に導入された試料溶液から固定相として導入された溶媒と移動相として導入された溶媒とのうちのいずれかに目的物質を溶出することができる。
【0003】
ところで、公転軸と略平行な自転軸を備えた複数のコイル状カラムのフローチューブを連通させたとき、各コイル状カラム間を中継するフローチューブの形状が複雑になり、コイル状カラムの駆動時にフローチューブに発生した捩れがうまく解消されないことがあった。特に、コイル状カラムを高速に駆動させると、回転数が高まるにつれてフローチューブの捩れが大きくなり分離溶媒をフローチューブ内で流通させることができず、このためにコイル状カラムの駆動を高速化することが困難であった。また、公転方向と同方向に自転するコイル状カラム、あるいは公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムを備える装置は、さらに汎用性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−064533号公報
【特許文献2】特開平11−183455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フローチューブの捩れが解消されやすい向流クロマトグラフ装置を提供して、コイル状カラムの駆動を高速化することにある。また、有機溶媒―水系二相溶媒と水性二相溶媒とを用いることができる汎用性の高い向流クロマトグラフ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、捩れが伝播するフローチューブの形状が単純なものとなるように、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムとフローチューブを保持した保持体とを配置することでうまくフローチューブの捩れが解消されることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明の向流クロマトグラフ装置は、公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、前記コイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつ前記コイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、前記コイル状カラムと前記保持体とを、公転軸まわりに交互に略等間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0008】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、コイル状カラムと保持体との間を中継するフローチューブを、コイル状カラムおよび保持体の一方から他方に向けてガイドするチューブガイドを設けることが好ましい。なお、チューブガイドはフローチューブの材質に対する摩擦係数が小さな材質で形成することが好ましい。
【0009】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムを保持体として用いることが好ましい。
【0010】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、フローチューブとして、フッ素樹脂で形成されたチューブを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の向流クロマトグラフ装置によれば、コイル状カラムと保持体との間を中継するフローチューブの形状をアーチ状に単純化することができ、フローチューブの捩れを解消しやすくすることができる。これによりコイル状カラムを高速駆動可能な向流クロマトグラフ装置を提供することができる。また、有機溶媒―水系二相溶媒を公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いる、あるいは水性二相溶媒を公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、様々な目的物質の分離を実行することができるため汎用性の高い向流クロマトグラフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】主として水性二相溶媒を使用し、公転方向と反対まわりに自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する保持体とを1つずつ備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図2】公転方向と反対まわりに自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する1つの保持体とを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図3】2つのコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する2つの保持体とを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図4】主として有機溶媒―水系二相溶媒を使用し、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する保持体とを1つずつ備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図5】公転方向と同方向に自転する1つのコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する1つの保持体とを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図6】公転方向と同方向に自転する2つのカラムとこのカラムと反対方向に自転する2つの保持体とを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図7】フローチューブを、接着材を用いて保持する保持体について概略的に示した断面図である。
【図8】自転方向の異なる2つのコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図9】自転方向の異なる2つのコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム構成を概略的に示した斜視図である。
【図10】同方向に自転する2つのカラムとこのカラムと反対方向に自転する2つのカラムとを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム構成を概略的に示した斜視図である。
【図11】異なる方向に自転し二相溶媒を使用して目的物質を分離するコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図12】装置本体に回転自在に収容されたロータリユニットを上から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の向流クロマトグラフ装置について説明する。本発明は、公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、このコイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつコイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とするものである。なお、コイル状カラムや保持体の具体的な構成は下記に限らず、適宜変更してよい。また、後述するが保持体はコイル状カラムに変更することもできる。
【0014】
図1および図2に示すように、向流クロマトグラフ装置は公転軸線R、この公転軸線Rと略平行な自転軸線S、コイル状カラム4、保持体6を有する。公転軸線Rは公転軸2の中心を軸方向に貫通し、2つの自転軸線S1、S2はコイル状カラム4、保持体6の中心を貫通している。コイル状カラム4は公転軸2を中心に公転しつつ公転方向と同方向または反対方向に自転し、保持体6は公転軸2を中心に公転しつつコイル状カラム4の自転方向と反対方向に自転する。図1は、コイル状カラム4が公転方向と反対方向に自転し保持体6が公転方向と同方向に自転する態様を示す。公転軸2は中空に形成され、フローチューブ8は公転軸2内を通されてコイル状カラム4や保持体6側に導入される。コイル状カラムが公転方向と反対方向に自転するこの本態様は、例えば水性二相溶媒を用いて目的物質の分離精製を実行するために用いることができる。
【0015】
コイル状カラム4は、フローチューブ8とこのフローチューブ8が巻かれるホルダ10とを備え、フローチューブ8はホルダ10の一端側から他端側に螺旋状に形成されている。ホルダ10は両端部にフランジ10a、10bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ10a、10b間にフローチューブ8が巻きつけられてフローチューブ8が螺旋状に形成された螺旋部8dが形成される。
【0016】
上側フランジ10aおよび下側フランジ10bにはそれぞれアッパーシャフト20、ロワーシャフト21が設けられ、アッパーシャフト20およびロワーシャフト21の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト20およびロワーシャフト21はそれぞれフローチューブ8を折り曲げて保持し、これによりフローチューブ8の螺旋部8dが維持される。アッパーシャフト20はホルダ10内に向かうフローチューブ8を上側フランジ10aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ8は上側フランジ10aの周縁部に穿たれた開口10cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ8は下側フランジ10bの周縁部に穿たれた開口10dを通り、開口10dから延出したフローチューブ8はロワーシャフト21によって下側フランジ10bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0017】
両フランジ10a、10b間に形成されたフローチューブ8の螺旋部8d内には自転軸線S1から略等距離を隔てて周回する螺旋流路(図示省略)が形成される。螺旋部8dの容量や構成部材等は適宜定めることができる。例えば、螺旋部8dは、略40mlの容量を有し、内径0.8mmのポリテトラフルオロエチレン(以降、PTFEという)製チューブが螺旋状に形成されて構成される。なお、上記では、内径が0.8mmのPTFEチューブを用いて容量が略40mlの螺旋部8dを形成したが、コイル状カラムのスペックはこれに限らず、適宜変更してよい。例えば、内径が1.2mmのより太めのPTFEチューブを用いてチューブ断面積を増やすことで容量が略70mlの螺旋部を作製することができ、処理能力の向上が期待できる。
【0018】
保持体6はフローチューブ8とこのフローチューブ8を保持するホルダ12とを備える。ホルダ12は両端部にフランジ12a、12bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口12c、12dが穿たれている。上側フランジ12a、および下側フランジ12bにはそれぞれアッパーシャフト24、ロワーシャフト25が設けられ、アッパーシャフト24およびロワーシャフト25の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト24はホルダ12内に向かうフローチューブ8を上側フランジ12の中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ8は開口12cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で直線状に形成されたフローチューブ8は下側フランジ12bの周縁部に穿たれた開口12dを通り、開口12dから延出したフローチューブ8はロワーシャフト25によって下側フランジ12bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0019】
自転軸線S2に沿って保持体6のアッパーシャフト24から延出したフローチューブ8は公転軸2の傍を通過してコイル状カラム4に導かれる。保持体6とコイル状カラム4との間を中継するフローチューブ8の中継部8cは、上に突き出るようにアーチ状となり、中継部8cがこのような単純な形状に形成されることにより、コイル状カラム4および保持体6の一方の自転によって生じる中継部8cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0020】
本発明の一態様において、保持体6は公転しながら公転方向と同方向に自転し、コイル状カラム4は公転しながら公転方向と反対方向に自転する。自転の角速度は公転の角速度ωに合わせられ、これにより、向流クロマトグラフ装置外部から保持体6のロワーシャフト25までのフローチューブ8の導入部8aでは、公転によって生じる捩れが保持体6の自転によって解消されることとなり結果として捩れが生じない。同様に、コイル状カラム4のロワーシャフト21から向流クロマトグラフ装置外部までのフローチューブ8の排出部8eでは、公転によって生じる捩れがコイル状カラム4の自転によって解消されることとなり結果的に捩れが生じない。保持体6の自転方向とコイル状カラム4の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これによりコイル状カラム4および保持体6のどちらか一方の自転により中継部8cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0021】
フローチューブ8の材質は特に制限されないが、耐磨耗性、耐薬品性、耐腐食性、硬度などに優れたものが好ましい。フローチューブ8の材質としては、例えばフッ素樹脂が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)などをフローチューブ8の形成材料として用いることができる。
【0022】
上述したように、図1、2ではコイル状カラムと保持体とがそれぞれ1個の態様を例示したが、コイル状カラムと保持体との個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図3に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1保持体31、第1コイル状カラム32、第2保持体33、第2コイル状カラム34が略等間隔を隔てて設けられている。第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第2保持体31、33は公転方向と同方向に自転し、第1、第2コイル状カラム32、34は第1、第2保持体31、33の自転方向と反対方向に自転する。
【0023】
フローチューブ38は、向流クロマトグラフ装置外部から第1保持体31のロワーシャフト31bまでの導入部38a、直線状に形成された直線部38b、第1保持体31のアッパーシャフト31aから第1コイル状カラム32のアッパーシャフト32aまでの第1中継部38c、螺旋状に形成された螺旋部38d、第1コイル状カラム32のロワーシャフト32bから第2保持体33のロワーシャフト33bまでの第2中継部38e、直線状に形成された直線部38f、第2保持体33のアッパーシャフト33aから第2コイル状カラム34のアッパーシャフト34aまでの第3中継部38g、螺旋状に形成された螺旋部38h、第2コイル状カラム34のロワーシャフト34bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部38iなどから構成される。
【0024】
第1保持体31、第1コイル状カラム32、第2保持体33、第2コイル状カラム34の自転速度は公転速度ωに合わせられている。そのため、導入部38aおよび排出部38iには捩れが生じない。第1〜第3中継部38c、38e、38gはそれぞれ単純なアーチ形状に形成される。第1中継部38cは、第1保持体31と第1コイル状カラム32とによって捩れが解消され、第2中継部38eは第1コイル状カラム32と第2保持体33とによって捩れが解消され、第3中継部38gは第2保持体33と第2コイル状カラム34とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34を配置したことにより、第1〜第3中継部38c、38e、38gの長さをより短くでき、それぞれの中継部38c、38e、38gの捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34を配置しながら総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0025】
上記図1〜3では、公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムを備え、主に水性二相溶媒を用いて目的物質の分離精製を行う態様について例示したが、コイル状カラムや保持体の自転方向の組み合わせはこれに限らない。図4および図5に示すように、向流クロマトグラフ装置の第2の態様では、公転軸線Rと略平行な自転軸線S1を備え公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と同方向に自転するコイル状カラム41と、公転軸40を中心に公転しつつ公転方向と反対方向に自転する保持体43とを備える。コイル状カラム41を公転方向と同方向に自転させる本態様は、主として例えば有機溶媒―水系二相溶媒を用いた目的物質の分離精製を実行するために用いることができる。
【0026】
コイル状カラム41は、フローチューブ45とこのフローチューブ45が巻かれるホルダ47とを備え、フローチューブ45はホルダ47の一端側から他端側にかけて螺旋状に形成されている。ホルダ47は両端部にフランジ47a、47bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ47a、47b間にフローチューブ45が巻きつけられてフローチューブ45が螺旋状に形成された螺旋部45bが形成される。
【0027】
上側フランジ47aおよび下側フランジ47bにはそれぞれアッパーシャフト50、ロワーシャフト51が設けられ、アッパーシャフト50およびロワーシャフト51の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト50およびロワーシャフト51はそれぞれフローチューブ45を折り曲げて保持し、フローチューブ45の螺旋部45bが維持される。アッパーシャフト50はホルダ47内に向かうフローチューブ45を上側フランジ47aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ45は上側フランジ47aの周縁部に穿たれた開口47cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ45は下側フランジ47bの周縁部に穿たれた開口47dを通り、開口47dから延出したフローチューブ45はロワーシャフト51によって下側フランジ47bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0028】
保持体43はフローチューブ45とこのフローチューブ45を保持するホルダ55とを備える。ホルダ55は両端部にフランジ55a、55bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口55c、55dが穿たれている。上側フランジ55a、および下側フランジ55bにはそれぞれアッパーシャフト60、ロワーシャフト61が設けられ、アッパーシャフト60およびロワーシャフト61の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト60はホルダ55内に向かうフローチューブ45を上側フランジ55aの中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ45は開口55cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で直線状に形成されたフローチューブ45dは下側フランジ55bの周縁部に穿たれた開口55dを通り、開口55dから延出したフローチューブ45はロワーシャフト61によって下側フランジ55bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0029】
自転軸線S2に沿って保持体43のアッパーシャフト60から延出したフローチューブ45は公転軸40の傍を通過してコイル状カラム41に接続される。保持体43とコイル状カラム41との間を中継するフローチューブ45の中継部45cは、上に突き出たアーチ状となり、中継部45cがこのような単純な形状に形成されることにより、コイル状カラム41および保持体43の一方の自転によって生じる中継部45cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0030】
図4に示される態様では、保持体43は公転しながら公転方向と反対方向に自転し、コイル状カラム41は公転しながら公転方向と同方向に自転する。保持体43の自転方向とコイル状カラム41の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これによりコイル状カラム41および保持体43のどちらか一方の自転により中継部45cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0031】
上述したように、図4、5ではコイル状カラム41と保持体43とがそれぞれ1個の態様を例示したが、コイル状カラムと保持体との個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図6に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1コイル状カラム71、第1保持体72、第2コイル状カラム73、第2保持体74が略等間隔を隔てて設けられている。第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第2コイル状カラム71、73は公転方向と同方向に自転し、第1、第2保持体72、74は公転方向と反対方向に自転する。
【0032】
フローチューブ76は、向流クロマトグラフ装置外部から第1コイル状カラム71のロワーシャフト71bまでの導入部76a、第1コイル状カラム71のアッパーシャフト71aから第1保持体72のアッパーシャフト72aまでの第1中継部76c、第1保持体72のロワーシャフト72bから第2コイル状カラム73のロワーシャフト73bまでの第2中継部76e、第2コイル状カラム73のアッパーシャフト73aから第2保持体74のアッパーシャフト74aまでの第3中継部76g、第2保持体74のロワーシャフト74bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部76iなどから構成される。
【0033】
第1〜第3中継部76c、76e、76gはそれぞれ単純なアーチ状に形成される。第1中継部76cは、第1コイル状カラム71と第1保持体72とによって捩れが解消され、第2中継部76eは第1保持体72と第2コイル状カラム73とによって捩れが解消され、第3中継部76gは第2コイル状カラム73と第2保持体74とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74を配置したことにより、第1〜第3中継部76c、76e、76gの長さを短くでき、このため各中継部76c、76e、76gの捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74を配置しながら総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0034】
なお、保持体の形状は上記に限らず適宜変更してよい。例えば、図7に示すように、中継部からのフローチューブ84を折り曲げることなく直線状のまま接着剤で固定することもできる。保持体80はホルダ82、接着材層83を有し、ホルダ82は中空パイプ状に形成されている。ホルダ82の中空内に中継部に接続されるフローチューブ84が収容され、中空部内のフローチューブ84の周囲には接着剤層が設けられホルダ82と一体化される。このような構成とすることで、コイル状カラムとともに捩れを解消しつつ流体抵抗を減らして二相溶媒が流通しやすくなることが期待できる。
【0035】
上記の図4〜6では公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転する保持体とを備えた第2の態様を例示したが、保持体に保持されるフローチューブを螺旋状に形成してカラムとして機能させてもよい。図8および図9に示すように、本発明の向流クロマトグラフ装置の第3の態様では、公転軸線Rと略平行な自転軸線S1を有し公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と同方向に自転するコイル状カラム101と、自転軸線S2を有し公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と反対方向に自転するコイル状カラム102とを備える。フローチューブ105には、例えば水性二相溶媒などが流通され目的物質の分離が実行される。
【0036】
第1コイル状カラム101は、フローチューブ105とこのフローチューブ105が巻かれるホルダ107とを備え、フローチューブ105はホルダ107の一端側から他端側にかけて螺旋状に形成されている。ホルダ107は両端部にフランジ107a、107bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ107a、107b間にフローチューブ105が巻きつけられてフローチューブ105が螺旋状に形成された螺旋部105bが形成される。
【0037】
上側フランジ107aおよび下側フランジ107bにはそれぞれアッパーシャフト110、ロワーシャフト111が設けられ、アッパーシャフト110およびロワーシャフト111の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト110およびロワーシャフト111はそれぞれフローチューブ105を折り曲げて保持し、フローチューブ105の螺旋部105bが維持される。アッパーシャフト110はホルダ107内に向かうフローチューブ105を上側フランジ107aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ105は上側フランジ107aの周縁部に穿たれた開口107cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ105は下側フランジ107bの周縁部に穿たれた開口107dを通り、開口107dから延出したフローチューブ105はロワーシャフト111によって下側フランジ107bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0038】
第2コイル状カラム102はフローチューブ105とこのフローチューブ105を保持するホルダ115とを備える。ホルダ115は両端部にフランジ115a、115bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口115c、115dが穿たれている。上側フランジ115a、および下側フランジ115bにはそれぞれアッパーシャフト120、ロワーシャフト121が設けられ、アッパーシャフト120およびロワーシャフト121の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト120はホルダ115内に向かうフローチューブ105を上側フランジ115aの中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ105は開口115cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ105は下側フランジ115bの周縁部に穿たれた開口115dを通り、開口115dから延出したフローチューブ105はロワーシャフト121によって下側フランジ115bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0039】
自転軸線S1に沿って第1コイル状カラム101のアッパーシャフト110から延出したフローチューブ105は公転軸100の傍を通過して第2コイル状カラム102に接続される。第1、第2コイル状カラム101、102との間を中継するフローチューブ105の中継部105cは、上に突き出たアーチ状となり、中継部105cがこのような単純な形状に形成されることにより、第1、第2コイル状カラム101、102の一方の自転によって生じる中継部105cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0040】
第1コイル状カラム101は公転しながら公転方向と同方向に自転し、第2コイル状カラム102は公転しながら公転方向と反対方向に自転する。第1コイル状カラム101の自転方向と第2コイル状カラム102の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これにより第1、第2コイル状カラム101、102のどちらか一方の自転により中継部105cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0041】
上述したように、図8、9では自転方向が反対なコイル状カラムがそれぞれ1個の態様を例示したが、自転方向が反対なコイル状カラムの個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図10に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1コイル状カラム131、第2コイル状カラム132、第3コイル状カラム133、第4コイル状カラム134が略等間隔を隔てて設けられている。第1〜第4コイル状カラム131〜134は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第3コイル状カラム131、133は公転方向と同方向に自転し、第2、第4コイル状カラム132、134は公転方向と反対方向に自転する。
【0042】
フローチューブ138は、向流クロマトグラフ装置外部から第1コイル状カラム131のロワーシャフト131bまでの導入部138a、第1コイル状カラム131のアッパーシャフト131aから第2コイル状カラム132のアッパーシャフト132aまでの第1中継部138c、第2コイル状カラム132のロワーシャフト132bから第3コイル状カラム133のロワーシャフト133bまでの第2中継部138e、第3コイル状カラム133のアッパーシャフト133aから第4コイル状カラム134のアッパーシャフト134aまでの第3中継部138g、第4コイル状カラム134のロワーシャフト134bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部138iなどから構成される。
【0043】
第1〜第3中継部138c、138e、138gはそれぞれ単純なアーチ状に形成される。第1中継部138cは、第1コイル状カラム131と第2コイル状カラム132とによって捩れが解消され、第2中継部138eは第2コイル状カラム132と第3コイル状カラム133とによって捩れが解消され、第3中継部138gは第3コイル状カラム133と第4コイル状カラム134とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1〜第4コイル状カラム131〜134を配置したことにより、第1〜第3中継部138c、138e、138gの長さをより短くでき、このためそれぞれの中継部の捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1〜第4コイル状カラム131〜134を配置して総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0044】
次に、図10に示したような、公転方向に自転する2つのコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転する2つのコイル状カラムとを備えた向流クロマトグラフ装置の装置全体について説明する。図11および図12に示すように、向流クロマトグラフ装置160は、装置本体164、ロータリユニット166等を備え、装置本体164の上部は蓋168によってカバーされている。装置本体164はロータリユニット166の収容スペース170を内部に備え、このスペース170内にロータリユニット166が収められている。ロータリユニット166は、その重心を通るように公転軸167を備える。公転軸167の上下両端は装置本体164に軸支され、ロータリユニット166は公転軸167の中心を貫通する公転軸線Rを中心に回転自在に保持される。
【0045】
装置本体164は側壁172、及び底部174を備え、その内部に断面略円形状の収容スペース170を有する。底部174には動力供給部177が備えられ、動力供給部177は、モータ、このモータの駆動を制御するモータコントローラ等を備える。動力供給部は、モータの動力を基にして、コイル状カラムを公転させるための公転用動力と、後述するコイル状カラムを自転させるための自転用動力とを発生させる動力発生機構を備える。このような構成から、動力供給部は、公転軸167を中心にロータリユニット166を公転軸線Rまわりに回転させる動力を供給するとともに、各コイル状カラムに自転するための動力を供給することができる。なお、図示はしないが、装置本体164の外側にはモータの回転数を調節するための操作部が設けられ、ユーザはこの操作部を操作することで、モータコントローラを介してコイル状カラムの公転角速度および自転角速度を調節することができる。
【0046】
蓋168は装置本体164の上部に着脱自在に装着される。蓋168には、フローチューブ200を向流クロマトグラフ装置160内部に導入するための導入孔等が形成されている。公転軸167は、中空状に形成され上部軸端部及び下部軸端部は開口し、外周面には上側の第1開口180と下側の第2開口181とが形成され、各開口180、181はそれぞれ内側の中空部183に連通している。
【0047】
図12に示すように、ロータリユニット166は第1〜第4コイル状カラム211〜214を備え、第1〜第4コイル状カラム211〜214は公転軸167のまわりに略等間隔を隔てて配置されている。第1〜第4コイル状カラム211〜214は、螺旋部の巻き数(ピッチ数)が同一であり、それぞれの重量が同一になるように調整され、ロータリユニット166が安定して回転できるように構成されている。
【0048】
フローチューブ200は、導入部200a、第1〜第3中継部200c、200e、200g、排出部200iなどから構成される。図示しない導入孔を介して装置内部に導入された導入部200aは、上端の開口から公転軸167内に導かれて第1開口180まで公転軸167内を通される。公転軸167の第1開口180から延び出た導入部200aは、第1コイル状カラム211に接続される。第1コイル状カラム211と第2コイル状カラム212との間、第2コイル状カラム212と第3コイル状カラム213との間、第3コイル状カラム213と第4コイル状カラム214との間は、それぞれ第1中継部200c、第2中継部200e、第3中継部200gによって中継される。第4コイル状カラム214から延び出た排出部200iは第2開口181から公転軸167内の中空部183に収納され、公転軸167の下端の開口まで公転軸167内を通される。公転軸167の下端から導出された排出部200iは底部174側から装置本体164の外部まで導かれる。公転軸167に形成された第1開口180と第2開口181との位置が異なるため、フローチューブ200同士が接触して破損することはない。
【0049】
ロータリユニット166は、フローチューブ200の第1中継部200cを第1、第2コイル状カラム相互に向けてガイドする第1チューブガイド231、第2中継部200eを第2、第3コイル状カラム相互に向けてガイドする第2チューブガイド(図示省略)、第3中継部200gを第3、第4コイル状カラム相互に向けてガイドする第3チューブガイド233を備える。例えば、第1チューブガイド231はフローチューブ200の中継部200cを第1、第2コイル状カラム211、212の一方から他方に向けて通すための開口231aを有し、中継部200cはこの開口部231a内を通される。第2チューブガイド、第3チューブガイド233も同様に構成されている。このようにフローチューブ200の第1〜第3中継部200c、200e、200gがそれぞれ第1〜第3チューブガイド231〜233によってガイドされることにより、第1〜第4コイル状カラム211〜214の駆動時に第1〜第3中継部200c、200e、200gの揺動を抑えることができ、捩れ解消の促進効果が期待できる。また、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムとを備えたため、有機溶媒―水系二相溶媒を公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いる、あるいは水性二相溶媒を公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、様々な目的物質の分離を実行することができるため汎用性を高められる。
【0050】
本発明の向流クロマトグラフ装置を用いた分離システムは、例えば、有機溶媒―水系二相溶媒または水性二相溶媒等を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相)を供給する溶媒供給源、溶媒供給源からの移動相溶媒や生体関連物質等の試料溶液を送り出すためのポンプ、ポンプから送り出された試料溶液に含まれる目的物質を分離する本発明の向流クロマトグラフ装置160、向流クロマトグラフ装置からの分離された目的物質を検出するディテクタなどから構成される。
【0051】
溶媒供給源から移動相溶媒がポンプに送られ、ポンプによって向流クロマトグラフ装置160に移動相溶媒が液送される。向流クロマトグラフ装置160内へ送られた移動相溶媒は、螺旋部内に導入される。螺旋部から移動相溶媒と共に排出される目的物質は排出部を介してディテクタに送られて検出され、その結果は、例えばインテグレータに送られチャート化される。
【0052】
分離時の手順は、まず、水系等の二相溶媒を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相としない層)を固定相として螺旋部内に導入する。固定相溶媒の充填後、コイル状カラムの公転及び自転を開始させて固定相溶媒を螺旋部内に固定させる。コイル状カラムを回転させた後、生体関連物質等を含む試料溶液を移動相溶媒とともに螺旋部内に送液する。螺旋部内に導入された試料溶液中の生体関連物質等は、例えば、固定相と移動相との間で分配、分離され、移動相溶媒と共に溶出する。このように、有機溶媒―水系二相溶媒を、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、天然物からの生理活性物質の単離・精製、有機合成物質からの目的物質の精製などに広く用いることが期待される。特に、有機溶媒によりエマルションを形成しやすい物質の単離・精製には有用性が期待できる。また、水性二相溶媒を、公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、タンパク質、酵素、核酸など有機溶媒では変性してしまう物質の単離・精製を行うことが可能である。また、生理活性物質などのなかにはカラム充填剤との相互作用により失活する物質も多く、本発明の向流クロマトグラフ装置はこのような物質の分離・精製にも利用することができる。また、本発明の向流クロマトグラフ装置は、回転機構が簡単なため、従来の向流クロマトグラフ装置と比較して廉価に製造することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 公転軸
4 コイル状カラム
6 保持体
8 フローチューブ
8c 中継部
10 ホルダ
12 ホルダ
101 第1コイル状カラム
102 第2コイル状カラム
105 フローチューブ
160 向流クロマトグラフ装置
164 装置本体
166 ロータリユニット
180 第1開口
181 第2開口
200 フローチューブ
231 第1チューブガイド
R 公転軸線
S 自転軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、公転軸を中心に公転するとともにこの公転軸と略平行な自転軸を中心に自転するコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料溶液から効率良くその目的物質を分離するため、固定相となる溶媒と移動相となる溶媒との間の分配係数の差を利用して試料溶液から目的物質を分離する向流クロマトグラフ装置が発展しつつある。向流クロマトグラフ装置は、固定相となる溶媒及び移動相となる溶媒とが導入されるフローチューブが螺旋状に形成されたカラム(コイル状カラム)を有し、カラム外部の公転軸のまわりを公転しながらカラム内の自転軸を中心に自転する。コイル状カラムの保持形態として、自転軸が公転軸に対して略垂直をなすようにコイル状カラムを配置したタイプの向流クロマトグラフ装置(特許文献1参照)や、自転軸が公転軸に対して略平行をなすタイプの向流クロマトグラフ装置(特許文献2参照)などがある。このようにコイル状カラムを駆動することにより、固定相としてコイル状カラム内に導入された溶媒がカラム内に保持され、コイル状カラム内に導入された試料溶液から固定相として導入された溶媒と移動相として導入された溶媒とのうちのいずれかに目的物質を溶出することができる。
【0003】
ところで、公転軸と略平行な自転軸を備えた複数のコイル状カラムのフローチューブを連通させたとき、各コイル状カラム間を中継するフローチューブの形状が複雑になり、コイル状カラムの駆動時にフローチューブに発生した捩れがうまく解消されないことがあった。特に、コイル状カラムを高速に駆動させると、回転数が高まるにつれてフローチューブの捩れが大きくなり分離溶媒をフローチューブ内で流通させることができず、このためにコイル状カラムの駆動を高速化することが困難であった。また、公転方向と同方向に自転するコイル状カラム、あるいは公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムを備える装置は、さらに汎用性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−064533号公報
【特許文献2】特開平11−183455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フローチューブの捩れが解消されやすい向流クロマトグラフ装置を提供して、コイル状カラムの駆動を高速化することにある。また、有機溶媒―水系二相溶媒と水性二相溶媒とを用いることができる汎用性の高い向流クロマトグラフ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、捩れが伝播するフローチューブの形状が単純なものとなるように、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムとフローチューブを保持した保持体とを配置することでうまくフローチューブの捩れが解消されることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明の向流クロマトグラフ装置は、公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、前記コイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつ前記コイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、前記コイル状カラムと前記保持体とを、公転軸まわりに交互に略等間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0008】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、コイル状カラムと保持体との間を中継するフローチューブを、コイル状カラムおよび保持体の一方から他方に向けてガイドするチューブガイドを設けることが好ましい。なお、チューブガイドはフローチューブの材質に対する摩擦係数が小さな材質で形成することが好ましい。
【0009】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムを保持体として用いることが好ましい。
【0010】
また、本発明の向流クロマトグラフ装置では、フローチューブとして、フッ素樹脂で形成されたチューブを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の向流クロマトグラフ装置によれば、コイル状カラムと保持体との間を中継するフローチューブの形状をアーチ状に単純化することができ、フローチューブの捩れを解消しやすくすることができる。これによりコイル状カラムを高速駆動可能な向流クロマトグラフ装置を提供することができる。また、有機溶媒―水系二相溶媒を公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いる、あるいは水性二相溶媒を公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、様々な目的物質の分離を実行することができるため汎用性の高い向流クロマトグラフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】主として水性二相溶媒を使用し、公転方向と反対まわりに自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する保持体とを1つずつ備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図2】公転方向と反対まわりに自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する1つの保持体とを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図3】2つのコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する2つの保持体とを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図4】主として有機溶媒―水系二相溶媒を使用し、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する保持体とを1つずつ備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図5】公転方向と同方向に自転する1つのコイル状カラムとこのカラムと反対方向に自転する1つの保持体とを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図6】公転方向と同方向に自転する2つのカラムとこのカラムと反対方向に自転する2つの保持体とを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム及び保持体の構成を概略的に示した斜視図である。
【図7】フローチューブを、接着材を用いて保持する保持体について概略的に示した断面図である。
【図8】自転方向の異なる2つのコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図9】自転方向の異なる2つのコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置のカラム構成を概略的に示した斜視図である。
【図10】同方向に自転する2つのカラムとこのカラムと反対方向に自転する2つのカラムとを公転軸まわりに交互に配置した向流クロマトグラフ装置のカラム構成を概略的に示した斜視図である。
【図11】異なる方向に自転し二相溶媒を使用して目的物質を分離するコイル状カラムを備えた向流クロマトグラフ装置の構成を概略的に示した説明図である。
【図12】装置本体に回転自在に収容されたロータリユニットを上から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の向流クロマトグラフ装置について説明する。本発明は、公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、このコイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつコイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とするものである。なお、コイル状カラムや保持体の具体的な構成は下記に限らず、適宜変更してよい。また、後述するが保持体はコイル状カラムに変更することもできる。
【0014】
図1および図2に示すように、向流クロマトグラフ装置は公転軸線R、この公転軸線Rと略平行な自転軸線S、コイル状カラム4、保持体6を有する。公転軸線Rは公転軸2の中心を軸方向に貫通し、2つの自転軸線S1、S2はコイル状カラム4、保持体6の中心を貫通している。コイル状カラム4は公転軸2を中心に公転しつつ公転方向と同方向または反対方向に自転し、保持体6は公転軸2を中心に公転しつつコイル状カラム4の自転方向と反対方向に自転する。図1は、コイル状カラム4が公転方向と反対方向に自転し保持体6が公転方向と同方向に自転する態様を示す。公転軸2は中空に形成され、フローチューブ8は公転軸2内を通されてコイル状カラム4や保持体6側に導入される。コイル状カラムが公転方向と反対方向に自転するこの本態様は、例えば水性二相溶媒を用いて目的物質の分離精製を実行するために用いることができる。
【0015】
コイル状カラム4は、フローチューブ8とこのフローチューブ8が巻かれるホルダ10とを備え、フローチューブ8はホルダ10の一端側から他端側に螺旋状に形成されている。ホルダ10は両端部にフランジ10a、10bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ10a、10b間にフローチューブ8が巻きつけられてフローチューブ8が螺旋状に形成された螺旋部8dが形成される。
【0016】
上側フランジ10aおよび下側フランジ10bにはそれぞれアッパーシャフト20、ロワーシャフト21が設けられ、アッパーシャフト20およびロワーシャフト21の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト20およびロワーシャフト21はそれぞれフローチューブ8を折り曲げて保持し、これによりフローチューブ8の螺旋部8dが維持される。アッパーシャフト20はホルダ10内に向かうフローチューブ8を上側フランジ10aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ8は上側フランジ10aの周縁部に穿たれた開口10cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ8は下側フランジ10bの周縁部に穿たれた開口10dを通り、開口10dから延出したフローチューブ8はロワーシャフト21によって下側フランジ10bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0017】
両フランジ10a、10b間に形成されたフローチューブ8の螺旋部8d内には自転軸線S1から略等距離を隔てて周回する螺旋流路(図示省略)が形成される。螺旋部8dの容量や構成部材等は適宜定めることができる。例えば、螺旋部8dは、略40mlの容量を有し、内径0.8mmのポリテトラフルオロエチレン(以降、PTFEという)製チューブが螺旋状に形成されて構成される。なお、上記では、内径が0.8mmのPTFEチューブを用いて容量が略40mlの螺旋部8dを形成したが、コイル状カラムのスペックはこれに限らず、適宜変更してよい。例えば、内径が1.2mmのより太めのPTFEチューブを用いてチューブ断面積を増やすことで容量が略70mlの螺旋部を作製することができ、処理能力の向上が期待できる。
【0018】
保持体6はフローチューブ8とこのフローチューブ8を保持するホルダ12とを備える。ホルダ12は両端部にフランジ12a、12bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口12c、12dが穿たれている。上側フランジ12a、および下側フランジ12bにはそれぞれアッパーシャフト24、ロワーシャフト25が設けられ、アッパーシャフト24およびロワーシャフト25の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト24はホルダ12内に向かうフローチューブ8を上側フランジ12の中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ8は開口12cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で直線状に形成されたフローチューブ8は下側フランジ12bの周縁部に穿たれた開口12dを通り、開口12dから延出したフローチューブ8はロワーシャフト25によって下側フランジ12bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0019】
自転軸線S2に沿って保持体6のアッパーシャフト24から延出したフローチューブ8は公転軸2の傍を通過してコイル状カラム4に導かれる。保持体6とコイル状カラム4との間を中継するフローチューブ8の中継部8cは、上に突き出るようにアーチ状となり、中継部8cがこのような単純な形状に形成されることにより、コイル状カラム4および保持体6の一方の自転によって生じる中継部8cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0020】
本発明の一態様において、保持体6は公転しながら公転方向と同方向に自転し、コイル状カラム4は公転しながら公転方向と反対方向に自転する。自転の角速度は公転の角速度ωに合わせられ、これにより、向流クロマトグラフ装置外部から保持体6のロワーシャフト25までのフローチューブ8の導入部8aでは、公転によって生じる捩れが保持体6の自転によって解消されることとなり結果として捩れが生じない。同様に、コイル状カラム4のロワーシャフト21から向流クロマトグラフ装置外部までのフローチューブ8の排出部8eでは、公転によって生じる捩れがコイル状カラム4の自転によって解消されることとなり結果的に捩れが生じない。保持体6の自転方向とコイル状カラム4の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これによりコイル状カラム4および保持体6のどちらか一方の自転により中継部8cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0021】
フローチューブ8の材質は特に制限されないが、耐磨耗性、耐薬品性、耐腐食性、硬度などに優れたものが好ましい。フローチューブ8の材質としては、例えばフッ素樹脂が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)などをフローチューブ8の形成材料として用いることができる。
【0022】
上述したように、図1、2ではコイル状カラムと保持体とがそれぞれ1個の態様を例示したが、コイル状カラムと保持体との個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図3に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1保持体31、第1コイル状カラム32、第2保持体33、第2コイル状カラム34が略等間隔を隔てて設けられている。第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第2保持体31、33は公転方向と同方向に自転し、第1、第2コイル状カラム32、34は第1、第2保持体31、33の自転方向と反対方向に自転する。
【0023】
フローチューブ38は、向流クロマトグラフ装置外部から第1保持体31のロワーシャフト31bまでの導入部38a、直線状に形成された直線部38b、第1保持体31のアッパーシャフト31aから第1コイル状カラム32のアッパーシャフト32aまでの第1中継部38c、螺旋状に形成された螺旋部38d、第1コイル状カラム32のロワーシャフト32bから第2保持体33のロワーシャフト33bまでの第2中継部38e、直線状に形成された直線部38f、第2保持体33のアッパーシャフト33aから第2コイル状カラム34のアッパーシャフト34aまでの第3中継部38g、螺旋状に形成された螺旋部38h、第2コイル状カラム34のロワーシャフト34bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部38iなどから構成される。
【0024】
第1保持体31、第1コイル状カラム32、第2保持体33、第2コイル状カラム34の自転速度は公転速度ωに合わせられている。そのため、導入部38aおよび排出部38iには捩れが生じない。第1〜第3中継部38c、38e、38gはそれぞれ単純なアーチ形状に形成される。第1中継部38cは、第1保持体31と第1コイル状カラム32とによって捩れが解消され、第2中継部38eは第1コイル状カラム32と第2保持体33とによって捩れが解消され、第3中継部38gは第2保持体33と第2コイル状カラム34とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34を配置したことにより、第1〜第3中継部38c、38e、38gの長さをより短くでき、それぞれの中継部38c、38e、38gの捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1、第2保持体31、33、第1、第2コイル状カラム32、34を配置しながら総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0025】
上記図1〜3では、公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムを備え、主に水性二相溶媒を用いて目的物質の分離精製を行う態様について例示したが、コイル状カラムや保持体の自転方向の組み合わせはこれに限らない。図4および図5に示すように、向流クロマトグラフ装置の第2の態様では、公転軸線Rと略平行な自転軸線S1を備え公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と同方向に自転するコイル状カラム41と、公転軸40を中心に公転しつつ公転方向と反対方向に自転する保持体43とを備える。コイル状カラム41を公転方向と同方向に自転させる本態様は、主として例えば有機溶媒―水系二相溶媒を用いた目的物質の分離精製を実行するために用いることができる。
【0026】
コイル状カラム41は、フローチューブ45とこのフローチューブ45が巻かれるホルダ47とを備え、フローチューブ45はホルダ47の一端側から他端側にかけて螺旋状に形成されている。ホルダ47は両端部にフランジ47a、47bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ47a、47b間にフローチューブ45が巻きつけられてフローチューブ45が螺旋状に形成された螺旋部45bが形成される。
【0027】
上側フランジ47aおよび下側フランジ47bにはそれぞれアッパーシャフト50、ロワーシャフト51が設けられ、アッパーシャフト50およびロワーシャフト51の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト50およびロワーシャフト51はそれぞれフローチューブ45を折り曲げて保持し、フローチューブ45の螺旋部45bが維持される。アッパーシャフト50はホルダ47内に向かうフローチューブ45を上側フランジ47aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ45は上側フランジ47aの周縁部に穿たれた開口47cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ45は下側フランジ47bの周縁部に穿たれた開口47dを通り、開口47dから延出したフローチューブ45はロワーシャフト51によって下側フランジ47bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0028】
保持体43はフローチューブ45とこのフローチューブ45を保持するホルダ55とを備える。ホルダ55は両端部にフランジ55a、55bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口55c、55dが穿たれている。上側フランジ55a、および下側フランジ55bにはそれぞれアッパーシャフト60、ロワーシャフト61が設けられ、アッパーシャフト60およびロワーシャフト61の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト60はホルダ55内に向かうフローチューブ45を上側フランジ55aの中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ45は開口55cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で直線状に形成されたフローチューブ45dは下側フランジ55bの周縁部に穿たれた開口55dを通り、開口55dから延出したフローチューブ45はロワーシャフト61によって下側フランジ55bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0029】
自転軸線S2に沿って保持体43のアッパーシャフト60から延出したフローチューブ45は公転軸40の傍を通過してコイル状カラム41に接続される。保持体43とコイル状カラム41との間を中継するフローチューブ45の中継部45cは、上に突き出たアーチ状となり、中継部45cがこのような単純な形状に形成されることにより、コイル状カラム41および保持体43の一方の自転によって生じる中継部45cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0030】
図4に示される態様では、保持体43は公転しながら公転方向と反対方向に自転し、コイル状カラム41は公転しながら公転方向と同方向に自転する。保持体43の自転方向とコイル状カラム41の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これによりコイル状カラム41および保持体43のどちらか一方の自転により中継部45cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0031】
上述したように、図4、5ではコイル状カラム41と保持体43とがそれぞれ1個の態様を例示したが、コイル状カラムと保持体との個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図6に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1コイル状カラム71、第1保持体72、第2コイル状カラム73、第2保持体74が略等間隔を隔てて設けられている。第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第2コイル状カラム71、73は公転方向と同方向に自転し、第1、第2保持体72、74は公転方向と反対方向に自転する。
【0032】
フローチューブ76は、向流クロマトグラフ装置外部から第1コイル状カラム71のロワーシャフト71bまでの導入部76a、第1コイル状カラム71のアッパーシャフト71aから第1保持体72のアッパーシャフト72aまでの第1中継部76c、第1保持体72のロワーシャフト72bから第2コイル状カラム73のロワーシャフト73bまでの第2中継部76e、第2コイル状カラム73のアッパーシャフト73aから第2保持体74のアッパーシャフト74aまでの第3中継部76g、第2保持体74のロワーシャフト74bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部76iなどから構成される。
【0033】
第1〜第3中継部76c、76e、76gはそれぞれ単純なアーチ状に形成される。第1中継部76cは、第1コイル状カラム71と第1保持体72とによって捩れが解消され、第2中継部76eは第1保持体72と第2コイル状カラム73とによって捩れが解消され、第3中継部76gは第2コイル状カラム73と第2保持体74とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74を配置したことにより、第1〜第3中継部76c、76e、76gの長さを短くでき、このため各中継部76c、76e、76gの捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1、第2コイル状カラム71、73、第1、第2保持体72、74を配置しながら総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0034】
なお、保持体の形状は上記に限らず適宜変更してよい。例えば、図7に示すように、中継部からのフローチューブ84を折り曲げることなく直線状のまま接着剤で固定することもできる。保持体80はホルダ82、接着材層83を有し、ホルダ82は中空パイプ状に形成されている。ホルダ82の中空内に中継部に接続されるフローチューブ84が収容され、中空部内のフローチューブ84の周囲には接着剤層が設けられホルダ82と一体化される。このような構成とすることで、コイル状カラムとともに捩れを解消しつつ流体抵抗を減らして二相溶媒が流通しやすくなることが期待できる。
【0035】
上記の図4〜6では公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転する保持体とを備えた第2の態様を例示したが、保持体に保持されるフローチューブを螺旋状に形成してカラムとして機能させてもよい。図8および図9に示すように、本発明の向流クロマトグラフ装置の第3の態様では、公転軸線Rと略平行な自転軸線S1を有し公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と同方向に自転するコイル状カラム101と、自転軸線S2を有し公転軸線Rを中心に公転しつつ公転方向と反対方向に自転するコイル状カラム102とを備える。フローチューブ105には、例えば水性二相溶媒などが流通され目的物質の分離が実行される。
【0036】
第1コイル状カラム101は、フローチューブ105とこのフローチューブ105が巻かれるホルダ107とを備え、フローチューブ105はホルダ107の一端側から他端側にかけて螺旋状に形成されている。ホルダ107は両端部にフランジ107a、107bが設けられたリール形状に形成され、両フランジ107a、107b間にフローチューブ105が巻きつけられてフローチューブ105が螺旋状に形成された螺旋部105bが形成される。
【0037】
上側フランジ107aおよび下側フランジ107bにはそれぞれアッパーシャフト110、ロワーシャフト111が設けられ、アッパーシャフト110およびロワーシャフト111の中心を自転軸線S1が貫通する。アッパーシャフト110およびロワーシャフト111はそれぞれフローチューブ105を折り曲げて保持し、フローチューブ105の螺旋部105bが維持される。アッパーシャフト110はホルダ107内に向かうフローチューブ105を上側フランジ107aの中心部から周縁部へ向けて折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ105は上側フランジ107aの周縁部に穿たれた開口107cを通り両フランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ105は下側フランジ107bの周縁部に穿たれた開口107dを通り、開口107dから延出したフローチューブ105はロワーシャフト111によって下側フランジ107bの中心部で自転軸線S1に合わせて折り曲げられて保持される。
【0038】
第2コイル状カラム102はフローチューブ105とこのフローチューブ105を保持するホルダ115とを備える。ホルダ115は両端部にフランジ115a、115bが設けられたリール形状に形成され、各フランジの周縁部には開口115c、115dが穿たれている。上側フランジ115a、および下側フランジ115bにはそれぞれアッパーシャフト120、ロワーシャフト121が設けられ、アッパーシャフト120およびロワーシャフト121の中心を自転軸線S2が貫通する。アッパーシャフト120はホルダ115内に向かうフローチューブ105を上側フランジ115aの中心部から周縁部に折り曲げ、折り曲げられたフローチューブ105は開口115cを通りフランジ間に通される。両フランジ間で螺旋状に形成されたフローチューブ105は下側フランジ115bの周縁部に穿たれた開口115dを通り、開口115dから延出したフローチューブ105はロワーシャフト121によって下側フランジ115bの中心部で自転軸線S2に合わせて折り曲げられて保持される。
【0039】
自転軸線S1に沿って第1コイル状カラム101のアッパーシャフト110から延出したフローチューブ105は公転軸100の傍を通過して第2コイル状カラム102に接続される。第1、第2コイル状カラム101、102との間を中継するフローチューブ105の中継部105cは、上に突き出たアーチ状となり、中継部105cがこのような単純な形状に形成されることにより、第1、第2コイル状カラム101、102の一方の自転によって生じる中継部105cの捩れを他方の自転によって解消することができる。
【0040】
第1コイル状カラム101は公転しながら公転方向と同方向に自転し、第2コイル状カラム102は公転しながら公転方向と反対方向に自転する。第1コイル状カラム101の自転方向と第2コイル状カラム102の自転方向とは逆方向にされ角速度は同じωに合わせられ、これにより第1、第2コイル状カラム101、102のどちらか一方の自転により中継部105cに付与される捩れが他方の自転によって相殺され結果的に捩れが解消される。
【0041】
上述したように、図8、9では自転方向が反対なコイル状カラムがそれぞれ1個の態様を例示したが、自転方向が反対なコイル状カラムの個数はそれぞれ1個に限らず、それぞれ2個以上にすることもできる。図10に示すように、公転軸線Rの周囲には、第1コイル状カラム131、第2コイル状カラム132、第3コイル状カラム133、第4コイル状カラム134が略等間隔を隔てて設けられている。第1〜第4コイル状カラム131〜134は、それぞれの自転軸線S1〜S4が公転軸線Rと略平行をなすように配置され、第1、第3コイル状カラム131、133は公転方向と同方向に自転し、第2、第4コイル状カラム132、134は公転方向と反対方向に自転する。
【0042】
フローチューブ138は、向流クロマトグラフ装置外部から第1コイル状カラム131のロワーシャフト131bまでの導入部138a、第1コイル状カラム131のアッパーシャフト131aから第2コイル状カラム132のアッパーシャフト132aまでの第1中継部138c、第2コイル状カラム132のロワーシャフト132bから第3コイル状カラム133のロワーシャフト133bまでの第2中継部138e、第3コイル状カラム133のアッパーシャフト133aから第4コイル状カラム134のアッパーシャフト134aまでの第3中継部138g、第4コイル状カラム134のロワーシャフト134bから向流クロマトグラフ装置外部までの排出部138iなどから構成される。
【0043】
第1〜第3中継部138c、138e、138gはそれぞれ単純なアーチ状に形成される。第1中継部138cは、第1コイル状カラム131と第2コイル状カラム132とによって捩れが解消され、第2中継部138eは第2コイル状カラム132と第3コイル状カラム133とによって捩れが解消され、第3中継部138gは第3コイル状カラム133と第4コイル状カラム134とによって捩れが解消される。公転軸線Rの周囲に第1〜第4コイル状カラム131〜134を配置したことにより、第1〜第3中継部138c、138e、138gの長さをより短くでき、このためそれぞれの中継部の捩れをさらに速やかに解消できる。また、公転軸線Rの周囲にバランスよく第1〜第4コイル状カラム131〜134を配置して総カラム容量を増やすことができ、目的物質の効率よい分離が期待できる。
【0044】
次に、図10に示したような、公転方向に自転する2つのコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転する2つのコイル状カラムとを備えた向流クロマトグラフ装置の装置全体について説明する。図11および図12に示すように、向流クロマトグラフ装置160は、装置本体164、ロータリユニット166等を備え、装置本体164の上部は蓋168によってカバーされている。装置本体164はロータリユニット166の収容スペース170を内部に備え、このスペース170内にロータリユニット166が収められている。ロータリユニット166は、その重心を通るように公転軸167を備える。公転軸167の上下両端は装置本体164に軸支され、ロータリユニット166は公転軸167の中心を貫通する公転軸線Rを中心に回転自在に保持される。
【0045】
装置本体164は側壁172、及び底部174を備え、その内部に断面略円形状の収容スペース170を有する。底部174には動力供給部177が備えられ、動力供給部177は、モータ、このモータの駆動を制御するモータコントローラ等を備える。動力供給部は、モータの動力を基にして、コイル状カラムを公転させるための公転用動力と、後述するコイル状カラムを自転させるための自転用動力とを発生させる動力発生機構を備える。このような構成から、動力供給部は、公転軸167を中心にロータリユニット166を公転軸線Rまわりに回転させる動力を供給するとともに、各コイル状カラムに自転するための動力を供給することができる。なお、図示はしないが、装置本体164の外側にはモータの回転数を調節するための操作部が設けられ、ユーザはこの操作部を操作することで、モータコントローラを介してコイル状カラムの公転角速度および自転角速度を調節することができる。
【0046】
蓋168は装置本体164の上部に着脱自在に装着される。蓋168には、フローチューブ200を向流クロマトグラフ装置160内部に導入するための導入孔等が形成されている。公転軸167は、中空状に形成され上部軸端部及び下部軸端部は開口し、外周面には上側の第1開口180と下側の第2開口181とが形成され、各開口180、181はそれぞれ内側の中空部183に連通している。
【0047】
図12に示すように、ロータリユニット166は第1〜第4コイル状カラム211〜214を備え、第1〜第4コイル状カラム211〜214は公転軸167のまわりに略等間隔を隔てて配置されている。第1〜第4コイル状カラム211〜214は、螺旋部の巻き数(ピッチ数)が同一であり、それぞれの重量が同一になるように調整され、ロータリユニット166が安定して回転できるように構成されている。
【0048】
フローチューブ200は、導入部200a、第1〜第3中継部200c、200e、200g、排出部200iなどから構成される。図示しない導入孔を介して装置内部に導入された導入部200aは、上端の開口から公転軸167内に導かれて第1開口180まで公転軸167内を通される。公転軸167の第1開口180から延び出た導入部200aは、第1コイル状カラム211に接続される。第1コイル状カラム211と第2コイル状カラム212との間、第2コイル状カラム212と第3コイル状カラム213との間、第3コイル状カラム213と第4コイル状カラム214との間は、それぞれ第1中継部200c、第2中継部200e、第3中継部200gによって中継される。第4コイル状カラム214から延び出た排出部200iは第2開口181から公転軸167内の中空部183に収納され、公転軸167の下端の開口まで公転軸167内を通される。公転軸167の下端から導出された排出部200iは底部174側から装置本体164の外部まで導かれる。公転軸167に形成された第1開口180と第2開口181との位置が異なるため、フローチューブ200同士が接触して破損することはない。
【0049】
ロータリユニット166は、フローチューブ200の第1中継部200cを第1、第2コイル状カラム相互に向けてガイドする第1チューブガイド231、第2中継部200eを第2、第3コイル状カラム相互に向けてガイドする第2チューブガイド(図示省略)、第3中継部200gを第3、第4コイル状カラム相互に向けてガイドする第3チューブガイド233を備える。例えば、第1チューブガイド231はフローチューブ200の中継部200cを第1、第2コイル状カラム211、212の一方から他方に向けて通すための開口231aを有し、中継部200cはこの開口部231a内を通される。第2チューブガイド、第3チューブガイド233も同様に構成されている。このようにフローチューブ200の第1〜第3中継部200c、200e、200gがそれぞれ第1〜第3チューブガイド231〜233によってガイドされることにより、第1〜第4コイル状カラム211〜214の駆動時に第1〜第3中継部200c、200e、200gの揺動を抑えることができ、捩れ解消の促進効果が期待できる。また、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムとを備えたため、有機溶媒―水系二相溶媒を公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いる、あるいは水性二相溶媒を公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、様々な目的物質の分離を実行することができるため汎用性を高められる。
【0050】
本発明の向流クロマトグラフ装置を用いた分離システムは、例えば、有機溶媒―水系二相溶媒または水性二相溶媒等を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相)を供給する溶媒供給源、溶媒供給源からの移動相溶媒や生体関連物質等の試料溶液を送り出すためのポンプ、ポンプから送り出された試料溶液に含まれる目的物質を分離する本発明の向流クロマトグラフ装置160、向流クロマトグラフ装置からの分離された目的物質を検出するディテクタなどから構成される。
【0051】
溶媒供給源から移動相溶媒がポンプに送られ、ポンプによって向流クロマトグラフ装置160に移動相溶媒が液送される。向流クロマトグラフ装置160内へ送られた移動相溶媒は、螺旋部内に導入される。螺旋部から移動相溶媒と共に排出される目的物質は排出部を介してディテクタに送られて検出され、その結果は、例えばインテグレータに送られチャート化される。
【0052】
分離時の手順は、まず、水系等の二相溶媒を構成する上下層のいずれか一方の層(移動相としない層)を固定相として螺旋部内に導入する。固定相溶媒の充填後、コイル状カラムの公転及び自転を開始させて固定相溶媒を螺旋部内に固定させる。コイル状カラムを回転させた後、生体関連物質等を含む試料溶液を移動相溶媒とともに螺旋部内に送液する。螺旋部内に導入された試料溶液中の生体関連物質等は、例えば、固定相と移動相との間で分配、分離され、移動相溶媒と共に溶出する。このように、有機溶媒―水系二相溶媒を、公転方向と同方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、天然物からの生理活性物質の単離・精製、有機合成物質からの目的物質の精製などに広く用いることが期待される。特に、有機溶媒によりエマルションを形成しやすい物質の単離・精製には有用性が期待できる。また、水性二相溶媒を、公転方向と反対方向に自転するコイル状カラムと組み合わせて用いることにより、タンパク質、酵素、核酸など有機溶媒では変性してしまう物質の単離・精製を行うことが可能である。また、生理活性物質などのなかにはカラム充填剤との相互作用により失活する物質も多く、本発明の向流クロマトグラフ装置はこのような物質の分離・精製にも利用することができる。また、本発明の向流クロマトグラフ装置は、回転機構が簡単なため、従来の向流クロマトグラフ装置と比較して廉価に製造することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 公転軸
4 コイル状カラム
6 保持体
8 フローチューブ
8c 中継部
10 ホルダ
12 ホルダ
101 第1コイル状カラム
102 第2コイル状カラム
105 フローチューブ
160 向流クロマトグラフ装置
164 装置本体
166 ロータリユニット
180 第1開口
181 第2開口
200 フローチューブ
231 第1チューブガイド
R 公転軸線
S 自転軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、
前記コイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつ前記コイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とする向流クロマトグラフ装置。
【請求項2】
前記コイル状カラムと前記保持体とを、公転軸のまわりに交互に略等間隔を隔てて配置したことを特徴とする請求項1に記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記保持体が、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムであることを特徴とする請求項1または2に記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項4】
前記コイル状カラムと前記保持体との間を中継するフローチューブを、コイル状カラムおよび保持体の一方から他方に向けてガイドするチューブガイドを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項5】
フッ素樹脂製のフローチューブを用いたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項1】
公転軸と略平行な自転軸の一端側から他端側にフローチューブが螺旋状に形成され公転軸を中心に公転しつつ自転軸を中心に自転するコイル状カラムと、
前記コイル状カラムからのフローチューブを保持し公転軸を中心に公転しつつ前記コイル状カラムの自転方向と反対方向に同期自転する保持体とを備えたことを特徴とする向流クロマトグラフ装置。
【請求項2】
前記コイル状カラムと前記保持体とを、公転軸のまわりに交互に略等間隔を隔てて配置したことを特徴とする請求項1に記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記保持体が、フローチューブが螺旋状に形成されたコイル状カラムであることを特徴とする請求項1または2に記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項4】
前記コイル状カラムと前記保持体との間を中継するフローチューブを、コイル状カラムおよび保持体の一方から他方に向けてガイドするチューブガイドを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の向流クロマトグラフ装置。
【請求項5】
フッ素樹脂製のフローチューブを用いたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の向流クロマトグラフ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−203971(P2010−203971A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51083(P2009−51083)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
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